真・東方夜伽話

楽園の淫行裁判長

2020/01/11 00:04:29
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楽園の淫行裁判長

喚く狂人

部下の男に弱味を握られた四季映姫様が肉体関係を強要されるけどなんだかんだ満更でもない感じのスケベ

 三途の川は実に殺風景で、夜は気味悪くすらある。とはいえ、四季映姫にとっては職場だ。今さら、慣れたものだった。
 そのほとりに、小屋が立っている。あばら屋とか納屋と呼んだ方が近いボロ屋だ。それでも、一応人が暮らしている。
 ドアノッカーなどあるわけもないので、玄関戸を手の甲で叩く。どたどたと音がした。建付けの悪い戸は引っかかり、ガタガタと音を立てる。
「はぁい、どちらさんッスか……ん?」
「……ここですよ」
 出てきた家主は、がっしりした体型の大男だった。部下のひとりで、死神だ。例のサボり魔の同僚でもある。
 ヒョコッと顔を出し、なんだ誰もいないではないかというような、肩透かしを食らった顔を浮かべる。声をかけ、視線を下げさせると、ようやく気づいたようだった。
「おぉ四季様、今夜も来てくれたんスね」
「いや、貴方が呼び出したんでしょうに」
「でしたっけ? まあまあ、立ち話もなんですから、上がってってくださいよ」
 肩に手を回し、ぐいぐいと引っ張ってくる。いつものことながら強引なことだった。そうして家に上がる、もとい上がらされるなり、彼女は顔をしかめた。
「なんですか、これは」
 広がっているのは、まったくもってひどい有様だった。
 八畳間の居間兼寝室には、酒瓶やつまみが散乱している。万年床のすぐ側にちゃぶ台が置いてあり、読むだけ読んだ天狗の新聞が放り出されている。
「先週も掃除してあげましたよね? 何故もうこんなことになっているんですか」
「あー。いや、ホラ、渡守って激務じゃねっスか? ゴミとか出す暇ねぇっつうか」
「そのわりに、晩酌する時間はあるようですね?」
 皮肉で返し、軽口を黙らせる。溜息を吐いた。何度も何度も何度も何度も注意したのに、いっこうに生活態度を改める気配がない。呆れながら振り向いた。
「掃除しておきますから、外で行水してきてください。でないと、何もしてあげません。こんなところにいるのは嫌ですからね、私は」
「いや、マジで申し訳ねッス。ホントに。次からは気をつけるんで!」
「念入りに清めてくるんですよ!? 部屋が綺麗になっても、そこにいた貴方が汚かったら意味ないんですからね! 嫌ですよこんな部屋の空気にまみれた人と過ごすの!」
 上司の不機嫌を感じ取ったか、男は逃げるように小屋を後にする。建付けの悪い玄関戸がけたたましく鳴った後、静寂が訪れた。
「まったく……」
 例のサボり魔は論外としても、彼も大概問題児だ。仕事はするが、ひたすらだらしない。気になりだすといてもたってもいられなくなる四季映姫の性格とは、非常に相性が悪い。おかげで、家を訪ねるたび、小間使いのようなことをするハメになっている。
 未だに改善の兆しがみられないのだから、見捨てても文句は言われない気もするが――ひとつ、彼のことを放り出せない事情があった。
 なんにせよ、いつまでも突っ立っていてもしょうがない。諦めて片付けることにする。まずは手近なゴミ箱からだ。だいたい、ゴミ箱が一杯という状況自体信じられない。こまめにゴミ出しすればいいだけではないかと思いながら、乱暴にたぐり寄せる。
「うっ……」
 独特の匂いが、鼻をついた。部屋全体にうっすら漂っていたので、もしかしてと思っていたのだが、やはり中はちり紙だらけだった。くしゃくしゃに丸めた、使用済みのものだ。
 クソ真面目の権化たる彼女でも、洟をかんだものでないことくらいは流石に分かる。そもそも、立ち上る海鮮系の臭気からして、そういうものでないのは明白だった。
「うわ、これまだ出したてじゃ……」
 ぎっしり詰まったちり紙の中から、一塊、おそるおそる摘まむ。人肌の温かさを感じた。扉を叩いたとき、どたどた慌てた様子だったのは、そういうことか。致していたのだ。
 まったく、何を考えているのか。この日この時間に家に来いと言ったのは、彼のほうだ。だったらせめて、大人しく待っているくらいはできないのか。
 ――でないと、勿体ないじゃないか。
「いやいやいや」
 ぶんぶんと、首を横に振る。勿体ないとはなんだ。それではまるで、自分がコレを、欲しがっているみたいじゃないか。ありえない。
 だというのに、彼女はソレを、自らの鼻に近づけていた。
 何を馬鹿なことをと、自分でも思っていながらも、だ。
 すん、すんと、匂いを嗅ぐ。独特の匂いが、鼻腔に流れ込んでくる。
「くさい……」
 だというのに、やめられない。腹の奥のあたりが、うずうずしている。
 気づけばその場に、腰を下ろしていた。両脚が、ゆっくりと開いていく。何をしているのかと、頭の中の冷静な部分が止めようとする。が、止まらなかった。
 開かれた足の間、スカートの内に、指がそろりと伸びていく。秘めやかなる三角地帯に、下着越しに触れる。
「ん、ん」
 静かな室内に、小さな声が漏れる。
 小柄なためか、四季映姫は敏感なたちだ。例のサボり魔の部下に、悪戯で脇腹をくすぐられたときは、本気でキレたこともある。
 そうした体質は、性感帯においても同じだった。少し触れただけで、ぴく、と体を震わせていた。
「っふ、はぁ」
 すん、すんと、鼻呼吸を繰り返す。臭く、不快であるはずなのに、やめられない。
 息を吸うたび、すり、すりと、指はパンティ越しに秘唇を擦っていく。柔らかな素材であるとはいえ、粘膜からすれば布は十分硬い。直接触れるのとはまた違う刺激に、喉の奥から熱い吐息を漏らす。
