真・東方夜伽話

紫様の10分の1も生きてはいないけれど

2008/12/19 07:54:14
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紫様の10分の1も生きてはいないけれど

皇束篠秋
前書き

橙霊(霊橙)式神ネタ ストーキング永琳と咲夜さん(今回は少ししか出てきませんが)
大妖精の性格が自分の考えたものとなってますので、注意してください。














 マヨヒガの藍の部屋

「え? 式が欲しい?」

 藍が尋ねると、その式、橙は首を無言で頷いた。
 橙の年齢からして色々なものに興味を持つのは普通だろう、まして将来自分の物になる式神なら尚更である。
 しばしの無言の後、藍は橙に一瞬で近づくと抱きしめてほお擦りした。

「おおおおおおお! 橙もそんな年頃になったのかぁぁぁ! いいぞ! 私がなってやるからさあ私を踏んで! なじってっ! 従えるんだ!」

 あまりのほお擦りの激しさに摩擦熱がとんでもない事になっているが、藍は止めようとしない。このままでは焼き蜜柑になってしまう。
 橙が短い人生(妖生?)に別れを告げようと覚悟をしていたとき、藍の動きが止まった。同時にぐらりと体が横に倒れる。
 何があったのか理解できず、倒れた藍の後頭部をみると、みごとなこぶがひとつ出来ている。これで気絶したのだろう。では、誰がこのこぶを作ったのだろうか。

「あー、その、なんていうか……いじめてるっぽかったから……」

 白い袖と長い赤いスカート、そして黒い髪を困ったようにかきながら、助けてくれた人物、博麗霊夢はそこにいた。(ここにいるのは暇だったから)
 彼女が式神になったら、どのくらい強いんだろう。どのくらい可愛いんだろう。

 ――この人がいいな

「ねえ」
「ん?」
「私の式神になってくれない?」

 二本の尻尾を揺らして、満面の笑みで言った。





 八雲紫の部屋で、霊夢、藍、紫の反対側に橙が無言で座っている。
 藍は頭に氷水の入った袋を乗せ、霊夢は困った顔を紫は目をつぶって腕を組んでいる。対する橙の表情は真剣そのもの、冗談を言おうものなら殺すといわんばかりの剣幕である。

「霊夢を私の式神にしてください!」

 橙が紫に懇願するように頼み込む。藍はガクリと崩れ落ちた。霊夢は驚いた顔をしている。
 数秒の無言の時間が流れる。紫は目を見開くと、大声で叫んだ。

「OK!」
「「えええええええええ!?」」

 霊夢と藍が同時に叫んだ。全くの予想外だったからである。
 藍は床をのた打ち回った。

「いずれ私の式神にする予定だったし、その予行演習と思えばいいわ」

 紫のとんでもない爆弾発言に言葉も出ない霊夢だが、対照的に橙は両手を叩きながら喜んでいた。藍は気絶した。キツーネ(笑)
 
「大丈夫、今日一日だけだから。お試し期間ってことですわ」
「そう言う問題じゃなく……っ!?」

 霊夢の視線の先には目を潤ませてこちらを見つめる橙、ここで断ったら大泣きすることは間違いない。そして次の日天狗に『子供を泣かす外道巫女』とまで書かれるのだ。
 完全に負けた。将棋で言う詰み。チェスで言うチェックメイト。釣りでいう竿を波にさらわれた状態。
 大きくため息を一つつく。

「わかったわよ……」
「わー!」
「だー!?」

 橙は飛びついてきたかと思うと、ほお擦りを始めた。まるで最初のほうにあった橙の立場が霊夢に置き換えられただけだった。
 紫はその光景を微笑ましく見守っていたが、指をぱちんとならし霊夢と橙をそのままスキマへと落とし、自分もスキマへと入っていった。
 マヨヒガには気絶した藍が寝転がっているだけだった。

 

 誰もいない静寂な神社の境内。空中に切れ目が入ったかと思うと、そこから橙と霊夢がドサドサと落下してきた。
 その際頭を打った霊夢は頭を撫でる。

「いたたた……ん?」

 そして感じる違和感。それはふわふわしていて気持ちよかった。それはまるで自分の一部のようだった。それはピコピコ動かせた。

「あらあらとてもお似合いよ」
「藍様みたいだね」

 ヌルリと霊夢たちとは別のところに降りてきた紫は霊夢をみて満足そうな表情をして、橙は嬉しそうに飛び跳ねた。
 信じたくはないし理解はしたくないが一応たずねることにする。

