真・東方夜伽話

泡と消えないお姫様

2018/04/20 23:47:12
最終更新
サイズ
51.61KB
閲覧数
1898

分類タグ

泡と消えないお姫様

注意点
・二次設定、独自設定、独自解釈等があります。
・オリキャラ(名無し男)との絡みになります。また、男はそれなりに喋ります。
・名無し男のわかさぎ姫の呼び方は「姫」ですが、地の文では「わかさぎ姫」になっています。ご了承下さい。
・また、今回はストーリーパートが非常に長いため、夜伽パートのみ読みたい方は1番と3番をお読みください。但し、夜伽パートはストーリーパートを前提とした内容になっていますのでお気を付け下さい。

1.
 昼を少し過ぎた夏の日差しが木々の葉の隙間を縫い、日陰の黒に白の欠片をばらばらと辺り一面に落としていた。その中で、湖際の岩に腰掛け、素足を水面に向かって投げ出して冷水に足先を浸からせる。
 ここまでの字面とそこから想像される光景は、夏の暑さも心地良さも味わうような風流な光景なのだが、実際にはとても風流とは言えない状況だった。
「どうかな? 気持ちいい?」
 何故なら、目の前の湖に胸まで浸かった彼女に向かって覆い隠す物の無い下半身を曝け出し、勃起した陰茎を柔らかな手で扱かれているからだ。
「あ、ああ。もう、キツイぐらい……」
 上目使いで尋ねる彼女にそう返すと、彼女は嬉しそうに口角を上げ、扱く手の動きを加速させる。更に、陰嚢に左手を伸ばすと手の平を添えて、優しい手つきで弄ぶ。
「っ、うぁ……」
 敏感な部分を襲う慣れない感覚に全身を電気が駆け巡り、情けない声で小さく呻いてしまうが、彼女の愛撫が止まることはない。
 陰嚢の皺に沿って指先を這わせ、くすぐったさに震えれば手の平でふわりと包み込み、やんわりと撫でる。
 彼女の熱心な手淫奉仕にあっという間に絶頂寸前まで高められてしまい、下半身ががくがくと揺れてしまう。
「あっ、すごくびくびくしてきたね……。いつでも出していいからね?」
「……っ、く、もうっ、出るっ、あ、あぁっ!」
 彼女の甘い誘いに促されるまま、鈴口の前に彼女の顔があるにも拘わらず、欲望を爆発させて射精を開始する。
 当然鈴口からは彼女の顔に向けて勢いよく精液が飛び出すが、彼女は手で防ぐことも顔を逸らすこともなく、瞳を閉じてそれらを受け入れた。
 無遠慮にぶちまけられた白濁は彼女の整った顔に青い髪、顔の側面に生えた鰭まで全てを白く汚す。
「くぅ、ま、まだっ、出るっ……」
 それでも彼女は肉棒を扱く手を止めない。そのまま絞られるように二度三度と陰茎の脈動に合わせ精を細かく吐き出す。それが鎮まるとようやく扱く手が止まり、彼女は肉棒から手を離す。
「ふふっ、いっぱい……。それに、凄い匂い……」
 大量の白濁の殆どを顔で受け止めた彼女は、それを嫌がるどころか満足げにそう呟くと、頬に付着した精液を指先で掬う。
「……ん、ちゅ、はぁっ……」
 そして、赤い舌でぺろりと舐め取ると、淫靡に潤んだ瞳でこちらを見る。
 普段は大人しく、慎みのある彼女の魅せたその妖艶な表情を見た瞬間、眩暈に似た感覚に襲われ、一瞬息が出来なくなる。
 このままじゃ、不味い。



2.
 妖怪の山の麓に位置する、大きな湖。通称霧の湖と呼ばれるそこは、涼を求める妖精や妖怪、釣りを楽しむ人々等々、種別も目的も様々な者が訪れる場所だ。特に最近は夏に入り始めた頃ということも有ってか、徐々に人影も増えてきている。
 その中で自分はと言えば、照り付ける日差しを帽子で誤魔化しながら湖の岸に沿って歩きながら、ある者を探していた。とはいえ、居る場所に大体の目星はついているのだが。
 案の定、目的の者は山の麓近くの岸部から少し離れた、平らな岩の上に腰掛けていた。後ろから声を掛けつつ手を振ると、彼女もそれを返して躊躇いなく湖に飛び込んだ。それを見て、自分は岸辺近くの木陰に腰を下ろす。
 普通ならば飛び込んだ者に何かあってもいいように、それこそ妖精に悪戯でもされないように辺りに目を見張って待ち構えた方がいいのだろうが、彼女にはそんな心配は全く必要ない。何故なら、彼女は人魚なのだから。
 彼女は自分の方まであっという間に泳いでくると、水面から上半身を出し、浅瀬に体を引き揚げる。
「今日は天気もいいから暑かったでしょ? 気分悪かったりしない?」
「いや、大丈夫だよ。姫、ありがとう」
 開口一番にこちらの身を案じる言葉を掛けてくれた恋人、わかさぎ姫にそう返すと、安心したのか嬉しそうに微笑んだ。
 わかさぎ姫はこちらの傍らまで身を寄せると、改めて腰掛ける。少し顔を横に向ければ、隣に座る彼女の青い瞳が、白い肌が、赤い唇が目の前にあり、目を奪われてしまう。そして、頭に浮かぶ光景はあの瞬間の――。
「○○、じっと私を見てるけど、どうかした? あ、もしかして顔に何かついてる?」
「……え? いや、何でもない何でもない」
 ぼうっと彼女の顔を眺めていたせいか、視線に気付いた彼女に不思議そうに尋ねられる。それに対し何事も無いと軽く手を横に振りながら返すと、わかさぎ姫は「そう?」と首を傾げつつも納得したようだ。
 これ以上の追及を避けるために何か話題でも、と頭を巡らせていると、彼女の方が先に口を開いた。
「それじゃ、今日はどうしましょうか? 暑いし○○も泳いじゃう? それとも……」
 彼女は語尾を濁らせ、少し俯いてこちらを上目使いで覗く。
「その……、あ、あっちで、他のこと、する?」
 そして、頬を赤らめつつそう言うと、視線を外して脇の草木の生い茂った方へちらりと目線を送る。わかさぎ姫が見た先、そこにはただ藪があるだけだが、当然藪のことを指しているのではない。あそこをそのまま草木を掻き分けて進んで行くと、とても小さな入り江に出るのだ。
 そこは元々、偶然わかさぎ姫が見つけた、湖の下から潜ってこないと見つけられないような入り江だった。何せ林の中でも湖側の奥まった所に在るため陸地側からは全く見えず、かといって湖側からは生い茂った木で見えずと、誰も気付かない、気付いたとしても特に何も無いので入ろうとも思わない場所だった。その証拠に、整備どころか誰かが入った形跡すら無かった。
 そんな目を向ける者すらいない所だったのだが、それもわかさぎ姫が見つけるその時までの話だった。入り江周りの伸び切った草を、カモフラージュ用に陸地側の入口付近数メートル分の藪のみを残して刈り取り、彼女が腰掛けられるような平たい岩もなんとか運び、非常に簡素にではあるが二人で寛げるような空間を作ったのだ。
 するとなかなかどうして居心地がよく、そのうえ湖側や空からは覆うように生えた木のお蔭で覗かれる心配もないと、さながら二人だけの秘密基地のようになっていた。
 そんな人目の付かない場所にわざわざ移動してまですること。加えて、彼女の恥ずかしげに照れた様子。それで導かれる回答は一つしかなく。
「○○?」
「え、あ……」
 いつの間にかこちらの手に重なっていた、彼女の柔らかい手と細い指の感触が、こちらを覗き込む顔が、あの瞬間のことと重なって見えて――。
「い、いや、今日はいいよ。今日はここでゆっくりしない?」
 幻視した光景を振り払い、彼女にそう返事をする。
 すると、わかさぎ姫はきょとんとした顔を浮かべたが、すぐに顔を綻ばせる。
「なら、そうしましょうか。そういえば、この間、影狼ちゃんが……」
 そして、彼女が友人の話を始めたことに、心内でほっと安堵の息を吐いた。



