真・東方夜伽話

紅に染まるは胡瓜か皿か

2019/05/31 20:36:45
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紅に染まるは胡瓜か皿か

梁那

初投稿。オリキャラ(ロリ)、素人注意。目線はオリキャラ。

あとにとりかわいい。

ー妙だな…。やっぱり紅い満月の夜は…
私は、首を傾げながら、草を掻き分ける。
がさがさがさ。ずるっ。
「あ」
足がすべる間抜けな音がして、次に私のこれまた間抜けな声がした。
どぶんと言う音も聞こえて、目の前に泡が舞った。
…あー…ついにやったか。霧の湖は、とてつもなく滑りやすいのだ。今まで滑らなかったからと言って、
これからも滑らないとは限らなかった。

ー吸血鬼への流水は毒と同じ。
もう何かを考えるのも億劫だ。
だが、身体が鉛より重いのではないかと思うほど沈むのが早いのは、どうも居心地が悪い。息が苦しくなるのも構わず、
ごぼごぼと息を吐く。どうせ死ぬなら、さっさと死なせてほしい。
けど、沈まなくたって死ねる。

わたし は めのまえが まっくらに なった。▼













「んっ………ぅう…?」
ー私は目を覚ました。何か変だ。部屋を見回す。
相変わらずボロボロの羽根は誇りのカケラもないが、
どうやらいつもの私だ。でも、綺麗に整頓されたここは私の部屋ではない。身体もすごく痛い。
「お?ぉお。目が覚めたね」
頭上で、全く馴染みのない声が馴れ馴れしく聞こえた。
「おはよう」
「…誰?」
頭を上げると、視界の端に青髪が映った。
「ああ。私は河城にとり。河童のエンジニアさ。
水浴びしてたら、何か意識不明の重体の妖怪を見つけたから、私の家までおぶって来たんだけど…
いやあ、リュックの中に入った吸血鬼っていうのも、
なんだか面白いもんだね」
背中に見える大きめな深緑のリュックを見ながら、
目の前の、少なくとも見た目は幼い河童…河城にとりは、歯を見せて笑う。
……顔が紅い。酒でも飲んだのだろうか。まあそれは
どうでもいいとして、彼女は溺れてた私を
助けてくれたのか。でもちくしょうこの野郎。
私をリュックに入れて面白がったな。
「…ありがとう」
「うん」
「…」
「え?」
「え?」
にとりは、心底びっくりしたように声を上げる。
どうでもいいが、にとりは私よりちょっとだけ
背が高いらしい。一寸くらいだけど。
「私は名前言ったのに、自分の名前は教えてくれないの?」
「…あ。ごめん。私、私は…いや、なんだっけ。名前」
「ん?記憶喪失なんて面倒なことは嫌だよ」
にとりはふいっと向こうを向きながら言う。
「いや、違うと思う。さっき私は、
自分の部屋を覚えてた。それに…」
「…冗談だよ…」
にとりは苦笑いをしつつ、手を組んで考え出す。
「でも、記憶喪失にも種類があるって、どっかで聞いたよ?」
「んー…考えてても仕方ないから……
今のところは、そのどっか情報を信じようかな…」
「軽いなー…あ、そうそう。はいどうぞ」
そう言い、にとりは茶色い瓶を私に手渡す。
「何これ…薬…?」
「うん。ちょっと知り合いに医者がいてね。相談したら、ただで分けてくれたんだ。低体温症を防ぐ薬。妖怪だって、身体が丈夫とはいえ
一応生き物なわけだからね。身体を大事にするに
越したことはないよ」
「…ありがとう」
にとりに渡された薬を適当に二、三粒つまんで、
ごくりと一息に飲み込んだ。水を貰わなかったので、
かなり苦かった。
…妙な味ではあったが、不思議とにとりやその知り合いを疑う気持ちは無かった。
「…ちょっと聞いてくれ」
にとりが済まなそうに言うので、
ゆっくりとにとりに目を合わせる。
「…どうしたの?」
「…実は…その薬を貰ったはいいんだけど、
その代わりに実験も兼ねてこれも飲んでくれって…
断りきれずに持って来ちゃったんだけど…」
にとりは頰を掻きながらピンク色の瓶を私に手渡す。
何で初対面の私の為に、わざわざ知り合いを訪ねて
薬を貰って来たのかは、聞く気にはなれなかった。
ただ、決して気味悪いとかでは無かった。
それどころか、会ったばかりの相手に
生まれて初めてドキドキするという、
なんとも少女漫画チックな展開を体験している。
「…構わないけど、何の薬?」
「教えてくれなかった。けど、悪いものじゃない
とか言ってたよ。たしか」
その台詞は悪いものの時の台詞なんだよなあ…
ともかく、飲むと言ってしまったし、
にとりの泣きそうな顔を見ていると断わるわけにも
行かない。情というやつだろうが、そんなことは
どうでもいい。私は、どうにでもなってしまえ、
と薬を一気飲みした。



