真・東方夜伽話

永遠の手痛い愛も、それは止まることなく①

2019/07/25 04:14:07
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永遠の手痛い愛も、それは止まることなく①

みこう悠長
§ § §


 獲物を追い詰めたとも想い人の夜這いを受けたとも取れる綯い交ぜな表情でその前に立つ蓬莱山輝夜が傾国を誘う程の美貌を持ちながらも、黴臭く、泥を跳ね、中には地虫の蠢きも混じる汚穢がその身に降りかかり豪奢に鮮やぐ絹衣を酷く汚すことを欠片ほどにも気にしない様子であったのは、かの月姫にとってそれはまこと取るに足らないことであったからに違いないのであった;それをそうさせるのは彼女の妖惑な容を艶に彩らせる眼前のFleshStatueが、もう三日三晩目であるというのに未だ衰えぬ様子でぎらぎらと使い込み磨き整えられたナイフの|刃縁《エッヂ》の如き眼光を向け怨嗟と血を吐きながら月姫自らを呪ってくるからに外ならない。

「きれいよ、妹紅」

 そんな風に、己へ怨嗟をまき散らす立像をしかし、うつとりと夢を夢見恋に恋焦がれる年頃の娘はさもありなん。剰えこの天女も恥じ入らんばかりの美媛である;そのような表情で視線を刺され心持ちを穏やかにしていられる男などあろう筈もなく、もっと言うなればこの女をこの様に流血を伴う惨たらしい立像に仕立てたのもまたこの月狂いの姫君であったのだ;磔にされ今尚血と涎と恨み言を零し続ける真白の娘にとってArtemisの色香はたといそれが傾国だろうが絶世だろうが意味を持たぬものの筈である。その具合は蓬莱山輝夜にとって十重二十重にと纏う極楽色の衣が泥に汚れるのも些末事であることと全く対偶にあって、残酷なコントラストを月影の下に描き出していた。

「こ……し、やる」

 楔られ吊られた手足に力なくぶら下がるのは藤原妹紅と謂うその人、水死体とも思ゆ硝白、奥の血肉を透く様が磔の痛々しさを物語るが、それは少し早とちりと言うもの;かの娘の透け過ぎる白肌は生まれもってのものであるし、何より藤原の娘、血と汁を怨嗟のまにまに吐き出しながらこの様に痛々しい姿におかれ蠅がたかりようよう腐り進んで崩れていく様、死んでいないだけの死体のようにも思えるが、実のところそんなものとは無縁、即ち不老不死というアレである。かような姿もこれを死終に追いやるようなことはこれっぽちもないことなのだ、同情こそするだけ損というものである;むしろ、それを愉しんでやるべき、そう行動に移したのが月狂の姫君の方なのやもしれない。
 それはそれとして、この様な腐っていないだけの死体をしてこれを綺麗と曰う、寧ろ自らこそがこの世のものとは思えぬ美貌の姫は、どうしてなのだろうと思うことだろうが、ヤレ/\天は二物を与えずとは誰が吹いた|法螺《デマゴヲグ》、不老不死のこの娘、不死身の上になかなかどうして美人、それこそ月姫の目を奪う程度には美麗であり、その妖しさを醸し出すのは先に見た丁度二日目くらいの土左衛門みたいな半透明の白肌と、目映く照る紅玉瞳、噛み潰して血塗れかと見える鮮やかな脣の艶;それらを一抱きにする鼻筋のすらり通った卵形の輪郭、流れる髪も所々に血糊をべつとり乗せてはいるが銀糸が束なり風に揺る様は瀟洒、今は虐げられ萎れているが立てばすっと高い丈は書家の書く縦一文字の如くでしかも抱けば折れそうに華奢であり、その一見不気味に聞こえる共存。それをこそこの月姫は、こう言ったのである:きれい、と。
 常人には判じ得ぬ不可解な美解釈かと思われようが否そのようなことはない、満月を肩に乗せ密竹林の屏風を背負いしかしそこだけを漂白して壊してしまった台無しの絵画のように異様な存在感を放つ生真白の娘は、誰が見ても男を取って喰う類の物の怪と思うだろう程に不気味に美しい;しかもそれが磔縛り付けられ痛嫐られているとなれば|好事家《サヂスト》でなくともむく/\と起き上がる欲情を隠せるものではないし、不幸でありまたより幸運なことに、蓬莱山輝夜は|加虐性好癖《サヂズム》に理解がある上実践も出来る変態の、冠にドが付くやつなのだ。

「|佳《い》い貌よ、ゾク/\するワ」
「変態、がっ……こんな、物、燃やして」
「無理よ、これは最初から燃えた後の物で出来た特別製の拘束具なの。もうこれを幾ら焼べてもこの物体は|燃能精《フロギストン》を抜き取った後、火を吐く力が残っていないのよ。」
「炭が、こんなに固いものか。出鱈目を言って騙そうとしても、無駄だ」
「月では|不燃炭素《チル・カーボン》はポピュラーな防火素材なのだけど、妹紅が信じられないのも無理はないかしら、まァやってご覧なさいな」

 輝夜姫は客人でも招き入れるように、だが多分に慇懃な素振りで手を差しながら一歩引き藤原の娘へ|無原点火《ファイアスタート》を促すが、はてその藤原自身何かしようとするでもなく苦虫を噛み潰した顔をして未だただ輝夜の目を睨みつけるばかり。先に、〝燃やして〟と吐いた口は唇を噛んだまま歪んだ横一文字に閉じられていて、かといって手も足も出ない;何かをする様子はないのだから、この様子を見た輝夜姫はと言えばそれは愉快そうに嗤い出した訳である。

「あゝ、そういうこと。見ていなかったのが残念だわ。人が悪足掻きをするときの様子は、それは気持ちのいいものだもの、いい物を見逃したわ」
「永遠にこのまゝに、するつもりか」
「まぁさか。私がすっかり悦しんだら、きつぱり解放してあげる」

 悦しむって何をだ:藤原が絡め捕られすっかりと自由を封じられた腕を足を躯全体を激しく揺さぶって拘束を解こうと暴れるが、輝夜姫は勿論藤原の娘自身さえそんなことでこの縄緊縛がどうにかできるだなどとは思っていない様で、輝夜姫はそれをただにや/\笑いで眺めている;藤原も動きの割には徒に激しいだけで結びを意識したそれとは全く思えないので、ははあ、ならばこれはお互いに意識はせずとも心中奥底どこか細い線同士の接続によってもたらされる未必の合意があってのプレイなのだと見えた。

「殺してやる、地獄の底で尚焼き尽くして永遠に灰にしてやる。畜生、なんて言葉も輝夜、手前には貴過ぎる、嗚、口惜しい」
「あらゝ、妹紅、あなた自分の置かれてる状況、おわかりか知ら? 殺してやる、なんてナンセンス、今あなたが言えるのはせめて、こうでしょう?:〝いっそ殺せ〟。まァそれも無理だけど。うふふ」

 |無原点火《ファイアスタート》の余力さえ無く只死に切らぬだけの普通の人間でしかなくなっている藤原の、身動き出来ず歯噛みして自らを睨みつける様を眺めて輝夜姫がにや/\と嗤いながらその距離を縮めていく度に、藤原の表情はより強く敵愾心の色を強め、やがて鼻先が触れるほどまで顔が近づく頃にはまるで猛獣のように犬歯を剥いてそれこそ人間の尊厳も擲って月姫へ噛付きそうな勢いとなったが、しかしそれは彼女のプライドと信念を突き破って今にも内奥より顔を出そさんとする何か別の奔流をいかにか塗り潰してすっかり隠蔽したい、そうでなければ揺らいでしまうと思う不安が招いた反動に相違ないのであった。

「何をする気だキチガイ女」
「何もしないわ。」
「なに?」
「何もしないってゆっているの」

 輝夜姫の最後の一言がそっと置かれる様、寧ろ藤原の耳朶はその殺意の矛先によって湿らされたのを、藤原は羽虫でも止まったときに首を肩を動かして忌々しく振り払うようにして黒壇糸の髪を流す禍女を離したが、手も足も捕まえられた白熱姫には濡れた自分の耳を拭うことさえ出来ず、虚しく舌打ちをして相手を睨むばかり。

「明日、また来てあげる。すぐに、判るわよ、私の考えていること。これは隠事やサプライズなんかじゃあないの、早く判った方が愉快なのだわ、でも私の口から言うのは無粋、妹紅が自ら悟ってしまうのが、肝腎なのよ。」
「だったら目を瞑って耳を塞ぎ何も察さずに過ごしてやる」
「どうぞ、出来るものなら是非どうぞ、ふふ。それはそれで、愉快なことなのだから」