「……日が長くなって来たとはいえ、そろそろ帰らないと不味いかな……。姫」
 湖に映る揺らめく太陽を見ながら、わかさぎ姫に呼びかける。橙色をした夕日は既に半分ほどが地平線の下に沈んでいて、これ以上長居をすると家に着く前に夜になってしまいかねない。つまりそれは妖怪の時間に人里の外を出歩くということであり、至って普通の人間である自分には出来る限り避けたいことだった。
「そうね。今日はここでお開きにしましょうか」
 そのことは彼女も重々承知なので、無理に引き留められたりすることはない。しかし、ねだるような瞳でこちらを見ると、自らの唇に指を当てた。
「でも、最後に、キスしてくれる?」
 彼女の可愛らしい要望に極めて静かに深呼吸をした後、黙ったままそっと唇を重ねて、離す。すると、わかさぎ姫はふふっと笑った。
「また来てくれると嬉しいな」
「……近いうちに、必ず」
 次の逢瀬を待つ言葉に短く言い返して、足を家へと向ける。
 数歩歩いたところで振り返ると彼女はまだそこに居て、こちらに向かって手を小さく振ってくれた。それに自分も手を振り返した後、改めて帰路に着く。
 それからは振り返らずに一歩ずつ、無心で歩く。歩き続ける。だが、自分の足音の違和感にふいと気付いて足を止めると、短時間の間に湖からかなり離れた所にいた。いつの間にか、かなり早足になっていたようだ。
 まるで湖から早く離れたかったみたいだな、と苦々しく笑い、近くの木にもたれ掛かって大きく嘆息し、遂にはへたり込むように腰を下ろす。
 『湖から離れたかったのではなく、わかさぎ姫から離れたかっただけだろう?』と、頭の中の自分が毒づくが、強く否定出来ない。何故なら、それは恐らく、考えたくもないが本当だからだ。
 そう思ってしまう理由。それは、現在自分が抱えている、ある悩みが原因だった。その悩みとは、わかさぎ姫と顔を合わせるたびに、話すたびに、触れるたびに、彼女に惹きこまれていること。そして、このままではあの美しい人魚に、身も心も溺れきってしまいかねないことだった。
 いや、実を言うと本当はそれだって構わない。だが、一つだけ、恐れていることがあった。それは、歯止めがきかなくなることだ。
 とはいえ、精神面での歯止めなら多少は気にしない。彼女にならば溺れてしまっても構わないと思い、それを肯定している時点で何をいまさらという話だ。問題は、肉体面というべきか、愛欲の歯止めだった。
 今日なんかもそうだったが、最近、わかさぎ姫は会うたびに行為に誘ってくる。それはとても嬉しいし、きっと彼女も愛情表現としてなのだろう。奉仕側に回ることが多いことや、技術の上達が著しく早いうえに新しい手法を色々試していて、相手に気持ちよくなってもらおうと努力をしていることからもよく分かる。
 非常に贅沢な悩みだとは分かっている。しかし、このままではそう遠くない未来、そうして自分に尽くしてくれる彼女のことを、ただ性欲を吐き出す相手としか見れなくなってしまうような、そんな気がしてしまうのだ。
 考え過ぎだとも、不安視しすぎているとも思う。だけど、そう簡単には振り払えなかった。現にここ最近、そんな光景ばかりを幻視してしまっていた。彼女を組み伏せ、自らの欲望をぶつけるだけの存在にしてしまう光景を。
 もしもそうなってしまったら、彼女はどうするだろうか。恐らく、軽蔑も、見放しもせず、それを受け入れてしまうだろう。だが、自分はそんな風に彼女を愛したいのではない。
 だから、きちんと愛することが出来るのだと自らを証明すべく彼女の誘いを断っているのだが、毎回揺らいでしまっているのが現実だった。本番こそしていないものの、手や口でぐらいならと、時折流されてしまっていた。最近は会いに行く回数を以前よりも少々減らし自戒しているのだが、根本的な解決にはなっていない。
 口の端を僅かに歪めて自らを嘲り笑い、地面に倒れ込んで空を見上げる。時間が経ったせいか橙に染まった空はずっと黒ずんでいて、まるで己の醜さを塗り付けたかのようだ。
 ふと、未だに感触の残る唇に触れる。己の身体が覚えている彼女の柔らかさと温かさに、彼女の微笑みに、少しだけ心が和らいだ。

 彼の姿が見えなくなった後、私はごろりと体を捻って仰向けで浅瀬に寝転がる。橙色をした空を見上げながら、静かに瞳を閉じる。
 今日も楽しかったな。日が長いからつい喋りすぎちゃって、お口が疲れちゃった。でも、最近○○は何だか辛そうというか、何かを我慢しているように見える。無理にとは言わないけど、悩みがあるなら相談してほしいなあ。そのせいか分からないけど、会いに来てくれる頻度も減っているのが少し寂しい。……ううん、わざわざ私のために来てくれるんだから、そんなこと思っちゃ駄目だよね。
 そういえば、今日もしてくれなかったなあ。男の人はそういうことが好きってよく聞くし、私も彼にしてあげるのもしてもらうのも好きだから、たくさん色々なことをしてみたいのになあ。それとも、私がへたっぴだからなのかな。もっと勉強しなきゃ。それとも、他に嫌な理由でもあるのかな。
 ……やっぱり、妖怪の、半分魚の恋人なんて嫌なのかな。
 ふとよぎってしまった嫌な想像を、頭を振って吹き飛ばす。そのせいで水がばしゃばしゃと跳ねて、自分の顔にかかってしまった。
 はあ、と溜め息を一つついて、頬にかかった滴をぬぐう。その際、指が唇に当たって、数分前のことを思い出す。彼の優しい口付けの感触がとても愛おしくて、大事で、消えてしまうのが何だか怖かった。



「あ、やっと来てくれた―」
 前回の逢瀬から十日後、また自分は湖を訪れていた。勿論、愛しい恋人に会うために。そして、自らの想像する悲劇なんて起こらないと否定するために。
「約束したからね。でも、遅かったかな」
「そうね、今か今かと首を長くして待ってたんだから。って、それじゃあ蛮奇ちゃんみたいね」
 わかさぎ姫は口元を隠して、楽しそうにくすくすと笑う。令嬢のような高貴さと、背伸びした童女の両方を思わせる笑顔と仕草は可愛らしくもあり、美しくもあった。
 やはり、この笑顔を壊すようなことをしてはいけない。改めて、そう自分に釘を刺す。

「ねえ、○○。……今日は、する?」
 しかし、深く打ち付けたつもりの決心も、彼女の一言でぐらりとふらついてしまう。
 話題が途切れて少しの間が空いた頃、わかさぎ姫は地面についたこちらの手に自身の手を重ねると、静かな声で尋ねてきた。仄かに染まった頬と、どこか熱っぽい視線で、何の事かなんてすぐに分かる。
「……え、えーっと……」
 いっそこのまま、彼女に流されてしまいたい。だが、脳裏に浮かぶのは、いつか想像した最悪の姿。
 そのせいで言い淀んでいると、手に重ねられたわかさぎ姫の手の力が僅かに強くなった。
「……あの、ね。○○、最近、何か悩みというか、私に言いたいこととか、無い?」
 そして、彼女が前を向いたまま静かに呟いた言葉に、心臓が跳ねる。もしや、自分の醜い考えなんてばれていたのだろうか。
「ここ最近、○○は辛そうというか、楽しくなさそうに見えるの。……それって、私のせい?」
「……それ、は……」
 やっと絞り出した声は掠れ、ほとんど唸り声と変わらない。
「……やっぱり、妖怪が恋人は嫌? 中途半端に人なのは面倒で、……気持ち悪い?」
 恐らく、先程の自分の返した反応は彼女の不安を煽るものでしかなかったのだろう。震える声でわかさぎ姫はそう続けると、瞳から雫が一筋垂れ落ち、それを皮切りにぽろぽろと真珠のような粒が零れ落ちる。
 その光景に、今までの自分の姿がフラッシュバックする。
 自分は何をしているんだ? 勝手に悲観して距離を取って、わかさぎ姫からすれば恋人が急に余所余所しくなったうえ、一緒に居ることにも気乗りしていないようにしか見えないじゃないか。それを『彼女のことを思って』などと正当化して、その結果がこれ? こんな風に泣かせておいて、『きちんと愛する』?
 こんな顔をさせたかったわけじゃないのに。彼女を悲しませたかったわけじゃないのに。
「姫」
 彼女の手の下にある自身の手を起こして、彼女の手を出来るだけ優しく握る。
 すると、わかさぎ姫は伏せていた顔をそっと上げて、こちらに向けた。今にも泡になって弾けてしまいそうな、儚げな人魚を、もう片方の腕で抱き寄せる。
「違う、違うんだ。……長くなるかもしれないけれど、聞いてくれる?」
「……うん」
 それから、情けない男の情けない独白を、彼女はただ黙って聞いてくれた。

