真・東方夜伽話

ルミナス世界と日出ずる国の革命布告(ニューワールドオーダー)①

2018/10/26 02:40:28
最終更新
サイズ
84.06KB
閲覧数
324

分類タグ

ルミナス世界と日出ずる国の革命布告(ニューワールドオーダー)①

みこう悠長
§§§


「満足?」
「……うん」

 彼女はまだステージの上にいる。ミサ用の黒いローブをまとったまま〝たびだち〟を最初に担った信者の返り血を一滴だけ頬に浴びた彼女は元は体育館だったミサ場の板張り床に視線を放り投げている、何かを見るような視線ではない、冷たい無表情をぶら下げたまま彼女は答えた。うん、その言葉の割にはどこか虚ろさを感じる。
 僕と彼女が出会ってからそう長い月日が経ったわけではないが、それでもなんだか妙に長い時間を一緒に過ごしたように思えた、僕と彼女の間にはガラス管で作られた糸状の密室があり、二人しか入れないその部屋で行き来している様な気がしている。冷たく無機質な血管、でもその中に流れているのは、生き血よりも余程熱い。

 二人ペアでお互いに旅立つ筈だろうに手心を受けたのか、逝き切れずに喉元から噴き出す血を手で押さえ、当然止まるはずもなく口から赤い泡を吹いてまだ動いている奴がいた。

「ちゃんと死ね」

 僕はその手を引き剥がしてもう一押し深く喉に鉄の塊を沈める、喉の筋肉は案外固い。その脇を走る柔らかい隙間、間に浮かぶ様に通る動脈を押し沈めてナイフの先端で探るように穿って断ち、無造作に刃を引いた。それをする必要はもはやなかっただろうが、未練がましくこの古い世界にしがみついている姿が浅ましく思えて、早く終わらせたいと思っただけだ。
 旧世界の解体に使用し終えた鉄を僕はその場に放り捨てる、乾いた音が元体育館のミサ場に遠く木霊して「古い世界は、もう終わったんだ」の言葉にアクセントを加えた。僕はステージの上の彼女の傍へ歩み寄る。

「とても、満足したわ」
「その割に、晴れないね」
「そんなことないわ。ただ」
「ただ?」
「色々思い出してしまって」

 少しだけ表情を濁らせた彼女はかぶり付くように僕に抱きついてきた、求めているというそれではない、ただ確かめるみたいに。彼女は僕に抱きついたまま、きっと何も視界の中に入れることなく瞼の裏に描いた何らかの光景を見つめながら、吐き捨てるように言う。

「くだらない、何が〝照道様〟よ。ほら。結局、誰も、救って下さらなかったじゃない。こんな異端者の手で、全員が死んでしまったわ」

 彼女もナイフを捨てミサ前の演説に使った演壇に手を突いてステージを見下ろしている、まるでまだ信者達がそこで彼女を見ていて、彼女はまだその視線に答えているみたいに。その視線は凍てつくほどに冷たくて、光の一筋も返さないほど虚ろ、でもそれは彼女の生気の欠落を示す無明ではないむしろ、彼女にとってはその突き刺さるような闇こそが活気でもあると、僕には思えていた。
 ステージの上からは、その下の惨事をよく見渡すことが出来た。ステージの下には、大小238個の死体が転がっている。ステージの下の死体の内、怖じ気ついて逃げだそうとした2つ、いやさっき一つ追加されたから3つだけは僕が殺した物だ。残りは信者同士が〝たびだち〟を信じてお互いに殺し合ったもの。それとステージの上には自分で喉元を剃刀で裂いた1個それに、これから2つ、追加される予定だ。血まみれのフロア。こうしてステージの上から見ていると、この古い元体育館が全く真っ平らになっているわけではないことがよく分かる。夥しい量の血液は至極遅々と流れて中央付近の幾つかの場所に溜まり滞っている。

「ばかめ、幸せそうな顔して。騙されてるとも知らずにね」

 僕は直接彼女の旧世界に関わったものでは無い、ただその幕引きを少し手伝ったに過ぎないのだが、それでも彼女がきっと思っているその一言を、僕も共有できていた。
 283の人間の血液が一堂に《《海》》しているのだ、爽快な光景ではあるが、僕らを閉じ込めていた古い世界の死体としては余りにもちっぽけな墓標に思えた。
 そこまで思いが至ってから、はた、と彼女のどこか虚ろな表情の意味が分かった気がした。きっと、そうなのだ。僕らは生まれてから10余年、古く閉塞した世界の中でそれを一度も疑うことなく生きてきた。生きてしまった。閉鬱したこの世界を脱出しようと二人で企み、それはこうして成功したのだが、だがそうしたところで失われた僕らの10余年は帰るわけではない。この先取り返せるモノでも無い。それだというのに、そのうめあわせとして提示されているこの光景の、なんとちっぽけなことだろうか。たかだか体育館一面の面積しか持たない、この小さな小さな赤い絵が、僕ら二人の過去を慌てて買い戻した結果だと、いうのだろうか。

 余りにも足りない。

 素直にそう思った。もっと沢山の償いを受けないと、僕らの腐敗した過去の代償になんか。これは口惜しさという感情で正しいのだろうか、まだ収まらない殺意でもあるように思えるし、悲しみでも飢えでもあるように思える、同時に無力感や、後悔のようにも思えていた。計画は実行されるべきだった、それは僕と彼女の出した最善(最高ではない)の選択で疑いの余地などない、だが、洗っても洗っても落ちない隅にこびり付いた汚れのような、疑問や不足が、どうしても払拭できないのだ。
 彼女も、このパレットに残された、それは確かにあらゆる色を同時に内包している全てであるにも拘わらず全く濁って絵の中のどこにも一切使うことが出来ない無用の色の様な感覚を、冷たく客観してしまっていたのかも知れない。
 盲気が済んだのか僕から離れようとした彼女を、今度は僕が抱きしめていた。今は、誰かの――他でもない彼女の――体温が、感触が、ひいては僕の体の書斎確認が、欲しい。彼女は引こうとした体を止め、僕に抱きついていた腕でそのまま、僕を抱きしめてくれた。
 古い世界を足掻いていた昨日までも、そしてその扉を押し開けて出た今も、僕らの体はここにあるし、それはまるでひとつも変わっていない。それは、新世界の開闢を望んだ僕らの引き出した結果としては残酷なほどにお粗末な結末で、酷く安堵をもたらした事実でもあった。
 僕が、ごめんもういいよ、というと、笑ったように「あらざんねん」と声を置いて彼女は離れた。剥がれ取れた体温が痛いほどに寒く感じられて、僕は名残惜しく手を伸ばしてしまう。すると彼女の方からも、手が伸びていた。触れる前の指先同士、引き合っているのをお互いに認識してから、二人の視線が互いに交差する。わらう。ぼくも。自然に、手を繋いでいた。
 手を繋いだまま、本当に下らない古い世界のちっぽけな死体に向き合う。

「ありがと、つきあってくれて」
「ちょっと寄り道しただけだよ」

 この旧世界のカーテンコールと新世界の開闢に、何か不足があるとするのなら、何か。それは、僕も、彼女も十分に分かっていることだった。計画の内に含まれているのは確かで、だとするならば、さっさと実行するべきなのだ。

「仕上げ」
「そうね」

 体育館だった頃には用具室だったのだろう空間から、僕らはせっせとポリタンクを運び出す。それぞれのポリタンクには一杯に灯油が入っている、何個あるのかなんて数えていない。灯油なんて全く安い物で、学生でも買えてしまう様な値段の代物で僕らの過去は簡単に焼却できてしまうのだ。ちっぽけだ、ひどく、ひどく、僕らなんて。
 二人で死体に酒を飲ませるみたいに灯油をかけて回り、それが済んでからはミサ場としてごちゃごちゃと沢山並んだ設備に向けて灯油をかけていく。まるでこの汚い旧世界を洗い流すみたいに。きっとこのミサ場全部を濡らすほどの量ではないけれど、建物や設備自体に引火してしまえば後はどうにでもなる。
 灯油を蒔いている内に、なんだか意味もなく楽しくなってきてしまって、二人できゃあきゃあ笑いながら、まるで子供がはしゃいで水遊びをして入るみたいに騒ぎながら。これなら水鉄砲でも買ってこればよかったわね、なんていいながら。
 せめて本当に子供の頃にかえることが出来るのなら、こんな空っぽのハイテンションにはしゃぐ必要なんてないのに。来る新しい自分に向かって粛々とやり直しの備えをして、二人で生きていくきっと堅実な計画を立てる。でも、そうじゃ無いんだ。

「おわったわ」
「こっちも空」

 僕らはどちらからともなく歩み寄り、二人の丁度真ん中あたり、ミサ場の入り口の施錠された扉の前でで僕らは再び抱き合った。

「|日《のぼる》、灯油臭いわ」
「えー、お互い様ぁ」

 体にはかけているつもりはなかったけれど、あれだけはしゃぎながら蒔いていたのだ、体にも随分と散っていたらしい。抱き合ったお互いの体が、灯油臭いなんてちょっと滑稽、最後の抱擁にしては、ギャグ調の締めくくりかも知れない。
 一瞬の無言、そして目を合わせて引かれ合うみたいに口づけた。触れた瞬間、磁石みたいにお互いから全面でくっつこうとしてしまう、今までで一番激しいキスだったかも知れない。でもその反面で、この場でこれ以上のことをしようという気にはならなかった。欲情はなく、ただ愛おしさと、これで最後だと思う名残惜しさ。
 僕はポケットからジッポーライターを取り出す。しゅっ、と擦って伸びた炎の揺らぎ、二人でそれを見つめてから、彼女は小さく頷いた。
 火の付いたままのライターを、さっきまで彼女が立ち古い世界に向けて言葉を投げていた演壇の方へ投げる。地面に落ちたライターは灯油を引火させて、ステージ上は瞬く間に炎で覆い尽くされる。炎はステージを駆け下りて下段の死体を貪っている。幕引きだ、この世界の。それに、僕らの。炎はもう間もなくこのミサ場の全てを飲み込んで、古い世界の最後の生き残りである僕らも、総ざらいに食い尽くしていくだろう。そうして、この世界は僕らの死を以て生まれ変わるのだ。
 燃え上がり酷い匂いを立ち上らせている死体達。古い世界に疑いも持たずに生き、その性で僕らをそのう類牢獄に閉じ込めていた者達は、僕らに騙されて自滅し自分達の生きた世界を終わらせた。でも、それは僕らお同じことなのだろう。僕らも結局この世を出ることが出来ず囚われたまま、光に満ちた新世界に羽ばたくことが出来ない。何かに騙されて無為に死んでいった愚かなこの死体達と、何ら変わらないのだろう。空しさは、否定できない。それでも、僕らはこれを「最善」だと信じて行動を起こした。そして成し遂げたのだ。
 燃え上がる炎に目を取られてみとれていると、彼女の手が強く僕の手を握ってきた。彼女の方を見る。頬が紅潮しているのは、炎の熱気のせいばかりだろうか。古く閉塞した世界が終わり、輝く新世界を前にした興奮と、それを自らの手で成し遂げた達成、それにこの短い期間に余りにも多く起こった出来事への思いが一挙に押し寄せる万感が、きっとある。
 僕らは興奮していた。性的な興奮も内包したもっと大きなエクスタシーだ。炎はまだ少し向こう側を焼いて回っているだけだというのに、体の奥がめらめらと熱く、だというのに夜の湖のように静かな水面。空虚な思いを覆い隠す終末への法悦が、二人の体に渦巻いているのを感じた。
 僕らの中には、僕ら二人の間にしか通用しない別の宗教が出来ている。僕らは今、二人だけが共有できる絶対のドグマに従って終末に身を投じる宗教的エクスタシーの坩堝にいるのだ。焦げて脂を浮かべて燃えていく死体に成り果てた奴らは愚鈍な宗教者だったが、僕らも大概に愚かだでも、幸せだと、思う。僕は彼女といられて。彼女も何か、彼女なりの幸福をこの世界閉じる場所に見出しているはずだ。彼女と一緒の世界を見据えて歩いて行くことが出来て、一緒に終わることが出来て、僕は今最高のエクスタシーにある。こんなにも最高のセックスを前にして、肉の摩擦なんてどうでもいい。
 彼女が、炎に照らされた表情で僕を見ている。熱い吐息は荒くて、僕の手を握る彼女の手から熱くなった多いをンを感じている。僕が視線を返すと、僕らは再び口づけた。今度はもう離れないって、お互いに離さないって、目映く僕らを照らし、いずれ僕らを飲み込んでしまう炎を背景に、僕たちは何度もキスをした。何度も、何度も、何度も何度も何度も、言葉も交わすことなくただ抱き合って、キスをした。



§§§



「リグル、ごはんつくって」

 コウガイビルの世話をしているボクの背後に、鼻にかかったような丸っこい声がかかる。ボクはコウガイビルたちにあげていたご飯を一旦中断して腰を上げた。

「今日はルーミィの当番じゃないか」

 声はルーミィのものだ、今更聞き間違えることなどない。振り返ってみて場それは案の定だ。

「つくったよ」
「? だったらボクが作んなくたっていいじゃない」
「でもつまみ食いしてたらなくなっちゃった」
「……作り直せばいいんじゃないかなア?」

 ルーミィが担当の時はこういうことが多い。妙に量が少ないとか、何故かボクが作り直しているとか、そもそもすっぽかされているとか。

「おいしくなかった。やっぱリグルのごはんがいい」
「自分で作った料理はあんまり美味しくないもんだってば。ていうか美味しくないのに全部食べたの?」
「べつばら?」
「何と別腹なの」

 コウガイビルたちがボクの足下でせっせとご飯を食べているのでボクもお腹が空いてきたなと思っていたところに入ってきたのは、こんな悲しいニュースだった。

「ボクもそろそろご飯だなって楽しみにしてたのにそんな知らせってなくない?」
「あーいいなあ、レミリアちゃんのところはご飯が地下室にいっぱいおいてあるのに、いつでもたべほうだい」
「それは……あんまり人に言っちゃダメだよ」
「そーなの?」

 紅魔館の地下には人間牧場があると噂されている。噂じゃなくてもう妖怪達の間では公然の秘密なんだけど。大きな罪を犯した罪人や知らなくてもいいこの世のシステムを知りかけてしまった人に限ることで博麗も黙認してるらしい。でも堂々と口に出来ることでもなかった。
 それはそうと、ルーミィは昔からよく紅魔館に顔を出しているみたいだ。確かにボク、ローリー、チー、ルーミィの中で、一番古くから紅魔館とつながりを持っているのはルーミィだ。紅魔館側からの認知はチーに対しても相当早いらしいけど、チーが大型の妖精として独自の動きを持ち始めたのは比較的最近のことで、ボクらが4人で行動するようになったのはそれからすぐのこと。そのときにはルーミィはもう紅魔館の中に入ることがあるらしかった。ボクは放浪型の生活を止めて定住をし始めたばかりだったし、ローリーも同じ。
 仲が良くていつも一緒にいた、今では4人ひとかたまりで、紅魔や博麗あるいはたまには守矢と折衝することもあるボクらだけど、ルーミィはあんまり昔のこととか身の上のことを喋りたがらない。曰く、よく覚えていない、と言うのだ。
 そもそも|風見辺境伯《TheSleepingDandeLion》の隷下であるボクらが紅魔館に気軽にアクセスできるのはルーミィの存在に因るところが大きい。と言うかレミリアさんに〝ちゃん〟付けってどういう感覚なのだろうか。

「そいやルーミィよく紅魔館に行ってるけど、何してるの?」
「めーど」
「ん?」

 いまなんとゆった?

