真・東方夜伽話

夢ん夢ん魔理沙 〜ひまわり、乱れ咲き〜

2018/02/28 23:52:02
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夢ん夢ん魔理沙 〜ひまわり、乱れ咲き〜

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旧地獄へ赴いた蛍の妖怪リグル・ナイトバグは土蜘蛛の妖怪、黒谷ヤマメと出逢って意気投合、すっかり仲良くなった。このまま二人は幸せにと思いきや、それを妬む黒い影が……

<<夢ん夢ん魔理沙>>

 〜ひまわり、乱れ咲き〜




 耳をつんざく蝉時雨。
 配偶を期して発音筋を万回震わせるセミの様子、目を閉じると自然に思い浮かぶ。
 木々の緑を貫いて降り注ぐ木漏れ日もここでは優しい。
 湿った樹木の匂いが心をくすぐる。
 大きな切り株の周りは下生えが刈り揃えられており、御座が整えられている。
 緑鮮やかな森の深奥、真夏の暑気もここではだいぶ弱まる。
 何もかも焼き尽くさんとする陽光の槍も木々の緑に受け止められて二酸化炭素から養分を作る事に使われているはずだ。
 光合成。
 植物の葉緑体、光を利用する光化学系が水から水素を奪ってプロトン濃度勾配を生ぜしめ、ATP合成酵素がアデノシン三燐酸を合成し、還元的ペントース燐酸回路が二酸化炭素から糖を作り出す。光エネルギーを化学エネルギーに変える、今は葉緑体と化したシアノバクテリアが30億年前から続けている生命の営み。
 太陽の光エネルギーが熱に変わる前に光合成によって化学エネルギーに変わる分、温度上昇が抑えられる、つまり、光合成の盛んな森林の奥は涼しい、という話だ。
 蛍の妖怪、リグル・ナイトバグが竹林の薬師に頭を垂れて教えを請うて得た知識である。
 常々、自分は頭が弱いと考えるリグルだが、博物学の分野、とりわけ生物学に分類される分野についてはずいぶん勉強熱心だ。
 童女が関わる虫達の生活は植物に支えられており、それはリグルの能力に否応なく絡んでくる。
 それなりに弱肉強食の競争原理が働いている、この幻想郷において知識は生きてゆくために必要不可欠と思うからリグルは学んだ。
 真摯に学ぶ姿勢を見せたら寺子屋の教師も竹林の薬師も快く教えてくれた。
 しかし、その知識を目の前の友人に語る気はない。
 「それでね、最近、あのお客さんがつれないのよぉ〜 こないだもお銚子三本だけで帰っちゃったしぃ〜」
 落ち着いた茄子紺の装いとは裏腹に夜雀ミスティア・ローレライは大きな瞳を更に大きくして喋る、喋る。可愛らしい口から飛び出す言葉は常連客への愚痴と見せかけて、実は恋話。話題の客は若い女性であると同時に強い魔力を持つ不死人だ。
 「そうだね。つれないね……」
 適当に相槌を打つリグル。くだんの客には会ったことがあるし、惚れるミスティアの気持ちもわからないではない。わからないではないが、夜雀には他にも愛人がいる。白玉楼の西行寺幽々子、亡霊嬢からも慕われているのだ。事実上、二股かけていることになる。ミスティア自身は否定するだろうが。
 リグルはどうにも納得の行かない気持ちを消しきれなかった。
 「そーなのかー つれないのは悲しいのかー」
 切り株を囲んで五人、リグルの左隣に座る、宵闇の妖怪ルーミアも相槌を打つ。だが、こちらは本気だ。本気でミスティアに同情している。もっともこの話が恋話であることにすら気づけないおばかさんだ。
 周囲を飛び交う蝿や蚋、不快な害虫達がこちらに近づいて来ない。虫を操るリグルが抑えているからだ。しかし、このルーミアはまったく気づかず。
 「………」
 それなりの魔力を消費しているはずだが、同じ妖怪のルーミアに気づいてもらえないことがリグルの気持ちをかき乱した。
 もちろん、何も言わない。楽しい歓談のために自分ができることをしていくだけだ。
 「じゃあ、今度、みんなで飲みに行くのかー」
 ルーミアが無邪気に笑う。
 暗闇を操るその能力に似合わぬ、幼い容貌、しかし可愛らしさの中に妖しい色気が透けて見える。
 馬鹿のルーミア、可愛い白痴だ。ものを知らないし、やることなすこと失敗だらけ。だが、それがいい。大妖怪や賢者、魔法使い、不老不死の姫君ら、幻想郷の実力者の間で覚えめでたく、隠れた人気者である。
 「常連さんはいつもたくさん来てくれるから常連さんなのかー やっぱりもっと来ないとダメなのかー」
 ルーミアの意見はあくまでも客の来店について。
 なんともはや、ミスティアの言葉の裏に込められた想いなど気づきようもない。
 「よし、アタイが妹紅に言ってやるよ! だいじょうぶ! アタイ、サイキョーだから!」
 ひときわ大きな声で喋るは氷精チルノ。青い髪と透き通る三対の氷の翼、元気な童女である。氷の妖精で、オツムの出来が疑われるこちらの面々の中でもとりわけ有名だ。
 「いや、その……」
 口ごもるミスティア。期待していた反応と違いすぎて当惑していた。
 「妹紅さんって意外と女心がわからないのよね」
 「う、うん。うん」
 ようやくまともな意見が聞けてホッとするミスティア。
 まともに答えてくれたのは緑の髪と青の装いが眩しい美少女、大妖精である。こちらの面々では例外中の例外、賢くて慎ましやかだ。チルノを慕っており、チルノも大親友と認めている。自他ともに認める仲良しだからミスティアの恋話も余裕で受け止められるわけだ。
 今もこうしてくだんの常連客、藤原妹紅について的確な感想を述べる。
 「そうよねー」
 ミスティアも大きくうなずいて話が一段落した。
 「うんうん、やっぱりアタイったらサイキョーね!」
 氷精がわけのわからないコメントで締めくくる。
 真夏の猛暑を避けて森の深奥に誘ったのだが、リグルの心配をよそにチルノは日焼けしてきた。
 信じられない。
 氷の妖精で夏は大の苦手のはず。実際、冬の妖怪が軒並み姿をくらましているのに、チルノは真夏の太陽を避けるどころか、炎天下、遊びまくって日焼けしてきた。
 日射病よりも先に溶けて無くなるのではないか、そんな心配はどこ吹く風かと朝から晩まで日がな一日遊んでいたのだ。
 非常識にもほどがある。
 「ま、まぁ……」
 チルノのためだけに避暑を考えたわけではない。リグルは気を取り直して。
 「私、今、ヤマメちゃんと付き合ってるの」
 冷静に衝撃発言した。
 「!」
 いや、冷静ではなかったのだろう。冷静であればここまでの爆弾を落とすまい。状況を述べるにしても正確さに欠けるわけであるし。
 「そーなのかー!?」
 ルーミアが首を傾げ。
 「すごいなー リグルはともだちがたくさんいるんだなー」
 チルノは単純に感心し。
 「お…ぉ…女同士で付き合う? おぉぅっ!…おめでとうございます! よかったですね! お式はいつごろなんでっ!?」
 ミスティアは発言の内容を考えすぎて混乱し。
 「ど、同性愛は犯罪…じゃなくて! エスはキチガイ病院に入れられて治療させられるちゃうわよっ! らい病と同じで! あっ、でも、そうするとチルノちゃんと私も逮捕されちゃうっ!?」
 大妖精が身を乗り出す。賢すぎて逆に混乱している。
 「だ、だ、だいじょうぶよ、大ちゃん! 今はLGBT、いや、LGTVだったかな? アメリカでガチホモのパレードとかやって権利の請願でマグナ・カルタしたからレズは逮捕されなくなったのよっ!!」
 自分でもよくわかっていないミスティアだったが何とか、現状を解説してみる。
 「えるじーテレビ局!? 凄いわね、外国にはそんなのもあるんだ! ふぅ…安心したわ……」
 眼を白黒させていた大妖精が息を吐いた。暗黙の了解というものは口にしないから成り立つのだ。平和な真夏の避暑地で突然、それを突きつけられると戸惑ってしまうものである。
 「そーなのかー?」
 「?」
 ルーミアとチルノはわかっていない。
 「あ、その…ごめんなさい。えーっと、えーっと……」
 別に何が悪いということもないのだろうが、リグルも混乱して謝ってしまった。
 「…えーっと、それでね。私が旧地獄のヤマメちゃんと付き合う…んじゃなくて、付き合いたい、かな? まぁ、そんな感じで……」
 リグルの頬が赤らむ。残念ながら、それは希望の表現であって現状の説明ではなかった。
 「あ、そうなんだ。まだお付き合いしてないのね…」
 大妖精が腰を落とす。
 よく考えたら別におかしいことではない。チルノやルーミアの手前、あまりおおっぴらにしないだけのことだ。
 「それで…リグルはどうなの? 女の子同士、仲良しこよしのお友達になりましょうって話じゃないんでしょう? “そういう関係”になりたいのよね?」
 まだ興奮冷めやらぬミスティアが畳み掛けるように訊いた。
 「う…うん…私も“そういう関係”がいいかな…って」
 頭に血が上る。顔も真っ赤に違いない。リグルは決意表明も兼ねて語っていた。
 自分達はあまり強い方ではない。むしろ、弱い。幻想郷では実力的に下から数えたほうが早いとわかっている。
 “弾幕ごっこ”というルールが制定されて以来、人妖、相変わらず、互いの意見を戦わせることで命を失う者はほぼいなくなった。だから、別に弱いことが悪いというわけでもない。
 だが、それでも弱肉強食の競争原理が消滅したわけではなく。
 弱小妖怪は付き合っている友達の数と質で地位が決まる、そんなこともある。
 その付き合いが“友情”なのか“慕情”なのか。慕情であれば更に地位が上がるのか。そう言って言い切れるものなのか。
 実際、怪しいところではあるが、“友達”の数と質、関係の濃度は考えないわけには行かない。
 それらを意識しないチルノや意識しないように努めている大妖精は例外かもしれないのだ。
 実際、ミスティア・ローレライが付き合っている“お友達”は幻想郷でも指折りの実力者であり、それが陰に陽に夜雀の存在感を高めている。
 これは間違いないと思われた。
 「でも、それならなんでヤマメちゃん?」
 当然の疑問だろう。ミスティアが興味しんしんと言った様子でこちらの表情を見つめてくる。
 幻想郷における存在感を高めたければ自身が強くなることこそ正道だが、それが叶わなければ有名実力者と関係を結ぶという手もあるのだ。しかし、黒谷ヤマメは旧地獄という一地方でこそ知られているものの、地上ではあまり聞かない名前である。関係を結ぶメリットは少ない。
 当然の問いかけに答えを用意していたのだろう。
 「気持ちが通じたから」
 リグルはまっすぐ前を見て答えた。
 「一回、逢っただけで?」
 「一目惚れ? 今時?」
 ミスティアと大妖精が口を揃えたように疑念を表した。二つの顔が同じく「ないわー」と言っている。二人とも想い人との付き合いが長い。“逢ってひと目で恋に落ちた”ような関係は信じがたいのだ。
 「………」
 触覚をまっすぐ伸ばし、リグルは二つの視線を跳ね返す。
 物見遊山で出かけた博麗神社の間欠泉、降りた先で邂逅した。たった一回の出会いだったが、虫の妖怪と土蜘蛛の妖怪、相性が良くて話し込んだ。話しているうちに互いに気持ちが通じ合った。土蜘蛛の歌と踊りを蛍が照らす。万雷の拍手に包まれた。
 大いに楽しんだ。
 その場で慕情を告白しなかったのは互いに気持ちが整わなかっただけだとリグルは考えている。
 次に会うのは邂逅ではなく逢い引きである、と。
 ヤマメの視線が、自分を見つめる眼がそう物語っていた、と。
 それは明らかな確信だった。
 「本気…なのね。ハァ…」
 思わずため息を吐く大妖精。
 感心しないのだ。しょせん、一目惚れなど一時の迷い。上手く行きようはずがないと考えている。
 「あのね…」
 「あいつはいい奴だ」
 たしなめようとしてチルノに阻まれた。
 「明るくて楽しい。みんな、土蜘蛛のことが好きだ。アタイも気に入ってる」
 力強い言葉であった。
 もちろん、この日焼けした氷精が常識などわきまえているはずもなく、現在の微妙な場の空気を読んだわけでもない。大妖精の良識を阻んだわけもなく、只、自分の見識と黒谷ヤマメという妖怪への評価を口にしただけだ。
 「そーなのかー」
 笑顔で語るルーミア。疑問形だが、意味は肯定に違いない。
 暗くて湿った地底は宵闇の妖怪とも相性が良いらしい。
 ふたりの意見は恋愛に絡まない、黒谷ヤマメへの単純な人物評価である。
 それだけに大妖精は気が削がれた。
 「……」
 切り株を越えて視線を送る。ミスティアも軽く首を降っていた。
 「…」
 その合図に大妖精もこの話題を打ち切りたくなった。
 “人の恋路を邪魔する奴は馬に蹴られて死んじまえ”なぞ、言われるまでもなく、わきまえている。
 すでに想い人のいる身だ。チルノとの仲が友情から先にまったく発展していない、この現状で焦ってみても仕方なく。
 当たり前だが恋路は競走ではない。先んじたところで勝鬨を上げられるわけでもなく、遅れたところで一敗地にまみれるわけでもない。
 友人には幸せになってほしいが、リグルが当たって砕けようと恋愛成就を果たそうと大妖精の暮らしが変わるわけでもない。
 風呂敷包みを出す。伝統と格式の唐草模様だ。
 「そうそう、こんなものを持ってきたわ」
 頭を切り替えた。避暑に来ておしゃべりに興じてるのだからそれにふさわしいものを見せたい。
 切り株の上に広げられた風呂敷。そこから現れたものはふつうの一升瓶よりもさらに大きな酒瓶だった。ガラス製で茶色い。ラベルには“清酒・美少女”と明記されている。中身はおそらく違うだろうが。
 「冷えてるわよ〜 ここまでチルノちゃんが冷やしてきたんだから」
 蒼を刻んで透き通らせたガラスの器に透明な液体を注ぎ込む。
 アルコール臭はしない。代わりに甘くフローラルな香りが鼻をくすぐる。
 一点の曇もなく、ガラスと同じく透き通って曲面が森の新緑を美しく彩っている。
 「江戸切子って奴? ギヤマンもずいぶん広まってきたわね」
 山奥の屋台ではガラスがまだまだ珍しいようだ。ミスティアが頓珍漢なことを喋っている。
 「飲んで、飲んで」
 大妖精に勧められるままに皆が飲んだ。
 「美味しい!」
 「何、これ? 冷たい!」
 「うぅー! 脳天が!」
 口々に賞賛する。
 一升瓶はありふれていたが、中身はどうして素晴らしいものだった。澄んだ水の味わいをかすかな甘みが支えている。きつすぎず、薄すぎず。清水そのものの清涼感をしっかり表現しつつ、冷たい。口からスッキリして真夏の暑気を忘れさせてくれる。
 「美味しいでしょ。妖精達がチルノちゃんのために持ってきてくれたのよ。氷精が頑張ってて凄いからって☆」
 お代わりを勧める大妖精の仕草が美しい。
 「アタイの凄さがようやくみんなにわかってきたんだな」
 腕組みして頷くチルノ。
 「う〜ん…これは蜂蜜の甘さじゃないね…何だろ。砂糖よりも自然な甘みだし…」
 首をひねるリグルに。
 「花の蜜そのものを集めて甘味にしたエードなんだって」
 大妖精が解説する。
 「“エード”ね…なるほど、人間にはまだまだ無理な技法ね。妖精、やるじゃない。うちの屋台でも出せるかな。チルノ、氷を用意できる?」
 「アタイにおまかせ」
 「冷たくて気持ちいい! お代わりー!」
 「はいはい」
 一様に褒め称える言葉の群れはリグルにある思いつきを与えた。
 「これ、まだある?」
 妖精の飲み物を請う。
 「ふふ…あの人にでしょ?」
 予想通りと大妖精が笑んだ。
 初めから用意していたのか、もう一つの風呂敷を取り出してみせる。
 「さすが、大妖精。ほんと気が利くわ」
 リグルはありがたく受け取った。
 午後は地底の旧地獄に行くつもりだったが、急な用事が出てきてしまった。
 いや、問題はない。旧地獄へはいつでも行ける。愛しい土蜘蛛とも逢えるだろう。
 先に仕事を片付けねばならない。重要な仕事を。
 「では……」
 挨拶もそこそこに席を立った。
 皆わかってくれているから文句は出ない。
 離席とともに蚊や蝿、蚋ら、害虫が騒ぎ出す。
 「…」
 黙ってチルノが腕を振り、冷気を放つと虫達は逃げ出した。容易いことだ。
 ルーミアは先程と同じく気づかない。
 気づかれることを期待すらしていないチルノとは良い仲間であろう。
 リグルは微笑んでその場を後にした。



 眼下に広がる黄の海。
 こうして熱い空気を切り裂いて飛ぶと黄色しか見えないことはありえないはずだ。本来、ヒマワリは真上を向いては咲かないのだから。
 雲ひとつない青空を飛ぶ。
 黒のマントが暑気にはためく。
 暑い。
 暑いが、リグルにとって高温多湿は望ましい。やはり夏は自分の季節だと思う。いつもより調子がいいし、魔力も充実している。今、勝負したら白黒の魔法使いや博麗の巫女のような使い手にも引けを取らないだろう。
 それでも天を見上げるヒマワリには畏怖を覚えた。この花達は自分を迎えているのだ。正確に言えば、花を支配する大妖怪、“フラワーマスター”風見幽香が、である。
 二つ名こそ優雅なものの、幽香は幻想郷でも指折りの実力者である。少なくともリグルは彼女以上の強者を数えることができない。非常に凶暴であることでも知られ、楯突く者に対しては容赦なく制裁を加える。しかも恐ろしく冷酷で残忍な手段によって、だ。
 太陽の畑、この視界を黄色く埋め尽くすヒマワリの一大群生地は幽香のお気に入りの場所であり、荒らす者は酷い目に遭う。
 かつて、ここを焼いて畑にしようとした無法者がいた。彼らは殴られ蹴られ、投げられて、無様に転がる羽目になった。その暴行は語り継がれる惨劇であり、リグルはすべてを目の当たりにさせられた。
 日傘の貴婦人を見て無知な乱暴者達は「邪魔だ、出て行け」とのたまった。次の瞬間、連中は荒れ狂う花吹雪の中にいて、リグルが呑んだ息を吐いた頃にはことごとく地面に叩き伏せられていた。
 幽香がたった一人、徒手空拳で屈強な乱暴者の集団を打ちのめした瞬間だった。
 日傘も離さず、笑みも絶やさず、相手の真正面から拳と蹴りを見舞ったのである。荒くれ者達はまったく反応できなかった。鎌や鋤など得物を構えていた者もいたと言うのに。
 その暴行は冷酷さと残忍さと容赦無い決断力、そして幽香の実力を嫌と言うほど示していた。
 男達は体中の骨を叩き折られ、苦痛にのたうち回っていた。そして只一人、無傷で残り、震えていた若者に幽香は近づき、「忘れるな」とだけ告げて膝を蹴り折ったのだ。
 一人も殺さなかった。
 良心? 優しさ?