「……これで、全部。だから、嫌いになったとか、絶対に有り得ない」
 わかさぎ姫にここ数日のことを、自分の抱いていた不安も含めて包み隠さず全て話した。話が終わると彼女は一言「本当?」と聞いてきたので、「本当」とだけ返す。
「……良かった、良かったぁ……。私、てっきり、お別れなのかなって……」
 溢れたのは、心底安心したような声。彼女をここまで不安にさせていたことが、ただただ申し訳ない。
「ごめん、一人で勝手に落ち込んで。姫のこと、何も考えてなかった」
 抱き締めていた手を緩めて体を離してから、改めて謝罪をする。
「ううん、○○はちゃんと私のこと考えてくれてたよ。だから、自分を責めないで。それに、私も悪いの。○○の気持ちも知らないで、喜んでくれるだろうからって……」
 しかし、わかさぎ姫は怒りをぶつけることも非難することもせず、落ち込まないでと優しい声を掛けてくれた。だが、自分を責めないでと言った口で彼女自身を責め始めたので、慌てて手をぶんぶんと振る。
「いや、姫は全く悪くないって! そもそも、こっちが……」
 彼女に落ち度などある訳がない。しかし、続く言葉は彼女に唇を人差し指で塞がれ、止められてしまう。
「それなら、今回はお互い様ってことにしましょう? 私も、○○も、どっちも悪かった。でも、私は○○に怒ってない。○○は?」
 わかさぎ姫は人差し指を離して、優しい口調で問う。
「……怒ってない」
「なら、それで終わり。ね?」
「……うん、分かった。……本当にごめん、姫。それと、ありがとう」
 『お互いに悪いところがあったが、それをお互いが許し合ったのならば何も問題はない』として、自分の勝手な不安が発端になってしまった今回の件にわかさぎ姫は幕を下ろしてくれた。
 明らかにこちらの非が大きい、いや、こちらにしか非はないのだが、彼女がそう言って許してくれるのであれば、これ以上の自責は自己満足でしかない。自分だけでなく二人のせいにして自責し過ぎないようにとしてくれた温情に、ただただ感謝するしかなかった。その思いを込めて繰り返しの謝罪とお礼を言うと、彼女はたおやかに笑う。そして、甘えるような瞳でこちらを見て、先程唇を抑えた指で自らの唇をそっとなぞる。
「それじゃあ、喧嘩をしてたわけじゃないけど、仲直りのキスをして欲しいな」
「ああ、勿論」
 今回はちゃんと返事をして、わかさぎ姫の唇に自分の唇を重ねる。少ししてゆっくりと離すと、彼女は、はあ、と息を溢れさせる。
「もっと」
 もう一度、唇を重ねて、また離す。
「次は、私から」
 宣言どおり、彼女から唇を重ねられる。
 どちらからともなく再び抱き締め合い、何度もキスを繰り返して、時にはお互いの瞳を見つめ合い、またキスをする。
 次第に思考が溶けるように頭がぼうっとしてくるが、決して夏の暑さにやられてしまった訳ではない。脳を満たすのはわかさぎ姫の唇の感触と、抱き締めていることにより身近に感じれる、和服越しの彼女の肢体の感触。それらの感覚に、ひたすらに幸福感に満たされていた。
「……あれ?」
 ふと、わかさぎ姫が唇を離し、声を上げる。
 回らない頭ながらに不思議に思い彼女の顔を見ると、彼女の視線が前方斜め下に向いていた。
 どうしたのだろうか、と首を捻りかけたその時、目線の先にある物にようやく気付き、まさかと思いつつ自分もその方向へ視線を向ける。
「○○、大きくなってるよ?」
 そう言われた瞬間体が一瞬で硬直し、背中に嫌な汗が大量に流れる。自分では全く気付いていなかったが、キスと包容だけで完全に勃起してしまっていた。
「…………節操がなくて、申し訳ない……」
 あんな話をしたあとなのにこのざまとは。
 恥ずかしいやら情けないやらで体温が急激に増した頭を振り絞り、俯いたまま呟く。
 しかし、わかさぎ姫は怒りも呆れもせず、耳元に口を寄せるとそっと囁いた。
 我慢しちゃ駄目だよ、と。



