真・東方夜伽話

フランちゃんがレミリアのえっちを覗いて興奮したり悶々したりする

2017/02/08 23:28:51
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フランちゃんがレミリアのえっちを覗いて興奮したり悶々したりする

ズィーノ

初投稿です。オリ男×フランちゃんのお話で、オリジナルの設定が登場します。苦手なら今すぐにブラウザバックを。
よかったら感想ください。
ピクシブの方にも同様の小説を投稿しています。

 もうかれこれ、どれくらいこうしているのだろう。
 分からない。元々時間にルーズな性格だからか、今の時刻も曖昧になるのが私の悪い所だった。

 最初は………そう、ちょっとした出来心。
 いつも遊び相手になってくれるお兄様がお姉様のところに呼ばれるようになって、私とお兄様が一緒に遊ぶ時間が減ってしまって、それが何日も続いて。お兄様とお姉様は、いつも二人で何をしてるんだろう。って思って、気になって。それで今日は、いつもみたくお姉様に呼び出されたお兄様の後をコッソリと付けて行って、そして今、こうして私は、お姉様のお部屋の前で、ほんのちょっとだけ空いた扉の隙間から中を覗いている。
 それがもう、何分だか何時間だか前の話。
 お姉様の部屋から、お姉様の悲鳴を聞きながら、もうどれくらい?

「おにぃっ……おにぃ、おにぃ、もっとちょうだいっ!もっとシて!レミィをいじめて!」

 お姉様はベッドの上で裸になって、同じく裸になってるお兄様と抱き合っている。抱き合ったまま、身体を動かして変な格好をしたりとか、そんな事を繰り返したりしている。
 そして、お兄様が身体を動かす度にお姉様は悲鳴を挙げて、泣きそうな声を出して、お兄様に抱きついたり、足を絡めたり。
 二人共なんだか忙しなく動いてて、忙しい。

 二人は何をしているのだろう。お兄様に常々言われている、落ち着いて考えてみる、という事をしてみる。
 私の目には、お姉様はいじめられているようにも見えた。でも、お兄様はまだ普通の人間で、お姉様も私もれっきとした吸血鬼。力の差は歴然で、お姉様ならすぐにでも抵抗出来るはずだった。
 それをしないという事は、どういう事なんだろう。抵抗出来ないようにお兄様が何かしてる。というのは、きっと無いと思う。そもそも呼び出したのがお姉様なわけだし。きっとお姉様は、お兄様にいじめられているわけじゃなくって、お兄様にいじめさせているんだろう。

 だってお姉様ったら、悲鳴をあげているのにとっても嬉しそうなんだもの。
 普段私の前ではあんなに凛々しくて格好つけてるのに、お兄様の事だって「お前」とか、「あいつ」とか呼ぶくせに、お兄様と二人っきりになった途端「おにぃ」なんて言っちゃって。裸同士で、なんか楽しそうな事してて。

 ―――羨ましい。
 ―――私もシてほしい。

 無意識に浮かんだ思考に支配されそうになった身体を抑えつけて、目の前の光景に集中して追い払う。
 あの遊びがどんなものか、まだ全部見切ってない。何をして、ううん、何をされる遊びなのか、まだよく分からないから、お兄様にしてもらうのは後、今は、私もあの遊びをする為に、あの遊びを見て、覚えなきゃいけない。

 気付いたら、私の頬は熱を帯びて赤くなっていて、身体が火照ってるみたいに暑かった。
 なんか、変な気分。恥ずかしい事をしてるみたいな、不思議な感じがする。なんだろう。あれはなに?何ていう遊び?
 好奇心が動く、目が離せない。

「おにぃ……おにぃぃ……気持ちイイ……おく、おく入れて……」
「入れてほしい?奥までずっぽり入れてほしいの?」
「うんっ……子宮に届くぐらいふかーく入れて、私のナカ、おにぃの形にして……」

 お姉様は激しい運動をした後みたいに息を荒げて、遠目からでも分かるぐらいに泣きそうな瞳をして、それでいて真っ赤な顔は嬉しそうに、本当に嬉しそうに笑って、お兄様にそう嘆願した。
 いつも紅魔館の主として、凛々しく、気高く振舞っているお姉様が、卑しく、可愛らしく、そう言っていた。私の知るお姉様は、そこには居なかった。

 その時私は理解した。
 これは私が見ちゃいけない事だったんだ。
 私だけじゃなく、パチュリーも、美鈴も、あるいは咲夜でさえも、お姉様のこんな姿は見ちゃ駄目だったんだ。
 このお姉様はお兄様だけが見ていい姿で、お姉様はお兄様だけにしかこの姿を見せなくて、今のお姉様はお兄様のもので、紅魔館の主でも、誇り高きノスフェラトゥでも、ましてや一人の姉ですらなく、ただお兄様のモノである姓無きレミリアでしか無い。

 見てはいけないものを見た。
 残念な事に、その時の私はその事の罪悪感よりも、その誰にも見せないお姉様を見せさせる。その遊びについての興味が勝った。

「おにぃっおにぃだめ!もうイく!イっちゃう!イっちゃ……あっ!ダメ!だめだめだめだめぇあうっ!やぁっあっあっ……。
 あっ……あっ~~~~~~っ!!~~~~~っ!!!あっ!……くぁ……」

 そして、お姉様は突然ガクガクと身体を痙攣させて、口の端から涎を垂らしながら身体を大きく仰け反らせた。
 一際大きくプシャッと何かが吹き出す音がして、それが断続的に何度か響く。これでもう4回目になる、お姉様が「イく」と言って、その後ああして、痙攣する状況。
「イく」ってなんだろう。私の中で「いく」といったら、「行く」か「逝く」の意味しか知らない。他にどんな意味があって、どういう意味でお姉様はこの言葉を使っているんだろう。

 分からない。未知の領域。
 或いは、私が触れてはいけない領域?

「あ……は……。
 あぅ……ひ……」

 身体をビクビクさせっぱなしのお姉様をお兄様が抱きかかえて、お兄様はお姉様の耳元に顔を近付けて優しく囁いた。

「レミィ、また勝手にイっちゃって。悪い子だねレミィは。もっとお仕置きされたいのかな」
「シてぇ……。おし、おしぉき、もっとぉ……。れみぃ悪い子でいいからぁ……」
「ダーメだよ。簡単にはしてあげない。ご褒美とは違うからね」
「やらぁ……シて、シてよ。欲しい、欲しい……あっ…っ!~~~っ~~!!!あっひっいんっ~~~っ!!!」

 お兄様がお姉様の耳を口に含み、ピチャピチャと音を立てて舐めだした途端、お姉様はさっき以上にビクビクと身体を跳ね上げさせ、身を捩ってお兄様から逃げ出そうとしだした。
 でもお兄様はお姉様の背中――翼の付け根の部分に手を当てて、しっかり掴んでるみたいでお姉様はずっと逃げられないでいる。

「はっねぇ……!は、やぁっ!んあっ!あっあっらぁっめ!はね、はねだめっ!そこあ、あんっんくっ!?~~~っ!イ、く……イ、イっちゃ……あ……で……」

 耳と翼の付け根を弄くられたお姉様がまた「イく」になりそうになった時、お兄様はお姉様に触れるのを止めて、お姉様は「イく」になりきれなかった。
 すると、お姉様は抗議的な目で、泣きそうな目で、期待してたのにって目をお兄様に向けた。

「やだぁイきたいのに。……イかせて、イかせてよ。レミィ悪い子になる」
「ダメだよ。レミィが良い子になるって言わない限りイかせてあげない。
 レミィの身体はもう、隅々まで分かってるよ。もう自分でしたんじゃ碌にイく事も出来ないんでしょ」
「………そんなこと、ないもん。一人でもちゃんとイけるし」
「レミィ、嘘付いてる顔してる。お兄ちゃんに犯されないとイくことも出来ないなんて、レミィはとんだ変態さんだね」

 そうやって会話している間も、お兄様はお姉様の身体を撫で回して、特に片手は絶対頭の上に置いて、髪を梳くようにして撫で付けているのが分かった。
 いいな。私もあれ、してほしいな。

「ね、早く続き……。頭おかしくなっちゃいそうだから……はやく……」
「どうしようかなぁ。悪い子のレミィにはもうちょっとお仕置きが必要じゃないかな?」
「だってぇ……おにぃが凄すぎるんだもん……イくの止まんない……今も、あっ……く、ちょっと、イきそう……」

 お姉様がそう言いつつ身体をピクピクと震わせると、お兄様はお姉様の背中に両手を回して優しく抱き締めた。
 そして、お姉様の顔がお兄様に近付いて、二人共夢中になって見つめ合って、私が見てる目の前で、そして―――

「ん……」

 二人は、キスをした。

 何も考えられなくなった。
 キス。口付け。チュウ。
 お姉様は気持ち良さそうに目を閉じて、時々口の端から吐息を漏らして、お兄様とずっと、ずっとずっとずっと、私の前で、私が見ている前で、お兄様と。

 お兄様がずーっとキスをしたままお姉様をそっと押し倒すのを見て、私は音を立てないように気を付けながらそっとお部屋の扉を閉じて、目的地も特に決めずに、歩き出した。

 なんでキスしたの?
 お姉様も、お兄様の事が好きだったの?
 私もまだしたことないのに、お姉様だけ先に、あんなお遊びして、いっぱい手も握り合ってて、いっぱい身体触りっこしてて、そして、キスまで―――。

 キスをするのは恋人の証、ましてや唇を合わせてのキスなんて、大好きです愛してますって意味だって、お姉様はそう言ってた。
 お兄様とお姉様は、恋人だったの?

