真・東方夜伽話

きみがきめた

2017/09/01 05:14:23
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きみがきめた

野咲

魔理沙の童貞を霊夢が貰ってあげたりする話

・つきあってないレイマリです
・若干のゆかれいむ描写があります
・色々な霊夢やあるいは魔理沙を許容できる方向けかと思います






















「誰が決めたの、そんなこと」

薄ら笑いで、霊夢は言った。






きみがきめた






夜が更ければ妖怪が増える。妖怪が増えれば酒も肴も追加になる。博麗神社の宴会は昼間から飲んでも夜明けまで続くから、最初から最後まで逃げ場のない霊夢はどんなに休憩を入れて仮眠を取っても血が酒に代わるくらいには飲む羽目になっていることだろう。二日酔いだなんだはあれだけ飲めば当たり前だ。
その上結局翌日にもけろりと一升瓶を隣に置く霊夢は、もともと体液全部が酒なのだろうと魔理沙は考える。
一体何歳の時から飲んでいたのか、飲まされていたのか。

「よう、霊夢。昨日の今日で何の祝いだ?」
「だからお酒を飲むのに理由はいらないんだって。真面目ねえ、魔理沙は」

からからと笑う巫女に紅い館からの差し入れのカップケーキの袋を差し出す。縁側にコップはひとつ。続きの部屋に紫がいて、そちらの卓袱台の上にもまたひとつ。二人で飲んでいるのか、一人ずつで飲んでいるのか、初めて霊夢が酒を飲む姿を見た時もこういう飲み方をしていたと思い出す。

「咲夜から?」
「正解。昨日は楽しかったってさ」
「そ」

短い言葉と共にそっけなく頷いて、霊夢は早速包みを開けてバターの香りをばらまいた。酒と合うのかと見ていたら、試すならコップ持ってきて、と言わんばかりに厨のほうを指さす。

「じゃあお邪魔します」
「丁寧でよろしい」

靴を放り散らかして縁側から上がるのに丁寧も何もない。通り抜ける際には紫と目が合ったが微笑んだだけだった。この妖怪はそもそも、口を開くのも面倒くさがる性質なのだろう。
洗い放しの湯呑を取って霊夢の横に陣取る。

「魔理沙もすっかり飲兵衛になったわね」

早速一升瓶を手に取ると、霊夢がにやにやしながらそう言った。顔はまだ少しも赤くないが、長い時間飲んでいないわけでもないのだろう。紫の傍には空き瓶まで転がっている。

「霊夢ほどじゃないだろ」
「そんなことないでしょう。ふふ、子どもは飲んじゃいけないんだぞ、って言ってたの、ついこの間だったのに」
「子どもは卒業したんだよ。私は立派な乙女だぜ」

カップケーキを齧ると、存外この焼酎にはよく合った。初めて見る銘柄だがまた神社に迷い込んだのだろう。いくつかの銘柄以外は再度出会うのが難しいのだが、霊夢はこうやって何も気にせず開けてしまう。
くるんと瓶を回してラベルを見ていると、霊夢もそれを覗き込む。けれどやはり興味は薄いのかくいっと酒を煽って小麦を齧る。

「子どもが飲んじゃいけないなんて里の大人の勝手な言い分でしょうに。魔理沙ったらそんなに好きでよく信じていられたわね」
「美味いと知らなきゃ耐えられるもんさ」
「目の前で飲まれても?」
「飲まれても。というか、そもそも里じゃあこんなに普段から飲んでないぞ、多分」

ふうん、と霊夢が頷く。その顔がそのまま紫を振り向くのを魔理沙も目で追った。

「里の人間はあんまり飲まないの?」
「昼間に堂々とはね。大人は知恵をつけた子どもだから、娯楽を独占したがるのは当然でしょう? もしくはこっそり飲むのも楽しみのうち、という説もありますわ」

妖怪に人間の生活を聞く霊夢には違和感があったが、魔理沙は何も言わなかった。これは博麗の巫女というシステムの弊害であって霊夢の所為ではない。せめて自分と実家の仲がよければ、霊夢を家に招いたりもできたのだろうか。
いや。
――無理なのだろう。魔理沙は酒を舐める。ちりちりと舌を焼くそれを霊夢が幼い頃から味わえたのは別に幸福なことではないと魔理沙は考える。
そんなことは勿論霊夢には言えないのだし、羨ましいと思っていればいいのだと言い聞かせるけれど。
ところで紫、と霊夢は振り向いたままゆったりと座った大妖怪と話し始める。