 違う。
 這う這うの体で逃げ帰った荒くれ者ども、誰もが起きては傷の痛みに苛まれ、寝ては悪夢に苛まれた。
 膝を負傷した若者は傷が悪化し、そのまま足萎えになってしまった。やむを得ず、琵琶法師に身をやつしていた。
 いざって各地を放浪する姿が涙を誘う。彼は行く先々で風見幽香の所業を吟じたのである。
 歳経ても苦しんだ連中は口々に“フラワーマスター”の恐怖を語り、不安は民草の間に拡散していった。
 苦痛と恐怖。
 幽香は人里にそれらが永く広く蔓延することこそを望んだのだ。
 殺してしまっては怯える語り部が減ってしまう。だから殺さなかったのである。
 一部始終を目撃したリグルは戦慄を禁じ得ない。
 「痛みが教え、恐れが思いとどめさせる。それが次の悲劇を防ぐ」
 そのように告げながら幽香は嘆いてみせた。
 言ってることは間違っていない。しかし、ワニの空涙だと思う。
 なぜなら、その後も幽香は畑の入り口で物欲しげにうろついていたのだから。
 無知な無法者らの再訪を心待ちにしていたのだろう。
 生きて動く人間を好きなだけ叩きのめす快感を期待して。
 人間の赤ん坊を殺して喰らいながら「可哀想に」と泣くワニと何が違うのか。
 風見幽香は本物の加虐性欲者だ。
 大妖怪であり、夏の間はここ、太陽の畑で暮らしている。そして、これから会う予定の相手でもある。
 風見幽香、おののくべし。
 こうして空飛ぶリグルに丘のヒマワリすべてを向けさせるほどの魔力の持ち主なのだ。
 だが、恐るべき妖怪ではある一方、リグルとは親しくもある。幽香は配下の虫達について何かと目をかけてくれている。リグルの方は虫媒花の受粉などで貢献できる。お互い、持ちつ持たれつ関わっているのだ。
 妖精の飲み物、エード。今回は良いものが手に入ったので日頃、世話になっている幽香へのお中元にしたい。
 遠くに小屋が見える。納屋よりは少しましな程度のあばら家だ。茅葺き屋根に明り取りの窓、隙間だらけの羽目板のおかげで風通しがよい。夏場は過ごしやすいのだろうが、大妖怪にしては粗末な造りだ。
 小屋に通じる道はない。
 主が地面を歩かない、歩く必要がないことを如実に示している。
 あれは夏の間、幽香が暮らす小屋なのだ。
 高度を下げる。
 いつの間にか、小屋の前に若く美しい女性が立っていた。赤を基調に黒のチェックが入ったワンピース、落ち着いた緑の髪はふんわりと開いて肩に届かず。薄桃色の日傘を開いて、優しげに微笑んでいる。
 これぞ、風見幽香。
 到底、そうは見えないが、泣く子も黙る天下御免の大妖怪である。
 「幽香さん、こんにちは」
 女性の前に着地してスカートの代わりに黒マントの裾をつまんで会釈した。リグルは短パンなのだ。
 「いらっしゃい、リグル。歓迎するわ」
 両手を広げて迎えてくれた。
 貴婦人然とした外見と落ち着いた雰囲気、そして目を見張るような美貌。
 まさしく大輪の花。
 どんな人混みに紛れていても自然と人目を惹きつけてやまない魅力がある。
 全く以て恐ろしい大妖怪には見えない。実際、リグルに対しては見た目の通りの対応をしてくれる。付き合いも長く、安心して話せる相手でもあるのだ。
 「本日はとても好い物が手に入ったので幽香さんへ、と」
 風呂敷包みを差し出す。
 謙遜しない。暑気を和らげる妖精のエードだ。嘘やお為ごかしを嫌う妖怪に「つまらないものですが」などと言えば気を悪くされる可能性の方が高い。
 「これはこれは」
 相好を崩して受け取ってくれた。とても優しそうに見える。リグルには優しいし、怒った表情を見たこともない。そこに危うい気配は微塵も感じられなかった。
 しかし、何かいつもと違う。
 「さぁ、入って」
 幽香が後ろ手に引き戸を開けて小屋の中へ誘ったのだ。
 「えっ!?」
 一瞬、ためらった。
 幽香がリグルを夏の棲家に招いたことはない。曰く、「仮住まいだから」と。実際、納屋に毛が生えた程度の代物だ。客を招く場所ではないのだろうとリグルは想像していた。
 それがなんでと訝しみながらも誘いは断らない。いや、断るという選択肢が初めからないのだ。礼を失することになりかねないし、強力な妖怪の機嫌を損ねていいことは何もない。
 「お邪魔します」
 ボロボロのひさしをくぐる。
 ずいぶんしっかりした土間がある。かなり広い上にきちんと三和土が敷き詰められている。納屋より少し大きい程度の小屋なのに土を見せるのは幽香の趣味か。仮にも“家”であるのならば当然なのか。どうにも判断がつきかねた。
 玄関を上がるとそのまま板敷きの間へ続く。奥は厠と風呂であろう。押し入れまである。床板は隙間だらけで目を凝らすと床下の土が見えた。やはり粗末な造りだ。
 囲炉裏もない。夏のみの仮住まいだからか。
 壁は羽目板の合わせが雑で隙間風が自由に出入りできるほど造りが荒い。一瞬、生活を他人に覗かれるのではないかとも心配したが、誰が風見幽香を覗くものかと思い直す。
 書棚も座卓もない。只、座布団が二枚敷いてあるだけで調度品のたぐいは一切なかった。
 「あら、冷たい。妖精のエードね。これはまたハイカラなものを。ありがたくいただくわ。リグルも飲むわよね?」
 返事も待たずに茶碗に注いでリグルの前に差し出す。
 「あ、どうも…」
 並々と注がれた茶碗は飯をよそうサイズで随分な大きさだった。どんぶりと呼んでもいい。先ほど、大妖精にせがんですでに二杯飲んでいる。風通しの良い室内なのでさほど暑くなく、自分は今、空を飛んできたばかりだ。涼は十分取れている。
 しかし、客が主の勧めを断るわけにもいかない。
 リグルは覚悟を決めて飲んだ。
 飲み干した。
 「うっ…」
 思わず声が漏れてしまう。すでに腹一杯だったのだ。
 「ああ…冷たくて美味しいわ」
 幽香もゴクゴクと飲みきってみせた。
 「大妖精が妖精仲間から譲ってもらった貴重品だそうで涼を取るにはちょうどよいかと」
 「美味しいわ。妖精もなかなか良い仕事をするわね」
 「はい。美味しくてここに来る前にも二杯頂いてしまいました」
 「あら、それはそれは…お腹、大丈夫?」
 「幽香さんのお誘いを断るわけには行きませんから」
 「うふふ☆」
 たわいない会話を重ねる。微笑む幽香は恐ろしい妖怪に見えない。三白眼がきついものの、その笑顔は何と優麗か。
 小屋に入ることは初めてだったが、幽香との会話はいつもどおりだったのでリグルも警戒心を抱かない。
 コトッ!
 ふと、物音がした。
 横へ視線を向けると黒布を掛けたつづらだろうか、暗がりの中に大きな直方体が見える。ちょうど窓と窓の間にあってそこはほの暗く、目を凝らしても正体が知れなかった。
 「幽香さん、何か物音がしたような……」
 リグルが不審がると。
 「ああ、あれね…うん。先日、聞いた話なんだけどね……」
 幽香が語りだす。
 「この私、風見幽香がよ、常日頃、目を掛けてやっていた娘がいるの」
 声の調子が妙に低い。
 「それが最近、ご無沙汰でね…」
 何だろうか。強い負の感情を感じてしまう。
 リグルは相手の表情を確かめようと目を凝らした。
 「私を差し置いて他の女のところに行ってるみたいなのよ……」
 緑の髪の下で三白眼が釣り上がっていた。
 「!」
 自体の急変に気づいてリグルは動揺した。
 いつもの幽香ではない。
 無礼な乱暴者を打ちのめした時ですら微笑みを絶やさなかったのに、今は目も口も笑んでないのだ。
 「もう、ね…」
 幽香の声が低い。奈落から伝わってきたかと思えるほどに暗く沈んでいる。
 「ゆ…幽香さん……」
 リグルは気づいた。
 怒っているのだ。
 本気で。
 「それでね、ちょっと調べてみたら…その小娘、よりにもよって旧地獄の土蜘蛛風情に懸想していたのよ……」
 声が怒気を孕んで大気を震わす。
 「!」
 リグルは声を失った。
 幽香の怒りは間違いなく自分に向けられていた。
 「これはめっちゃ許せんよなぁ…」
 怒髪天を衝く。自然と幽香の緑髪が浮き上がっていた。
 「す…すみま…せ……」
 違うとも誤解だとも弁解しない。声を発したが言葉にならないからだ。恐怖がリグルの声帯を締め上げてしまっていた。
 目の前にいるのは大妖怪、“フラワーマスター”、風見幽香だ。どんなに体調が良くても勝負にならない。一方的に蹂躙されるのみと確信した。
 「リグル、お仕置きよ …わかるわね」
 低く沈んだ声。ねめつける視線が童女を射抜く。
 「あ…あ…」
 獲物を狙うオロチの眼だ。緑髪の下から放たれる眼光が手足の自由を奪って体を凍りつかせた。血の気が引いて夏だと言うのに寒い。震えが体を蝕んでしまっている。
 ゴトッ!
 またしても不審な物音がした。
 刹那、リグルの意識がそちらに向かう。
 ヒュン!
 風を感じて視線を戻すとそこに幽香の姿はなかった。
 どこへ行ったのだろうか?
 リグルは慌てた。
 ダチョウではあるまいし、恐怖の対象が失せたからと言って不安が治まるほど愚かではない。恐怖は生命の活力である。
 「ど…どこへ……」
 リグルは必死で視線を巡らせたがいない。
 「覚悟なさい、リグル」
 突如、両肩にどっしり重みを感じた。
 如何なる体術か、幽香はリグルが瞬きする隙に童女の背後に回っていたのだ。
 その握力、その頑健さ、全てがリグルの想像を遥かに凌駕していた。細く白い、艶やかな指が鋼のように硬い。込められた力は万力を思わせてピクリとも肩を動かせない。たおやかな見た目に反して途方もない膂力だ。
 その気になれば容易に人の手足を引きちぎれるのだろう。無邪気な子供が虫を捕まえてその四肢をねじ切るように、たやすく。
 「か…堪忍してください…堪忍してください…」
 何とか声を絞り出す。哀願するしかない。
 「痛いの、ヤれす…痛いの…らけは…堪忍してくらさい……」
 恐れが舌を痺れさせ、ろれつが回らない。
 「フフ…」
 笑顔を見せて。
 ドズッ!
 いきなり、リグルを勢い良く押し倒した。
 「あぐっ!」
 板敷きの床が冷たい。肺の空気が絞り出されて思わず悲鳴を上げた。
 抵抗しようにもどうにもならない。両腕を押さえつけられていて、胴には幽香がまたがって馬乗りになっている。
 体格差があるとは言え、女性一人の体重、妖怪のリグルなら余裕で押し返せそうなものだが、圧迫感が物凄い。単純に質量以上の何かを感じさせられてしまう。
 両腕が幽香の左手一本で自由を奪われている。力を込めてみても万力で固定されたようにがっちり押さえられていて動かせない。
 「あんまり怯えられても興ざめしちゃうからね、言っとくわ。傷つけたり怪我させるつもりはないから安心してね。ああ、でも動かないでね。リグルの肌に痕を残したくないもの。わかった?」
 幽香から怒りの表情は失せていた。いつもの笑顔だ。しかし、それこそが恐ろしい。
 「……」
 リグルは幽香の問いにコクコク頷く。
 どうやら痛い思いをしなくて済むらしい。それだけでも恐怖がしぼんで体の震えは収まった。
 だが、次の瞬間、再び体がブルブル震えだす。
 幽香の右手には軍用サバイバルナイフが握られていたのだ。漆黒の刀身に研ぎ澄まされた刃が輝く。
 ザクッ!
 腹に当たる刃が冷たい。牛革のベルトが剪断されて、そのままナイフが布地を切り裂いてゆく。
 たちまち、短パンはかろうじて腰を覆うだけの、只の布切れになってしまっていた。
 こういうことをやり慣れているのだろうか。童女の肌には傷一つ付けていない。しかし、痛みがなくてもリグルの不安は増すばかりだ。
 「いいわぁ!」
 ひょいと童女を抱えて膝に乗せる。いつの間にか椅子に腰掛けていた。リグルは水平になった幽香の太ももの上で腹這いになった格好である。
 「じゃあね!」
 力強い指が短パンにかかる。
 「あぁ…やめてください!」
 リグルは両手で短パンを引くが不自然な姿勢でままならない。
 「お仕置きだからね…まずは…脱ぎ脱ぎしましょうねぇ〜」
 嫌らしく舌なめずりしながら短パンをずり下げてゆく。童女の腰が露わになり、続いて尻肉が見えてしまった。
 「嫌ぁ…」
 うめいたが、それは襲撃者の嗜虐心を昂ぶらせるばかりである。
 指は止まらない。
 残骸となった短パンに引っかかる部分はなく、白のショーツとともにスルスルと太ももへ、そして膝まで下げられてしまった。
 幼さの残る尻肉の間に肛門が見える。そればかりでない。今まで大切に隠してきた、大陰唇と小陰唇、ぷっくり赤らんで膨れた肉鞘の割れ目から薄い肉襞を覗かせる女性器が丸見えなのだ。
 「ダメぇ…ダメぇ…見ないでぇ…」
 「この角度じゃ、お前のオマンコは見えてないわよ、私には」
 哀願するリグルの声に悪辣な笑みで答える幽香。何か、陰湿なものを感じさせる。どういう意味なのだろうか。
 「さぁ、お仕置きを始めちゃうわよ」
 幽香は少し姿勢を変え、剥き出しになったリグルの尻を窓に向けた。そして右手を高く上げると勢いを付けて童女の尻を叩いた。
 スパーン!
 「ひぎぃぃっ!」
 リグルの悲鳴が響き渡る。肺の中の空気が全て抜かれたかと思えるほどに絞り出されていた。
 スパーン! スパーン!
 続けて何度も振り下ろされる。
 その怪力である。リグルの小さな骨盤が砕けるかとも思われたが、幽香はインパクトの瞬間、手を止めていた。音ばかり大きくてダメージは少ない。只、童女の双臀が赤く腫れるだけだ。
 痛みだけ与えて傷つけない。
 加虐性欲者である幽香は獲物の調教に長けている。熟練の技が童女に中に隠れていたもう一つの欲望を誘い、陽の目を見させるのだ。
 甘い痛みが尻肉に、女陰に、そして幼い子宮に響き渡る。
 「あぐぅぅっ…」
 うめきながらリグルは苦痛が得も言われぬ快感に変わってゆくのを感じていた。
 熟れたアケビのような肉鞘、やわらかな肉の割れ目から血とも汗とも異なる液体が溢れる。愛液だ。痛みを伴う性的快感にバルトリン腺液とスキーン腺液が誘導されてしまっているのだ。
 いつの間にか、リグルは期待していた。次の痛みがもたらされることを。
 幽香の手が上がる。
 すると腰を震わせて打擲をねだる。
 「ああ…」
 童女の口から甘い吐息が漏れた。
 乱暴な襲撃者に見えて幽香は実に繊細な手管を持っていたのだ。未熟な乙女が抗えようはずもない。
 そして。
 スッ
 突然、淫婦の手が止まる。
 「えっ!?」
 快感をもらえなくてリグルはうろたえる。痛みを与えてくれる幽香にもその痛みを期待している自分自身にも混乱させられていた。
 「あら、なぁに? もっと痛くして欲しいの? ホント、イヤらしい娘ねぇ…」
 打って変わって童女の尻を優しく撫でる。
 充血して赤い肉果をツーっと撫でる。未成熟な女性器、薄く肉の付いた無毛の恥丘を濡らす液体をすくい取る。それは物欲しげに開いた膣口からだけでなく、肛門からも滴っていた。
 わずかに黄色みを帯びた腸液、それが物語るものは大腸も性器になりつつあるという証だった。
 「ち…違いますぅ…私は…私は……」
 淫乱ではないと言いたかった。
 でも感じていた。
 快楽を。
 性的な快感を。
 チルノとは違うのだ。無邪気な氷精は大妖精がどんなに誘惑しても反応しないが、リグルは理解してしまった。旧地獄で黒谷ヤマメに出会い、その歌を聞き、その踊りを観た時、胸がときめいた。それは体の奥に眠る何かを目覚めさせ、今、こうして幽香の打擲を心待ちにしている。
 肉の悦びを求めるそれ、性欲を自分ではないものと考えたい。しかし、心は間違いなくそれが自分の一部であることを理解していた。
 童女はすでに“女”になっていたのだ。
 その事を童女自身よりもよく理解していたのが幽香である。
 「リグルちゃ〜ん、いいのよ、さらけ出しても。お前の“女”を見せてご覧。イヤらしくて…淫らで…浅ましい、雌肉そのものを☆」
 姿勢を変えて童女の腰をある方向へ向ける。
 その意図にリグルが気づきようもない。
 「さぁ、イキましょうか」
 スッと体を起こさせて後ろから抱きかかえる。
 「えっ!?」
 驚く間もなく。
 ベリベリ!
