真・東方夜伽話

春の恋連歌:side A ~ slow sweet death

2008/06/11 21:17:13
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春の恋連歌:side A ~ slow sweet death

つわ

新緑の山からは、鶯の鳴く声が響き、雲ひとつない淡い群青の空からは
さんさんと日差しが注ぐ。うららかな春の午後、幻想郷中が長閑なときをすごす中
一際緩やかに時を刻む場所がある。幻想郷と現界の境目に位置する博麗神社だ。

その縁側に二つの人影が佇む。一人は和服にフリルをあしらったいでたちで、
板張りの床に正座している亡霊姫、西行寺幽々子。もう一人は独特な紅白の衣装に
身を包み、大きな赤いリボンをつけた頭を亡霊嬢の膝に乗せ弛緩しきった顔で、
幽々子の顔越しに空を見上げている博麗霊夢。二人は境内の桜の木から舞い落ちる
淡い桃色の花弁を目で追っている。

「……久方の光のどけき春の日に、しずこころなく花の散るらむ」

舞い散る花びらを惜しむかのように手を伸ばし、それを掴まんとして、
空いたり閉じたりする手のひらが空を切る。

「あら、貴女にも風流がわかるとはね」

膝の上にいる霊夢の額を撫でながら、意外そうに返した。

「失礼ね、そこまで落ちぶれちゃいないわよ」

やや不機嫌そうな調子を混ぜて霊夢が応じる。幽々子はクスリと笑って。

「貧すれば鈍ず。賽銭が少ない中良くぞって、感心しちゃうわね」

霊夢の額にかかる黒髪をくるくると指で弄びながら幽々子が茶化す。

「だから賽銭は少ないけど貧乏じゃないってば」

心底うんざりといった様子で霊夢が返す。
実際妖怪退治の報酬や香霖堂からの強奪などによって
暮らし向きは悪くない。それがどういうわけか、貧乏巫女などという
風評を立てられてしまい、辟易しているのだ。

「うふふ、冗談々々」

悪戯っぽく霊夢に笑いかけ、再び舞い散るかけらに視線を戻す。

「咲いたと思えばすぐに散り始める……本当に慌しいことね」

内容とは裏腹に、ひどく間延びした声で言う。すかさず突っ込む霊夢。

「全然、慌てているようには見えないわ」
「あらっ、私だって内心気が気じゃないわよ」
「嘘ばっかり」
「本当だってば」

そういって和歌をそらんじる幽々子。

――世の中にたえて桜のなかりせば 春の心はのどけからまし

「あー、そんじゃ桜はないと困るわね」
「どうして?」
「どうしてって、あんた。それ以上のどかになって一体どうしようっていうのよ」

してやったりという顔をして、白い歯を見せる。

「まっ失礼ね」

さすがにちょっとむっとした響きをにじませる。

「さっきの仕返しよ」

相変わらず満面の笑み、それを見て幽々子も表情を緩ませる。

「まっ、でもお互い様ね」
「ははっ、違いない」

そうして二人はくすくすと笑いあう。こうしてゆったりとした時間は流れていく。

「そうだ霊夢、あれ持ってきてよあれ」

唐突に幽々子が呟く。

「えーめんどくさい。幽々子が行きなさいよ」

相変わらず気だるそうに言葉を吐き出す霊夢。

「あなたの方が体勢的に立ちやすいでしょ。さっ、行った行った」
「はいはい」

気だるげに上半身を幽々子の膝から起こし、
思い切り伸びをした後、霊夢が離れに消える。

「咲かねば散ることも無いのに」

少しだけ物憂げな声音で幽々子が独りごちる。
そして、散り急ぐ花びらに思索をめぐらせる。

――花を咲かせるということは、著しく命を縮める。
花をつけない杉は万年を生きる。しかし、咲き誇る桜は染井吉野で五百年、
それだけ命を短くしても桜は咲くことをやめない。開花から、散ってしまうまで
十日ばかりという、木の一生からすれば電光朝露のように短い時間のために
九千年あまりの時間を投げ捨てている。

幽々子は桜を見るたびに思う。なぜそんなにも生き急ぐのかと、
いずれ枯れねばならないのだから、細々とでも生きられるときを満喫すれば良いのにと。
確かにその姿は美しい、しかしそれも長くは続かない。ふとしたことで花は散ってしまう
九千年余りを生きる力を注ぎ込んだ結晶が、時に、ひとたびの嵐によってあっけなく吹き散らされる様に、
深い寂寥を覚えずにはいられないのだ。