「しょっぱいものが食べたい」
「私には甘いもののおすそ分けはないのかしら」
「取りに来ないのにあるわけないでしょ」
「……もしかして、もう全部ないの?」
「ない」

紫と話す霊夢はいつもよりもさらに寛いで見えた。魔理沙の夢見る家族の形はこれに近い。干渉されず、干渉せず、けれど笑いあえる。友人に近いけれど対抗心とかそういうものがなくて、愛情みたいなやさしさがあって。
いつか家族を作って、子どもができたらこういう関係になれるだろうか。
霊夢とはそういう話はしない。小さな遠慮は人付き合いには大切で、付き合いが長くなればなるほど制約は増えていく。
そんなことをたまに考えることだって霊夢には言えないから、何も考えていなさそうな彼女が羨ましくなってまた言えないことが増えていく。注ぎ足した酒で飲み込んで、頭を空っぽにしようと息を吐く。立ち上がった霊夢を目で追うと、きれいさっぱり中身の消えたカップケーキの包みを見せびらかしていた。

「ほら、おつまみゼロでしょう」

堂々とものをたかる霊夢に魔理沙はひとり笑いを零す。霊夢が誰かと仲良くしているのは素直に嬉しい。
スキマから出た誰かの手が紫に酒を注いでいる。紫はそれを受けながら肩を竦めた。

「それで私に持って来いって? いつも言っているでしょうに、何かを得るには何かを差し出す」
「つまりおすそ分けを寄越せと」

どことなく偉そうに首を振って、霊夢ははい、と袋を紫に渡す。魔理沙が黙って見ているといぶかしげな紫ににっと笑って顔を寄せた。
いや、寄せるでは済まない。唇と唇が、触れる。

「――え」

突然目の前で繰り広げられるキス。
霊夢はいつも突拍子もないことをする。それは分かってはいても、魔理沙の頭はやはり何度でも凍り付く。
子どもには誰しも保護者がいると思っていた時も。仕事は大人がするものと思っていた時も。酒を飲めるのはもっと後だと思っていた時も。いい妖怪と悪い妖怪がいるのだと教えられていた時も。霊夢はいつだってこうやって前を歩いていて、追いつけなくて思考が止まる。
ちゅ、じゅ、と水の音がする。
霊夢の手は紫の頭を抱いている。紫の手が伸びて、霊夢の腰を引き寄せるのが見える。角度を変える頬と、視線を交わす瞳と、紅潮していく肌と。目が離せない現実。
震える唾液が、妙に色の濃い灯りの下で糸を引く。

「おすそ分け、甘かった?」

くす、と笑う霊夢の唇がやけに紅く見える。
そうね、と紫が微笑しながら目を伏せた。

「お酒の味になってしまっていたけれど、まあいいでしょう」

やった、と霊夢が無邪気に笑う。スキマの手が今度は袋か何かを差し出している。
喉が渇いたな、と魔理沙は考える。
唾液を飲み込み、酒を注ぎ、暗い縁側で光をまだ見つめながら頭をがんがんと鳴らして酒を煽り。そこからの記憶はないのだから、多分そのまま寝てしまったのだろう。





見ていた夢は苦い記憶。正月にお盆。特別な日に父親が飲んでは楽しそうにしていた飲み物を拝借しに蔵に入って、それはもう激怒されたこと。だからその飲み物は小さい自分にはとんでもない禁忌で、だから当たり前のような顔で飲んでいた霊夢には注意しなきゃと思った。
霊夢が間違えないように。他の誰かに怒られないように。でも、霊夢は言ったのだ。
飲んじゃいけないなんて、そんなこと、誰が決めたの。
誰が?
親だろうか。里の大人だろうか。『普通』というルールだろうか。魔理沙は分からなくなった。
でも、言わなければいけないような気もしてやっぱり何度も何度もぶつかっては言いくるめられた。
――霊夢を叱る人間なんて、このセカイには誰もいてやりはしなかったのだから。だから、『普通』を口にする『普通』の人間がひとりくらい必要だった。
必要だと思いたいだけなんて、そんなことない。





