真・東方夜伽話

腐り落ちる林檎のように

2018/03/13 19:58:24
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腐り落ちる林檎のように

野咲

ゆうゆゆ子作りックスです。細かいことはどうでもいい人向け。

・ゆかゆゆ前提
・ゆうゆゆがセフレ
・幽香がふたなり

ゆゆ様流され子作りックスが見たかっただけです。よかったらどうぞ。












「博麗の子を見て来たわ」

雪を払い落しながら、幽香は世間話にそう言った。

「……どうだった?」

いくつかの疑問の中から幽々子は当り障りのないものを選ぶ。幽香は「くしゃくしゃだった」とひどくつまらなそうに答えた。幽々子は笑う。

「まだ赤ちゃんだもの」
「霊夢は小さい頃から可愛かったわ」
「幽香は霊夢が本当に好きだったのねえ」

幽香は未だに幾代か前の巫女を持ち出す。確かに歴代の巫女の中でも面白い子だったと記憶しているが、余程気に入っていたのだろう。彼女は一度気に入るとそこから離れないところもあるからと幽々子は可笑しく思う。

「紫の子どもだし甘ったれに育つわ」

幽香からマフラーを受け取って幽々子は何も言えずに困ったように笑った。そう、幻想郷に生まれた新しい子は紫の子だ。もっとも、彼女は妖怪としての繁殖能力がないからあくまでも人間の子ではあった。
自然現象、自然発生に近い彼女は、時々自前の能力を駆使して人間との間に人間の子どもを設ける。これで何人目だったか幽々子は把握しない。

「幽々子は会わないの?」
「殺しちゃうから」
「そう」

物騒な言葉を幽香は当たり前に受け入れた。幽々子の顔が晴れないことに気づいたのだろう、頭を撫でて額に口付けを落とす。
幽霊がお茶を運んできた。冥界は最近とても、本当に静かだ。

「――幽々子は」
「なあに」

幽香が言葉に間を持たせるのは珍しかった。首を傾げたまま言葉を待つ。

「子どもができるんだったら、欲しい?」

おかしな質問を随分真面目な声でするものだった。幽々子は死んだ身であるし、死から生は生まれまい。そこまで考えてふと枯れ木に根付く新芽をイメージする。まるで思考が流れ込んだかのような思いつきに幽香を見た。

「幽香は欲しいの」

赤い目が幽々子を見下ろす。捕食者のような禍々しい目に、彼女が子育てをできるのだろうかと考えた。








腐り落ちる林檎のように









子ども。
親が得た息子や娘のこと。幼い者。小児。児童。

(親……)

一糸まとわぬ姿で布団に横たわり、幽々子はぼうっと考える。初めて子どもの話をしてからそれほど日にちは経っていなかった。状況はあまり飲み込めておらず、深く考える余地もない。
幽香と身体を交えることは多かったから余計になのだろう。今更これを子作りだと言われても困ってしまう。

「咥えて」

目の前に伸ばされた蔦状の植物に幽々子は恐る恐る唇を開く。植物としては大きいが太くはないそれはゴムチューブを思わせた。植物特有の青臭い苦みに舌で触れ口内に含むと、幽香が褒めるように頭を撫でた。途端に滲んだ液体の甘いにおいが鼻に抜け、くわんと視界が歪む心地がする。

「少し痛いこともするから、麻酔代わりよ」

痛いこと、と言われて幽々子は腹部を小さく緊張させた。これは娯楽ではなく生殖としての性行為なのだということを改めて言い渡されたことに戸惑いを感じる。亡霊としての記憶しかない幽々子にとって、性交が生物学的な意味を持ったことは今まで一度もなかった。
蔦を咥えたまま幽香と目が合う。怯えを感じ取ったのだろう、頭を撫でる手をさらに優しくして幽香は「緊張しなくていいわ」と笑った。