 じゃあ、私はどうなるの?私のこの気持ちは、どうすればいいの?
 分からない。

 今の私には、分からない。



-----



 自室に戻って、ベッドの上に寝転がる。
 おっきなベッドの上は、よくお兄様と一緒に遊んだり、一緒にお昼寝したりで楽しい場所の一つなのに、今は寂しい。私一人しかいない。

 一人しかいないベッドの上で、思い出すのはさっき見てきた、お姉様のお部屋の、お姉様のベッドの上の、あの遊び。
 ううん。きっとあれは遊びじゃなくて、愛し合ってる二人がする事なんだと思う。私はあんな遊び、お兄様に教えてもらってないもの。
 私の退屈を紛らわせるためにって、お姉様が連れて来たお兄様が、お姉様が覗き見してる私に気付かないぐらい夢中になる遊びを教えてくれないはずがない。
 だったらあれはきっと、本当に大好きな二人でしかシちゃいけない事なんだと思う。大好きだよって、愛してますって。それを伝えるための、確認のためのものなんだと思う。
 きっと、キスとおんなじものなんだと思う。

 だからお互いに裸で、恥ずかしい所も見せあって。
 あんなに気持ち良さそうで。

 二人が抱き合ってる所を思い出して、お姉様の位置に、私を置き換えてみて、そしたら



 お腹の奥が、きゅうってなった。

 お兄様とお姉様は、二人共裸で抱き合って、それから、お兄様はお姉様のお腹の下―――多分、お股の所を弄ってたんだと思う。
 おんなじ場所を、おんなじようにして、お兄様がしてたみたいにして触る。

 自分のお股に指が当たると、何だか、じんと響く何かがあった。ような感じがした。
 よく、分からない。けどなんか、不思議な感覚がする。

 直に触れてみたい。
 お兄様は、今みたいに布越しなんかじゃなく、直接お姉様のお股に手を入れていた。
 という事は、私も直接触ったら、何か分かるかもしれない。

 スカートを捲り上げて、いつも履いてる白いドロワ―――お姉様はあの時、黒い紐のパンツで、お兄様に脱がされていた―――の中に自分の手を入れてみる。
 おしっこをする方の、前の穴に手を当ててみて、何の気もなしに指の関節を曲げた。

 あの時みたいに、身体が火照る感覚があった。
 身体が熱を持って、特におへそのちょっと下辺りの、奥らへんが熱い。
 こうで合ってるのかな。よく分かんないけど、多分合ってると思う。
 
 お兄様のことを考える。お姉様と愛し合ってたお兄様を、脳裏に思い描く。
 お兄様は、お姉様のお股に手を入れて、もう片方の手でお姉様の胸を揉んでたはず。
 だから私も服の中に手を入れて、自分の胸に触れてみる。

「………?」

 特になんともない。
 私の胸はパチェとか美鈴みたいに大きくは無いし、別にそんなに柔らかくない。
 揉めるぐらいにはあるけれど、それも自分の手で揉んでるからであって、お兄様のおっきな手だったら、あてがうだけで埋もれちゃうぐらいのものだった。
 でも多分、お姉様も似たようなものだし、お兄様は気にしないかも。

「ん……」

 暫く自分の胸をふにふにと揉んでいると、ちょっとだけ、胸の方からもじん、って何か、変な感覚がきた。
 お股の方と一緒で、それはおへその辺りに繋がる不思議な感触で、熱を持ったみたいに胸の方も熱くなってくる。

 ゾワゾワってするような感じがして、私は胸を揉み続けた。

「んふ……ぅ……」

 思わず吐息が漏れる。
 声が漏れそうになって、それと同時に吐いた息の方が大きくて、結局声にならなかった声。
 胸のところ、特にその先っちょの、乳首のところが熱い。ジンジンしてきた。恐る恐る、そこに触れてみる。

 私の指が乳首に触れた瞬間、よく分からない感覚が走って、ピクンと身体が跳ねた。
 そしてその少し後に、お股に当てている手がちょっとだけ液体に触れた。

「っ……?」

 思わずドロワの中から手を出して、目の前に持ってくる。
 その液体はネバネバというか、ヌチョヌチョというか、ヌルヌルというか、普通の水と違うみたいだった。指を開くと、その液体は糸を引いて、その糸は細くなって垂れていく。
 またドロワの中に手を入れて、お股を触る。何だか身体が熱くなてきて、さっきよりここも濡れている気がする。
 ぷっくり膨らんでいるその場所を、指でトントンと叩くようにして、何度か触ってみる。

「ひぅ……ん……」

 何度目かの時、突然ビリッってして、思わず声が漏れた。
 慌てて口を閉じるけれど、でも、それでも抑えられずにくぐもった声が口をついて出て来る。

「ん……んっんっ……は、ぁ……ん……」

 お股に合わせて、胸の方に当てた手も一緒に動かしてみる。
 擦るみたいに手を動かすと、指が乳首に引っ掛かる。先っぽの方が固くなって、ピンと立っているのが分かった。
 クチュ、と、お股の方から音がした。

 暫くそうして触っていると、段々身体が熱くなっていく。火照った身体を更に燃やそうとするかのように、私の手は止まらなかった。
 トントンって叩く指を少しずつ強くしていく。同じように、乳首を擦ったりするだけじゃなくて、指先で挟んだり、ちょっと押してみたりとか、触り方を変えてみる。

 叩く度にヌチョっと糸が引いているのが指先の感触から伝わる。その度にお腹の下が疼くような感覚が強くなっていって、それに合わせて、叩く強さも増していく。
 指先が、ヌメヌメで滑りのよくなった私のおしっこをする穴の中に入って、その瞬間、私の身体が痺れた。

「んんっ!ぃ……んくぅ……」

 身体がビクビクって震える。私の中に、私が入っている。変な感触。
 初めて触れる感触が新鮮で、新しい。私の中は指と比べてとても熱くて、中はヌルヌルで、不規則に蠢いている。
 なんか、不思議な感じ。私の中ってこうなってるんだ。

 中はあったかいけど、変な感じはしない。内蔵に手を入れてるっていうか、手から伝わる感触はそんな感じで、お股の方も、入ってるっていう感触はするけど、だからどうっていう事ではない。

 そういえば、お兄様はしきりに腰を振ってお姉様のお股と自分のお腹をぶつけるみたいにして動かしていた。
 お兄様のお腹とお姉様のお股がぶつかる度に、お姉様は甲高い声で悲鳴を挙げて、泣いたり、お兄様にしがみついたり、甘ったるい声を出したりしていた。

 中に入れていた指を抜いて、さっきみたいに自分のお股を軽くトントンって指で叩いてみる。叩くと、不思議な感覚がして、お腹の奥がきゅうってなる。
 楽しいかどうかはよく分からなかった。ただ、私が気付いた時には、私は夢中になってお股に手を当てて、その度に私は変な声が出てしまって、それが何だか、やめられない。

「んっ……んくっ……あん……んん!」

 そうやって触っていると、段々どの部分を中心にその不思議な感覚が広がっているのかが分かった。
 自分で触ってみると、その部分は一際強く感じる部分、穴の上にあるちっちゃい豆粒みたいなのが、ぷくって膨らんでて、その部分が、凄く、イイ。

 段々お股をトントンって叩くんじゃなくて、その豆粒みたいなのを弄るようにして触るようになった。
 指で摘んだり、転がすみたいにクリクリって、してみたりするとビリビリって身体が痺れる。

「あっ!ん……あっあっ……ひっ……ぃ」

 ゾワゾワってして、声が抑えられなくなった。変な感じがするのに、止められない。止めたくない。
 これが気持ちいいって事なのかな、お姉様は、もっとおっきな声で悲鳴みたいに叫んでた。お兄様にシてもらったらあんなに気持ちいいのかな。
 今よりずっと?比べ物にならないくらい?