水の跳ねるような、小さな音で目が覚めた。
寝ぼけた頭で雨漏りを想像した。ぴちゃ、ぴちゃ。たらいを敷かないと、とぼんやりしたまま音の出処を探す。
いつもは開いたままの襖が閉じていた。
音はそちらから聞こえる。その部屋はこちらと同じく畳敷きだ。早くしなければと思いながら、開けてはだめだと夢交じりに考える。
けれど、夢は現実には適わない。すんなりと、左手が襖を滑らせる。建付けの悪いそれは途中で止まって、妖怪の目だけがその奥にある。
夜に光る獣の色。それは霊夢にのしかかってこちらを見ていた。水音は止んでいる。

「ほら、だから起きるって言ったのに」
「誘ったのは霊夢じゃない。閉じた襖は開けるなってちゃんと教育しておきなさいな」

目はどんどん慣れていく。後ろでは雲から月が顔を出す。白い、霊夢のいつもの寝間着がはだけている。
薄い胸がてらてら光る。

「れ、いむ」

呼びかけた声は酷く掠れた。呼吸が割れそうで息を吸うと甘いような匂いに喉がぐしゅりと鳴った。
紫の目は霊夢に向き、今度は霊夢が魔理沙を見ていた。光る訳でもないのに、真っ直ぐな目をしていることだけはよく分かる。
何も感じていないのだ。魔理沙に見られたことを、別に悪いと思っていない。慌ててもいなければごまかす気もない。
普通じゃないのに。そんなのは普通じゃないのに。

「霊夢。そういうのは、子どもはしちゃ、だめだ」

魔理沙の声は小さい。霊夢が問いかける言葉は分かっていた。答えは持っていなかった。
まだ知らなくてもいいと思っていたから。何も知らなかった。
霊夢はやはり、どうして、と聞いた。魔理沙は話題を反らした。

「相手も、妖怪だろ」
「何か問題?」
「……紫は、おんな、とか」
「? 別にいいんじゃない」

だって、いつか大人が駄目だと言ったから。子どもには早いと教えられたから。
疑いもせずに信じてきた。

「また、魔理沙は面白いことばっかり」

霊夢が笑いながら体を起こす。紫の不満そうな声と、月に照らされる上半身。白い襦袢。並ぶ女の肌。

「誰が決めたの、そんなこと。お酒と同じよ。あんたの言うところの大人はみぃんな好き放題やってるわ。魔理沙だって見たこと、ある癖に」

聞いたことも。ある癖に?
からかうような声がする。楽しくてたまらないという声だった。いつか魔理沙に酒を勧めた時よりももっとずっと、それが面白いと示すように。
紫が不意に霊夢に唇を寄せる。ちゅ、と小さな音がした。

「邪魔も入ったし、やっぱりお暇しますわ」

そう言ってから、紫は霊夢の耳元に何事か囁く。霊夢は思い切り眉間に皺を寄せたが、殴ろうとする動作の間に妖怪はさっさとスキマに飲まれていった。
あんな恰好で帰るのだろうか。そんなどうでもいいことを考えていると、あーあ、と大きな不満声が狭い部屋に響いた。

「いいとこだったのに。あんた鶴の恩返し知らないの?」
「開けちゃいけないならせめて先に言ってくれ」

言ったわよ、と霊夢は顔を反らす。寝ている間にならまったく意味がない。
そっぽを向いたまま彼女は何故か両手を伸ばして、それは魔理沙に向いていた。

「ん」

短い声がする。目は閉じていて、顔もこちらを向かない。魔理沙は戸惑い、霊夢は続けた。

「くれば」

は? と音が上がる。単純に意味が分からなかった。理解するまで随分かかって、もう一回喉が震える。

「――なに、言ってんだよ」

薄い布団の上で、霊夢は無造作に足を伸ばしている。手は引かず、魔理沙を待っている。白いシーツに誘っている。
虫の声がしていることに気が付く。心臓が煩くて、それよりも大きな音を探したが他には何も見つからない。

「あんたの童貞、もらってあげる」

霊夢の目が開いた。魔理沙に向けて嗤った。
いつも食事をする、たまに酒を飲む、ついつい泊っていく、いつもの部屋で。そこに非日常を持ち込んで、やっぱり当たり前のように彼女は笑った。
いいじゃない、と囁く声がする。