 また明日、確かにそう云った月姫の言葉を聞き《《てつきり》》この場を去るものだとばかり思っていた|藤原《中臣騙り》の娘は、だがそうではないらしい事、それにその手が想像よりもよほどに下衆な動きを見せそして近づ自らの体に触れたことに、隠そうともしないあからさまな嫌悪感を顔に貼り付けたまま、蓬莱山を睨みつけた。
 その蓬莱山は身動きのままならぬ藤原の顎を指でなぞり、喉元そして胸元へ下ろした白い手でブラウスの合わせを解いてからするりとその間に滑り込ませ、輝夜姫自身のものと比べれば幾らか薄いもののそれでも柔らかく指が埋まる形の整った胸からサラシをびり/\と破り取り、その通り柔肉に指を埋めた:とても、強く。

「て、め、辱める気か」

 その握りは相当に強いらしい、藤原の娘の胸は元の半球形を想像出来ないほどにひしゃげ、指と指の間からはまるで葛餅が押し出されかけているかのように肉が溢れていて痛々しいのだが、そんな、愛撫とはほど遠く加虐でさえある仕打ちにしかし被る娘はそれを立派な性的行為であると認識しているらしく、その証拠にか、虐す輝夜姫を親の敵のように―正にそれであるのだが―睨みつける一方で、その頬がやけに朱に過ぎるのが、怒りや憎しみばかりであるようには見えなかった。
 輝夜姫の爪は、山婆の様に長くしかし山婆それよりも遙かに均整に伸びておりそれが元よりほっそりとした白い指に妙を更にすらりと伸ばし美しさと危うさを増しているのだが、それは月の都で高貴な女性にのみ許された文化なのだと謂う。弁柄よりも尚紅な鮮色で漆のように艶もある塗りに細緻な図画を書き込むという奇妙な装飾が施された爪、その|異国有情《エキゾチク》な妖艶は、手先から夜の黒闇へGouacheが滲み出ているかのように艶を及ぼしている。その装飾した真紅の爪先が藤原の柔肌にぐゐと刺さり込み真白の肌が破れて血が漏れると、その血色は|爪先化粧《マニキア》に劣らぬほど紅いものでまるで爪自身がそれを求めて吸おうとしているかのようにも見える。輝夜姫の藤原乳虐はまるで|吸血紳士《ドラクラ》の戯れのようでさえあるが、それはけだし、藤原の頬が朱く染まっているのがまたそう思わせるのであろう。

「ああ、|好《い》い貌をするじゃない、こんな仕打ちに、ねえ妹紅?」
「何が、いいかお、だっ、いい加減にしろ、オレの胸が憎いなら、そのまま毟り取ればいいだろう、中途半端に潰しやがって」
「憎い? 何が憎いですって? 莫迦も休み/\言って頂戴、その逆に決まっているじゃない?」
「気狂い……がっ」
「あらぁ、そんなこと言って、こんな可愛い表情で見つめられたら堪らないわ。切ないんでしょう?こんな風に、されて……ッ!」

 輝夜姫はがより一層に力を込めると破れる皮膚の箇所は増えてより多くの血液が溢れ出、その赤色の滴る様は痛々しいほど。そうされる藤原は目を強く閉め絞り眉を顰め歯を食いしばってはいるが、そうして堪えるのは恐らくは痛みばかりではないのだ、頬を彩る朱はより鮮やいで藤原の表情をより艶めかしいものへと押し上げている。輝夜姫は愛玩を見る眼差しに仄かな切なさを上乗せして、藤原の娘へそれを呉れている。

「堪ンない!」

 はつと瞬く間、押し込まれた蛇腹が跳ね伸びるように月姫の体は磔にある藤原へ寄ってその|唇を吸った《キス》。藤原は月姫の柘榴じみた赤く潤い張る|唇を噛千切り毟り取っ《キス》た肉片を地面へ吐き捨てそれに応えたが、輝夜姫がそれにはこれぽちも動じぬまま更に欠けた|唇を押し付け《キス、》て妹紅の|口蓋を割って《キス、》|舌を刺し込み《キス、》|唾液を吸って《キス、》|混ぜ送り返すと《キス》、血も交じる輝夜姫の|口移し《キス》から逃れるように口を離して自由になった口から藤原が漏らしたのは黒い呪言などではなく、形だけは怨嗟の姿をしたその実甘く桃色に染まった喘ぎであった。

「死んで、しまえ……っ」

 漸くに離れた輝夜姫の口唇を憎々しくもどこか惜しむように見る藤原;その口に陵辱され息継ぎのままならない故に荒くれた息は今は激しいが、呼気の不足だけではなく興奮のもたらす過燃によって浅く、細かく、艶めいていた。ぷっ、と藤原が輝夜姫の、やはり同じく朱の差す顔に向けて吹きかけた唾を、彼女は指で導き舌を伸ばし舐めずって自らの口へ運び嚥下;そうした乱暴な行為とそれに高まる妹紅の姿を見、蓬莱山もまた興奮しているのだ。

「おいし。もこの、味」
「気色……わりい、んだよ、クサレ女。これだから『やんごとなきおかた』の思考回路にはついていけねえ、」
「なぁにをゆっているの、妹紅? あなた、藤原、なのよ? 棄てられても、逃げ出しても、千年経っても、あなたの体に巡るのは、その『やんごとなき』藤原の血。それにこれから『わたしのもの』になるのなら、ここだけじゃなく月においても皇帝の姻戚;高貴な身分になるのじゃなぁい、ね、もこ♪」
「反吐がでる」
「もこの反吐なら全部のむ♥」
「死ね、マジで死ね」

 噛み千切られ欠けた唇は草木の生長を早回しする映像のように不自然な光景を以てすっかり元通りになっており、これこそが輝夜姫そして藤原の娘の不老不死たる片鱗である;だがその本質は死なぬことに非ずして死しても間もなく復活するものであり驚異的な治癒能力も副次的なものでしかない。この様子でもう先年も二千年も二人いがみ合いながら殆ど停止したような時の中で生きているのだが、永劫の中を真の意味で停滞しているわけでは、決して、なかった;でなければどうして憎しみを覚える相手からこの様にえげつない行為をされて、その反発を口先だけの物に出来ようか。二人の間には毒吐き合う口謂と、殺し合う行為と、求め合う好意が綯い交ぜに介在し、その自覚は薄いようではあるが確かに歪な凹凸は噛み合っているようにも見えのである。上衣を襤褸にされサラシも破られ肌けた上半身を夜と情に震わせ磔になっている藤原を、蓬莱山はまるで高価な絵画でも品定めするように、一歩二歩と引いて画角を取ってはくね/\体を捻って宍像の佇まいを眺める。

「じゃあね、明日、また」
「……っ」

 宝物を土に埋めて(それを探してもいない)大人の目から隠そうとする子供みたいに邪気のない笑み、逆に恐ろしく背筋を凍らせる藤原だが何をされるのかという期待も混じっているのだ;その証拠に今はもう口汚い罵りは形を潜めて代わりに出るのは加熱された吐息ばかりになっていた。



§ § §



「おとうさま!」
「あつ、いけません!」

 女官の制止を振り切って、幼子は〝おとうさま〟を追いかけた。
 幼い娘には政治はわからぬ、それどころかたつた二人の掛け替えのない両親の真意すらわかりはしない;齢十にも満たぬだろうか、幼さの残るという言葉は適切ではない:その娘はその言葉さえ生易しいほどに、世を知らな過ぎた。幼いこともあるが、それ以上になまじっか恵まれ閉ざされたこの環境は、経験から知識を得ていくには狭すぎた。

「おとうさま」

 父親を呼びながら少女は遠ざかるその背中を追う、幼い足にはこれほどの距離も縮まろうとは見えない。子供とは残酷なものだ:余程に手痛い裏切りをそれがそうだと認識するように与えられたりしない限りは〝無償の愛のその逆〟を親に見出死届かぬ腕を伸ばし続ける;いずれ自分が疎まれているのだということを知る頃には身も心も、すっかりと襤褸に成り果てているのだから。分別のある頃には理解出来よう言外:それは親の方とてそれで理解できていると思っているのだから余計に性悪だ:それを、子供は読み取り分別し対応することが出来ない;むしろそれでも自分を可愛がってくれるものだという悲劇的な滑稽が、幼子には取り憑いているものなのだから―絶望しないことに悲劇を感じなくなるのに、少女はその先随分長い時間を必要とすることになる。
 《《おとうさま》》と呼ばれた男:金襴豪奢な飾り衣、大層に高級な衣装を引き摺って歩いていた貴族は、足を止めた。少女は自分の声が聞き入れられたのだと感じて顔を晴らして手を伸ばし、その方へ走り寄ろうとする;無論そんな筈もないのだが。
 女官の言葉を聞いて男は苦々しい表情を隠そうともせずに幼い娘を睨み付けた。

