真・東方夜伽話

艶消しの赤

2018/03/30 21:09:59
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艶消しの赤

野咲

ゆかゆゆとゆかれいむがそれぞれやってるだけ。



・一応後半のゆかれいむがメインです。
・後半のゆかれいむには血の描写があるというか生理ックスですので苦手な方は避けてください。





















「幽々子は冷たいわねえ」

口に出してから、態度に対する言葉だと取られかねないことに気が付いた。もっとも長い付き合いである。特に勘違いされるでもなく彼女は「そうね」と頷いた。

「涼しくていいでしょう?」
「まあね。幽々子は暑くない?」
「暑いとか寒いとかは、あんまり。ふふ、紫にはもう何度も言っているのにまだ気にしてくれるのね」

腕の中で細い肩がくすくすと震えた。後ろから抱きしめたまま、紫はそうねえと呟いた。
自分が暑いのも寒いのも好きではないから、幽々子の気持ちはよく分からないのだ。何度聞いたって分からないままだし、何度でも同じ言葉を繰り返すだろう。
紫は生き物で、幽々子は死に物である。
幽々子の身体はないに等しい。ないと言ってもいい程度には、肉体としての働きは失われている。あるのはそう、強いて言えば幻想だ。彼女は亡霊であるから、魂が存在するために仮初に肉体を今この時この世界に映し出しているに過ぎない。

「……幽々子」

耳元に囁くとぴくんと重ねた腕が反応した。そろそろと自分を振り返る仕草は愛しかった。期待を宿しながら期待してはいけないと淑女の振りをするその目は可愛らしい。
合図のように下から胸に触れると、ゆるりとしろい指先が紫の脚に置かれる。
口付けて、舌を絡めた。
幽々子は重ねるだけのキスが好きでも、紫は深いキスが好きだ。
何かを思い出すように幽々子の身体が熱を持ち始めるから。まるで生きているかのように体温を上げていくから。
幽々子とするセックスも、好き。











艶消しの赤











「……ふ……っ」

敷かれたシーツは病的に青い。その上に散らばる髪の色はけれど際立って美しい。指を噛む幽々子の手をそっと取りながらそれを眺めて小さな満足に浸る。
だめよ、と囁くと怯えたように目を細めるから、その額に口付けを落とした。滲んだ汗も上気した顔もたまらなく恋しい。
――そう、恋しい、なのだろう。紫は焦りに似たものの正体に名前をつける。
はだけた服の絡む幽々子の肢体はどこもかしこも柔らかい。それを堪能しながらどくどくと脈打つ心音を感じた。嘘くさい、死体の奏でるフェイク音。それでも愛おしい生きた音と高まる体温。

「ぁ……」

魂魄における魄とは身体の記憶なのだという。それならば、彼女の魄はなんと女の生々しさを宿しているのだろうか。こうして身体を弄ぶ時にだけ現れるその熱が、死を拒絶する亡霊としての生が、表出するどろどろとした血だとか――皮の中に詰まる熱い泥濘のようなものが、心を揺さぶってやまない。
生と死の境界だから? 己の在り方による嗜好であるのか?
何百年と繰り返してきた疑問に答えがあるはずもない。紫は一種族一妖怪、答えてくれる先人もない。

「っん……ゆか、……っそこ、も……ゃっ」

熱い身体を感じたくて執拗に撫でまわし吸い付いてしまう自分に苦笑して、謝罪代わりに胸の頂を吸った。高い声と共にのけ反る下腹部を抱いて口付けを落とす。腰が微かに揺れていた。震える声が半ば無意識に続きを強請り始める瞬間も、生への懇願に似て酷くたまらない。
それを確かな言葉にしない奥ゆかしさも。秘められた光のようでとてもいい。でも、言葉にして欲しい気持ちも強くなる。もっともっと、この生にしがみついて欲しい。

「ゆか、り……」

弱々しく伸びる指が紫の腿に触れようとした。それを制して笑いながら頬に口付ける。幽々子からして欲しいと思うことはあまりなかった。それよりも、そんなことよりももっと死にありながら熱を上げてほしくてたまらない。

「いらないから、おねだりしてみて」
「、ゃ」

額を合わせると鼻が触れた。口付けには届かない。頬ずりと共に耳元に息を注ぎ込む。

「ね……ききたいわ。幽々子。いやらしく、おねだりして?」
「……ひど、ぃっ……ばか」

さらさらと恥丘を撫でる。潤む瞳にそれだけで指を突き入れそうになるのをこらえた。もう少し、恥ずかしがれば恥ずかしがるほど彼女は熱を上げるから。
亡霊と女は似ている。着飾って表面を作り上げて、普段は中身を決して見せない。やわらかな女の肉はすべてをおおらかに覆って包み込む。
見られるのは、こうして最奥の魂を揺さぶった時だけ。