「脅したけど、言う通りにしてくれれば痛まないようにするから」

蔦が動き、舌を押されて嘔吐きそうになる。息が漏れる幽々子の耳元に口付けて幽香が囁く。噛んじゃだめよ。

「私のにいつもするみたいに、上手に吸って?」
「……ん」

その言葉に頬を染めながら幽々子が喉を動かす。歯を当てないように目を閉じて意識を集中させると、植物はまるで喜ぶように小さく震えた。甘い蜜がじわじわと喉を濡らし、体温が上がるのを感じる。
媚薬なのは感覚的に理解した。今まで使われていたものよりも強い気がするのは、麻酔代わりと幽香が称した通りなのだろう。身体が火照り、力が抜ける。
仰向けという体勢もよくなかった。唾液の調節が効かず、薄く粘性のある液体をとどまることなく飲んでしまう。嫌な味でもしてくれれば身体も拒絶したのだろうが、花の蜜よりも香しいそれには舌も喉もすっかり喜んでしまっていた。
乳飲み子だ、と幽々子は連想する。寝ころんだまま幽香に包まれ、液体に吸い付く今、自分は赤子を体現している。子どもを作る過程で子どもになっている現状に恥ずかしさを覚えて幽香を見たが、いつの間にか視界が濡れて上手く表情が読めなかった。
頭が、身体が熱い。
全身に微かな汗が滲んでいる。

「ふ、ぁ……」

こぷ、と音がして頬を液体が滑るのが分かった。いつの間にか嚥下を促す反射が効かなくなっている。意識して飲み込みながら堪えきれずに咳込んだところで、ようやく蔦が引かれ幽香の唇が吸い付いてきた。

「んく……ぅ、ゃ、」

唇のやわらかさが直に快感として伝わる。嫌だと思ったのは刺激が強すぎたからだ。幽香らしいなぞるような手の動き、それだけで勝手に背中が跳ね膝が曲がる。シーツが既に冷たく感じることには恐怖さえ覚えた。恥ずかしさがこみ上げる腹部をしろいほどの丁寧さで指がなぞっていく。

「安心しなさい。かわいいわ、幽々子」

見透かすような言葉にはっと息を漏らし、幽々子は生理的な涙をこぼした。くすりと笑う音がして再び唇が触れ、舌が入れられる。背骨に液体を流し込まれるような快感で腰が震え、こめかみが痛みすれすれに引きつった。
このままではよくないと思う自分を、理性など手放してしまえと囁く自分がやすやすと上回る。
薬の所為だから。幽香は乱れた方が喜ぶから。抵抗するだけ無駄だから。仕方がない。
子どもを作るというのに、こんなに気持ちがよくてもいいのだろうか。知識もないのに考えても答えは出なかった。けれどそもそも、今まで娯楽にしてきたこととこれは同一のものでしかない。それに快感があるのはそれでいいということだ。
身体にいいものが美味しいように、子どもを作るのはいいことだから気持ちがよくても構わない。
植物にも快感はあるのだろうかとふらりと思考を反らす間にも身体は熱に揺れていた。幽香の手が胸に触れる。子どもができたらその場所から乳がでるのだろうか。
亡霊の自分から? そんなことは本当に起こるのだろうか。
そもそも、子どもだって。本当にでき得るものだろうか? 未だに幽香の冗談であるという疑念が拭えない。

「ぁ……っ、あ……ふ、」

先端を外して幽香が器用に舌を滑らせる。どうして分かるのだろうといつも考えるくらいに、彼女は常に欲しい場所を責める。弱い部分を全て知られているような感覚はそれだけである種快感でもある。
自分は支配されることに悦楽を覚えるタイプなのだろう。幽々子はそう考える。
――紫との関係もそうだ。親友と呼び合いながらも幽々子と紫の関係は決して横並びではない。
紫が支配することで安心を覚えることを理解して、それでいて付き合っている分対等に近しいというだけ。
それだけ。
それだけ?