「だって魔理沙、私のこと好きでしょう?」

そう言って、霊夢はからりと笑った。
こんな世界の中でばかみたいにあっけらかんとした彼女。そんな彼女がいつも魔理沙は羨ましかった。そうだ、ずっとだ。誰とも繋がらない、繋がれない一人ぼっちの彼女が可哀そうで、だけど羨ましかった。
それは焦燥に近く、焦がれて焦がされて。多分。恋に近いくらい。
気が付きながらも眉を寄せる。きっと顔は赤い。だが、これだけは言っておかなければならない。

「――そんなの、誰が決めたんだよ」

言わせておかなければならない。
この関係を。魔理沙という名前の私の在り方を。決めてしまったお前はわるいやつだって、そういつか気づいてくれるように。

「私よ」

霊夢ははっきりとそう言った。
心のどこか奥底を焦がす、からかうような声だった。





「ん、そ……上手」

触れた舌を肯定されるだけで、首筋がぞくぞくと引きつった。
胸の先は尖りきって、舐めると特に楽しい。夢中になっていると額を押された。仕方なくもう少し下へ向かう。
すべらかな肌と、その奥に感じる硬質な癖に柔らかい矛盾した女の感触。自分と同じものだとは思えなかった。
身体を捻る彼女に鼻を擦り付ける。頬を寄せる。少し汗ばんだ感触の中に霊夢の心音を聞いて、少しだけ落ち着いた気持ちになる。

「もう。はやく」

霊夢が続きを催促している。舌を伸ばしてそのままわき腹を擽ると、不満そうに手を取られた。

「こっち、して」

導かれるままに柔らかい場所を通ってじっとりとした割れ目に触れる。
湿っている、では足りないくらいにそこはぐっしょりと濡れていた。不思議やら驚きやらで、知識としては知っていたはずなのに一瞬思考が止まった。

「ゆっくり、触って」

声に誘われるように水源を探る。これだけ溢れているのに粘つくその液体は、自分を捕えようとしているようだと思った。女の匂いが強くなる。

「ん……」

霊夢はうっすらと身を捩る。眉を下げながら笑うその姿は知らなかった。見たことのない霊夢に魔理沙は喉を鳴らし、誘われるままに指を滑らせる。何か硬いものに触れた。
胸の先端に触れた時のような心地よさを感じて擦ってみると、霊夢の身体が急に跳ねて高い声が上がった。驚いて止めると、やだ、と気弱な声がする。

「そこ、きもちぃから、もっと」

うん、と声に出したのか唾を飲んだのか分からなかった。薄く開いた霊夢の唇に触れてみたいと思ったが、それが許されるのか分からなくてやめた。
代わりに強く動かす指先からこりこりとそれは逃げる。逃がさないように潰して、捏ねる。どんな触れ方にも霊夢は敏感に反応して、太腿が汗でじんわり湿っていった。
それは自分のはだけた足元にも移っていく。嫌だという気持ちはひとつもなかったが、一緒に溶ける、というどこかで聞いた話を思い出した。

「んんっ……ふぁ……まり、さぁ」

一緒に溶けるのが、せっくす、だって。
つよい、と舌足らずな声が言った気がして視線を合わせると、潤み切った目で霊夢は何かを催促していた。分からずに手を止める。そこに相手の手が絡んで、もう一度そこへ運んだ。
ぬるぬるのまんなか。水の出処。
恐る恐る触れると、そこは飲み込もうと蠢いているように思えた。一本、指が潜り込む。温かいと思う。
霊夢のからだの中は、あったかい。

「おく、して、ほしい……」

うん、とまた声にならない声のまま応える。柔らかいその場所は口の中に似ていた。にくの感触はなかった。ただ唾液みたいなものに包まれて、舌より柔らかいものに包まれる。
押せば押し返す。癖になりそうな弾力が、その上ぐじゅぐじゅと音を出して動いている。もっと感じたくて指の数を増やす。霊夢が嬉しそうに喉を反らすのが見えた。
安心して、一番奥を目指す。でもその場所は尽きることがないようにも思える。深すぎる沼、ぬるぬるがたまらなく気持ちいい。今までにない使い方に指と腕が疲れるのが悔しかった。いくらでも触れていたくて態勢を変えてみる。
声が、声に、溶ける。
聞いたことのない霊夢の音全てに痺れている。気持ちいい。頭が白くて吐きそうだった。それなのに最高の気分だった。こういうのがトリップっていうんだろうか。だとしたら薬やそんなものにはまるのは当然だった。
心臓が痛かった。心臓が甘かった。こめかみが引きつって、腹の奥がぞわぞわした。
先ほどの突起も一緒に触ったらどうなるかと思い立って、身体を支える手では上手くいかなくて、ああもういいやと舌を伸ばした。舐めたかった。