「ねえ、今日妖夢のことを珍しく叱っていたわね」

ぇ、と小さな戸惑いの声が幽々子から零れる。

「貴女の叱り方は静かね。表情も乱さないし手も上げない。たおやかで大人の見本のよう。怒っている時でさえ自分を律するの?」
「っ、おこっては、なかったの」
「そう? 従者の振る舞いに不満を感じたんでしょう? ふふ、そういう時でも乱れない外側が、今はこんなにはしたなく歪んで涎も零して。妖夢が見たらなんて言うかしらね」

視線が揺らぎだすのを見下ろして紫はにぃと笑った。幼い従者の名前を出されたことで彼女は今自分を急激に客観視している。本当はない他人の視線に貫かれてまた熱が上がる。

「か、ってに、みないで……」
「そうね。悪かったわ」

不意に突き放したからだろう。触れていた手を外すと幽々子はすがるような目で紫を追った。できる限り普段通りの笑みを浮かべてやると、狼狽したように脚が擦り合された。

「どうかした?」
「どうかした、って……」
「勝手に見ちゃダメなんでしょう?」

紫がくつりと笑う。幽々子は眉を下げて、何かを言おうと唇を開きかけて言葉が出なかったのか視線を反らした。腰が誘うように動くのを無視して黙っていると、小さく呻く音がする。

「……みて、いい、から」
「そう。よかったわ、覗きは数少ない趣味だしね」
「ちが、……っ……」

今にも泣きだしそうに染まった頬のまま、幽々子の手が動いた。紫の袖口に触れたが、動かしてやる気もない。躊躇うように彷徨って、手はやがて幽々子自身の素肌の膝に伸ばされた。

「ぅ……ゆかりぃ……」

自ら開く、とまでは流石にいかなかった。膝が曲げられて仕草だけでその先を誘う。それでも振り切れるほどの羞恥なのだろう、ぽろぽろと涙を溢れさせて幽々子は熱い息を吐いた。
はだけた着物、しろい脚を支えるか細い手。豊満な胸。零れた涙。官能的な景色。
ぁは、と思わず笑い声が漏れて紫が幽々子を覆う。これ以上を期待するのは流石に酷だろう。彼女を彼女たらしめる振る舞いを壊して、女の中身を貶めたいという気持ちもなくはなかったがおおむね満足ではある。
そろそろ、湧き出た中身をそれでも愛しいと抱いてやらなければ本当に怒らせてしまうから。

「見てもいい?」

ふとももをなぞって尋ねると、顔を覆った着物の袖の奥であまりにも小さく首が縦に揺れた。
ああ、このまま最大まで、目一杯に熱を上げさせ命に近づけよう。そうしたらまた終わってしまうけれど。終わってしまったら、また冷たい幽々子に戻ってしまうのだろうけれど。
それは――寂しいことだけれど。仕方がない。







幻想郷の夏は暑い。寝転がってだらしない声を上げた霊夢は珍しく後ろ髪を纏めていて、少しでも熱を逃がそうと必死なのが見て取れた。

「出てくるなら日よけになれ」

傾いたオレンジの日差しは見事に畳を直撃している。涼しいところに寝ればいいのに、と思いながら紫は霊夢を見下ろした。風が通るところと日向とのせめぎ合いなのだろう。

「私も暑いのは嫌いですわ」
「汗一つかかずによく言うわ」

霊夢は嫌そうに寝がえりをうった。畳の冷たいところを探しているのだろうが見つけるのは難しいだろう。

「で、何?」
「ふふ、分かっている顔で一応聞くのは何故かしら」
「……。……あんたは暑くても関係ないのね」
「霊夢は関係あるの?」

質問には答えずに霊夢が気怠そうに立ち上がった。障子を閉めて向き直る。

「汗かいた方が涼しいかもね」

そう言った彼女は早々にスカートを落とした。上着を放り、さらしを巻いただけの姿でタオル、と呟く。

「汚れるから、タオル」
「はいはい」

紫はまだスキマから出てもいないのに気の早いことだった。そのままスキマを漁って大判のタオルと、小さめのものを何枚か敷く。さらしは解かず下着もそのままに霊夢が横たわった。気づいたように髪を纏めていたリボンを解くと、ばさりと深い色の髪が広がった。
ん、という声と共に手が伸ばされる。ふわりと畳に降り立つと一層際立つ匂いに小さく笑った。
――血の匂い。霊夢から漏れ出す隠しきれない命の残骸が脚の間から漂っている。