 何故こんなことをしているのだろう。今にも家主が戻ってきてもおかしくないのに。多少なりでも掃除していないと、怪しまれるのではないか。理性が訴える。すぐ終わらせて、残り時間で急いで片付ければいいと、頭の中のどこかが言い訳する。結局、自分自身に押し切られた。
 下着越しでは、物足りない。下着に指をかけ、おろしていく。小さな布きれを、両脚から引き抜いた。
 剥き出しになった裂け目に触れれば、既にしっとりとしていた。どうして湿っているかなど、考えるまでもないことだった。
「く、ふぅ、ん」
 ゆっくりと、尺取虫のように、指を上下させていく。
 なんというはしたないことをしてしまっているのか。それも、他人様の家で、自慰の始末をしたものの匂いを嗅ぎながらだなんて。だというのに、いや、だからこそ、やめられなかった。
「くッ、ん、ぅ、んぅ、んっ」
 肌を擦る秘めやかな音が、だんだんと水音へ変わり始める。彼女の中からこぼれるやんごとなき蜜が、こねられているのだ。
 指はなおも止まらず、次第に、大胆に動き始める。静かな部屋の中で、彼女の息づかいと、ぬちっ、ぬちっという粘ついた音が響く。秘めやかな洞窟は、粘液を分泌し、見るからに濡れつつあった。
 その外縁で、肉豆はぷっくりと膨れつつあった。ずいぶん大きめで、控えめな四季映姫にしては珍しいほど自己主張している。一目で分かる性感帯だ。
「んーぅッ……!」
 指先で、つんっ、つんっ、と突く。甘くも痺れる電気的刺激に、先ほど明らかな声が上がる。
 そんな中で、深く鼻呼吸を繰り返す。肺いっぱいに、あの特有の匂いが広がる。
 鼻が曲がるような、饐えた悪臭。だというのに、四季映姫を深く魅了する。
「んぅッ、くぅん、んっ、んっ、くぅ、ふ、んぅうう……!」
 もっともっと欲しいと、すんすんと、鼻孔を蠢かす。比例するように、指の動きは激しくなる。くちくちくちと、粘っこい水音が室内に響く。彼女の艶やかな声も続く。
「いやすんません、水浴びてきました――……。あの、何やってんスか、四季様」
「んッ!? あッ、いや、その、なんでもありませんが!? さあ掃除を続けましょうか! こんな汚い家では心まで荒んでしまいますからね!」
 がらりと扉が開き、行水を終えた彼が顔を覗かせる。思わず跳ね飛び、何事もなかったかのように平静を装う。
 時既に遅しとはこのことだ。痴態を、ばっちり見られてしまった。仮に見ていなくても、握られたちり紙、紅潮した頬、太腿に伝うつゆ、ほんのりと漂う少女の香りから、何をしていたかは明らかだ。ニッと、男は笑う。
「はは。四季様も、大概懲りない人ッスね。実は今日は、そんな四季様のために、すげぇもんを用意したんス」
「す、すごいもの……?」
「じゃじゃァーん」
 男が、懐に隠していたものを取り出す。それは犬用の首輪と、リードだった。蛙の尻穴に爆竹を突っ込む悪戯っ子のような目を、彼は浮かべていた。
「じゃ、四季様。散歩、行きましょっか」

***

 三途の川から此岸側へしばらく行くと、中有の道に入る。
 いつもなら出店で賑わっている界隈も、流石にこの時間帯になると静まりかえっている。左右を木立に囲まれ、不気味さを感じさせる小道を、二人は歩いていた。
 とはいえ四季映姫に、夜の森の薄気味悪さを気にしている余裕などない。きょろきょろと、しきりにあたりを見回している。静かだからといって、無人であるとは限らない。もしどこかから見られていたらと思うと、気が気ではなかった。
 やや後ろを歩く彼は、気楽に振る舞っていた。口笛でも吹きそうな風情だ。まったく正反対の様子だが、仕方のないことだ。彼女だけが、夜風に素肌を晒していたのだから。
 染み一つないほど滑らかな肌に象られた、無垢で華奢な肢体だ。輪郭は非常になだらかで、少女という段階にすら、やっと足を踏み入れただろうかといった程度だ。もう少し育ったら失われてしまいそうな健気さを備える様は、やがて散りゆく桜のような儚さを感じさせた。
 そのような体つきは、閻魔という、責任と威厳のある立場にはいささか不釣り合いにも思える。ただしそれは、彼女の身体が駄目だという意味ではない。むしろ、魅力あふれる素晴らしいものだった。確かにセックスアピールには欠ける。しかし、二次性徴さえ迎えていないような純なるボディラインは、あどけなさの残る顔立ちによくマッチしていた。
 肩幅は小さく柔らかで、いつものきりりとした印象とは裏腹な、か弱さを感じさせる。特に今は、びくびくと周囲を気にしているのもあって、なおさらだった。
 乳房は、部位の名前を裏切って、房と呼べるほど大きくない。というか平たい。ほんのり膨らんでいるといえなくもないかな? という程度だ。肋骨の線がうっすらと見えているほどだ。だがその瑞々しさと、つんと上向く輪郭は、目で見つめて愛でたくなるようなものだった。
 腹回りにくびれはなく、むしろ寸胴に近い。いわゆるイカ腹というやつだ。セクシーさなどはろくにないが、つるりとしたなだらかさには、独特の愛くるしさがある。くりっと丸く窪む臍が、お腹の平野におけるランドマークとなっていた。
 骨盤が若干広がりつつあるといえなくもないが、下半身も基本はぺたんとしている。下腹に草叢はほとんど生えておらず、つるんと滑らかだった。
 尻も全体的には肉付きが薄いものの、ぷりっとした美しいラインを描いている。まさに桃尻といった風情だ。すらりとした脚と相まって、健康的な美を演出している。
 爪先から頭頂まで、たわわだとか、豊かという言葉とは縁遠いボディラインだ。とはいえ、相応の魅力もぎゅっと詰め込んでいる。好きな者にはたまらない体つきだ。
「いやぁ、夜の散歩は風情があっていいッスねぇ。しかも今夜は満月じゃないッスか、風流ッスよねぇ……」
「なにが、風流なものですか。女性にこんな格好で出歩かせて。しかも、こ、こんなものまで、着けてっ」