「ぁっ、ちょ……それはっ、ぁ、ぁ、ぁ、あ!」

手ごたえは確かで妙な安心があった。気持ちよくしてやるとこちらも気持ちがいい。
呼吸が苦しくて頭が飛びそうだ。ばちばち、思考が跳ねる。

「あ、やだ、ぃ、きもちぃっ」

さらに高くなる声。耐えきれないようにいやいやと霊夢が首を振っているのが鼻に触れる彼女の身体の動きで分かった。

「あ、ぁ、あああっ、ゃだ……ぃくっ、――ぁ! あ……ぃっ」

霊夢の身体が痙攣している。その事実に加虐心に似た喜びが噴き出す。
疲れきった指さえもっとと言い出す。
あ、と呆けた声を押しつぶすように細い体にさらに指をねじ込んだ。

「ま、だめっ! ふぁ、ぁっ、まって、とめてっ、まりさぁっ」

待てる訳もなかった。震える脚で逃げようとするのが余計に愉しかった。指は抜けてしまったが両腕で抑え込んで白く泡立つ体液を舐めた。奥からは流れてくるものは先ほどよりもさらさらしている気がして啜り込む。
やだ、やだ、と霊夢は繰り返した。
細い体は限界みたいに震えていた。
大粒の涙が零れて痙攣が止まらなくなるまで、狂いそうな気持ちが止まらなくて散々霊夢に齧りついた。





目覚めたら太陽は真上に近い。あつい、と零してべたつく身体を撫でた。
隣で霊夢が目を開ける。起きていたのかもしれないし起こしてしまったのかもしれない。霊夢はだるい、と呟いた。そうだなあと魔理沙も思った。
なんとなく湿った布団を干さなければと考えていると、昨日の酒盛りの名残が目に入る。放置されていた乾物をひとつつまむ。塩気がやけにおいしい。

「酒、飲むか」

はあ? と呆れたような返事をして霊夢も同じものを齧る。

「いいけど。あんたは宴会に理由が必要なんじゃなかったの」

自分はいらないと言い切った癖に、霊夢はそんなことを言った。にやけた顔が魔理沙を見ていた。昨日の顔とはもう違っている。もっと明るい所で見られていたら、とふと頭をよぎった。

「理由ならあるし、いいんだよ」

いや、別に童貞捨てた記念じゃないぞ、と魔理沙は心の中で呟く。そもそも女が捨てるものじゃないし。
なんとなくべたつく顔を洗って、口をゆすいで、ついでにコップを二つ握ってくる。飾り気のひとつもなくてグラスとは呼べない、ガラス。
霊夢は首を傾げながらそれを受け取った。酒を注いでしまう前に、昨日はしなかったことをする。
初めて当たった唇は柔らかくて、好きだぜ、と自然とそう口にした。
やわらかな乾杯の音が、二度目のキスの合間に聞こえている。
霊夢の返事はまだなくてもよかった。これは、自分が自分の気持ちに気づいたからする喜びの宴会なんだから。
だから、なんなら。一生なくてもいい。

「好きだ」
「そう」

乾杯、と今度は注いだ酒を壁越しに合わせる。先程よりも静かな音を一気に飲み干して、少しだけ赤いような霊夢の頬に目を細めた。












いつかレイマリと声をかけていただいていたような気がしまして。だいぶ遅くなりましたが……。
こういう霊夢もいいなあと思う霊夢が自分の中にいっぱいいます。
野咲
コメント




1.性欲を持て余す程度の能力削除
レイマリもですがゆかれいむも気になります(真顔)
と、冗談のようなそうでないようなものは置いておいて。

禁忌を定めたのは誰か。カミサマなのかも知れないし、オトナなのかも知れない。もっと違うナニカかも知れない。
でもきっと、禁忌は破られるんだ。林檎を食べてしまった二人のように。
その味は毒のように甘くて、だから禁じられてるんだ。その甘さに堕ちてしまわないように。

どうでも良いけど、ちーたらと酒の組み合わせ良いよね。
2.性欲を持て余す程度の能力削除
気だるい気配と掴みどころのない霊夢がとても良かったです。
こういう何者にも囚われない霊夢が本当に良かった!