「ほんと、好きね。何がいいの?」

下腹部に顔を近づけると上からそんな声が降りて来た。軽蔑するに似た声にくすくすと笑う。

「どうかしら。生きてる感じがするから?」
「ああ、死んだヤツにないから」
「そこまでは言っていないわ。拗ねないで、霊夢」

拗ねてない、と言った言葉は半分くらいは本当だろう。つまり半分は嘘だった。可愛らしいことだと下着に手をかけると、腰が浮いて間接的に作業を手伝う彼女がいる。もう少し恥じらいや、そんなものを教えた方がよかっただろうか。
いや、この方がいいのかもしれない。三大欲求に忠実なのはいいことだ。生き物らしくて、とてもいい。
その場所に詰め物はなく、当て布がなくなっただけでどろりとした経血が白いタオルに零れた。多い日だったのだろう、と早々に指を当てる。流石に反応はなかったが、血を利用して中にいれれば小さく声が漏れた。
ゆっくりと奥へ進めば、それだけでぐしゅりと血が溢れる。
ぬめりながらも吸い付くように膨らむ奥の壁を押すと、ん、と心地よさそうに幼さを残す目が細くなる。ぐ、ぐ、とリズムよく刺激する。腰を揺らして快感を享受するのがこの細く瑞々しい身体であることに眩暈を覚えた。

「んは……っ、せっかち、ぁ、ん」
「焦らしたら怒るでしょう?」
「せーかい、――ぁっ、ぁっ、そこ……もっと、おして……」

普段なら絶対にできないくらいの段の飛ばし方を霊夢は喜んだ。そもそも彼女は前戯がさほど好きではないのだ。痛くないのなら、いや最初は多少痛くとも構わないからさっさとして欲しいと言うタイプで、情緒よりも直接的な刺激で興奮する。

「あっ、ぃ……それ、ふぁっ、すき……っ」

はぁっ、と大きく息を吸い込む仕草に紫も喉を鳴らした。さらしをずらして小さな尖りに吸い付く。膨らみ切らないその場所ははっきりと汗ばんで少し塩辛く、ああ生き物の味だというおかしな感慨があった。
背骨が軋むようにのけ反る。小鹿、カモシカ、そんな筋肉質なものを考える。それもばねのような、すらりとした水気を含む筋肉だ。

「はあッ、は―――ぁ、ぅ、あ……っ」

薄い腹は呼吸の度に大きく上下する。噴き出す汗のなかで瞳が濁っていくのを上目に見つめた。暑さと快感とで意識が混濁しているのだろう。少女の脳みそが熱にやられていく過程にぞくぞくとする。
それは、死への近しさを思わせる。
だが霊夢はまだ中に触れるだけでは逝くことはできない。瞬間的な死の快感に至れず、ひたすらに境界の中で脂汗に塗れる彼女からは次第に血ではないものが溢れ始めた。それでも達することなく苦しみ続ける姿に紫は胸を打たれるような思いになる。
感動ということば。それに似ている。
いつの間にか紫の息も上がっていた。興奮に任せて指を動かす場所に唇を寄せる。ぁ、とうわ言のような声と共に霊夢の視線が動いたのを感じた。
赤と白と透明と。ぐじゅぐじゅと粘つき溶けるものを掻きだすように荒く指を抜いた。
血が付くのも構わず太ももを抱くと、霊夢はぎゅっと目を閉じる。これから来る快感に備えるような仕草に焦らす気も起きない。彼女との行為はいつも足早で、セックスと呼ぶには時間と情緒が足りないような気がする。
泡立った血の匂い。摩擦にか体温にか外気にか。温まってむわりと浮かぶ。
舌を伸ばして拭えば鉄の匂いが余計に鼻を埋めた。頭の上で喘ぎ声がのけ反る。低くて、獣の死に際のようだと紫は思う。なんとも可愛らしく、白い肌を血で汚しながらむしゃぶりついた。
まつ毛についた、と時々冷静になりながら耳を澄ます。獣の声が上ずり始めて、ああもう少しだと感じたところで唇を上の突起へとずらした。舌でつつきながら片手を中へと戻す。子の生まれる穴だ、と思う。子種を注ぎ込む為の穴。
そういえばこの間は珍しく疑似精液などを注いでみた。疑似とは言え生きていたのに、全部死んでしまったのだろう。そうでなければ生理は来ず、彼女の腹はよく分からないものに膨らまされていたのだろう。
もっとも、そんなことはあり得ない。
あるのはこうしてすべてが死に絶えて、生き物の寝床になれずに流れ出した残骸を自分が掻きだしすすっているという事実だけ。