3.
 自らの手によって整地された草道を掻き分け秘密の入り江へと場所を移すと、やはりそこには誰もいなかった。わかさぎ姫、一人を除いて。
 湖側から泳いで来た彼女は自分よりも幾らか早く着いていたようで、既に岸に座って待っていた。水中を通って来たものの、彼女の種族故かトレードマークの巻き髪は元より髪には殆ど水滴は付いておらず、和服や中の襦袢も防水仕様になっているためずぶ濡れになったりはしていない。
 そんな彼女の隣に自分も腰を下ろして、一つ大きく息を吐く。
 周りの木々のお蔭で直射日光はかなり緩和されて涼しい分、蝉の鳴き声が休みなく響く。その中心で、自分達はそれに聴き入るように一言も話さない。
 緊張に高鳴る心音を落ち着けるため、大きく深呼吸して息を整える。最後に体内から消えた空気を静かに吸い込んでから、改めてのわかさぎ姫の方へ体ごと向き直る。すると、彼女もそれに倣うようにこちらを向く。彼女の紅潮した頬は、夏の熱気によるものだけじゃないことは分かっていた。
 視線を送る。わかさぎ姫は小さく頷く。
 無言の会話をしてから、わかさぎ姫の腰に手を回して抱き寄せる。引かれるままに彼女はこちらにしな垂れかかり、肩にふわりと手を添えて、上目使いでこちらを見る。これから行われることに期待するような眼差しに誘われ、彼女のぷるりとした唇に口付けをする。
 行為自体はここに場所を移す前と何も変わらないが、今回は先程のように短いキスを繰り返すのではなく、唇を重ねたまま、彼女の唇の柔らかさを堪能する。そうして十秒を少し超えるくらいの長いキスをした後、一度唇を離すと、わかさぎ姫は、はあっ、と小さく息を漏らす。
 キスをする前よりも幾らか赤みが増したわかさぎ姫の表情に駆られ、思わずもう一度唇を重ね、次は舌を伸ばして彼女の唇に触れる。すると、躊躇いなく口を開いて自ら舌を伸ばしてきてくれたので、そのまま互いの粘膜を絡め合い、唾液を交換し、撹拌する。
 わかさぎ姫の唾液は甘露を思わせるほどに甘く、強烈な媚薬のように体を熱くさせる。どれだけ嚥下しようとも渇きは満たされず、また求めてしまう。うるさいくらいに鳴いていたはずの蝉の鳴き声は耳には届かず、粘液を混ぜあう水音だけが頭を支配していた。
「んっ、ちゅ、はぁっ、くちゅっ、ん、んっ……」
 口付けの合間に漏れるわかさぎ姫の息継ぎの声が興奮を一層煽り、彼女の唇を貪り続ける。しかし、肩に当てられた彼女の手の力がさっきよりも強くなっていることに気付き、慌てて顔と体を離した。
「ご、ごめんっ、つい夢中になっちゃって、手に力篭ってるのに気付かなかった……」
 唇の端に互いの混合液を少し垂れさせて、熱っぽい瞳でこちらを見るわかさぎ姫に謝罪しつつ、彼女の口元の唾液を指で拭き取る。すると、彼女はふるふると首を横に振った。
「○○、大丈夫だよ。こんなに○○に求められたの初めてだなあって思ったら、もっと○○の傍に行きたくなっちゃって、寄りかかっちゃっただけ。最初から、こんなに近くなのにね」
 ふふっと可憐に笑い、再び体を寄せてくる彼女。てっきり押し返そうとしていたのかと思ったが、勘違いだったようだ。
「……そっか、それなら良かった……」
「でも、ほら。ちゃんと自制して、優しくしてくれたね。やっぱり、○○は私のこと考えてくれてるよ」
 自らの早合点に軽く溜め息を吐くが、わかさぎ姫は勘違いではあったものの自らを律せたことを挙げると、こちらの頭に手を乗せていい子いい子と頭を撫でる。
 まるで幼子を相手にするかのような行為は少々恥ずかしいし照れくさいが、それ以上に彼女の気遣いが嬉しかった。
「……ありがとう。姫、もう一回、キスしてもいいかな?」
「ええ、勿論」
 こちらの不安を払拭する言葉を掛けてくれたわかさぎ姫に感謝の気持ちと、もう不安には囚われないという意思の両方を込めて、そっと口付けをする。
 すると、彼女がわざとらしく体をこちらに寄りかからせて来たので、今度はこちらから抱き寄せる。そして、口付けを終えて顔を離すと、彼女がにこっと笑みを浮かべたので、自分も釣られて頬を緩める。
「今日だけでいっぱいキスしちゃったわね」
「前は一回しか出来なかったから、その分ってことで。……姫、服、脱がせるよ」
 わかさぎ姫の和服の襟元に手を伸ばしつつそう尋ねると、彼女はそれに対しこくりと頷くが、同時に「少し待って」と呟く。言われたとおり手を止めると、わかさぎ姫は慣れた手つきで自ら帯を緩めて、和服を半襦袢ごと肌蹴させた。
「こっちの方が脱がせやすいよね。ここからは、○○の手でね?」
 そして、彼女は期待の篭った眼差しと、照れの混じった笑顔を見せる。それらの仕草と表情に湧き上がる獣欲を抑えながら襟元を中の半襦袢ごと開くと、彼女の白い肌と豊満な乳房の谷間、そしてそれらを覆う薄い肌襦袢が晒される。
 巨乳なんて言葉じゃ足りないほどに、大きく実った乳房。大の男の手からも優に溢れてしまうほどのサイズのそれは、圧倒的な存在感を放っていた。加えて、肌襦袢の生地の薄さ故に乳房が少し透けており、うっすらとだが乳輪と乳首まで見えて、つい目が奪われてしまう。
 魅力的すぎるわかさぎ姫の乳房に思わず止めてしまった手に再び力を入れ、胸元を覆う肌襦袢を掴む。たったそれだけのことで、柔らかな胸はふるりと揺れる。
 ゆっくりと薄布を開いていくと、まずは薄い桃色をした、僅かに膨れた乳輪が現れ、次にぷくりと膨らんだ小さな乳頭が顔を出す。
 やがて肌襦袢は完全に取り除かれ、豊乳の全てが晒される。和服の上からでもはっきりと分かるくらい大きいのに、隠す物が無くなると一段とそのボリュームに圧倒される。その上、これだけのサイズを誇りながら美しい乳房は形が全く崩れていない。
 あまりに熱心に見つめていたせいか、彼女はぷっと吹き出すと、笑い混じりに口を開く。
「○○の好きにしていいからね?」
 逸る気持ちを抑えつつ頷きを返してから両手をそれぞれの乳房へ向かわせ、親指と人差し指の股で支えるように手を添える。極上の絹、いや、それを上回るほどに滑らかな肌触りの乳房を少し持ち上げると、巨大な果実は手のひらに確かな重量感を与えてくる。
 持ち上げていた手の指先に少し力を込めれば、柔らかいながらも張りのある乳房は指に合わせて、むにゅりと形を変える。数十分前まで水中にいたせいかしっとりと濡れた白い肌はややひんやりとしているが、その芯は温かく、人肌の温もりを感じさせた。
 もう少し力を強めて五指を沈ませると、指の間から柔肉が溢れてしまう。それを手の平に再び収めようとそっと力を緩めれば、たぷたぷの乳肉は手に吸い付くかのようにまた元の形に戻る。
 手の平を通して伝わる、いつまでも触っていたくなる幸せな感触。それをもっと味わうべく、一回、二回と何度も乳房を揉む。
「んっ……、ぁっ……」
 わかさぎ姫の甘い吐息を聞きながら、好き勝手に豊乳を揉みほぐす。更に、手の平を少し中央に捻って持ち方を変え、人差し指の先を乳輪に沿って滑らせる。
「あぁっ、んっ……、そこ、もっと、して……」
 その要望に応え、乳輪の縁に沿って円を描くように指先でなぞる。時折内側にも指を進ませるがあえて真ん中の蕾には触れずに、周辺のみを優しくさする。
 焦らされているのは彼女も分かっているのだろう。しかし、急かすようなことはせず、甘い息を漏らしながらじっとその時を待っていた。
 そして、彼女が僅かに体を震わせた瞬間、乳頭の先端をこするように指を滑らせた。
「っ! ふぁあぁっ!」
 するとわかさぎ姫は高い嬌声を上げると共にびくんと体を跳ねさせ、手の平の上で乳房も揺れ弾む。一度弾いたことを皮切りに乳頭への責めを解禁し、乳頭をつついて乳肉に指ごと沈ませ、そのまま指先ですりすりと撫でる。
「んっ、はあぁっ、おっぱい、気持ちいいっ……」
 荒い息を吐きながら、うっとりとした声で呟くわかさぎ姫。自分はもとより、彼女も快楽を感じていてくれることが何よりも嬉しく、責めの手にも熱が入る。
 豊満な乳肉をマッサージするように撫で回し、同時に固く膨れた乳頭を指の腹でぐりぐりと捏ねる。彼女が強い刺激に身を震わせれば緩慢な動きに切り替え、物足りなさそうな吐息を漏らせばまた強くする。
 そうして両の手で乳房の感触を楽しみつつにも性感を与えていると、不意にわかさぎ姫は口を開く。
「……ね、その、えっと……」
「うん? どうかした?」
 言いにくそうに言葉を濁す彼女に、手を止めて続きを尋ねる。
「あのね……お口でも、して欲しいなって……」
 一度こちらを上目使いで見た後、恥ずかしげに少し俯いておずおずと切り出したのは、更なる行為のおねだり。その内容と仕草に心臓を一息に貫かれ思考が飛んでしまうがすぐに持ち直し、これまでの愛撫で十分に硬度と大きさを増した乳頭へ早速口を伸ばして、ぱくりと咥え込む。
「あっ、んんっ、はぁっ……」
 まずは唇で乳頭を何度か甘噛みした後、大きく口を開けて舌を広げ、乳首と乳輪両方をざらついた面で舐め上げる。いやらしく膨張した肉粒を舌で転がされる度に彼女は甘い嬌声を上げ、法悦に浸る。
「ふあぁっ! んっ、やぁっ」
 その間も手を使った愛撫は止めず、片方は口を、もう片方は手を使い弄り続け、時には左右を入れ替えて休みなく責める。
 一頻り舌で責めた後は趣向を変え、乳頭に数回口付けをしてから大きく音を立てて吸ってみる。
「あっ、やぁっ! そんなに、吸っちゃっ、ふあっ!」
 すると、わかさぎ姫はこちらの後頭部に手を回し、ぎゅうと抱き寄せてきた。恐らく快楽に耐える為に無意識にしているのだろうが、それによって口元ごと顔が乳房に押し付けられ、視界が彼女の白くきめ細やかな肌一色に染まってしまう。
 だがそれに抗うことはせず、母乳を求める赤ん坊のように乳を吸い続け、舌先ではぷくっと膨らんだ乳輪をなぞり、またちゅうちゅうと乳頭を吸う。
 わかさぎ姫は途切れない快感にびくびくと体を震わせて甘い声を漏らしながらも、抱きかかえた手は依然として離さない。いつまでも聞いていたい声、堪能していたい感触なのだが、流石に呼吸が苦しくなってきたので、息が切れてしまう前に彼女の背中を軽くとんとん叩く。
「……あ、○○っ、ごめんねっ、苦しかったよね?」
 今の状態に気付いたわかさぎ姫は慌てて手の拘束を緩めて顔を離させると、そのまま頭をよしよしと撫でる。
「大丈夫大丈夫。なんなら、もう一回してもいいくらい心地よかったよ」