「っ、ぁ!」

先端に歯が立てられて余所事を考えていたことに気が付く。はっとして腕を伸ばし幽香の首を抱いた。赤い目が鋭く笑って唐突に下腹をまさぐる。
濡れているどころではないその場所を意識してかっと顔が熱くなった。目を反らすと反対の手に顎を取られた。煌々として吸い込まれそうな瞳が視線を合わせることを強要する。

「幽々子」

静かな声。そのくせ呼ばれた途端に指が突き込まれている。
喉を反らしたことさえ気に入らないと言わんばかりに幽香の手が幽々子の頬を固定する。目を合わせているはずなのに焦点の合わない視界が揺れて、ぐちゅぐちゅと鳴る水音に合わせて脳が明滅していた。快感と呼ぶには乱暴すぎる電流で体中の筋肉が無理やりに痙攣させられるのが分かる。

「ひ……、っ……んく……ぁ、! ぁっ……」
「私の子どもを作るんでしょう? 私に集中しなさい」
「っ……ぁ、ごめんなさっ、ゃ、ぅぁぁ」
「素直でいいけれど。簡単に謝るくらい他の相手のことを考えていたのかしら」

指が抜かれ膨らみ過ぎた尖りを捉える。充血したその場所に幽々子は思わずいやいやと首を振った。止まることを知らない程に液体が溢れている今、そんな場所で快感を促される必要はない。強すぎる快感は肉体への、そして同時に精神への暴力だ。

「――っぁ、~~!!!」

どく、とみぞおちのあたりで血が弾けるような感覚があった。気持ちがいいと呼んでいいのか最早分からないそれを受け止めきれずに身体ががくがくと震え、無理やり快感に書き換えようとするかのように脳が快楽物質を溢れさせる。不快と紙一重の快感の所為で汗が滲み、堪えようと必死に縋ったシーツが皺を作った。繊維を爪が滑り、嫌な音がする。

「ぃゃ、ぁっ!……やだ、ゆうか、ほんとうにだめ……だめっ……!」
「――……」

何かが弾けてしまいそうで、首を振りながら許しを請おうと視線を合わせる。しかし触れた目は冷静に幽々子を観察していた。言葉通りか違うのか、彼女にはどこまでも見透かされている。
多分、自分が分からないところまで。

「、ふッ!?」

離れていたはずの蔦が再び口内に突き込まれる。突然のことに避けることもできず、口内から頭蓋を布団に押し付けられて幽々子は溢れた液体を飲み込んだ。ごぷんという音が耳を犯して、脳が溶けだしたかのような感覚に陥る。
一瞬間、確かにすべてが白んだ。
それからやってきたのはそれまでと比較にならない大きな波だった。質量の在り過ぎる波は雪崩にも近しい。足元で水が弾ける感覚がする。嫌な水音と共に頭を覆った白はびくびくと身体を跳ねさせながら足先までたどり着き、殺人的な快感を残して消えて行った。脚の間を濡らしていく冷たさに声を漏らし顔を背けると、蔦が舌を撫でながら柔らかに抜け出す。
舌先に残る甘さに、名残を惜しむかのように背中が跳ねた。脱力している癖に痙攣だけが残る身体はもはや動かすのも困難だ。ただ、潮を吹いた恥ずかしさに幽々子は感覚の鈍い腕を無理やり上げて顔を隠す。
身体の自由の効かない自分こそ最早赤子である。死んでいながら性の快感に飲まれて生まれ直すかのような体験をしていることに酷い羞恥を感じた。それなのに身体が満足を覚えている矛盾に困惑もする。目頭が熱くなり、思わず涙することも幼過ぎて嫌になりまた涙が溢れた。

「幽々子」
「っ……ぅ、」
「綺麗よ。恥ずかしがらなくていいわ」

頬にキスが落とされる。

「貴女は理性が強いわね。まるでイキシアのよう――幽々子には白い花もよく似合う」

そっぽを向く顔の前にアヤメに似た花が開いた。優しく髪に触れる手に、けれど肩は震え下腹が疼いた。満ち足りたと感じた身体がどくどくと熱を上げ、吐く息は震える。

「体には効いているのね。心も委ねていいわ。安心して、悪いようにはしないから」
「ゆうか、もう、はやく、して……」
「あまり煽らないで、幽々子。貴女の準備が大切だから」