「めーどのお仕事」
「……は!? いつから?」
「ずっとまえ」
「うそお!?」

 おうちで暇だから。レミリアちゃんがお勧めしてくれたの。とか暢気にゆっているけど。

「それ、幽香さんに知れるとあんまりよくないんだけど。ていうか、レミリアさんも何のつもりなんだ」

 確かに紅魔館の付近に住んでいた経緯があって直接の関係は深いものの、ボクら|四則同盟《カルテット》は、八博体制の上では|風見辺境伯《TheSleepingDandeLion》の領有するところであり、同じく辺境伯である|紅魔卿《TheKarmazyn》レミリア・スカーレットとは系統を異とする。仮にボクらが紅魔館の元で何らかの業務を行うなら、それはレミリアさんは幽香さんに黙ってボクらに人夫役を課したことになり、越権行為だ。ボクら|四則同盟《カルテット》が|風見辺境伯《TheSleepingDandeLion》の下で一定の|居領地《ナワバリ》を認められていている以上、この越権行為はボクらの|居領地《ナワバリ》が|風見辺境伯《TheSleepingDandeLion》から|紅魔卿《TheKarmazyn》へ略取されたと言われても仕方がないのだ。そうした混乱を防ぐために、八博体制下では繁閑に応じて人員を流動させることを禁じている。
 旧在の|風見辺境伯《TheSleepingDandeLion》に対して|紅魔卿《TheKarmazyn》は比較的新しく、事実紅魔の領有が規定されるとき、幽香さんの|居領地《ナワバリ》から一部が割譲された(博麗の指示による)経緯がある。当時幽香さんは余り気にしていないようだったが、同様のことが何度も重なるならどうなることかは分からない。
 ボクらは基本的にいつも|紅魔卿《TheKarmazyn》レミリア・スカーレットと|風見幽香辺境伯《TheSleepingDandeLion》の大国の間で肩身の狭い思いをしている。博麗はどうも、ボクらが間挟まってジタバタしているのがクッションになっていると認識しているらしく、全くボクらの立場を改善しようとしていくれない。勘弁して欲しい。

「そこはリグルがうまくやるだろうって、レミリアちゃんが言ってた」
「また|人《ボク》任せ!」

 八博体制内では、ボクら|四則同盟《カルテット》は一応は共和制小連邦として|風見辺境伯《TheSleepingDandeLion》の隷下にあるが、主にボクが全部の責任を《《負わされて》》いる。合議も協議もなくボクはいつも代表取り締まられ役で、その割に|居領地《ナワバリ》内のことは余り任せてもらえない。域内の小妖怪や妖精の威武均衡はチーが睨んでるし、輜重や霊力の出納他内政的なことローリーが回している。ルーミィはこんな具合なのに情報屋。でもなんかあったときに幽香さんのところやら博麗神社に出頭させられるのは必ずボクだ、ぐう公僕。

「いやいやいや、まずいでしょお! ていうかバレて幽香さんに報告する身にもなってよお!」
「あれー、でもなんかこないだ、ゆーか姉紅魔館に来てレミリアちゃんと何か話してたよ。私お茶出したし」
「ギャーバレてんじゃん! ていうかわざわざそこでルーミィに給仕させることにレミリアさんの悪意を感じる!!」
「めーどさんくらい平気でしょ~」
「それ決めるのルーミィじゃないの、幽香さんなの。もしかしたら博麗なの! 勝手に決めないでよ、そういうことはちゃんと確認してから」
「じゃあリグルがゆーか姉に聞きに行ってきたらいいじゃん。あっこゆうゆうはいれんの、リグルだけなんだから」
「……えっ……?」

 あれ? これ墓穴?







 一応公館に顔を出したが、自称死神という下僕の女の子にここにはいないと門前払いに遭い、じゃあと自宅に来てみたら案の定寝ているらしい。やっぱり普段の細々した公務は悪魔の姉妹に任せているのだろう。幻想郷の大物は基本的にいつも寝ていて、お陰で下々がのびのびしている気がする。
 魔界棲性肉食植物を魔術で機械的制御した入館管理機構がロックを主張していた。目の粗い鉄格子の門、その目を埋め尽くすほどの茨が絡みついた前に立つと、薔薇の花の中央に山羊の目玉が埋め込まれた様な蔦性の植物が幾つもボクの周囲を取り囲んだ。茎は獣の脚と同じくらいに太く、植物にも拘わらず躍動感を持った筋肉質を感じさせる。呼吸と血液に意識さえ感じる動的な植物が、私邸への最低限の入館管理を行っているのだ。それでも所詮は制御植物、高位の悪魔を配置した公館のそれに対して最高権力者の私邸にも拘わらず手薄な感はあるが、現実的に幽香さんの寝込みを襲ったところでどうにか出来る存在などほとんどいない、実際には邪魔されずに寝るための最低限の機能と言うことだ。この門がロックされていたとしても、ボクにはこれを無理に押し通る必要はない。

「ナイトバグ|眷魁《ロード》、リグルです」

 取り囲んだ幾つもの有眼魔花の内正面にきた一輪に向かって名乗ると、無数の花はしばらく360度全方向からボクを品定めして嘗め回すように見た後、しゅるしゅるとその丈を引っ込めて元の位置に戻った。鉄格子の門の僅かな場所から蔦が除けるように動いて消え、そこには門扉の取っ手がある。入ってよいという表示だ。
 ボクはこの館への顔パス権を持っている。自負すればこの許可がある者はそう多くない、精々博麗の巫女やそれ以上の階位の者だけだ。ボクは、特例と言えば特例で、まあこのせいで3人からの〝公僕〟をさせられているのだけど……。
 幽香さんの体は、その権や妖怪としての力の大きさにも拘わらず、非常に慎ましいものだ。幽香さんが重視しているのは建造物のサイズや造形ではなくその土地の植生と範囲の方で、他の伯卿とは価値観が少し違うのらしい。私邸のサイズは、人間達やボクら低級妖怪の棲まう民家と大して差がなかった。いや、それよりもかなりメルヘンチックだろうか。人物像に合わない、などと口にしようものなら命はないかも知れないが。
 ノッカーを叩くとややしばらくしてからのそのそと音が聞こえてきて、扉が開いた。



§§§



 ドアが開いて、手だけが伸びるように部屋に差し込まれる、食事の時間だった。お盆の上に乗った食事からは食べ物らしい香りもしない、いつの頃からかヴィーガニストとなった母は、動物性の食品を全く摂らなくなり、それを家族にも課している。食生活は随分寂しいが、かといって僕にはまだ一人で生きていく力は無い、それをどうにかすることは出来ないし、何よりそんなことは僕の今の生活から考えるなら大した問題でも無い。

 がちゃん

 お盆の上の晩ご飯が部屋の中に入ったのを確認して、手はひゅるりと引っ込みドアは閉じられた。鍵がかかっているわけではないし、僕は部屋に入ってくるなと家族に怒鳴り散らしたりもしない。トイレに行きたければ行きたいときに行くし、学校にだって一応行っている。表向きは社会生活を普通に営んでいるが、家族はそうは見ていないようだった。
 学校に行っているのは、僕が徹底的に抵抗したからだ。母は、そしてそれに従う父は、僕を世俗の教育機関で「汚れる」ことを大いに嫌った、母は何らか僕のよく知らない組織(恐らく母の信ずる宗教に関わりがあるのだろう)が営む教育機関に入ることを望んだが、僕はそれを拒否した。子供心に何か気持ちの悪さがあって、なんと交番に飛び込んだのだ、今の自分から見れば信じられない行動力だが、それを何度も繰り返す内に普通の小学校に編入することになった。それ以来「|世俗の《まともな》教育」を受けているのだが、親たちはそれを気にくわないのらしい。給食で出された普通の食事も、僕には救いだった。家に帰れば、この通りなのだから。
 いただきます、を言う気にもならないが、それを罪悪には思っていなかった。作ってくれた手間はこの家の中にはない、だってこれはただどこかで購入された(多分近くのスーパーだろうが)サラダとオートミールに、ナッツ、豆腐だ。そして僕はその教義をよく知らないし知る着も起こらないが、ヴィーガンというのがその根底に動物愛護の動機を持っているのなら、その食物については罪悪感を感じるべき物は含まれていない筈なのだから。食べるために殺す命と、作ってくれた手間、そのどちらについてもこの家の中に感謝すべき事物は含まれていない。スーパーのお惣菜調理のおばさんや、植物を育てるのに使用されているのかも知れない動物由来の肥料については、もはや「いただきます」の祈りの効果範囲の外という感じがする。せめてここに肉が置いてあれば、その祈りも届く気がするのに。
 ただ、「感謝」という感情と行為で奪われた命を埋め合わせできるのかという点について、確かに僕のお祈りパワー()はそんなに強くないだろうな、と思うので、ヴィーガンの歪さを指さして避難できるほどの言論を僕は持っていない。仕方が無いのだ、という言葉でごまかすしかないのは、否定できない。腑には落ちないが。
 菜食生活が気にくわないと、そういうわけではない、そんなことは些細な問題だからだ。僕はこの家の中で腫瘍のように扱われている。腫れ物ではない。毒物で、切除が望ましく、転移の可能性があり、死に至る、悪として。



§§§



「お待ちしておりました……あれ?」
「おお、苦しゅうないぞ」

 出迎えたのは、身なりの整った男性だった。ふむ、もっと汚い下男が出てくると思ったのだが。垣に囲われた家を見るにこの地域でそこそこ権力を持った家の様だが、下働きの男にもこれほど小綺麗な格好をさせるとは、なかなかのモノらしい。

「道士様のお力はこんな辺境の里でも、大きく耳に聞こえます。是非道士様のお力で」
「挨拶はよい、我を崇めても何にもならん、我ではなく太子様を讃え給えよ。ふふん」
「して、道士様はどこだ? お付きの童は、ここで待っててくれ」
「はあ?」

 男はきょろきょろと辺りを見渡すように視線をさまよわせている。

「おう、そなた、今誰と会話しておったのだ。見えない誰かと会話しているのか? ここには我しかおらぬぞ」
「ええ、そんな。こんな童一人を寄越して当日ドタキャンなんて、人が悪い。私の方はいつでも予定を空けますので、確実においで下さる日をお知らせ下さいと、道士様に伝えてくれ」
「じゃから」

 男はがっくりと肩を落としたようにして、垣の中に戻ろうとする。落胆具合は一目に分かる、一体何を期待しておったのだ、まさか太子様が直々にご覧になるとでも思っていたのか? 私は自分の名前を出してこの男に話を聞くことになっていたのだが、何を勘違いしておる。

「物部の道士様がいらっしゃると言うから時間を空けたのに、ああ、今日の予定繰り上げが全く無駄になってしまった。ああ、童、道士様のお返事が聞けたらまた来てくれ」
「まてい」
「なんだ。駄賃か? わかったわかった、今草饅頭をやるから」
「童ちゃうわ! ていっ!」

 ぱりん!

「痛! 何をするんだ!」
「我がもにょにょぶぇのげふっ」

 噛んだ。

「ああもう、わかってる、饅頭が欲しいんだろう? 皿があるなら先に言え、今持ってくるから。まったく……道士様の付き人だからっていい気に」
「我が物部布都じゃ! 不届き者め、もっと我を讃えんか!」
「はっ。 子供がそんな冗談を言っちゃいけない。物部の道士様はもっと」
「もっと何じゃ」
「おっぱいの大きな」
「決めたぞ、この家は放火する、絶対にだ」

 と、しかしその足下を見ると、確かにこの者が相談したいと言うことが、その通りなのだと分かった。



§§§



 目のやり場に困るので足下だけ見ていた……裸足の足先まで、色香。寝ぼけ眼とピンクのパジャマは前のボタンが弾けて開いたままになっている、まとめないまま寝ているせいで悲惨なことになっている髪の毛で、幽香さんはボクを出迎える。

(お、おっぱいが……)

 扉が開くなり、覗いた顔はいつもの……いや、いつも以上に不機嫌なものだった、寝ていたんだから当然だろうか。そんなのよりも、パジャマの胸元がですね。

「あー? 何の用? 《《伽》》にでも来たの?」
「ち、ちがいます……」
「あ、そ」

 交えられた剣呑な言葉にも、うまい答えが出来ない、冗談で言っているのだろうけれどボクには全く笑えない奴だ、この人も冗談が上手な方ではないだろう。
 何の用かと不機嫌そうではあるが、とりあえず中で座ってなさいと部屋に通された。通されたと言うよりは勝手に入ってろと言う感じで、幽香さん自身は自室に戻っていく。着替えてくるんだろう。
 幽香さんの家のは基本的に綺麗に整っているのだけど、時折不自然な場所に草が生えていたりする。特に多いのはアカツメクサだ。好きなんだろうか。
 ソファに座って待っていると、いつもの赤を基調にしたギンガムチェックの普段着に着替えた幽香さんがでてきた。服装だけではなく髪の毛も整いメイクもきっちりしてあって、30分程度だったのに随分な変身具合だ。印象が全然違う。つくづく女性のこれは、魔法だなあ。

「で、何?」

 扉を開けて入ってくるなり、ボクの方には視線もくれずにつかつかと自分用のチェアに向かいながら、用件を問うてくる。服装は替わったし寝ぼけ眼もさっぱりと直っているけれど、寝起きの機嫌の悪さは収まっていない……かな、いつもこんな感じかも知れないし、幽香さんは普段から虫の居所がよく分からない人だ。
 ぶっきらぼうに、どっかと椅子に腰を下ろしてようやくくれた視線でボクを見る目は、いつも通りの気怠そうな三白眼。でも、口元がほんの少し、緩んでいるのがボクには分かった。何故笑みが浮いているのかは分からないが。切れ長の瞼の中で流し目に動く三白眼が、ボクをじろじろと見ている。幽香さんはいつもこうだ。どこか、何かボクに苛立ちを持っているような、歯がゆそうにボクを見る、でもそれをおちょくるように楽しんでいるみたいな。ボクが|四則同盟《カルテット》の代表取り締まられ役として不甲斐ないから嗤っているのに違いないが、それだけだろうか。何か致命的な不足がありつつ、それでも何かを笑ってボクを見ている。その視線を前にするとどうにも不気味と言うか、居づらさがあるにも関わらず、ボクにとって幽香さんは依然として太陽の様に眩しい存在で、何がそうさせるのか分からないけど、傍にいたいと思ってしまう。こうして面会特権を貰う理由はそんなボクの思い上がりを、気紛れに汲み取って貰ったものに違いない。