 リグルのシャツを引き裂いて幼い胸を露わにした。
 「きゃあっ!」
 羞恥に赤らむ頬。
 わずかに膨らんだ乳房がぬるい夏の空気に触れてピクピク震えている。荒い息と相まって横隔膜の拍動が薄い乳房を振動させているのだ。
 「ちーくび☆」
 間髪入れず、幽香の指が両方の乳首をつまむ。
 「いやぁ…」
 抵抗するも両腕の上から抱きしめられ、相撲で言うところの、いわゆる“閂”の形に極められている。動かせるのは肘から下だけでそれすら水平より上には持ち上げられない。
 背後から抱かれて膝に座らされた状態だ。先ほどまで膝の上で腹這いにされて尻を叩かれていたことに較べればずいぶん良い状態であるはずだが、両足の間に幽香の膝が割り込んでいる。今度はリグルが幽香の太ももの上に馬乗りになっているので股を閉じることが出来ない。
 しかも、淫婦が股を開こうとしている。
 「あ…あぁ…」
 懸命に力を込めるものの、閉じる気配は露ほどもなく。
 「さぁ、リグルちゃぁ〜ん…オマンコ見せましょうねぇ」
 淫婦の両膝は床から生えた木かと思うほどに固く、ビクともしない。
 白いショーツと破れた短パンは足首まで引き下ろされ、無残に引き裂かれたシャツは袖の部分しか残っていない。黒のローファーを履いて黒マントを羽織っただけの状態であり、リグルはほぼ全裸だ。恥ずかしい乳房と女性器が剥き出しの状態であり、隠したくても首と肘から先しか動かせない。
 「だめぇ…」
 どんなに力を込めてもジワジワと股を開かされる。
 「ほぉら、ぜんぶ見えちゃった☆」
 背後からしっかり抱きかかえられ、股を割り開かれたリグルは女の秘所が丸見えの状態にされていた。
 体は先ほどと同じ角度に向けられている。
 「!?」
 気づいた。
 幽香の言葉はおかしい。ぜんぶ見えたと言ったものの、背後でリグルを抱きかかえている淫婦から童女の秘苑が見えるはずがないのだ。
 体格差はある。背丈は立った状態で幽香の肩までもない。それでもリグルを自分の膝に跨がらせておいて、淫婦が童女の股間を覗けるはずもなく。
 ぜんぶ見えたとは誰の視点で物を言っているのだろうか。
 疑念は疑問となり、疑問は不安に、不安は恐怖になった。
 「あれはつづらじゃない。籠よ…虫籠」
 告げてニヤリと嘲り笑いを浮かべる。その口が耳まで裂けたかと思えるほどの凄惨な笑みだった。
 「む…し…かご……?」
 “虫籠”とはどういう意味だろうか。
 幽香の視線の先に鎮座する直方体は屈めば人一人は入れそうな大きさである。しかし、そんな巨大な虫は存在しない。
 存在しないはずだ。
 そこまで考えてハッとなる。
 人と変わらぬ大きさの虫がいたら?
 一つの可能性に思いが至る。
 血の気が引いた。
 「リグル…お前はこの後、地底へ行って告白するつもりだったんでしょ? 互いに惹かれ合う恋人達、イイわぁ☆」
 顔面蒼白のリグルを上から眺めて。
 「だけどね、そんな恋人達、一方が告白を考えたら、もう一方も同じ事を考えないかしら? 例えば…お前が地底へ降りるつもりだったように相手が地上に昇ってくる…とかね」
 再び、深い暗がりに注意を促す。
 直方体を包む黒布がゆっくりと持ち上がってゆく。その下から籠が覗いた。よく見ると籠を編んでいるひごが青味がかって見える。ひごが蠢いている。生きた蔓草で編まれた籠なのだ。
 ズルズル…
 蔓草が動き、音を立てて籠目が緩む。
 中身が少しずつ覗いてきた。
 あの籠はひごの蔓草が土間から伸びて編まれている。幽香の思うままに操れるようだ。
 やがて籠の形が崩れて、中身が丸見えになってきた。
 地味な黃の髪をてっぺんでまとめる臙脂色のリボン、膨らんだ袖と膨らんだスカート。大きな眼が可愛らしい少女が囚われていた。
 リグルがよく見知った顔、それは土蜘蛛の妖怪、黒谷ヤマメだった。
 「えひゃぁえあっ!?」
 驚きのあまり、悲鳴も裏返ってしまった。
 今、自分は剥き出しの乳房と女性器を晒してしまっている。強い羞恥と嫌われる恐怖がリグルの感情を千々に乱していた。
 「あらあら、みっともないわねぇ…リグルはイヤらしいオマンコとオッパイを見せて喘いでたのよ、今の今まで」
 計画通りとほくそ笑む幽香。
 恋する乙女をカネや暴力で脅しても無駄だ。恋心と言うものは邪魔されればされるほどに逆に力強く燃え盛るもの。永く生きる妖怪の幽香がそれを知らないはずもなく。
 “お仕置き”と称する暴力はそう見せかけてリグルの性感を開発するためだったのだ。はしたなく喘がせ、みっともない姿を見せつけてヤマメを幻滅させる企みだったに違いない。
 「むー、むー!」
 ヤマメが何か抗議しているが、猿ぐつわを噛まされていて言葉にならない。
 「見ないでぇっ!!」
 全力で足を閉じようとするも、やはりリグルの力ではまったく及ばず、幽香の足は床から生えたかのようにびくともしない。
 「ウフフ…裸ん坊の、イヤらしいリグルをヤマメが見ているわよぉ♪」
 半裸の童女を抱きかかえて淫婦は笑む。実に楽しそうだ。
 そして。
 「じゃあ、次はイクところを見てもらいましょうか?」
 脇を締めて童女をがっちり拘束しつつ、指で未熟な乳首を愛撫し始めた。
 右手の指が肉蕾をつまみ、コネコネとつねるようにいじる。左手の指は剥き出しになった恥ずかしい先端を軽く弾いた。
 たちまち乳肌が朱に染まり、乳首が勃起してゆく。
 「ひゃぁっ!…あっ…あぁ…くっ!」
 最初は驚きの悲鳴だった声がすぐにもどかしさに耐える呻きに変わった。
 撫でる、触れる、こする、つまむ、引っ張る、つまんだまま上下左右に揺する。幼い乳首は幽香の指にかかるとたちまち淫らに震えだした。女体が性の快楽を求めているのだ。
 こらえようにも両方の乳首から伝わる快感は未経験の処女には辛すぎた。
 柔肌の下を通る血管が透けて見える。いつもより勢い良く流れる血潮が幼い乳首を痛いほどに勃起させている。
 発汗が激しくなり、乳肌を濡らす汗の雫がプルンプルン揺れる乳肉を伝ってぽたりぽたり滴り落ちてゆく。
 「フフ…」
 数多の女を辱めてきた真性レズビアン、幽香にとって腕の中の童女は責め慣れた玩具でしかなかった。指でも、口でも、必要なら足であっても好きにあしらえる。
 黒谷ヤマメに恋したリグルは性に目覚めていた。少女から乙女に変わる時。それこそが幽香の待ち望んだ適熟期なのだ。
 「あぁ…ひぃっ!」
 こみ上げてくる快感への希求が抑えきれず、リグルが小さく悲鳴を上げた。そして吐いた分の息を吸おうと口を開ける。
 刹那。
 「ん…」
 「はふぅ…!?」
 須臾の間を置かず、幽香がロリータの唇を奪った。淫らな唇がうら若き蕾を襲う。慌てて閉じようとする上下の歯、しかし淫らな舌が強引に割り開いて侵入する。童女の舌を見つけると獰猛なヤツメウナギのようにしなり、絡みついて、肉の快感を貪った。
 そのまま返す刀で敏感な歯茎に触れる、撫でる、愛撫する。
 「ふぐぅっ!」
 塞がれた口から喘ぎ声が漏れる。
 ファーストキスは口淫レイプだった。
 初めての接吻が荒々しくも的確に口腔内を犯してリグルを責めた。それは熟練の舌による未熟な口への陵辱であり、若いレズビアンに抗う手段はない。
 よだれと涙にまみれながら童女の体がガクガクと震える。
 胸を指でいじられ、口と歯茎と舌を責められ、強烈な快感に襲われたリグルは初めての性的絶頂を迎えたのだ。
 「イッちゃったぁ☆」
 口を離して、嬉しくてたまらないと言った様子で笑う幽香は力を緩め、童女が性の愉悦に襲われて弱々しく痙攣する様を見せつけた。
 「……」
 ヤマメが目を丸くしている。
 想い人の浅ましい姿にショックで体が動かせないのだ。
 「初めてなのに? 処女なのに? オッパイとキスでイッちゃうんだ。イヤらしいわねぇ♪」
 「はぁ…はぁ……」
 荒く息するリグルは淫婦の言葉攻めに対抗するすべを知らない。
 続く言葉が更に心を苛んだ。
 「まぁ、すぐに処女じゃなくなるんだけれどねぇ」
 ねめつける幽香の眼は容赦なく、獲物を狙うオロチそのものだった。
 女が女の処女を奪う。
 どうやるのか、何をするのか、性的経験を積んでいないリグルには見当もつかなかったが、幽香が犯ると言ったら犯るに違いない。
 「嫌ぁっ!」
 「だぁめ☆」
 怯えて逃げようともがくものの、今度も容赦なく抑え込まれた。
 「さぁ、イキましょうか」
 太ももの下に手を差し入れて抱き上げる。リグルは大股を目一杯開かされた格好である。
 それは赤子に排尿させる様そのものだった。
 そのままヤマメの前に出る。
 生ける籠はすっかり解けてしまい、ヤマメとリグルを遮るものは何もない。只、蔓草そのものは床や天井から伸びてゆらめき、一部が土蜘蛛の少女を拘束している。
 「むぅー! ぐむぅーっ!!」
 恥ずかしさに紅潮しているものの、怒りの表情を見せて激しく体を揺らす。
 これだけの仕打ちを受けてもまだ参っていないらしい。
 さすが、旧地獄の妖怪。大した根性だ。
 「イイわぁ…元気のいい娘は好きよ♪」
 ご満悦と言った表情の幽香。
 「でも、まずはこの娘を挫いてからね」
 ケラケラと嗤い、リグルの腰をグッと前に押す。
 童女の恥丘に陰毛は生えていない。愛液にまみれる、剥き出しの女性器がヤマメの鼻先に突き出されていた。
 「!」
 むんと香る、酢い臭くチーズのような匂い。肉果からわずかにはみ出た小陰唇がテカテカと濡れて、粘着く愛蜜を滴らせている。
 「この娘はね、今、イッたの。これがその証拠。イキマンコのイヤラシさはどんなに隠しても無駄よねぇ」
 夜を重ねて幾星霜、数え切れないほど繰り返してきたレズビアンの性戯だ。幽香はしみじみと言う。
 「見ないでぇ…見ないでぇぇ……」
 すでに抵抗する意思は挫かれ、リグルは消え入るような声を漏らすばかりである。
 だが。
 「……」
 ヤマメは自分を慕ってくれた娘の、自分が慕った娘の性器から目を逸らせない。
 その様子を満足そうに眺めて。
 「さぁ、仕上げよ」
 幽香はリグルをしっかり抱きかかえた。童女の両腕は閂の形のまま極められており、肘から下しか動かせない。動かせたところでリグルはこの強力な大妖怪の指一本にすら抗えないだろう。
 そのまま、今度は童女の恥陵に指を伸ばし。
 「ねぇ、妖精のエードは美味しかったでしょう? あれは花の蜜を集めて作ったもの。虫を介さずに、ね」
 突然、無関係の話を始める。
 「えっ…それがどうして……」
 だが、“虫”という単語が引っかかってリグルは思わず幽香を見上げた。
 「フフ…どうやって虫の力を借りずにあれだけの量の花の蜜が集められたかって? 伊達にフラワーマスターを名乗っていないのよ」
 不敵に笑う。
 「!?」
 “妖精からもらった”、“妖精のエード”、確かに大妖精はそう言った。間違いない。だが、考えてみれば大妖精の言葉に反応して勝手に“妖精が作ったエード”と解釈していたのはリグルである。そうでないとなるとエードを届けた妖精はそれを一体、誰にもらったのだろうか。
 天下の大妖怪、“フラワーマスター”、風見幽香だ。
 ならば、どういう意図の下に?
 そこまで考えてリグルは自分の下腹が酷く張っていることに気づいてしまった。
 「そうよねぇぇぇぇ☆ そうなのよぉぉぉっ!!」
 幽香は再びケラケラ嗤った。
 「ここに来る前に二杯、ここでも更に一杯、飲んだわよねぇぇぇ? あれでリグルちゃんの膀胱はオシッコでいぃーっぱい♪ もうすぐお小水が出てくるんじゃなくてぇぇぇっ!?」
 楽しくて仕方ないと嘲るあまり、口調が変わってしまっている。
 「ヤマメはこんなイヤらしいリグルを見ても幻滅しなかった? まだ恋心が失せない? 乙女の慕情は不滅だ、と? ご立派ねぇぇ! でもぉっ!」
 自信満々に語る。
 「この女がオシッコを漏らす様子を見てもそんなこと言っていられるかしら? アーッハッハッハッ☆」
 傲岸不遜、この世の全ては自分の思い通りになると言わんばかりの哄笑だった。
 「ゆ…幽香さん…やめ…て…や…めて……・」
 歯をガチガチ鳴らして哀願するリグル。
 幽香は傷つけたり怪我させたりしないと言った。それは言葉通りの意味である。
 狙いは心。精神そのもの。リグルの恋心、慕情そのものを挫かんとしているのだ。
 しかも、この責苦は何週間も前から周到に準備された計画に則って行われている。
 おそらく一寸の狂いもなく、完璧に遂行されて来たに違いない。ヤマメが訪れて囚われているのも、リグルが飲みすぎて腹いっぱいなのも、どれも偶然などではない。すべて淫婦の計画の通りなのだ。
 幽香は傲慢だが物事を甘く見たりはしない。リグルやヤマメのような相手であっても全力を尽くす。
 今、自分がここで受けている責苦はその結果なのだ。
 「あぁ…」
 リグルはようやく理解できて愕然となった。
 この場を逃れてヤマメとやり直せる可能性など万に一つもない。
 ここで自分の初恋は絶えるのだ、と。
 「あぁ……」
 絶望がリグルの心を満たしてゆく。
 だが、それでも幽香は容赦しない。
 「さぁて…」
 青ざめる童女の顔を見てもためらうことなく最後の仕上げに取り掛かった。。
 無毛の恥丘、熟れたアケビの割れ目のような肉鞘の中央に覗く、濡れそぼる小さな肉襞を指でなぞりつつ、割れ目の上端、包皮からわずかに顔を出した陰核に触れた。
 「あひぃっ!!」
 リグルは敏感なクリトリスをいじられて思わず嬌声を上げてしまう。
 「イイわぁ☆」
 利き腕による責めはそのままに左の乳首をつまんだ。
 「むぐぅっ!」
 更にもう一度、童女の唇を奪う。今度はロリータの下唇を舌と歯と唇ではさみ、クニクニとねぶり、もてあそんだ。
 「ん…く…ぁ…」
 ツーっと童女の口の端から透明な唾液が流れ落ちる。
 乳首、クリトリス、膣前提、小陰唇、絶え間なく蠢く幽香の指はリグルの体をいじりまわり、敏感な箇所を撫で上げて湧き上がる愉悦の波を送り込んでいた。
 「きゅっ! けぅっ!!」
 悦びに喘ぎ、身悶えるリグル。
 どちゅっ!
 突然、幼い割れ目から液が溢れた。チョロチョロと音を立てて無毛の肉果を伝い、会陰から床に向かって流れ落ちる。
 ホカホカと熱い液から匂い立つアンモニア臭。
 愛液ではない。
 尿だ。
 「ぁくぅっ!」
 リグルは下腹を締めてこらえた。
 今、童女の局部はヤマメの目の前にある。まさしく鼻先だ。尿道括約筋を緩めたら大切な女性を小便まみれにしてしまうことだろう。
 「ほぉら、リグルちゃぁ〜ん…シーシーしましょうねー」
 ここぞとばかりに幽香がリグルの腰を前に向けて押し出した。
 尿を漏らしてアンモニア臭を放つ局部がヤマメの前に突き出された。
 ところが。
 「…」
 ヤマメは目を逸らさない。剥き出しにされた想い人の性器を凝視したままだ。
 「ふぅん…」
 淫婦の位置からヤマメの表情はわからない。何を考えているのやら、何を想っているのやら。
 「いいわ。喋らせてあげる」
 戦略の帰趨は情報の多寡に左右される。今、ヤマメの考えがわからないことは懸念材料だ。
 幽香は蔓草に命じて猿ぐつわを緩めさせてやった。
 ブンブン!