 冗談めかして気にしなくてもいい旨を伝えると、彼女は小さく笑う。
「そうだったわね、○○はおっぱい大好きだもんね。だって、ほら」
 そして、わざとらしく呆れた声色でそう続けると、こちらの下腹部の盛り上がった部分に手を伸ばす。
「こんなにおっきくして、そんなに興奮してくれた?」
 上目使いで尋ねながら、彼女はズボンの膨らみの頂点を布越しに触れる。たったそれだけの刺激で、僅かにだが体が震えてしまう。
「そりゃ、姫のおっぱいは最高だからね」
「ふふっ、ありがとう。それなら、今日はこっちで○○を気持ちよくしてあげるわね」
 わかさぎ姫は自身の胸に手を添えてそう言うと、岩の上からぴょんと地面に降りて広場――この限られた空間内での、だが――に移動すると腰を落ち着け、こっちに来て、と手招きをする。
 胸で、ということは恐らくパイズリなのだろうが、それならば彼女が水中に半身を沈め、自分がその前に腰掛けるようにした方がやりやすいはず。事実、ここでしてもらう時はそうするのがお決まりだった。
 不思議に思いながらも促されるまま、彼女の隣まで足を進める。
「立ったままでいいよ。服は私が脱がせるから、じっとしててね?」
 彼女は淀みない手つきで楽しげにズボン、パンツを脱がせ、勃起した男根が姿を現せば、感嘆の息を漏らす。
「はあっ……、何だか、とっても久しぶりに感じるわ。二週間くらいのはずなのに」
「っ、うぁっ……!」
 彼女は陰茎の手触りを懐かしむように肉幹に左手を添えて包み、右手ではすりすりと優しく撫でる。細く白い指の感触に思わず声が漏れ、陰茎がびくんと跳ねてしまう。
「わっ、凄く震えてる……。もしかして、あんまり一人ではしてなかったの?」
「えーっと、前に姫にしてもらった日から、かな。そういう気分になれなくて……」
「そうだったの? それなら、今日はたくさん溜まってる精液、全部出しちゃっていいからね?」
 わかさぎ姫に手でしてもらった日以来射精していないことを伝えると、彼女は陰嚢を右手の平に乗せ、やわやわと揉みながら嬉しそうに亀頭の先端を軽く撫でる。敏感な箇所を撫でられるくすぐったさと、溜め込んだ精液を確かめるような淫靡な行為に、肉体も精神も刺激され背筋に軽い電流が走る。
「う、くっ……。まあ、精子は三日くらいで満タンになって、後は貯まらないらしいけど……」
 どこかで聞いたような読んだような記憶を思い起こしつつ訂正すると、彼女は「そうなの?」と、少し残念そうな声を漏らす。
「だけど、いっぱいなのには変わりないんでしょう? 空っぽになるまで気持ちよくしてあげるからね」
 だが、すぐに張り切った様子を見せて、鈴口にちゅっと口付けをする。そして、そのまま肉棒に舌を這わせて唾液を塗すと、それを手でさすって全体に塗り広げていく。これから行われる本格的な奉仕の前準備なのだろうが、これだけでも十分に気持ちよく、無意識に腰がびくんと跳ねてしまう。
「気持ちいい? でも、まだ我慢しててね……」
 恥ずかしい話だが、このままのペースで続けられたら本当に射精してしまいかねない。それは彼女も分かってくれているのか、時折小休止を挟んで口内に唾液を貯める時間を挟み、刺激し過ぎないよう加減しながら準備を進めていく。
 そうしたわかさぎ姫の気遣いの甲斐も有って何とか射精してしまうこともなく、男根が唾液と我慢汁二種類の潤滑油塗れの姿となる。
「このくらいでいいかな?」
 わかさぎ姫は陰茎から手を離すと再び口内に唾液を溜める。そして、自身の乳房をぐっと持ち上げると谷間に唾液をとろりと垂らし、乳肉を弾ませて全体に広がるようにぐちゃぐちゃと捏ねる。
 これでお互いに準備万端となる。こちらは未だに立ったままではあるが、いよいよ豊満な乳房で陰茎を挟み込む……のではなく、わかさぎ姫は改めて乳房を持ち直し、乳房を中央へぎゅっと寄せる。
「さ、○○の、ここに入れて?」
 たぷたぷと双房を上下に軽く揺らしつつ、谷間への挿入を促す彼女。ここでやっと、どのようにして胸で奉仕してくれるのかを理解する。そう、いわゆる縦パイズリというやつだ。
 そうと分かれば自分も足を一歩踏み出す。ちょうど陰茎の高さと乳房の高さは一致しており、彼女の肩に手を添えて詰まった双房の入り口に亀頭をあてがい、わかさぎ姫の顔を覗く。すると、「どうぞっ」と可愛らしく言ったので、そのままぐっと腰を押し込んだ。
「んっ……、○○の、熱いのが……」
 潤滑油によってぬるぬるになったきめ細やかな乳肌を亀頭で掻き分け、奥へ奥へとずぶずぶ沈ませていく。深い渓間が肉棒を向かい入れると、柔らかくも張りのある乳肉が左右から押し合って絡みつき、程よい圧を加えてくる。
 それによる快楽で全身が震えるのを堪えつつ、彼女の胸に腰が触れて乳房がむにゅりと押されたところで一旦挿入を止める。
「くっ、あぁっ……」
「ど、どうかな? 気持ちよくなってくれてる? 大丈夫?」
「ああ、すごく気持ちいいし、今も動かしたくてうずうずしてるくらい……」
「本当? よかったぁ……。遠慮せずに○○の好きなように動いていいからね?」
 初の試みに不安げに尋ねるわかさぎ姫にそう答えると、安堵の声と共に表情を緩め、自由にしていいと言う。それなら従わねば失礼と、短い返事と頷きを返す。
 一度男根を引き抜くべく腰を引けば、両脇から押される乳房が次々と亀頭を撫で、陰茎を収めていた穴はあっという間に塞がってしまう。次は陰茎全てで乳肉を味わうべく、再び双房の谷間に突き入れ、乳房に腰がぶつかろうとも構わず挿入する。すると最奥まで亀頭が達するが、勢い余って彼女の肌をにゅるりと上へ滑ってしまい、谷間を抜けて首元から亀頭が顔を出す。
「わっ、びくびくって震えてる……」
「ぐっ、うぁっ……」
 わかさぎ姫が突然現れた陰茎に驚いて言葉を漏らすと、その息が先端に掛かりぞくぞくと快感が全身を駆け巡った。それによりあやうく射精してしまいそうになったが何とか堪え、慌てて腰を引く。
 一気に高まってしまった射精欲を抑えつつ、さながら膣への挿入のように腰を何度も突き入れ、柔肉で肉棒を扱く。彼女にしてもらう通常のパイズリとは違い、自分本位に動かしているのだから射精しないように調整するのも容易なはずなのに、欲望を抑えることなど出来なかった。
 そのままのペースで突き込み続けていると、不意にわかさぎ姫は乳房を挟む力をぐっと強め、陰茎全体に強烈な乳圧を加える。四方八方を包む柔肉に精を絞られるかのような快感に、思わず獣じみたうなり声をあげてしまう。
「ぐぁっ……!」
「気持ちいい? もっともっと、気持ちよくなってね?」
 しかし、そんな呻きも強烈な快感によりもたらされたものだということは彼女にはお見通しだったようだ。時には突き込みに合わせ、時には去り際に乳圧を強め、射精に導こうと更なる奉仕をする。
 この時間を長く楽しみたい一心で射精をなんとか堪えているものの、鈴口からは我慢汁が大量に溢れ出し、こすれ合う乳肉と肉棒からは粘膜同士が触れ合うような音が絶え間なく響く。
 みっちりと詰まった乳肉で、もっと陰茎を扱きたい、もっと味わっていたい。しかし、縦パイズリで得る快感は十日以上自慰すらしていない体にはあまりにも刺激が強すぎて、もう射精欲は限界寸前まで達していた。
「姫っ、もうっ……」
「うんっ、ぎゅっとしててあげるから、○○の好きなタイミングで射精して、精液いっぱい出してっ」
 腰を突き入れながら射精が目前であることを伝えると、わかさぎ姫は慈母のような優しい微笑みを向ける。まるで全てを受け入れてくれるようなその笑顔に、肉欲だけでなく心まで満たされる。
 そして、肉棒を奥まで押し込んだ瞬間、乳房に肉棒全体をぎゅうと押し潰され、強烈な快感に頭が真っ白になる。
「ぐっ、あ、あぁっ!」
 とうとう迎えた絶頂に体はぶるぶると痙攣し、くぐもった声を上げながら双房の中に白い欲望を解き放つ。
「はあぁっ……、温かい……」
 陰茎をびくびくと跳ねさせながら射精している間、彼女は乳房で挟む力をふわりと包むくらいの強さまで緩め、吐精が終わるまでじっと待ってくれていた。
 休みなく排出される精液の量から、谷間の内側が見えずとも精液や唾液でどろどろになっているのが容易に想像でき、彼女の白い肌を白濁で汚している事実がより一層興奮を煽る。
 放精を終え、陰茎を抱擁する乳肉からずるりと腰を引いた勢いのまま、射精後独特の疲れに身を任せてへたり込む。肉幹にはべっとりと互いの潤滑油が付着していたが亀頭付近には精液は僅かしか付いておらず、殆どが彼女の両乳房の間に呑み込まれてしまったようだ。
 射精の終了に伴って乳奉仕も終わり、わかさぎ姫は乳房を片腕で支えるように持ち替えると、もう片方の手で谷間を開く。すると、胸元では大量の白濁が互いに糸を引き合い、べったりとこびりついていた。
「わっ、すごい……ほら、ゼリーみたいに、ぷるぷる……」
 わかさぎ姫の言うとおり、粘度の高い大量の精液の中にはまるでゼリーのように大きな固まりまであった。その中でも一番大きな塊を彼女は摘まんで軽く持ち上げると、他の塊も連なって持ち上がる。それらをそのまま手を回して手の平で掬い取ると、躊躇なく自らの口に運んだ。
「んっ、く、ちゅ……」
 そして、口元を手で隠しつつ咀嚼し飲み込むと、はあ、と息を吐く。
「この味も、匂いも、大好き……」
 蕩けた瞳で男の精を味わう彼女は、やはり見る者を魅了し溺れさせるような人魚なのではと思ってしまう。
 荒い息を整えながらそんなことを考えていると、わかさぎ姫は緩めていた帯を解いて、簡単に畳んで傍らの草の上に置く。帯が無くなったことで和服と襦袢の前面がゆるりとはだけるが、彼女はそのまま肩にかかった襟を外して、自ら全身を曝け出す。
 未だに白濁が垂れきらずに付いたままの、淫靡さを醸し出す巨大な果実。それなのに腰回りはきゅっと締まり、抜群のプロポーションを誇っている。
 そして、下半身の魚部分との境目のやや上部に位置する、高揚により口を開き始めている陰唇と、人間とは多少位置にずれがある故に見えてしまっている、陰唇のすぐ下にあるきゅっと窄まった菊門。成熟した体つきで有りながら陰唇周りに一切恥毛は生えておらず、アンバランスな色気を醸し出している。
 さらにその下の魚の尾部は彼女が妖怪であることを強く意識させるが、忌諱するどころか、惹き込まれる妖しい美麗さがあった。
「姫。凄く、綺麗だ」