「あの、我々|四則同盟《カルテット》の一人、宵闇のルーミアが、どうも紅魔館で労役に就いているらしいのですが……」
「あー、その件ね」

 あ、やっぱり承知されてる。

「わ、我々に紅魔に鞍替えする意図があってのことではないと、説明を」
「別にあんたらが紅魔に行ったからって、大して痛くないわよ。どうせあそこと戦争になんかなったら手下共のどんぱちなんて茶番、結局私とあの吸血鬼の勝負で決まるんでしょ、あんたらなんてどこにいたってどうでもいいわ」

 うぐ。そうなのかも知れないけど。でもそう言うキナ臭いことは冗談でも口にして欲しくない。

「まあ、無策でやり合いたい相手ではないけどね。あの娘は人夫出ししたのよ、依頼があってね。あんたら、どうせ普段暇でしょ。」
「おかげさまで毎日多忙というわけではないですが幽香さん、簡単におっしゃいますけど、人夫出しは八博体制下では違法行為で」
「あ゛あ゛? そっちこそ簡単に言うわね、あんたら将官級って何もしてなくってもいるだけでコストかかるのよ、平時はその辺の生産性隷従の方がよっぽど役に立つの、わかってんの? だったらあんたも何か仕事しなさいよ、タダ飯食いが」
「し、仕事と言われても」

 タダ飯食いって、ボクら|居領地《ナワバリ》の安堵と霊脈パイプラインから多少の霊力供給を貰ってるだけで、普段のご飯は基本自給自足で賃金らしいもの貰ってないンですけど……。まあそのお陰で随分生活は楽だし、他の妖怪達より強力であることが担保されているのは確かだけど。
 ていうか結構業務把握してるんだなあ。

「まあいるだけでコストってのは私自身もそうなんだけどね。八博の機関として仕事してるのは夢幻で、私は寝てばっかりだから。でもそれは別、私は偉いからね。」
「わー」
「いざというときに博麗付の暴力として機能すりゃいいのよ、雑魚のあんたと違ってね」

 とはいえその後、この大妖怪が人間社会で八百屋やら花屋やら、妖怪相手の造園業をし始めたりしてボクが駆り出されるのだが、それはまたの話。
 幽香さんは、ふう、とひとつ息を吐いてから話を続ける。

「|闇の顕現《あれ》は、ちょっと事情があるの。紅魔にも、博麗にも、話は通ってる。勿論私も承知しているわ。|闇の顕現《あれ》の人足代は受け取っているし」
「事情? それは」
「あんたには関係ないことだけど」

 関係のないこと、だなんて、あって欲しくない。ルーミィはずっと一緒にやってきたボクらの仲間だ、突然生じた特例的な状況があったとして、よこから茶々を入れられてボクらが部外者にされてしまうなんてこと、あって欲しくない。

「|四則同盟《カルテット》のことで、私に関係ないことは、ないと存じます」
「知らなくてもいいことってのは、どこにでもいくらでもある。あの娘にも、博麗にも、それにあんたにもあるだろうし、私にもある。」
「私には、そんな」
「無いなんて思ってないし、答える必要も後ろめたく思う必要も無いわ。|幻想郷《この世界》は、生きる後ろめたさの坩堝であること、理解しているつもりだわ。私自身そうだしね。|幻想郷《この世界》に真の意味での平和なんて無いことを、あんたもいい加減知りなさい」

 後ろめたさ。ボクにだって、余り人に言いたくない過去の一つや二つ、ある。ボクはルーミィの過去をよく知らないのは確かだけど、ボクら|四則同盟《カルテット》がお互いの発生や|幻想郷《この世界》での因縁について、本当の意味でお互いに知っているかというと、そうとは確かに限らないだろう。少なくともボクは、みんなに伝えていない過去の話がある。隠したいわけではないのだけど、それを余り言いたいと思わないし、この先言う必要が生じるとも思っていない。
 幽香さんにもきっとそう言うところがあるのだろう。ただ、ルーミィの過去について、幽香さんやレミリアさん、あるいは博麗が何か知っているのだろうと言うことは、多少の気持ち悪さを禁じ得ない。もしかしたら、ただの嫉妬なのかも知れないけど。ずっと、一緒にいたのは、ボクらなのに。
 何も言い返せなくて、何も深く聞くことが出来なくて、黙ってしまったボクを見て幽香さんは、話をクロージングしてくる。余計な詮索はするな、そう言っている。

「あんたらは今まで通り仲良しごっこをしてればいい、それこそ有事にはきちんと動いて貰わないといけないのだから。精々休める間に休んでおきなさい」

 有事、って、何?
 もしかして、幽香さん、レミリアさんと戦争でもするつもりなの? ルーミィは表向きはただの労働力でも、実はスパイとして紅魔館に送り込まれたってこと? ルーミィは|四則同盟《カルテット》の中でも、ローリーと一緒に諜報の担当をしている、それも広域や通信領域のローリーと違って、局所的工作的な方、つまり密偵活動が彼女の本領だ。
 ルーミィは「レミリアちゃんにお勧めされて」なんて軽い口調で紅魔館のメイドを引き受けたのらしいし、その上でボクをこうして幽香さんのところへ向かわせたのを考えると、彼女自身も何が起こっているのかをよく分かっていないのかも知れない。何か大きな動きが生じている、少なくとも幻想郷の辺境伯二人を巻き込み博麗に事実追認させる位の規模の動き。それをボクらは、一番深い形で関わっているルーミィでさえ、ことの詳細を知らない。
 博麗は八博の体制に影響が出ない、あるいは人間に害が出ない妖怪同士の抗争については余り関与しない。もし、本当に幽香さんがレミリアさんを潰そうとしているのだとしたら。

「幽香さ……辺境伯、宵闇のルーミアは、戦争に」
「くどいわよ、ナイトバグ|眷魁《ロード》、リグル。これは、お前の出る幕ではない。」



§§§



「お姉さま、流石に私にもわかります。これは私の出る幕ではないというのも、痛いほどに分かります。確かに私はあまり頭が丈夫ではありません、中に入っているものもアプリコットジャムと大差が無いという自覚もありますが、それでも私にだってわかるんです。」

 アーチを描いて整列する、それ一つずつが門であっても不思議のないサイズの窓に嵌められているのは、見事な一枚板硝子だ。紅魔館以外にこれほど均質で大きな一枚硝子の供給を受ける場所は存在しないし、それを作り出せるのもこの幻想郷には紅魔の御用職人だけだ。硝子そのものが希少品で、加工技術は一般化されていない。そんな素材を、しかしそんな豪奢な素材とは思わせぬほど大量に使っているところに、紅魔の巨大な富と、それを支える工業技術の高さを見いだせる。

「どうした、フランドール。いいか、アプリコットジャムは物を考えない、イチゴジャムだろうがオレンジマーマレードだろうがそれは同じ、〝わかる〟というのなら益々のことだ。して、何が〝わかった〟というのだ」

 紅魔では宮廷魔術師が重用され全域的に魔術が幅を利かせているため誤解されがちだが、その工業技術水準は妖怪の山の麓に自治領を持つ職能集団「河童」に次ぐと言われている。河童の「科学」は常に被差別民として生きてきた河童の性質上権威と結ぶことなくひっそりと発達し、全く資質のない者でも一定の効果を得られる方向に発展している。それに対し紅魔の「存掛位」は貴族権威主義と癒着して発展し、精霊魔術と強く結びついて資質のある限られた使用者にとって巨大な力をもたらす方向に成長した。
 紅魔館の窓の巨大な一枚硝子は、全く機械的な手段のみ出作られたものでは無い、適宜魔術の力を借りて形成される。また紅魔の硝子は、河童の作る珪酸塩を主成分とするものでは無い。魔術により強制的に微小結晶を集じガラス構造を形成して固着させられた他の成分を用いる。この紅魔館で用いられる場面ではそれは多くの場合、この館の主が収集し、或いは民から進んで捧げられる、人間の血液だ。
 そうした|特殊《残忍》な素材で作成された紅魔の硝子は魔力吸蔵能に優れ、内部に封じたマナを組織化することで特殊な効果を持続させることが出来る。ここでは主に、吸血鬼にとって不快な波長の光とそれが持つ浄化効果を遮断する効果を与えられていた。
 フランドール、と呼ばれた見た目幼い少女はそのずらり整列して全く同じ形の口を開く硝子窓を撫でるように指さしながら言う。

「あの娘です、お姉様。我々には、これらの技術があります。窓硝子にはめ込んだそれを帽子に折り込むことも、世界に霧として広げることも出来ます。それに頼らずとも少々不快感を我慢すれば全くそれを押さえ込めるだけの力も、この身に備わっています。ですから、不要なのです。お考え直し下さい。」

 声を大にして何かを抗議する少女、小さいと言うよりももはや幼い容姿で、まとう炎の燃える様に鮮やかな紅色のドレスは大きく背中が開いている。痩けた、とまで表現できる薄い体が肩甲骨から脊椎を浮かべているがそれよりも目を引くのはまるでステンドグラスなカラフルでガラス質な八面体が複数ぶら下がる、背中から突き出た奇妙な形の骨。少女の背中から二本伸びあがり、色鮮やかな半透明のガラス質は左右非対称に左側に4つ、右側に3つぶら下がっていた。それぞれその中心に何かの動物の心臓のような物が封じ込められている。或いは小さな人型の何か、或いは何かの目玉、石、髪の毛の束のような物。それは紛れもなく贄の術式であり、そんな物を背に7つ背負いながら、その少女はそれを気に留める様子もなく、姉、とする人物へ声を投げる。

「あんな穢らわしい黒をこの紅魔館に招き入れるなど。|四則同盟《カルテット》ということは、あの花妖の要請ですか? そんな要求突っぱねて……いえ、あの花びら女諸共私が壊して見せます、お姉さま」
「フランドール、早まるなフランドール。あれはそういったものではない、断じて光と白に負けて私はあれに頼ろうというのではないぞ。風見のとの確執もない……ことになっている、公式にはな」

 何かを思い出したように、ふん、と漏らして眉をしかめる。
 姉なる目の前の女性もまた小さく幼気を感じさせるが、天井に向かって背を高くそびえ立たせた慇懃な飾り椅子に、浅く腰掛けて横柄に足を組みくるりと先を巻いたアームレストに肘を、そして頬杖を突いて目の前のフランドールとやらを見る眼は高慢そのものだ。こちらの背に生えるのは、奇妙な石をぶら下げた骨ではなくコウモリのそれ、悪魔を正しく想起する姿を見せている。妹同様赤いドレスをまとっているが、こちらの赤色は深く濃く、暗い。組んだ足のせいでドレスのスカートの裾は派手に乱れているが、それを単に粗野な振る舞いと片付けるのには、いささかそこに立ちこめる威厳が邪魔をする。
 妹を前に立たせる姉が、椅子の上で脚を組み替えた。妹の足下には、円形の内側にまるで不規則に剥げた金属メッキのような奇妙なレリーフをあしらった奇妙な文様が描かれている。その剥げの様な形一部が、赤く染まって鈍く光を放っていた。それは、世界に向かって紅魔の勢力がどこにありどこに向かうべきなのかを眺めるミニチュアだった。それを地図と呼ぶことを、多くの幻想郷の住人は震え上がって拒否した。こんな広域で詳細、それに円形をしている奇妙さを受け入れないのだ。
 この奇妙な地図を作ったのは紅魔館に仕える宮廷魔術師、計算と予測から世界を球形に定義した。この幻想郷に、この世の果てへ到達し(そしてその情報を持ち帰った)た者はまだ存在しない。上は月へ至る経路もしれているがそこ止まり、下は地底の国もしれているがそこ止まり、それにまして東西南北へはそれよりも遙かに未知、せいぜい隣に神奈備と呼ばれる国があるのがしれている程度だ。赤い光を放っているのは、ほんの小さな領域でしかなくそれは紅魔が支配する領域、そして紅魔を内包する幻想郷と示された範囲はそれよりも広いが、それでも全体に対してはほんの僅かな広さしか持っていない。神奈備の逆側には、比較的新しく幻想郷に組み入れられたのらしい、同じ色に塗られているが境界線を擦消した形跡がある、これは天狗の棲まう妖怪の山と河童の隔離区画を含んだ山岳地帯一帯、即ち守矢の領域だった。この地図は、それよりも遙かに広く、世界を描き出していた、未踏の地まで。
 紅魔は水平方向の探査に積極的な珍しい勢力で版図を拡げることに意欲的なのだと、八博に加わったのも辺境伯をやっているのも、そのためだと噂されている。

「ルーミア、といいましたか、あの娘」

 妹の問いかけに、姉は無言の肯定を示す。

「何故それほどに拘るのですか、あの弱小妖怪などに? ああ、それともお姉さま、あれを丸め込んで買収して花妖の逆スパイに仕立て上げるおつもりですね!」
「フランドール。逞しい想像力だそれは、支配者に必要な資質だ大切にするがいい。だが今回ばかりは見当違いだ。」
「……では、何故」

 不服そうな|フランドール《妹》に向かって眼を細め、少し笑う椅子に腰掛けた姉。ふわりと浮かび上がって椅子から立ち上がり、柔らかくつま先から着地する。|紅魔卿《TheKarmazyn》を体現した真赤なブーツの踵が、かつん、と地面を鳴らした。