さんさんと降り注ぐ春の日差しの中、そんな感慨に耽っていると。

「お待たせー」

団子とお茶、そして銚子とお猪口を載せた漆塗りの丸盆を持って、霊夢が縁側に戻ってくる。

「あら、お酒まで、気が利くわね」

現金なもので、盆の上の獲物を確認した途端に、先ほどの感慨はどこかに吹き飛んでしまった。

「ふふっ、この見事な桜のもと、飲まなきゃ嘘ってものでしょう」

白い歯を見せて霊夢が笑った。そうして幽々子の隣に腰掛ける。団子をつまみながら
二人はまた、他愛のない話に花を咲かせ、再び緩やかなときが流れ始める。

「霊夢、あなたはどうして修行をしないの」

お猪口からクイッと酒をあおりながら幽々子が尋ねる。
霊夢も自分のお猪口を幽々子のほうに差し出しながら答える。

「だって面倒だし……」

注がれた酒を可愛く飲み干し、さらに言葉を続ける。

「それに、いくら修行で力を身につけてもいずれ衰える。
 一度手に入れたものを失うのは悲しいもの、それだったら与えられたもので満足よ私は」

今、その時々のありのままを受け入れてじたばたしない。
自然体なのよと穏やかに顔を綻ばせながら言った。

「まるで幽霊みたいだわあなた」
「だから私と付き合うんでしょ幽々子」

相変わらず、何も考えていないような顔をしながら幽々子に問い、
また散る花びらに視線を戻す。そしてしみじみと口を開く。

「満開になった桜は散るしかない。天の頂点を極めた飛竜は墜ちるしかない」

幽々子もうんうんとうなづきながらそれに答える。

「そのときに残るのは失わねばならない悲しみ。
 それならば咲かなければ良いし、
 天に昇ろうなどと思わず深い水底で蛟のままで居れば良い。
 そうであればどれほど心安らかなことか」

生きるということは欲を抱くことだと幽々子は思う。
それは、富であったり、名誉であったり、強さであったり、美であったり、
今よりもよい状態でありたいという願望が生きるということの根底にある。
しかし、それらはいずれ崩れる。万難を排して掴み取っても、老いが、病が
何よりも死が全てを押し流してしまう。
持つものが多いほど失う恐れも強くなり、失うときの未練や悲しみも深くなる
いずれ失わねばならぬのになぜ望むのか、多くを望まずに現状に満足し、
心安らかに生きたほうがよいではないかと、多くの死を見てきた幽々子は思う。

「何だかんだで気が合うわね私達」

霊夢が感慨深げに口を挟む。

「ええ、私もあなたが好きよ、生きながら幽霊みたいな人間は貴重だわ」

幽々子は人の形を保った亡霊で、体温もある。だから時折、生きた人間が恋しくなることがある。
しかし、生きた人間達の、無常なるものを追い求める姿は哀れを催す。
本来、それを癒す役目は魂魄が担うのだが、今代は強さへの執着が強すぎる。
そして、親友である境界の大妖は、幻想郷を、妖怪達を、無常なるもの多くを愛しすぎている。
強さは衰えるし、幻想郷も決して永遠ではない。彼女らのことは決して嫌いではないが、
彼女らがそれらを失う時を思うと、うつろいゆくものを追うのに血道をあげる
その姿に内心安らかではない。そうかといって、永遠を体現せる蓬莱人は生理的に受け付けない。
その点霊夢は、今の自分というものにすっかり満足し変化を望まない
生きながら、多くを望むことの空虚を知っている。自分の亡霊として培った考え方に同調している。
だからこそ幽々子は霊夢に惹き付けられた。

「私も幽々子が好き。みんなといるのは楽しいけど騒々しくてね、幽々子といると安らぐのよ」

持ちつ持たれつだと、言外に響かせる。幽々子はふふっと笑う。
霊夢の横顔をしげしげと見つめる。少女特有の瑞々しさと、
まるで古木のように老成した佇まいを同時に身に宿す恋人を
本当に愛おしく思う。ふと、無い筈の心臓がとくんと跳ねる。