そしたら、身体が、すごく熱く火照った。

目の前がくらくらして

元からドキドキしてたのに


まだ会ったばっかりなのに



にとりが可愛くしか見えなくなって


「………」
「お、おい、大丈夫?」
にとりは心配そうに顔を覗き込んでくる。
お願い、今は、いまは止めて。
もう頭に行動が浮かんでるの。
実行に移しちゃうから、喋ろうとしただけで、
キスしたくなっちゃうから。
ーほら、こんな風に…
あ。
「!?」
目の前に、青い髪と、大きく見開かれた目が映る。
私みたいな濁った紅なんかじゃなくて、
硝子よりも綺麗に澄んだ水色。
にとりは慌てて私を引き剥がそうとするが、
私は逆にぎゅっと抱きしめて抑え付ける。
体調万全でないとはいえ、吸血鬼の力。
そう簡単には逃げられないはずだ。
「ん…ふっ…」
私とにとりが空気を求める音だけが聞こえる。
「ぇあ、あ…ぁ」
にとりの方は、抵抗を見せない。
しまった。普段吸血鬼の力なんて使わないから、
抑えるの忘れてた。無理に抑えたら苦しくなったので、
口を離す。銀の糸が二人の唇を伝って、ぽたりと落ちる。
チャームは抑えたはずだが、にとりは嫌がるそぶを見せない。
「いっ、いきなり…何するのさ」
顔を真っ赤にして、口元を拭いながらの
弱々しい抵抗。でも、怒ってるわけではなさそうだった。
「…いや?」
「いやとかじゃなくて、その……ひゅい!?」
にとりの首に軽くキスしてみたら、にとりがびくっと跳ねた。
「ひ、とのはなし…をぉ、っ!?」
ぺろぺろと舌を這わせると、声が段々途切れてくる。
「んっ、ぅ…にとりのくび……おいしい」
「し、しゃべらないでぇ…っ!?ひ、ぃ…ぅあっ!?」
口でそう言いながら、身体がびくびく跳ねっぱなしだ。
「…いやなの?」
「ちが…っ、いや、じゃないけど…ひっ!?このままじゃ…キちゃうよぉ…」
見れば、にとりは両足を擦り合わせて悶えている。
「へぇ…それで?」
「や…やめてよぉ…っ、ぅ、あぁぁっ!!」
わざと焦らす様に、ゆっくりと。にとりの首から、
ぺちゃぺちゃと唾液の音がしてくる。
「やめてほしいの?」
「さっきから言ってる、のに、ぁあああぁっ!」
びくり。にとりが跳ねる。
「やめてほしいんだよね?」
「だから、あ、い、あああぁあっ!?」
びくり。また跳ねる。
「やめてほしいんだよね?」
「あ、あぁああぁああっ!そうだよぉ!やめてよぉっ!?」
びくびく。今度は二回。
「………やっぱやーめない♪」
「いやぁ!?待って、待ってぇ!!
っあぁぁぁあああああああぁあああぁぁぁぁぁぁあぁぁあっ!?」
絶頂の勢いでにとりが倒れる。
びくっ、びくっ、がくん。にとりは一際大きく跳ねると、
はー、はー、と肩で息を始めた。
それと同時に、私の中の熱が急に冷めていく。
「……にとり」
「…」
「にとり?」
「………」
返事はない。少しの罪悪感が私を襲う。
「…怒ってる?」
ーしばらくの沈黙。
「……………怖かった」
にとりはそっぽを向いて、蚊の鳴く様な小さな声で言う。
「…ごめん」
「…別に、無理矢理じゃなければ……」
「?」
「何でもないよ、ばか…」
私が首を傾げると、にとりはがばっと寝返りを打つ。
「………もうしない?」
「…約束する」
私は、心の中で謝ると同時に、
結局身体が疼いていることに気がついた。

…今日は厄日だ。あと知り合いの医者許さん。
吸血鬼の力(チャーム)とは
*吸血鬼全てに備わっている(という設定の)誘惑の能力。
指摘、悪口、その他罵詈雑言など、コメント欲しいマンです。
続くなと言わなければ多分続く。
梁那
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