「なぜ野良犬の児が好き勝手に屋敷を歩き回っておる」

 男の周囲を守護するように幾人も立つ男の内一人に女の首根っこを掴まれて持ち上げられるまでは、少女は|その男《父親》の言葉が自分のことを指しているとはつゆとも思わなかったのだろう;下男のことを全く持って警戒することもなくあっさりと捕まり、遠ざかった部屋に放り込まれて襖を閉ざされた。襖は特別設えで、錠前が施されていた。簡素なものだ、それに襖を蹴破って出ようものなら叱りつけられる;だが子供相手にはそれで十分だった。

「おとうさま!」

 襖の内側に封じられた幼い娘は、襖を破ったりするような粗相はしないままに、だが必死な声で父を呼び縋った;信じているのだ、まだ自分は父親の娘で、自分が父親を求めているのと同じように父親も自分を愛してくれるものだと;だが返事はない。男はこの場所へ、娘に合うためにやって来た訳ではなく、単に用事の途中で通りがかっただけに過ぎない。
 柔らかな座敷牢をしばらく通り過ぎた後、男は女官を呼びつけた。

「お前が出したのか」
「申し訳ありません、御身がお出で遊ばされるとは」

 娘を部屋から開放していた女官は、床に伏して男に頭を垂れた。だがどこか服従の意思を感じられない平伏だ、言葉に従い逆らう様子を見せないにせよ。その証拠に、女官の伏した顔には恭順の表情は貼り付いてはいなかった;顔を伏した状態からではそれはわからないことだったが。

「まあいい。《《あれ》》をどう扱ったものか、まだ決まっておらぬ」
「〝天恵あり〟と占出されれば、まかり間違っても《《処分》》などあってはならぬことです」
「わかっている、だからお前に任せているのだ;そうとはならなかった時、処分はお前に任せる。汚れが我に降り掛かってはかなわぬからな」
(……この都こそ穢の掃き溜めだというのに)

 女官はそれを口に出すような愚かな真似をすることなく、伏したまま男が去るのを待った。



§ § §



「輝夜、判ったぞ手前ぇ、こいつでオレを」

 翌日朝になって輝夜姫が再び現れたその姿を認めるなり藤原が彼女なりの偽悪なドス声で自分がこれからどうされるのかをすっかり知ったことを叩きつけたのは、輝夜姫の企みが藤原の想像を超える巫山戯た悪趣味であったからだ;なんせ昨夜には失せかけていた殺意に憎しみがしかし再び姿をはっきりと藤原妹紅の中の中に復活していたのだ:彼女自身がそうであるように。

「わかって呉れた?そういうこと、そういうことなの♪」
「悪趣味にも程がある、弱竹の姫が聞いて呆れるな」
「私が名乗ったわけじゃないからね、それ。歴史定着させた慧音先生にゆって?」

 輝夜姫の居城たる永遠亭は、博麗神社が幻想と現実の境界に横たわるように位置するのと同様、須諛と永劫の境目にてその紐帯を成す命名空間に建設された半現実半理論の建造物である;その存在は元月女帝蓬莱山輝夜の流刑を追い共にこの地へ流れてきた家臣八意永琳の手によって維持されていた。そうして管理されているのはこの無限面積を重畳した小さな平屋建家屋の他にこの鬱蒼たる竹林も含まれており、然るにここは永遠亭基八意永琳並びに蓬莱山輝夜の息がかかった全く自然の摂理を保つ蓋然性を失った、竹林なのである。
 藤原妹紅が足下から長く延びた幾本かのそれの内一本が丁度磔にされた体の軸の丁度真ん中に有ることに気付いたのは、明け方になり朝霧と肌寒い空気が立ち籠める中に笹と落ち葉を分けて姿を現すそれが白じんだ光に照らされて見えるようになって漸くのことであった:4日目の事である。
 いいさ、この妙な鎖でなくただの草なら燃やしてしまえば:そう思って火を放ったのだが灰になっても灰になってもそれは新しく元の姿を取り戻すように生えてくる、まるで輝夜姫の体のように不朽に執拗に妹紅の体に迫るのは、筍であった。このままこの筍が真直ぐに伸びたならそれは間違いなく藤原の体を下から貫いて天を目指すだろう;輝夜姫はそれを狙ってこの様に藤原を不燃物質の拘束具を用いてまでここに磔ているのであろうが、腑に落ちないのはこの筍の奇妙な性質:火の娘が幾ら無原点火≪ファイアスタート≫に晒して燃やしてもも同じ場所に新しく芽が生えてきて瞬く間にすっかり元の姿に戻ることだった。

「知っている? 竹林って一本の竹で出来ているのよ。あそこの竹も、こっちの竹も、この竹も、全部地下で繋がってて、指の一本とか、足の一本とか、そういうのと同じなのだって。勿論、もこの足下から顔を出してるその可愛い子もね。まるで、そうねまるで、竹林の《《アレ》》みたいじゃあ、なあい?」

 蓬莱山輝夜が傍にある竹の一本に触れその白い手で包むように握っては上下にさすり撫でるのを藤原が汚いものでも見るようなしかしどこか熱のこもった目で見ているのは、人差し指と親指で作った輪を強調するようにする輝夜姫の手の上下運動が男性器を握り扱く手の動きにも似ていたからだ;足下から生える筍も輝夜の手が撫でている竹も一体なのだとすれば、輝夜のあのようなやらしい手付きが足下の筍を撫で回しているのも同じなのだと妹紅は思わされてしまう。そして、足下の筍はまさにそれを目的に配置されていた。

「この竹、何なんだ。燃やしても燃やしても元通りに生えて来やがる」

 そうなのだ、妹紅はこの竹を昨晩一夜の間にもう五度も六度も灰にしているのだが数十分の間ににょき/\と生え直しては同じ姿に戻り成長を続けようとする上、やたらと燃えにくいものだから無駄に消耗させられ、ただでさえガス欠だった妹紅は炎を回復出来ないでいた。

「この子はね、私達と同じなの。わかるでしょ?」
「なんだって」
「月を出て煩雑な仕事から解放された永琳には、今、たった一つだけの仕事を与えてあるの。それはね、私達の住まいも永遠に続くようにしなさいと言うこと;壊れなく出来るものは壊れないように、壊れなく出来ないならば入れ替えられるように、入れ替えられるようにできないものは私達が移動できるようにと言うこと:より制御容易性のある蓬莱の秘薬≪エリクシル≫、より再生容易性のある森羅万象博物図鑑≪ヴワル≫、より保存容易性のある人造楽園≪ゲンソウキョウ≫、より運航容易性のある分岐宇越航船≪トリフネ≫、それぞれの研究。」
「神にでもなるつもりか」
「真逆ぁ。神だなんて誰かが滅べと言えばそれに逆らうことは出来ないでしょう、その超越的存在が実在するのなら。私達はその掌の上で必死に生き延びようというだけよ;それはとても自然なことでしょう、生き物として?」
「この竹は、その使い魔ってことか」
「試験的な、ね。竹は、これだけ大きく林を形成しても単体、実験しやすいらしいのよ。この竹林には、蓬莱の秘薬の縮小版『国士無双の薬』を与えてある。蓬莱の秘薬が真に蓬莱の秘薬足り得るのは、私の『えいえん』の息がかかっているからよ。うどんげも、かの永琳も、真たる蓬莱の秘薬は作り出すことが出来ない;でも私がすれば、それは成る。本物を飲んだ私と永琳と、それに妹紅の中には、私の『えいえん』が溶け込んでいるのよ、ふふ、妹紅、あなたの中には、もう、取り出せない『私』がいるの。わかる?」
「わかりたくねえよ、キチガイ。今すぐ吐き出したいね」
「妹紅がこうも消耗しているのを見るに、実験は概ね成功ってところみたいね。経口投薬出来ない対象でも効果が出ている。」
「グロい研究だな、マッドだぜ」
「まあ/\、実際はそんなところはどうでもいいのよ。私には、今、目の前にいる愛しい人の事だけが、唯一の大事なのだもの」