それは子どもを作るのにということなのだろう。亡霊の身体にはそもそも生命が宿る道理がないと思うのは幽々子だけなのだろうか。
例えば腐り落ちた木に種を植えるように、幽々子の身体を使うとそういう意味だと思っていた。しかし、準備という言葉からは幽々子の身体もまた何か作用するようにも思える。

「私の準備って、どういうことなの」
「――子どもを作るってそういうものよ」

まるで生き物同士のようなことを言う。違和感を覚えながらも頭が回らず、幽々子は熱い息を吐いて幽香の頭を引き寄せた。身体が抑えられなくなってきている。唇を触れ合わせると少し落ち着く。
本当に子どもができたら、と考えた。子どもができたらその子は冥界にいてくれるのだろうか。この寂しいところに。――妖忌も妖夢もとうとういなくなってしまって、生きたものが半分もなくなったこの土地にもしも居てくれるのなら。
ああ、こんなにも寂しいのは妖夢がいなくなった所為もあったのだ。大きくなってしまった彼女のことを久しぶりに思い出す。
上がる呼吸の中で精神だけを休息させながら幽香のスカートに手を伸ばした。
彼女は閨でもまず服を脱がない。
幽々子の体液が染みたのだろう、少し濡れてしまっていることに舌を絡めながら眉を下げる。脱げばよかったのにと思いながら中に手を入れて下着に触れた。張り詰めたものは苦しそうで、触れればするりと布地から顔を出す。

「、ん」

小さく呻いた幽香が唇を結ぶ。
幽々子の指先が裏側を滑り先端に触れる。染み出していた液体を塗り広げるように動かす。腰が引かれて逃げていくそれに、不満顔で幽香を見上げた。幽香は困ったように幽々子を見下ろす。

「今日はいいわ」

そう言って幽香は下着だけを降ろした。ぼうっと見ていた幽々子の足に手をかけ、そのまま抱え上げる。恥ずかしい姿勢に理性を取り戻しかけた幽々子の唇に今度は少し大きめの植物が押し当てられた。

「私のは全部下のお口に飲ませてあげるから、今はそっちで我慢して」

んぐ、と幽々子の声が零れる。無理やり口を開かされ犯すように植物が這い込んだ。不満を示した頬を撫でながらスカートをたくし上げ、幽香のものが濡れそぼってひくつく場所に触れた。水音を鳴らして、慣らすように割れ目を擦る。
押し殺すような吐息に混じって入り口が音を立て突起が歪む。普段ならもどかしささえあるその行為が震えるほどの快感をもたらすことに幽々子は目を見開いた。蕾のような緑色に塞がれた口から嬌声になりきれない声が溢れ、呼応するように花の蜜が喉奥に注がれる。

「っん……ん、っふぅ……っ、!?」

そしてそれは、度の強い酒のように瞬時に身体を首筋を焼いた。
眠る寸前に近い視界の蕩け方に幽々子は恐怖さえ覚えた。零れた涙が耳へと流れ込みそれだけでびくんと体が跳ねる。擦り付けられる幽香のものがいいタイミングで陰核に触れて強く内部が収縮した。軽く達してしまった安堵と浮遊感の中にまた甘い薬が注がれる。
喉が熱く、心臓が狂う。血液の流れさえ快感になり肺が色づいたように思えた。息が止まりそうでこぽりと涎が零れる。

「我慢強い幽々子は好きだけれど、もう少し理性を痺れさせておかないと辛いかもしれないから」

それを拭いながら幽香が囁くと、自分でも意図せず激しく身体が跳ねた。溶けた視界に笑みが映り、ずるりと植物が抜ける。

「ぁ、……ぅ……?」
「よく飲めました」

いい子ね、という声が遠かった。呼吸するだけで痺れが広がりそれを逃がす為に意味を為さない声を出す。確かめるように頭を撫でる手に背中を震わせながら、ぴたりと入り口にあてがわれる熱にこくんと喉を鳴らす。