「ぉ……にいさま……あっ。お兄様っ……お兄様っ!」

 ぎゅって目を瞑って、考えるのが億劫になってきている脳で必死にお兄様を思い描いて、想いながら、口に出してその名前を呼びながら、私はそこを弄り続けた。
 そこを弄る手はいつの間にか最初よりもずっと早く、ずっと激しく、そこを弄くり回していた。腰がビクビクってなっちゃうぐらいの刺激が、感覚が、私の中を走っている。

 初めての事で、よく分からないけど、きっとお姉様が味わってたのも、こんな感覚だったはず。

「あぅっにっさまぁ!おにぃっ……さっあっ……おにぃっおに、ぃ」

 お姉様がそう呼んでたみたいに、おにぃって私も呼びながら、ずっとそこを弄くり続ける。
 ぎゅっとその豆粒を力を込めて摘むと、身体がビクビクってなって、急に、おしっこがしたくなった。

「やっあっ……!あっ……やだ、やだやだやだっあっあ………」

 でもそれに気付いた時には、もう私の指は止まらなくて、夢中になってて、私は腰をガクガクと震わせて、溢れそうになる衝動を抑えきれず。
 私のお股は、いつもよりも強い勢いでプシャッと音を立てながら"おしっこではない液体"を噴出した。

 それがおしっこじゃないと分かったのは、それがおしっこを出す穴とは別の穴から出てきたからだった。
 そしてよく考えると、私が指を入れたのもおしっこをする穴じゃなく、そのすぐ下に付いている方の穴だった。お水が出たのはそこからで、それはおしっこというには、ちょっと粘っこかった。

「はぁ……はぁ……ん……はぁ……」

 結局、よく分からない。
 二人がしてた事が楽しい事かどうかは、分からない。楽しいというのとは、違う気がする。
 でも、夢中にはなった。夢中になって、今無気力になって立つのも億劫になっちゃうぐらいには体力も使ったし、夢中にもなった。

 そして今の私にあるのは濡れて気持ちの悪いドロワとシーツ、そして虚無感というか、寂しいような、変な気持ちだった。



 この行為をしていたお兄様とお姉様の事を考える。
 お姉様はあの遊び。というか、行為の最中、何度か身体をビクビクと震わせて、腰をガクガクさせて、その後、プシャプシャって何かが噴き出す音が聞こえた。
 そして私も、そのお姉様と似たような事になった。という事は、あれがきっと「イく」ていう事だったんだと思う。

 「イく」になると今私がそうなってるみたいな、こんなに力の抜けた状態になってしまう。だからお姉様はお兄様に悪戯されてもされるがままだったし、お兄様がどれだけお姉様に意地悪な事を言っても、弱々しく反論するだけで、気高くはなれなかった。
 そんな状態をお兄様に見せても、どんなに情けない姿を見せても見られても、お兄様だから大丈夫っていう。安心がお姉様にはあるんだと思う。
 そうじゃなかったら、そもそも裸の見せあいっこなんてしていないか。



 濡れたシーツの上に変わらず寝転がったまま、お兄様の事を考える。
 優しくて、私といつも遊んでくれてて、楽しそうに笑ってくれるお兄様。
 色んな事を知っていて、お外の世界の事もたくさん教えてくれて、人間だから力はちょっぴり弱いけど、お兄様の血はとても美味しくて、血を吸われてる最中にも私の頭をゆっくり撫でてくれる。憧れのお兄様。

 お姉様と愛し合ってて、キスしたり裸を見せ合ったり、あんなに激しく愛を確かめ合ってたお兄様。
 いつも傍にいてくれるのに、手を伸ばしたら握ってくれるのに、私をお兄様のものにはしてくれない、お兄様。

 私だって、お兄様の事が大好きなのに。
 ずっとずっと一緒にいたいし、本当は一瞬でも離れたくなんかないし、一生お兄様と遊んでたい。
 本当はお家の中だけじゃなくて、一緒にお外にも行きたい。お兄様が知ってるお外の世界を、私に教えてほしい。この世界にはもっとたくさんの事があって、もっと楽しい事があるんだって教えてほしい。
 お兄様の為に、お兄様の事を思って、想い続けて、私はお兄様の事をずっとずっと考えてるって伝えたい。

 怖い夢を見た時みたいにぎゅうって抱き締めてほしい。何か良い事があった時みたいにいい子いい子って頭を撫でてほしい。お姉様にしてたみたいに、私にもキスをしてほしい。
 お人形遊びなんかじゃなくて、ごっこ遊びなんかじゃない、本当の、お兄様のお嫁さんに、私はなりたい。
 なりたいのに。

 お兄様は、お姉様の恋人だった。
 キスしたっていう事は、きっとそういう事なんだ。
 だからお兄様は、私の恋人にはなれない。

「う……」

 私も好きなのに。こんなに好きなのに。
 お兄様は私の気持ちには応えられない。

「くぅ……ぐすっ……」

 酷い。お姉様だけ、ズルい。
 いつからそうだったの、いつからお兄様とお姉様は恋人になったの。
 私の想いはいつから、届かないものになったの。

 分からない。
 私にはそれすらも、誰も教えてなんかくれない。

「う……ぉ、にぃさま……おにいさまぁ……」

 私だって愛したかった。私だって、愛されたかった。
 お兄様に大好きって言われたかった。愛してますって、一緒に言いたかった。
 お兄様のものにしてほしかった。

 いつもいつも、お姉様の方が先を行ってて、私はその後を付いていくしかなくて、それが嫌で、だからお兄様は、お兄様だけは、私が、私の、

「お兄様……!」

 シーツに顔を埋めて、声にならない声を漏らして、私は身体を丸めてうずくまって、私は、私は―――。

『誇り高きノスフェラトゥは泣いたりなんかしないわ。フラン、強くなりなさい』

 いつか、お姉様が言ってた言葉が脳裏に浮かんで、私は目を開けた。
 何年前の事だったっけ、時間の感覚が曖昧だから、正確には思い出せない。

 でも、最初の言葉を思い出したら、後は自然に続きが浮かぶ。
 次の言葉は確か、こうだ。

『私達は吸血鬼よ。ヴァンパイア、ドラキュラ、ノスフェラトゥ。呼び方は色々あるけど、そのどれもが私達を指す言葉。高貴で、麗しく、気高い存在。それが吸血鬼。
 涙は決して見せない。誰の前であっても、自分の前であってもね。フラン、貴女もそうなりなさい。強き事は美しきことよ』

 吸血鬼は泣かない。
 お姉様はそう言っていた。

 強くなりなさい。
 お姉様はそう私に言い聞かせた。

 強さ。
 強さって、何だろう。

 私にとっての強い存在、と言えば、それはお姉様や、霊夢、魔理沙。そしてお兄様。
 お兄様は弾幕ごっこも出来ないし、弱い普通の人間だから本当は簡単に死んじゃうんだけど、でも私はお兄様を強いと思ってる。
 なんで?

 お兄様は、そう、諦めないから。
 何回私が間違えてどかーんってしそうになっちゃっても、私が手の付けられない癇癪を起こしても、わがままを言っても、お兄様はずっと私の傍にいた。
 傍に居続けた。

 絶対に私の傍にいて、一緒に遊ぶ事を諦めたりはしなかった。
 だから、お兄様は誰よりも強い。

 死んじゃったら終わりの癖に、その一つしかない命を私の為に賭けてくれたから。
 だから、私はお兄様が大好き。

 強いお兄様は諦めない。諦めないから強い。
 強いから、諦めない。

 だったら、私も諦めない。
 お兄様を諦めない。お兄様の恋人を、お兄様の愛を、お兄様とのキスを、お兄様との、裸の見せあいっこを、諦めない。

 何故なら私は、強くて美しいノスフェラトゥの一族。
 強いから、私は諦めない。



-----



 次の日も、太陽が沈んだ後にお兄様はやってくる。
 お兄様が私の所へ来る時間は決まっていて、必ず吸血鬼が活動を始める日没後、それからお天道さまがまた昇るまでが、本来お兄様が一緒に遊んでくれる時間。

 私はお兄様が来るのを今か今かと待ちながら、何度も備え付けの鏡の前に立っておかしな所が無いか確認した。
 慣れない格好ですごく恥ずかしくて、最初に着てみた時は凄くスースーして顔が赤くなっちゃったけど、でもお兄様は男の人だから、きっとこういう格好をした女の子は好きだと思う。

 地下室じゃない私のお部屋から大きなお月様を眺めていると、トントンって扉を叩く音がして、私は椅子から立ち上がってすぐに扉に向かった。
 この時間帯に私のお部屋に訪ねてくる人は限られていて、そしてこのタイミング、この状況で、私の部屋に用事がある人は一人しかいない。

 ちゃんとお出迎えしないと、いつもと違って上品に、お淑やかに。
 ササッと前髪を整えて、早まる足で乱れないように気を付けて歩く。無意識にせわしなく動いてしまう翼を意識して動きを抑えて、最高の笑顔でお出迎えを。