「お前もそうだが、私もかつてはそうだった。この幻想郷に棲まう多くの者は今でもそうだ、誰しもがその事実は承知おいているのに、その実を侮っている。あの|ガキ4人《四則同盟》の歴史は、恐らく知れているよりも余程長い。寄り固まったのは最近のことだが、それぞれはもっと旧くから存在している、それは誰しもが知っていることだがその意味するところを、多くの者はよく理解していないのだ」
「といいますと?」
「いつも面倒事を押しつけられている虫は、あれでいて人間よりも遙か昔にこの地に現れた、おそらくはあらゆる獣達よりも昔からこの土地に住む最長老だ、我々の年齢など赤子同然、齢を経ていることは何をおいても力の源となる。雀は|四則同盟《カルテット》が形成される遙か昔から虫と行動を共にしていたし今でもそうだ、驚くべきことだが有羽の虫は雀の元に移管されている。あの鳥は、得体も由来も知れぬ。」
「旧ければ大きいというわけではありません。現にあれらは新参の花妖の下で小さく生きています」
「まあ聞け。氷精、あれほどに巨大に育つまで生き延びた自然記号を、他に見たことがない。妖精として格別の存在である以外に、自然エネルギーを意のままに操れることは、相当なことだ。奇しくもその自然エネルギー操作の根本は、極限の物理に通ずるらしい。パチェでさえああした者達から力を借りなければ得意の魔術は使えないのだから、小さいはずがない。」
「精霊になると?」
「いずれな、それも相当|質《タチ》の悪い奴だ。それを促しているのは|四則同盟《奴等》の食性だ。妖精は本来ヒトなど喰わないが、他の三人に交わるせいでただの自然記号が、肉食を得ている、末恐ろしいと思わないか。|質《タチ》が悪いのは、4人ともということになるが」
「|四則同盟《カルテット》を解散させればいいだけです。」
「フランドール。ヒトの血肉魂には、中毒性がある。一度その味と栄養価を知った体が、易々それをやめられると思うか? それを最もよく知っているのは、|吸血鬼《我々》ではないか。例え|四則同盟《カルテット》を散らしたとしても、アレは一人でヒトを取って喰うだろう、やめられるはずがない。」
「……それであの娘は、ならばなんだというのですか。いずれにしても、私やお姉さまが殺せない相手だとは到底思えませんが」

 不機嫌とまで言えそうなほど表情を曇らせている妹は、足下に広がる円状の地図に視線を落としながら、つま先でとんとんとそれをつつくようにして、尚も姉の言葉を疑う。この疑問はこの妹の世間不知が導く愚問ではない、姉がああ言った通り、幻想郷に住まうほとんどの存在は、妹と同じ感覚を抱くことだろう。だが、姉ーこの小娘こそが、大貴族〝紅魔〟の首魁、レミリア・スカーレットだーは口を「へ」の字に曲げたままの妹を見て、したり顔で言う。視線は妹の表情を見た後、そこから滴が落ちるように下へと視線を落とした。

「それだ、フランドール」
「それ?」
「|幻想郷《この世界》はまるで宴の様に眩しくて愉快だろう、〝弾幕ごっこ〟と称して神楽舞の贋物を繰り広げているのだからな。閉じ込められた日のことを思い出してしまうことも、あるだろう。」
「はあ」
「あの娘に押し込められた《《それ》》を、そこから出しては、ならないのだ。|侮られたクセモノ四人衆《カルテット》の中で一番の〝腫れ物〟はあの|闇の顕現《ルーミア》だ、それは八博にとっても不都合な真実なのらしい。あれの面倒を見るのは、博麗を相手にした紅魔の国益なのだよ、フランドール。それに、お前の想像通りになる可能性も、十分に見越してのことだ」
「想像、というとあの娘を」
「フラン」

 フランドールの言葉を、レミリアは遮った。

「皆まで言うな。一度なら、戯れで済む」



§



 地球が丸いというのが、なんとも皮肉に思えていた。丸いから、時間は延々と一方向へ流れる(少なくともただの人間である僕には、それ以外の知覚形式を持っていない)のに、まるで何度も何度も繰り返すような錯覚に陥ってしまうのだろう。まるで、こんな日々が永遠に繰り返されるような、そんな閉じ込められたような感覚。地球が丸くて、月が丸くて、天球が丸くて、時計が丸くて、その丸さが世界の全てを示しているなんて、何度も何度も繰り返すなんて、酷く残酷な世界の仕様に思える。

 おお、おおお、お、あおお、あお

 それは隣の部屋から、毎夜聞こえてくる呪詛めいた祈り。
 狂気、という言葉が僕は好きではない、もしそれがこの世に実在するのであったとしても、その持ち主にとっては立派な理性なのだろうと思うから。それを理解できないとき、ただの諦めの証として、敗北の証として、安易で陳腐で軽薄な拒絶の証として、「狂気」という言葉を使うのだ。
 地面を這い伝って僕の脚から入り込み僕の精神をどうしようもなく蝕もうとする音の波を、まだ、僕は理解出来ないでいた。狂気、とその四六時中響き続ける|祝詞《呪詛》を切り捨てられるほど、僕はまだ世界を知らない。だがこの世界から出られないのも事実だった。どうにかしなければ、と、思う、思うばかりだが。いつかきっと、肯定的に捉えることが出来るのだろうか、それこそが、まともな大人になるということなのだと信じている、それ以外に辻褄の合う筋書きが僕には思い付かない。この不可解に対する忍耐が尽きると、僕がこれを理解してしまうのと、どちらが先だろうか。……時間の流れというのは、何かに耐えている間は信じ難いほどに遅いものだ。

 お、おおお、お、あおお、お

 隣の部屋から漏れ入って来るその声は、嗚咽の様でもある。泣き声?
 「泣く」というのは、「行為」というには受動である。かと言って「反応」と言うには主動的で、「現象」と言うには能動である。「泣く」と言うことは、「自発」とは言い切れないが「他責」と言うには原因を内包し過ぎている。
 「泣く」は、最も原始的な、感情の発露であると言えた。喜怒哀楽に分化する前の、もっと根源的な、感情。然るに、「泣く」とは、Operationであると同時に、Stateであるように思える。「産まれる」という言葉が、自動詞であると同時に受動の形を重ねているのと、丁度似ているように。
 感情とは何か。それは、その精神的な変化を原動力とするとき、自分が確かに世界を変えられるという、根源的な学習に基づく処世術だ、自信の自覚と言ってもいい。
 赤子は、泣いて母を呼ぶ。泣いて、自分が求めるものを親に探らせ、見事その満足を得る。泣いて、自分を構わせる。赤子は、泣くことによって自分の知覚する狭い狭い世界において、望みのものを手に入れる、その規模が小さいだけで、それは世界を変えたことと等価だ。自らの全能を知る。赤子は、「能動」と「社会」とを初めて結び付け、それを操作する手段として「泣く」のだ。
 泣いても母親の適切な反応を得られない、つまり卑俗に言えば親の愛を受けない、子育てに失敗した、etc、そう言った場合には、赤子は「世界を変えられない」ことを自覚する。感情を表現することに意味を見出さない。その子は無力感とともに生き、「世界を変えるられる力を自信する」極普通の隣人に対して大きな引け目と、或いは比較して明確な異常性を持ったまま、育って行くことになる。

 隣の部屋から響いて来る祈りの声は、まるで赤子に戻ってその未分化な欲求を誰かに掬い上げて欲しいと訴え続けている声にも聞こえた。つまり泣き声。それは、子供であるならともかく、いい大人が(つまり僕の母だが)、理性を手放して何者かに救済を求める、努力無しに世界を変えようと無謀する姿、感情、欲求と緩慢な諦観に違いないと、思えていた。

 何故、僕を差し置いて、あれが、泣いているのだろう。

 僕はその祈りの声を、耳を塞いで聞こえないようにして、過ごしていた。




§§§




「泣きたくなる、この部屋は、毎回毎回……」

 ボクらは4人とも歩いてすぐの場所に居を構えている、それぞれ必要な住環境が違うので同居は難しいのだが、こうして知覚にそれぞれの環境を整えて、実質的に共同生活のようなモノだ。……共同生活と言っても、生活に必要なお仕事のほとんどは僕が押しつけられているのだけど。先日はお料理当番はルーミィから押しつけられた訳だし、普段から掃除はボクの仕事になっていた。
 毎週決まった曜の午前中は、ボクはみんなの家を掃除して回る、なんなのボク。別にそれを仕事として任されたわけではないのだけど、定住してみるとそれぞれの性格が家の中に出ると言うことらしい。ボクもボクでえいやと掃除を始めなければしない方なんだけど、ルーミィの掃除のしなさといったら無い。放っておいたらどんなに汚くてもそこで平気で生活しそうな感じで、本当に自分が寝起きする狭い空間だけ結界でも張ったみたいに片付いていて、その周囲はゴミだの使用済みの○○だので山積みになってしまう。意外にもローリーの部屋もあまり綺麗なものではなくて、モノの片付けが出来ていない。とにかく仕事関連の散乱具合が悲惨だった、ローリーは|四則同盟《カルテット》の中で膨大な事務作業を担当しているからだ、秘書の一人でも付けた方がいいのではと思って進言したが「うーん、だいじょうぶだよ」と、柄にもないだらしなさを見せられて……結局ボクが片付けている。つまりこの2人の部屋の中が放っておけなくて親切心で掃除していたらいつの間にか4人の中でのボクの義務になっていたって訳。納得いかなすぎる。ちなみに、こうしてみんなの家を掃除するようになって意外だったのは、チーが案外綺麗好きだったと言うことだ。掃除に行ってみると、いつも4人の中で一番綺麗に保たれている。余り物を持たないからかも知れないけど、それを考慮しても掃除も整理も、僕ら4人の中で一番まともだった。
 まあなんだかんだと思いを巡らせてはいたけれど、今は目の前に広がっているのは、ルーミィの部屋の汚さである。なんで一週間でここまでになるのか教えて欲しい。巣の周りにある餌になりそうなモノを何でも巣の中に持ち込む虫さんの巣の中でもこうはならない。
 リビングに足の踏み場を作り終わったところだった。台所の方にまで台所用品以外の何かが流れ込んできているし、寝室には明らかにベッドルーム以外のモノが置いていある。それどころか、要不要が判然としない者も沢山ある。

「ねーえ、これ捨てていいのー?」
「まかせる~」
(任せるって何)

 見もしないで、その判断を投げ捨ててくる。だったら最初から要らないモノなんじゃないのか。ゴミ袋行き。
 片付けをしなくていいと言われている部屋があった、それは彼女特有のものでは無い、ローリーは、そのまあ、特別だから無いのだけど、チーは寝室は掃除の対象から除外されているし、ルーミィにもしなくていいと言われている部屋が一つあった、寝室ではないが何かプライベートな物が置いてあるのだろうけど、きっと他と大差が無いくらいに汚いに違いが無い、今の声はその部屋の中から聞こえてきた。

「これ、わ、えっと、はあ、洗濯物ね」

 ぱんつが脱ぎ捨ててある。一緒にソックスとシャツも丸まっていた。一瞬は迷ってしまうが、もう今更3人のぱんつだのブラジャーだのを、こうした掃除の場面で見てもなんとも思わなくなってしまった。

「ルーミィ、洗濯するから、洗濯物、そこにあったらちょうだい。……床に転がってるので全部?」
「あー、うん。たぶん。あ、台所になかった?」
「それは回収したよ(なんで台所にぱんつがあるの)。もすこし女の子らしくしなよう」
「おんなのこらしく、って何?」
「まあ今更ルーミィのぱんつ見たって、気にしないけどさあ」
「えー! きにしてよ!」
「は、何それ……」

 意味が分からない。じゃあ今ボクが台所から改修したモノは何なのだろうか、気にすべきモノ? その前に台所にあるべきモノに思えないのだけど。

「あ、おせんたくもの、まだあったよー」
「はいはい、ちょうだい」

 声のする部屋の方へ向かうと、扉が開いていた。

「これー」
「え、うん」

 ぼっふ、と放られたのは紅魔館のメイド服だった、件の仕事用のモノだろう。だが気になったのはそっちではなかった、開かれた扉の向こうを目にするのは初めてで、しかもその部屋が想像していなかったほどに綺麗に片付いていたことだった。整然と並んだ棚、その逆サイドにはハンガーを並べた開放型のクローゼット、そこは衣装室のようだった。

「あれ、ここみるの初めてだっけ?」

 ボクの視線に気付いたルーミィが、ぱちくりとめを動かしている。着ているのは紅魔館のメイド服、洗う必要の無い綺麗な方だ。ん、だいじょうぶかな、と袖を通しながら口にしているのを見るに、サイズを確認していたのだろうか。
 他の部屋が壊滅的に汚いというのに、その部屋だけはまるで別人の管理みたいに綺麗に保たれている。ここからはよく見えないが、メイド服以外にも彼女が着ているのを見たことがないような衣装が、幾つも並んでいる。服だけではなく、靴や帽子、宝飾具、様々が並んでいた。これは、ルーミィのモノなのだろうか。入るなと言われていたこともあるが、それ以上に、こうした服を着ている姿を、今まで見たことがない。

「これー?」
「あ、ご、ごめん、みちゃ……、入っちゃダメって言われてたのに」
「いいよべつに。そこだけはちゃんとお掃除しているから、しなくていいよって意味だったし。私、めーどさんのお仕事以外でも、紅魔館によく呼ばれるんだよお。そんときは、ほら、いつもみたいな格好じゃまずいからさあ。そんなことやってたら、こんなんなっちゃって……えへへ」
「えっ、そうなの?」

 こんな服を持っていたことも意外だったが、ルーミィが紅魔の人達とそんなに親しいなんて知らなかった。随分長い付き合いだったはずなのに、そんなそぶりほとんど見せないじゃないか。

「おちゃとかおかしとか、ごちそうになるの。すごいおいしいのー。他にも、イロイロ」
「その〝イロイロ〟の内訳に不穏さなものを感じる」

 幽香さんに聞かされた一件のせいで何事までにも火薬の匂いを感じてしまう。ルーミィは何も知らされずに、紅魔館とパイプを持っていると言う理由で、幽香さんに紅魔館へ送り込まれているのだろうか。その背後で何が起ころうとしているのかボクにも全く想像出来ないけれど、誰かの誕生日パーティをしようとかそんなハッピーなイベントのためとは到底思えない。
 いや、もしかしてルーミィには何か、紅魔館の寄り深い場所へ忍び込む動機があって、これは幽香さんの私事ではなく、ルーミィの意志っていう可能性は? それを幽香さんが、通すだろうか。何かあればただ事では済まないかも知れないのに。それとも、本当に紅魔館・夢幻館合同でハロウィンパーティをやろうなんて計画なのだろうか。こうして見えた部屋が武器庫でなかったのは、喜ぶべきことなのかも知れない。

「ねえ、レミリアさんのところでしてるメイドさんのお仕事って」

 幽香さんは、ボクの出る幕ではないと言っていたが流石にもう気になって我慢できずに、聞いてみようと思った。紅魔館でメイドのお仕事って、何をしているの? 他に何か妙なことをしているのではないの? そう聞こうと思ったところで、ルーミィは急に、その場でくるりと回って、ボクの方に体をくっつけてきた。

「どおどお? みんなの憧れ、紅魔館の制式メイド服だよお?」
「え、うん」
「えへへ、かわいかろ? 男の子ってこういうの好きなんでしょ? もっとみていーよお? さわってみるう?」
「……どこでそういうの覚えるんだよ。《《たくさん》》だよ」
「む~」