 目の前のLunaticを睨み付ける妹紅の目に、幾らかの怖れの色が現れていた;それは自分の相手が、同じ言葉を話しているように見えて実は全く文法の異なる言語を使っているのではないかと思わされる程の、全くにべなく手応えも無く素通りするように的を得ない頓智気な遣り取りに端を持つものであって、目の前の相手から与えられるかも知れない苦痛や暴力を察しての事ではなかった;しかし死をどこかに置き忘れて来てしまった藤原の娘にとっては、それこそが最も恐れを抱かされるものであった。

「察している通り、これから一週間、もこにはこの竹とセックスして貰うわ。ほうら、立派なモノじゃない。素敵……ふふっ♪」

 藤原の股の間に顔を出しているそれを、蓬莱山は娼婦が金払いのいい客の陰茎に思い切りの奉仕を施すときの様な綾を付けたねっとりとした手の動きで撫で回した。暗褐色の光沢さえ持つ、それを肉棒と置換するなら余りにも堅い表面、輪郭を鱗のように山形を刻む節とその間から食み出すように飛び出している葉、何よりも、その径の大きさなど人間のものと比較する時点でおこがましい。竹とは他の植物のように太さを増しながら丈を高く成長させるのではなく、地面の中で伸張開始の準備を整える内に太さを成長後と同じだけ確保し終えており、時が満ちれば一気にその丈だけを伸ばすのだ;しかも、凄まじい早さで。なよたけ、と呼ばれることもある蓬莱山輝夜は、しかも蓬莱の秘薬の模造品を投与し、更に常軌を逸した成長を見せるだろう〝竹〟に、藤原の娘を犯させようというのだ:正気の沙汰ではない。

「見て、この太さ。もう両手の指で囲わないと回りきらないわ♥ すっごく硬いし、フシが凄い♥ こぉんなに逞しいの覚えちゃったら、もこ、男なんて要らない要らないに、なっちゃうわね♪」

 蓬莱山はペニスを扱くときのように、土から顔を出す筍の表面を上下に撫でる。息が上がっていた、頬は紅潮して太腿を隠しもせずに擦り合わせていた;竹に興奮しているのでは勿論なく、この筍がこのまま上へ延びて藤原の女陰を貫くその光景を想像して欲情しているのだ。濡れた舌で赤い唇を舐め、潤んだ目を細めて口角を吊り、筍の先端から延長する様にその白魚の手を登らせて、そこには藤原の陰部が、あった。呪符をちりばめ霊力を引き出す装備でもあるもんぺの股間に鋭く|紅《くれな》う爪先を当ててすっと弾くように動かすと、呪力によって防御力を高めた特殊な布であることも全く忘れたそれは薄く出来たての箔のように破れてその奥にあるものが覗いた。熱っぽくそれを見つめ、舌なめずりし、挙句の果てに香木の銘柄を言い当てる遊戯の時のように蓬莱山輝夜は、すぅ、と大きく匂い、そしてそれこそ飛び切り上物の香木を聞いたときの様な満足の表情を見せる:否、それは恍惚の表情か。
 過ぎた淫蕩は狂気に大差ない、言葉を要さずに表現するのが目の前の女なのだ;藤原は顔を引き攣らせた。確かにこの身は死ぬ事は無い、死ぬほどの痛みを覚えることはあっても、停止と消滅というものへの恐怖はない、その身の藤原自身それを信じてはいない;だが、この女と永遠に関りを持ち続けなければならないという想像は、藤原の心臓を確かに冷やしたのだ。
 股間に一口開けただけの穴を娼気の姫は爪で一気に引き裂き広げ、流石に怯えの見え始めた藤原の股間を夜の竹林の空気に晒した;本当にいとおしいものを見るときの優しささえ湛えた視線でそれを見る蓬莱山は、しかし股を大きく開いて装束の裾を食み上げ、全く恥じることなく股間を弄っていた。

「て、め……」

 先程までの威勢はどこへやら、藤原の声は弱弱しく霧の如くに消え入りそうに聞こえた;今迄は蓬莱山を睨み付け続け離れることのなかった視線が、狼狽える様に逸らされる。余りにも世間離れした蓬莱山の言動は藤原の正常な判断を鈍らせていくのだ;自分も、この狂人と同じ立場になったのだと思うと従来の殺意と怒りに加えて不安を伴う妙な虚脱感が足元から背筋をのたうち頭のてっぺんから天へけぶりとなって昇っていくような感覚を覚えてしまう。
 蓬莱山の股間から粘性の高い水音が聞こえ、それは藤原の股間へまるで導線で繋がっているかのように刺激を伝えてくる。そして殺意を抱く相手に、秘所の匂いをああも心地よさそうに嗅がれて、背筋に冷や汗が滲むほどの気味の悪さを感じながらも、むず/\とそこに充血を感じてしまっていたのだ。

(何でこいつに、に、匂いなんか嗅がれて)

 炎姫の股間は月姫の快楽に、《《起立》》を強いられていた。でっぷりと膨らんだ陰唇は膣口を隠すと同時にその内側に人並みを超えた大きさの睾丸を潜ませている。その上の肉突起は充血を受けて見る見る内に元のサイズの数倍のサイズに膨張し、《《陰核だった頃》》にはしとやかにそれをくるんでいた包皮を見事にズル剥いていた。先端は口が開き、内へ繋がる管が伸びて睾丸へ続いている。輝夜姫が藤原の娘の股間に匂っていたのは、男女の双方が入り混じった汚穢甚だしい迄の性臭だった;なにせ、排泄器官は女性器の傍に備わっている、この男性器は本物の男のように小便をするためには決して用いられない、藤原の陰茎は、本物の男の其れよりもより純粋に、男性器なのだ。性行為専用の器官なのだ。交尾専用の肉棒なのだ。死から解放され純粋な人間となった藤原は、女でありながら男性性も持つ欠落のないより純粋な人間に近づいた;そのグロテスクな純粋質を、何よりも蓬莱山は愛していたのだ。
 だが藤原はこの体を恥じている;無理も無い、男であれば家の者として認められ女であれば帝の血筋に入り込む役にだって立てた筈の立場にあってしかし藤原妹紅はその両方を閉ざされた;それどころか存在を隠されこうして流浪の身に窶すしかなくなったのだ。その末に恩人を殺され、その仇の手によって恥ずべき体を永遠にされ、仇は取れないと知った。こいつを殺すことが出来るのなら自分が死んでしまっても構いはしないと思っていた日々を丸ごと否定され、生きる意志を失っても命を途絶えさせることが出来ない、生きる屍となって殺意だけが血液か魂かのように体を支配している。せめてこんな体でなければどこかで楽な道に転がることが出来たのかもと思いを馳せても何も変わりはしないのだ。
 そして、その憎むべき相手に恥ずべき体を品定めのように嗅がれ、しかしその怒りをぶつけることも、今はかなわない。加えて、藤原自身が忌むものを、蓬莱山は愛おしそうに見つめている、混乱の果てに倒錯が正常を侵食し始めていた。

「筍に負けない程立派じゃないの……すごいわ」

 積年の殺意があるにも拘らず桁外れの美貌の前に男の部分を否定できなかった藤原だが、その恥ずべき純牡の部分が更に、この女を喜ばせてしまおうとしていることに、藤原は羞恥とともに胃の中が煮えて逆流するほどの慚愧を覚えた。目の前の仇は自分を見て手淫に耽っている;火のひとつでもこの女に放てるのなら、そうでなくてもせめて、せめて拳でその綺麗な顔をブン殴ってやれるのなら、ほんの少しでも気のすくものを。
 屈辱、だがその低温の炎がじり/\焦がれる裡側で、その熱エネルギーが何故か殺意ではなく、性感へバイパスされてしまっていることに、藤原は戸惑っていた。何故。陰部の匂いを嗅がれ、自分の体を舐め回すように視姦しながら目の前で羞恥のひとつも見せずにこの女が自慰に没頭しているのを見下ろしていると、藤原の下半身にぐつ/\と流動する何かを生み出されてしまっているのを、否定出来なくなっていた。

「はあ、すっごい、コレぇ」

 蓬莱山は、帝の女でさえ羨む豪奢な色重ねの袷を竹林の泥に汚すことをこれぽちも厭うことなく膝立になり、藤原の陰茎に、それがまるでずっと/\、永遠を生きる蓬莱山がずっと/\待ち焦がれていた〝たからもの〟であるみたいに、触れることを夢か幻かを疑うように驚きとも満足とも歓喜とも愛しさともつかぬ表情をうっすらと浮かべ心も奪われた表情で、ゆっくりと、ゆっくりとそれに手を伸ばす。存在それ自体が美の権化と言って誰も否定せぬ美女の白い指が、悪臭を匂わせ血管の浮く巨大な汚い陰茎に触れる。