「こんばんはフラン。今日も良い夜だね」

 あぁ、お兄様。
 かっこいい。

 昨日よりずっと、一昨日より遥かに、一昨昨日よりずっとずっとずっと。
 大きい手先。輝く黒髪。優しい微笑み。そしてそして――本当に綺麗な瞳。

 見ているだけでドキドキしてしまう。そのお顔を見ているだけで嬉しくなってきちゃう。
 お兄様。私のお兄様。大好き。大好きな、とっても大好きなお兄様。

「あ……と、こんばんは。お兄様。今日も……その……」

 緊張する。上手く言葉が出ない。心臓はずっとドキドキしっぱなしだし、指はカタカタ震えてしまう。
 目を合わせられない。今日のお兄様、なんだかいつもより、かっこよすぎる。

「あぁ。今夜も一緒に遊ぼうね。昨晩はごめんね。レミリア様があんなに早く呼んでくるとは思わなくてね。そんなに遊べなかったね」

 それはお兄様のせいじゃない。
 昨日の事で何故か謝ってきたお兄様に、私は咄嗟に俯きがちだった顔を挙げて、昨日の事で怒ってなんかいない事を説明しようと、重くなっていた口を慌てて開いた。

「ううん。お姉様のご用事だったんでしょう?だったら、悪いのはお姉様よ。お兄様は何も悪くないわ」

 するとお兄様は首を横に振って、私の言葉を否定した。

「そんな言い方はよくないよ。レミリア様も苦労してらっしゃるようだからね。特に最近は、博麗神社の他にも守矢神社や色んな組織との繋がりも深めていっているから。勿論、俺の住んでいる人里だって例外じゃない」
「昨日も、そのお話をお姉様としてたの?」
「そうだよ」

 嘘だ。
 お姉様はお兄様とずっと愛し合っていた。少なくとも私が見ている間はずっとそうしていた。仮にそんなお話をしていたとしても、それはほんの少しの間だけ。だと思う。
 目的はお話の方じゃなく、愛し合うその行為の方だ。
 そして私の目的も――

「フラン。今晩は随分と変わった服を着ているんだね」
「うん。今日はね、いっつもとは違う感じの服にしたのよ。いめちぇんっていうんでしょ、こういうのって。
 ね、お兄様。似合ってる?」

 お兄様が私の服装について言及したので、私はチャンスだと思って、ここぞとばかりにいつもより顔を近付けて、なるべく大人の色気を意識しながら微笑んでみた。
 格好も相まってとっても恥ずかしいけど、でもお兄様にも伝えたい。私も愛してって、その為にこれは必要な事だから。我慢。

 私が今身に着けているのは、薄手のネグリジェ一枚と、いつもはドロワの下着をセクシーな紐の黒いパンツにした。おへそも丸出しで、私のちっちゃなお胸も透けて見えてしまっているのは、鏡の前に立った時に確認した。
 お兄様は目のやり場に困るといった様子で視線を彷徨わせていて、でも私には、チラチラと胸元に目が行っているのに気付いていた。
 お兄様はちゃんと、私の身体にも反応してくれている。

「あぁ、とっても似合っているよ。でも、ちょっとお兄様には刺激が強すぎるかなぁ」
「そう?」

 お姉様の裸は平気な顔して見てたのに?

 口には出さなかったけど、無意識ではそう思った。
 あの時のお兄様は、優しい目と意地悪な顔で、お姉様の事をたくさん触って、撫でて、弄っていた。

 私にはしてくれないの?

「どうして急にそんな格好を?お腹出してると風邪ひいちゃうよ」
「………今日はね、お兄様と、新しいお遊びがしたいなって」
「新しい?」
「うん」

 お兄様が話を続けたので、私は慎重に言葉を選びながらそれに答える。
 お兄様の手を引いて、いつものようにベッドの上へ……行こうとしたけど、足がもつれそうで、上手く歩けない。

 お兄様が腰を支えてくれて、同時に片手を握ってくれる。
 お兄様にエスコートされながら、私達はベッドに腰掛けた。

 想定より流れが早い。
 本当はもっと関係ないお話とか、普通のお遊びとかをしてからこの話になるのが理想的だったのに、もう流れは変えられない。
 まだ覚悟も決まってないのに。

 どうしよう。
 頭がこんがらがってきた。緊張してるのは自覚出来てる。今の私は平静を欠いているのが分かる。でもそれだけ。何も出来ない。

 お兄様は私の隣に腰掛けたまま、下を向いてしまった私の方を見ていた。
 何か迷っている事が伝わってしまっている。お兄様に迷惑をかけてしまった。
 上品でいるのって難しい。

「ゆーっくり考えたら良いよ。自分が納得するまで、ゆっくり」

 お兄様の声が聞こえて、私の思考は一気にクリアになった。何かに悩んでいる私の姿を見て、お兄様が助けてくれた。
 普段ならこれ以上ないくらい嬉しいはずのその心遣いと優しさが、今の私には痛かった。

 罰が欲しい。
 私にはそれが足りない。それが無いと、私は自分を納得させられない。

 優しいお兄様はきっと私を怒らない。それどころか、自分のせいにしてしまうと思う。
 お姉様も多分だめ。なんだかんだ言ってお姉様は優しいから。
 咲夜は、そもそも今回の事に関係無いし私を傷付けたりなんて出来ないだろうな。
 結局自罰か、それとも、無自覚にお兄様が罰して下さるか。

 繋いだ方の手をきゅっと握って、お兄様の反応を伺う。
 お兄様は私の手を優しく握り返してくれて、その後、顔を上げた私に、にっこりと微笑んでくれた。

「………」

 やっぱり、素敵な人。

 胸が痛い。ズキズキする。
 緊張する。罪悪感がある。そのどっちもがごちゃまぜになって、私を苦しめる。
 この苦しみを贖罪にして、私の覚悟が定まっていく。

 ゆっくり、深呼吸。落ち着いて、冷静に。
 私はフラン。フランドール。誇り高きノスフェラトゥ。
 戦も恋も、諦めない。

「………」

 無言のまま身体を寄せる。密着して座って、じっとお兄様のお顔を見つめる。
 高鳴る自分の心臓の音が聞こえる。平静なお兄様の音が聞こえる。私だけが緊張しているのが分かった。

 見つめ合ったまま、身体を擦り寄せる。腕に密着して、胸を押し付ける。小さい胸だけど、お兄様は僅かに反応を返した。
 初めてお兄様が困ったような顔をして私から目を逸らす。

 お兄様も、私が言わんとする事には気付いた。気付いたけど、知らんぷりをしてる。
 当たり前か、お兄様が本当に好きなのはお姉様であって私じゃないんだから。

 でも

「……ねぇ、お兄様。」

 私もちゃんと伝えないと、自分の気持ちを。
 そうじゃないと、私は戦う資格すら得られない。

「……私も愛して、ください」

 言えた。

 まっすぐお兄様の顔を見て、掴んだ腕はガッチリ抱え込む。
 体重を預けてお兄様に密着して、至近距離でお兄様を見上げる。

 手は離さない。お兄様がうんって言うまで離さない。
 これは戦。お姉様との戦争。私がお兄様を奪い取る。
 略奪でいい、盗人でいい、戦わずして敗北する方がよっぽど恥なんだから。
 私は堂々としてればいい。

「フラン。お兄様はね……あー、いや」

 お兄様はそこまで言って一度逡巡したあと、相変わらず私の手を握ったまま、私に抱きつかれたまま、纏う雰囲気を大きく変えた。
 それが私にとって良くない雰囲気な事はすぐに感じ取れた。

「"俺"は―――」

 そしてまた、僅かな静寂。
 お兄様はまた言葉を選び出して、私はお兄様の雰囲気に圧倒されて、口を開けなかった。

 お兄様が"俺"なんて言ってる所、初めて見た。

「俺は、フランの事は、大好きだよ。元気があって、笑顔が眩しくて、ちゃんと良い子で俺の事を待ってる。俺の自慢の、可愛い"妹"だ」

 違う。
 私が聞きたいのはそんな事じゃない。私が求めてるのは、妹として扱われる事なんかじゃない。

 私を、お姉様みたいに愛して欲しいの。お兄様の妹じゃなくて、お兄様のお嫁さんでいたいの。
 お兄様のお嫁さんを、お姉様から奪いたいの。

「……分かった」

 でも私は、お兄様の言葉に頷くしかない。
 お兄様は言外に、私は愛していないって言ったんだ。私はお兄様の妹であってお嫁さんじゃないから。

 お兄様は私が素直に頷いたのを見て、安堵の溜息を吐いた。
 けど、私はそんなお兄様に更に顔を近付けて、吸血鬼の怪力を使ってお兄様を押し倒した。

「うおっ。フラン、どうしたの」
「……分かったわ。お兄様。
 お兄様は、お姉様が好きなんでしょう?私、知ってるんだから」
「フラン。落ち着いて。お兄様の話を聞いて。
 ね?フラン。良い子にして」
「やだ!」