 ヤマメが強く頭を降ると猿ぐつわは解けて落ちた。
 「何すんのよ、バカ!」
 叫んで、幽香を気丈に睨みつける。
 しかし。
 「………」
 やはり淫婦の位置からヤマメの表情は見えない。それでも声が聞けたので感情と様子だけは読み取れた。
 よりくわしい情報が欲しいところだが今の姿勢では難しく、姿勢を崩せばリグルへの責めが緩む。
 それもまた望ましくない。
 一瞬、ためらったものの。
 「ほら、シーシー!」
 ままよと、リグルを責めた。
 不明なら不明で良し。よしんば、この一手が不発に終わったとしても後で挽回する手段はある。今はリグルの心を挫くことを優先する。
 乳首をもてあそんでいた左手を下ろし、両手で童女の陰部を攻める。
 わずかに力を込めただけで包皮が剥かれて勃起したクリトリスが顕になった。
 ここぞとばかりに指を添えて、こする、撫でる、いらう。
 「ああ、リグルはやっぱりイヤらしい娘ねぇ…おさねがこんなに!」
 わざと驚いたような顔をする。
 リグルのクリトリスは完全に包皮から突き出していて、小指大ほどに勃起していた。
その形はまるで小ぶりなペニスようで、亀頭そっくりに先端が肥大している。
 「おさねが大きい娘は淫乱なのよぉ♪」
 何もかもわかっていて言葉にする。
 これは只の陰核肥大だ。“症例”と言っていいかどうか悩ましいところだが、さほど珍しいものではない。幽香が呼称をためらう理由は単純に好みだからである。陰核が大きい娘は感じやすく責められやすい。レズビアンとして責め役を担うことが多い幽香としては相性が良く、少なくとも“障害”には当たらない、只の女性外性器の特徴なのである。
 しかし、わかっていても、さも珍しいものであるかのように振る舞う。
 「ち…がいますぅ…私は…イヤらしくな…んか……」
 こらえながらも懸命に抗議するリグル。顔を真っ赤に染めて必死だ。完全に淫婦の術中に陥っていた。
 「ウフフ♪」
 幽香は嬉しくて仕方ない様子で今度はリグルの下腹を押した。
 「お腹がタプンタプンでしょう? 我慢しないで出しちゃいなさいよ」
 触れるだけでわかる。
 膀胱は尿で満杯だ。
 だが。
 「…」
 リグルは唇を噛み締めて尿意をこらえている。
 今、我慢しないでいつ我慢するというのだ?
 他人に強制されて恋人を小便まみれにさせられるなど、これより酷い恥辱はない。
 リグルに残った、最後のプライドが尿道括約筋を引き締めていた。
 だが、戦場でも夜の褥でも百戦錬磨の幽香は経験豊富な狩人である。
 「そぉ? でもね、どこまで我慢できるかしら?」
 左手でリグルの下腹を押しながら、右手で幼い秘裂をいらう。
 「あ! あ! くぅっ!」
 「ウフフ☆」
 童女の反応を楽しみながら陰門を割り開いて膣口を露わにした。
 しかし、胎児の通る生殖孔が目的ではない。その上に小さく窄まっているもう一つの肉穴が狙いだった。
 クリクリ!
 しなやかな親指が蠢き、尿道口をクニクニといじり回す。中指と薬指で濡れる膣口をピチャピチャと愛撫しながら。
 もちろん左手は童女の下腹を刺激しつつだ。
 小柄とは言え、人ひとり抱えながら快感とツボへの刺激で排尿を促す、フラワーマスター風見幽香の超絶技巧である。
 そして幼い体を持ち上げた。
 前にかがんで肥大化したクリトリスを口に咥える。歯でコリコリと噛んで舌をまとわりつかせ、ねぶる。
 ぴくっ、ぴくっ!
 幽香の口の中で勃起しきった陰核が跳ねる。脳を灼くほどの強烈な愉悦がほとばしって童女を責めた。
 キュイッ!
 止めを刺すとばかり、親指が粘着く尿道口をこすった。ヌルヌルした刺激が尿道を通して膀胱へ至る。
 このような手管で責められて性的に未熟なリグルが耐えられようはずもない。
 強烈な愉悦に心が壊れ、意識が千々に乱れる。
 「あひゃぁーっ!」
 絶叫して果てた。
 膨大な愉悦の波がリグルの意識を吹き飛ばすとともに押さえつけられていた尿意が開放される。
 同時に膨らみきった膀胱が決壊した。
 幽香の人差し指と小指で割り開かれた陰門、その上部で必死に窄まっていた尿道口が丸く開いた。
 尿道を熱い液体が昇り詰めて。
 プシャァァァァァァァァァッ!
 一気に奔流となってほとばしる。
 「あぁ…あぁぁ……」
 リグルが力んでみたものの、黄色い液体は止めどもなくほとばしり。
 「ひゃぁぁぁっ!! あつぅっ! 熱いぃぃぃっ!!」
 尿がヤマメを汚す。必死に逃れようともがくものの、蔓草の拘束はきつく、体を揺らす程度にしか動けない。童女の顔が尿まみれになり、まぶたから、睫毛から、鼻から、顎の先から黄色い熱汁が伝い落ちた。
 小水は顔から肩へ、そして更に下へ伝い、ヤマメの膨らんだスカートを汚して萎れさせた。
 幼い割れ目から円弧を描いて飛沫を跳ね散らかせていた尿は徐々に勢いを失ってゆき、やがて股間から滴るだけになり、ついには止まった。
 「あら、もうシーシーはおしまいかしら? よしよし♪」
 赤子をあやすように腰を振らせて幽香は無毛の股間を拭いた。
 屈辱だ。
 「ヒッ…ヒック…ヒック……」
 リグルが啜り泣く。
 触覚はだらんと垂れ下がり、汗と尿で汚れた黒マントは酷い状態だ。幽香に抱えられたまま両手両足を力なく垂らし、恥辱と絶望で表情が失われていた。
 「フフ☆」
 獲物の仕上がりに満足げな幽香。
 リグルの方はこれでいい。
 獲物の足を閉じさせて抱え直し、しゃがんでヤマメと視線を合わせた。
 「どぉ? リグルの本当の姿は?」
 不敵な笑みを浮かべて余裕を見せつける。
 だが、ヤマメは屈しなかった。
 「何が“本当の姿”よ! アンタが悪巧みで追い詰めて強制したんじゃないっ!?」
 キッと淫婦を睨みつける。
 なるほど、さすが地底は地獄からやってきた少女である。只、可愛いだけのアイドルではない。
 「恋する乙女はこんなことくらいじゃくじけないわ!!」
 毅然と言い切った。
 想い人が無残に貶められる姿を見せられても屈しない。
 リグルが惚れただけのことはある。黒谷ヤマメは本物の強さを持つ女性だった。
 「…」
 投げつけられた裂帛の気合、さしもの幽香もたじろいだ。
 だが、それも一瞬のこと。
 すぐに釣り上げた眉を戻して平静を装う。
 「わかったわ…」
 リグルを抱きかかえたままヤマメを睨み返す。
 「脅しに屈しない…ええ、その意気や良し。でも、それならそれで手はあるのよ…」
 思念を集中し、幽香は足元の床板に魔力を込めた。
 ズズズズズ!
 羽目板が外れて白い塊が現れた。
 真綿だ。
 葉も茎も見えない。只、綿だけが床から溢れ出しみるみるうちに盛り上がってゆく。
 すぐに横たわれるほどの巨大な綿の山が出来た。
 「リグル、先に」
 綿の山に放り出す。
 「きゃっ!」
 すぐさま、緑の触手が伸びて童女の体を絡め取った。リグルは即席のベッドの上で動けない。
 幽香は二人の前に仁王立ちになって。
 「ご覧。美しいでしょう?」
 服を脱いだ。
 どうやったのか、一瞬で淫婦を包む布が飛び散った。
 均整の取れた肉体、美麗な全裸が露わになる。
 「えっ!?」
 「そんな……」
 二人は絶句した。
 まず緑の髪と力のある三白眼が強烈な印象を与えてくる。形の良い乳房は先端がツンと上を向いてボリュームがあり、幽香自身を象徴するように大きくて傲慢な巨乳だった。肩の三角筋から腕にかけて引き締まった上腕、たくましい太ももは艶めかしいばかりでなく、発達した大腿四頭筋を示す。ヘソを囲む腹直筋は女性らしい脂肪の層が乗っていてもその存在を見過ごさせない。なるほど、リグルが微動だに出来なかったはずだ、その脚線美は力強さに裏打ちされていて見る者が怯むほどの威圧感を放っている。
 そして、見よ。
 二人が絶句した理由。
 緑色の陰毛が薄っすらと生えた股間、そこから天高くそびえるモノ。
 それはたくましく屹立したペニスだった。
 充血して赤黒い血管が浮き出し、たぎる性欲に合わせてか、ビクンビクンと躍動している。
 その、女性にあるはずのない剛直は二人の少女を絶句させるに十分な迫力を持っていた。
 「どうしたの、そんなに驚いて?」
 少女たちに与えたショックが心地よかったのだろう。幽香はニヤリ嗤ってみせた。
 「被子植物は基本的に両性具有よ。ああ、忘れてた? お花ってそれ自体が性器なの」
 そそり立つ巨根を握りしめる。亀頭の先端から粘ついて光るカウパー腺液が滲み出ていた。
 「雌木と雄木に別れる雌雄異株の方が珍しい。私は一つの体に雄しべと雌しべを持つ両性具有者。フラワーマスターなんだから二形、半陰陽は当たり前でしょう?」
 その微笑みが二人の少女を震え上がらせる。
 「ひっ!」
 リグルが小さく悲鳴を上げた。
 幽香の“すぐに処女じゃなくなる”という言葉の意味が理解できたのだ。
 「リグル、私の女になりなさい」
 淫婦が宣言した。
 犯るつもりだ。リグルを。
 情け容赦なく。
 恋人の目の前で。
 「……」
 その、あまりに強烈で、あまりに傲慢で、あまりに理不尽な意図にヤマメは呆然としていた。
 だが、幽香の考えは理にかなっている。
 暴力による脅迫でも恥辱による幻滅でも乙女の慕情が挫けない。そうわかった以上、恋愛の摂理の上で恋人を奪うしかない。
 幽香にはその意思があり、なおかつ、その手段があるのだ。
 「ハァハァ…こんなになっちゃったぁ☆」
 息を荒げつつ、巨乳の先端で赤く熟した自分の乳首を舐める。大きい。ボールを思わせる真球で重量もサイズも破格だ。自分の乳首を咥えられるほどに。
 「リグル…かわいいわね」
 純白の山、真綿のベッドに迫る。
 「だめ…だめです…」
 イヤイヤと首を振りながら体をくねらせて後ずさりするリグルだったが、蔓草の拘束はきつく、まともに動けなかった。
 「だめぇっ! リグルは私と…私と結ばれるのよぉっ!!」
 ヤマメが絶叫する。
 しかし、加虐性欲者の幽香には乙女の悲鳴すら自分を昂ぶらせる性行為のスパイスでしかない。
 「うふふふ…無駄よ。一番厄介な問題はすでに解決しておいたもの。ここからは我を忘れて思う存分……この…たぎる…肉欲のままに…お前の体を……」
 緑の触手を操作してリグルの小さな体を真綿の中央に固定する。
 「思う存分、犯らせてもらうわ!」
 目の色が変わった。息が荒い。昂奮している。もう要らないと判断して自制心を捨てたのだ。
 同時に童女を縛っていた蔓草の拘束が解ける。
 「えっ!?」
 一瞬、リグルは驚いたものの、淫婦が昂奮のあまり、蔓草への指示を怠ったのだと気づいた。
 この隙は好機だ。
 「ごめんなさい!」
 リグルは黒マントを広げ、空へ逃亡しようと試みたが。
 「るぁぁぁっ!」
 間髪入れず、獣のようなうめき声を上げて幽香が襲いかかった。
 浮きかけたリグルの両肩を掴んで引きずり下ろす。
 ビリビリビリ!
 何と言う怪力か。そのまま、頑丈な黒マントと残りのシャツを紙のように引き裂いてしまった。
 両腕を固定されたリグルは首しか動かせない。足を引き抜こうと試みたものの、幽香の美脚が絡みついてビクともしなかった。
 「お前はもう私の女よぉっ!」
 のしかかった幽香が強引にリグルの唇を奪う。先ほどよりも遥かに荒々しく唇を重ねて、ズルリ舌を挿入した。
 「うぐぅ…」
 何とか逃れようと試みたものの、リグルの力では遠く及ばない。
 にゅちゃ…ちゅ…にゅるゃ…ずっ、ずっ!
 淫婦の舌がナメクジのように蠢き、童女の歯を押し開けて侵入し、荒々しく歯茎を愛撫する。
 再び、新たな快感が押し寄せてきた。
 「む…ぐぅ…ふゅぅ……」 
 思わず、愉悦に喘いでしまう。
 男とは根本的に異なる。只、荒っぽいように見えて幽香の攻めは的確だった。女性同性愛者ならではの知識と経験、同じ女だからわかる攻めどころと快感の引き出し方。何もかもが次元の違うレベルだった。
 淫婦の舌がうねり、リグルの舌を見つける。ねっとり巻き付いて貪った。
 艶やかな光沢を見せる、真っ赤な大人の唇がまだ色の薄い童女の唇を喰む。キュッと力を込めて敏感な内側を吸ってゆく。
 ぺちょぺちょ…ぴちょ…ぺちゃぺちゅ…
 淫らな音を立てつつ紡がれる口淫。
 「ん…んん……」
 口が性器になる感覚にリグルはわななく。同時に湧き上がる痴悦が体の芯にたどり着いて童女の中に潜んでいた性の欲望を昂ぶらせていた。
 幽香はキスだけでリグルの隠れた肉欲を呼び覚ましてゆく。
 純真な乙女を淫らな痴女に変える。
 童女に淫婦の女体を味わわせ、同時に女の悦びを思い知らせる。体を責めるばかりでなく心そのものを責めて、精神を本物の女性同性愛者に書き換えるのだ。
 つー
 重なる雌同士の唇、その接合部から唾液が溢れた。
 よだれまみれのキス。
 とてつもなく淫らであり、性的に未熟なリグルを昂ぶらせ、発汗と欲情を促した。
 小さな乳房の下、わずかに透けて見える、青黒い血管。
 熱い血潮が走り、乳肌に珠の汗が浮かぶ。
 皮に包まれていた陰核が再び勃起する。
 薄い脂肪の貧乳で朱い先端が立ち上がって幽香の巨乳をわずかに押し返した。
 小指ほどに勃起したクリトリスが鍛え上げられた腹直筋に触れる。
 「ん…」
 幽香は気づいていた。肌でリグルの性感を測り、次なる攻めに繋げてゆくのだ。
 「ぷはぁー」
 もう十分に攻めたとして口を離す。
 むぎゅっ!
 代わりに巨乳を小さな乳房に押し付けた。
 「ひっ!」
 新たな責めがもたらす刺激におののいてリグルは小さく悲鳴を上げた。
 大玉スイカのような巨乳が小さなの胸乳を押しつぶす。大人の女の、親指の先ほどにまで勃起した乳首が童女の幼い乳首を潰してコリコリと責めた。
 「あぃっ!!」
 胸に生じた強烈な愉悦に童女が悲鳴を上げる。
 乳首で乳首を責める。
 これもサッフォニズムならではのテクニックである。
 性感帯の刺激としては指を使う方がやりやすいのだが、幽香の性技は尋常ではない。余裕で攻め手の不利を克服し、指以上の働きを見せていた。
 大人の乳首が童女の乳首を押す、こねる、こする、潰す。
 「ほぉら、イヤらしいでしょう? リグルのエロおっぱいが淫乱だからお仕置きされているのよぉ…」
 言葉もまた武器。体を責めて心も責める。そのための攻撃手段なのだ。
 リグルは淫乱な女だと言い続けて認めさせる。そうすることで性感帯が敏感になり、肉体も精神も屈しやすくなる。
 幽香の手管は経験に裏打ちされ、考えに厳しく吟味された性技だった。
 そして淫婦の乳腺が疼く。
 乳首の先端が口を開け、生白い液体が吐き出された。
 にゅぷ…ちゅぷ…にゅるにぇる…ちゅ…
 乳肌と乳肌が擦れあって淫らな音を立てる。液体は汗と幽香の母乳だ。粘つき、泡を立て、肌に滲み込む。
 幽香ほどの巧者になれば妊娠しなくても母乳を分泌できるし、それに催淫効果を持たせることもできるのだ。
 淫靡な生乳は童女の乳肌を赤らめ、乳房そのものを敏感な性器に仕立て上げる。
 「ひぁぁぁっ!」
 リグルは新たな快楽の波から逃れようと必死にもがくものの、のしかかる幽香の重みに押さえつけられてまったく動けない。
 「セックスしたくなってきたでしょう?」
 童女の耳元で囁く。
 否応なく強姦するつもりだが、できればリグルの口から性交を懇願させたい。破瓜の痛みよりも堕落の苦悩の方が味わい深いのだから。
 「し…したくないっ! 私は…私はヤマメちゃんとオメコしたいんだっ!!」
 必死の絶叫。
 ふだんは品の良いリグルの口から下品な欲望が吐き出された。
 しかし、その言葉は告白だった。
 想い人の心を揺り動かす。
 「リグルちゃん…」
 ヤマメは拘束を解こうと全力で抗いながら。
 「私もリグルちゃんとオメコしたい! リグルちゃんとだけ! オメコしたいっ!!」
 もう一人の童女も絶叫していた。
 下品ではあったが、力強い言葉は説得力を持つ。
 瞳に浮かぶ決意の色は到底、揺らぎそうに見えない。
 「無駄よ! リグルとセックスするのはこの私なんだからっ!!」
 負けじと言い返したものの、まま自分が悪役だと思う幽香。それでも動揺を隠して。
 「恋人が陵辱されるところをそこでおとなしく見てなさい!」
 大声で怒鳴りつけた。
 己の不利を悟らせない。
 口の端に浮かぶ嘲りを隠す。
 旧地獄に絡む、もっとも厄介な問題は片付けてあるのだ。戦略的な勝利はもはや約束されている。ここは終局の詰めを誤らぬよう、適宜、局面に合わせて工夫し、戦術的勝利を確定させるべきだ。
 そう考えて、予定外の一手を打つ。
 にゅるん!