「ああ、《《こんな》》だなんて、断然欲しくなったわ。『難題』に答えて持ってくる男がいれば、須臾の戯れに身を任せてもいいかと思っていたけれど、そんなの全然要らなくなっちゃった。コレ、コレが欲しいっ♥」

 口を半開き寄った目で藤原の肉棒を見つめる月姫はしかしそこから、べっとりと濡れた股間から太腿、少し震える膝で立ち上がって、汗ばんだ額で満足そうな表情を藤原に向けた。

「やらねえ、よ、キチガイ姫……っぶっ」

 ひょい、と近付いたかと思うと不意で藤原が反応できぬはやさで、蓬莱山は自らを呪い毒づく言葉を吐き続ける口に、それも絡げて一括りに全て愛おしいのと行為で示すかのように口付けてすぐに離れた、それは触れるだけ、藤原でさえどこか尾を引く切なさを感じる、接吻。

「いいえ、貰うわヨ」

 飲んだくれと博徒打ちが屯する陰湿な軒行の更に向こう、だがもう商いも畑もできぬ浮浪者や乞食に病人が生きているだけの死体を擲つ隘路に立ち着飾る艶もなく代わりに曝け出す淫で客を引く不潔な売女がさもそうするように、蓬莱山輝夜は立位のままに拘束され満足に身動きの取れぬ、毒と怨嗟、それに悔しまみれの色づき吐息を吐き続けるばかりの藤原妹紅に向かって、乱暴に袷の胸をがぶり開いて見せつける;真白くだがわずかに艶桃にふれた色付きの、豊満で瑞々しい乳房が、場違いに実り散らした|天蜜桃《ねくたる》の表情で現れた。だがそれは|不死姙《ふじわら》の娘に見せつけ挑発するためのものではない;《《筍》》を味わうための、淫器だった。

「甘露を、頂戴な♥」

 惜しげもなく曝け出された、下品を通り越してもはや暴力的な大きさの肉桃で、主の不覚によって膨らみ猛った男筍を、ふわりと包み込んでしまう。

「やめ……」

 藤原がふやけた声を上げたのは、粘膜でもないその肌の感触がしかし、しっとりとした色香を孕んだ汗気を帯びており、吸い付くようであったからだ。鋭敏な分身を匂い立つ色香と熟れ桃で包まれた藤原は、たったそれだけのことでより一層に男根を猛らせ、そしてその一方で切なく苦しげで頬に紅を指した焦り色の顔でそれをじつと見つめてしまう;蓬莱山は藤原のその焦れ顔と切な目を認識していながら、ただ《《ちら》》とだけそれを|瞥《み》てから直ぐに視線を跳ね回るのを必死に堪えて震える一物に落とした。赤く薄く鋭い唇を、艶めかしい舌が舐めずった。

「やめなーい♥」

 そのまま、それを口に含み込んだ。下品:その美貌からは想像もつかない、その気品からは思いもよらない、その出自をしてあり得ない、下劣パッケージをNativeにInstallした月姫の浅ましいフェラチオは、乳肉でズリ扱いてはみ出した藤原の悔し勃起ペニスへ、浅ましく舌を伸ばして捕まえて一気に飲み込んで最初からラストスパート;藤原のちんぽを食べた口の中はあっという間に唾液壷に化け、その内側では舌触手が藤原の経験少な敏感包茎皮を器用に剥き取った。裸になった亀頭粘膜に、容赦ない唾液ローションと舌愛撫を浴びせつけ、逃げ場がないように唇は窄まり竿を締め上げている。歪んだ巨乳は自由を失った藤原の太股に押し付けられており、藤原にはその下に埋まる乳首のコリコリとした存在感までが伝わっていた。前後に激しく暴れ回るように動く蓬莱山の高速フェラピストン。黒曜絹糸の長髪が揺れ、月影を反射して綺羅/\と光を散らしている;その美しい光景を生んでいるのが目を瞑らなくとも清楚端整の麗人様を直ぐに描き直せるほどの絶世の美女、だがその直ぐ傍にあるその顔は、ちんぽに吸い付いてひょっとこ顔でフェラチオに夢中になっている:何というポルノグラフィだろうか。

「か、かぐや」

 複雑に何重もの意味を含ませた細く消え入る甘い声を漏らし、剰えそれがその名を呼んでしまったことに、悔しさ半分いやそれ以上の照れが藤原の顔を更に赤く染め照らす;しかもその下半身は永きに渡って憎み殺意を保ち続けた仇女に向かって欲情を体現していた。屈服の声にも等しい甘い喘ぎが、藤原の口端から押し出されていく;一緒に溢れているのは熱を帯びた吐息と、それらが冷えて液化した涎だ。それを見ても輝夜は何も言わない、その代わりに、追い詰めるような激しいバキュームフェラをより一層激しく早くして、藤原の愛吐を強引に引きずり出そうとしている。

「やめろ、やめろ、ぉ……っ」
じゅぼ、ぶっ、ぶごっ、ぶぶっ、ぶぼっ、ずずずずーーっ、ぐちゅっ

 激しく汁気を撒き散らす強烈なフェラチオの下品な水音は、藤原の声を全く掻き消してしまう。蓬莱山は両腕を藤原の太股に絡みつかせて抱き付き、恐らく藤原本人の意思以外で剥がし取ることは出来ないだろう。ひょっとこ顔で唇と頬を窄めて顔を伸ばしながら藤原のペニスに執拗な口愛撫を加えていく。蜜壺化した輝夜の口の中は粘性の強い唾液で満たされており、舌と頬、上顎の裏、のどちんこと食道までをフルに使って、セルフイラマチオとでも形容しようか。

「く、あ……っ」

んっ、ん、んっっぐ、げっ……んぅっ……じゅるっ……! んく、んくっずるずるずるっ

 輝夜姫の、ひぐひぐと無様に膨らむ鼻先に妹紅の綿花の様な陰毛が触れる;元はすらりと整った鼻が無様に膨らみ萎みしながら激しく出入りする吐息が藤原の陰毛を吹き流していた。女の体に備わったペニス陰毛が、妖媛:蓬莱山の美を無様に崩す荒い鼻息を受け止めている。藤原は悔しさと悲しさとに埋もれた快感に埋もれ綯い交ぜになった感情を処理できずにいた;蓬莱山のひょっとこバキュームフェラから目を離すことが出来ない。冷静滅却してふたなりペニスを鎮めることも出来ない。射精欲を抑えることも、出来ない。

(輝夜が、あの気味の悪い程に綺麗な、輝夜が、こんなブザマな顔で、オレの……オレのチンポしゃぶって……こんな美味そうに!)
「うっ、ちが、う」

 胸中に突如夏の積乱雲のように湧き上がり立ち上った信じ難い感情を、慌てて否定し頭をぶるぶると振る;だがその口元を湿らせた滴りをもはや否定は出来なかった。
 輝夜は妹紅の様子などお構い無しに、自ら喉にまだ突き刺さるディープスロートなフェラを続けている、涎と鼻水と涙でぐちゃぐちゃに崩れた輝夜姫の美貌が、喉からペニスを引き抜き次の貪り付きまでの僅かな間にだけ垣間見える。

(糞|ブサイクな《エロい》|面《ツラ》しやがって……しやがって……!)

 その顔をまともに見てしまった瞬間、藤原のフタナリちんぽからぶら下がるメス睾丸が、きゅんっ♥とセリ上がった。射精、したがっている、この女に。

「く、う 輝夜、やめろ、やめろっっ! この、キチガイ女!!」
(だめ、だって、のに……っ、でも、ほんとに、なんて顔だ……、私のちんぽが、忌まわしい《《男》》が、そんなに、欲しいのかよぉっ? そんなに美味そうに、だらしない顔晒してまでむしゃぶりつくほど、そんなに……オレを殺すんじゃねえのかよ!?)
 亀頭が舌で舐め回され、舌の動きは雁首の縁をなぞる。舌の触れぬ部分では唾液の中を泳ぐように熱く、時折頬肉が撫で回した。更に奥へ突き込まれると先端は顎の上のざらついた部分で擦り上げられ、同時に鈴口から裏スジへつながる筋合いを舌先が穿るように這い回った。右へ、左へ、亀頭の縫い目をほじくり回されながら、顎の上側で亀頭責め。そして亀頭を圧迫したままズルリとのどちんこの弾力を押しのけて喉の奥へと挿入される。輝夜は妹紅のペニスを飲み下すように喉を締め、動かし、吸い込む。亀頭も雁首も竿の一部も、すべてが本物のマンコに締め上げられるような、いやそれ以上のキツさで締まり、奥へと吸い流す蠕動で、ペニスを攻め上げてくる。

 じゅぼっ、ぐぼっ、ぐっ、ぶぼっ、んーーーっ、じゅぶっじゅぶっ

 そんな技巧をひとのみひとのみに惜しげもなくつぎ込み、それを高速で何度も何度も繰り返しては輝夜は妹紅のペニスから精を吸い出そうとしてくる;容赦のない愛撫、本来なら服従を誓った男に向かって女が屈服の後に股を開く惨めな性奉仕、それを進んで自分に仕掛けしかも幸せそうに下品面を晒している。

(ちんぽ……とけ、るっ……、熱い、締まる、擦れる、ヌルヌルして……きも、ち)
「気持ち、よくねえっ! だめ、だっ、テメーなんかで、オレは、テメーなんかでっ!」
(イッちまう、輝夜のフェラなんかで、忌まわしいオスの性器で、イッちまう……!)