 正直ボクらは長く一緒にい過ぎなところがある、ちょっとやそっとそんな物を見せられたって何とも思わない、だって昔には4人で素っ裸で湖で遊んでたりしてた仲なのだ、外見がどうのこうのよりも、兄弟感が強すぎる……と言いたいところだけど、いつも真っ黒で飾りっ気のないスモックみたいな服のルーミィが、フリっとした衣装をまとっている姿はなんとも可愛らしい。ふりっとした、と評しはするが、紅魔館のメイドのお仕着せは、実際にはそれに留まらない。伝統ある制服であり、機能性の高い作業着であり、有事には高性能な戦闘服であり、それに加えてデザインに優れた憧れのモードでもある。紅魔館メイド服は担当毎に幾つかのデザインが用意される他、数十年に一度機能面を含めてデザインが刷新される。その度に廃棄される旧制服は外部に横流しされることもあるようで、ニンゲンの特権階級のみならず妖怪の間でも破格で取引される高級服飾のひとつとなっている。そのせいで人間界には紅魔館のメイド服をオマージュした制服が多く存在しているらしい。
 そんな人妖共通な憧れの服を身にまとったルーミアは、正直いつもの地味でとっぽい印象とは全然違って俄然魅力的な女の子に見える。元々服装に無頓着で気にしないせいで地味な印象を与えがちなだけで、たぶん、ボクら4人の中で一番見目がいいのはルーミィなのだ。まあ、性格に難はあるのだけど。

「はいはい、かわいいよ。そういうの見飽きた」
「そんなことゆって、みすちとはいつもぱこぱこしてるくせにぃ」
「んなっ……! そ、それは、その、ローリーはしょうがないじゃん、いっつも凄く迫ってきて、仕方なく」
「ああーそー? 迫られて嫌々、なんだあ、みすちが聞いたら悲しむだろうなあ」
「だああああ、そういう意味じゃないよお!」
「ふんす」

 今の制式採用されているメイド服は、これの前のデザインと比べて幾らかすっきりしたフォルムになっている。以前の者に比べてフリルや布地の累が大幅に減り、色使いも白と黒のシンプルなものになっている。生地へ織込む強化魔術の回路を高密度高集積な編織法にしたことで、衣装の表面積を稼ぐためのフリルを削減できたのらしい。対物編織術式の高集積化自体は既に枯れた技術だ、安定供給と安定稼働に確信が得られて制式版に取り込んだのだろうが、それでも未だにフリルの数は普通の衣服に比べて相当多いことに変わりが無い。それだけ、この衣装に盛り込まれた魔術的な機能が多いと言うことだ。

「前のフリっフリでバっシバシなデザインのほーが好きだったんだけどなあ。リグルもそうでしょ?」
「しらないよう」
「ふーん」

 彼女はそう言うが、いつも黒い一色の服を決め着してる印象の強いルーミィには、そのモノトーンのデザインはとても似合っているような気がした。イメージが変わってないという意味では、悪いのかも知れないけど。白黒なレイアウトに、真っ赤な瞳と、いつも変わらない赤い髪留めも、それぞれアクセントになっている。違う服を着たと言うよりは、いつもの衣装を可愛くフリル付きのそれにアレンジしたという感じだ。華やかささえある煌びやかな色合いの金髪には、普段のストンとした真っ黒な服よりも余程こっちの方が似合っている、むしろ自然というか、華やかに着飾ることに必然まで感じてしまう位だ。メイド服というのがおしゃれ目的の衣装ではなく作業用のお仕着せであることを鑑みても、紅魔館の制式メイド服という特殊な服飾に限って言えば、その限りではない。なんせ、シンプルになったと言っても、デザインの時点で可愛いことに間違いないのだ、それに包まれてしまうと、ルーミィも……。

「ほーらー、かわいかろー?」
「じょ、上等な服を着れば、当然でしょ」
「ふーん! すなおじゃないなあ!」

 頬を膨らませたルーミィはボクに向き直って、一瞬、止まる。ボクよりも背丈が小さいルーミィは、じっ、とボクの目を見上げて、子供が不機嫌そうに何かを主張するみたいな視線。

「えと……? わっ」

 ボクが気まずくなって目を逸らした瞬間彼女は、とん、と踏み出してボクに体を投げ出してくる。不意のそれに、ボクは後ろに押し倒され内容に踏ん張り、飛び込んできた彼女の体を受け止める。するりと腕の中に潜り込んだルーミィは、つま先立ちで背伸びして、細い腕をひゅるりと伸ばしてボクの胸を捕まえる。背中に手を回して抱きつく形で、背伸びして追いついた顎を肩の上に乗せて、唇を、ボクの首根っこにくっつけてきた。

「る、ルーミィ?」
「私にはなんにもかんじない? みすちじゃないとダメ? ゆーか姉は?」

 小さい体にふいごされる吐息は、信じられないほどに細くて薄い。日の光が好きじゃないといつも「形のある闇」で日光を遮ってるせいで、真白くてまるで透明ささえある肌色の首筋から背中が、可愛らしいメイド服の襟元から覗いている。首元を撫でる羽ぼうきみたいな吐息と「ねえ、りぐる」と掠れる声。小さい体が、抱きしめると言うより、しがみつくみたいに。

「今更、何言ってるんだよ」
「いまさらって、いまさらじゃないし、ずっとだし!」
「えっ」

 ずっとって、それ、どいういうこと?

「すき」







 ルーミィに抱きつかれたまま、ひゅっ、と突然に周囲の光景が失われて真っ暗、急に床が消失したみたいに落下感に襲われた。

「うわあ!?」

 前触れ無く落下が始まった驚きに声を上げてしまい慌てて羽を広げたけれど、次の瞬間には視界は復活していて見慣れた場所にいた。そこは、さっきまで掃除していた、ルーミィの寝室だ。脱ぎ散らかされた下着や服は片付けた後で、でもまだベッドは乱れっぱなし。その上に、どさっ、と2人ともの体が小さく放り出されたみたいに横たわっている、ルーミィが、ボクの上に乗っかっていた。彼女の、〝影潜り〟だ。

「……何で、今なの」
「今だっていうだけじゃん、ずっとだったのが、ただ今だったってだけ。なんでなんてないよ」
「そんなの」
「スイッチはいっちゃった、みたいな?」
「スイッチって」

 かわいーふく、きたからさあ。冗談ぽくいう口調の割に、顔つきは全然冗談じゃない。いつもまん丸でくりくり動く目は細く据わっていて、片方の口の端だけがほんの少し上がっている。でもどこか憂いを帯びたような寂しげな表情なのは、眉が下がっているからだろうか。こんな切なそうな顔のルーミィを見たのは初めてかも知れない。チーほどじゃないけど、考えるより先に口が出て、口より先に手足が出るタイプの彼女が、こうしてしおらしくボクに触れたまま何も言わないのは、何か、普通の感じがしない。

「る、ルーミィ?」

 ずっと、なんて言っていた。確かにボクらは随分昔から一緒に生活するようになっていて、でもその生活を始めて間もなく、異性が傍にいるという感覚はなくなってしまった。だって、当時は……生き残ることに必死でそれどころじゃなかったから。サバイバルとそのストレスに対する防衛機制的に、4人ともがそうした感情に逃げ込んだ時期も確かにあったけれど、そんなのはあっという間に意味の無いことだって気付いたから。それからは、戦友、兄弟、分身。ボクらはお互いにそう思っている。ローリーとそうなったのは、少し、もっともっと昔に特殊な経緯があるからでしかない。だからといって他の2人を蚊帳の外に追い出すようなことは絶対にしていないつもりだったけれど、その除外しない感じが、ルーミィに、「誤解」を与えたとでも言うのだろうか。誤解? ボクの身に、何の誤解があるって言うんだ。
 突然にこうなってしまっては、まるで走馬灯みたいに一瞬一瞬に膨大な記憶を早送りに巡ってしまう。色々なことが確かにあったけれど、それでもやっぱり

(なにか、おかしい)

「ぷっ」
「へあっ?」

 突然、噴き出したように笑い出すルーミィ。

「なあに、そんなマジなかおしてえ」
「そ、そりゃあ、こんな、マジな顔ってルーミィだって今、うわあ!」

 スカートをばふっと押しつけて、その中の彼女の脚はボクの腰に跨がっている。そのまま、彼女はボクのシャツのボタンを外しにかかってくる。

「ちょちょちょちょっとお!?」
「いいじゃんー、へるもんじゃなしー」
「へ、へーるー、ボクの信用度がへるうー!」

 ボクがジタバタしても、彼女は解放してくれない。ボクを跨いだスカートの下で、彼女の腰がくねる。ボクの股の間のものに、彼女の股の中央が擦れる。ボクの半ズボンに彼女のぱんつを越した感触だけど、柔らかさが伝わってくる。上下になぞるみたいに前後に揺する様な動きで、彼女の股ぐらがボクのそれを押し潰して擦ってくる。
 一方で、くいしんぼうな彼女の特徴でもある美味しそうな食べ物を前にしたときみたいな顔でボクを見て、舌なめずりしている。子供みたいな容姿なのに、少し上気した頬、据わった目に妖しく笑う口元、そんなふうな仕草でボクを見下ろす彼女はまるで大人っぽくて、妖艶。それにそんな可愛いメイドさんの衣装で、えっちな、感じ。
 ……なんて意識しちゃったら。

「あー、なんだかんだゆってぇ」
「お、降りてよう」
「おーー、みるみるおっきくなってく」
「こーすーんーなーいーでーえええ」
「リグルのゆるゆるおまたに信用なんてさいしょっからないよぉ?」
「ひどいっ!」

 もぞもぞと後退るようにして、ルーミィがボクの股の間に顔を埋める。

(だ、だめ、これじゃ)

 彼女の体重が薄らいだ一瞬を見て立ち上がろうとしたが、しっかり脚を掴まれてベッドに引きずり込まれ直してしまう。

「にがさないよう」
「ぇぇぇ」

 まるで沼に落ちてしまった羽虫みたいに、もう飛び立てない。ルーミィの腕がボクの脚を、そして太股、腰をしっかり捕まえていて、彼女は股の間で大きくなってしまった半ズボン越しの膨らみに向かって、頬擦りする。

「んふふ、私でおっきくなったんだよねー」
「だ、だって……」

 ボクの太股に掌を乗せて、にがさないからね、を言外に示しながら彼女は舌と唇、それに前歯を器用に使って、ボクの半ズボンのホックを器用外して、ジッパを下ろす。膨れ上がったぱんつ一枚の下のものに、改めて頬擦りし、布越しに唇を這わせてくる。

「る、ルーミィ、だめだってば」
「ふうん、そうなのー? 《《この子》》のほうが、よっぽどすなお!」

 少し食いしん坊な口を割って顔を出した、可愛らしく薄い舌を伸ばし、ぱんつの上からボクのモノを舐ってくる。上目遣いでボクの反応を楽しむみたいに、でもまるで意地悪な笑みを浮かべた表情で。

「んふふ、ほぇほぇ、ろんおん、おおひふなっれひへるよお」
「うあ、あ」

 唾液をとろとろと注いでぱんつを上からべっとり濡らす。感触がほとんどダイレクトに伝わる上から、彼女の舌が、裏筋を舐め上げて、そして固くシコらせた舌先で縫い目を的確に探り当ててホジってくる。

「んくっ ルーミィ、そんなの、どこで」

 答えることなく、ただ咽頭に不敵な上目遣いでボクを煽るように見ながら、首を横にしてサオ全体を唇で甘く包んでくる。ぱんつの布越しに這い回るルーミィの柔らかい口肉が動く度、もどかしい快感がその軌跡に火花を置いていく。熱せられて、肉棒の内側はどくんどくんと熱く充血してしまう。もっともっと大きく膨らもうとして、彼女の可愛らしい唇をぱんつ越しに押し上げてしまう。
 だめなのに、と彼女の頭を手で押しのけようとすると、バチン! 何かに鞭たれるような乾いた衝撃が走って手を弾かれてしまった。そう、彼女の頭部には、頭部というか髪の毛を留めている赤いリボンには、何か得体の知れない魔術がかけられていて、触れるのにかなり痛い目を見る。彼女以外の誰かなら、そのべちべちと叩かれる感触にさえ我慢すれば触れることは出来るが、彼女自身ではそれに触れることが出来ないのだという。
 とにかく、その髪留めのお陰で、彼女のパンツ越しフェラを止めることが出来ない。勿論、返される衝撃を我慢して思い切り弾き飛ばせば止められるんだろうけど、その、雰囲気に流されてって言うか、彼女の思った以上のクチテクに、翻弄されてしまって。

「るーみ、い……」

 布越しなのに、腰が砕けるくらい気持ちいい、ぱんつの上からサオの裏を舐められるだけで、もう居ても立ってもいられないくらい熱くなって脈打ってしまっている。こんなに、上手だったなんて。唾液でべったり、内側で自己主張するモノに貼り付いた布が、彼女の舌愛撫の感触を、ほとんどダイレクトに、でも肝心の一押しを遮る隔靴掻痒の生殺しみたいな刺激にフィルタして伝えてくる。もどかしくて、堪らない。腰が浮いてしまう、もっと強い刺激が欲しいと、情けなく彼女の口を求めるみたいに股間を押し上げて、浅ましいポーズで求めてしまっていた。
 舌先で縫い目を的確になぞってくる、雁首の、エラの、膨らんだ先端を布越しの舌が通り抜けると熱くてむず痒い感覚が走る。それは腰と理性を同時に砕いて、射精欲求をじりじりと引っ張り上げてくる、でも射精に至れるような刺激じゃない、ずるい。気持ちいいのにイケない理不尽な快感、射精したくて、射精したくて、射精したくて、ボクはもう陥落してしまう。

「ルーミィ、もっと、なめ、てっ」
「リグル、かーわいい……」

 無様におねだりセリフを吐いてしまったボクを、ルーミィは嗜虐を隠さない、淫猥な笑みを浮かべたまま見ていた……見下していた。
 ホックとジッパが外れた半ズボンの舌で、いきり立とうとしているボクのモノがぱんつを迫り上げて脱皮しようとしている。おへそとぱんつの紐の間に出来た隙間を、ルーミィは見逃さなかった。すぐに唇を這わせてその端を食みそのまま、にゅるっと、剥いてしまった。抑えを失って跳ね返るように勃つ、ボクの《《もの》》。目を丸くして、でもすぐに元のエッチな淫蕩顔に戻るルーミィ。

「わは☆ 長さすっご☆ リグルってばしばらく見ない間に、オトナになったんだねえぇ♥」
「な、なんだよそれえ」

 恥ずかしい、でもルーミィが、ふう、と息をかけてきてもっと反応してしまう。吐息でぴくんと跳ねたのを彼女は満足そうに見て言う。

「いっつもみすちにしてるようなこと、私ともしてよ」
「まって、ほんと、ボク」
「ごしゅじんさま、ごほうししますね~」

 ボクの答えはやはり聞かないまま、彼女は、大きな口を開けてぱっくんとボクのモノを一口に含んでしまった。彼女の口は、口元だけ切り取るとアンバランスに大きいように見える。唇はぷっくりつやつやでも小さいのが可愛いと言われるが、彼女の唇は薄くてそして口径は大きい、美形というにはその真逆な特徴を持っているのだけど、それがなんだかとても個性的なのだ。長い唇線は、普段はぽーっとしている彼女の表情を、それでも豊かに見せていたし、唇そのものは薄いのに凄くグラマラスな口元に見える。押し化すると黒い服に金髪、赤のアクセントにまとまったシルエットには、もしかするとバランスがいいのかも知れない。今だって、そうやって大きな口を開けてボクのモノを一呑みにしてしまう、その仕草は扇情的以外の何物でも無い、これが小さくただ可愛らしいだけの花のつぼみのような唇なら、こうして咥えたときの顔には痛々しさしかないだろう。