「ねぇ、霊夢ぅ」

科を作りながら、甘ったるい声でその名を呼ぶ。

「なぁにぃ」

にやりとした、艶っぽい笑みを顔に貼り付けてわざとらしく問い返す。
既に答えは分かっているぞといわんばかりに。

「しよっ」

しれっと幽々子が言ってのける。

「今、ここで?」

苦笑を浮かべながら問う、それでも嫌な素振は見せない。

「こんな辺境の神社に訪れるものはただでさえ少ない。その上、人間は亡霊を恐れて近付かない」

「妖怪は、巫女を恐れて近付かない……覗き見をするものはいない。こういうのも風流よね」

連歌のように言葉を交わす二人。舞い散る桜に負けず劣らずの桃色の宴が始まる。
先に動いたのは幽々子だ。膝を滑らせて霊夢に近付き、ゆっくりと唇を重ねる。
その柔らかい感触に、二人はまるで、その部分から身体が溶け出しているように思えた。
そんな感触をさらに味わわんとして、差し出された二つの赤い肉塊が粘っこい水音を立てながら軟体動物のように蠢く。
二人の息が、甘く熱いものとなり、その手は熱に浮かされたように互いの後頭部を掻き抱く。
やがて幽々子が霊夢の方に寄りかかり、それに呼応するように霊夢も後ろに体重をかけた。

唇を離す二人、幾筋もの銀糸が二人の口元をつないですぐに消える。
幽々子が服越しに霊夢の胸を撫でる。霊夢の息が上がっていく。
もう一方の手は、襟元のリボンをするりと外し、胸元を肌蹴させる。
白いさらしがその下に覗いた。幽々子は一匹の死蝶をその白いきれに向かって飛ばす。
ちょうど正中線の部分の布が死に、さらにその下の肌色が覗く。そこから左右に開き
その膨らみかけの双丘を春風にさらす。間を置かずその手は、さらけ出された柔肉を
こねるようにもむ。霊夢の口が開き、そこから微かな喘ぎが漏れる。熱を帯びた瞳で
幽々子を見上げる霊夢、もっとと強請っているかのよう。しかし幽々子の手は
近付きはするもののその先端に触れることはない。霊夢の手がもどかしげに赤いスカート
越しに太腿を引っかく。頃合いと見た幽々子はしごくようにその桜色の実を浮き立たせると
音を立ててそれに吸い付いた。舌先で転がす。霊夢が喘ぐ。頬がへこむほど吸いたてる
霊夢がもっとと強請る。軽く甘噛みする。甲高い声を立てて軽く達した。

荒い息を漏らす口を自身のそれで塞ぎ、甘く柔らかい肉の感触を味わいながら。
その手は、霊夢の下腹部を円舞の様なゆったりとした動きで撫で、徐々に下へ下へ動いていく
口をふさがれたままの霊夢がくもぐった抗議の声を漏らす。焦らすなと。
幽々子は唇を解放し、身体を下にずらし、横たわった霊夢の爪先に、自身の膝が触れるくらいの
位置に来て。手を伸ばしその赤いスカートを抜き取る。霊夢も腰を浮かせてそれを助けた。
その下の白いドロワーズは、既に湿り気を帯びて、透き通り襞の形を浮き立たせている。
その部位を人差し指でつっと撫でる。むず痒そうに霊夢が身をよじる。少し強くその布を押す
チュクっという音を立てる。霊夢が鼻にかかった声を漏らす。その湿り気を帯びた布ごと
人差し指を割れ目に挿し込み、くるくると動かす。親指はその上部にある小さな豆を押しつぶすように刺激する。
じれったそうな声をあげていた霊夢がついに直接触ってと目を潤ませて懇願する。