「挿れるわね」
「、ぁ、、~~~っ!」

絡みつく、音。
入り口の摩擦が強すぎて声も出ないほどの快感に背骨が軋んだ。痛いくらいに布団に頭を押し付けても内部で生まれる電流に抗えない。気持ちいい以外のすべての感覚が遮断されて幽香の触れているところだけが自分になる。
繋がった場所が熱すぎて脳髄が焼け付く。

「あ、ぁ、、、っ――――ふ、ぁ!」

貫かれる、広げられる、奥底を穿たれる。幽々子の目はもはや空っぽだった。揺らされて鳴く玩具から零れる液体を幽香が舐め取る。
深く深い位置を小突かれて波打つように背筋が震えた。





――幽々子に子どもを産ませようと初めて思ったのはいつ頃だっただろうか。

(私の子には興味がないけど、幽々子の子なら可愛いでしょう)

周囲から、僕から、あるいは花たちから種を残しておけとせっつかれて千年近くが経っている。始まりのその頃にも一度だけ子を残そうかと考えたことがあった。幽々子が、生きていた頃のことだ。

幽々子がまだ人間だった頃のこと。

最後の理性はようやく溶けたようだった。流石に薬を使い過ぎたようにも思うが、痛いと泣かれるのは本意ではなかったし感情が残っていて最後に抵抗されるのも避けたかった。
それに、壊れかけた幽々子も悪くない。
涙と唾液が零れる彼女は朦朧とした目でそれでも幽香を捉えているように見える。焦点の合わない瞳で見上げてくる姿は、なんていじらしいのだろうか。可愛い、と呟いて腰を振りながら額に口付ける。

「幽々子」

呼びかけても最早聞こえていないのが分かった。彼女は今快感だけで意識を保っている状態だ。揺らされるまま声を零す幽々子を笑って腰をさらに上げさせる。
往復するスピードが緩やかになる。擦り付けては叩く最奥が緩んでいるのを感じた。この先、幽々子が抱え込んだまま死んだ生命の揺り籠に与えるのは文字通り種である。
花を操る妖怪として、自分の分身を作るのなら種という形に設えるのが一番イメージしやすい。人間の姿をしているのだから精子でも構わなかったが、それでは卵子も必要になるという概念が邪魔をする。
幸い幽香は陽と陰ふたつの性をその身に宿す。自家受精は動物には希だが植物には珍しくもない。あとは種を育ててくれる土壌さえあれば新たな花が咲くだろう。
植物は土によって変わるものである。そして妖怪は人間から生まれるものである。人間の思念の塊である亡霊の胎は、恐らくこれ以上ない繁殖の土壌になる。
人間の真似事でも遊びでもない、生殖としての性行為。幽香は汗を玉にしながら陰茎の先に集中する。今その部分はただの雄ではない。雌の役割も果たすように作り替えられ、今ひと時種を蒔く為の新しい器官になる。
腰を深く押し当て、幽々子の首筋に顔を埋めた。びくっ、と彼女の身体が今までにない反応をする。幽香の生殖本能が彼女の子宮口を無理やりにこじ開けている。

「ぁ、あ! ……っ、ぃ……」

苦しそうに身を捩る幽々子を抱きしめて幽香も荒く息をつく。種が体内を通る痛みで端正な顔が歪んだ。それはゆっくりと押し出され、収縮する管の中を通りながら幽々子の最奥を押し広げる。痙攣する身体を抑え込みながら口付けて意識を反らし反らさせた。

「っは、……ぁ、ぅあ、ア……っ~」

蕩け切った頭は痛みさえ快感に書き換えているだろうが、身体は痛覚に怯え種を押し戻そうとする。幽々子の内部のうねりの所為で幽香も痛みと快感が混ざり過ぎて頭が眩んだ。想定よりも時間をかけながら無理やりに種を植えこむ。
幽香の中から痛みが抜けて、ひときわ大きく幽々子の身体がのけ反った。分身たる種が子宮の中に落ち、早々に根を張るのを感じた。
母親になるための準備は幽々子の中にずっとある。その血を吸ってこの種は育つのだ。種からも彼女を母にするための妖力を浴びせながら。