 感情が昂る。昂った風に見せかける。
 内側の私は冷静でいる。すごく緊張してるけど、でも、大丈夫。頭は冷静だし、力の制御も誤ってない。能力も暴走してない。

 昂った風に見せかけた外側で、勢いに乗せて、内側の想いを、私の気持ちを、全部ぶつけて。無理矢理奪う。

「私はお兄様が大好きなの!世界で一番好きなの!
 お兄様の……こんな私に、優しくしてくれる所とか。怖がったりしない所とか……私のこと、分かってくれる所とか。いっぱいいっぱい、大好きなの」

 ここまでは大丈夫。言いたい事をちゃんと言えた。
 頭の中で組み立ててた全部を言えたわけじゃないけど、でも大体合ってる事を言えてる。

 深呼吸したい。でも我慢して、この勢いのまま私の想いを溢れさせる。

「だから……私も、お兄様のこと、もっと知りたいの。お兄様の全部を知りたい。私の全部を見て欲しい。お兄様の、一番大切な人になりたい。
 お兄様のモノになりたい」

 ちょっと、言いたかった事とは外れた。
 外れたけど、外れた事に気付ける程度には冷静でいられている。
 あぁでも、もう抑えつけてるのも限界かも、だってもう、お兄様が。

 お兄様。お兄様。大好きなのに。
 ごめんなさい。フランの気持ち、全部ぶつけちゃって。もう喉が痛いの、熱くて痛い。涙が出そう。
 声が、震える。

「……お兄様がお姉様のお部屋で何してるのか、フラン知ってるよ。全部見てたもん。
 お兄様が、お姉様の事大好きなのも、知ってる」

 だってフランは、ずっとずっと見てたんだから。
 お兄様が今フランに向けてる目は、お姉様に向けてる目とは全然違う。
 お姉様に向けてる目はもっと、深くて、温かくて、優しい。

「お兄様がフランを愛してくれないのも知ってる……!」

 フランにその目は向けられてない。これがもう、フランの恋の、答えなんだ。
 お姉様と戦う資格を得た。得た上で、知らされた。これがフランとお姉様の差だって。戦う資格があっても、勝ち目が無ければ意味なんてない。そんな当たり前の事を気付かされた。

 今のフランは、無様に縋り付くだけの敗北者でしかない。
 みっともなく足掻いてる、負け犬でしかない。

「なんで、なんでお姉様なの……。なんでフランじゃないの……!
 大好きなのに……。お兄様……お兄様が……だって……」

 上手く言葉に出来ない。
 視界が歪む、涙で見えなくなる。

 泣いちゃだめなのに。フランが強くないから、フランが弱いせいで。
 フランが弱いから、お兄様はフランを愛してくれなかった。
 フランが弱いから、お姉様に先を越された。
 フランが弱いから、こんな事しか出来やしなかった。

「でも……でも、お兄様ぁ……、フラン、大好きだよ。お兄様、愛してるよ……。
 だから……ねぇ。フランだけ見て……。フランだけ……うぐっ……フランを……ねぇ……」

 お兄様は、泣きじゃくるフランの背中に静かに手を回して、ゆっくり抱き締めた。
 お兄様の手はやっぱり大きくて、ゴツゴツしてて、あったかい。
 あったかいけど、でも、それがフランには悲しかった。

 優しくしないで、これ以上好きにしないで。
 いっその事、冷たく振り払ってくれたらどんなに良いか。なのにお兄様はそんな事してくれないから。
 その優しさが、何よりフランには残酷な事なのに。

 お兄様の胸に顔を埋める。
 ポンポンと頭を撫でられて、ますます泣きじゃくる。
 背中を優しく擦ってくれて、余計に悲しくなる。

「ごめんなさい……お兄様……ごめんなさい……」

 惨めだ。
 こんな事しか出来ない自分が、どうしようもなく惨めだった。
 慰められるばっかりで、お兄様に甘えて、こんなだから、お兄様はフランを好きにならないんだ。

 でも。それでも。

「フランを愛して……。お姉様より、フランを。
 愛して」

 "私"はまだ諦めてなかった。




-----



 顔を近付ける。お兄様の瞳を見つめる。
 綺麗な色で、油断してると吸い込まれそう。

 本当に、素敵な人。
 大好き。愛してる。

「"私"、何だってするよ。お兄様の言う通りにする。お兄様の言う事聞いて、良い子にするよ。
 おままごともお人形遊びも、お兄様がつまんないんだったら我慢する。お兄様が一番喜ぶことがしたいから」
「私ね、最近はずーっとお兄様のことばっかり考えてるんだよ。お兄様が帰っちゃった後も、ずっと。
 もっとお兄様の色んな事が知りたいの。お兄様の全部を、私が把握しておきたいの。好きなものとか、嫌いなものとか、して欲しいこととか、逆にさせて欲しいこととか」
「私、お姉様より役に立つよ。お姉様より力もあるし、魔法だって使えるもの。能力はまだ使いこなせてないけど、でも、きっとすぐ上手になる。
 お兄様が生きてるうちに、必ず」
「だから、ね?お兄様。私を愛して、私だけを見てて。お姉様を見ないで。ずっと此処にいましょう?私、お兄様と片時も離れたくないの。お兄様とずっとずっとずーっと一緒にいて、一緒に過ごして、一緒に遊んだり、お食事したり、眠ったり、お外に行ったりしたいの。
 ね、いいでしょ?お兄様」

 "フラン"が"私"の異常に気付いたのは、私が全てを言った後の事だった。
 発言した私自身も止められない。心の奥底の、無意識に覆い隠して浮上しないよう沈めていたはずの闇の部分が露呈した。
 全ての自分が共通する唯一の感情が、表に出た。それは正確にはフランでも私でもなく、もっと別の、自分の根幹を成す部分だと、私は気付いた。
 冷静な"私"は、感情的な"フラン"とは対照的で思慮深いと自称している。普段のフランドール・スカーレットは、"フラン"と"私"が織り交ざった存在。私とフランで、吸血鬼フランドールとなる。

「………」

 お兄様は何も言わない。
 変わらない無表情で、私を静かに見つめ返すだけ。
 お兄様はさっきからずっと、私が喋るのをただ黙って聞いている。

 お兄様が口を開いたのは、私が喋り終えてからたっぷり数十秒は待った後だった。

「フラン」

 お兄様はただ、私の名前を呼んだ。
 優しい声音。優しい表情。いつものお兄様と変わらない。
 変わらないからこそ、お兄様が発した次の言葉は、私にはとても衝撃的だった。

「俺は、フランの事も愛してるよ」

 静寂が、場を支配した。
 何を言われたのか、理解出来なかった。

 何も考えてない頭で、何も思考出来ない状態で、私はただ、感じた事をそのまま言葉にするしかなかった。

「―――何で?」

 疑問。
 私の中にあるのはそれだった。

 お兄様はお姉様を愛している。きっと将来を誓い合って、いずれは結婚もすると思う。
 お姉様がお兄様のお嫁さんになれば、私はお嫁さんの妹でしかない。私の入り込む余地はそこしか残されていない。そしてその余地は今現在に置いても変わらない。
 私はお兄様の妹でしかいられず、決してお嫁さんにはなれない。何故なら、人が、生涯に愛する人は一人だけだから。
 二人を愛する事なんて出来ない。

 なのにお兄様は、私"も"愛してるって言った。
 私も?そんな事はありえない。これはきっと、お兄様と私の間で、「愛してる」って言葉の意味が違うんだろう。

「お兄様はお姉様を愛してるんでしょう?でも、私も愛してるっていうの?」
「そうだよ。俺はレミィも、フランも、二人共愛している」
「うそ。一生のうちに愛せる人は一人だけだよ。お兄様がお姉様に向ける『愛してる』と、私に向ける『愛してる』は同じものじゃない」
「同じものだよ。俺は二人共、同じように愛してる」
「嘘言わないで!」

 そんな事は出来ない。
 大好きな人が何人かいるっていうのなら分かる。私はお姉様の事が大好きだし、咲夜も大好き。美玲も、パチュリーも、小悪魔も大好き。霊夢も魔理沙も好き。
 でも愛してるのはお兄様ただ一人、そして私は一生お兄様を愛し続ける。他の誰も愛さない。たとえお兄様が誰か別の人を愛していても、結婚していても、あるいは、死んでしまっても、私はお兄様を愛する。

 お兄様は『愛してる』と『大好き』を同列に扱ってる。
 そんな事はしたら駄目なのに。『大好き』でしかない私に向かって『愛してる』って言ってくる。
 それは許しちゃいけない。そんな事は、『愛してる』って言葉を、お姉様への愛を、馬鹿にしてる。

「フフッ………。
 フランには、ちょっと難しいかもしれないけど、本当だよ。俺は二人を『愛してる』んだ。嘘偽りなく、真実を語っている」
「無理だよそんなの。だって――」
「『一生に愛せる人は一人だけ』。"お姉様がそう言っていたから"でしょ?」
「―――」