「……これは、何?」
「犬耳と尻尾」

 三人は笑った。それはそれは大声で笑った。


「なんですとおおおおおおおお!?」


 ちなみにその声の衝撃で紅魔館のガラスが一部壊れ、日光がレミリアに当ったことをここに書いておく。

 
 部屋に入ると、とりあえず紫を正座させた。橙は霊夢の隣で嬉しそうに霊夢の茶色いしっぽを触って遊んでいる。
 霊夢は眉をヒクヒクさせているつもりのようだが、動いているのは頭の上にかわいらしく現れた薄茶色の耳が動いている。

「なんで犬なのかしら……?」
「選択肢としてタヌキ、スカイフィッシュ、チュパカブラ、モンゴリアンデスワーム、ビックフットってのが……」
「夢想……」
「か、かわいいわよ霊夢」

 笑いをこらえるため、口元を扇で隠すがまったく意味がない。夢想封印でも一発かましてやろうかとすら思ったが、橙が巻き添えになる可能性があるのでやめた。
 
「……で、どうやったら元に戻るのかしら?」

 本題を尋ねると紫はホホホと笑った。無性に腹が立ったが我慢した。

「お試し期間だから今日一日限定よ。まあ、せっかくだし橙の一日式神をやってればいいわ」
「紫様大好きー!」

 橙は霊夢のしっぽを弄るのをやめ、紫に飛びついた。なぜかこのとき霊夢は嫉妬心を感じた。
 霊夢は橙を紫から取り上げるように持ち上げると、自分の横に置く。

「じゃあ、今日一日だけよ?」
「うん!」

 小さい子の笑顔を見るのが嫌いじゃない人間はいない(はず)。例外なく霊夢も少しだけ嬉しくなった。
 満足そうに微笑む橙を見て紫は安心したようで、スキマヘ消えていった。
 霊夢たちがそれに気づいたのはじゃれつく橙から霊夢が開放されたときだった。
 近くの茂みからカシャッという音と共に何かがすさまじい勢いで飛んでいったのも、ちょうどそのくらいだった。


========================


 式神になったからといって生活はいつもどおり、神社の縁側で二人でお茶を飲んでいた。橙には特別に冷やしておいたお茶を渡してある。
 お茶は熱いほうが美味しいと言っているのだが、こればかりはどうしようもないらしい。姿どおり猫舌といったところだろう。
 一方霊夢はそんなに悪い気分ではなかった。普段よりも茶の香りが楽しめるし、少しだけ耳もよく聞こえる。鼻は嗅ごうと思ったものにだけきくようで、そんなに困らない。
 橙のほうは、今日は神社でゆっくりしたいと言っていたので、動かなければ他の住人にもばれる事はないだろう。
 
「今日は暖かいわね」
「そうだねー」
 
 冬の中の暖かい陽射しを受けて、二人はため息をついた。
 ああ、なんて暖か……あたた…寒い?
 急激に温度が低下した。上を見るが太陽は隠れていないし、雲もない。いったい何が起こっているというのか。
 新たな異変かもしれない。そう思ったがそれは勘違いであることがわかった。式神になって視力がよくなったようで、遠くの方までよく見える。

「……なるほど」

 ため息をひとつ。氷精がこちらに向かってきていた。
 耳や尻尾が生えてることがばれたら色々と面倒だが、まあ何とかなるだろう。
 温まるために橙を少しだけ抱きしめながら来客者の襲撃を待つことにした。そのとき橙の頬が赤く染まったのを知るのは、橙一人だけだった。



「聞いたよ霊夢! 橙の式神になって犬耳と尻尾生えたって聞いたから見に来たわ!」

 後にチルノは語る。
 あ、ありのままにおこったことを話すわ。霊夢に話しかけた瞬間、目の前がお札で埋め尽くされていたの。すごいスピードだとか……(以下略)

 頭から煙を出しながらチルノは石畳に倒れた。
 正直やりすぎた。そう思ったが考えはすぐに別へと移る。誰にも知られていないはずの式神になったことが何故知れ渡っているのか。
 深く深く、湖の底の石のように深く考え込む。
 
「私がお答えしましょう」
「うわあ!?」

 驚いて後ろを見ると、どこで生まれて育ってきたか誰もが知らない大妖精が背後に立っていた。青いスカート、透き通った羽と無邪気な目がこちらをまっすぐに見つめている。
 まったく気配を感じなかった。ひょっとしたら大妖精の能力は気配を消すことができるのかもしれない。初めてであった時も突然現れたし。 
 