 フタナリ金玉がきゅん♥きゅん♥と種付を求めて蠢動、いやこれはメスへの服従を示す疼き;イチモツ全体が震え、熱を帯び、脈打つように敏感さを増していく。結界は間近だ、もう藤原に堪えられる気はしなかった;後はただ、どこまで耐えられるか:長くはないだろう。

「や、め……」

 藤原の体は不死だと言うのにその声はまるで刃を手に持ち前に立つ殺人鬼に向けた命乞いの様。涙を流して歯を食いしばり、しかし頬を紅潮させて息を跳ねさせて懇願するのは〝イかせないで〟の一心だだが、その願いは叶えられることはなさそうだ;一層に激しく体を揺さぶり、それが他人からレイプされているというのなら百歩譲って理解もできる余りにも乱暴な動き、顎が外れそうなくらいに開かれた口、頬肉を破らんほどに乱暴に突き入れ、顎の上から滑り込むように喉に男性器が押し込まれていく。その動きはもっと/\と変化する:激しく:早く:大きく:強く。

「やめて、くれ……ぇ……もう、ずずっ、もう、いやだ、お前なんかに、お前なんかに……」

 興奮しながら咽び泣く藤原、女でありながら男として絶頂しようとする藤原、殺意を抱く相手に絶頂を強いられる藤原。こんな惨めな日々を生きるなんて懲り懲りだと思いながら死ねずに生き続ける藤原。何もかもが、藤原妹紅にとっては、もはや何もかもが、自分の思い通りには行かない苦しみでしかない。その苦しみの生々しさを、まるで麻酔なしの摘出手術でほじくり出して、鏡面に磨き上げられ銀光するバットの上に、ひとつ、ひとつと例えるならば焼きたてのクッキーのように並べられて、それをまざまざと目の前に晒し付けてくるのが、蓬莱山輝夜だった。口調が乱暴な藤原妹紅も、もとより粗暴な性格などではなかった、こうして崩され持ち直せなくなったときに現れる脆い少女の姿こそが本性であり、そしてその剥き出しの〝藤原の某の娘〟こそが、月狂いの美姫:蓬莱山輝夜の大好物なのだ。この情けなく折れて崩れた可憐な娘を見るために、なんでもしてやろうというのがこの女の鬼気に違いない。
 喉の奥で震えて跳ねる愛おしいペニスの高ぶりを感じた蓬莱山は、機を察してとどめに取り掛かった;蓬莱山の手は……藤原にではなく、自らの首:それは内側に藤原の娘のペニスを抱いている:へと添えられた。
 そして、一瞬だけ荒くれ回る動きを止め、喉奥を舌先に感じるペニスの付け根を、ぺろりと、それだけがまるで今までの動きとは違う控えめな様子で、舐めた。そして。

「ひっ……!」

 ぎゅううううううっ

「や、やだ、やだ、やめろ、やめろやめろやめろ……!!!!」

 蓬莱山輝夜は自らの首を、思い切り締め上げたのだ。うえっ、ぅぶ、自らの土を締め上げ異物感を露骨に喉内に受け止めた輝夜の喉が逆流性の蠕動を見せている;藤原の肉棒には押し出されてきたゲル状の感触さえ感じられていたが、それ以上に食道ごとぎり/\と締め上げられぞるぞると擦り上げられる快感が勝っていた。しゃがみこんで藤原のペニスを飲み込み喉ごとそれを示しごいている蓬莱山の下半身、腰から下が波打つように蠢いていた。刺激を与えるものは股間にはない、それでも快感に身を焦がされているのだ、セルフ首締めイラマチオで、自分を殺そうとしている敵対的女の不吉なペニスに奉仕しながら。

「うっ、ううっ、やだ、もう、オレ……もう、だめ……輝夜なんかに、輝夜なんかの、こんな、変質者プレイに……オレは……い、イく、イく、イっちまうぅっ……!」

 何度も焼いて炭化させ落としても執拗に再生してしまう睾丸が、いよ/\屈服の漏精を始める:何度焼いて炭化させ落としても執拗に再生してしまう肉棒海綿体が、とう/\降参の射精を始める。

「んおっ、射精っ……射精る……っっっ!! おおっ、ん゛を゛を゛っっっ♥」
「〜〜〜〜♥」

 喉の奥で吐瀉物が逆流して来ているというのに、その生ぬるく滑った粘膜にピリゝと刺激のする液体にまみれて、喉肉ごと握りつぶし手コキを受けるペニスは精液をぶちまけた。嘔吐の《《えづき》》で不規則な跳ね上がりを繰り返す喉マンコに向かって、藤原の男性器は種付行動に達してしまったのだ。輝夜に責め立てられている間は腰を引いて逃げようとしていたというのに、絶頂射精に墜落した途端、その腰は前に突き出されて、自ら首締めフェラに興じる輝夜の喉奥へとペニスを押し込むように跳ね動いていた。

「お゛、をぉっ♥ 射精るっ、とまん、ねえ……輝夜なんかに、輝夜のどキチガイ喉マンコなんかに、オレのちんぽ……種付しちまってるぅ……♥ んぉぉっ♥」

 吐瀉物の生ぬるいぬめりとぴりついた刺激感、締め上げられる亀頭の摩擦快感に酔いしれて、藤原は鼻の下を伸ばし半開きの口の端からを垂らして、鼻息を荒げて射精の快感に溺れていく。びくん、びくん跳ねているのは輝夜姫の尻;藤原のペニスを喉に受けながら、蓬莱山の膝は今や地面で大きく開かれてくねって、そして跳ねている。嘔吐をせき止められている喉に向かって無理やり射精注入されながら、下半身では絶頂しているのだ。それが、藤原の目にもわかった、わかってしまった。

(なんで、イッてんだよ、なんで、だよ、なんでだよおぉっ!!!)

 こんな行為で絶頂できる蓬莱山を藤原は、心底蔑んだ。そして次の瞬間に、その蔑んだ女に気狂えた方法でペニス絶頂を味わわされた自分に対してもまた蔑みの意識がムク/\と立ち上っていくのだ:それは惨めさと涙を誘う。

 どぶ、どぶんっ ごぼぼっ どぷ〜〜っ

 藤原妹紅自身も尿道を通り抜けていく精液の分厚い重量感を信じられないほどに、射精は大量で、そして長く続いた。

(腰が、とけっ、る……ちんぽがとけるっ、尿道が燃えるっ、ちんぽが、これ、憶えちまうっ……!♥)

 喉ごとペニスを締め擦られる快感が、射精の停止を許してくれない。まるで射精後もピストンが止まらないオナホコキだ;絶頂の上に絶頂が重ねられ、快感の向こうから苦しみが見えてくる。それでも決して亡くならない快感は、苦しみの恐怖とともに記憶に刷り込まれてしまう。

 ぎゅう、ぎゅうう、ずるっ! ずるるるっ!