 それらの美しさを受けて、余計な語彙は用いずに短くそう呟く。
 すると、艶やかだったわかさぎ姫の顔がきょとんとしたものに変わったかと思えば、見る見るうちに頬が紅く染まる。
「きゅ、急にどうしたの?」
「いや、ここに来る前に、……その、『半端に』とか言ってたけど、そんなこと思わない。これだけはちゃんと言っておきたくて」
 君が想像していたようなことは決して無いと伝えると、彼女は顔をふっと綻ばせる。
「ありがとう、○○。嬉しいわ」
 そして、こちらにしなだれかかると、胸元に顔を寄せて、上目使いに見上げてくる。はにかんだ笑顔がなんとも可憐だ。
「本当に、嬉しい。……○○、次は、こっちよね?」
 わかさぎ姫は噛み締めるようにそう続けた後、こちらの右手を取って自らの手を添えて、陰唇のもとに案内する。
 指先が陰唇に触れると、小さな水音が鳴ると共に指に温かい粘液が纏わりつく。既に性器周りは蜜に濡れているのが見ずとも分かる。
「今すぐでも、大丈夫だから、ね」
 その言葉に急かされるようにわかさぎ姫の腰に左手を回す。すると彼女は何も言わずともこちらの肩に両手を回して、後ろの左手に体重を預ける。さながら、しがみ付く子供を寝かしつけるような体勢だ。
 彼女と性交する際は互いの体型の都合上、正常位が一番楽なため、このまま左手を降ろして後ろに寝て貰うと都合がいい。
「きゃっ」
 しかし、そうはせずに腰をぐいっと引いて抱き寄せると共に自分の体も後ろに倒し、近くの木に背中を預ける。彼女はいつもどおりそのまま寝かされると思っていたのだろう、予想外の行動に可愛らしい悲鳴を上げた。
「……○○? えっと、ぎゅってされるのは私も好きだけど、この体勢は難しいんじゃないかしら……。あ、でも、○○がこうやってしたいなら……」
「姫、違う違う」
 狼狽しつつもこちらの意図を読み取ろうとする彼女の言葉をやんわりと否定して、彼女の下腹部付近に添えたままだった右手でまた秘裂に触れる。
「んっ、あっ……」
「さっきのお返し。姫にも、気持ちよくなって欲しいから」
「で、でも、これじゃ私は何も……」
「姫がしてくれたように、したいからするんだから、遠慮しないで」
 次はこちらの番だと伝えると、わかさぎ姫は逡巡した後小さく頷いて、ぎゅっと抱き付いてくる。そんな彼女を離してしまわないようにしっかりと抱き抱えてから、まずは指の感触に慣れてもらうために、緩慢な動きで割れ目に沿って上下に指を這わせる。
「ん、ふぁ……、んっ……」
 性感帯への仄かな刺激にわかさぎ姫は時折体を揺らし、溜め息に似た吐息が漏らす。緩やかな愛撫でもしっかりと性感は高まっているようで、膣口から溢れる蜜が混ざり合う淫らな音は次第に音量が増していく。
 そうして弱い愛撫で十分に慣らした後、次は陰核に指を伸ばす。そして、皮の上から軽く圧を加えてみた。
「あっ、ふあぁ、そこ、気持ちいい……」
 特に敏感な箇所で得る快感に、彼女はうっとりとした声を漏らす。される側になったことに対する気兼ねも薄まったのか、素直に官能を伝えてくれるのが嬉しく、だからこそもっと快楽を与えたくなる。
 包皮越しに指の腹を押し付けて揺するようにクリトリスを捏ね、やがて大きさが増してくれば、クリトリスを覆う皮を剥いて直に指先で愛撫する。
「あぁっ、んっ、くぅんっ!」
 するとわかさぎ姫の嬌声は一段と大きくなり、全身を巡る快感に体をぎゅうと縮こまらせて目を瞑る。このままクリトリスを弄り続ければ、いずれ彼女は絶頂を迎えるだろう。しかし、久方ぶりの情交なのに一つの刺激だけでは味気ない。そう思い、陰核から指を離して次は蜜をとめどなく溢れさせる膣口の方へ向かわせる。
 そして、次々と新たな愛液がとろとろと湧き出ている穴の入口を何度か撫でた後、ゆっくりと中指を挿入する。
「ふ、ああぁ、あっ、んっ、入ってぇ……」
 柔らかな蜜壺にきゅうきゅうと甘噛みされる感触を味わいながら、中指の全てを呑み込むまで押し進める。彼女は膣穴に異物が侵入する感覚にぶるりと身を震わせるが、漏れる声に苦痛の色はなく、悦び一色に染まっていた。
 その色を更に濃くすべく差し込んだ指を前後に抜き差しし、膣内を指でなぞる。
「あっ、んっ、はあぁ……、指、気持ちいい……」
 わかさぎ姫の様子を窺いつつ少しずつ弄る場所を変え、ある場所を探す。今のままでも十分に彼女は感じてくれているが、もっともっと気持ちよくさせたい。
 確かこの辺りだったはずだが、と彼女との房事の記憶を思い返しながらざらついた膣壁をさすると、彼女の漏らす声が一段高くなる。
「あ、んんっ、あっ! ふああぁっ!」
「ここがいい?」
「うんっ、そこ、すごくいいっ……」
 自らの記憶が合っていたことにほっと胸を撫で下ろし、改めて彼女の弱点を重心的に責める。肉壁を撫でる度に粘つく愛液が指に絡み、ぐちゅぐちゅといやらしい水音が鳴り響く。
「やあぁ、音、恥ずかしいっ……」
「それなら、もう少しゆっくりにする?」
 顔を真っ赤にして恥ずかしがるわかさぎ姫にそう提案した後で、意地が悪い聞き方をしてしまったなと遅れて気付く。なので、疑問形ではなく言い切りに訂正しようとするが、その前に彼女は潤んだ瞳をこちらに向け、ふるふると首を横に振った。
 期待と羞恥の入り混じったその表情に、一発で心を射抜かれてしまう。自らの羞恥よりも、およそ上手とは言えない拙い指愛撫を、彼女は求めてくれているのだ。恋人のそんな姿に、愛おしさが止めどなく溢れ出す。
 ペースを落とさずに、但し出来る限り音がしないように注力しながら愛撫を続けてながら、こちらの肩に回されている彼女の腕に視線を送る。
「姫、後ろの手離すから、しっかり掴まっててね」
 しがみ付くわかさぎ姫にそう声を掛けると、彼女は体を小さく跳ねさせながらこくこくと首を縦に振る。余り経験の無い体勢のため彼女を離してしまわないようにと抑えていたが、その心配も無さそうなので、回していた片腕を離す。これでこちらの手でもわかさぎ姫を気持ちよくさせることが出来そうだ。
 早速、空いた手で彼女の乳房を下から持ち上げて口元に寄せ、固く尖った蕾にしゃぶりつく。
「はぁんっ! おっぱいっ、吸っちゃあっ! ふあぁっ!」
 持ち上げる手のひらでも軽く揉みながら乳頭を吸い、舌先で味わうようにくにくにと転がす。
 勿論片方の乳房ばかり弄るのではなく交互に口と手を入れ替え、両の乳房を満遍なく責める。
「はあぁ……、いいよぉ……、おっぱいもみもみされるのも、ちゅうちゅうされるのも、好きぃ……」
 蕩けた顔で譫言のように呟きながら、胸から送られる法悦を長く息を吐いて享受するわかさぎ姫。
 上と下の性感帯から休みなく快楽を与え続けていると、彼女がこちらの肩に回している腕の力が少し強くなった。恐らく、限界が近いのだろう。
「そろそろイキそう?」
「うんっ、○○、お願いっ、ぎゅってしてっ……」
 彼女のお願いに応え、乳房を持っていた手を離して、今の体勢で出来る限りの抱擁をこちらからも返す。すると、それに僅かに遅れてわかさぎ姫は一際大きく体をびくんと跳ねさせた。
「イっ、イクっ、あっ、あああぁっ! ふぁっ……、んっ、はぁはぁっ……」
 絶頂を迎えた膣内は指をきつく締め付け、尿道からぷしゅっと潮が吹き出して手の平を濡らした。胸の中の彼女は瞳の端に涙が浮かべて荒い呼吸を繰り返し、体をひくひくと痙攣させていた。
 わかさぎ姫が落ち着くまで後ろに回した手で背中をよしよしと撫で、震えが治まったところで膣に差し込んだままだった指を引き抜くと、白みがかった蜜がどろりと溢れ出す。それを親指と中指で摘まんで指同士を離すと、ぬちゃあ、と粘ついた糸を引いた。
「姫、気持ちよくなってくれた?」
「……うん、とっても、気持ち、よかった……」
 荒かった息を鎮めながら彼女はこくこくと頷く。しかし、すぐに俯くと、「でも」と呟やく。
「あのね、私の中が、とっても切ないの……。○○の、もっと大きいのが欲しい、って……」
 上目遣いで甘えるように言うわかさぎ姫は非常にあざといが、彼女の性格からして狙った発言ではないと分かっているからこそ、心揺さぶられてしまう。
 期待する瞳を向けたわかさぎ姫を一度地面に座らせ、自分の服を脱いで彼女の後ろに敷いてから彼女を寝かせるべくもう一度腰に手を回す。
 すると、わかさぎ姫は口元を隠してふふっと笑いを漏らす。
「どうかした?」
「ううん。○○はいつも、こうして自分の服を敷いてくれるわよね」
「そりゃあ、和服と襦袢がある上に草が生えてるといえ地面は地面だし、それに、この和服は弾幕勝負に使っても簡単には破れないくらい丈夫って言ってたけど、だからって雑に扱っていいわけではないだろうし……。それに、こんなに可愛い服なんだから汚しちゃ勿体無いよ。俺のなら、手で払えばそれでいいんだから」
 自分の服程度でそれらの問題が少しでも避けられるならばそれに越したことはないと伝えると、わかさぎ姫は柔らかく笑う。
「ありがとう、○○。やっぱり、○○はちゃんと私のこと、考えてくれてるよ」
 そう言ってこちらに体を委ねるわかさぎ姫を寝かせると、彼女は自分に向かって両手を広げて伸ばしてくる。求められるままに肘を地面について覆い被さる、伸ばした両手を背中に回され、彼女からぎゅっと抱き締められる。
 今日だけで何度も抱擁を繰り返してきたが、何回しても飽きることなんてない。無限に湧き上がる情愛を少しでも伝えたくて、眼前の彼女の唇に軽く口付けを落とす。すると、わかさぎ姫も頭を少し浮かせて、キスを返して来た。
「姫、愛してるよ」
「私も、愛してる」
 お互いに顔を寄せて耳元で囁き合い、また抱き締め合う。その間二人に言葉は無く、辺りを飛び交う蝉の鳴き声や木の枝が風に揺れる音に包まれて、このまま溶けてしまうのではないかと思うくらい今の自分達は静穏だった。
 やがてわかさぎ姫は背中に回していた手を離してこちらの頬を一度撫でると、いつでもいいよ、と呟いた。
 それに短く返事をしてから体を少し起こして体勢を整え、先程の指愛撫での彼女の乱れた姿と、未だに発散し切れていない肉欲でがちがちに勃起した陰茎に手を添える。すると、彼女も自らの陰唇に両手に添えて、見せつけるように左右に大きく開く。
 真っ赤に熟れた秘部は淫汁で洪水となっており、花弁の奥で開いた膣口は誘うように開閉を繰り返して自らを満たす物を待ち望む。視線を上げてわかさぎ姫の顔を見れば、期待に溢れた瞳でこちらを見据えていた。