「まあ立ち話もなんですから座りましょう」

 そういって大妖精は神社の縁側へと座った。

「私の家でしょうが」
「細かいことを気にしたら負けです。あ、おいてあったお茶もらいますね」

 霊夢の飲みかけのすっかり冷えた茶を一気に飲み干してしまう。あきれた様子で大妖精のとなりに座ると大妖精は微笑んだ。

「これは間接キスでしょうかね」
「ぶっ」
 
 思わずふき出してしまうが、大妖精はそれを面白がっている。結局のところ彼女もチルノと同じく妖精なのだ。
 そんなやり取りをしているうちにチルノは復活して橙と弾幕ごっこをしている。

「さて、本題に入りましょうか」

 湯飲みを置くとなにやら紙を霊夢に手渡した。

「ん? これは?」
「読んでみればわかりますよ」

 どうやらそれは新聞のようで、誰が発行したのかはすぐにわかった。そしてふきだした。 

 博麗の巫女式神になる!?

 という誰もが興味を持ってしまいそうなデカデカとした見出しと、橙に抱きつかれて耳と尻尾を生やした写真が載せられていた。
 新聞は破られた。

「とまあ、間違いなく幻想郷中に広がってますね。間違いなく他にも色々とくると思いますよ。さっき見かけた薬師さんたちによると、今日は霊夢さんが式神になった記念でここで宴会するって言ってましたし」
「……ハハハ」
 
 霊夢は力なく笑った。

「そういえば、霊夢さんの強さとんでもないことになってると思いますよ」

 大妖精がポンと手を叩いた。

「今回は特別ということで、紫さんが橙ちゃんの力を霊夢さんにプラスして強化したらしいんですね」
「でも橙はそんなに強くないわよ?」

 ちっちっちと大妖精は指を振る。

「今のままでは、です。困ったことに今回は橙ちゃんの潜在能力もプラスしちゃったらしいんですね。まあ、今日一日だけなので力を使うことはないでしょうがね」

 残念そうに大妖精は言う。この妖精は本当に力のない妖精なのかと、小一時間問い詰めたいところだったが、それ以上に気になることがあった。

「なんでアンタそんなこと知ってんのよ」
「ああ、ちょっと無断で八雲家にあがらせていただきました。そこで藍さんと紫さんが話しているのを立ち聞きしたわけです」

 八雲家に進入でき、なおかつ紫にも藍にも気づかれない。気配がないにも程がある。ブン屋が泣いて欲しがる力だろう。
 突然大妖精は何かを思いついたのか、笑顔を浮かべる。

「試しに少し力を使ってみましょうか。ほら、そこの茂みに向かってお札を一枚飛ばしてみてください」

 えらく具体的な位置を大妖精は指差す。局地的な風でも吹いたのかちょうどその部分が、がさりとゆれた。
 言われるがまま霊夢は札を一枚だけ、力を入れずに飛ばした。

 ボン!
 バシャーン ピチューン

 突然札が大爆発を起こして茂みを吹っ飛ばした。爆風で霊夢は尻餅をつく。
 
「いやーすごい威力でしたね」

 両手に『永』と書かれた丸い玉のようなものと、黄色く『P』と書かれた塊をを持って大妖精は言った。なぜか先ほどよりも大妖精が強くなったと思うのは気のせいだろうか。
 一瞬でその物体たちをどこかへやると、霊夢の手をつかんで起き上がらせる。
 不適に大妖精が笑う。次の瞬間、大妖精に一気に引き寄せられ抱きしめられていた。 

「いやいや、予想したとおり体温が高くなって暖かいですね。いい湯たんぽになりそうで橙ちゃんが羨ましいです」
 
 クスクスと大妖精は笑い霊夢を放した。
 
「すいません。貴女がかわいかったものですからつい……」

 頭を下げて大妖精は謝ると、霊夢はため息をつく。

「いいわよ。別に減るもんじゃないし」
「いやー! さっすが寛大ですね!」

 泣いた妖精がもう笑った。とりあえず霊夢は元に戻ったら一発夢想封印を決めることを心に誓った。
 そんなことをしているうちにチルノたちが弾幕ごっこに飽きたようで、こちらへやってきた。二人ともまるで青春の汗臭さを感じさせる小説で、浜辺で殴り合っていたかのように笑顔が眩しかった。