 何も言えなかった。
 記憶を辿れば、私に最初にそう言ったのは確かにお姉様だった。それを私はそういうものなんだと認識して、学習して、愛とはこういうもの、という風に決めていた。

「可能だよ。俺は二人を愛そう。レミィも、フランも、愛している。それを言葉で示そう、同じように態度で示そう。
 それが一番、幸福な在り方だ」

 ―――確かに。
 お姉様はお兄様を愛していて、私もお兄様を愛している。一生に一人しか愛せないのならば、実る想いは一つだけだ。
 でも、お兄様が私達二人共を愛してくれるというのなら、どちらの想いも実る。どちらも愛される。全ては確かに丸く収まる。

 でも、それでも。

「信じらんない」
「すぐに信じて欲しいとは思ってないよ。少しずつ分かるようになる。
 フランのお姉様はね、フランの前ではやたら格好付けたがるんだ。でもレミィだって、間違える時はあるんだよ。必ずしも完璧じゃない」
「でも………」

 イヤイヤと首を振る私に、お兄様はふぅと溜息を吐いた。
 私の頭を優しく撫でて、見つめ合いながら、ふわりと優しく微笑む。

 思わずドキッてして、その綺麗な黒色の瞳に吸い寄せられた。
 あぁ、もう離せない。じっと見つめてしまう。お兄様のお顔、不躾に眺め回すなんてはしたないのに。目を逸らせない。

 ぽーっと私がお兄様を見つめていると、いつの間にか、お兄様の顔はすごく近くにあって、そして気付いた時には私は―――。

「んっ……」

 お兄様と、口付けを交わしていた。

「っ……んん……」

 口付けをしてるのに、お兄様はじっと私を見つめている。
 見つめられているから、私もずっと見つめ返す事しか出来ない。
 動けない。

 ちゅ。と音がして、少しだけ唇が離れる。その後、暫くしてまた重ねられる。
 ゆっくり、ゆっくりと。それが繰り返される。みるみる赤くなる私の頬と、潤んできているのを自覚していながらも未だ逸らすことが出来ない瞳を置き去りにして、私はお兄様と何度も口付けを交わす。
 上にいるのは私なのに、押し倒してるのは私のはずなのに、今この場の主導権を握っているのはお兄様だ。

 吐息が当たる。私の鼻息がお兄様に当たる。それが段々荒く、早くなってくる。
 気持ちが上擦る。距離が近い。鼓動がどんどん、早くなっていく。
 お兄様に聞かれてしまいそう。

 また離れる。
 お兄様のお顔が映って、私はまた、熱い頬のままお兄様を見つめてしまう。
 さっきからずっと目を逸れせていない。失礼な事をしているのに、あぁでも、素敵。凄く格好いい。

 お兄様はフフッって笑って、また私に顔を近付ける。
 また唇を重ねる。柔らかい。ドキドキする。気持ちいい。

 私がお兄様の感触を味わっていると、突然お兄様は私の咥内に、自分の舌を差し入れてきた。
 お姉様ともしていた、ディープキスだ。

「んぅ!?……ぅ?……ん……」

 いきなりの事でびっくりしたけど、お兄様の舌と私の舌が触れた瞬間、お腹の奥がきゅうってなった。
 衝撃が全身を駆け巡って、それが脳に到達して、震えた。

「んっ……ぁ、む……んぅ……」

 思わずお兄様の肩を掴む。腕に上手く、力が入らない。
 お兄様はそのまま私の背中に手を回して、優しく抱き締めながらゆっくりと撫でてくれた。
 私の咥内では、お兄様の舌が私の舌と絡まったり、離れたり、また絡まったかと思えば、今度は舌の裏の、付け根の部分に触れたり、ゆっくり、優しくだけど、私の中で好き勝手に動き回った。

「な……あっ……ん……んむ……」

 声を出そうとするけれど、すぐにお兄様の口に阻まれて喋る事が出来ない。
 身体を押して離す事は出来るはずなんだけど、私の手はお兄様に縋り付いたまま動こうとしない。
 結果、私は背中を撫でられながら、ずっと、ずーっと口付けをし続ける。

 いき、が、もた、な

「ぷはっ………はぁ……はぁ……」

 お兄様が顔を離した。
 そのまま深呼吸して息を整えようとしながら、真っ白になった頭で思考を回す。

 すごく気持ちよかった。
 こんなの初めて。舌がビリビリってして、それが全身を駆け巡って、脳に到達して、力抜けちゃうの。
 もいっかい、もう一回してほしい。けど、息がまだ整ってないし、苦しいことは苦しい。あぁでも、この苦しさも癖になりそう。

「フラン。こういう時はね、鼻から息をするんだよ」
「あ……そっか」

 お兄様に言われて、ようやく気付いた。そうだ。鼻から吸えばよかったんだ。
 っていうより、途中までちゃんと鼻で息をしてたはずなのに、夢中になって息するの忘れちゃってた。
 ちゃんと落ち着かないと。

 私はその後数回深呼吸を繰り返して、ようやく息を整えた。
 その間お兄様はずっと私の背中を優しく擦ってくれて、いつもしてくれるみたいな撫で方がまた心地よくて、嬉しい。

 でも、どうしてだろう。
 息は整ったけど、心臓の鼓動はずっと高鳴ったままで、ドキドキしっぱなしで、そこから収まる気配がない。

 お兄様の手、気持ちいい。
 おっきくて、ゴツゴツしてて、あぁお兄様も、やっぱり男の人なんだ。逞しいなって、手を握る度にそう思う。

 撫でるみたいに優しい動きでお兄様の手が動き、握っていた手は手首に滑り、腕を滑り、脇から背中に抜けて、緩く、柔く、抱き締められる。
 お兄様が私の頭に鼻を近付けて、口付けをして、息を吸う。匂いを嗅がれてるみたいで恥ずかしくて、そして一応用意してはいたけど結局加減が分からないから使わなかった香水を、何で過去の自分は付けておかなかったんだろうと軽く後悔した。
 変な臭いしてないよね。毎日お風呂には入ってるし、今日は特に念入りに洗ったし、多分、大丈夫。のはず。

 私が抵抗せずにじっとしていると、私の背中に回された手は数回そこを往復した後、私の歪な形の翼の、付け根の部分に、ちょっとだけ触れた。

 瞬間、身体が跳ねた。

「ひゃっ……」

 ビクッと、ほぼ反射的に身体が動いて、恥ずかしくて目の前のお兄様に顔を埋める。
 顔を埋めて、二の腕を掴んでいる手に力を込めて抗議する。
 びっくりした。しかも、すっごく変な感じがした。

「フフッ。ごめんごめん、そんなに可愛らしい反応をしてくれるなんて」
「………お兄様の馬鹿」

 可愛いなんて言ったって、私はそう簡単に許してなんかあげないんだから。

 お兄様は謝りながらも、付け根から手は離そうとしていない。
 少しだけ、ほんの少しだけ、力を加えたり、抜いたり、その周囲をなぞったり、指先で撫でたり、弄ぶみたいに、ずっとそれを続けてる。

 そしてその度に、私の身体はピクンピクンと反応してしまう。
 変な感じ。だけど、抵抗はしなかった。最初は擽ったさが大きかったけど、何度もそれをされるうちに、この感覚に覚えがある事に気付いたから。

 昨晩、お兄様の事を思い描きながら、自分で"シた"時と同じ感覚だ。
 あの時、私の全身に広がったあの感覚が、今、お兄様によって私にもたらされている。

 その事実が、その現状が、私を動けなくしてしまった。どうしたら良いのか分からない。
 ただお兄様が与えてくれるこの感覚に夢中になって、必死に腕にしがみ付くだけ、それ以外の事は考えられない。
 お兄様の思うままに、成すがままに。

「ねぇ、フラン」

 頭上からお兄様の声が降ってきて、私はゆっくりと顔を上げた。
 見下ろすようなお兄様の視線が私と絡み合って、思わず心臓が高鳴る。

「俺がフランの事を愛してるかどうか疑ってるのなら、それを証明してみせよう。
 俺の全てを賭けて、ね?」

 真剣な顔で、なのに悪戯っぽい口調で、目の奥まで笑ってなくて、その瞳はただただ真っ直ぐ、私を、フランを、見つめている。
 ドキドキとときめきの止まらない私の心臓音すら煩わしい。一瞬の静寂の後、お兄様はまた、いつもの優しい笑みを浮かべて、私に笑いかけた。

「だからフラン。全部、全部受けとめてね」

 半ば無意識的に、私はその言葉に頷いた。
 コクリと首を動かして、大人しく腕に抱かれたまま、自分がお兄様の上にいるはずなのにその身を全て委ねたきりで。

 私の耳元で、カチリと何かが嵌まる音が聞こえた。ような気がした。
 その時は何がなんだか分からなかったし、気にもしなかった。けど、後から思い返すに、きっとあれは、私という人生の歯車が、全て噛み合った音だったんだと思う。

 全てはこの瞬間に決まった事、私のたった一つの頷きが、私の全てを決めた音。
 この後に起こる全ての事柄は、今この場で私が選んだ運命だったんだ。



-----



 夜は更けていく。
 少なくとも、窓の外の景色は一向に変わる気配は無い。
 本当は変わっているのかもしれない。私が気付かないだけで、私が数分前の月の位置すら覚えられていないだけで。

 窓の外を気にしたのは一瞬。余計な思考が出来たのも一瞬だった。
 身体の奥底から湧き上がるような説明し難い何かが押し寄せて、また私の頭は真っ白になる。
 もう何も考えられない。何も覚えられない。あるのはただただ、内側から溢れるような衝動だけ。

「―――あっ!やっもっ……おに、ぃさ、あぁっ」

 閃光が輝くような、思考の空白から戻ってくる。
 消え去った感覚が一気に戻ってくるような奇妙な感覚の後、また全身をあの衝動に支配される。理解できない波が、刺激が、私を混乱させる。
 波の狭間の微かな隙間で思考を巡らせ、必死に考える。これは何?今私は、お兄様に何をされているの?

