真・東方夜伽話

Cross our mind

2017/09/29 10:53:27
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Cross our mind

つわ

真相は闇の中。悪魔の妹は煙に巻かれる
※喫煙ネタを含みます

焦げ臭く、どこか甘ったるい匂いを微睡みの縁でかぎ取って、二拍、その元を吸い込む。
するとのどの奥の方を細かい毛玉がちくちくと刺して、強い咳で振り払うと瞼の重みも吹き飛んでしまう。
開ける視界。匂いの元はすぐにわかった。自分の隣で裸の上半身を寝床に起こし、
天井を見るとはなしに見つめているルーミアの口に咥えられた、オレンジ色にくすぶって白い煙をゆらゆらと立ち上らせる一本の煙草。

「おはようフラン」

煙草を親指と人差し指で挟んで口から離し、丸い鬼灯色の瞳をやや細め、やはり赤の濃い唇からややくすんだ白い歯をこぼす。
口から漏れてこちらに漂ってくる煙を手のひらで払って、わざと大きな咳払いをすると、
ルーミアは手近にあった小皿にオレンジのくすぶりを押しつける。

「やっぱり臭いに敏感ね」

残りの煙を一度に吐いて、手のひらを口元にかざして喉を鳴らす。
最悪の目覚めだ。露骨にしかめた眉に何の畏まりも示さないこともまた忌々しい。

「よくもそんな人間臭いものをこの悪魔の館に持ち込んでくれたわね」
「人間くさいから、口寂しさが紛れるのよ」
「お腹減ってるの?」
「胸は一杯かな」
「ばーか」

惚気みたいな返しを言下に切って捨てる。尤も否定しきれるものでもないので、
一息に「ばか」ではなく間延びした「ばーか」なのだが……。
笑いとともに漏れる息がヤニ臭い。

「ていうか立場が反対でしょ」
「女同士でこだわることでもないでしょ」
「あんなによがってたのに」
「夢中なフラン。可愛かったなー」

先刻までの媚態は演技だったとでもいうのか、自分が性交において優位であったという自信が崩されると、
急に裸身をさらしていることに羞恥を覚え、いびつな羽を体の前面に回して、
幼い上体に透き間の開いた宝珠の覆いをかける。

「大丈夫よ、ちゃんと気持ちよかったから」

胸の中を見透かしたような慰めの言葉はまるで年季の入った遊女のようで、背格好はそう大して変わらないのに大きく見えるルーミア。
フランは煙の途絶えた紙巻きを横目に見る。


―――

紅い霧の異変の少し後から、地下室の片隅に黒い球が転がっていることが度々あり、
他愛のない話からお茶の相手、そして裸の戯れに至るまでそう時間はかからなかった。

「今頃は死体の養分を吸った花が見頃にかしらね」
「あの幹は柔らかいからあんまり痛くないよ、痛いのは樫の木」
「削って薫製のチップにする奴と炭になっても鋸が刃こぼれする木じゃそりゃ、ね」

噛み合っているのかいないのかわからない会話をしながら大皿に盛られたクッキーを無造作に口に放り込む。
皿を空け、紅茶で口を濯ぐと、フランは寝床を一瞥。ルーミアはすっと立ち上がって、
ベッドにうつ伏せる。肩に手をかけてひっくり返し、朱のさした頬を両手でそっと包んで、濃い唇同士を重ね合う。
雨に打たれた鬼灯は潤んで、唾に塗れた口元は赤い三日月となった。
黒いチョッキを頭から抜き取り、襟元の赤いリボンを解いて、
長袖カッターのボタンを上から一つずつ外して前を肌蹴る。左首筋を舐めて薄皮一枚越しに頸動脈に犬歯を宛がうと、
怖気とも甘い疼きともとれる、恐らくは入り交じって相半ばした微かな震えと息の乱れ。
舌はそこから斜めに下り、先端で薄い小麦色をつつきながら鎖骨に至って、
そこからさらに右に折れて、わずかにきざした膨らみの淡く色づく桜桃の種に似た先端にたどり着き、
挨拶代わりに全体をこすりつける。