 リグルの胸乳を責めながら緑の触手を操作して小さな臀部の下を這わせた。
 「ひっ!?」
 予想外の動きに童女が小さく悲鳴を上げる。
 「んふふ…」
 淫らな笑みを浮かべつつ、淫婦は脚でリグルの股を力ずくで開いた。
 汗でテラテラと光る陰埠は無毛でつるつるしている。無駄な贅肉のないほっそりした太ももの間に未成熟の女性器とキュッと窄まる肛門が丸見えだ。
 そこへ卑猥な蔓草が走る。
 純白の真綿の下からまだ清らかな処女の体に伸びて、これまで何者にも汚されたことのない、尻肉の割れ目を這い伝う。
 そして何本もの蔓草が幽香の望むままにリグルの尻朶を撫で回し、たぷたぷともてあそんだ。
 真綿は柔らかくほとんど感触がないから蠢く緑の触手は幼い臀部を刺激して淫欲を昂ぶらせる。
 「ふぅ…あふぅ…」
 耐え難い快楽に苛まれ、リグルの息が荒くなる。
 たちまち白い陰埠から珠の汗が浮き出て無毛の肉果を伝い落ちる。
 敏感な肌を伝う汗は女性器と肛門も刺激した。
 会陰を流れる汗の珠がその下の窄まりにたどり着くとまず襞がそれを呑み込み、続いて尻穴が開き、直腸の紅い内壁を暑い夏の空気に晒した。肛辱を期待する括約筋が緩んでしまい、ぽっかり開いた菊座から薄黄色い腸液がドロリ溢れて尻肉を伝って落ちる。
 四本の蔓草が淫らな期待に打ち震える肛門の周囲で腸液を拭って敏感な襞に塗りたくった。
 アヌスを巡る強烈な快感。
 「ヒィッ!」
 異様な感覚が呼び覚ました性の喜悦に戸惑い、童女は悲鳴を上げた。
 だが、いくらおののいても肛辱の快感は増すばかりで衰えない。
 尻肉を這い回る触手の感触に女体が反応し、自然と臀部を震わせてしまう。尻朶がプルンプルン震え、ポタポタと汗と腸液の飛沫を振りまく。
 蔓草の責めは終わらない。
 緑の触手は群れ成して女陰を取り囲む。
 汗の滴る肉鞘に触れて、這い回り、つつく。だが、卑猥な双果には触れても他には近づこうともしない。
 幼いながらも女体は焦らされて性欲を昂ぶらせてゆく。
 肉果の割れ目、わずかに覗く肉襞がぎゅるぎゅると伸びた。じんわりと淫裂が開く。
 肉の皮から突き出した、頂きの痴芯が痛いほどに勃起してわななく。
 自然と開いてゆく牝唇の中、赤くテラテラと光る秘粘膜と生々しい膣口が卑猥な姿を見せる。
 しかし、いくら女性器が欲情しても緑の触手はクリトリスにもヴァギナにも触れてくれない。
 只、ひたすら媚肉の周囲を這いずり回り、敏感な女性器を嬲るばかりである。
 耐え難い焦燥感が募る。
 淫裂が物欲しげにパクパクと開閉する。水槽の金魚が餌を求めて口を開け閉めするように。
 陰核は小指ほどにまで勃起して触れてくれる女の指を求め、膣口は開閉するたびにドロリと恥蜜を吐き出す。透明な淫水は熱く粘って股間を伝い、尻肉にまで滴って腸液と混じった。
 混じり合ってより淫らな臭気を醸し出す媚液はそのまま滴って。
 幽香のペニスを濡らした。
 欲情する卑猥な肉棒は敏感で、それを濡らす淫水の正体に気づかぬはずがない。
 「お尻もオマンコも具合がいいみたいね」
 機を得たとばかりに幽香は緑の触手を操作する。
 つぷっ
 親指ほどに太い蔓草で尻肉の割れ目を強引に分け入り、物欲しげにパクパクと開閉を繰り返す肛門に差し入れた。
 「ひぎぃっ!!」
 排泄器官を犯す触手がもたらす異常な感覚にリグルは驚き、胎内に入れまいと必死でもがく。
 だが、リグルにのしかかった幽香の重みは単なる体重だけでなく、技でもあった。艶めかしい脚がリグルの脚に絡みついて捉えている。
 「んんぅっ!」
 快楽に抗って括約筋を締めてみたものの。
 にゅぐ…にゅぐ…にゅるるる!
 抵抗も虚しく、蔓草が螺旋にねじれながら幼い菊座に侵入する。
 「いぃっ! きひぃぃぃーっ!」
 強烈な違和感にリグルが絶叫した。
 太い茎が童女の菊座を犯して蠢く。
 出したり。
 入れたり。
 出したり。
 入れたり。
 大腸の奥にまで侵入して抽挿を繰り返す。
 「あひっ! くっ! ぅふぇぇっ!」
 異様な感覚に呻くリグルだったが、それが徐々に快美感へ変わっていく。
 同時にちゅくちゅくと巨乳が童女の貧乳を撫で回す。幽香が胸乳への責めを強めて性の愉悦を掻き立ててきたのだ。
 「ああ…あぁぁ…」
 思考が千々に乱れ、リグルの喘ぎ声が甘くねだるような調子を帯びてきた。
 痺れるような肛門の快楽。
 幽香が拘束を緩めると、リグルの腰は自然と動いて新たな快感を得ようともがき、腸内をかき回す太い茎に合わせて動いてしまう。
 ぶちゅる…ちゅる…ちゅ…ちゅる…
 肛門の肉と蔓草の茎がこすれるその間から薄黄色い液が溢れ出してきた。菊座を犯す触手の快感に反応して直腸が腸液を大量の分泌し始めたのだ。
 乳首と肛門、それぞれから来る快楽が心臓の鼓動を速めてリグルを追い詰める。
 「お尻とオッパイが…気持ちいい…きもぢ…ィィ…いひ…ぃひぃぃっ!」
 わななき、喘ぐ。
 うめいて悶える。
 ほとばしる肛悦が女体の芯まで犯し、幼い体は陸に打ち上げられた若鮎のように跳ねる。
 幽香に組み敷かれたまま。
 「あぁ…うぁぁ…」
 リグルは女の下で泣いていた。
 女に押さえつけられながら。
 女に陵辱されながら。
 女に愛されながら。
 たくましい腹直筋に圧倒され、卑猥な蔓草に肛姦され、乳房の柔らかさと温かみに包まれ。
 意識が霞むほどの快楽と強姦される恐怖と想い人を失う悲哀がリグルの感情をかき乱し、涙は滂沱として禁じ得なかった。
 そして…
 いつの間にか、リグルは両手を幽香の背に回していた。
 「ふふ…」
 蠢く蔓草の群れを操作しながら幽香が不敵に嗤った。
 「リグルちゃん……」
 抗わなくなったリグルを見てヤマメは呆然としていた。
 互いに惹かれ合う乙女の慕情に卑猥な淫婦の肉欲が勝ったのだ。
 勝機。
 幽香は俄然、犯る気になった。
 一旦、体を離すと欲望のあまり、腹に着かんほどにそそり立ったペニスをリグルに見せつける。
 握り締めると女にあるまじき肉棒が先走り汁を溢れさせた。透明な粘液が鈴口から滲み出して亀頭を濡らし、赤黒い血管の脈動する肉竿を伝い落ちる。
 肉欲に濁った瞳に映るは童女の未成熟な女性器だ。幼い秘裂から周囲よりわずかに色素が濃い襞肉が覗く。無毛の肉果は溢れる愛液でどろどろに汚れていた。幼いながら女体の芯から湧き上がる肉欲に駆られて女陰はパクパクと肉孔を開け閉めし、そのたびにドクンドクン白く濁る淫水を吐き出している。
 幽香はリグルの女体が準備万端で自分を待っていると確信した。
 巨乳を震わせながら男根をしごく淫婦は両性具有の女神。今から性の喜悦を己が生贄に注がんと欲望をたぎらせていた。
 だが、それも一瞬。
 肉欲のままに思考を放棄することはしない。獲物の快楽を途切れさせてはいけないのだ。
 「リグルの処女、もらうわね」
 真綿の上、童女の膝を掴んで股を押し開き、腰を差し入れる。そして、固く勃起した肉棒を幼い女陰に当てる。
 欲望に耐えかね、性交を待ちわび、パクパクと口を開く淫裂がドロリドロリと粘着く愛蜜を吐き出している。
 ぴとっ!
 亀頭に柔らかく熱い襞肉の感触。
 陰門に伝わる怒張の熱と硬さ。
 「あぅっ!」
 「あんっ!」
 リグルと幽香、二人の嬌声が重なった。
 ずぷっ!
 亀頭が膣口を抉り、肉筒へ侵入する。
 じゅぶじゅぶ…ぢゅぶっ!
 極太のペニスが軟らかなヴァギナに挿入され、強引に童女の狭穴を割り開いて潜り込んでゆき、膣胴の最奥に至った。
 「は…ぐぅぅっ!」
 初めての感覚、処女穴がいっぱいに広げられ、熱く固い怒張が胎内に満ちる感覚でリグルは呻くばかりだ。
 性交がもたらす強烈な愉悦。
 処女膜など初めからない。蛍の妖怪なので破瓜は痛みを伴わず、只、快楽だけが心を満たしてゆく。
 「入っ…た…わよ……」
 リグルをえぐる獲物は自身の淫悦でもある。童女を責めながら自身の乳首と男根が掻き立てる性の愉悦におののきながら、幽香は決然と性交を進めた。
 処女のきつい肉洞へ怒張が抽挿を繰り返す。
 コツン、コツン!
 処女穴の最奥、固く閉じた子宮口を亀頭がつつく。
 「あっ! あっ!」
 そのたびに強烈な喜悦が走り、童女が嬌声を上げた。
 入れる。
 出す。
 入れる。
 出す。
 入れる。
 出す。
 大きく広げさせた股間の間、力強いペニスの抽挿がヴァギナの肉をこすり、互いの性感を高め、肉欲を昂ぶらせる。
 「はひぃ…はひぃ…」
 リグルは呼吸をかすらせながら悦楽に耐えている。何とか意識を保って抗おうと試みているが、脳を灼くほどの快美感が思考を吹き飛ばしてしまっていた。
 「あっ…くぅっ…あぁ、チンコがぁーっ!」
 処女の狭穴に締め付けられて幽香も喘いでいた。ペニスの抽挿は思った以上の快楽を返してくる。こんな未通女に手練の自分がとの悔しさもあるが、実際、感じてしまったのでは仕方ない。
 獲物より先に気をやってしまっては負けだ。それは幽香のプライドが許さない。
 歯を食いしばりながら性的絶頂を迎えぬよう、こらえてリグルを昂ぶらせることに集中する。
 大人の乳首を童女の乳首に重ねて責める。
 緑の触手を操作して菊座をもてあそび、極太の茎で大腸をえぐる。
 更にペニスの抽挿を強め、子宮口を突いた。
 三つの敏感な性感帯を同時に責めて極限の快楽をもたらす。
 未経験のリグルには強烈な初体験だ。
 「きひっ、ひっ、いぎぃぃぃっ!」
 リグルの理性が決壊した。
 襲い来るオルガスムスの奔流に呑まれ、何度も悲鳴を上げる。
 抗うはずの腕は自分を陵辱する女に抱きつき、両足で女の腰に絡みつく。娘袋が淫婦のペニスを求め、子宮口が亀頭に吸い付いた。
 「あ…あぁ…そうよっ! お前はもうっ!…私の女よぉぉぉっ!!」
 こらえきれず、幽香も絶叫した。
 たぎる性欲に肉棒が膨張する。
 輸精管を熱い子種汁が昇ってくる。強烈な快美感がペニスから中枢神経へ伝わり、幽香の意識も飛びそうになった。
 それでも気合を入れて怒張をリグルの陰門に打ち込む。
 そして幼い肉筒の最奥、固く窄まる子宮口に亀頭を押し付ける。
 尿道を欲望とともに物凄い量の精汁が昇ってきて。
 ぶちゅっ! ぶちゅる…ぶしゃぁぁぁぁっ!!
 大量に射精した。
 禁欲に耐えて溜め込んだ精液は黄色みがかって熟成し、熱く粘ついて、ところどこに半固形の精子塊を作っていた。
 「うっ…くっ…えぐっ!」
 何度も気をやって、そのたびに射精する。
 大陰唇の中に収納された淫婦の睾丸は膨大な量の精液を輸精管に送り続ける。鈴口が開いて止めどもなく熱い精液を吐き出した。
 出来たての精汁は子宮口から子袋の中へ突進し、リグルの芯を求めて荒れ狂った。
 どくん! どくん! どくん!!
 一回、二回、三回と性的絶頂を迎え、怒張は膣腔を満たしても止まらない量の精液を吐き出す。
 “抜かずの三連発”。
 幽香が処女を仕留めるときの決め技だ。
 無理やり子袋の中に精汁を流し込んで女体の芯から犯す。徹底的に。容赦なく。
 脳が痺れるほどの快楽の大波が獲物をオルガスムスの連鎖に呑み込み、思考も感情もぐちゃぐちゃにかき回して身も心も淫婦のものにするのだ。
 ぶちゅる…ちゅる…ぐちゅっ!
 ついに肉の結合部、陰茎を締め付ける膣口の隙間から精液が溢れ返ってきた。
 「イクっ! イクっ! イグぅぅっ! あいーっ!!」
 リグルが大きくのけぞり、幽香を持ち上げるほどに腰が浮いた。
 娘袋を灼く精汁の熱が強烈な絶頂をもたらし、女体の芯から溢れ出る快楽に呑まれたのだ。
 「はひ…ひ……」
 息も絶え絶えに白目を剥いていた。女体がビクンビクン痙攣して口の端から唾液の泡を吐き出している。もはや意識はない。
 「ハァ…ハァ……」
 幽香も荒い息を整えてゆっくりと体を起こす。
 「ハァ…この…私としたことが…♀チンコを…取られかけるなんて……」
 リグルの女陰は思った以上の名器で危うく先にオルガスムスを迎えるところだった。それは戦場で切り結んでいる最中に剣を落としそうなる感覚であり、その危うさに幽香はほぞを噛んだ。
 だが、終わりよければ全てよし、幽香は納得して頭を切り替える。
 失神した童女の脚を開いて股から腰を浮かせた。
 ぶちゅるっ…
 淫らな音を立てて膣口からペニスが引き抜かれた。
 幾度となく精を吐いた肉棒は役目を終えて萎え、力なく垂れている。
 ごぽ…ごぽぽ…
 だらしなく開いた膣口から半固形の精子塊を含むドロリとした白濁液が溢れる。
 淫らな女陰だ。それは強烈な性の愉悦に失神して横たわるリグルが幽香のものになったことを象徴していた。
 「ふふ…」
 幽香の勝利だ。自然と笑みが溢れる。
 だが、これで終わりではない。
 スッと振り向いた。
 ヤマメが呆然として涙を流していた。
 猿ぐつわは外してあったが蔓草の拘束自体は解けていていない。
 目の前で陵辱されたリグルが無様な姿で横たわっている。自分以外の女に感じさせられて浅ましく乱れ、何度も何度も犯されて。
 最後は自分の事を忘れさせられていた、間違いなく。
 「あぁ…リグルちゃん…リグルちゃん……」
 大切な想い人が他の女に奪われてしまった。滂沱として流れる涙は止めようがない。
 だが、もう一つ。
 もう一つの強烈な感情がヤマメを駆り立てていた。
 ドクン!
 それはヤマメの体の芯から湧き上がる、原始的で強烈な感情。
 「あらぁ…ヤマメも隅に置けないわね」
 いち早くそれに気づいた幽香が指摘する。
 ヤマメの顔は紅潮し、息は荒かった。
 流れる涙とは裏腹に視線はリグルの女性器から離れず、口から舌を覗かせて浅ましい表情を見せている。
 もう一人の童女も欲情していた。
 女に犯される女を見て、心を沸き立たせていたのだ。
 ヤマメもまた真性の女性同性愛者だったのである。
 「えっ、何を言ってるの!? 私が何だって言うのっ!? このド変態っ! 淫乱女っ!!」
 激情と非難する言葉が己の肉欲を隠すための試みであることは明らかだ。
 「処女はイイわねぇ…これだから止められないわ」
 童女をねめつけながら幽香は舌舐めずり。
 無慈悲な襲撃者が今度はヤマメを狙っているのだ。
 「はへっ!? 意味分かんないしっ! おまいっ、レズの変質者だしっ!!」
 ヤマメは激高して罵った。
 こういう場面では自分を差し置く。もしくは棚に上げる。
 「あらら、目糞、鼻糞を笑う? どんぐりの背比べ? 自分を隠して他人を非難しちゃうワケ? いい御身分ね。少なくとも私はそしりも嘲りも覚悟してるけど?」
 幽香は不敵に嗤って。
 「そう云うお前はどうなのかしら?」
 いきなりヤマメの襟首を掴み。
 「えっ!?」
 ビリビリビリー!
 驚く間もあらばこそ、ワンピースを襟からスカートの裾まで一気に引き裂いてしまった。
 「きゃーっ!」
 童女の悲鳴が上がる。
 リグルよりもわずかに大きいものの、薄い胸乳が露わになる。膨らんだスカートが見事に割れて細く綺麗な脚が剥き出しになった。
 少女らしい清楚な純白のショーツ。
 しかし、童女の股間を隠すたった一枚の布は中央が不自然に膨らんでおり、布地の下に何らかの異物が存在することを示していた。それはこぶし大ほどの大きさで白い布地を下から突き上げてテントの形を成しており、先端に大きな染みを作っていた。それは色具合からして明らかに尿とは違う、何か透明な液体だったのである。
 「あらあら、やっぱり同類だったのね。やれやれ…なんてみっともないの。フフフ…」
 ひと目でその正体を見破った幽香はひとしきり嘲るとヤマメの白いショーツに手を伸ばして。
 ズルー!