「チルノちゃんも戻ってきたし、帰りましょうかね」
「とっとと帰りなさい」
「引き止めてくれないんですね」

 甘えるような声で大妖精は言うが霊夢は聞く耳を持たない。というよりも持ったら負けだ。

「どーせ今日の宴会も来るんでしょ?」

 尋ねると大妖精は首を横へ振る。

「今日の宴会は無いと思いますよ。薬師さんは多分怪我の治療でもしてるんじゃないでしょうか。まあ、私が私的にくる可能性はあるかも知れませんが」

 突然の突風に目をつぶる。

「それでは、また会いましょう」
 
 その言葉が聞こえたと同時に風もやんだ。目を開けてみると、大妖精は居なくなって、チルノと橙が呆然と立っているだけだった。




====================

 視線が痛い。橙と手を繋ぎながら霊夢は思った。
 ここは人里、本来ならば今日はここへ来るつもりは無かった。しかしなぜここにいるかというと、チルノが帰った後に食材が全く無いことに気がついた。
 橙一人に任せてもよかったのだが、一応現在の霊夢は式神であるため、一緒に行くことにした。

(ああ……見られてる)

 心の中でハラハラと涙を流す。しかし橙はそんな霊夢の様子を気にすることなく手を引っ張っていく。
 
「ほらほら、霊夢も早く」

 しかしライジングサン(引きこもってた人が久しぶりに浴びる日光)の如き笑顔は気持ちを少しは落ち着けることができた。
 その光景は他人から見ると仲のよい姉妹のようだった。

 それ以外の人間にはただの妖怪が歩いているだけにしか見えないが。



 目的の店へ行く道の途中に見慣れた姿があった。彼女は二人に気づいたようで長い青いスカートをヒラヒラさせながら近づいてきた。

「おお、新聞は本当か。意外と天狗の新聞もあてになるようだ。ははは……」

 少し苦々しく笑っているのは霊夢を哀れんでのことだと思いたい。
 橙は慧音の姿を見ると、霊夢の後ろに隠れた。おびえているのか霊夢のスカートを握り、覗き込むようにして見ている。

「慧音、アンタ橙になにかしたの?」

 橙を安心させるため優しく頭を撫でながら霊夢は言った。慧音は困ったように首を横に振る。
 
「そりゃそうよね。アンタに限って、妖怪とはいえ何もしていない子供に手を出すなんて考えられないし」
「……怖くない?」

 震える声で橙が顔を覗かせる。霊夢が笑顔で頷くと、橙は隠れるのをやめ慧音の前に立った。
 慧音も疑いが解けたので笑顔で橙の頭を撫でてやった。




 
 
「ところでどうして慧音が怖いって思ったの?」

 買い物を済ませて店から出ると霊夢が尋ねた。
 食材は買いだめしたので結構な量になっているが、式神になると便利なもので片手で持てている。力を入れるたびに耳が動いてしまうこと以外は中々に便利だ。
 
「チルノちゃんがね、里には怖い人がいるって。藍さまもやられかけたっていってたし、なんとなくあの人がそうじゃないかなって」

 チルノが言っていたのは、間違いなく何かイタズラをして怒られたからだろう。藍の言っていたことは本当で実際霊夢もやられかけた。
 だが彼女はそんな半獣でないことは親しい人物なら誰でも知っていることだ。
 
「えっとね。チルノちゃんが、なんか怒られたんだって」

 なるほど、今度きっちりチルノには慧音と会話してもらう必要がありそうだ。

「でも怖くなかったでしょ?」
「うん! 優しかった!」

 子供だから色々な間違いがある。橙は少しずつ色々と知っていく、それはとてもいいことだろう。しかし何かが無くなるのも事実だ。
 笑顔を見せて笑う橙を見ながらそんなことを考えている事に気づくと、霊夢は少し悲しくなった。
 自分はその位置から少し離れ過ぎてしまった。少しだけ、橙がうらやましくなった。

「れいむー、帰るよー!」
「え、ええ」

 気がつくと足が止まっていた。太陽もとっくの昔に傾いて夕日になっている。
 遠くから手をふる橙の姿と夕日に、どこか懐かしくなっている自分がいた。



==========================
 

 神社に到着したときには既に日は落ちて暗くなっていた。
 二人は料理を作るため台所に移動する。

「今日は魚だったわね」
「うん!」

 視線の先には新鮮な川魚が二匹置かれている。
 ちょうど河童が持ってきたときだったらしく、一目で新鮮なものだとわかったので、すぐに購入を決意したのだった。
 まあ一番大きな要因だったのは橙の希望があったからだが。
 