待ってましたとばかり、泉を覆う部位の布にモンシロチョウくらいの死蝶を飛ばし
布を殺す。器用にもその部分だけがぼろぼろと崩れ、その淡い花びらが白日の下にさらされる。
周囲に残った白い布と、まるで生き物のように蠢く桜色のその部位の対比が鮮やかだ。
幽々子がそこに、人差し指と中指をするりと入れ、横から締め付ける柔肉を擦る様に
動かし、親指は上のほうにある小さな実の皮を剥き、ふにふにとそれを愛撫する。
霊夢の喘ぎが一回り甲高いものになり、その拍子も段々と早くなっていく。
それに呼応するように、幽々子も指の動きを早める。しかし、後一押しで達するというところで
その手を止めてしまう幽々子、霊夢名残惜しげな声を漏らし、幽々子を見つめる。
幽々子は引き抜いた指を自身の口元に運び、見せ付けるように舌を突き出してそれを舐める。
霊夢がもどかしそうに身をよじる。それを見て、幽々子が和服の胸元を肌蹴る。
布の重圧から解き放たれたたわわな実が、幽々子の上気した息遣いに合わせて揺れる。
舐めてと、湿っぽい声で霊夢を誘う。熱に浮かされたようにふらふらと身を起こし、
赤子のように霊夢がそれに吸い付く。幽々子の声も熱を帯びて荒れ狂う。霊夢の膝が
和服の前を割り、幽々子の園に押し当てられる。それに答えるかのように、霊夢の秘所に
手を伸ばす幽々子。幽々子はその指を以って、蜜を吐き出す熱い泉をかき回し、
霊夢は膝小僧を幽々子の花弁に擦り付ける。その動きが段々と早くなり、二つの水音と
甲高くなっていく声とが和音を奏でる。やがて、切羽詰ったような悲鳴が重なり、
二人は縁側にくず折れた。



人が来たらこのあられもない姿を見てどう思うだろうとか、そもそも
白昼堂々することではないとかいう思いさえも甘ったるい気だるさが押し流す。
二人は折り重なったまま睦言を交わす。

「もう、さらしと下着がだめになっちゃったじゃない」

内容とは裏腹にひどく間延びした声で霊夢がささやく

「ふふっ、ごめんなさい。待ちきれなかったから」

悪戯っぽく幽々子が答える。

「その割りには随分と焦らしてくれたじゃないの」
「だって、こんな美味しい果実をがっついたらもったいないわ」
「さっきといってることが反対」

甘ったるい声でささやき合う二人。

「霊夢」

少しだけしんみりした声で幽々子が恋人の名を呼ぶ。

「なぁに?」

小さく問いかえす。

「愛してる」

耳元で囁く。

「私も」

霊夢も湿っぽい調子でそれに答える。

「死んだらどうする?」

やや真剣な声で幽々子が霊夢に尋ねる。

「そんときゃ、一緒に亡霊よ」

「……ありがと」

こんなやり取りを経た後、二人は瞼の重さに抗うことをやめまどろみに落ちる。


こうして二人の一日は過ぎていく。生きているとも死んでいるともつかない
緩やかな時間を二人は過ごす。この甘美なまどろみのように、
二人にとってそれが何よりの幸せだった。



――to be continued ~ Side B rapid painful life
ゆゆれいむ、門板の百合スレから発掘してきたもの。今回は喘ぎ声をカットし、地の文だけでどれだけ絡みを表現するかに挑戦してみましたあまりネチョくないかもしれませんが感想等いただけると幸いです。

続編について
連歌とは、前の人が読んだ句に、自分の句をつなげることで一つの歌を完成させる遊びのこと。この作品群は三部作を予定し、霊夢と幽々子の恋が実ったことによって紡がれる新たな恋模様を描くというコンセプトから「恋連歌」というタイトルを冠しています。
さて、次のside Bのキャストについてですがもう大体の察しはつきますよね?
つわ
コメント




1.名無しさん削除
マリみょん若しくはみょんマリですね、分かります
2.名無し太郎削除
ゆかゆゆれいでほのぼの3p三角関係か
霊夢orゆゆさまのことを好きだったけど失恋しちゃったゆかりんを慰めるらんしゃまでらんゆか
がいいな、とか勝手な願望を言ってみるテスト
3.名無し削除
珍しい組み合わせだけどよかった。
次はレミみょんですね?
4.ななし削除
珍しい組み合わせだけどすごくイイ!
泥棒と庭師ですねwkrms
5.7777削除
風流なのは良き事かな。
いやはや、常に背景に桜が舞散る様な作品、見事でした。

冒頭の、霊夢の詠んだ「久方の~」の句、自分が百人一首の中で一番のお気に入りだった句なので思わずニヤリとしてしまいました。
次回作、期待してお待ちしてます。
6.名無し削除
氏の百合ssはいつも綺麗だと思う。
Side Bの方も期待してます。
7.その辺の妖怪削除
これは珍しい組み合わせですな。(;^ω^)
ゆゆれいむか・・・悪くないかも。
次はあの二人ですね。