「んふー♥」

 鼻から抜ける声だけで笑ってみせるルーミィ、その間も口の中では舌が蠢いて、亀頭をくるくると嘗め回している。それに彼女の手は、ボクの太股をがっちりと固定したままで、ボクは逃げられそうにない。

「る、るーみい、すごっ」

 口の中で暴れる舌がボクのものを細かく震えるように舐める。布越しに虐めて焦らされていた肉棒は、直接舌で嘗め回される快感に、熱を帯びて快感に塗れていく。腰が砕けて、先端からまるで溶かされて行くみたい。彼女は満足そうに目元と口の端で笑いながら、フェラチオはボクを追い詰めてくる。

 れろっ、れろっ、ぺろぺろ、ちゅうっ

 太股を押さえていたはずの彼女の手は、ボクが脱出の意思を喪失したのを確認してからは、太股をさらさらと撫で回して愛撫に参加していた。

(太股触られるの、好きなのっ、だめえっ♥)

 サオ中を嘗め回され、鈴口を穿られて、エラの周りを舌で撫でて扱かれる。それだけでおちんちんが溶けてしまいそうだって言うのに、太股の内側の敏感な肌を焦らすように撫で回されると、そのむず痒い感触はおちんちんの先端の神経に集まって、そして彼女の舌愛撫に与えられる快感を倍増させていく。

「ふあぁ、ぁっ、ルーミィの舌、ぺろぺろ、きもちいっ……おちんちん、食べられちゃう……っ♥」

 腰、浮いちゃってる♥ おちんちん気持ちよくって、ルーミィにおフェラお願い腰振りしちゃってるよお♥
 手が使えないのは、気持ちよすぎてシーツを握り締めてしまっていることと、快感を我慢できずに腰を浮かせるために肘を張って頑張ってしまっているからだ。

(ボク、女の子に腰突き出して、無様にお願い腰振りしちゃってる……こんなのオスとしてダメなのに、でも、ルーミィの舌、気持ちよすぎてっっ♥)

「~♥」

 ルーミィの目が細く笑って、そして口の動きが変わる。口の中に含んで舌を動かしていただけだったフェラは、大きく口を開けて舌を伸ばして裏筋や雁首を舐り、唇で亀頭に口づけして挟み、そして吸う、啄むような動きに変わる。ちゅっちゅっとおちんちんの色んなところにキスして、色んなところに吸い付いて、色んなところを唇で挟んで嫐りながら笑う。

「リグルほんと女の子みたい、おちんぽ生えてるだけで、声も反応もぜんぶかわいすぎ♥ これも、おおきなクリちゃんみたいだねえ~♥」
「そ、そんなこと、な……おおほおっ♥」

 再び一気に奥まで飲み込まれた。今度は口に含むだけじゃなくて、先端がもっともっとキツい締め上げに遭う、これは文字通りに、飲まれているみたいだった。彼女の喉元がくんくんと動いている。ぎゅうぎゅうと締め付ける動きと一緒に、奥に飲み込み送り込もうとする運動が絶えずボクのおちんちんをイジメ倒してくる。

「あ゛っ゛♥ あ゛あ゛っっ♥ お゛っっん゛♥」
(おちんちんが、私の喉の中でびくびくしてるっ♥ 先走りとろとろ出して♥ 射精リハーサルしてる♥)

 ごく、ごくっ、って飲み込む動きで、おちんちん喉搾りされて、ボク、もうっ♥

「あ゛ーっ♥ んぁぁ゛っ♥ おちんちん、おちんちん、呑まれちゃう♥ ルーミィにくいしんぼうされちゃうっ♥ 喉でとろとろおちんちん、とけるぅっ♥」

 快感で腰が引けて、その反動で股跳ねちゃって、ルーミィの貪欲なおクチは反動で跳ねたおちんちんもまるごと奥までごっくんと飲み込んできて、喉の締め付けで更に亀頭と雁首にキツい締め付け愛撫をくれる。
 とく、とく、と管の中を、我慢も出来てない我慢汁が押し出されて溢れる。彼女の喉に、快感溢れのだだ漏れ汁が注がれていて、それを大きな口を開けて喉まで飲み込んだまま、まるごと受け止められているのかと思うと、包み込まれるような快感に縛り上げられてしまう。

「ルーミィ♥ ルーミィっ♥ 無様チンポでごめんっ♥ ルーミィのおしゃぶりにあっさり負けちゃう雑魚チンポで、ごめんっ♥」

 情けない敗北宣言で降参すると、彼女は満足そうに目だけで笑いボクを見る。そしてサオの根元を包んでいる唇を強く締めて、口の中を真空バキュームにする。

「ふあぁぁっ♥」

 そしてそのまま、喉まで入っているおちんちんをずるるるっ、と引き摺り出していく。唇を窄めたまま、サオを濡らしている唾液かボクの我慢汁を一滴も残さないように、バキュームしながら少しずつ吐き出していく。唇から出てくるボクのおちんちんはしっかり唇ワイパーされていて、拭き取ったみたいに水気が切れている。吐き出されている最中も舌の動きは不規則に細やかで、ボクの情けない敗北ペニスの裏筋を細やかに嘗め回している。

「んお゛っ゛♥ はふぁぁっン♥」

 ぞくぞく、脊髄を掴んで揺らされているみたいな強烈な快感が繰り返し走っている、もう少しで射精しています、先端に迫り上がってくる快感と熱い塊、もう少しで根元のダムが決壊して、だらしなく垂れ下がったたまたまがポンプ吐き出しする、と言うところで、ボクの情けない肉棒は彼女の口から解放されてしまった。彼女の少し大きな口の中央で顔を覗かせる舌の先端から、ボクのイキかけ雑魚チンポに粘液の糸が引いている、でも、すんでの所で射精には至らなかった。

「しょ、しょんな、もうちょっ、とぉっ、もうちょっとだったのぉぉっ!」

 腰を突き上げて、欲求不満の勃起ペニスが勝手にポールダンスしてしまう。先走りがぱたぱたと飛び散ってシーツに染みを作る、ルーミィはそのあまりにも浅ましいボクの腰振りを見て舌なめずりをしている。

「ふふっ、かわいそおチンポになっちゃったねえ?」
「ああっ、ルーミィっ、ルーミィっ♥ どうにかして、このおちんちん、疼いて涎垂らしてるちんちん、どうにかしてええっ♥」
「はいはい、オトナおちんぽなのにずいぶんあまえんぼうさんだあ♥」

 ちゅっ、と先端にもう一つキスをされると、とぷ、とカウパーの珠が垂れ落ちた。

「我慢汁すごおぃ♥ ふふっ」

 ルーミィは手を太股からボクのおちんちんへ移動させる、そして両手で包み込むように握った。

「ふああっ!? きっ、つ、い♥」

 じゅわ、とカウパーを漏らして彼女の手とボクのおちんちんの間をあっという間にヌル汁で濡らしてしまう。器用に、彼女の左手は先端からそれを掬い取って握る手の間にまぶしたり、そしてすぐに左手は亀頭を、右手は竿をそれぞれ分担して愛撫してきた。

「あ、っ♥ るーみ、ぅあっ♥」

 右手が竿からエラの下側へ刺激を加えて絞り出すように、左手は敏感な剥き出し亀頭とエラのヘリののところまでを掌で包み込みながら水筒ふたを開けるみたいにスクリューな動きで嫐ったり、かと思えば指を立てて、5本の指の腹で触れるだけの微妙な刺激で焦らしてくる。

「じょ、じょうずすぎ、るぅっ♥ あ、で、でちゃ……」

 その瞬間、彼女は手コキの動きを止める。そして、嘲るみたいな目でボクを見て。

「もうちょっとガマンしなよぉ」
「そ、そんなの、むりっ、もう、射精る、射精したいぃっ!」
「えー? じゃあ1分だすのガマンしたら、いいことしたげる♥」
「い、いいこと?」
「うん。そだね、手コキに1分ガマンできたら、今日一日、わたしのこと、すきにしていーよ♥ いまからよるまで、よるからあしたのあさまで、好きなだけナマパコして、ほおら、このメイドさん衣装のまんま、朝まで好きなだけ生ハメ、|膣内射精《なかだ》ししほーだい、させたげる~」

 膝達になって、スカートの上から股の間を手で押さえつけて、まるでスカート越しにオナニーしてるみたいな仕草で、舌を出してボクを見下ろして笑うルーミィ。

「すきな、だけ……♥」
「そ、すきなだけ、いーよお? ちゃれんじ、するよね?」

 ボクは無言で腰を落として、勃起しっぱなしの瀕死ダメちんちんを彼女の前に晒す。既に先走りをとろとろ零してイキかけのおちんちんで、絶望的な戦いに見える。でも、あんな風に言われたら、抗うことなんて出来ない。

(メイドさんのかっこうのルーミィを、好きなだけ、好きなだけっ……♥)

 想像するだけで、また先走りが管を上ってくるのが分かる。

「あー、手コキだけかあ、しかも1分なんて、ちょっとヨユーだしすぎちゃったな、ヤバい、かな、負けちゃうかも……」

 そう言って少し不安そうに言うルーミィ。そう、手コキに1分耐えるだけなんて、分がいいと思ったのも確かだった。1分耐えるだけで、ルーミィを、好きに出来る。さっき散々生意気にボクを嫐ってくれたけど、1分手コキに耐えるだけで、リバれる。

「……じゃあ、はじめよっか」

 懐中時計をストップウォッチモードに切り替えて、彼女はカウントダウンを始めた。
 ルーミィの手は、早速ボクのおちんちんをまさぐってくる。右手は竿の根元から登ように亀頭へ、左手はやっぱり天辺を優しく包むように触っている。

(だめだめ、ちがうことを)

 ボクは、目を閉じて彼女のくれる手コキの刺激を意識しないように別のことを考える。なんでもいい、晩ご飯のこととか、行き場に困っててしばらくお世話してたコウガイビルさん達のことでもいい。

「さっきまでリグルのちんちんおしゃぶりしてて、私のアソコ、もうぐじょぐじょなんだぁ。匂いしちゃってるないかなあ」

 そう言いながら、サオを強く握ったり、雁首をしゅっしゅって擦る。亀頭が包み込まれて、きゅっ、て握られる。

(うあ、あっ)

 凄くキツい、ローリーの中に入れてる時の感触を、つい、思い出してしまい、慌ててその想像を散らす。ルーミィの手コキは凄く巧みで、敏感な亀頭で快感を膨らませて、サオコキでそのむず痒い快感をダイレクトに射精感に変えるやり方をよく知ってるみたい。

(コウガイビルさん、ちゃんとお引っ越しできたかな)

 無理に別の思考を引っ張り出す、もう10秒経とうとしてる。なんとか、ガマンできそうな気がした。

「ヤバいなあ、もう10秒経っちゃった。あと50秒ガマンされたら、私、リグルに好きなようにハメ倒されちゃうんだ。メイドさん衣装のスカートの下で、おまんこ汁でべっちょりのおまたに、この雑魚チンポ突っ込まれて、朝までパコられて、もう雑魚チンポなんて言えなくなるくらい、生ハメされまくっちゃうんだぁ」

 彼女の手の動きは、慌ててるみたいに早くなる。そうだよ、たった1分なんて、きっと簡単にガマンできる。そしたら、ルーミィを、好きなだけ……メイドコスのルーミィをに好きなだけ、出来る。おまんこ汁べっちょりのルーミィのアソコに……。

(だめだめ、かんがえないようにしない、と)

「くふっ!」

 彼女の手が、亀頭を集中的に責めてきた。左右からエラの周囲を包み込んで、平べったい亀頭の表面を粘液まみれの掌で舐めるように撫で上げてくる。凄い、きもち、いい。先端に集まる熱が尋常じゃない。むずむずがおちんちんの付け根に響いて、ゾクゾク背骨をとろかそうとしてくる。

「あんまり使ってないキツキツの私のおまんこ、ヌルヌルになっちゃってるから、前戯無しでいきなり突っ込まれちゃうんだ♥ ぬるぬるでキツキツの新鮮おまんこを、リグルにぬぷぬぷーって、ずぶずぶーって、生ハメセックスされて、私リグルにきっと降参しちゃうんだ♥ 何回も何回も精子ぴゅっぴゅ中出しされて、おんなのことして逆らえない幸せアクメさせられて、おまんこリグル専用に型抜き状態に覚えさせられちゃうんだぁ♥」
(ぬぷ、ぬぷ……ずぶ、ずぶっ……だ、ダメダメダメ、あと、あと35秒ガマンしなきゃ! でももうほぼ半分おわってるもん!)
「こんな手コキなんか全然くらべものにならないくらい、あっつくてふわふわきゅっきゅのきもちーおまんこの中に、あっつい精液、おぼれちゃうくらい|射精《だ》されて、精液酔いしてリグルにメロメロになっちゃうんだぁ♥ キツキツおまんこの中でびゅーびゅーされちゃうんだ♥ ああ、あと30秒しかないよお、あと30秒で、私、リグルのザーメンでおマンコ溺死刑になっちゃうんだぁ♥」
(ふわふわで、きゅっきゅ……、あと30秒で、キツキツおまんこに、ビュービューし放題っ)
「朝まで抵抗できない私、リグルのお嫁さんでも愛人でもなくって、精液絞り用のオナホ女にされて、一晩みっちり生セックス調教受けてちんぽに負けてからは、毎晩でもリグルにおまんこしてもらうの待って常にぐちょぬれ待機してる牝奴隷になっちゃうんだぁ♥ ああっ、あと20秒っ♥ もうダメ、これ絶対まけちゃったよお♥ 20秒後には私、リグルの産業廃棄物にされちゃう♥」
(あと、20秒っ、あと20秒で、メイドコスルーミィを精液搾りオナホにして、ぐちょぬれおまんこに生セックス調教……っ 勝った、これ絶対勝った! あと10秒で、ルーミィのキツキツ生マンコにおちんぽぶち込んでズボズボし放題っ! おまんこ肉で精子搾りし放題っ! もう雑魚チンポなんて言わせないくらい、ハメ倒して、おまんこのお肉をボクの形にしちゃえるんだ♥)
「ああ、もうだめ、絶対負けたっ♥ 手コキ1分でイかせるなんて無理だったんだぁ♥ リグルのおとこのこ本物チンポ舐めてたぁっ♥ このまま負け犬ルーミアは、リグルのおちんぽの慰みものになって、赤ちゃん部屋の奥の奥、隅々までリグルのあっつい精子でザーメンタンクにされちゃうんだ♥ もう覚悟決まってる、あと10秒でリグルのおちんちんに陥落させられるの、私のおまん込もうきゅんきゅんいって、覚悟きまっちゃってる♥ あとはオチンポ様ぶち込まれるだけ♥ そしたら即堕ちするっ♥ あと5秒で私、リグルに負けちゃう♥ ズボズボ朝まで生ハメセックス調教されてチンポ奴隷の契約しちゃう♥」
(勝った! あと5秒で、ズボズボっ! ルーミィのキツキツおまん湖に朝まで生ハメセックスっ♥ あと3秒で、もう雑魚ちんぽなんていわせないっ! ぬぷぬぷ、ぐちょぐちょ、おまんこかき回して、ちんちんガマンしなくていいんだ♥ 射精し放題♥ びゅるびゅる射精♥ ズボズボ生ハメ♥ キツキツおまんこ♥ おまんこセックス♥ セックス♥ せっ)

 びゅっ!