 何のためらいもなく引き下げた。
 「いやぁぁっ!!」
 耳をつんざくような絶叫に小屋が震えた。ヤマメは全力で股間を隠そうとするが蔓草で後ろ手に拘束されており、自由が効かない。抵抗は身悶えするだけで意味はなかった。
 もはや童女の股間を隠すものは何もない。
 「まぁっ…小さい事!」
 最初の感想がこれだった。
 童女の股間から同じく女性にあるはずのない器官が屹立していた。
 ペニスである。
 幽香のたくましい巨根よりもずっと小ぶりで先端までしっかり皮をかぶっている。皮の下で勃起した亀頭が存在を主張しているが、余った皮が先端でチョンと突き出す完全包茎である。
 股間は無毛であり、童女が小柄であることを差し引いても子供のペニスだった。
 「見ないでーっ!」
 叫んでかがむヤマメ。
 小ぶりであることが恥ずかしいのか、犯された想い人を見て欲情したことが恥ずかしいのか、その両方なのか。理由は不明だが、その顔は羞恥で真っ赤に染まっていた。
 「お前も半陰陽だったのね」
 ヤマメの背後に回り、幽香は小さなペニスをしごく。
 肉棒はたちまち反応してビクンビクンと透明な先走り液を漏れさせる。
 「やめてー! おちんちんに触らないでーっ!!」
 力強い腕の中で身悶えするヤマメ。
 「ふたなり♀チンコ、ふたなり♀チンコ♪ 射精しちゃえー♪」
 構わず、淫婦は小さな肉竿を嬉しそうにもてあそぶ。
 「だめっ! だめぇっ!」
 叫んで悶えるが、後ろ手に縛られているので股間を隠すことが出来ない。
 「射精しちゃえ♪ 射精しちゃえ♪ どくどく♪ びゅるびゅる♪」
 執拗にしごく。
 小さな陰茎は握ると幽香の手から亀頭がはみ出すくらいの大きさしかない。敏感らしく幽香の白い手にしごかれるたびにビクンビクン跳ねる。
 幽香は確信した。
 ヤマメも禁欲していたに違いない。
 触れた感触でわかる。大陰唇、膨らんだ肉果の中に収納された睾丸が快楽を求めて暴れているようだ。大量の精子を生産しているのだろう。
 「欲情したんでしょう、犯されるリグルを見て?」
 幽香が耳元から囁く。
 「♀チンコ、勃っちゃったんでしょう?」
 淫靡に微笑んで。
 「いいえ、犯る気だったんでしょう、お前自身のふたなり♀チンコでリグルのオマンコを☆」
 ねめつけた。
 「ちが…ぅ…」
 ヤマメがイヤイヤするように首を振る。
 「何も違わない!」
 否定した。
 「お前は私と同じ! 要はリグルとオメコしたかっただけなのよっ!!」
 幽香が断定するとヤマメは顔を背けた。
 再び、メリメリと音を立てて床の羽目板が外れて土が見える。音の正体に気づく間もなく、眼前の床、羽目板の隙間から新たな真綿が湧き出す。
 たちまち人が寝られるほどの量になった。
 「幽香、あんた、まさか……」
 童女は怯えた視線を投げかける。
 この超自然現象はリグルに対して使われたものと同じ。淫婦の意図に気づいたヤマメは慌てたが、口では威勢の良いことを言ってもこれほどまでに強力な妖怪に対抗する手段はない。
 「残念ねぇ…リグルとオメコしたのはこの私。そして、これからお前とオメコするのも…この私よ!」
 蔓草の拘束を解いてヤマメをうつ伏せに押し倒す。
 「イヤーッ!!」
 両手の自由が戻って暴れるヤマメ。
 だが、すでに背後を取られていた。足の甲を踏みつけて反撃に転じる、定番の手段も寝転んでいては封じられる。背後への肘打ちもこの姿勢では効果が薄い。空いた方の手で打とうにも、手練の幽香には通じず。やはり抑え込まれてしまった。
 「無駄!」
 やすやすとヤマメを組み敷いて嗤う。真綿の中、童女はうつ伏せに押し込まれ、背後から腕をハンマーロックで押さえつけられた形だ。
 「熱いっ!」
 ヤマメは尾骶骨の辺りに触れる熱く固いものに驚いて声を上げた。
 ヌルヌルした感触。
 「ひっ!」
 それがカウパー腺液で濡れそぼる幽香の肉棒と気づいて小さく悲鳴を上げる。
 熱く充血した亀頭が尻の割れ目に沿って順ぐりと動いている。
 だが、童女の尻も濡れていた。女性器から滴る愛液が背後にまで漏れていたのだ。
 「だめぇっ!」
 何とか脚を閉じなければとヤマメは股間に力を込める。
 「オメコしましょう、私と☆」
 艶っぽい声が誘惑する。
 ぎゅむっ!
 背中に大きく柔らかな肉の感触。肩甲骨の下に熱く固い突起も感じる。
 「あぁ…」
 すぐに淫婦がその巨乳を押し当てているのだとわかった。
 ペニスと乳房で誘う。
 幽香らしい性技だ。
 一瞬。
 たった一瞬だが、ヤマメはためらってしまった。
 だが、すぐに迷いを打ち消す。
 処女を守りたい。童貞を守りたい。リグルへの恋心を守りたい。
 自分はまっとうな恋路を外れない。
 「嫌だ!」
 ヤマメは意を決して拒絶を返した。
 だが、魅力的な獲物の抵抗は狩人の肉欲を昂ぶらせるばかりだ。
 「いいわよぉ、無理やり♀チンコをねじ込んで犯るから♪」
 幽香は体重を童女の体に乗せ、力ずくで膝を脚の間に割り込ませる。
 萎えていた巨根は無垢の処女を見て再び精力を取り戻し、腹に着かんとばかり力強く勃起している。
 薄い脂肪の尻朶を両手で掴み、股間を強引に割開く。
 「いやぁっ! いやぁっ!!」
 ヤマメの腕が虚しく真綿をかき乱す。
 だが、すでに無毛の股間がバルトリン腺液とスキーン腺液で粘ついていた。
 嫌がる口ぶりだが、幽香は極めて魅力的なのだ。真性の女性同性愛者でヤマメやリグルのことを受け入れてくれている。サディストではあるものの、本気で愛してくれている。
 そのことがわかっているから葛藤した。
 だが、処女を奪われるのは嫌だ。
 それだけは取っておきたい、リグルのために。
 ペニスのないリグルに処女を与える手段があるのか、怪しいところではあるけれど。
 それについては後で考えればいい。
 「リグルちゃん! リグルちゃぁん!!」
 叫んで身をくねらせる。
 淫婦の巨根から逃れようとひたすら綿をかき分ける。
 だが、怪力で掴まれた下半身を動かせない。そして幽香の召喚した真綿は引き抜けども引き抜けども湧いてくる。
 にゅるん!
 びゅるびゅる先走り汁を吹く亀頭が小さな尻の割れ目に入り込んだ。
 「きゃーっ!」
 犯されそうになってヤマメは一層激しく抵抗した。
 「本日、ふたつ目のロリマンコ♪」
 幽香は決然と挿入を進める。
 口では抗っていたものの、処女の双果はしとどに濡れている。それは痴悦を求めて物欲しそうに女陰がパクパクと開閉を繰り返していた。
 ぬるぬる濡れた秘粘膜が淫らに彩られ、流れ落ちる愛蜜が小さな陰茎に伝い、先走り汁と混ざり合って滴り落ちる。
 「いいわぁ☆」
 卑猥な景観に幽香は心躍らせる。
 その心のままに凶悪な剛直はそそり立ち、処女の陰門に向かう。
 亀頭が無毛の肉果を見つけて割れ目に潜り込み、未熟な膣口を探り当てる。
 ずぷっ!
 愛液で濡れる秘裂をかき分け、巨大な怒張が小さな肉孔へ強引に潜り込んだ。
 「ひぁぁっ!」
 童女が必死にもがく。
 淫婦は尻肉を掴んでいた手を離して処女の細い腰に回し、引き寄せて尻朶に自分の腰を密着させる。
 「じゃあ、ヤマメの処女をもらうわね…突っ込むわよー、根本までっ!!」
 童女を背後から膝立たせて腰を押し込む。
 ずぶっ! ずぶぶっ!!
 処女の肉孔をえぐる巨根。バルトリン腺液とスキーン腺液が潤滑油になっているが、未経験の狭穴はやはり狭い。肉筒に押し広げられ、強烈な異物感と快美感が走る。
 「あぐぅっ! ♀チンコがっ…私のオマンコに…♀チンコが入ってぐるぅぅっ!」
 苦痛とそれを遥かに上回る快美感。女体に大量の汗が吹き出し、滴となって飛び散る。真綿の中で両腕をかき、ヤマメは体をくねらせて暴れる。
 亀頭が膣の最奥に当たる。あまりの巨根に竿肉の半分ほどが挿入されただけだった。
 「あはっ、マンコもおこちゃまねぇ…根本までは入らなかったわ」
 ジュクジュク泡立つ膣口に肉棒を挿入しながら幽香は無念そうだ。
 そもそも処女の狭く浅い膣腔に淫婦の巨根が収まりきるはずがない。それでも諦めきれないとばかりに童女の尻朶を掴んで腰を押し込み続ける。
 ぐちゅ! ぐちゅっ!!
 「ひぎぃっ! あぉふぅっ! オマンコォっ! 私の…オマンコがぁっ!!」
 怒張の抽挿を繰り返すたび、愛液にまみれて肉と肉がこすれる音とヤマメの嬌声が響いた。
 「アァァン…処女マンコ、きっついわぁ☆」
 文句を垂れつつ腰を振る幽香は嬉しそうだ。
 「処女喪失、おめでとう♪ お前のマンコも私がもらったわよぉ」
 ヤマメの背中にのしかかって宣言する。
 童女の腰をしっかり抱えながら下腹を探る。
 すぐに勃起した肉茎を見つけた。ずいぶん昂奮しているものの、やはり大きくはない。先まで肉の皮に包まれいて、握ると亀頭の膨らみだけが手からはみ出るほどの大きさだ。
 そして、先端でチョンと尖った皮こそが敏感な急所であることを、同じ半陰陽である淫婦は熟知していた。
 それはカウパー腺液を漏らしながらビクンビクン跳ねて快楽を求めていたが、真綿の中に求めてやまない軟らかな媚肉のあろうはずがない。
 だが、しごいてはやらない。
 幽香の美学が“それでは面白くない”と言っているのだ。
 だから、自分の巨根に力を込めた。
 肉棒の抽挿を強くしてヤマメの女性器を突く。
 「あぁん! ハァン!」
 童女の嬌声が甘くなり、触れてもいない乳首がきつく固く勃起してゆく。幽香の巨根をくわえ込んだ雌穴が愛液をデュクデュク漏らしながらきつく締まる。
 未経験の処女が欲情しているのだ。
 肉欲がたぎり、童女の小さな胸の中で浅ましい欲望をどんどん膨らませてゆく。早鐘のように打つ、その小さな心臓の鼓動とともに。
 呆けて口の端から涎を垂らすヤマメを見て幽香は口元をほころばせた。
 好機だ。
 「ねぇ、処女はもらったけれど童貞はまだよね。ごらん、あの娘を……」
 ヤマメの上体を掻き抱き、倒れて泡を吹いているリグルに向ける。
 「あぁ…リグルちゃん…リグルちゃん…私、処女を奪われ…ちゃった…よぉ……」
 性の愉悦に焦がされ、熱に浮かされたようにつぶやく。
 「いいえ、違うわ。顔じゃない、あの娘のマンコよ…オマンコを見るの!」
 リグルの女性器を観るように促して表情を観察する。
 それでヤマメが視線を向けるとその先にリグルがいた。
 パックリ開いた陰門から泡立つ白濁液を溢れさせる、その想い人が。
 「ひぐっ、くぅっ! あぁん…リグルちゃ…ん…オマンコォ…あぁ…精液まみれの…オマンコォ……」
 湧き上がる喜悦に悶えながらつぶやく言葉に別の色が加わった。今、感じてる快楽ではない。女体の芯から沸き立つようなリグルへの性欲だ。
 それは純真なる乙女心から生まれたもの。
 リグルを慕うヤマメの恋心から生じたものだ。
 レズビアン、百合の恋もヘテロ愛と同じ。乙女心が燃え上がれば恋となり、恋が成就すればその先がある。子作り、すなわち性欲だ。
 先ほど、互いの慕情を唱えたリグルとヤマメは恋が成就した状態。
 幽香が強引に奪ったとは言え、互いの気持ちの上では恋愛成就しているのだから、その先に進む気になっていてもおかしくはない。
 故に見よ。
 ヤマメの小さな肉茎は痛いほどに屹立し、恋人を強く求めているではないか。
 「そうよ、これはチャンスよ。見なさい、あのオマンコを。他の女に汚されたオマンコを」
 淫らな笑みを浮かべて幽香が囁くと。
 「あはっ! へひっ! リグルちゃん…リグルちゃんのオマンコがぁ…あぁ…ひふっ!」
 ヤマメは泣いていた。女体を性の愉悦に焦がされながら。
 「お前の包茎♀チンポであの娘のマンコを犯しなさい。そぉよ! あの娘を汚した精液を、お前のペニスで掻き出すのよ! そうすればっ! あの娘はまたお前のものになるわっ!!」
 悪魔の囁き。
 いや、恋人を寝取った張本人に言われて聞く者がいるだろうか。そもそも、自分の処女を奪い、今、まさに自分を犯している女に言われて、その狂った話を聞くだろうか。
 だが、ヤマメの心は揺らいでしまった。
 リグルが欲しかったから。
 リグルに恋していたから。
 諦めきれない恋心が、強烈な未練が、幽香のキチガイじみた理屈を童女に受け入れさせようとしていた。
 「毒殺された白雪姫だって恋人のキスで目覚めたでしょう? ならば!」
 淫婦が言葉巧みに論理を紡ぐ。
 「より強力な、ふたなりっ娘のレズSEXならもっと目覚めるわっ!!」
 奇っ怪な前提が奇っ怪な結論を導く、怪しい推論。
 証明図を描いてみるまでもなく、信憑性に欠けると言わざるを得ない。
 しかし、それはヤマメに希望を与えた。
 恋人、リグルを取り戻せるという希望を。
 「ああっ! ひぐぅっ! ああぁぁっ! 私の! 私の…ふたなり♀チンコでぇっ! リグルちゃんをぉぉっ! りぉれぃっ…あ…ふぅっ!…取り戻すのぉーっ!!」
 女性器から湧き上がる快楽に悶えつつ、ヤマメは絶叫していた。
 猛然と立ち上がり、廃語から幽香の剛直で女陰を貫かれたまま、リグルに向かって歩き出す。
 「そうよ、そう…お前がリグルを犯すの…フフッ☆」
 幽香もヤマメの背後に張り付いたまま囁いた。
 真夏の暑気に煽られて小屋は女の、雌の肉欲があふれかえる。
 ムンと漂う酸っぱい、濃厚なチーズのような臭いと栗の花の匂い。愛液と精液の臭いだ。
 ほとんど調度品のない、質素な小屋に欲望を邪魔するものなどなかった。
 すぐ目的地にたどり着く。
 「ん…あくぅ…リグルちゃん…リグルちゃぁん……」
 ろくに目の焦点が合っていない。包茎ペニスがビクンビクン唸る。小さく短いながらそれは肉欲をたぎらせ、性交を期待しているのだ。
 リグルは股間を開いて仰向けに倒れ、人事不省に陥っている。
 「ハァハァ…大好き…あふぅ…大好き…だから……」
 ヤマメは小柄な女体にのしかかると。
 「オメコしようよぉっ!!」
 頭がおかしくなるほどに欲情して抱きついた。
 「んむぅっ!!」
 強引にリグルの唇を奪う。
 ちぅぅぅーっ!
 可愛らしい唇を重ね合わせ、吸盤のように吸い付いた。
 よだれを舐めて、口腔内の唾液を吸い尽くす。
 「ん! へふぁのふぁふぁる…っふ!!」
 互いに求め合う、恋人同士の最初のキスが壮絶な歯と歯のぶつかり合いにならなかったのはひとえに幽香のおかげである。ヤマメの後ろ髪に噛み付いて、肉欲のままに飛びつこうとする勢いを抑えたのだ。
 「あふぅ…ヤマ…メ…ちゃん……」
 恋人のキスでリグルが目を覚ました。
 髪が乱れて触覚は垂れているが、視線がヤマメを見ている。意識は戻って来ているようだ。
 「あ…あん! いきぃっ!…リグ…ルちゃん……オメコしようよ!!」
 背後から幽香に犯され、眼前のリグルに欲情するヤマメはたぎる性欲と快楽に駆り立てられて女体に分け入る。
 短くて小さい、皮を被った陰茎を欲望の限りに勃起させて。
 「あぁ…」
 思い切り勃たせても先端の皮から亀頭が出ないんだと幽香は失望したが、その分、愛おしくなり、ヤマメの女陰に挿入した巨根に力を込める。
 「あはぁーっ!…だめっ! ダメェッ!」
 女性器から伝わる強烈な愉悦に思わず気をやりそうになるも、ヤマメは歯を食いしばってこらえた。ペニスを引き締めて耐える。
 今はまだ駄目なのだ。
 自分が精を吐き出す場所は決まっている。
 「リグル…ちゃん…リグルちゃんの…オマンコォッ!!」
 性の愉悦に耐えながら腰を突き出す。
 その先にリグルの女性器があった。
 泡立つ白濁液を溢れさせる、他の女の精で汚れきった陰門が。
 「いやぁぁーっ!」
 嫌悪感が先走り、わずかにヤマメの性欲が萎える。だが、おかげで射精をこらえることが出来た。
 リグルは陰埠も肉果も蜜口も幽香の精液にまみれいた。小陰唇から半固形状の精子塊がドロリ垂れる。無毛の股間はジュクジュクと熟れて、愛液と白濁液が混じり合った汁で汚れていた。
 その淫猥な情景がヤマメの気持ちを逆撫でにする。
 ぶぢゅるっ!