「はぁっ」

軽く瞼をおろしたルーミアの吐息が小さく爆ぜた。
細めた舌先でその周囲を丹念になぞって時折口に含んで吸い上げると、

「っ、はぁ、んぅ」

舌先で触れる小さな実はわずかに膨らんで固さを帯び、そのうちにもルーミアの漏らす息はかすれていく、
もう片方にも手を伸ばして、やわりと押し包む傍ら、口を止めて少し下に耳を添えると、
肋骨の硬さの奥で心臓の拍子は早まっていった。
ルーミアの手が反対の横顔に伸ばされて、耳にかかった髪を分け、
指先で耳殻の溝をたどった後、穴の入り口でクルリと円を描く、
くすぐったさに軽く首を振って、にやりと笑ったルーミアにまた口付け、
右手を足の間に、純白のショーツ越しにふれるそこはすでにぬかるんでいて、
二度、三度、爪の先を布越しに伝わせると

「っは、ん」

細い眉の根に力がこもって、ウの音を発する形に開かれた赤の隙間を、
喉の奥にこすれた吐息が通り抜ける。あてがうものを指の腹に代え、
ぐっと押しつけなで上げる。

「はぁっ」

一回り広げられた唇から熱い息があふれて、背が小さく反る。
その深さを保ったまま、下に上に往き来させ、その中程で左右に震わせる動きを織りまぜる。

「ふっ、はっ、や、んんっ」

時折顔を小さく揺すりながら、軽く噛みしめられた唇から息が漏れる。
さらに続けると熟れた果実を軽く絞るように奥から染み出た甘露を吸ったきれは、
水たまりの底の泥をかき回すような音を響かせる。

「びしょびしょよ、ねえ、指、入れていい?」

朱に染まった小さな顔が縦に動く。内腿が少しくぼんだ部分に指をかけそのまま股布を横にずらして、
第一関節までを挿し入れる。

「ああっ」

噛み締めのゆるんだ唇から溢れた声は甘く透き通り、指を動かす度に背中がシーツにこすれる音と混ざり合う。
体が熱くなって上半身の衣類を取り払い、濡れそぼったルーミアの下着に指をかけ、
足首まで引き下ろす。両生類の肌を思わせる、ぬめりを纏った一本の細い筋だけの裂け目を割って、
透き通った淡い色の入り口を露出させて口づけ、縦横に舐りながら、ドロワーズの口から忍ばせた右手で自身の秘所をかき回す。

「あ、あっ、ん、はっ」
「んっ、む」

甘く高い響きと、水音と一緒に潜熱する吐息。ルーミアの中の舌先と自身の内の指先が、
一層深くをとらえると、寝床の上で二つの微震が共鳴する。安堵と恍惚の蒸気が二つの口から立ち上っていた。
フランは余韻の内にも、スカートとドロワーズを脱ぎ去って生まれたままの姿になり、
肘を使ってルーミアの上半身へと体をせり上げる。
頬を薄く染めたルーミアは同じく熱を帯びたフランの横顔に両手を這わせ、そこにかかった絹糸のような髪をかき分け、
耳たぶをそっと包み、枕からおもむろに顔を持ち上げて、自分の淫水にまみれたフランの口元を丹念になめ回す。
清めを終えた赤い肉が鬼灯色の奥に引っ込むと、今度はフランがルーミアに口を寄せ、
その後頭部を再び枕に押しつける。舌と舌は再び絡み合って、口の隙間からは粘っこい音が漏れ出ずる。
フランは両頬骨の少し下に掌底をそえ、こめかみのあたりまでを指で包み、
ルーミアは耳の後ろへと伸ばした指をうなじのへりにかけてそっと引き寄せる。
口角のみが1Cmばかりの空隙を残して密着しあうその最中、起伏のない胸の小さな先端同士がこすれあって、
熱に浮かされた吐息が絡み合う舌に出口を奪われ、糸を引きながら離れた二つの口から漏れる二つの息継ぎ。
フランの乳頭がルーミアのそれを円形になぞり、二人は軽く身を震わせた。
互いの太股に肌色のすじを押しつけて擦り合えば、あふれた液体がきめ細かい肌に名残を刻む。
裏返った二つの息が弾けるまでそう時間はかからなかった、