 あまりに蠱惑的な姿に心臓が一気に高鳴り、ごくりと生唾を飲み込む。そして、ご馳走を前に先走り汁の涎を零す亀頭をとろとろの肉穴にあてがい、ぐっと差し込んだ。
「あ、ふあぁ、んっ、○○の、入ってぇ……」
 詰まった膣肉を亀頭で掻き分けて侵入すると、入ったそばからぬめる膣肉が陰茎に絡みついて、更に奥へと誘ってくる。それに抗う選択肢など有るはずはなく、欲望に任せて剛直をずぶずぶと沈ませる。
 やがてお互いの腰が密着するまで突き入れると、それと同時に亀頭がわかさぎ姫の最奥を叩く。
「あっ、んんっ……ふあぁっ! ○○のが、奥まで……」
「っ、くあぁっ……!」
 温かい膣肉に陰茎の根本から亀頭の先まで全てを包まれ、きゅうきゅうと柔らかく締め付けられる感覚に思わず声が漏れてしまう。動かさずとももたらされる甘い痺れを享受し、腰を止めて久方ぶりのわかさぎ姫の膣内の感触を静かに味わっていると、彼女から声を掛けられた。
「○○、どうかな……? 私の中、気持ちいい……?」
「うん、すごく。気を抜いたらすぐに出しかねないくらい」
 おどおどと尋ねるわかさぎ姫の問いにそう答えると、彼女は不安混じりの顔を緩ませて、自身の下腹部に手を添えて優しい手つきで撫で始める。
「嬉しい……。私もね、中が○○のでいっぱいになってるの、とっても好きよ……。私で、いっぱい気持ちよくなってね?」
 性交中だとは思えないほど穏やかな声色で言うと、喜悦に満ちながらも照れと恥ずかしさを添えた顔を見せるわかさぎ姫。発言内容もさることながら、相手の心を一瞬で虜にして惹き込んでしまう表情に完全にやられてしまう。天然でこれなのだから、本当にずるい。
 だけど、一つだけ訂正してほしい箇所があった。
「姫、気持ちよくなるのは、俺だけじゃなくて、ね。俺も頑張るから」
 すると彼女は大きな瞳を数回ぱちくりさせた後、顔をほころばせる。
「そうだったわね。○○、私も、いっぱい気持ちよくしてくれる? 一緒に、よね?」
 首を軽く傾けての言葉に大きく頷いて、胸にこみ上げる愛しさを快感という形で伝えるべく、最奥を突いたままだった陰茎をゆっくりと引き抜いていく。
「んっ、はあぁっ……」
「うぁっ……」
 粘っこく絡みつく肉ひだをカリ首で擦られ、わかさぎ姫はうっとりとした甘い吐息を吐きながらその身を震わせる。かたや自分は下半身に電流が走るような快感に情けない声を上げてしまう。
 入口近くまで腰を引いてから、すぐに射精してしまわないようにと気合と力を入れ直して、もう一度膣穴に向けて男根を突き込む。
 纏わりつく膣肉を掻き分けて進み、子宮口を亀頭で叩く。長いストロークで腰を前後に動かして膣内を堪能しつつ、彼女が官能を得る姿も共に味わう。
 二度目の突き込みはさっきよりも早く、三度目は更に早くと徐々にペースを上げ、無理のない速度まで上げてからは一定のリズムで腰を動かす。
「あんっ、ふあっ、はあんっ!」
 腰同士がぶつかる度に結合部では小気味よい音が鳴り、それと同時にわかさぎ姫の口からは元来の鈴を転がすような声が艶やかに彩られた嬌声が上がる。その下では豊満な乳房が体の揺れに合わせてゆさゆさと大きく弾み、視覚と聴覚でもこちらを楽しませてくれる。
 結合部では掻き出された愛液が腰同士のぶつかりで飛沫になり、飛び散った蜜がこちらの体にもかかっていたが不快感はなく、ただただ蜜壺を男根で捏ね回すことに夢中だった。
「姫の中、柔らかいのに滅茶苦茶絡んできて、最高に気持ちいいっ……!」
「私もっ、○○の固いのがずぼずぼってしてるのっ、すごく気持ちいいのっ!」
 お互いに相手から与えられる官能を伝え合い、こんな状況なのに笑顔を向け合う。自分ばかりでなく、彼女が快楽を得て、それを伝えてくれることが嬉しくて、もっと乱れさせたくなる。
 そのために、一度大きく腰を引いて、陰茎を抜き出す。
「あん、はぁっ……」
 わかさぎ姫は切なそうな声を漏らして潤んだ瞳でこちらを見るが、勿論、ここで切り上げるつもりはない。
 彼女の蜜に塗れた男根を、開いたままの形で物欲しそうにぱくぱくとひくつく膣穴に添えて、改めて挿入をする。ただし、今回はじわりじわりと肉穴を開墾しつつゆっくり挿入し、亀頭と肉幹を少し呑み込ませた辺りで進入を止めて、浅く前後に腰を揺する。
「あっ、はあっ、そんな浅いところ、ばっかり、あんっ」
 先程とは違う、短くも断続的な動きに翻弄されるようにわかさぎ姫は甘く喘ぐ。これだけでもまた違う刺激として感じてくれてはいるが、責め方を変えた目的は別にあった。
 抽挿を続けながら姿勢と角度を少し変え、カリ首でこする箇所を少々ずらす。すると、彼女の口から今までの蕩けるような嬌声とは違う、短く甲高い声があがる。
「ふあぁっ! そこっ、んっ……」
 今回は早く見つけられたことに心内で自分を褒める。そう、真の目的は指愛撫を行っていた際に特に彼女が反応した、この弱点を責めるためだった。
 わかさぎ姫にあの時の快感を再び味わってもらうべく、指ほど器用には動かせないが肉傘で捏ねるように重点的に刺激する。
「ああぁぁっ! そこばっかり、ひあぁっ!」
 腰を揺する度に結合部からはじゅぼっ、じゅぶっと重い淫らな水音が奏でられ、肉壺が大量の愛液に潤っていることがよく分かった。
 しかし、多大な快感の波に奔流されるのは彼女だけではない。責めに集中することで何とか誤魔化しているが、こちらに送り込まれる快楽も尋常ではなかった。
 わかさぎ姫の発情しきった体は新たな刺激にもすぐに順応し、浅い抽挿をする肉幹に熱烈な抱擁をしてはとろとろの膣ひだを亀頭に絡ませ、精を欲するようにしゃぶりついてくる。
 自分も頑張ると意気込んだ手前、自分だけが絶頂を迎えてしまうのは出来る限り避けたのだが、このままではそう長くは持たないだろう。
 そのことを悟られないように腰を動かしつつ、わかさぎ姫の顔を覗く。もしも彼女にまだ余裕が有りそうなら他の性感帯を責めながら小休止を入れ、そうでないならもう少しこのまま続けてみようか、などと込み上げる射精欲を思考で誤魔化しながら観察していると、視線に気付いた彼女が口を開いた。
「○○、お願い……、また奥まで、子宮まで突いてぇ……。早く○○の精液が欲しくて、ここがずっと、うずいてるの……」
 そして、青く大きな瞳を潤ませてもどかしそうにそう囁きながら、自らの下腹部を撫でる。甘く蕩け切った声色での、子種を求めるおねだり。しかし、それで溶かされるのはこちらなのではと錯覚する位熱っぽく淫靡なその姿に、先の考えがいかに下らないものだったかを思い知る。
 どっちが先に、なんて小さなことだった。今この瞬間は、ひたすらに求め、ひたすらに与えることが至高なのだとようやく気付かされる。
「……姫っ、いくよ!」
 そう言うが早いか自らの欲望に任せ、そしてわかさぎ姫の願望に応え、揺蕩っていた腰を深く下ろす。
「あっ、ふああぁあっ! 一番っ、奥までぇっ……!」
 収縮する膣内を一気に掻き分けて、最奥まで一息に貫く。勢いに任せた挿入ではあったが肉壺は待ち望んでいたと言わんばかりに歓迎し、彼女自身も嬉々とした声を上げる。
 既に鈴口は子宮まで達していたが、まだ奥を求めて両肘を地面に付いて彼女に圧し掛かるようにして体勢を低くし、子宮口に亀頭を押し当てる。そして、円を描くように腰を動かし、入口を亀頭でぐりぐりと捏ねてやる。
「あぁんっ! それっ、いいっ! もっと、もっとしてぇっ! はあぁあっ、私もっ、気持ちよくしてあげるからぁっ!」
 ポルチオで感じる強烈な快楽に体を寝かせながらも背を仰け反らせ、大きな嬌声を上げるわかさぎ姫。膣内も快感に打ち震えるように今まで以上に蠢き、絡み、締め付けてきて、その精子を欲するような膣内の動きに、無意識に腰を前後に動かしてしまう。
 しかし、無意識ながら大きく抽挿することはせず、腰を小さく揺すって子宮口を何度もノックしながら小刻みに陰茎を扱く。扱くストロークが短くなってしまうこと以上に、陰茎を膣内から出してしまうのが嫌だった。
「姫っ、姫っ……!」
「あっ、○○っ、あぁんっ、ひぁっ、○○っ!」
 彼女の名前を夢中で呼びながら、がむしゃらに子宮を叩く。するとわかさぎ姫も淫らに彩られた喘ぎ混じりの声で、それを返してくれる。目の前にいるお互いの名前を呼び合うだけの、一見意味のない行為。だが、体だけでなく心まで繋がったような喜びで満ちていた。それはきっと、彼女も同じなのだろう。
「……姫っ、もうっ、出るっ……!」
「うんっ、出してっ! ○○のせーえき、私の中に全部頂戴っ……!」
 気を張り詰めてなんとか抑えていた射精欲にも限界が来てしまったことを伝えると、わかさぎ姫は膣奥での射精をせがむと共にこちらの背中に手を回す。精液を搾り取ろうと収縮する膣内、射精の時を待ち望むわかさぎ姫、そして愛しい人との交感による幸福感に抱擁されながら、最奥で精液を解き放った。
「くっ、うあああぁっ!」
「あっ、んっ! イク、私もっ、あっ、あああぁっ! あ、あぁ……、私の中で、○○のがびくびくってぇ……」
 頭が真っ白になるほどの強烈な快感に身を委ね、子宮内に思い切り精液を注ぐ。膣内で陰茎が膨らみ、白濁汁に子宮口を叩かれる感覚に煽られたのか、彼女も僅かに遅れて絶頂を迎える。それにより膣肉は更に収縮し、精子を搾り取るかのように陰茎を強く締め付ける。
「ひあっ、ぁっ、んっ、……すごい、いっぱい、出されてる……」
 絶頂の余韻に時折体を跳ねさせながら、大量の精にうっとりとした声を上げるわかさぎ姫。溜め込んだ全てを吐き出すような射精はすぐには終わらず、脈動するたびに子宮内に子種を追加する。彼女の膣もそれを望むかのように蠢き、肉棒への奉仕を止めなかった。
「姫、滅茶苦茶、気持ちよかった……」
「私も、気持ちよかったよ……」
 長い吐精が終わった後、言葉を交わし合ってから一度だけ短くキスをして、抱き締め合ったまま余韻に浸る。膣から引き抜くのは落ち着いてからでいいか、などと考えながらそうして抱擁していたのだが、いつまで経っても陰茎は衰えず、硬いままだった。
「ごめん、姫。俺、まだ……」
 その先を言う前に、わかさぎ姫に口を指で塞がれてしまう。そして、彼女は耳元に口を寄せると、静かに囁いた。
「我慢しなくていいよ。何回でも、して? 一緒に、もっと気持ちよくなりましょ?」