 眉根を寄せ、彼に抗議する。だが頬は、どこかぼんやりと赤らんでいるようにも見えた。
 彼女がこんなものと称したものは、二つある。ひとつは、嵌められた首輪だ。散歩に出発する前、彼が見せつけてきたものだった。逃げ出すのを防ぐためなのだろうが、それにしたってひどい。まるで犬畜生のような扱いだ。あまりにひとを馬鹿にしている。
 そしてもうひとつは、下半身に取り付けられていた。ピンク色の豆状の玩具、いわゆる、ローターと呼ばれる性具だ。無機質な振動でもって四季映姫の性感帯を責め苛んでいる。ぷっくり膨れたクリトリスを、ごくごく微弱な振動でもって嬲り続けるのだ。
「くっ、ふ、ぅ」
 無視はできない、けれども決して気持ちよくもなりきれない。そんな、実にもどかしい性感を与えられ続けていた。今も、腰が何かを求めるように小さく動いていた。
「いいじゃないッスか、似合ってますよ」
「似合っているというのがいつでも褒め言葉になると思ったら大間違いですからね?」
「ありゃ。まあ、何言ったところで無駄ッスよ。四季様は、俺に逆らえないんスもんね、秘密、知られるわけにいかないわけですから」
 ニカッと、邪気のない笑みを向けてくる。苦々しく思いながらも、反論できなかった。
 閻魔という役職と外見ゆえ、四季映姫・ヤマザナドゥを女性として見る者はいない。が、彼女とて女なのだ。性欲を持て余すこともある。というか、厳格な立場に対する反動か、彼女の欲望は根深かった。ならぬならぬと思いながらも、毎晩、自宅で己を慰めてしまう程度には。
 性生活に難儀している四季映姫だったが、その日は本当にどうかしていた。つい、皆が帰った後の職場で、自らを慰めてしまった。そのタイミングで、たまたま彼が、忘れ物をとりに戻ってきたのだ。
 仕事のストレスがたまっていたとか、出来心でとか、そんなのは言い訳にもならない。以来、彼に脅され、肉体関係を要求されている。黙っていてほしければ分かるな? というやつだった。
「く、はぁ、ん」
 ぞく、ぞくっと、体を震わせる。は、はっと、呼吸は浅くなっている。じくじくと下半身を嬲るローターの振動が、誰に見られているかも分からないという状況が、彼女の肉体を昂ぶらせていた。
「っ、は、いいですか、こんな、女性に恥をかかせるようなことは、決して良いことではないのです」
「そうッスね、よくないッスね。だから命令するんじゃないッスか。普通に頼んだって、してもらえねぇから。ほらほら四季様、隠しちゃあダメでしょ。せっかく可愛いカラダしてんだから」
 しれっと、当たり前のように言ってのける。悪びれる様子などまったくない。胸や秘部に回していた腕を、ぐいっと払いのけられる。乳輪はほんのりと淡い桜色で、先端も小さい。けれどもぷっくり膨らんで、自己主張していた。
 やんごとなき裂け目は、綺麗な一本筋を描いている。が、どこか綻びつつある。しかも、明らかに濡れていた。とろとろと蜜を溢れさせては、太腿まで粘液の筋をつくっていた。
「あ、あぁッ、やだ、ぁ」
 見られてしまう。このような、はしたない様を。眉尻が垂れ下がるのが、自分でも分かる。反対に、彼は満面の笑みを浮かべる。非常に良いものを見たので嬉しい、という顔だ。
「いやぁ、やっぱやらしいなぁ、四季様。折角なんで、撮らせてくださいよ。知り合いの河童に頼んで、特別に作ってもらったんスよ、カメラ」
「はッ!? ちょ、ちょっと待ちなさい、そんなっ」
「まあまあ、ほらポーズとって」
 素っ頓狂な声をあげてしまう。男の手には、鴉天狗らが使うような、本格的なカメラが握られていた。拒もうとする四季映姫をよそに、男はファインダーを覗く。すぐに渋い顔になり、顔を外した。
「ちょっと、色気がねッスよ。せっかく撮るのに」
「いや、色気といわれても」
「分かんないんスか? そーだな、じゃあそこの木に手ぇついて、こっちに尻突き出してくださいよ」
「ッ、はぁ!? そんな」
 そんな馬鹿みたいな格好、できるわけがない。まして今は、素っ裸なのだ。あまりにはしたな過ぎる。
 だというのに、腹の奥は、きゅん、と疼きを覚えていた。
「いーでしょ別に。大丈夫、四季様の恥にはなんねぇッスよ。悪いのは、やれっつってる俺でしょ、どう考えても」
「……はぁ……。分かりましたよ、すればいいんでしょう」
 どのみち、秘密を握られている以上、逆らうことはできない。諦めて、言われた通りのポーズを取った。
「うおぉ、すっげ、すっげ」
 大げさな反応だが、実際に彼女の姿は、彼が興奮するだけのものはあった。
 白く儚げな背中を、うっすら輪郭を浮かばせる脊柱管が真っ直ぐに分断している。薄くも柔らかな尻が、全て露わになっている。その狭間で、秘唇がはしたない様を晒しているのだ。
「ん、……」
 後ろから、興奮した視線が浴びせられているのが分かる。むずがゆいような居心地の悪さに、小さく腰がくねる。本当に、居心地が悪かったからというだけなのだろうかと、一瞬自問する。
 下腹からは、とろりと涎が滴っていた。ローターの曖昧な振動が、本当に恨めしかった。
「いやぁ最高。んじゃ撮りますよっと」
 観光写真でも残すような気軽さで、シャッターが切られていく。かしゃッ、かしゃッという機械的な音に合わせて、ストロボが焚かれる。
「はぁッ……」
 己の恥を、浅ましい姿を、全て暴かれるかのように感じる。気づかれないよう、ストロボの音に紛れさせるように、溜息を吐く。ひどく熱い溜息を。彼女は確実に、興奮を覚えていた。己の痴態を記録されるということに。
 こんなのは、閻魔らしからぬ、いけないことだ。でも、逆らえない。命令されている以上は。
「いやあ、よかったッスよ。お陰でオカズには苦労しなさそッスわ」
「貴方という人は……」
 女性に恥をかかせておいて、まったく悪意なくけろりと言ってのける。溜息を吐いた。呆れの溜息だ。