 全力でリグルの雌穴に自分のペニスを挿入した。
 すでに他の女の精液で一杯になっていた膣腔が溢れる。たちまち、ヤマメとリグル、二人の結合部はどろどろの精汁にまみれ、グチュグチュと淫猥な音を立てた。
 「はあぁん☆」
 想い合う恋人達の交合にペニスの大きさは関係ない。リグルは嬌声を上げてヤマメを迎え入れる。
 両脚を想い人の腰に絡めようとする。
 だが、ヤマメの背後の幽香が邪魔でそれは叶わなかった。
 「ひっ!」
 自分の処女を奪った淫婦を見つけてリグルは絶望の色を浮かべ、何とか逃れようと暴れだした。
 だが、それをヤマメが許さない。
 ぎゅっとリグルの太ももを掴み、強引に腰を密着させる。
 「はひ…ひっ、ひっ!…リグルちゃんをぉ…綺麗にしてあげるからぁー!」
 リグルの肉筒の中、ヤマメはブクブクと泡立つ白濁液に自分の陰茎を突っ込んで抽挿を繰り返している。
 己が肉欲を満たすためではない。
 小さな肉竿で想い人の女陰を掻き回して幽香の精液を吐き出させる。雁首を引き抜くたびにどろどろの冷めた精汁が掻き出された。
 「フフ…」
 そうしている間にも幽香はヤマメを犯していた。腰を掴み、巨根で小さな秘裂を抉り、媚肉をかき回す。そのたびに童女が嬌声を上げていたが、ヤマメもまた性交を止めようとはしない。
 「あふぅ…ヤマメちゃぁん…」
 姫割れに挿入されてリグルも甘えた嬌声を漏らしていた。
 「ひぅ…ひぐぅ…リグルちゃん…リグルちゃんのおっぱい…オマンコォ…オマンコォ…」
 ヤマメはリグルの貧乳を揉みしだいて懸命に性的快楽を煽る。また、幼い陰茎を精一杯伸ばしてリグルの膣奥をまさぐるも、それは短すぎて子宮口にすら達し得ない。
 「あひっ…きひっ…マンコォ…リグルちゃんのオマンコォ…」
 泣きながらリグルの陰門にペニスを出し入れするヤマメ。
 膣腔の最奥にたどり着かなければ幽香の精液をすべて掻き出すことが出来ない、そう信じ込んでいるようだ。
 しかし、未熟な責めでも気持ちの通じ合う恋人達、性器は敏感で見かけ以上に感じてしまう。
 「あふぅ…ヤマメちゃぁん…」
 「ひぐぅ…リグルちゃぁん…」
 二人は互いに見つめ合い、想いを確かめ合うように唇と唇を重ねた。
 「…」
 幽香は自分のペニスに意識を集中する。今、まさに犯している処女の狭穴、その下、大陰唇に埋没する両性具有者特有の睾丸を探り当て、様子を探る。
 「あぁ…」
 すぐにわかった。今日の今日まで禁欲を重ねたであろう、パンパンに膨れた精巣が大量の精子を孕んでいて、ぷるぷろ小刻みに震えている。射精が間近だ。精液の量も陰茎の勃起持続時間の限界も、すべて読める。
 頃合いだ。
 勃起したヤマメの乳首を愛でながら巨根の抽挿を強くして、繰り返し、肉筒の最奥を突く。愛液でグチョグチョに濡れた童女の秘苑は幽香の肉棒を求めて締まっていたが、肝心の子宮口はきつく窄まり、亀頭の侵入を拒んでいた。
 でも、構わない。
 処女は奪った。
 そしてヤマメの半陰陽ペニスが準備完了しているのだ。
 この機を逃す手はない。
 「ヤマメの童貞♀チンコ、イッちゃえ! 開通済みのオマンコで☆」
 意地悪く告げて、巨根できつく突き上げた。
 怪物じみた亀頭が幼い秘苑の奥の奥まで犯し抜く。子宮頸部が震えるほどの衝撃が走り、強烈な快楽の奔流がヤマメを呑み込んだ。
 小ぶりの陰茎が最大に膨らんでビクンビクン跳ねる。
 今だ。
 「うっ!」
 幽香は巨根の力強く突き上げて、処女の狭穴を堪能する。沸き立つ快美感がペニスを奮い立たせ、ドクンと亀頭が跳ねて鈴口が開いた。
 ぶちゅるっ! ぢゅっ!
 でゅるでゅるでゅるぅーっ! ぶしゃぁぁぁっ!
 巨根にふさわしい、膨大な量の精液が吐き出される。熱くドロドロと粘着く白濁液はたちまちヤマメの処女穴を満たし、強烈な熱で幼い子宮を炙った。
 「かはっ!」
 さしもの淫婦も強烈に気をやったことで意識が飛びかけた。
 「ひぐぅっ!」
 ヤマメは歯を食い縛る。
 初めての性交で女体の髄まで犯され、尋常でない量の精液を流し込まれた。それでも幽香を認めない肉壺は子宮口を締めて受け入れない。しかし、到底、そんな大量の液体を膣腔に溜め込めるはずもなく、肉棒を咥えた膣口の隙間が圧力で押し開かれ、どろどろの精汁を溢れさせる。
 童女の太ももを汗と白濁液が伝い落ちる。床板に白い精液溜まりを形作っていた。
 膣腔を満たす熱と圧力。
 それらが生み出す性の愉悦が奔流となって未成熟の女体を苛む。
 巨根の衝撃が子宮頸部を押して、およそ耐えきれないほどの快楽を生み出し、性的絶頂へ登り詰めさせた。
 もはや止められようはずもなく。
 「いぎぃぃぃっ!!」
 絶叫してヤマメも気をやった。
 どぴゅっ! ぴゅっ! びゅーっ!
 包茎ペニスの先、吻のような皮の先端が精汁を吐き出す。そのサイズに見合わない、大量の精液をリグルの狭い膣腔に吐き散らしている。
 「ひぐぅぃっ! あいぃぃぃっ!!」
 リグルの絶叫が加わり、嬌声の三重奏があばら家に響き渡った。
 幽香が射精するたびに強烈な快楽がヤマメを炙り、それが童女の小さな陰茎に精を吐き出させている。
 スイカのような巨乳がブルンブルン揺れる。
 「ところてんよ! ところてんっ!! アーッハッハッハッハッハッ!!!」
 真夏のあばら屋に淫婦の高笑いがこだまする。
 自分が射精することでヤマメが射精するさまを、ところてんを押し出す様子に例えて面白がっているのだ。
 オルガスムスを迎えて快楽に溺れながら幽香は気が狂ったように腰を振っていた。恐るべき巨根は勢いを衰えさせることなく跳ね、デュクデュクと精液を吐き出している。そのたびに亀頭が処女の娘袋を突く。自分を拒んで固く閉じた子宮口をこじ開けようとするかのように。
 ヤマメの子宮頸部が潰れて振動が肉壷に伝わり、強烈な快感を生む。
 巨乳がバズンバズン弾んで裸の背中で汗を飛び散らす。粘ついた母乳に濡れて乳首まで白い。
 性の愉悦はヤマメの小さな肉体を炙り尽くし、肉欲が陰茎を際立たせて精巣を酷使させた。輸精管が出来立ての子種汁を尿道へ送り込む。リグルの女陰に根本まで潜り込みながら小さな肉茎は狂ったように繰り返し射精していた。
 「ひぎぃっ! いぃっ! ぐぅぅっ!」
 幽香とリグルに挟まれてヤマメは性の狂宴の生け贄になっていた。嬌声は悦楽の絶叫に変わっており、自分のものではないかのようにうねる下半身に耐えかねてほとんど意識を保てなくなっていた。
 幽香の巨根に突かれる子宮とリグルの女陰で溺れる肉棒、両方の性器が生み出す快楽が強烈過ぎて小柄な女体は痙攣するように跳ねた。
 「あひぃぃっ!!」
 雌声の絶叫とともにヤマメは果てた。
 ぐったりと垂れた手足が動く様子はない。
 「えぁぐぅうぅぅぅっ!!」
 同時にリグルも性的絶頂を迎えた。
 膣腔の中でうねり、精を吐くヤマメの陰茎が熱い。胎内を二人分の精液が満たす。女肉と女肉の結合部から溢れ出た淫汁は幽香の冷めた精液とヤマメの熱い精液、そしてリグル自身の愛液の混ざり合ったモノ。粘ついて糸を引き、この上なく淫らだ。小さな乳房に小さな乳房が重なって乳肌が汗でぬめる。互いの先端、幼い乳首の触れ合いも強烈な快感を呼び、上下の愉悦がリグルを追い詰めてゆく。
 ヤマメの下で女体がビクンビクン跳ねて性の愉悦に痙攣して果てる。
 そして手足が投げ出され、幼い肢体は動かなくなった。
 リグルもまた意識を飛ばされ、性の狂宴に呑み込まれたのだった。
 ペニスで繋がる女、三人。
 あばら家に甘い吐息に溢れ、淫臭が漂った。
 「ハァ…ハァ……」
 ずるりペニスが引き抜かれ、只、幽香一人が立ち上がった。
 「ふぅ……」
 未だ、肉棒でつながって離れない、若い女怪二人を見てため息を吐く。
 色香に狂って、さんざん喘いだからだろう、欲求も不満も失せて寝顔は落ち着いている。
 「さて…」
 幽香は視線を地面に落とした。床を見ているのではない。その下を見ているのだ。
 萎えた巨根はダラリぶら下がって雄汁の残りを漏らしている。
 ぎゅっと握って溜まっていたものを絞りだすとそれは黒ずんだ床に白い染みを作って汚した。
 役目を終えた幽香のペニスはみるみる縮んで小指ほどの大きさになり、やがてクリトリスとして包皮の中に隠れた。
 「これで橋頭堡は築けた…いや、言い訳が成ったってところか……」 
 羽目板の隙間から覗く地面に何も変わったものは見られない。
 幽香は大きな仕事を片付けた満足感に浸っている。
 淫猥な乱交は私欲のためなのか、それとも。
 淫婦は風呂の支度を始めるのだった。
 床で寝息を立てている、新しい恋人達のために。



 真夏の日差しは弱まる気配もなく、只、ひたすらに太陽の畑を照らしている。しかし、ヒマワリの隊列がそれを厭うはずもなく、葉をいっぱいに広げて享受している。
 ここは光合成のために必要な二酸化炭素も水も十分にあるのだ。これに真夏の日差しが加われば準備万端。日差しを遮る、木々の葉もない。遠慮は無用、ここはヒマワリの為の場所なのだ。
 そして、一点の曇りもない、抜けるような青空の下、一人の少女が宙を飛んでいた。
 風を切って青いワンピースをたなびかせ、金髪を熱い空気に流しながら。
 「あいつ、二つ名を“真夏の妖怪”に改名すりゃいいのよ」
 眼下を一面に染める黄色い海に臆する様子もない。
 太陽の畑を埋め尽くすひまわりが自分を見つめていることは百も承知、今更、驚くことでもない。
 “フラワーマスター”、風見幽香は強力な妖怪だが、自分も遅れを取るようなことはないと考えている。そもそも旧知の間柄で理由もなく敵対するようなことはないのだから。
 しかし、視線は厳しい。
 すでに事の次第が知れ渡っていたのである。
 射命丸文、烏天狗の新聞記者がすっぱ抜いた特ダネは幻想郷の人妖らから驚きを持って受け止められた。
 「あの幽香が今度はリグル・ナイトバグと旧地獄の黒谷ヤマメとねんごろになった? ああ。いーんじゃない、別に。私は腹に据えかねた…なんてことはないわ!」
 思考が感情にかき乱されそうになり、取り敢えず、否定してみた。
 「これは…怒りじゃない。焦燥でもない。単なる…」
 “好奇心”と繋げたかったが、気持ちが落ち着かない。
 一瞬、嫉妬かとも思ったが、それも違う。
 情報を確認すると、取るもの取り敢えず、家を飛び出してしまったが、一時の感情の故とは思いたくなかった。
 前方、太陽の畑、中央に粗末なあばら屋が見えてきた。
 以前から幽香から話に聞いてはいたが、訪れたこともないし、訪れようと思ったこともない。どうして自分が夏の仮住まいへ挨拶に行かねばならないのか。必要も理由もなかったからだ。
 だが、今はある。
 あばら家が目に入った瞬間から降下の体勢に入る。
 上空から見渡すも幽香の姿はない。
 ならばと、玄関の前に着地した。
 「…」
 耳を澄ます。
 隙間だらけの壁から女の嬌声が漏れ聞こえた。
 「ちっ、もう犯りまくり乱交パーティー? 真っ昼間からもう節操のない…」
 舌打ちしつつ、戸板をそっと開ける。
 「……」
 挨拶はしない。性交の最中に声をかけるのは野暮というものだ。
 小屋の中は暗く、ムンとする淫臭が漂っていた。
 「…!」
 とっさに腰が引けてしまうも、すぐに気を取り直して目を凝らすと暗がりの中に強い視線を認め。
 「…」
 そっと頭を下げた。
 これで十分。
 付き合いが長いので睦言を聞くのも閨の交わりを眺めるのも許されている。いや、むしろ勧められている。
 「くぇ…きゅぎ……」
 動く蔓草が声とも音とも取れぬ言葉で挨拶し、板の間の上に座布団を敷いて茶を出した。
 「ありがと…」
 小さくつぶやいて座る。
 器用なものだと思った。
 自分ならもっと上手くやれるが、この緑の触手、蠢く蔓草はそこまで融通が利かないはず。しかも乱交の真っ最中に命じて茶の支度をさせるとは。
 少女は暗闇の中で精神統一を図った。
 アリス・マーガトロイド。
 “七色の魔法使い”の二つ名を持つ人形遣いである。
 もちろん、人間ではない。常に余裕を持って事に当たるため、余り派手な活躍は少ないが、なかなかどうして相当の実力者である。
 ふだんは人里で人形芝居などを見せて日銭を稼ぎつつ、里の子供や大人たちから親しまれている。妖怪の中ではかなり人間に近く、付き合いやすい方であり、人外きっての常識人でもある。
 実際、アリスを妖怪と知った上で付き合う人間も少なくないのだ。
 青を貴重とした清楚なワンピース、輝く金髪、沈着冷静な態度とクールな視線、そして左右に従える少女人形。見えない糸で操られ、宙に浮かぶ自動人形はアリスが強力な妖怪であることを如実に物語っている。
 「……」
 目を凝らし、耳を澄ませる。
 暗がりの奥に三人の人影を認めた。
 板敷きの床に大きな真綿の山がいくつもできている。その一つでショートヘアの少女が全裸で股間をいじっていた。
 リグル・ナイトバグだ。
 「ほんと、親切なことで…」
 驚かない。
 これくらいの痴態を見せられるのは予想していた。即席で真綿の布団を作って自慰に耽る場所として提供していることのほうがよほど気になる。
 サディストとして知られる幽香だが、アリスは虐待の恐怖よりも細やかな気遣いに着目していた。
 なるほど、風見幽香は加虐性欲者だ。他人を傷つけ、苦しめて喜ぶ。とりわけ、どうでもいい相手には容赦無いことをよく知っている。
 だが、そういう一面もあるということでしかない。
 幽香は苦痛を快楽に変える達人でもある。アリスが注目する姿はそちらの方だ。
 今、まさに見せている、その姿だ。
 背後で自分の股間をもてあそぶリグルを一眼だにせず、只、眼前で土下座する少女を冷たく見つめている、そんな風見幽香の姿だ。
 「すみません、幽香さん…幽香さん…すみません。お願いですから…オメコさせて下さい……」
 噛み締めた唇から漏れ伝う言葉は切なく、甘い。
 黒谷ヤマメは一糸まとわぬ全裸である。
 全裸で頭を床にこすりつけて請い願っている。
 「オメコ…する? ゆうかりん、そういう難しい言葉、わっかんないなぁ…ちゃんと言ってくれないと、はっきりね」
 砕けた言葉遣いだが視線は冷たい。侮蔑して見下してる眼だ。
 幽香はひときわ大きく盛り上がった真綿の山に腰掛け、悠然としている。
 「ゆぅ…幽香さん…」
 絞りだすような声に昂奮を抑えこもうと務める色が透けて見える。
 土下座したヤマメのつきだした裸の尻、その間から覗く女性器と男性器が発情しているのがわかる、両方共。女陰から滴り落ちる愛液が勃起した包茎ペニスを伝って先走り汁と混じり合い、淫水が床にヌルヌルの染みを作っている。
 「お願いします…セックスさせてください。幽香さんのマンコに…私の包茎♀チンコを…入れさせてください。幽香さんのマンコの中で…いっぱい…いっぱい…出させて…ください……」
 もう我慢できないのだ。だから、曖昧な言葉は使わない。はしたない言葉を口にして恥ずかしくてたまらないが、肉欲には代えがたいのである。
 「はい。よく出来ました。これが欲しいのね」
 スカートを持ち上げた下に幽香は何も着けていなかった。
 淫らな女性器があらわになる。
 自慢のペニスはクリトリスに戻して仕舞っているから、陰埠も肉果も肉襞も丸見えだ。
 縮れた陰毛は緑。
 広げた股間の中央、剥き出しになった女陰、その軟らかく赤らんだ双果に指を当てて開く。
 トロリと愛液が滴って会陰に伝う。
 手を離しても発情した女性器は止まらない。淫欲に駆られてパクパクと淫裂を開閉させている。
 「あぁ…オマンコ…幽香さんのオマンコォ……」
 たぎる肉欲が性交のことしか考えさせてくれない。もはや我慢できようはずもなく、ヤマメは淫婦の女体に飛びついていた。
 押し倒される幽香が背を真綿のベッドに着ける前に着衣がバラバラに千切れて飛んだ。
 「はぁ…ホント、親切なことで…」
 暗がりの中、アリスは半ば呆れつつ眺めていた。
 元のワンピースが普段着ではなく、性行為のためにしつらえた特別製なのだろう。下着も靴も同様。倒れ込む瞬間、例の蔓草に命じて引き千切らせたのだ。細かい破片に至るまで回収させる心遣いが憎い。
 「おっふぁい…ぅふぎぃぃっ!」
 もう言葉になっていない。ボールのような巨乳にむしゃぶりついたヤマメは愛撫しているつもりなのだろう、一生懸命、迫力のある胸乳を揉みしだく。
 ぶちゅっ! ぶちゅるるるっ!
 ぷしゃぁぁぁーっ!
 紅の乳首から母乳が吹き出していた。粘着く生白い乳汁はヤマメの髪を、顔を、ベチョベチョに汚す。
 「あらあら、女の子がはしたない」
 責めるような口調だが、自分の乳首を懸命に舐めている童女を愛おしげに撫でる。
 ぢゅぷっ!
 童女の包茎♀ペニスはすでに幽香の女性器に挿入されていた。
 「はふっ! はうぅっ! はうぅっ!」
 ヤマメは必死の形相で腰を振っている。
 しかし、肝心の道具が長さも太さも力強さも足りない上に本人に技術がない。若さに任せてまぐわっているだけだ。
 「はぁ…イイわぁ♪」
 淫婦は自分の上で腰を振るヤマメに相好を崩す。
 「犯してるんだ…私が…幽香さんを犯してるんだ……」
 熱に浮かされたようにつぶやきながら必死で励んでいるものの。
 「んあーっ!」
 届かない。
 元々の身長差も相まって、幼い包茎ペニスでは最大に勃起しても膣胴の最奥にたどり着けないのだ。
 「いっく…ひっく……」
 それが悔しく、性器の不甲斐なさに涙が出てしまう。
 「だいじょぶ、だいじょぶ。もっとがんばろうねぇ」
 慰めて、膣腔を締める。
 「あひっ!」
 突然の刺激に陰茎は強烈な痴悦に包まれ、童女が小さく悲鳴を上げて気をやった。
 ぷちゅっ! ちゅっ! ぴゅーっ!