「ぅあ、ア、――――っ、、」

生き物の中の死は今なんて温い。死の癖になおまだ生きている。紫はまた境界に溺れ血の味の中で指を舌を動かす。霊夢の声は続いている。
やがて搾り取るように中が収縮して、紫は指でそれを味わう。
なんの意味もなさない。その収縮が求めるものは吐き出されない。こんなにも生き物として蠢く意味はどこまでも死んでいる。
痙攣する身体を抱きしめながら、赤いぬめりを骨の目立つ身体に塗り付けた。熱い身体は冷えず、けれど子どもになれなかったものや子どもを守れなかったものの残骸で汚れている。
赤とピンクに染まったさらしをなお愛し気に塗りつぶしていく紫を、霊夢は息を整えながら面倒そうに抱きしめた。首を抱えられ、紫は不思議そうに微笑む。
面倒な癖に何故抱くのか、紫には心底分からない。

「なあに? もっと?」
「違う」
「気持ちよくなかった?」
「よかった」

素直なことだった。べたつくな、と紫は思った。嫌ではなかった。いつの間にか部屋中が血の匂いで埋まっている。自分の服も汚れているだろう。
ふふ、と笑ってそれもいいかと霊夢の生命に鼻をすり寄せる。霊夢はしばらく黙っていたが、やがて吐き捨てるようにこう言った。

「こういうときのあんたは、いつも以上にどっかに消えそうで嫌い」

こういうとき、とは行為全般のことを指すのか、それとも生理中に限定されているのか。霊夢の言葉に紫は疑問も投げなかったし答えもしなかった。ただすん、と鼻をうごめかせて、微笑みながら目を閉じた。
部屋は吐きそうなくらいに熱い。このまま密閉空間のままで人間まで眠ったらもしかしたら死んでしまうかもしれない。
でも、死なないかもしれない。
霊夢の肌と紫の呼吸との合間にはひどくあたたかなものが籠っている。狭間の熱の中で、霊夢も目を閉じたのを感じていた。










*
読んでいただいた方ありがとうございます。
こういう紫が好きですがどういう紫かは分かりません。
野咲
コメント




1.性欲を持て余す程度の能力削除
ゆかれいむ万歳。正反対ととればいいのか同一ととればいいのか。幽々子と霊夢に対する紫の考えが読めて面白かったです。
2.性欲を持て余す程度の能力削除
ああ、ゆかゆゆ、ゆかゆゆ尊い……ゆかれいむただれ尊い……
妖怪らしいサディスティックな顔がうかがえる紫と、そんな彼女の性格を感性の(というよりは生きている人間と亡霊の差がある)違うふたりから見受けられる紫への評価や情交時の反応が対照的で楽しめました。亡霊である幽々子に体温を持ってほしいと感じてしまうのは生前の彼女を知っているからそう思うのか、もう届かないものだから余計に渇望してしまうのか、あるいは紫の妖怪としての本性がそのように求めてしまうのかもしれませんね。幽々子同様にいつも本音を見せない胡散臭い紫の熱っぽい性欲が垣間見れてとてもよかったです。もしかしたら、亡霊である幽々子の体温は一定以上、もしくは全然あがっていなくて、紫の体温が移ってしまっただけなのかもしれないとか考えちゃいました(乙女な幽々子が可愛すぎて尊くて鼻血がビビデバビデブゥです)
一時的な儚い熱を求める紫に依存的な雰囲気を感じさせる幽々子の心はどこに在るのか、紫を通してみるだけでは推し量れないものがありますが、離れた手を追い縋るは彼女から得られる安心感や、亡霊故に他人の体温を求めているかもしれないと感じます
普段から体の付き合いがあるのにわざわざ生理時に求めてしまうのもやはり妖怪としてのさがなのでしょうか。脳に入り込んでくる生々しい彼女たちのセックスは一方通行のすれ違いみたいに思えて、共通するところが情交の気持ちよさだけな気がするのに、嫉妬だったりどうしようもない衝動を抑えきれずに求める間柄には、やはり互いに依存的な部分があるようで……精神的な存在だから生に焦がれ、心の隙間に自分を縫いつけるような紫の奔放さ(彼女たちからすれば案外普通のことなのかもしれませんが)は、確かに消えてしまいそうな感じがありますね。ただ人肌が恋しい寂しがり屋なだけかもしれませんが(それはそれで可愛い)
とてもよい百合っクスでした、ゆかゆゆもゆかれいむもどちらも素敵(段取りすっ飛ばす霊夢のさかったおんな丸だし感が好き)で楽しめました、ありがとうございました