「いやぁ、やばい。もう我慢できねぇ、ちょっとこっち来て下さい」
「わ。ちょ、ちょっと」
 首輪を繋いだリードを持っているはずだというのに、彼はわざわざ四季映姫の手をぐいぐいと引いてくる。着けたのを自分で忘れているのだろう。そのまま強引に、木陰に引きずり込まれた。
「ちょっと、女性はもっと丁寧に扱いなさいっ」
「いや、申し訳ねんスけど、もう限界なんス」
 引っ張られた腕を振り払う。雑な扱いに憤慨する四季映姫だったが、彼はそれどころではないようだった。
 焦がれるような声色で呟きながら、いそいそと、下服の帯を緩める。自らの竿を、おもむろに露出させた。
 姿を現したのは、ずいぶんな長棒だった。二〇センチほどは軽くあるだろうか。ひょろりと長く、そしてカーブを描いていた。
 まるでバナナだ。バナナと違うのは、見た目が全く美味そうではないということか。亀頭は毒々しい躑躅色で、竿にはぐねぐねと血管が這い回っている。根元はふさふさと陰毛が茂り、睾丸が鎮座していた。
「あぁ……ッ」
 ソレが姿を見せた途端、あの匂いが漂った気がした。彼の家に充満していた臭いが。思わず、彼の前に跪くように屈み込んでしまう。
 眼前に、肉棒が現れる。ひくっ、ひくっと、鼻孔が蠢く。間近で嗅ぐに、臭かった。
「ちゃんと身を清めろと、言ったじゃないですか……」
 行水させたはずなのに、それは汗と排泄物と、そして複雑な男の匂いを纏っていた。脳味噌に染みこんでくるような臭気を。嗅いでいると、自分がダメになっていくように感じられる。せめて咎めねばと呟いたが、彼に悪びれる様子はなかった。
「いやぁ、行水すんべってときに、なんか家ん中からエロい声がしはじめたもんで。つまりまあ、四季様のせいッスね」
「な、人のせいにするのですか、おろかもの……」
「ははっ、サァセン」
 まったく、何という奴なのだろうか。確かに、声を殺しきれなかった自分も自分だが。
 けれども――もしかしたらそれで良かったのかもと、思わずにはいられない。結果的にとはいえ、この匂いを嗅げたのだから。もし彼がきちんと行水していたら、すっかり洗い落とされてしまっていただろう。
「それであの、四季様、申し訳ないんスけど。もうそろそろ我慢も限界なんで、しゃぶってもらっていいッスかね」
 鼻孔をヒクつかせながら目線で尋ね返せば、とんでもないことを言う。
 木立の中で多少目立たないとはいえ、屋外であることに変わりはないのだ。裸の女性を連れ回した挙げ句、口淫せよなどと、正気の沙汰ではなかった。
 受け入れるなんて駄目だ。たとえ、うずうずと疼く唇を、軽く噛みしめていたとしても。少なくとも、自分からは。
「断れない立場でしょ? 四季様は」
 ああ、このように命令されてしまっては、仕方ない。
 秘密をばらされるわけには、いかないのだから。
「まったく、こんな汚いものの始末を、女の子にさせるなんて……」
 ぶつぶつと呟かれる文句は、高熱を出したときのうわごとのように、身の入っていないものだった。下品にならないように、がっつかないように、ゆっくり唇を近づけていく。そのまま、そっと触れた。
 ちゅっ、と、小さな音がした。本来なら聞こえるか聞こえないかの、ギリギリの音量だった。けれども、静かな中有の道においては、はっきりと響いた。
「んぅ……」
 その際、四季映姫が漏らした声も、またよく聞こえた。満たされたようでありながら、同時にまったく足りない、とも言っているような、矛盾した声色。一つ言えるのは、ひどく発情した、濡れた声だったということだ。
「ちゅっ、んちゅ、んっ、ん」
 ぷるんとしたリップで何度も口づけていく。そのたびに、ちゅっ、ちゅっと、キッスノイズが響く。
「えぁ――んッ、むぅ、くふぅん……」
 欲深さは罪だ。だが、次第にそれだけでは、満足ができなくなっていく。とうとう口を開き、口腔に迎え入れた。途端、あの臭みが口いっぱいに広がる。ややしょっぱい苦みもだ。
 決して、快いものではない。他人のシモを口に含んでいるのだから当然だ。だというのに四季映姫は、恍惚を表情に浮かべていた。これこれ、と、瞳は語っていた。
「んっ、む、れろ、れる、んふ……ちゅっ、むちゅ、れろぉ」
 ゆっくりと、奉仕を始める。口内で、あざやかなピンク色の舌を動かしていく。長竿全体を、れろっ、れろっと舐め回す。
 舌というのは人体においても特に敏感な器官だ。竿とか棒と呼ばれるわりにはかなり複雑な男根の形を、はっきりと感じられる。雁首から裏筋のあたりが、彼女のお気に入りだった。特に匂いが濃くて、楽しませてくれるからだ。それでも、まだまだ足りなかった。もっともっと欲しいと感じてしまう。過ぎた欲は、悪徳であるのに。
 まあ、これは善行でもある。なんといっても彼に奉仕を求められているのだから。ひとに頼まれたことをこなすのは、間違いなく良いことだ。プラスでマイナスを相殺できる。なにも、問題はない。
「んふゥ、くぷッ、んむ、ッ、くぽ、んちゅっ、くぷ、んふぅ」
 むしろ、もっともっと尽くせば、プラス側に傾けさせることだってできる。だから頭を前後させ、唇で扱き始める。くぽっ、くぽっと、口端から音が響く。弧を描くような肉竿のカーブが唇を刺激し、なんとも心地よかった。
「んくぅん……」
 そうしている間にも、男根が熱を増していく。人の体が、どうしてこれほどまでに熱くなるのだろう。火傷してしまいそうだ。もちろん、本当に火傷するほど熱いのなら、咥えてなどいられまい。だというのに彼女の口は、ソレと一体化してしまったかのように、離れようとしなかった。
「んはッ、ん、ちゅぅう……」
 いったん、口を離す。焼き鳥の最後の一切れを食べるときのように、竿を横向きに咥える。根元に顔全体を埋めるようにスライドさせながら、唇で愛していく。