「しゃせい……♥ 射精、とまってくれ、え……オレ、嫌なんだよ、輝夜なんか、大嫌いなのに、大嫌いなのに、射精、射精、射精、ちんぽ、ちんぽちんぽちんぽちんぽぉっ♥」

 ぐっ、っぐっぐっっ

 しばらく射精痙攣が続いた後、ようやく落ち着いたペニス、敏感さこそ保っていたがもう締め上げられても吐き出す精液はない:睾丸は空っぽだ。蓬莱山はまだ自分の首を力いっぱいに締め上げている、そして喉は未だに嘔吐の逆流を続けていた。

「はあっ、はあっ……くそお、くそぉっ……」

 無力感に涙を流す藤原。蓬莱山は喉奥でまだ硬さを保ったままの妹紅のペニスをようやく、ずる/\、と抜き取っていく。えづく喉の跳ね上がりはまだ終わっていない、抜けていくペニスの先端にも、吐瀉物のゲル状感触がまとわりついていた。更にそのまま、抜けていく。そのまま、そのままずるっ/\、と。食道の襞がペニスの雁首に引っかかり、射精後の敏感ちんぽに苦しささえ伴ううわ被せ快感を吹き込んできた。

「んぉをっ……ぬ、ぬけ、るっ…………!♥」

 ずるんっ!

 口を強く窄めたまま抜け去ったペニス、その瞬間に唇リング状の締付けが再度エラ部分を襲い、亀頭を舐り上げた。

「あ゛あ゛っっ!♥」

 びゅっ、ぴゅっ……

 断末魔のような、最後の残滓のような、それでも並の男の初弾ほどにもなる射精が、ハードフェラでふやけて崩れまくった輝夜の顔に降り注ぐ;興奮でのぼせた体温、加熱されて半ばゼリー状になった白濁ゲルが、蓬莱山の黒い髪に、端整だった目に、スラリと伸びていた鼻筋に、飛び散って流れ落ちずに粘って流れる。目を細めてそのシャワーを受け止めた輝夜の表情は、淫猥に染まり欲情に潤んでいる、そして―

(なん、だ……?)

 頬が膨らんでいる、と妹紅が訝しんだ次の瞬間、輝夜はすっくと立ち上がって鎖に結ばれ動けない上半身にかぶりつくように抱き付いた。

「なっ……んぐっ!?」

 拘束されていてもいなくても恐らくとっさの反応は出来なかったろう密着距離の|近接格闘《キス》;両手で左右から頬を掴まれ、顎を無理やりこじ開けられる。その細い腕白い指からは想像できない強靭な力はさながら万力か扛重機、力の入らない妹紅は抵抗も虚しく口を大きく開かされ、がっ、ぐぐがっ、歯を立てて輝夜の指に噛みつきそれを噛み千切ろうとするがそれも叶わない、それどころか

 ガギンッ
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっっっっっっっっっ!!!! あ、がああああああああああああああっっっっ!! あ゛っ、あ゛、お゛ああ゛あ゛ああ゛ああ゛っっ!!!」

 顎を無理やり外された妹紅:外した顎を更に下へ引き下ろす輝夜。ぶちっ、ぶちっ、っと妹紅の口の端が裂けて頬が破れた;不気味な色白さと不吉な血赤を湛える以外には輝夜と比べるのは酷とはいえ十分に美しさを主張できるだけの容姿の持ち主の妹紅の顔が、壊れた。

「あ゛、っ゛、あう゛あ、え゛えーーっ……おっ、、ぬぶっっっっっっっっ」

 月白の狂女とのコロシアイに長年興じている不死身なだけのただの人間にとって、顎を外され頬を破られる程度日常茶飯事ではあるがだからといって、痛みに慣れるわけでもない;輝夜へ感情に〝別のものらしき何か〟が生まれはしてもそれは殺意と憎悪を相殺するわけでもない、輝夜を睨みつける妹紅。その口、とは言わず顔面に向かって輝夜は、自ら喉不覚に妹紅のペニスを突き入れ喉を締め上げて促した、《《逆流物》》を、ぶちまけた;頬が膨らんでいるように見えたのは、嘔吐を我慢していたからだ。
 びちゃっ、びちゃびちゃっ:激しい水音を立てて、まるでさっき妹紅が輝夜の顔面に精液を注いだその仕返しと言わんばかりに今度は、輝夜が妹紅の顔に吐瀉物をぶちまけた。それだけではない、嘔吐物を吹き出し流しながら、顎の外れた妹紅の口へ自らの口を寄せて、自分の唇を、舌を、そしてゲロを、押し込んで来る。

「んぶっ、んご、ごぼっ、んごごおおおっっっぶ、ごがっ、ん゛んん゛んんっ!!!!!」

 抗うことの出来ない妹紅、口を閉じることは出来ない、手も足も使うことが出来ない、|無原点火《ファイアスタート》を試みるもその半身を軽く炎上させただけで、自身と同じ蓬莱人である輝夜をどうにかすることは出来ない、ただ嘔吐物の悪臭に肉の焼ける不快な匂いを加えるだけの結果になった;妹紅の抵抗は、そこまでだった。

「っ♥ っ♥」

 外れた顎の奥に、奥にと自分の口を突っ込んでいく輝夜、更にはそのまま妹紅の《《下半身》》をぎゅう、と掴み上げる。妹紅は肉が裂けて血塗れて赤く染まった顔を青ざめさせた;というのは輝夜の上記を逸した行為にではない:この期に及んでなお勃起している、自身に対してだった。
 輝夜は、裂けた血と自らの嘔吐物で徹底的に汚れた妹紅の口を依然陵辱し続けながら、勃起したままのペニスを、淫裂へ差し込んだ。

「ぷぁ、ああっ……!♥ 最高よ、妹紅、さいこうっっっっ!!!♥ ああ、いれただけなのに、いれただけなのに、イきそうよ、ああ、ああっ!!♥」
「ぶごっ……、っぐげっ、あ゛、あ゛、げほっ、がはっ」

 返事が出来る訳がない妹紅、自分の愛欲を有無を言わさずに受け入れさせる輝夜。本人の意思と関わらず(いや、本心なのかも知れないが)勃起を続け、肉溝の中で再び快感を覚え震えるペニス、摩擦;その中は、白濁した受精待ち侘び本気汁でぬる/\に火照っている、感触だけで言えば極上のオナホだ、先の喉マンコと、同じ位に。

「すごい、しんじらンないっ♥ めちゃくちゃ感じるワっ♥ 妹紅、ああ妹紅っ!! もっとその顔を見せて、無様に壊れた綺麗な顔を、私のゲロでどろ/\に汚れた汚らしい美貌を、見せてっ!!」
「ふーっっ、んっ、あっっぐ、んん゛ん゛っ!!」

 そういう輝夜の顔こそ、元の美貌が台無しに汚れている、だがその汚れ具合を蠱惑的だと感じてしまうのは、妹紅の方も同じだった;それはすぐさまに下半身がメッセンジャとなって伝わってしまった。

「そう、妹紅も、妹紅もなのね♥」
「んーーーっ、いあう゛、あ゛あーーーおっ!!!」

 怯えるか、恐怖か、拒絶の表情で頭を振る妹紅、その度に裂けた頬から血と輝夜のゲロが撒き散らされる;輝夜は再びその大きくダラリとだらしなく開いたままの口の中に、自分の口を突っ込んだ。その中で舌を伸ばして血まみれゲロまみれの妹紅の口の中を舐め回して吸い付き、吐瀉物残滓の混じった自分の唾液を流し込む。一方で、下半身の結合はみっちりと強く、輝夜が腰をくねらせて摩擦を強いると、妹紅の腰は不覚にもそれに合わせて波打っている。

(こんな、セックス……いやだ、いやだぁ……)

 涙を流す妹紅の表情に、口の中に顔の半分を突っ込んでいる輝夜は気づかない、いや気づいている以内は関係なく、そうさせているつもりなのかも知れなかった。輝夜の巨乳が妹紅の形のいい胸に押し付けられて歪む、その間には吐瀉物のぬめりと悪臭が澱んでいる。輝夜の手はその乳肉に長い爪を押し当てる;弾力のある瑞々しい肌に突き立てられる爪は、直ぐにその薄皮を突き破って肉に食い込んだ。

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっっっっっっっ!!!!」

 長い爪が妹紅の乳肉の内側をぐちゃぐちゃと掻き混ぜる、血が吹き出すそれさえも潤滑油か何かでしかないように、赤くぬらついた表面を撫で回し、また別の場所へ爪をさして乳肉を《《直接》》揉みしだく。