「じゃあお皿を用意してくれる?」

 橙に皿の用意を頼むと、霊夢は魚をさばき始めた。
 といっても今回はシンプルに焼き魚の予定なので、ただ単に内臓を取り出すだけだ。
 腹に刃を入れ一文字に切れ込みを入れる。開くと赤黒い内臓が見えた。それを魚の身が傷つかないように丁寧に取り出すと生ごみへ。
 できればおいしく調理してやりたいところだったが、内臓を食べるには橙の舌はまだ幼すぎる(多分)のでやめることにした。
 塩をふりかけて、口に棒を刺して尾の辺りで貫通させる。
 そして別室の囲炉裏へ入れた。
 これであとは待っているだけで焼き魚が二つ完成するだろう。
 橙も皿を見つけたようで、白い陶器を皿を持ってきた。

「ご苦労様」
「おなかすいたー」
「もうちょっとまってね」

 二人は囲炉裏の周りに座る。

「ねえ。どうして橙は私を式にしたいと思ったのかしら?」
「んー……。なんとなく霊夢がいいな、って思ったんだ」
 
 橙は少し考えた後答えた。

「でもね」
「ん?」 

「多分、私は霊夢以外の人だと選ばなかったよ」

 恥ずかしそうにそう付け足した。
 パチンと木が鳴った。

「……できたわね」
「うん」

 互いの表情が赤いのは囲炉裏の熱のせいかそれとも――。





 入浴後、橙は眠いといい始めた。
 無理もない。今日は色々なことがあったので霊夢も早く寝たいと思っていた。
 いつもより早いが寝室へ行き布団を敷く。
 そこでひとつのことに気がついた。
 布団が一枚しかないのだ。
 霊夢は自分が別の部屋で毛布だけを使って寝ようと思ったが、今日はあまりにも寒い。
 散々悩んだ末、結局二人はひとつの布団で寝ることになった。

「ね、霊夢」
「ん?」
「二人でいるとあったかいね」

 部屋を暗くしたのでよくわからないが、橙は笑っているのだろう。
 霊夢は軽く頷いた。

「霊夢には夢ってある?」

 そういわれ霊夢は首をひねった。
 困ったことに霊夢には夢が無い。普段どおり巫女として生活していたため、夢という夢がなかった。
 魔理沙にはきっと夢はあるのだろう。しかし自分には無いのだ。
 少しだけ悲しくなった。

「無いわね」
「そっか……私はね……」

 そこまでいって橙は布団の中にもぐりこんでしまった。
 何か後悔しているような、そんな小さな声が聞こえてくる。
 少しして意を決したようで橙が顔を出して言った。

「大人になってね、霊夢をちゃんと私の式神にするんだ」

 月の光が橙を照らす。
 顔はリンゴのように真っ赤になっていた。
 霊夢は薄く笑うと橙を抱きしめる。
 橙は目を白黒させていた。

「そっか、じゃあ頑張らないとね。紫にも負けないように強くならなきゃね」
「うん!」
「ふふふ期待してるわ」
 
 そういって霊夢は橙の額に軽く口づける。ぷしゅーという音と共に、橙の顔が更に真っ赤になり、そのまま気絶するように寝てしまった。
 その寝顔はとても幸せそうだった。 




二人が眠りについてから暫くたった。
霊夢は何か体を違和感を感じて目を覚ます。

「ん……」

ひんやりとした床の感触がする。同時に何者かの気配も一緒だ。

ぬるり

何かが口に侵入してきた。
それはぬるぬるしていて熱く、舌と絡め合わせてきた。

「ん……」

まだ寝ぼけているのか霊夢は何の抵抗もなくそれを受け入れている。

「ちゅぶ……ぬちゅっ、ぢゅるっ……?」

だんだん目が覚めてきた。
一番最初に映ったのは銀髪のメイドの顔だった。頬を赤く染め上げ、顔との距離は零だ。

「んん~~!?」

そこでようやく霊夢は咲夜に口内を犯されていることに気づいた。
時すでに遅しで、抵抗できないほど体中をキスだけで骨抜きにされている。

「ちゅぅ、ぢゅるっ……、はぁはぁ……ちゅっ」
「んちゅ、ちゅうっ、ぢゅるっ……」

獣のように口内を蹂躙する咲夜。
不意に普段ならあるはずもない所に痺れが走った。

「んひぁぁぁぁぁ!?」

感じたこともない快感に、背中を仰け反らせビクビクと震える。

「可愛い声をあげるじゃない……もっといじりたくなるわ」

振り向くと永琳が尻尾を握りしめ笑っていた。おそらく尻尾を引っ張ったのだろう。
咲夜は霊夢から離れると永琳と同じ方向に並んだ。
まだおさまらない快感と互いの唾液まみれを口周りを拭うこともせず、霊夢は二人を見上げる。それがさらに二人の欲情を誘うことを知らずに。