 当然、鼻筋が陰毛に埋もれる。男性の香りがむわりと漂う。眉尻が情けなく垂れ下がる。臭いのに、嗅ぐのをやめられない。
 もっとも、彼女の目的地は、下腹の密林そのものではなかった。もっと奥で下、すなわち、陰嚢こそがお目当てだ。
「れるっ、れる、れろっ、ちゅっ、ちゅっちゅ、んむ」
「ウォッ、おぉっ、うぉおおッ」
 ぶらぶらとぶら下がるソレに、舌を這わせる。唇でキッスしていく。そうして優しく弄ぶうちに、玉袋はぐつぐつと煮えたぎり始める。
 刺激をトリガーに、作り始めたのだ。あのちり紙に、たっぷりと出されていたものを。
 ときめきを覚えずにはいられない。思わず、密着させる勢いで顔面を埋めてしまう。玉裏の匂いを、すんっ、すんと楽しむ。すっかり、トリップしてしまっていた。
 とんでもないことをしているのは分かっている。生きる者に正しい道を示し、死せる者を裁くべき口を、こんな汚いものを満足させるためだけに使っている。退廃的、冒涜的、反道徳的といっていい行為だ。けれども、やめられない。香りと味は、彼女をすっかり虜にしていた。
 何より――彼に命令されている。秘密を握る、彼に。
 命令されたなら、しょうがない。おかげさまで大手を振って、奉仕し続けられる。
「ん、ん、んぅう」
 可愛らしい両膝はぴったりと閉ざされている。太腿をしきりに擦り合わせていたためだ。その狭間から、くちっ、くちっと、微かな音が聞こえていた。
 大好きな香りと味の前に、彼女は興奮の極致にあった。けれども、自らを慰めるなんてことは、あまりにもはしたない。
「そんなことしてても、四季様満足できないでしょ? おおっぴらに、オナニーしていいんスよ」
「ん、ふ」
「自分からそんなのはできないって? じゃあ、俺の目の前でオナニーしてくださいよ。四季様のやらしいトコ、オカズにしたくなってきたんで」
「んむ……ちゅ、ん、はい」
 彼の気遣いが、本当にありがたく感じられる。命令されたからには仕方ないと、大きく両脚を広げる。
 単に自涜にふけるにしては、不必要にも思える開脚具合だ。だが、必要なことだった。彼がオカズにしたいといったのだから、より淫らな姿を晒さなくてはならない。
 曝け出された淫裂からは、ねっとりとした糸が伝っていた。無垢なる外見でありながら、娼婦のような様を晒している。そのギャップは、どこの誰であろうと魅了するだけのものだった。
 粘液は地面に落ちて、雌臭い染みをつくる。彼女が現状に何を見出しているか、非常に分かりやすく示していた。
「んっ、く、ふ、んぅッ、くぅうん……ッ」
 指をローターに押し当てる。玩具越しに、陰核をこねていく。待ち望んでいたソリッドな性感が訪れる。男根を咥えた喉の奥から、法悦の声が漏れる。
 それだけでは満足できない。もちろん、「彼が」だ。もっともっと卑猥なことをしなくては。
「んッ……!」
 だから、白い指を淫裂に潜り込ませる。既にしとどに濡れそぼっているクレヴァスは、あっさりと異物を受け入れる。
 当然それで終わりではない。狭い肉道を、こね回し始める。肉襞は待ち望んでいた刺激に悦び、きゅうきゅうと指を締め付ける。
「くッ、んッ、んちゅ、くぷ、れろっ、んふッ、んぅッ、くぅううん」
 卑猥に絡みつく己自身を、彼女は指先でめくっていく。甘くもじくじくと響く官能に、柳腰が前後にカクついてしまう。その動きを増幅させるように、自ら腰をくねらせていく。ストリップショーのダンサーのように。
 ああ、でも、流石にコレはダメだ。度を越している。威厳ある楽園担当の閻魔がこんなことをしているなんて知られたら、一体どう思われてしまうだろう?
「いやあ、イイ光景だなぁ。最高ッスよ四季様。もっと見せてくださいよ」
「んぅ……っ」
 最高、という言葉は、皮肉でもお世辞でもないようだった。降り注ぐ目線には、これ以上ないほどの興奮が現れている。
 この行為は、続けるにはあまりにはしたない。けれど、もっと見せろと言われてしまった。言われてしまったからには、仕方ない。くねっ、くねっと、痴態を晒していく。
 四季映姫は、彼に感謝していた。命令という言い訳の下、道徳という鎖から己を解き放ってくれていることに対して。おかげさまで、何も気にせず気持ちよくなれる。
 まあ、だからといって、面と向かってありがとうと伝えるわけにはいかない。あくまで自分は、脅されている立場なのだ。ありがとうなんて言ったら、前提が崩れてしまう。
「んふぅッ、ちゅ、ッ、くぷッ、れろぉお、むちゅ、んふぅッ、くぷ、んぅう」
 だからせめて、態度で示す。むちゅむちゅと、亀頭に何度もキスをして、肉竿をしゃぶりたて、玉を空いた手で優しく弄ぶ。どんな娼婦でもしないくらい情熱的な口淫でもって、男根を悦ばせていく。
 これは、しょうがないことなのだ、職場で淫行にふけっていたことを、言いふらされたら困るのだから。
「あー、すげっ、最高ッス四季様、もう出る、出るッ……!」
 男の声に、焦燥のようなものが混じり始める。口の中の肉棒が、どんどん力強く、かっこよくなっていく。恋してしまいそうなほどに。
 それが何の兆候であるか、四季映姫は知っていた。関係を持つ中で、彼から学んでいた。射精が近いのだ。
 射精。男性が快楽の頂点にいたり、陰茎から精子を吐き出す瞬間。あのちり紙の中にたっぷり含まれていた、鼻が曲がる臭い白濁をだ。
 胸のときめきを、覚えずにはいられなかった。口淫には、いっそう熱意が籠もる。ぢゅるぢゅると、汁っぽい音が口腔から響く。溢れた唾液が顎にまで伝い、地面へと滴る。
 当然だが、別に、射精してほしいと思っているわけではない。なにせ自分は閻魔なのだから。ただ、人がしてほしいと思うことをするというのは、間違いなく善行だ。彼が出したいと思っているなら、手伝ってあげるのは、閻魔として当然の行いではないか?