「……ぁ……」

ふるりと幽々子が震えた。強い痛みと入り込んだ異物の所為だろう、瞳に微かな光があることに気づいて繋がったままの幽香が頭を撫でる。怯えた様子の彼女はしがみつくように腕を絡め、そして壊れた理性で口にした。

「……ゃ……こわい……ゆか、りっ……」

それは潜在的な恐怖だった。身ごもることは身体的に弱くなることに他ならない。外敵がいた頃の本能が妊娠に躊躇いを見せ、壁を失った心は素直に一番頼りたいものの名前を呼ばせる。
幽々子が零した涙を幽香は責めなかった。口にした名前に困ったように微笑んだだけ。大丈夫よ、と囁く。

「っぁ……ゃ……おなか、」
「ええ。子ども、できたわね」
「――っ」

薄い色の瞳が揺らぐ。後悔か恐れか、……紫への気持ちなのか。何にせよもう遅い。

「不安に思うことは何もないわ。子どもは二か月くらいで生まれるし、貴女が望めば私は傍に居てあげるし、子育てに飽きたら私が育ててあげるし。貴女の子どもを紫は壊せない」

怯え縋る幽々子の手を取り口付ける。見下ろすと、口走った言葉に気がついたのか瞳の光は先程よりも強くなっていた。
理性の色に困惑する。何百年も存在してきた所為か、いくら亡霊とは言えあの量の催淫剤を注げば数日は正気を保てなくなってもおかしくはなかったというのに。幽香がよく用いる所為で耐性がついてしまったのだとしたら少し反省すべきかもしれない。

「上手くいったから、そんな顔しなくていいのよ。貴女が紫を好きなのは知ってる」
「……。」
「でも間違えないで。私は紫と違って貴女だけに愛を注げるわ」
「子ども、が、……できても?」
「ええ、幽々子。その通りよ。私は貴女を一番にするわ。子どもができても、それは変わりない」

唇を落とす。なんと可愛らしい質問だろうか。
今まさに母親になるべく種を植えたのに、彼女は母親になっても自分だけを愛して欲しいと言う。他人の名前を呼びながら。

「私は貴女が望む限り傍にいるし抱きしめてあげられる」
「……ん」

矛盾した彼女を最大限に甘やかしたいと願う。植え替えができないほど水をやり根を痛めよう。腐らないぎりぎりの加減で手元に咲かす。
――根が強くなり、咲かせてもらわなければ咲けない今を忘れるまで。いつまででも世話をしよう。

「……ゆうか」
「なあに、幽々子」

顔を伏せながらも幽々子の腰が揺れる。気が付いて頬に唇を寄せた。効きが悪いとは言え身体から抜けきるにはまだまだかかるだろう。自ら快感を求めて幽々子が小さく喘いだ。

「ん、ぅ……ゆうかぁ」
「はいはい」
「……こども、に、障る……?」

口付けようとした耳にその声が飛び込んで、幽香は目を瞬かせた。脱力したまま幽々子は不安げに眉を下げる。

「いいえ。大丈夫よ」

大丈夫、と繰り返すと幼い顔がほっとしたような表情になる。母親になることは受け入れているのだと小さく安堵した。やけに嬉しく、楽しみにもなる。
幽々子が自分の子を産む。そう思えば自分の子という概念もまた悪くない気がしてくる。子を残すのは力の強い妖怪の定めだと言った誰かにもこれでやいやい言われなくて済むだろう。
幽々子、と名前を呼ぶ。
腹部を撫でると愛おしさが零れて、強く彼女を抱きしめた。