「ぁっ……」

 漏れ、た。
 堰を切った射精は、ひと吹きはガマンの末の漏出、でも二発目三発目は決壊した鉄砲水みたいに、勢いよく遠くまで白い飛沫をぶちまけてしまった。ガマンにガマンを重ねていたせいで、射精の快感が大きすぎる。一回ポンプで噴き出す度に、意識が小さく吹き飛ぶような、白い閃光を伴う、でも勝利を寸前で取り漏らした情けない射精を、繰り返す。ルーミィの布団の上に幾筋かの粘液の飛沫軌跡を描いた。

「はいざんねんー♥ 残り1秒、あっぶなーい、ぜったいまけたとおもったなー、ぜったいまけて私性処理女にされちゃうとおもったのに、たすかったなー リグルのおんじょうかなー? ざんねんだったねー、行きたくて仕方ないガマンギリギリおちんぽで私と朝まで生セックス、ざんねんだったねー♥」

 射精中も容赦なく継続するルーミィの手コキ、射精が収まり、もう射精るものがなくなっても続けられるピストン運動、引き延ばされる絶頂時間。元から意識を断続させていたのに、絶頂継続を強いられて地獄のアクメが継続させられる。手コキをガマンできなかった情けなさと相まって、変な声を上げながらボクは悶絶する。


「うう、あああああああぁぁぁっ……」
「もうがまんしなくていーんだよ? リグル、まけちゃったから。好きなだけ、びゅーびゅーしていいのは、同じだからね? ほら、ほーらっ♥」

 しゅっしゅっしゅっしゅっしゅっしゅっ♥

「あぐ、だめ、だめだめっ♥ もう、イった、からあっ」

 びくんっ!
 射精するものがない、虚しいチンポ絶頂が全身を痙攣させる。それでも止まらない手コキ。

「う゛っ、あ゛ぁ゛ぁ゛っ♥ もう、やら、もういきたくないっ♥ ルーミィ、もう、ぼくもうっ」

 しゅっしゅっしゅっしゅっしゅっしゅっ♥

「ンお゛ぉ゛ぉっん♥ だめ、だめ、またイくっ、ちんぽイキもう、ツラいのっ♥ ルーミィ、ルーミィ、もう止め゛でぇ゛っ゛♥」

 ぶしゅっ!! ぶしゅううっ!!

 おちんちんから、精子でもおしっこでもない無色の液体が噴き出した。精子みたいにヌルヌルして無くて、それはスプレーみたいにおちんちんの先端から噴き出した。

「お゛っ……♥ これ、だめ゛……っ♥ もう、ツラいっ、もう、やめっ……ん゛ぎぎぎい゛い゛いい゛いっ♥」

 しこしこしこしこしこしこっ♥

「おねが……もっ、お、もおっ、んお゛っ! おお゛お゛おっ!! あ、あ゛あ゛あっ!!!♥ るーみぃっ、るーみぃっっっ!!」

 潮吹きアクメの最中のペニスに刺激を継続される地獄の快感に、悶絶して悲鳴のような声を出してしまう。そんなボクを体重全部を使って押さえつけるみたいに乗っかったルーミィは、情けなさからの涙と快楽苦痛の苦悶でくちゃくちゃになっているボクの顔を覗き込んで言う。

「……いれる?」

 こんな、こんな状態で挿入なんてっ、無理、イき死にそうな潮吹き空イきで苦しいのに、おちんちんにもっt刺激が来る生セックスなんて……。

 こくんっ

 だのにボクは、頷いてしまった。

「あーあ、ほんとになさけないねー、りぐる? あんまりにも情けなくて同情でいれさせたげるけど、ほんとなさけないねー?」

 そう言うと、ルーミィはボクのおちんちんを掴み上げて、そのまま焦らしたりも何もせず、いきなり挿入した。

「んくゅっ……」
「ふあああっ!♥」

 想像していたのよりもずっとキツいルーミィの中、それに、中はぞわぞわと凄い勢いでうねっている。熱いし、さっき彼女がボクを煽ってきた通り、キツいけどぬるぬるで、凄く、気持ちいい。気持ちいいけど、ボクのおちんちん、今はおかしいから……

「あ゛あ゛っっ! だめ、また、またイくっ♥ ルーミィの中キツくって、またっ♥」

 ぶしゅっ、ぶしゅっ♥ びゅーっ♥

 ルーミィの中でまた無様に潮を吹き、それに射精もしっかりしてしまった。

「~~~~っ!♥」

 それを受けてか関係ないのか、ボクの上で余裕の表情を見せて煽ってきていたルーミィが急にしおらしい表情になって、おへその下辺りを撫でるように押さえる。そして、くたっ、とボクの上に倒れてきた。

「る、るーみい?」
「うー」

 どうしたのか表情を見ようとしたが、彼女はそのままボクの上にしがみつくみたいにくっついていて、顔を向き合わせることが出来なかった。表情が見えない、でも、彼女の息が凄く荒くなっているのが、耳元に聞こえてきた。もしかしたら、イったのかも知れない。

(ぼ、ボクばっかり馬鹿みたいにイってたし、最後に気持ちよくなってくれたんならいいけど……)

 どうしてもボクの胸の上でへばりついたまま離れてくれそうにない。無理に話そうとも思わないし、ボクの方こそ情けなくて顔なんか見れないような気もするのでそのままにしておいた。
 しばらくすると、彼女の呼音は落ち着き小さくなり、それはいつの間にか寝息に変わっていた。

(え、ねちゃうのお!?)

 散々体力使って疲労困憊なのはボクの方なんだけれど……。

 まあ、だからって起こす気にもならないので放っておいた。きっと何十分かで起きるだろう。

(それにしても、ルーミィのあんな姿、初めて見たな)

 ボクのことを好きって言っていた。本当だろうか。それで、こんなことになるなんて。ただ部屋の掃除をしに来ただけなのに、ただ衣装を着ただけだって言うのに、そんな些細なことで破裂してしまうように張り詰めた感情だったんだろうか。

「そんなの、いままでひとこともいってなかったじゃないか」

 ボクの上で寝息を立てているルーミィの、今は金髪と赤い髪飾りしか見えない、それに向かって、ついうろたえたような独り言を漏らしてしまう。
 そんなことを言っても仕方が無い。でも、ボクは彼女の気持ちに応えられるとは思っていなかった。だって……
 と、突然彼女がボクの上で小さく身じろぎした。

―オレのこと見捨てたくせに。忘れてんのかよ

「えっ?」

 ルーミィの声、には違いないのだけど、何だか意識してローパスしたような。それに、〝オレ〟?
 改めてルーミィのことを見るが、やはり頭の上しか見えない、それに今妙な寝言を言った彼女はもう再び、小さいその体に似合いの細くて消えそうな寝息を立てていた。







「このふくだー!!」

 日頃から余程の失敗でもしない限り自分の行為を顧みたり後悔している姿を見ないルーミィが、変な声を上げたかと思うと膝を抱えてうずくまった。

「その、うん、さっきは可愛くないって言ったけど、ルーミィ、いつも真っ黒い服で飾りっ気がないからかなあ、メイドさん姿のルーミィって、えっと……前言撤回、か、可愛かったよ。そのメイド服着てなくったって、凄く魅力的な女の子にぐえっ……」

 目の前から彼女の姿が消えたと思ったら暗転、気が付いたらみぞおちに彼女の肘がめり込んでいた。〝影潜り〟からの急所攻撃、滅多に見ない彼女の攻性な動、いやそんなことより、息、できな
 殺虫剤かかってひっくり返った虫みたいになっているボク。息、息できない、肋骨ご無事ですか、だめですか、ああ……。

「ふざけんな何がめいどさんかわいいよ、リグルのへんたい!」
(えー、なに、ボクどういう状況なんだっけこれー?)

 さっきまでボクにしがみつくみたいにしてた彼女が、今はひっくり返ったボクを更に足蹴にしている、ローファの、ローファのつま先で頭を思い切り蹴るのは、いたい、いたいです。
 いつもの黒いスモックみたいな服を掴み上げて慌てて着込んでいるルーミィ、さっきまで着ていた紅魔館のメイド服を紙袋に詰めている。

「この服メイド長から借りたんだけど、受け取ったとき〝洗濯だけじゃなくてちゃんとクリーニングしてから袖を通しなさい〟って言われてたんだよね。きっと|解呪《クリーニング》しろっていみだったんだろうなあ!」

 頭を掻き毟るような動作をしているが実際にそれはしていない、彼女の手は髪の毛に触れることなくその上辺りで指をわしわしと動かすに留まっている。そんなポーズのまま、彼女にしては珍しく後悔を叫んで地団駄を踏んでいた、その地団駄の足下にはボクの死体がある。容赦ない踏み付け攻撃!

「ああ、もう、サイアク! あーもおおおおおおおおおおさっいあッッッッッッッく!!」
(そんなに後悔されると、辛いんですけど……ていうか泣きたいのボクの方なんですけどそれは)

 紙袋に詰めたメイド服を再度思い切り蹴っ飛ばした。余程やるせないのだろう、さっき自分で畳んで詰め込んだのに、蹴飛ばしたせいでまた中身が散乱している。
 そうか、あのメイド服にまだ何らかのエンチャントが残っていたのか。それで貸与時に|解呪《ディスペル》を指示したが、ルーミィがそれを無視して、しかもその認識無く着たものだから、魔力抵抗もなく残っている術に影響されたと。道理で、ボクの方も気持ちよさに抗えなかったわけだ(断じてボクがえっちと意志力弱すぎの駄ちんぽって訳じゃないよ!……たぶん)。きっと、チャーム的な何かが施されていたのだろうが、自身に向くように設定されているのは少し普通と使い方が違うように思える、婦長さんはあの術効を用いて何をしていたのだろう。婦長さんが着ていたにしてはサイズが小さいのだと言うことは、誰かに着せていたと言うことだろうか。

(……あんまり想像することじゃないな)

 服に施された魔術的ギミックのせいで心にもない行為に及ばされたルーミィは相当落ち込んでいるようだ、その、相手がボクだって言うのは、えっと、ボクが悪いんだっけ? 悪いのか。悪いの? 蹲ったまま、まるで泣いてるみたいに小さくなっているルーミィ。流石に罪悪感が……

「ごめん、ボクが」
「いいよ、あやまんなくって。ちゃんとクリーニングしなかった私が悪いんだから」
「ま、まあほら、さっきまでのは服のエンチャントに言わされたってことで、聞かなかったことにするからさ。嘘も方便っていうか、意味違うね、あはは、とにかくいまのは、忘れるから。ぼ、ボクも忘れて欲しいしねー! ああ……大丈夫……。そうそう、服のせいなのかな、妙な寝言も言ってたし」

 それにしても、さっきのルーミィの尋常じゃない様子の理由が分かったのは、少しほっとした。あんな風にひとにすり寄ってく様なキャラではないと思っていたから、それが服に施された術式のせいだとするなら、納得いかないこともない。こうして取り乱して暴れ散らかしてるのも、ルーミィらしくないと言えばらしくないのだが。
 蹴っ飛ばして散らかったメイド服一式をクリーニング対象の紙袋にもう一度詰め直している背中は、やたらと小さく見える。ボクなんかとえっちすることになって、相当しょげているのだろう。

「ああもう、ほんと自制心のないおちんちん、サイテー」
「だ、だって、その服が」
「おとこのこなら、蹴っ飛ばすなり何なりして拒否してかっこいいところ見せてよ」
「そんなあ」

 散々な言われようだ。でも、この状況を誰かが聞けば、ボクの弁護が立つとは確かに思えない。この服にかかったチャームらしき魔術についても、もう確かめようとも思わないし、ボクの「信用」が減るだけなのは明らかだった。

「ほんと、みすち、なんでこんな男のこと好きなんだろ。ゆーか姉も、それに」
「うう」

 ルーミィは大きな溜息を吐いて、小さくなっているボクを見る。呆れてる? それとも嫌悪? ボクの方を見ようとしない彼女の視線と表情の意図が、巧く読み取れない。いい意味ではきっと無いだろう。でも。
 ちらり、とボクを一瞥した目、そして。

「うそじゃないから、さっきの」
「え」

 ボクを見て、そして再び逸らされた視線、ルーミィの頬がもう一度ピンクに熟れて。

「……もっかい、ちゃんと、する?」



§§§



 ヴィーガンな生活に異を唱え、普通の学校に行くことを選択している。母の唱える祝詞が讃える神を僕は見ようとしないし、母の生活を第一に考えて全てを費やす父の考え方にも賛同しない。そんな僕はこの家にあって子供として扱われていなかったし、児童相談所の外圧を回避するために最低限の面倒を見て貰っているという感じだ。だがそれにも限界がある、生活はこのざまだ。家から飛び出したこともあったが、以前は通う学校について心強い味方だった児童相談施設は今度は敵になった。何かあっても簡単に親に丸め込まれ、僕はそのたびに何度でもこの家に再び押し込まれる。公的に押し込まれてしまえばもうどうにだってなりはしなかった。
 閉塞感があった。それは絶望と言うほどではない、世界が真っ暗に閉ざされた様な感覚でも無い、この家の外で営む多くの生活(それは酷く狭くて小さな世界だが)にはそれなりに明るい物が広がっていて可能性も感じなくはない、親しい友人もいるただ、この家の落とす影は将来に向けて時間が進んでいく内にどんどん押し広がって大きな物になっていくのではないかというどうしても強烈な不安が感じられるのだ。世界に比べてこの家という社会が占める面積は酷く酷く小さな物だということも分かっている。だと言うのに、僕の心臓を締め上げて鉛のようにぶら下がるその苦しさと重さは、概念ではなくて確かに僕の体に感じられる苦痛の「実感」なのだ。
 さっき食事を差し入れた手は、父親の物だ。母の幸せを第一に考え、僕の幸せもそれに準じると考えている父は、最初僕を「更正」させようとしていた。母の言うことを聞くように、そうすれば幸せになれるし地獄に落ちることもないと。それでも聞き入れなかった僕を、結局父は母と同じように、家に巣喰う腫瘍か何かと見做すようになった。
 義務教育が終わる高校卒業と共に僕は家から放り出されるだろう。その後、僕の人生がどうなるのか全く分からない。自由であることに変わりは無いのだが、自分で人生を切り開いていけるだけの力が僕に備わっているのだろうか。聞けば、しばらくは保証人として親の名前が必要な場面はしばらく続くのだという。そうした場面で、逐一都合のいい第三者機関が見付かるのかどうかについて不安があったし、それ以上未来ことなんて到底考えられない。