「なんで、こんな、時間に……」

 はぁはぁと息遣い荒く尋ねる。二人は肩をすくめて顔を見合わせると、永琳が口を開いた。

「ちょっと怪我しちゃってね。まあ、理由は言わずもがな」
「私はお嬢様の治療を。私も少し怪我はしたけど」

 そういって二人は話し始めた。




 時はさかのぼる事十数時間前、大妖精が来たときまでさかのぼる。
 この時既に咲夜と永琳は神社の横の林の中で霊夢を覗いていた。

「可愛いわね」
「そうね」

 互いに息遣い荒く尻尾の生えた霊夢を見ながら話し合っていた。

「今日の宴会で皆の目の前で抱くってのもいいかもしれないわ」

 永琳がとんでもない事を言い始めるが、咲夜はその言葉に頷く。

「私は耳をかじってみたいわ。なんか弱そうなんだもの」

 その言葉に反応したように霊夢の耳がピクピクと動く。咲夜は悶絶した。
 今更な話題になるが彼女たちが霊夢のストーキングをしているのにたいした理由は無い。ただ、彼女が好きなだけらしい。ちなみに前科は100回から先は数えていないらしい(抱いた回数はばっちりと記憶している)

「それにしても……」
「間違いなく貴女は私と同じことを考えてるわね永琳」

 苦虫を噛み潰したような表情で二人は同じ方向を見る。視線の先にはいとしい霊夢とは正反対の忌々しい存在が、先ほどまで霊夢が飲んでいた茶を飲んでいる姿があった。

「妖精ごときがひっつくんじゃないわよ……」
「そうよそうよ。霊夢にひっついていいのは私よ」

 その言葉に永琳の眉がピクリと動いた。

「誰が霊夢の隣ですって? このダメイド。とっととお屋敷に戻ったらどうかしら? お嬢様が日光浴してるかもしれませんことよ」

 サクッという音と共に永琳の足元にナイフが刺さった。

「喧しいわよこのエセナース。簀巻きにして時を止めて体に石をくくりつけて川底に沈めて魚のえさにするわよ」
「そんなことをされる前に両手両足切断して観葉植物にしてあげるわ」

 ちなみに二人の距離はほんの三十センチしか離れていない。殺そうと思えば本当にいつでも殺せる距離だ。

「殺すわよ」
「解剖(バラ)すわよ」

 二人が獲物を構えたときだった。

「試しに少し力を使ってみましょうか。ほら、そこの茂みに向かってお札を一枚飛ばしてみてください」

 忌々しい声と共に急激に辺りが明るくなった。そして二人の意識はそこで途絶えた。







「というわけよ」

 永琳がどこか遠くを見ながら、まるで感動映画を見た後のような表情。確かに本人たちからすれば感動なのかもしれないが、霊夢からみればただの自業自得である。
 ちなみに霊夢はこの時点でようやく全裸にされているという事実に気がついた。
 実は霊夢はこの二人組に抱かれるのは初めてではない、何度も何度も抱かれている。
しかしそれを何故拒まないか、と言われれば霊夢は返すことができなかった。案外、霊夢も二人に同じ感情を持っているのかもしれない。
それでも羞恥心はあるので秘部と胸を隠そうとするが、咲夜によって阻まれる。
今日の二人の感じが違うと気づいたのはこの時だった。

「今日はたっぷりお仕置きをしてあげる……」

背後からの永琳の声と共に尻を撫で回される。
普段は中々触れることもない場所を撫で回され声を押し殺す。

「ん、ふぅ……」
「やっぱり感じやすくなってる。永琳もう少し尻尾いじってあげたら?」
「!?」

ブルブルと顔を恐怖に染めながら霊夢は懇願する。
しかしかまうことなく永琳は霊夢の尻尾を付け根から擦る。

「ひぅっ! ふぅっ、はぁっ、ああっ!?」

擦られているだけだというのに熱っぽい声をあげ、腰を逃げるように振る。
それは今の二人には誘っているようにしか見えなかった。

「我慢の限界なんだけど……」
「私もよ……」

その言葉に霊夢はまだこのお仕置きは始まりに過ぎないことを理解した。


 
「起きてください。橙ちゃん」
「ん……ぅ」

目をこすりながら橙は目を覚ます。 辺りはまだ暗く、そして寒い。
目の前には橙を起こした張本人、大妖精が笑顔で立っていた。

「あれ……? 大ちゃん……? なんでこんな時間に……」

寝ぼけまなこで尋ねると大妖精は答えた。

「ほら私言ったじゃないですか。個人的に来るかもしれないって」

確かにそんなことも言っていたが、なにもこんな夜更けにくることはないんじゃないか、と橙は思った。
ふと、寝るときまで一緒だった大事な式神の姿が見えない。
キョロキョロと辺りを見回すが姿が見えない。
「ああ、霊夢さんならこちらですよ」