4.
「……姫。そろそろ帰らないと」
 入江から沈みゆく夕焼けを見ながら、隣り合うわかさぎ姫に声をかける。
 あれからしばらくの間、時間も忘れて二人で何度も体を重ね合った。そしてその後は、ただただ取り留めもなく、いつものように話していた。
 最近の出来事、それよりも前のこと。そして、未来のことも。
「……そうね。また、会いに来てくれると嬉しいわ」
「近いうちに、必ず」
「本当に?」
 いつかした返答と同じ言葉だったからか、悪戯っぽく笑いながら聞き返される。彼女にしては珍しく少々意地悪な問いだが、嫌味は一切無かった。今回のことだってこうして冗談に使えるくらい、もう同じ過ちは起きないという確信が二人にあるからこそかもしれない。
「本当に」
 だから迷いなく返事をして、不意にわかさぎ姫の唇を奪う。
「この感触を君が忘れる前に、会いに来るから」
 そして、顔を離してそう続けると、わかさぎ姫はきょとんとした顔でこちらをじーっと見る。見つめ続ける。てっきり一笑するなり呆れるなりしてくれると思っていたので、無反応というのが一番辛い。勢いでやったこととはいえ今更凄く恥ずかしくなって、彼女の熱烈すぎる視線から顔を逸らす。
 すると、わかさぎ姫は小さく吹き出して、口元を抑えて楽しそうにくすくすと笑う。
「耳まで真っ赤よ? 慣れないことするから」
「はは……」
「とっても気取った台詞まで。……でも、私はそういうの、好きよ。いつまでも忘れずに、待ってるからね」
 柔和に笑うわかさぎ姫に見送られ、名残惜しみつつも家路に着く。今日は足早になることは無かった。

 彼の姿が見えなくなった後、私はざぶんと湖に向かって飛び込んで無我夢中で泳ぐ。辺りをぐるぐると回った後で、水面からばしゃりと勢いよく肩まで飛び出す。今日だけで悲しいことも嬉しいことも色々なことがあったけど、今は幸せな気持ちでいっぱいで、体を動かさずには居られなかった。
 唇を指先で撫でる。彼が残してくれたものはまだ何も変わらなくて、それが嬉しくて、もう一度、唇にそっと触れて、ゆっくりと撫でる。



 ふと、足を止めて空を見上げる。
 ふと、手を止めて空を見上げる。

 鮮やかな橙色と輝く雲が、とても美しい空だった。
 オレンジの彩りときらきらと光る雲が、とても綺麗な空だった。

 彼女も同じように見上げているような、そんな気がした。
 彼も同じように見上げているような、そんな気がした。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
コメント




0. コメントなし