「あっあんっ。んっ……んくっ、う……んんっ!」

 端ない声を我慢しようと口に手を当てて抑え込もうと試みるけど、口の端から声が漏れ出て、結局何の意味もなさない。
 恥ずかしい声。私の声じゃないみたい。こんな声、出したことない。まるであの時のお姉様のよう。

 私の、股の部分からお腹の奥へ、お腹の奥から、臓腑を通って心臓へ、心臓から、脊髄を通って脳へ、そして脳から全身へ。
 何度も、何度も何度も何度も何度も、同じ衝撃が駆け抜ける。仰け反る背中と痙攣する腕、残された力でシーツを掴み、ただ、歯を食いしばってそれに耐える。

「っ~~~~!―――!っ!~~~っ――!」

 絶叫が、言葉にならない。

 耐えるなんて出来なかった。私はあっさりと細い糸のように繋いでいた思考を手放して脳が溶けるような感覚に酔った。
 光が弾けて、意識がいっしゅん停滞して、その次のしゅんかんにはもどって、そして、あぁそっか。これがきもちいいってことなんだ。

「ぉ……にぃ、さまぁ……。おに、さま。おにいさま、おにいさま!」
「聞こえてるよフラン。でもまだ始まったばっかりだよ。もう限界?」
「分かんなっい、よぉ」

 お腹の中のお兄様の指が動いて、また私の思考はどんどんとろけてなにもかんがえられなくなって。

 きもちいい。
 すっごくきもちいい。こんなのはじめてで、もう、わたし、どうしたらいいか。

 たぶん、もう何回か「イッている」んだと思う。思うけど、そんなの、分かんない。
 記憶も飛び飛びで思考もままならない。ましてや抵抗なんてこれっぽっちも出来やしない。し、する気も起きない。

「んっ……んむ……っ!……んんっ……んっんっ……~~っ!」

 口を封じられて、舌と舌が絡まった途端、またビリビリってあたまがまっしろになっていった。
 きすしただけでこんなになるなんて、しらない。そんなの、きいてない。

 お股の中もお兄様の指が入り込んでいて、私の頭が弾けて真っ白になる度にそれをギュウギュウ締め付けちゃってるのが自分でも分かる。
 お兄様は壁をなぞるみたいにゆっくり、ゆっくり私の中を掻き回す。グチョグチョに濡れてるのが分かる。何度もおしっこみたいな、お兄様はおしおって言ってたそれを吹いちゃって、シーツもビチョビチョになってしまった。

「っ……!んん~~っ!んっ……んぁ……む」

 また意識が飛ぶ。
 意識が飛んで、お股から感じる言葉に出来ない感覚で戻される。これが何なのか分かんない。分かんないけど、でも、やめてほしくない。ずっと続けてほしい。もっとしてほしい。これ以上の事を、これより凄い事を、もっと、もっとって、そう思っちゃう。

 キスしたままだから、喋る事は許されてない。私の全ては、フランの全ては、ぜんぶぜんぶ、お兄様に決められる。

 プシャって音が聞こえたけれど、それはどこか遠くの音みたいに聞こえて、夢の中にいるみたいな感覚から抜け出せない私はただ、ぼうっとお兄様のお顔を見つめて、そしたらお兄様は意地悪そうな顔をして笑った。

「フラン。またお潮吹いちゃったよ。そんなにエッチなこと気持ち良い?」

 エッチなこと?
 私が今してるのって、エッチなことだったんだ。
 でも、考えてみたら、そっか。男の人の前で裸になって、お股を開いてあんなところをまじまじと見られて、おしお吹いちゃう所も見られて、エッチな事だ。

 そして、そっか。エッチな事って、気持ち良いんだ。
 つまりこれが、気持ち良いって事だったんだ。

「うんっ……。気持ち良い。キモチイイのお兄様っ……!もっとして……フランをいじめて……」

 今の私に、誇りなんてきっとない。
 お兄様を奪うって決めた時は――お姉様と戦うって決めた時は確かに、ノスフェラトゥの誇りとか、強くあることとか、色んな事を考えた。だけどそれも、ただ口実を探してただけで、結局言い訳でしか無かった。

 私はただ、お兄様に愛されたかっただけなんだ。

「愛してるっ……愛してるわお兄様!大好きっ!」
「ああ、俺も大好きだよフラン。愛してる」

 強くなんかなくたっていい。
 吸血鬼じゃなくてもいい。スカーレット家の次女である必要すらない。
 お兄様に、愛されさえすれば。

 またキスをした。
 何度も何度もキスをした。
 深く舌をあわせて、何度も光が弾けて、お兄様の手も止まらない。何度イッたのかも分からない。意識が飛んで、戻って、また飛ぶ。
 声にならない絶叫を噛み殺して、或いは封じられて、そのうち考える事も出来なくなって、あぁただわたしは、あいされてるって、それだけわかれば、あとはもういいやって。

「――――」

 おにいさまがなにをいっているかもわからない。

「――――――」

 わたしがなにをいったのかもわからない。

 ただ、お兄様が私のお股に何か熱いものを当てて、それが私を二つに割って、ぐちょぐちょのナカに、小さなその場所を通って、入ってきた。

「がっ!―――~~~~~っ!」

 またイった。
 それだけはわかった。ぎゃくに、それだけしかわからない。

 真っ白な閃光が頭の中で弾けて、思考が停滞して、そのまま何も考えられない状態がずっと続く。
 さっきは、何秒飛んでた?それとも何分飛んでた?
 今、何時?あれからどれだけ時間が過ぎたの?

 疑問を口にするより先に、また脳がお兄様から与えられるものに支配されていった。
 あそこがジンジンする。気持ちイイ……すごくすっごく気持ちいい。

 辛うじて、お兄様が私を貫いているという、それだけは分かった。
 お腹の奥のずっと深い所にお兄様が何度も触れる。私の中を擦って、一番奥に触れてを繰り返してる。
 熱い。大きい。私のお腹を掻き回すみたいに、お兄様が入っては出てを繰り返す。

「ゼッ……っ!!…ハッ……ァ……~~~~!!!っ!あっ!!!」

 獣みたいな声がする。私の声が聞こえる。
 息すら碌に出来もしない。弾幕ごっこの時すら、こんなになる事なんて無かった。
 息、苦しい。けど、キモチイイ。

「あっ!!っ!―――!っ!!!~~~~!」

 お姉様も、ずっとこんなだったのだろうか。
 こんな、何度も何度も気絶しちゃうような感覚が、ずっと続いてたんだろうか。
 吸血鬼なはずの私が、まだ人間なはずのお兄様に為す術もなく好き勝手にされて、それが何故か、たまらなく嬉しい。

 嬉しい。
 お兄様に夢中になれる。お兄様が私だけを見てる。私に愛を囁いてくれてる。お兄様が私に、エッチな事をしてくれてる。
 それがどうしようもなく嬉しくて、それだけで私は、幸せで、何もかもを忘れてしまいそうになる。

 それは、ヤだ。せめておにいさまのことは、わすれたくない。
 そうおもうと、これいじょう「イく」のがこわくなった。

「ぁ……やだ……やだ!いやっ!あっんっ―――イきたくない!やだぁ……!」
「? どうしたの?フラン」
「やだぁ……!こわいよぉ……ひぁ……おに、おにいさま……!」

 必死に叫び声を上げて、お兄様に助けを求めた。
 お兄様から与えられるモノが怖いのに、そのお兄様に縋り付くなんて、よく考えたら滑稽だなんて私は思ったけど、でも、フランはそんな事気にしてられなかった。

 お兄様が私に口付けをして、私をあやすみたいに頭を撫でてくれる。おっきくて、あったかい。この手が頭に乗ってるだけでなんだか安心した。
 安心はしたけど、それでも気持ちいいのは止まらない。