大妖精は寝室から出ると、縁側へと出て行く。
橙もそれについていった。夜風が幼い橙の体を突き刺す。
ギシギシという音が鳴る廊下の途中の部屋の前で、大妖精は足を止めた。
橙も同じく足を止める。

「ほら、何か聞こえませんか?」


だめぇぇ!そこ噛んだらだめぇぇっ!
霊夢のお豆の味はどう永琳
ん、おいしいわね。愛液と混ざって噛みごたえも十分
んぎぃぃぁぁぁっ!?

悲鳴に近い嬌声が響く。その声は間違いなく霊夢の声だ。
信じらんないものを聞いたように橙は部屋の前であたふたしている。
そんな橙の肩を大妖精はがっちり掴んだ。

「霊夢さん、あの二人に抱かれてますね。……悔しくないですか? 橙ちゃんの式神なんですよ。それを他の人が抱くなんて……私には耐え切れませんね」

するり、と大妖精は橙のスカートを下ろした。

「どうします? 霊夢さんが他の人に取られちゃいますよ? いいんですか?」

今度は上着を脱がせ、同時に下着も脱がせた。幼いワレメから、透明な液体が太ももを伝う。

「さあ、準備はいいですね。たっぷりと彼女を味わってきてください」

そういって大妖精はふすまを開くと同時に橙を部屋へと押した。



三人は突然の乱入者に行動を停止した。
まさかの橙の襲来、しかも全裸でだ。
一番驚いたのは霊夢だ、できるならば橙には見られたくなかった。

「……こういう時は一つしかないわね」
「ええ」

咲夜と永琳は顔を見合わせると、霊夢の足を開脚させる。びちゃびちゃに濡れて光っている秘部が隠れることなく橙に見せられた。
ゴクリと橙はまじまじと秘部をみて唾を飲む。
対照的に霊夢は恥ずかしさで顔を手で覆った。
「秘密がバレたならアナタも引き込むまで」
「もっとも橙のほうも抱きたかったみたいだけど」

橙は吸い寄せられるように霊夢へ覆い被さった。
胸と胸が接触する。体温が、鼓動が混じり合う。

「霊夢……」
「ち、橙……」
「霊夢はわたしのなの……わたしの式なの……」

ちゅっちゅっと首筋に所有痕をつけていく。

「だから、他の人にはあげないの」
「……これは強力なライバルが現れたわね」
「予想外の場所だったわ……」

橙の直線な告白に二人はため息をついた。が、気を取り直し、永琳は霊夢の背後へ、咲夜は霊夢の横へ移動した。

ぬちゃ

という粘着性のある水音が響く。霊夢と橙の体がピクリと震えた。
橙は怖かったが、かまうことなく秘部を擦りあわせる。

ぬちゅ、ぐちゅ、ぬちゃっ

「れ、いっ、むぅ! 気持ち、いいっ」
「ちぇ、ん、はげしっいぃぃっ!」

霊夢の愛液が潤滑油となりぬめり気をさらにあげていく。

「んひぃぃっ!?」

肛門に熱い痛みとも快感ともつかない感覚が広がり、霊夢は声をあげる。
永琳が指を肛門へ入れかき回していた。

「……ここねっ」

ぐりっぐりっとしなやかな指で肛門の一カ所をひっかいてやる。

「~~~~~っ!?」

ビクンと体が跳ねる。プシャッと潮を噴き、絶頂に達してしまった。しかし、橙はまだ腰を動かしている。
続けざまに与えられる快楽に脳細胞が焼き切られそうになる。
この時完全に霊夢はもう一人を忘れていた。