「おッ、おッ、出るゥ……――ッ!」
「んぷぅッ」
 男が低く呻く。ついにだと、心をときめかせる。
 だというのに、肉竿が力強い脈動を始めるよりも先に、彼は腰を引いてしまった。むぽっと、唇がねっとりした空気音をたてる。ひょっとこのように吸い付いていた状態から、急に男根が引っこ抜けたことで、空気が流れ込んで鳴った音だ。
 素敵な鉄の棒が出て行ってしまったことに惜しさを覚え、眉尻が垂れ下がる。が、悲しいとか、寂しいとか覚える暇はなかった。すぐさま彼が、欲望をブチまけたからだ。
「あ、は、ぁ――ッ」
 切なげながらも満たされた吐息が、喉の奥から漏れた。顔面に向けられた銃口から、灼熱の砲弾が勢いよく放たれ始めたからだ。
 それは物理法則に従って空中を飛び、彼女の顔にべちゃべちゃと着弾していく。あどけなさを残しながらも凜々しい、しかし今は恍惚に潤んだ顔へ。滑らかな肌へ、無数の精虫を孕む汚汁にぶちまけられていく。
「はぁ、あっ、あっ、あぁあ、あつい……」
 女は顔が命という言葉に従えば、これは命を汚されているに等しい。だというのに喉からあがるのは、どうしようもない興奮の溜息だった。
 口が開き、舌が突き出される。顔にかけられているときはこうするもの。本能がそう判断し、行動させていた。
 当然のように、男は自らの魔羅をそちらへ向ける。牡丹色の舌へ、びゅくりびゅくりと白いものが乗せられていく。
「あはぁあ……」
 喉の奥から、潤んだ声が漏れる。にがくて、くさくて、まずい。スペルマは、最悪だ。だというのに、本能はどうしようもないほどソレに惹かれていた。恋する乙女のように、胸がきゅん、きゅんと疼いていた。
「ッ、ぅ、はぁあ……ッ!」
 胸だけではない。その下腹もだ。ぞくぞくと、腰から震えが上ってくる。頭頂に至ると同時に、どうしようもない快感が駆け抜けていく。可愛らしい顔に精液をぶちまけられて、アクメを迎えたのだ。
「ォッ、オオ……ああー、出した、出した」
 惚けた表情で、男が呟く。弧を描く長竿が、脈動を収めていく。射精が終わったのだ。唾液にまみれた陰茎は、どこか誇らしげにみえた。
「んちゅ、ふ」
「ゥオッ、そんなことまで、ォお~ッ」
 何を言われるまでもなく、先端に口づける。ちゅるっ、と、尿道にとどまっていたぶんまで吸い上げる。出されたものを残すのは、よろしくないからだ。
「んぷっ、あはぁ」
 唇を離すころには、顔はすっかり、蕩けきっていた。舌にあの素敵な汁が絡みついている。痺れるようなえぐみがたまらない。
 呼吸をすれば、肺いっぱいにスペルマの臭気が流れ込んでくる。彼の家で嗅いだのとは段違いの、新鮮な精液の匂い。彼女を昂ぶらせてやまなかった。
「さあ、四季様。全部呑んでくださいよ、俺のザーメン」
「ん……」
 こんなものを飲み干せなんて、どうかしている。けれども、やれと言われたからには、仕方が無い。それに、折角自分のために射精していただいたものを、そこらへんに吐いて捨てるなんていうのは、間違いなく悪行だ。閻魔がしていいはずもなかった。
「んっ、ん、んくぅ」
 白濁はひどく粘っこく、ねっとりと絡みついて、なかなか下りていこうとしない。食道にいつまでもへばりつこうとしているかのようだった。たまらなく素敵なことに感じられた。
 一分ほどもかけて、ようやく、口内の全てを呑み終える。けぷぅと、品のない音が喉から鳴った。精液くさいげっぷだった。
「いや、最高でしたよ四季様。んじゃ、さっきみたいなポーズ、してもらっていいッスか。フェラのお返しに、すっげーイイコト、してあげますよ」
「さっきみたいな、ポーズって。イイコトって、そんなの」
 そんなのは、すばらしすぎる――いやいや違う、そんなのは、いけないことだ。
 イイコトというのが、何を意味するかは分かる。快楽を貪るための性行為なんて、認めていいわけがない。
「いやいや、四季様は、俺に逆らえない立場ッスよね?」
 ああ、ならば、仕方ない。
 もはや返事をすることもなかった。官能にふらつく膝に鞭打ちながら、近くの木に手をつき、彼に向けて腰を突き出す。
 興奮に紅潮するぷりんとした尻、やんごとなき裂け目が、再び異性の目にさらされる。先ほど同じ姿勢になったときとは、比べものにならないほど濡れていた。しとどに涎を垂らす様は、とても閻魔のそことは思えないほどだ。
「いやぁ、エロいなぁ。こんなエロい人を上司にもててよかったなぁ」
「ほんとうに、あなたときたら、私のようなちんちくりんに、猿みたいに欲情して、っ、あ、ッ、は、あぁ……ッ」
 男はウキウキと呟きながら、彼女の秘部に触れる。ごつごつとした指が、陰唇をなぞる。ぬぷ……と、優しく忍び込んで、探るように中を擦ってくる。腹側の、ざらざらとした天井、一番好きなところをだ。
「やっ、あ、あんっ、は、あぅっ、はぁッ、あぁあっ」
 激しくもなんともない、挨拶程度の愛撫だというのに、膝がカクついてしまう。はしたない声を抑えられない。ぬちゅっ、ぬちゅっと粘っこい音がするのは、陰唇が彼を求めしゃぶりたてているからだ。
 もう、こんなことをされては、どうにもならない。
 ほしい。
「あッ、は、あ、いいですか、こんな、女性に恥を、かかせるようなことは、決して良いことではッ、ないのです。……ッ、ですから、はやくぅ……っ!」