―――

ルーミアは妙に大人びた笑みと一緒にこちらをじっと見つめてくる。
やめて、そんな顔で見ないで……口を付きかけた子供じみた哀願を悪魔としてのプライドが必死にのどの奥に押し込んだ、
不意に目に留まるのは肩までの金の直ぐ毛を飾る大きな赤いリボン。何かの封印だといつぞや聞いた。
それが一体どれほどルーミアの枷になっているのか知る由もないが……否、知る由もないからこそ、
夜の湖面をのぞき込むような底の知れなさを演出する一因となっていた。
ならば闇の底にあるものを全てさらけ出した上で、それを圧倒するしか優劣を覆す術はない。
矢庭にフランの手がルーミアの赤いリボンに伸びる。

「ひっ……つぅっ」

触れた刹那、肉を突き抜けて骨の神経に直接電流をたたき込まれたような激痛が人差し指に走る。
もう片方の手でその指を覆って俯くその目には涙が溜まっていた

「あー、これね、私が触っても同じようになるの。急にそんな風にされると忠告もできないじゃないのよ」

気まずそうに頬をかくルーミアに、
ひきつけそうになる呼吸を押さえ込みながら問いをぶつける、

「あの時も私は何回も触ったわ。なぜ今はだめなの?」
「外そうと思ってなかったからよ」

抑揚もなくさらりと言ってのけるルーミア。
触れるものの意志に反応する封印などと、野良妖怪たった一匹に随分な念の入れようだとフランは思う。

「一体いつからその札をつけられたの?」
「覚えてないくらい前よ」

フランの表情が少し曇る。
手足を縛られながら長い時を彷徨ってきた彼女と
制御できない狂気の為に長らく幽閉の身であった自分とはやはりどこか重なっていた。

「別に気に病むことでもないわよ、私自身は別に不便をしているわけじゃないから」

またも胸中を見透かしたかのような言葉を、あっけらかんと言ってのける。
その表情は少なくとも本心と違うことを言っているという風ではなかった。
成る程、幽閉を解かれ、自由に動き回れる身になっても、生来の出不精で
館の中だけ歩き回れれば特にそれ以上望むことはない自分のような者もいるので、
それはそれでそういうものなのかもしれないと妙に腑に落ちる。

「闇が深まれば、光もまた輝きを増すものよ、深まった闇と輝きを増した光がぶつかり合えば、気楽な根無し草じゃいられないわね」

言葉の内容とは裏腹に浮かんだ笑みはひどく無邪気なものだった。

「苦労してんのね」
「別に……『亢龍有悔』と昔から言うでしょ」

ずいぶんらしくない言い回しだと思った。

「難しい言葉知ってんのね」
「門の呼び"鈴"が鳴って教えてくれた」

煙に巻くように答えたルーミア。
紅魔館の正門に呼び鈴はついていなかったはずだ。少し考えて何のことか思い当たったフランの

「"美"しい音色だったでしょ」

少し自慢げな返しに、ルーミアがコクリと頷き、二人同時にくすくすと笑う。
ルーミアはおもむろに胸の高さで両手を水平に広げるポーズを取る。

「毎回思うけど、それはいったい何の真似なの?」

気まぐれな来客の奇矯な癖を今更ながら問いただしてみる。
自分とほぼ変わらない平らな胸と小さな桃色と、少しあばらの浮いた横腹を隠すものはなく、
つい苦笑を漏らしてしまった。
ルーミアは小首を傾げつつ、