胎が大きくなる様子はなかったが、力を抜かれているのを感じている。
紫が何を言うだろうかと何度目か分からない思考をする。祝福はしてくれないだろうなという結論に変わりはなかった。紫は幽香が好きではないし、子どもも特に好きではない。彼女自身子どもを作るのは実際人間との繋がりを感じたいだけの無責任なものだ。それを知っているからこそ、紫との間に子どもが欲しいと考えたことがなかったのかもしれない。
冬色の空を見上げても相変わらず紫の気配は感じなかった。
冬眠中の彼女が血相を変えて飛んでくるとでも思っていたのだろうか。幽々子は眉を下げながら自嘲する。
ごめんね、と呟いて、そんなことを言われるこの子は可哀そうだなと考えた。

「傍にいてね」

それこそ無責任で身勝手なことを呟き直す。
呼応するように痛む腹部に微笑むと、少しだけこの状況が愛しく思えた。








読んでくださった方ありがとうございました。
ゆゆ様いちゃらぶ子作りックスください。
野咲
コメント




1.SYSTEMA削除
淡い色合いの景色が浮かび、それから倒錯したゆうかりんの愛が見えてよかったです。
どっちつかずで居られる心地よい関係が良かったです。
2.S削除
ありがとうございました最高でした。
全体的に好きですが特に普通の受精じゃないところが好きです(こだわり感ある…)
いつも幽々子様の喘ぎ声可愛すぎて卒倒します。
ゆかゆゆもゆうゆゆもどちらのお話も大好きです。
これからも投稿楽しみに待っています。

(コメント慣れていないので不備があるかもしれません。すみません)
3.S削除
ありがとうございました最高でした。
全体的に好きですが特に普通の受精じゃないところが好きです(こだわり感ある…)
いつも幽々子様の喘ぎ声可愛すぎて卒倒します。
ゆかゆゆもゆうゆゆもどちらのお話も大好きです。
これからも投稿楽しみに待っています。

(コメント慣れていないので不備があるかもしれません。すみません)
4.S削除
わー!!2回同じ投稿してました…すみませんでした…
5.性欲を持て余す程度の能力削除
なるほどこれが幽々白書…!(違う)
ゆかゆゆ、ゆかゆうかはメジャーだと認識しておりましたが、まさかゆうゆゆの尊さを知ることになるとは……亡霊らしくつかみどころのない幽々子が風見さんの前では大人しく、それこそ少女に戻ってしまうの尊い…重ねた月日のなかでふたりがどのように関係を結んだのか、作中では明確には(少なくとも幽香は人間時代の幽々子を知っていたようですが)語られていないながらも、垣間見える感情の綻びが互いが持つ自覚的あるいは無意識的な寂寥や拠り所をうかがわせるようで、だからこのふたりなのだと感じました
子作りの機会を持ち得ていた幽香だけど、この日まで延ばしてきた理由がなぜなのかはわかりませんが、生前の幽々子を前にしてとどまる思いがあったのだろうと感じますし、幽々子が口につかなければそれはまた先延ばしにされていたかもしれませんね。ふたなりでありながらも遺伝子を残すため(幽々子が亡霊というのもあるのでしょうが)普通のセックスでなく、文字通り種を植え付けるという変わったやり方は、人のなりを保ち肌を持つふたりの日常的な愛し方とは乖離したもので、体を重ねる情交よりも倒錯的に見えてしまいました。精神に依存する妖怪や亡霊らしい精神的セックスだからなのかもしれませんね
怖くて紫の名前呼んじゃう幽々子可愛い。妖力で心身ともに母親として作り替えられそうなのがシチュ的に好みでした。冒頭の殺しちゃうからの不穏さがなんだか引きずっていたので、産まれた子供を無意識にそうしてしまったらどうなるんだろうとちょっぴり心配ですが、このふたりなら上手くやれそうだと感じさせてくれますね。(もしかして殺しちゃう発言や幽香との関係も人間でなくなった自分に繋がりを覚えてくれないことによる嫉妬もあるのでは?ボブは訝しみまくり、考察しまくった)
タイトル回収なふたりの微妙ともいえる距離感がたまらない作品でした、とても面白かったです、ありがとうございました
誤字脱字報告にて終わりたいと思います↓

植物にも快感はあるのだろうかとふらりと思考を反らす間にも身体は熱に揺れていた。→逸らす?(違ったらごめんなさい汗)