 彼を振り返る瞳は、潤み、熱っぽいものになっていた。はやく、の先を口にすることは、立場上、決して許されない。けれども、アホである彼にも、十分伝わったようだった。
「もちろんッスよ、任せてくださいよ、四季様」
「ッあ……」
 指が引き抜かれる。異物が出て行って、もとの状態に戻ったはずだというのに、膣肉はどうしようもない寂しさを覚えている。
「は、あッ、あッ」
 切なさに、腰が上下する。宥めるように、素敵なものが触れた。熱くて、硬くて、長くて、大きい、あの大好きな汁を出してくれる、力強い雄の象徴。
 彼はゴムをつけていなかった。押し当てられているのは、熱い生のモノだ。当たり前のように、避妊具なしで性交しようとしているのだ。
 四季映姫は、むしろそうあるべきと感じていた。性交とは本来、生殖を目的として行われる神聖な行為。快楽のために交わるのは浅ましいことで、避妊具をつけたりや膣外射精したりというのは、もっとも忌むべき行いといえる。
 閻魔に認められる性交は、たっぷりと膣内に出すセックスに他ならない。これから彼の、熱い欲望を、腹の奥で受け止めるのだ。
 そう思うだけで、いても立ってもいられなかった。ぞくぞくと上ってくる恍惚が、顔をだらしなく崩れさせた。
「ああもう、ほんとエロい人だなぁ……!」
 堪えがたいというように、彼は呟く。明らかに、欲情している
 こんなちんちくりんに欲情するなんて、全く信じられないことだ。他の者たちは、流石に幼すぎるからと、忌避するのに。
 だから彼を、どれだけだらしなくたって、放り出せないのだ。
「あ、きて――あ、あぁあああッ!」
 衝動のままに、腰が突き出された。長竿が、四季映姫の狭穴を押し広げ、一息で奥まで埋める。カーブを描く幹が、膣肉をごりごりと抉っていく。ぞりぞりぞりっと、肉襞はその感触でもって男根を悦ばせた。
 小柄なぶん、彼女の体はどこもかしこも神経が集中している。それはつまり、最も敏感な部位が、輪をかけて敏感になっているということだ。目の裏が、びりびりと白熱するようだった。焼けた鉄の棒のごときモノをねじ込まれれ、一瞬意識すらトんだが、それも当然のことといえた。
「うぉお、相変わらず、相変わらずマジで……ッ」
 どうしようもないほどにぬめり、きつくも柔らかく絡みつく膣穴は、厳格の極みたる閻魔らしからぬ名器だ。どんな男であっても、夢中にならずにはいられないほどだ。
 関係を続けてきた彼であっても、同じことだった。もう夢中だ。低く唸るような声をあげながら、ぐりっ、ぐりっと、腰を押し出してくる。一番奥を、硬い亀頭が刺激する。
「アッ、はひッ、はッ、あ、あぁあッ」
 脳味噌の裏側を、直接愛撫されているかのようだ。痺れるような快感に、太腿が痙攣する。木にもたれかかっていなければ、間違いなく崩れ落ちてしまっていただろう。
「ッは、ウォッ、オオオッ」
「あぁッ! は、ッ、ひッ、は、あぁ、ああぁんッ!」
 ねっとりと締め付けてくる狭穴の感触が、よほどたまらなかったのだろう。彼は間髪を入れず、抽送を開始する。大きくしゃくり上げるような、勢いあるストロークだ。
 ぱんッ、ぱんッと、破裂音が宵の静けさを裂く。肉と肉がぶつかり合う、小気味よいピストンノイズだ。ぬぢゅッ、ぶぢゅっという合いの手は、膣穴が男根をしゃぶり立てることによって鳴っている。結合部は熱い女の汁をまき散らして、地面に濃厚な染みを作っていく。
「ふぁあっ……あ、はッ、あぁあ! んぁッ、は、あぁ、あーッ!」
 突き込まれ、引き抜かれるたびに、夜だというのに世界が白く光る。蕩けきった嬌声が続く。地獄の最高裁判長、四季映姫・ヤマザナドゥの声だとは、誰も思うまい。それくらい、色情に支配された、卑猥な声だった。
 膝がカクつくのを押えられない。筋肉はランダムに収縮して、全身をがくがくと震わせている。小さな身体で受け止めるには、快楽の総量は大きすぎた。もはや、まともに立っていられるわけもない。
 崩れかけた柳腰を、男がぐっと両腕で掴み、支える。おかげで、無様に地面に倒れ込むことはなかった。
 同時に、悟る。このように抱えられてしまっては、万一にも逃げられない。もはや自分には、彼が射精するまで、はしたなく喘がされる道しか残っていない。いやらしいところを、いやらしいところで、たっぷりほじくり返されるのだ。
「嗚呼……ッ」
 はやくそうして欲しいというように、彼女の腰がくねった。
 願う通りに、ことは進む。抽送は一層激しくなる。抱えていなければ、突き飛ばされてしまいそうな勢いだった。
「ッ、はぁああッ! あッ、くッ、ひッ、はッ、あぁああ!」
 ごりゅんッ、ごりゅんッと、一突きごとにえげつない音が体内から聞こえる。硬い肉の棒で自らのヴァギナが拡張され、彼の形に造り替えられていくのが分かる。
 彼以外のモノを受け付けないカラダに、造り替えられていっている。全く痛くはなく、むしろ思考が吹き飛ぶ快楽が襲いかかってくる。夢中になって、ほじくられる悦びに酔いしれる。秘肉はすっかりペニスの形を覚え込み、大好きだといってしゃぶりついていた。
 そんな風に交わりながらにして、彼女はなおも満足していなかった。なんだか、自分ばかりが気持ちよくなっている気がする。性交とは相互に高め合う行いなのだから、自分も彼を気持ちよくしてあげなくてはいけない。