「っ♥ ♥か゛わ゛い゛い゛♥♥っっ♥〜〜も゛こ゛う゛、も゛こ゛う゛っっ〜〜〜〜っ♥」

 輝夜が妹紅の口の中で嬌声をあげた、耳とは違う、でもそれと同じくらいに脳みそに近い場所で叫び散らされる、愛の言葉。失血で意識が徐々に遠のいていく妹紅の無防備な精神に、狂った女の言葉がざく/\と突き刺さっていく。
 がくんっと力を失い崩れかけもち直す、を繰り返し始める妹紅;それでもペニスは力強く屹立を続けて、減っている血液を独占し始めていた。死ぬほどの失血ではないにせよ、体は危機覚えているのか、死ぬ前に子種を残すと言いたげに、意識に反して脈打ちを強くしていく妹紅のペニス。射精に間違えるほどの先走り汁を、すでに輝夜の熟れ濡れ膣穴に吐き出している。膣癖同士が吸い付きあうように、丸で膣の中に握る手でも埋まっているように、輝夜の膣は妹紅のペニスをきゅう/\と締め上げている。

「っぷあ、あ、ああっ、妹紅、っ♥ 私イくわ♥ 妹紅とセックスして、イく……わっ……♥」

 輝夜は、まるで男が女を激しく貪るときのように両手を妹紅の尻に添えてその柔らかな桃肉を掴み上げ、自身の膣に向けて妹紅のペニスピストンを強要する;〝セックス〟と評しはしたがそれは、もはやセックスなどではなく輝夜にとっての、妹紅の体を使ったマスターベーションだった。

 ぐちゅ、ずっずっぐちゅ、っぎゅっ

「はっ、はっ、はっ、妹紅、妹紅、妹紅、妹紅妹紅妹紅妹紅妹紅妹紅っっっっっっ♥♥♥♥」

 妹紅の体を道具のように使い倒して自分の絶頂へ向かう輝夜、だが妹紅の方も、絶頂に近づいている。口元はもはや表情を示さないだが、目元と僅かに動く頬が、悔しげに歪んでいるのが見えた。涙もぼろぼろと流れている、だが下半身がそれが徹底的に根本的に余すところのない不本意レイプでは、ないことを示している。

「ふっ、んぐ、ぎっ、あ゛あ゛っ、っーーーーっっ、っ♥」
「妹紅、好きよ、妹紅、イく、イく、一緒に、一緒にイッて、妹紅も一緒にっ♥ 私のまんこに妹紅の愛を注いで頂戴ッッッッッ、あ、あ、あああああああああああああああああっっっ♥♥♥」

 輝夜が絶頂を叫び、同時に膣が強烈に締め上がって精液を奥へと取り込む貪欲な蠕動を見せた;それと同時に、妹紅の体も痙攣するように跳ね上がり、まともに言葉にならない声で、絶頂を告白している。何より、ペニスの先端から吐き出された、ダメ出しだといわんがかりの射精が、如実にそれを物語っていた。

 どぷんっ! どくっ、どくんっっ!!

「はぁぁぁっ♥ すごい、妹紅のザーメン、きてるぅっ♥♥♥」

 鎖に繋がれ立位のままに拘束され倒れ込むことの叶わない妹紅に向かって、輝夜は脱力してもたれかかった、潤んで揺れる、それは愛おしい恋人を見つめる視線で、壊れた妹紅の顔面を見、そしてもう一つ口づけた、それは口なのか舌なのか顎なのか、よくわからない場所だ、でも輝夜は舌を伸ばしてディープキスのようなものを、何度も/\繰り返す。
 ディープキスに抵抗することも出来ない妹紅は、ぼろ/\と大粒の涙を流して鼻を啜り始めた、勝ち気で粗暴な気質の妹紅からは到底思い及ばない、弱々しい様子;それを見て輝夜は満足そうに、それに何よりも、愛おしく微笑みかけた。

「泣かないで妹紅。そうして可愛らしく泣くくらいなら、私をきちんと憎みなさいな。あなたの父親を蔑ろにして死に追いやった、私を?」



§ § §



 かの男が亡くなった:殿上人の間はその話で持ちきりだった;都下々民草に向かってはその情報はまだ伏されたまゝとなっている。

「拝訣が叶わぬとはいかなる理由か?」
「御身嗣子なればこそ、死の穢れ満ちる櫬殿への立ち入りは控えられるべきと。大喪儀は我ら権頭が万全執り行います故」
「詭弁を弄すな、老蛆。どうせ豫を遠ざけておきたいのであろう。」
「滅相も御座いませぬ。我々は」

 生前権勢を恣にした男も、穢の呪に逆らうことはできなかった。|末期《まつご》には不老不死を願っていたとも言うが、それを知るものは限られている;それこそ、実の子であっても死に目に合うことが許されず、病床の父親の有様を知ることもできないこともある:この娘が、それだった。
 大喪儀は本来は帝に対してのみ用いられる言葉であって、大貴族も大貴族、といえども本来用いられるべき言葉ではない。死体の安置された櫬殿も、仮通夜に当たる儀式である櫬殿祗候も、そうだ。
 それほどに権勢を奮った貴族の男が、亡くなった。それだけでも大ニュースだが、この少女にとっては対したい意味を持つものではない;純粋に、父親が亡くなったということに他ならないのだ。だが、死に目に会うことが、拒絶されている。
 女は、当の父親から疎まれていた;その意図を汲んだ側近たちも同様だった。どこの女との子かも知れない忘れ形見などよりも、名の通った血筋の女と、その女を将来娶る男にこそ、家の未来を預けたいのである。

「貴様達に忌み子と呪われようと鬼子と蔑まれようと、豫こそが父の娘である! 傀儡の家長を立て我が一族を骨抜きにしようとする貴様の魂胆、豫が与り知らぬ思うてか。貴様ら権頭共こそが穢の根因であろう!」
「骨抜きにする;それは異な事を仰る。父君の血を引かれたお子は他にもあらせられる;それこそ母君のお顔がよく見える姫君は、他にも。誰のものとも知れぬ血をお家に持ち込み家督を狙おうなど、それこそが、当家を内側から蚕食する害虫と指弾されるべきではないですかな?」
「言葉が過ぎるぞ! 母こそ知られぬ身なれど、豫こそが嗣子である! その事実に微塵の疑いもない!」
「亡き父君の女好きにも困ったものです;遊び女でも女官でも、見境なく《《お情け》》をかけなされた。全く、虫か獣か」
「貴様……っ、豫だけならばいざ知らず、父を愚弄する言葉……許されるものではないぞ! 思い上がりおって……」
「〝思い上がる〟。ただ長子だという以外に資格らしい資格も持ち合わせぬ女を差し置いて、この私めが《《思い上がる》》とは、恐れ入りますな。たれか、姫を穢から遠ざけて差し上げろ。」

 男が、嫡女を名乗る女を、指した。
 生と死、|霽《ハレ》と|褻《ケ》、祝と呪、穢と清は表裏。死とは|穢《ケガレ》、穢とは〝|褻枯《けが》れ〟:〝|褻《ケ》〟とは|霽《ハレ》つまり非日常の祝福によって補充される〝日常の日々を生きる生命力〟を失い呪われた状態のことだ;そして褻枯れのもたらす死と死体にまとわりつくその呪は周囲を汚染し、人や場に死や災いを招くと言われている。しかし、しかしだ:仮にそうであっても、親の死床に子が向き合えないというのは、不条理に他ならなかった。穢を危険視して近付くべきではない、遠ざける、との方弁で、男はその娘を親の死体が安置され、仮通夜相当の儀式の場から娘を遠ざけようとする。男の周囲を守るように何重にも立つ配下の男が、娘の首根っこを掴んである部屋に放り込んだ:座敷牢だ。

「は、離せ! 離さぬか! ……アァッ!」

 柔らかい座敷牢に放り込まれる;これによく似た出来事を、女はよく覚えていた。確かにその時と同じだ;この襖を蹴破ることなど造作もないことだが、それをしたところでもはや何も変わることはないだろう。かつて父親に浴びせられた冷たい目線と言葉、それに態度;その記憶自体が苦々しいものであるがそれ以上に、その指図をしたのが今は父ではなく、しかし父と同じ顔をして全く同じ権力を振りかざしたそのことに、女は慚愧極まる感情で奥歯を噛み締めた。

「おぼえていろ、蛆虫……私は、必ず……!」

 如何ともし難い出生を呪い泣いているばかりの大人しい娘ではなかったが、今ばかりは、結局記憶の中で一度たりとも愛されたと思えたことのない父親にいよいよその死に立ち会うこともできず、別れを告げることさえできない今ばかりは、涙を流した。
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秋例に間に合うといいなあと思いながら
みこう悠長
コメント




1.性欲を持て余す程度の能力削除
ふたなり大好きてるもこ大好き。
ふたなりの女の子が女の子として可愛らしいととても興奮します。可愛らしい女の子がふたなりちんぽの快楽に落とされるのがとても大好きです。
変態プレイをここまでやるのは予想できませんでしたが、とても興奮したので満足です。