 うねる肉筒にねぶられ、包茎ペニスが嘆く。
 女性器に絞り出されるような感覚で射精している。
 全裸の女体の上で、失意と悔し涙に苛まれながらヤマメは果てた。
 「ふふ…ヤマメちゃんったら…」
 それを見たもう一人の童女がニヤリ笑った。
 同じく一糸まとわぬ全裸で背後の綿の山で自慰に耽っていたリグルである。
 「まだ勝つ気でいるし」
 自分の股間をいじりながらいたずらっぽく笑う。
 汗だくになった無毛の陰埠は真夏の暑気のせいだけではない。その下の双果にも無数の汗が浮かび、欲情した陰門がバルトリン腺液とスキーン腺液にまみれている。
 「あんっ!」
 突き出たクリトリスをきゅっとつまむ。
 包皮から突き出た陰核が小指ほどの大きさにまで勃起してピクピク震えている。
 テラテラに光る膣前庭の粘膜も薄白い液体に濡れて淫らに発情している。
 「幽香さん、舐めて…飲んで……」
 人差し指と中指で女性器を広げてこの上なく卑猥な光景を見せる。クリトリスの下、秘唇に囲まれた小さな肉孔は劣情に駆られ、パクパクと開閉を繰り返している。
 「喜んで」
 果てたヤマメを乗せて仰向けのまま、一瞬のためらいもなく幽香はリグルを迎える。
 何を舐めるのか、何を飲んでほしいのか、すべて理解した上で。
 「さぁ、いらっしゃい」
 己の乳房に乗る若い女体を少しだけ重いと感じながら、それを幸せの重みと理解する。
 その上で更なる幸福を望む。
 「お前は私の女なのだから」
 強欲はメランコリーの妙薬。
 淫猥な笑みを浮かべ、視線だけで誘う。
 「はい」
 リグルが近づいて。
 「幽香さぁん…」
 甘えた艶声を漏らしながら淫婦の顔に跨った。
 ぶちゅるっ!
 未熟な女性器が紅く艶やかな媚唇に重なる。愛蜜と唾液が混ざり合って卑猥な音を立てた。
 幽香は勃起して包皮から飛び出したクリトリスを上下の唇でつまみながら、鼻先で器用に尿道口をいじくる。
 「ふわぁっ!」
 あえて雌穴を外した責めはもどかしく、強烈に女体の快楽を昂ぶらせる。リグルの喘ぎは深く、深く。
 プシャァァァァァッ!!
 すぐさま膀胱を決壊させてしまった。焼けるように熱い尿が幽香の口中に吐き出される。
 「はぶっ!」
 強烈なアンモニア臭が鼻腔を突く。
 花蜜のエードを飲んで膨らみきった膀胱から救いを求めて尿道をほとばしった熱水が幽香の口腔を陵辱した。
 舌を焼く味はかすかに苦く、甘い。
 淫婦の口穴はたちまち満たされて唇の隙間からジョボジョボ漏れた。
 だが、それもまた愛と認む。
 それはそれとして。
 鼻と口から逆流して目に沁みる。痛い。
 「あぁっ!? おさねがぁっ! くぅっ!!」
 クリトリスを甘く噛まれてリグルは放尿しながら果てた。
 「へぅ…ふ…」
 若い全裸の女体が二つ、幽香の上に乗っている。
 淫猥な光景だ。そして相当に重い。それでも幽香は文句も言わずに立ち上がった。
 尿と精液と愛液を垂らしながらバスタオルを羽織る。同時に蔓草に命じて風呂の支度をさせた。
 「待たせたわね」
 入り口で待つアリスのところへやってくる。
 予め、蔓草に用意させておいた座布団に座る。
 「で?」
 何食わぬ顔で訪問の理由を尋ねる。
 「アンタ、小便臭いわよ」
 暗がりの中、さんざん卑猥な光景を見させられたアリスが皮肉る。
 さもありなん。天下御免の大妖怪、“フラワーマスター”風見幽香が小便まみれで犯されていたのだから驚きである。何の趣向かと問いたくなるが、あえて訊かない。挑発して相手に喋らせようという魂胆である。
 だが、淫婦もさるもの。
 「あっらーっ! アリスさぁん、もしかして……羨ましいぃーい!?」
 逆に挑み返すようにニヤリ笑った。
 「むっ!…わ、私は…」
 予想外の反応に戸惑うも、ここで怒れば幽香の術中にはまると考え直して。
 「うん…まぁ、その…ちょっとくらいは…羨ましいわ…ね」
 絞り出すように答えた。
 悔しくないと言えば嘘になる。それでも今回の件はアリスにとって衝撃であり、事の真相、詳細を知りたい気持ちが強いのだ。
 「あら、ずいぶん殊勝ね。アリスにしては…って、おぶっ! ごほっ!……ごめん」
 口に残った尿でむせた。咳とともに吐き出す。臭いがきつい。
 かなり強烈な性体験だったが、幽香の視線は相手を見つめて離れない。
 アリスは知能が高く、冷静で物事を客観的に見つめる、確かな目を持つ。生半可な話術で煙に巻ける相手ではないのだ。
 「……」
 黙って相手の出方を伺う。
 ジリジリと茅葺きの屋根を焦がす陽光。
 幽香の這わせた蔦が葉をいっぱいに広げて受け止める。強烈な光を光合成に使うことで熱の伝導を抑えているのだ。
 羽目板の隙間から流れる空気が音を立てた。
 暑気を払い、涼を運んできてくれる。
 「何でアンタばかりがこんなにモテんのよ?」
 沈黙に耐えかねたのか、アリスの方から口を開いた。
 わかりやすい動機だ。
 風呂場から物音が聞こえる。緑の触手が風呂場で作業しているのだろう。風呂釜に薪を入れて燃やしているのか、ぱちぱちと爆ぜる音がする。
 リグルとヤマメは真綿の即席ベッドの上で寝息を立てている。
 窓から差す陽光に埃が舞った。
 「天の時、地の利、人の和」
 いつもの軽い調子が失せ、言葉は固く重い。笑みはなく、幽香の眼差しは鋭くアリスを射抜いていた。
 「はっ?」
 意味がわからず、戸惑ってしまう。
 いや、言葉の意味そのものはわかる。
 だが、それが幽香が女達から愛される理由なのか。
 「それ、戦国武将の言葉…戦の作法じゃないの?」
 当惑がそのままアリスの言葉になってしまった。
 だが、幽香は間髪入れず。
 「恋は戦争」
 冷静に答える。
 「さり気なく名曲を使うな…ってゆーか、どこが同じなのよ?」
 “恋愛”の対語は“戦争”と思っているアリスはますます当惑してしまう。
 「似てるのよ、ほんとにね。どっちも相手がいないと出来ないし、どっちも勝利条件を吟味したり、周辺の要素を加味して戦略を練ったり、ね、同じでしょ」
 子供に説明するような口調で丁寧に話す。
 「一つ、天の時。リグル・ナイトバグが黒谷ヤマメに恋して少女から女になったわ。これは性愛の何たるかを教え込める適熟期ということ」
 子供に色事を話しても無意味。理解されない物語は胸に届く前に雲散霧消する。長年の経験から幽香はそれをよく知っていた。
 「二つ、地の利。大妖精やキスメなんかが邪魔できないよう、二人を確保する必要があった、誰にも知られていない場所に」
 確実を期して不安要素は排除する。色事の最中なのだ。たとえ弱小妖怪であっても介入させたくない。そのために太陽の畑は誰も知らぬ、このあばら家を利用したのだ。
 「三つ、人の和。この恋路で最大の障害は…星熊勇儀」
 幽香の口から意外な名前が出た。
 星熊勇儀。
 かつて幻想郷で絶大な権勢を誇った鬼族の猛者である。蛮勇と怪力で知られる鬼族を束ねる、鬼の四天王の一人であり、地底に隠遁した後もその力に衰えは見られないと言う。
 確かに要注意人物だ。
 要注意人物だが、この件とどう関わるのか。
 「……」
 アリスは首をひねった。
 「黒谷ヤマメは地底のアイドル。当然、旧地獄の星熊勇儀とも関わっているわ。友達かどうか、定かではないけれど…関わっている以上、私がヤマメを襲えば、恋は戦争、地上と地底が戦う本物の戦争になりかねない」
 星熊勇儀は自分に関わる者の悲しみを無碍にするような女ではないと聞く。可能性としては幽香の懸念もあり得る。
 「う〜ん…だけど、アンタなら勇儀が相手でもいい勝負に持ち込めるんじゃないの?」
 アリスが怪訝そうに尋ねる。
 「ハァ…アンタはそんな考えだから甘いのよ」
 ため息を吐きつつ。
 「戦の勝ち負けは問題じゃない。恋が戦争になった時点で恋路はお終い。負けよ、負け」
 アリスの未熟を叱咤しながら話を続ける。
 地上と地底の戦争、そんなものが起きてしまえばもう色恋沙汰など吹っ飛んでしまう。幽香の言う“恋愛戦略の勝利条件”が達成できなくなるのだ。そうなれば戦に勝っても恋に敗れることになる。
 それでは意味がない。
 リスク回避、全力でそのような事態を避ける戦略が必要がある。
 「実際に面と向かってみても勇儀の力は測れなかったわ。空恐ろしいほどに強い。火戦ならともかく、白兵戦になったらおそらく私でも危うい。まさに忌避すべきリスクそのものだわ」
 眉をひそめる。
 「えっ…あんな物騒な奴に会ったの!? 実際に!?」
 アリスも声が裏返る。
 星熊勇儀が洒落にならないという話はあちこちで語られていて、塞いでも耳に入ってくるのだ。
 「敵を知り己を知れば百戦危うからず」
 リスク回避に情報収集は必須である。
 「リグルを奪えばヤマメは泣く。その時点で星熊勇儀の介入が予想される、すなわち開戦よ…ならば、それをどう回避するか?」
 ニヤリ口元を歪ませる。
 「恋にしちゃえばいい」
 幽香の解答は単純明快だった。
 「はぁっ!?」
 予想もしない論理の展開にアリスは目を白黒させる。
 「女の子を力ずくで強姦したら犯罪。だけど、合意の上で性交したならレズの痴話喧嘩よ、事後承諾でも、ね」
 幽香のニヤニヤ笑いが止まらない。
 「な…何よ、それ……」
 戦争が痴話喧嘩になってしまった。意味がわからなくてアリスも当惑するばかりである。
 「男じゃ無理だけどねぇ…女なら襲った獲物に体を与えられるのよ。奪ったプライドも傷つけた心も癒せるわ」
 凄惨とも見えるその笑みは覚悟の表現だった。
 何と言う発想の転換か。
 幽香は陵辱した二人に自分の肉体を与えて籠絡したのだ。
 リグルとヤマメ、二人の童女は幽香の女体に溺れ、性の快楽の虜になってしまったのである。リグルが自慰を公開し、ヤマメが土下座して性交をせがむほどに。
 なるほど、男には無理な所業である。
 生粋の女性同性愛者である幽香ならではの恋愛戦略だった。
 「何よ、女の子をオッパイで誘惑したって事? それで勇儀が納得したってぇの?」
 開いた口が塞がらない。アリスは思わず声を荒げてしまった。
 「強姦なら事件だけど、合意を取り付けさえすればレズの痴話喧嘩と見なす…言質は取ってあるもの。文句は言わせないわ」
 鬼は約束を守る。
 口約束であろうと、だ。
 否、実際に会って交わした口約束ならば勇儀は絶対に守るだろう。
 「百合ハーレムは実現した! 一婦多妻制、万歳☆」
 幽香は立ち上がり、胸を張って堂々と宣言する。
 ずるりとバスタオルが落ちて全裸が丸見えだ。
 股間から精液と愛液が、顔から尿が、胸乳から母乳が滴り落ちている。
 だが、それらも勝利の勲章であるかのように幽香は恥ずかしげもなく披露していた。
 「…と、はぁー……ああ、そうなのね。そうなんだ。よかったわねぇ……」
 半ば呆れ、半ば敬い、アリスは言葉を紡ぎ出した。
 「ああ、でも参考にはならないわ。あの娘はチンコ生えてないもの…」
 ふと、脳裏をよぎった相手を夢想して語る。
 白と黒のツートンカラー、笑顔が眩しい金髪少女である。
 「ペニスなぞ瑣末にして小事」
 一刀両断、幽香は迷いを断ち切ってみせる。
 「ああ、そうですか…よくわかりましたよ…」
 答えて、もう帰り支度を始めるアリスだった。
 なるほど、ペニスなど瑣末かもしれない。
 だが、陰茎の有無以前の話だ。
 何か、考え方の根本から違いすぎる。自分は乙女の恋愛を権謀術数や房中術に関わらせたくない。
 軽く頭を打ち振り、アリスは出口を目指す。
 しかし、ふと気になった。
 「ねぇ、私を狙おうとは思わなかったの?」
 単純な疑問だった。
 リグルより自分、アリス・マーガトロイドの方が肉体も精神も発育している。性的魅力なら間違いなく勝っていると考える。
 ところが、幽香は何を当たり前のことを訊くのだとばかりに。
 「神綺、怖ぇ」
 言って肩を震わせてみせる。
 「はぁっ!?」
 突然、母親の名を聞かされてアリスは驚いた。
 神綺は魔界を統べる、唯一無二の創造神である。非常に強力な存在であり、アリスを含めて数多くの者を無から生ぜせしめている。
 間違いなく実力者だが、アリスにとっては母親であり、脅威に感じたことはない。
 「さっきも言ったでしょ。天の時、地の利、人の和」
 答えるも億劫と言った風で幽香は語り出した。さも当然のことであるかのように。
 「えーっとね、私が神綺に頭下げて『お嬢さんをください』言えばアンタを嫁に貰い受けるのはかんたん…」
 また古風な言い方だった。
 「だけど…アンタを嫁に迎えた時点で一婦多妻の野望が潰える」
 もう一度、恐ろしげに肩をすくませてみせた。
 「ああ、そっか…」
 これにはアリスもうなずかざるを得ない。
 母はサッフォニズムに理解を示すだろうが、愛娘を妖怪の百合ハーレムに差し出すなど思いも及ぶまい。
 激怒する。
 それこそ魔界と幻想郷の戦争になってしまうだろう。
 納得したアリスだったが。
 「それに天の時ね」
 幽香の話は終わらなかった。
 「アンタ、あれだけエロい光景を見せてやったのにマンコ、濡れてないでしょ?」
 いきなり卑猥な言葉を連発する。
 「はぁ!? な…何を言ってんのよ!!」
 慌ててスカートを押さえ、股間を隠した。
 いや、性的興奮による愛液の分泌はないが。
 何故、それを気づかれたのか。
 「オッパイだけデカくなりゃイイってもんじゃないわ。アンタ、感情面が未熟なのよ。SEX絡みの事はチルノとどっこいどっこい、いい勝負じゃないの。エロティシズムの機微を理解しない女を犯したところで“その後”に繋がらないわ」
 鼻と耳を指してみせる。どうやら臭いと音でアリスの股間の具合を確認したらしい。
 相変わらず、筋金入りの変態ぶりであるが。
 「そぉ…」
 アリスは考え込まざるを得なかった。
 なるほど、自分はまだ恋路の端に立ってすらいないようだ。
 「ありがと、幽香。話せてよかったわ」
 会釈して出てゆく。
 ひさしをくぐると陽光が眩しい。
 周りを囲むヒマワリはもう自分には興味ないようだ。どれも太陽に向かって花開いている。
 「…」
 ほんの数語、つぶやくだけで魔法が発動して靴のつま先が地面から離れる。
 「しゃんはーい?」
 「ほらーい?」
 左右の自動人形が主を案じた。
 「ん、大丈夫よ…」
 アリスの体が急速に上昇する。空気を切り、大地が遥か下に過ぎ去ってゆく。
 魔法の才覚、技術レベル、魔力容量、全力を出さなくても自分は十分に強い。
 誰に対しても余裕を持って立ち向かえる。
 それで十全だと思ってきた。
 戦闘面で、単なる生活面で、その通りだ。
 しかし、幽香の叱責は正鵠を射ている。
 今のアリスでは乙女の恋路を進めない。
 塞がっているのだ。
 「チルノといい勝負かぁ…」
 けっこうショックだったが、反省に繋げたい。
 憧れが恋になるのはいつのことか。
 女を磨かなくてはならぬと肝に銘じた。
 同時に思う。
 幽香はどこへ向かうのか。
 百合ハーレム、一婦多妻の野望。
 自分で“野望”と言ってしまっていたが、どこまで広がるのか、見てみたい。
 アリスは眼下のあばら家へエールを送った。
 「自分の夢は必ず叶える。でも、あいつの夢もちょっとだけ、ついでにだけど…応援してやるわ」
 「しゃんはーい!」
 「ほらーい!」
 自動人形が答えてくれた。
 少女は風を切り、まっすぐ自宅に向かう。
 ヒマワリの隊列が守るあばら家を真夏の陽光が照らす。
 大丈夫。
 光は淫らを消しきれない。



お終い。
どうも、こちらでははじめまして。愛ある変態絵かきの大神官と申します。(“Et_Cetera”はペンネームww)
こちらで聖☓ナズーリンのハードふたなり♀×♀の、非常に興味深い作品を拝見させて頂く機会を得、触発されてしまい、つい、筆を執ることにいたしました(^_^;)
タイトルに“魔理沙”ありますが、魔理沙は出てきません。こちらは『夢ん夢ん魔理沙』というシリーズ物の番外編という位置づけでありますので。
ハード♀×♀レイプ乱交を目指して描いてみたのですが、さて、上手く表現できているでしょうか? 楽しんでいただければ幸いであります。
Et_Cetera
http://www008.upp.so-net.ne.jp/daishinkan/
コメント




1.みこう悠長削除
ふう…てぃっしゅてぃっしゅ…
とてもよかったです!
2.性欲を持て余す程度の能力削除
とてもエネルギッシュでエロくて良かったです。ちょくちょく幽香がオッサンっぽくなってたのに少し吹きましたが、押し切られるように読破しました。
無垢な少女が花開く瞬間っていいよね……無理やりであろうとも。