「ッ、は、あはぁッ、もっと、もっとぉっ、あぁッ、ああ!」
 そのために、腰をくねらせはじめる。はしたなくも淫らに、柳腰を踊らせていく。ピストンに合わせるように、さらなる快楽をねだるように。
「くっそ、なんっつー、エロい、人だよッ……!」
 そのような奉仕は、男を深く感じ入らせたようだった。膣内で、肉棒がいっそう硬く膨れ上がり、熱を増す。どろどろと、カラダの中で融解してしまいそうな勢いだ。
 体内が快楽のスープになって、どうにか皮一枚で人の形を保っているような錯覚を覚える。すっかり官能の生物になってしまった四季映姫に、彼はとどめをさしにいく。
「ッひッ、は、あぁッ、ああッ、そんな、あ、あ、あ、あぁああ……ッ!」
 抽送が、奥のあたりを狙った、小刻みなものになる。亀頭が、執拗に奥の奥を小突いてくる。
 勢いとしては、先ほどのほうが強かったのだろう。だが彼女の感じようは、今のほうが甚だしい。なんといっても、女性の最も敏感な穴の、最も敏感な部位、子宮の入口を集中砲火されているのだ。雄の象徴で女の象徴をそのように嬲られて、蕩けないでいられる者はいない。もはや四季映姫は、すっかり正体をなくしていた。
「ああ、くそッ、出ます四季様ッ。中に出しますよッ!」
 彼が、低く唸る。ぎりぎりのところで堪えているのが、よく分かる声だった。
 無責任に何も言わずぶっ放してしまえばいいのに、いちいちそうして宣言してくれる。おかげで、大手を振って、思い切り気持ちよくなれる。なんといっても、彼が言った以上、自分は逆らえないのだから。
「あはっ、お願いします。私の中に、お腹の中にいっぱい出してっ。貴方の精液ください、ッ、あ、はッ……中出しで、中出しでイかせてぇえっ!」
 懇願と同時に、解放感が全身を駆け抜ける。閻魔という鎖から解き放たれてのおねだりは、どうしようもなくよかった。
「もちろんッ……、お、おおおおおッ!」
 そんな彼女を、彼はさらによくする。肉棒が亀頭と密着する。同時に、子種が放たれた。
 力強く、格好よく、肉棒が脈動する。鈴口からどくどくと、熱いものが注がれていく。ヘドロのように臭くて粘っこく、マグマのように熱い、素敵で素晴らしい汁。無数の精虫が彼女の中で泳ぎ回っていく。小さなカラダに、快楽を刻みつけていく。
「ッ、は、あ、あ、あ、――あぁあああああああッ!」
 そんなふうにされたら、もう逃げ道などなかった。圧倒的な快楽に押し潰されて、彼女は絶頂に達する。全身を痙攣させ、結合部から愛蜜が噴き出す。指先が木の皮を、カリカリとひっかく。
 目は見開かれながらにして、何も見てはいなかった。子宮からこみ上げた快楽信号が、脳味噌で処理できる量を超えており、全身に逆流する。視神経にまで響いており、目の裏で火花を散らしていた。性感がスパークする幻想的な様を、ろくにものを考えることもできないまま、彼女は見つめていた。
「あぁッ、ああ、あああ……ッ」
 どくッ、どくッと、体の中が、熱いものでいっぱいになっていく。閻魔という立場に絡め取られ、飢えていた己が満たされていくのを感じていた。
「はぁッ、はぁ、はあ……ああ、もーダメ、もー無理、打ち止めェ……」
「ふ、は、あ、はぁあ……っ」
 やがて、男根が引き抜かれる。すっかり男根の形になってしまった穴は、閉じようとせず、いつまでもヒクついていた。
 二人とも、全身汗まみれだった。肩で呼吸し、全身からぐったりと力を抜く。しばらく、動けそうもなかった。
「いや、四季様、最高でしたよ、マジで」
 熱に浮かされたような声で、彼が感想を述べる。浄玻璃の鏡を使うまでもなく、本心からの言葉なのが伝わった。
 返事をする余裕もなく、地べたに座り込む。度を越した快楽に、すっかり腰が抜けてしまっている。立ってなど、いられるわけもなかった。
「あのぉ、四季様、お疲れのとこ申し訳ないんスけど」
 申し訳なげな声とともに、眼前に、ぶらりと突き出されるモノがある。魔羅だ。まさに今、たっぷり出したばかりであるはずなのに、まったく萎えていない。表面は、精液と愛液とでどろどろになっていた。
「貴方は、あれだけ出したのに、まだこんなに……欲深すぎます、まったく」
 呆れずにはいられなかった。こんな性欲の持ち主、彼岸には彼くらいしかいないだろう。閻魔であり、ちんちくりんの体である自分を、満足させてくれる男も。
「きちんと、清めないと……汚いままなんて、いけないことですから……んっ、ちゅ」
「う、ぉッ、お、うぉッ、響くゥッ」
 ゆっくりと、舌を這わせ始める。れろっ、れろっと、自分を気持ちよくしてくれたモノを舐め回していく。ぞくぞくと、彼は腰を震わせる。例のカメラを撮りだして、口淫奉仕の様を写真に残していく。
 もっと撮ればいい。ゆする材料をたくさん集めて、何度でも脅せばいい。そうして、もっと私に言うことを聞かせて、いっぱい、自由に感じさせてほしい――。
 次は何をしてくれるのか、楽しみにしながら、四季映姫は肉棒に尽くし続けた。
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喚く狂人
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