(不味……)

 オートミールが、僕は好きではなかった。せめてご飯にしてくれればいいのに。給食が楽しみで仕方が無くて、給食を悪者にしようとする人いるらしいことに、僕は驚きを禁じ得ない。豆腐と、葉物のサラダ、なんかの豆が鏤められている。あっという間に食べ終わってしまったが、腹は膨れるが満腹感はなかった。
 僕は店で万引きしてきた小さなチョコレートを口に放り込む。甘さと、脂肪分が、体中に染み渡った。小遣いなど貰ったことがない。万引きも随分巧くなった気がする、一度もバレたことがなかった。友達は何度かバレているようだったが、曰く、僕の見た目は店員のガードから外れて得なのだという、得なものか、マイナススタートだって言うのに。
 高校を卒業してこの家を放り出されたら世界が変わるなんて思っていない、その後も色んな形で「今」ここで負った様々が生活にいちいち引っかかってきて邪魔をしてくるだろう、普通の家に生まれていれば応必要さえ無かった「無駄な」障害に、苦しみながら人並みの生活を0から(1からじゃない)構築できるだろうか。不安もあるし、恐らくそれはその通り巧くいかないだろう、ずっと低水準な生活を強いられ続けて這い上がることが出来ないという予感があった。この世に生きていてももう、この先マシになる展望なんてないように思えている。

「ここから、出たい」

 状況と問題は複数にわたり、それらが複雑にこんがらがっていて、僕の力ではそれを|解《ほど》いて綺麗な姿に戻すことなんか出来ると思えない。それに、誰も「家庭の問題」には入り込めない、こうした問題を難なく解く頭を持った人はこの世界には沢山いるというのに、それは聖域なのらしい、問題として取り組むことを禁止されているのだという、だれも|解《ほど》いてくれない。夫婦の問題でさえ巷では不可侵として扱われているのにそれを巻き込んで更に巨大に複雑になった家庭の問題など、誰が解決できるというのだ。更には、子供は救われるべきモノとして叫ばれる割には、しかしそこに一個の主体性を認めない、という矛盾があるそのせいで、家庭の問題に、子供は当事者であっても正面から対峙させてももらえない。
 それをどうにかするのは、でもその聖域性故に当事者にしか許されていない。|解《ほど》いて整えることが出来ないのならもう、僕にはこう願うしかない。

「全部」

 それは、問題の解決を何者かに丸投げするしかないという諦めの点について、母が唱え続ける|祝詞《嗚咽》の性質と何も変わりが無いのだと、僕はそうして再び落胆するのだ。
 世界の怠慢な残酷さと、自身の無力感について。僕は「泣く」ことしか出来ない。

「全部、壊れてしまえばいいのに」
------------------------------------------------------------------
本シリーズ全てを物理本にまとめたものを
2019年6月30日(日)「東方蛍光祭3」で頒布します。間に合えば。

最終話のナンバリングが幾つになるかは未定ですが、
最終ナンバリング作品を、2019年6月4日に投稿します。間に合えば。
(東方蛍光祭2迄の作品について、
「気に入ったら物理本を手に取って下さい」スタンスで言えば、
イベント当日に最終話が公開されるのは適切ではありませんでした。申し訳ありません。
今回は、内容を読んだ後でイベントにいらして頂けるよう早めに全話完結・公開します。間に合えば。)


【参考とか着想元とかパクリ元】
マンガ「アンネフリークス」
ゲーム「二重影」
拙作「筋書き通りのスカイブルー」「雲わく道に山居の命」「頬ずりしたいな柔い少女」「八紅一憂」
みこう悠長
コメント




1.性欲を持て余す程度の能力削除
待ってました! 何やら投稿締切のハードルを自ら上げているようですが大丈夫でしょうか。頑張ってください。
幽香絡みの描写を見る限り、現時点で時系列的には「スカイブルー」よりも前の話ということになるのでしょうか。直接繋がっているとは限らないのか……
そしてやはりショタビッチリグル、迫られると逆らえないその押しの弱さはどうなのか。性的ヒエラルキー最下位か。メイドルーミアの魅力にそのままメロメロになってしまえ。エロシーン素晴らしかった、しかしさらにエロエロな展開も期待してしまいます。
そしてもちろんエロいだけでは済まなさそうな気配……続きも楽しみにさせていただきます。
2.性欲を持て余す程度の能力削除
リグルとルーミアの過去話キターーーーー!筋書きや山居に至る前のカルテットの過程が明かされるのか、とても楽しみですねぇ!
今回の異変の目であると思われる彼女ですが、本人の意思とは関係なく周りの思惑が走っている気配がありますね。戦争をするつもりはないといったレミリアでしたがはてさて、八紅一憂でルーミアとの関わりがあるだけにまったくの静観で終わるとは思えないところですが、動くとなると結構大ごとになるでしょうねぇ(紅魔館のメンツはどいつもこいつも濃いので楽しみであります)
現代編に出てきた〝ボク〟が誰なのか、転生(?)を繰り返すリグルの過去のひとつなのか、はたまた別の人物なのか、気になるところです。頬ずりしたいな柔い少女な雰囲気があるなぁと思ったらやっぱり設定引っ張られてきてた!(ひゃっほい!)炎に包まれた体育館で抱き合う彼女がルーミィの過去なのでしょうか。とても気になりますねぇ(そっちの時代でもイチャイチャしてたのかも気になるところです(シココ))
過去のマイナスが人生の足を引っ張るくらいの家庭環境はなんていいますか、親ガチャに近いところがありますなぁ。親子として、個人として話し合うことができていればということなのでしょうが、子供=所有物みたいな感覚の持ち主なのだと〝ボク〟の語りから伝わってくるようでなんともやるせない気持ちであります。この家庭がどのように終わっていくのか、〝ボク〟の存在が冒頭の彼女とどう出会いそして感化していくのか、すでに壊れ気味なところがありますが、今後の展開に期待です(鬱グロな展開が来そうでドキドキだぜぇい……!(G=ヒコロウふうギャグ顔))
ああ~^物臭なルーミィ可愛いですねぇ、部屋の片づけしながら脱ぎっぱなしの下着くんかくんかしたいですねぇ(変態)。りっくんは見慣れたと言っていましたが、それはつまり見慣れる前があったということで、ンフフ、手に取ったりポケットに忍ばせたりしたことがあったのではとボブは考えました。どうせ洗濯するからといってこっそり精液マーキング(しかも女の子みたいなショタが)してるのではと考えたらおちんちんが爆発してしまいそうです
紅魔館の機能性を重視しつつもデザインに優れたメイド服…!それを着たルーミアが可愛くないはずがなく、チャームの効果が逆流した普段よりもいたずらな雰囲気が孕んだ瞳で迫られたらそんなんもう、くそ雑魚理性のりっくん(←失礼)でなくったって勃起不可避ですやん!!かわいかろ?って方言が反則的に可愛すぎるし似合いすぎてて豚死してしまいました(※トンシ:二次元キャラが可愛すぎて生きるのがつらくなった萌え豚が急死するさま。頓死)。「みるみるおっきくなってく」のせりふ時の顔がんんんんもぅ!んんんんん天然たらしすぐる!文章版童貞を殺す雰囲気なルーミィの可愛さが(というか彼女のキャラデザ自体が)萌え度にもおちんちんにも悪すぎてボブの13キロメートル勃起ちんちんが屹立する瞬間も見てほしいくらいでした
自分で興奮してくれたんだっていうのを言葉で相手に受け止めさせるのえっちぃですよねぇ、たまりません。家族的な近さだと思っていた相手なのに興奮を覚えたというりっくん側の気持ちもおちんちんに流れ込んできてこれまたたまらない(玉々ムーラムーラで超銀河へと旅立つために生まれる精虫は貯まる一方であります!(ティッシュに放出される受難))。口でジッパーを下ろすフェティッシュさ自体がエロいのに、ルージュを塗らなくてもいいくらいに艶のある柔らかさがありそうな唇でそんなんされたらパンツのなかに無駄撃ちしちゃいそうというかシたい、そんでもってくつくつと笑われたいああ、ルーミィ可愛い、あぁ……
下着越しのフェラに耐えきれずおねだりするリグルの即落ち感もいいですね、いいですね、メス堕ちさせたいですねぇ、つるつるの太腿触られてて好きなのとか感じちゃってるしほんともうアナルに指突っ込んでオスイキとメスイキ同時に味わわせたいくらいには存在がスケベだ。唇薄いのにおっきなお口というのが個人的にツボでちんちんメトロノーム止まりません、おちんちんを咥え込んで鼻から満足げな息を漏らすの最高すぎて卑怯。このルーミィ絶対目にハートマーク宿してる
喉の奥まで迎え入れてのバキュームフェラは我慢など利かないくらいに気持ちがいいはずで、寸止めなんて食らった日にゃ精液過剰生産で睾丸破裂を起こしちゃいますよ!しかも手コキ我慢で中出しチャンスとか想像しただけで暴発待ったなしなのに、スケベワード連発で誘導してくるとか反則すぎる!一回漏れちゃったあとにびゅくびゅく噴出していくスケベショタちんぽハァたまらん…あと一秒、あと一秒乗り切ってさえいれば、くぅ!言葉通りの朝まで生セックスだったに違いなく無駄撃ちしてしまった濃厚精虫ゼリーで子宮を満たして孕ませられたのに、そんな男としての無念が伝わってくるようです。後悔すら感じる暇さえなくイッたばかりの敏感ちんぽをしゅっしゅされて雄潮噴きしちゃってるりっくんのとろけ顔(絶対寄り目ってる(確信))とかえちえちすぎてボブはシコシコ止まりませんですよふぅ……
同情でって言ってるけどこれ絶対ルーミィも発情してるよね(シコココ)。余韻収まらぬちんちんで潮噴きしかできなさそうなのに、生ハメして速攻射精してるの体が種付けチャンスを察して精液装填済ませたみたいでシコッ。生命の危機に大量射精みたいなの大すこすぎです。射精の脈動か、勢いか、あるいは挿入で昂ぶりが限界に達したからなのか、結合して間もなく果ててしまうルーミィもたまりませんでした
正気に戻ってからの一方的に攻撃(口撃)されてしまう展開のお約束感は笑いましたw理不尽なんですけどなぜだかヒロイン役の女の子が可愛く映っちゃう現象に名前はあるのでしょうか、ボブにはわかりませんが地団太を踏むルーミアはめちゃくちゃ可愛いのだということだけはわかりますね!そのあと本音を漏らして誘うところもツボでした。というか可愛すぎでしょこの子!
場面としては短かった布都っちゃんの登場に神霊廟組が今後の物語にどう関わってくるのかが楽しみです。モブ男のボケっぷりもなかなかでしたが、「決めたぞ、この家は放火する、絶対にだ」の科白がひどすぎてもうwwwwwwww宗教関連が濃そうな現実ではシリアスな彼女が見られるかもしれないという期待はありますが、幻想郷ではこの調子で腹筋を奪う仙術を使ってきそうでこれまたいまから楽しみでありますw
来年の、とはいえ半年ほどしか時間はないのかもしれませんが、新たにはじまったみこうさん劇場、間に合うことを祈りつつwktk全裸待機です
今回もとても面白く楽しめました、ありがとうございました
誤字脱字報告にて終わりたいと思います↓

283の人間の血液が一堂に《《海》》しているのだ、→前述で238人でした
盲気が済んだのか僕から離れようとした彼女を、→もう気が
体温が、感触が、ひいては僕の体の書斎確認が、欲しい。→所在?
灯油を蒔いている内に、→まいて・撒いて
ミサ場の入り口の施錠された扉の前でで僕らは再び抱き合った。→「で」の衍字
あれだけはしゃぎながら蒔いていたのだ、→撒いて
その性で僕らをそのう類牢獄に閉じ込めていた者達は、→せい・所為
それは僕らお同じことなのだろう。→僕らも?
僕の手を握る彼女の手から熱くなった多いをンを感じている。→脱字または誤字?
そして僕はその教義をよく知らないし知る着も起こらないが、→知る気も
幽香さんの家のは基本的に綺麗に整っているのだけど、→家は?または家の部屋は?
魔術により強制的に微小結晶を集じガラス構造を形成して固着させられた他の成分を用いる。→生じ?
姉ーこの小娘こそが、大貴族〝紅魔〟の首魁、レミリア・スカーレットだーは口を「へ」の字に曲げたままの妹を見て、→ダッシュ(――)が長音符「ー」一本になっている
外見がどうのこうのよりも、兄弟感が強すぎる→兄妹?
ボクの半ズボンのホックを器用外して、ジッパを下ろす。→器用に
ホックとジッパが外れた半ズボンの舌で、→下で
押し化すると黒い服に金髪、赤のアクセントにまとまったシルエットには、もしかするとバランスがいいのかも知れない。→もしかすると?
快感で腰が引けて、その反動で股跳ねちゃって、→また
もう少しで射精しています、→脱字?
左手は敏感な剥き出し亀頭とエラのヘリののところまでを掌で包み込みながら水筒ふたを開けるみたいにスクリューな動きで嫐ったり、→「の」の衍字
「さっきまでリグルのちんちんおしゃぶりしてて、私のアソコ、もうぐじょぐじょなんだぁ。匂いしちゃってるないかなあ」→てるかな、ないかな(表記揺れ)?
おちんちんにもっt刺激が来る生セックスなんて……。→もっと
それ以上未来ことなんて到底考えられない。→未来のことなんて?
給食を悪者にしようとする人いるらしいことに、→人が?
この不可解に対する忍耐が尽きると、僕がこれを理解してしまうのと、→尽きるのと?
紅魔館の寄り深い場所へ忍び込む動機があって、→より深い

そしてここからが少し自信のないところで……↓

彼女なりの幸福をこの世界閉じる場所に見出しているはずだ。→脱字?(違ったらごめんなさい汗)
ボクらが間挟まってジタバタしているのがクッションになっていると認識しているらしく、→間に?(ませだったらごめんなさい汗)