「『十字架立ちて地獄に愛は満ちぬ』……かしら?」

フランの目尻がわずかに震えた。

「聞くだに不愉快だわね」

少なくともこの場には最もそぐわないものだ。ルーミアは動じず、

「見れば少しは愉快だと思うわ」

枕のすぐ近くに丸められた自分のスカートから小さな四角い箱を取り出し、
中箱をすっと滑らせて、そこから一六本のマッチ棒を引っ張り出すと、
5本、5本、3本、3本の組み合わせで、
「HELL」という四文字をシーツの上に組み立てた、

「これをね、こうすると」

ウインクしながらそのうちの2本を取り除いて、形の崩れた文字の少し上に、
その2本を縦横に組み合わせて置き、残った十四本のマッチ棒を、

   +

L ◇ v E

LOvEと読める四文字に組み替える。

――さあ、読んでいる君もやってみたまえ

きょとんとした顔で数度瞬きしたフランはすぐに我に返って、毒づく

「なにこれ、くだらない。大文字と小文字がそろってなくて非常に不細工ね」

ルーミアは一瞬だけ唇をかすかにとがらせて、

「そ、だったら片付ける」

丸められたスカートの反対のポケットから今度は黒いシガーケースを取り出して、
白い紙巻きを唇に挟むと、右の手を十字架の横軸に伸ばす。

「あっ」

ほとんど脊髄反射だった。自分にとって忌々しいはずの表象を、
あろうことか両手で包むように覆って、崩されるのを押し留める。
すべすべした小さな手の甲にルーミアの指先が触れて、
二人同時に顔を上げると、きょとんとした二つの視線がぶつかって。
漏れる苦笑も二人同時。

「なによ、やっぱり気に入ったの」

冷やかす声と一緒に火のない煙草が上下に揺れた。
そう、確かに自分はこのわずかばかりの機知の結晶が崩れ去るのを、
砂の城が波にさらわれるのを惜しむ子供のように惜しんでいたのだ。
答える代わりに赤熱させた人差し指の先を煙草の先端にそっと押し当てる。
ありがと、と言い置いたルーミアが吸う息に合わせて、白色を食んでゆくオレンジ色が一回り輝きを増した。
一頻、肺の中に煙をめぐらせたルーミアはけだるげに目を細めて、
口から煙草を離し、その両手をまた水平に広げる。
フランは柔らかい笑みと一緒に、シーツの上のマッチ棒と、
両手を水平に広げたルーミアを交互に見やる。
右が少しだけ長い十字の先端からゆらゆらと立ち上る煙と、
口から吐かれたもわもわとした煙が二人の頭上で混ざり合う。
地獄から取り除かれて、十字架と愛を形作ったマッチ棒も、
水平に広がって十字を形作るルーミアの腕もともに二本。
そしてきっとこの奇矯な癖を持つ来客によって自分の胸にもたらされたのも……。
こじつけといえばこじつけだが、不思議なシンクロをそこに見出すことができた。

この地下室に十字架が立って……地獄に愛が満ちたとまではいえなくとも、
少なくとも独りでいるよりはずっと賑やかだ。
”「一般的な解釈では絶対に喫煙しそうにない幼女系キャラが、実は喫煙者だったら」っていうネタを含んだ百合
(出来れば東方)書いてください”というリクエストを受けて構想を膨らませたもの。

子供の遊びの延長だったセックスがふとしたきっかけで大人びた愛になっていく。そんな雰囲気を出せたかな?

ルーミアの設定は中二心をくすぐりますね。
この作品では「光よあれ」と言われた昔から存在する、原初の闇から生まれ今に至るという感じです。
つわ
コメント




1.性欲を持て余す程度の能力削除
喫煙ルーミアいいですね。つわさんの作品はどの話も凄い雰囲気が好きです。
2.性欲を持て余す程度の能力削除
>やってみたまえ
マッチがない…ないっ…!とてもおいしゅうルーフラでした
ごちそうさまです