「あーんっ」

しゃくっという音が耳に聞こえた。そして耳に唾液と舌が入ってきた。
咲夜だった。
耳、肛門、秘部と三カ所を責められ、脳に酸素がいかなくなりそうな快楽。

「いく、いくよぉぉ、れいむぅぅぅっ!」
「あ、うぁぁぁっ、いあ゛っ」

橙と霊夢の体が同時に弓のように仰け反った。
荒い息をしながら橙は幸福な顔をして眠りに落ちた。



縁側で霊夢は体の火照りを冷ましていた。
あの後、永琳からもう一度抱かれ、その後二人はようやく帰ったのだった。
橙は服を着せ布団へ運んだ。

「……出てきなさい」
「やっぱりバレてたわね」

廊下の角から紫が現れた。
紫は霊夢のそばに近寄ると隣に座った。

「どうだったかしら。1日体験は」
「まあ、悪いもんじゃなかったわね。色々楽しめたし」
「それはよかったですわ」

クスクスと紫が笑う。
「ねえ」
「何かしら」
「橙に告白された」
「お母さんは許しません
「アンタみたいな母を持った覚えはないわ」

そういうと紫はよよよ、と嘘泣きを始めた。しかしすぐに調子を戻す。

「式になるもならないも、アナタの自由よ。アナタが次の巫女を見つけたとき、アナタは初めて自由になれる。その時は私が、アナタを好きなようにしてあげる。蓬莱人でも妖怪でも亡霊でも」

先ほどの嘘泣きが信じられないほど、真面目な表情。

「私は……」

霊夢がそこまで言うと、紫は霊夢の唇に人差し指を置いた。

「急がなくていい。だから、今日は寝なさい」

霊夢は薄く笑い立ち上がると、部屋へ戻っていった。
紫は目をつぶり大きなため息を吐く。

「いるんでしょう」
「正解ですね」

紫の背後から大妖精が突然現れた。

「アナタを探すのは一苦労ね。流石欲望から生まれただけはあるわ」
「ほめ言葉として受け取りましょう」
「誰でもいつでももっている、だからだれも気づかない。気づけない」
「欲望はあって当然ですからね」

ニヤニヤと笑う大妖精。

「アナタもなかなかですよ。犬耳なんてまさに飼い犬の霊夢さんに相応しかったです」
「……」
「ああ、もう夜もすっごく遅いですね。ではお休みなさいませ」

笑みを浮かべたまま大妖精は闇へ消えていった。

「ごめんなさい霊夢」

紫は一言霊夢に謝罪の言葉を述べるとスキマへ消えた。

 
 終
おーもーいでーのかーずならばーらんさまよりいっぱいさー
懺悔室
読んでくださって感謝します。大妖精のイメージは自分のオリジナルなので、ほぼ気にしなくて大丈夫です。
最後の大妖精の霊夢は飼い犬発言ですが、幻想郷に縛られている飼い犬。ということです。なんという無茶解釈。


こっから先は読み飛ばし可
篠秋「ドラゴンごときが霰に勝てるわけ無いだろ……」
友人「こ、こんどは全力だ!今までは手加減だったんだよ!負けたら没にした霊夢妊娠ネタと蟲姦と中絶と産卵書きやがれ!」
篠秋「……」

あ、工場長のシノアキが勝負をしかけてきた!

篠秋 マニューラ メタグロス ハピナス ミミロップ ブーバーン トゲキッス←切り札
友人 ファイヤー サンダー フリーザー ギラティナ ヒードラン エンテイ←切り札

 3体友人が倒したら友人の勝ち。結果は待て次回。
皇束篠秋
コメント




1.ナナシン削除
霊夢に犬耳と尻尾ですか………許せる!!

そして橙の参加と…うん、この霊夢は総受けがよく似合いますね。

何か紫の口からUMAの名前が上がってましたが幻想郷ならいるんじゃなかろうか…とりあえずモンゴリアンデスワームはやめとけ、危険だ。

あと友人の切り札乙、何故に唯一神?
2.名前が無い程度の能力削除
中絶だけは許せん
頼むから勝ってくれ
3.その辺の妖怪削除
なんというもふもふ霊夢。^p^
思いっきり和みました。( ^ω^)

あと、蟲姦と中絶は入らないから妊娠と産卵ネタはプリーズ。
出来なきゃこっちが書く。(オイ

>ポケモン
ちょwwww何故唯一神wwww
あと、トゲキッスは『ずっと俺のターン!』になるからやめれwww
4.削除
ていうか友人伝説厨乙w
伝説は小学生までだよねーw

ヒードラン入れてる時点で素人すぎる。
いやまじで
5.Nanaxia削除
サイドストーリー的に霊咲と紫の謝罪の意味を希望するっ

>>ポケモン
ちょww伝説www
6.名前が無い程度の能力削除
大妖精w