 止まらない。

「あ――――はっ……あっ!あ゛っ!ん゛っ!!あ゛っああ゛ぁ~~!」

 声は、抑えようとはした。
 したけど、でもいくら口で塞いだ所でこの強烈な衝撃の前には、私の掌は薄っぺらい壁でしかなかった。

 獣みたい。と、微かにのこった思こうでそんなことを考えながら、わたしは、ふらんは、もうこれいじょうは―――――

「フラン。愛してるよ」

 さいごに、おにいさまのこえがして、あぁわたしは、ふらんは、もうずっと、ひとりぼっちじゃないんだって。



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 彼が部屋から出てくると、壁に背を預けていた少女が顔を上げる。
 白い肌。真紅の瞳。青みがかった銀髪と、そして蝙蝠の翼。この館の主、レミリアの姿がそこにあった。

 レミリアは廊下の左右に目を向け、自分たち以外に誰もいない事を確認した後、彼に話しかけた。

「うまくいったのね」
「あぁ、今はぐっすり眠ってるよ。昨日、眠れてなかったんじゃない?疲れ切ってるようにも見える」
「それは九割九分お兄のせいでしょうね。どうせ、私の時みたいに激しくやったんでしょう?」

 肩を竦めて無言の返答とする彼に小さく溜息を一つ。
 フランの破壊癖を懸念して完全防音仕様にしていたのが功を奏した形となった。そうでなければ、館中にフランの嬌声が響いた事だろう。
 勿論、レミリアの自室も同じ仕様になっている。

「運命を見る限りでは今回は大丈夫だったみたいね。良かったじゃない……いや、お兄からすれば残念かしら?」
「勘弁してくれ。いくらフランと何度もヤれるとしても、その度に死ぬ思いなんてしたくないよ」
「………ふーん」

 そっけないレミリアの態度に、今度は彼が溜息を一つ。
 レミリアの手を取り、その手の甲に軽く口付けをして、顔を離した。

「レミリアが良いって言ったから遠慮なくヤらせて貰ったのに、レミリアが嫉妬してんの?
 やっぱりレミリア、可愛い所あるんだね」
「! ばっ………かじゃないの。別に嫉妬なんてしてないわ。実の妹に嫉妬なんて、私の方が先だし、もっと愛してるって言って貰ってるし」
「はいはい」

 林檎のように真っ赤になった頬をニヤニヤ顔で眺めつつ、彼はそう言って歩き出した。
 むくれた顔のレミリアが早足でその後を追い、隣に並ぶ。
 二人の行先は同じだ。レミリアの自室である。だから行く道も同じなのだ。

 彼の袖を指先で摘んだレミリアが、ツンとした表情のまま話を続けた。

「今更、覚悟はあるのかなんて聞かないわよ。あるんでしょ?当然」
「勿論。これが一番幸福な在り方だからね。それは運命を覗いてるレミリアも分かってると思うけど。
 こうするのが一番幸福なんだ。だからこうするしかない。"それがどれほどの屍の上にある幸福でも"ね、俺は手を伸ばさなきゃならない」

 自らの袖を摘んでいた小さな手を取って恋人握りをすると、レミリアの頬がほんのり色付き、顔がちょっとだけ綻ぶが、すぐに悲しげなものに変わる。
 震える睫毛から、また彼女が"見た"のだと察した彼は、より強く、その手を握りしめた。

 表情に影を落としていたレミリアが"見終えて"、ふうと吐息を一つ。
 憂いのある顔で彼を見上げ、いつの間にやら手を繋がれていた事に若干の気恥ずかしさを覚えるが、しかし、それでも先程見た運命に引き摺られてか、出てきたレミリアが口にしたのは彼への心配だった。

「ねぇ、やっぱりあれ、早めにしてしまった方が良いんじゃないかしら」
「それは出来ない。まだやっちゃいけない」
「でも」
「納得してくれとは言わない。でも、分かって欲しい。レミリア。頼むから、あんまり俺を甘えさせないでくれ」

 そしてその心配を、彼は即答で拒絶した。
 普段は見せない強い口調に、流石にレミリアも黙りこくるしかなくなった。元々、彼女も分かっていて言っていたというのもある。それが出来ない。してはならないという事は、レミリア自身辛いぐらいに分かっているのだ。

 ただ、それでも彼女はそう願わずにはいられない。
 例え幸福への最適解だとしても、それが一番彼の為になるとしても、辛いものは辛かった。

「"時間を遡る程度の能力"―――――正確には、"死んだ瞬間から24時間前の過去に飛ぶ程度の能力"」
「…………そうだ」
「そして私の、運命を操る程度の能力」
「俺の運命への強制的介入が不可能な現状、俺の"死"は重要なトリガーだ。簡単に死ねなくなる眷属化・吸血鬼化は避けなきゃならない」

 想い人が無残に死ぬ運命を、レミリアは何度も見てきた。
 無論、何度もその運命は書き換えられている。その無残な死を体験した彼自身がその運命を避ける為だ。
 第三者として俯瞰するだけでも気が滅入りそうになるそれを、彼は何度も、何度も何度も何度も何度も繰り返している。

「分かったわ。でもお兄………お兄ちゃん。これだけは、覚えててね。
 私は……レミィはね、お兄ちゃんが死ぬの、すごく嫌なの。辛い。だから、お兄ちゃんはお兄ちゃん自身を大切にしてね。絶対、粗末に扱わないで。お兄ちゃんが死ぬのを悲しむ人がいるのを、忘れないで」

 繰り返される歴史を全て記憶出来るのは、繰り返してきた彼とそれを観測出来るレミリアだけだ。無論、レミリアは自らの意思でそれを見ない選択肢もある。
 それでも彼の死の運命を見続けるのは、彼一人にその重荷を背負わせない為に他ならない。

 故に、レミリアは彼の運命を見続けるのだ。それを自らの手で変えられないのに歯噛みしながら、彼が運命を変えるその瞬間を祈り続ける。

「………今日は、お兄ちゃんの言う事何でも聞いたげる。ほらこの前言ってたやつとか、なんだっけ……?―――しじゅーは?」
「四十八手だね」
「そう、それそれ。今日は特別、やってあげてもいいわよ。ね、お兄ちゃん?」

 暗い雰囲気を振り払うように、見た目に似合わぬ妖艶な笑みを浮かべてみせるレミリアに苦笑しつつ、彼はレミリアの頭を優しく撫で付ける。
 足を止め、もう片方の手も優しく握って、膝を曲げて身長を合わせた。

 きょとんとするレミリアに微笑みかけ、彼はレミリアの小さな唇に顔を近付ける。

「あ…………」

 最後にその言葉を残して、レミリアの唇は塞がれた。
コメント




1.性欲を持て余す程度の能力削除
気になったところが。
1. “お兄様の視線目のやり場に…“ → “視線は“ でしょうか?
2. “エミリアが嫉妬してんの?“ → Rが抜けたのでしょうか?

以下、感想です。
冒頭のレミィ部分を読んだだけで「あ、これは大当たりだ…」と確信。読み終えたあと、作品一覧を辿ろうとしたらこれが初投稿だったとは…。
普段は凛々しいけどベッドの上ではデレッデレになるレミィと、性知識が乏しく病んでない(狂気に満ちていない)方向でお兄様スキスキダイスキなフランちゃん。どちらも好みに直撃でした。そこそこのボリュームがあったはずなのに、読みやすい文章だったので物足りなく感じてしまいました。
個人的には男が名前無しだったところも高評価です。ラストに明かされたシリアス部分で少々戸惑いましたが、この背景があっての物語だった、と納得。
過去のレミィとの馴れ初めや続きの姉妹丼、または全く別の物語でもこの路線ならぜひ読んでみたいです。

淡々と感想を述べましたが、読み終えたあとは語彙力が崩壊して呻きながら悶え転がっていました。個人的にはそれくらい大当たりな作品です。長文失礼しました。
2.ズィーノ削除
>>1
 コメントありがとうございます。此処での投稿は初となりますが、今後も東方のエロい小説はこっちで上げていこうと思っています。
 ラストのシリアス部分ですが、これは完全な作者の自己満足で、要は不要な代物ではあります。ありますが、しかし、これが無いと私自身が納得できないので最後に持ってきました。
 彼がレミィとフランの二人を抱く事に、どうしても納得出来るだけの材料と動機が必要だったのです。彼女達はキャラクターですが、人でもありますからね。

 今後もイチャラブを書いていくつもりです。次回はさとりんとこいしちゃんでしょうか、それともレミィのお話でしょうか。まだ決めていませんが、筆が乗った方を先に上げます。それまで長く掛かりますが、どうか気長にお待ち下さい。
3.性欲を持て余す程度の能力削除
フランちゃんももちろん良かったですが冒頭のレミリアが素晴らしかったです
4.ズィーノ削除
>>3
 コメントありがとうございます。やはり彼女にはデレデレが似合いますね