真・東方夜伽話

砂糖菓子と凶兆の黒猫

2016/11/28 20:52:58
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砂糖菓子と凶兆の黒猫

オルテガ

東方キャラ×オリキャラ男なので苦手な方は注意!

注意)男のオリキャラと東方キャラがネチョい事になる話です。苦手な方は引き返した方がいいかもしれません。
   前作「砂糖菓子と奢侈文弱な女子校生」およびその他の同シリーズ作品既読推奨です。











「あなたの記憶が戻ったら、その時点で殺すという約束よ」

 紫さんはそう言い終えると同時に、俺の首筋へぴたりと短刀の刃を触れさせる。刃物の冷たい感触が喉笛に押しつけられて、俺は焦りながら必死にその時の記憶を辿る。しかし断片的な情景が思い出されるばかりで、何故俺の記憶が戻ったら殺されるのか、よく思い出せない。確かに、そんな約束をした気はするのだが。

「……その表情は、どうやら記憶が整理し切れなくて混乱しているみたいね。まあ、二年半も押しとどめていた記憶が一気に押し寄せて来るのだから、無理もないことかしら」

 俺の喉元から短刀の冷たい感触が離れて、紫さんは短刀をテーブルの上に置く。そして空間に裂け目のようなものを作り出して、そこから急須と湯飲みを取り出して熱々のお茶を注ぎ、俺に差し出す。

「ゆ、紫さん、これは?」

「あなたのこの二年半の幻想郷に対する貢献に免じて、自分がなぜ殺されなければならないのか、せめて記憶を整理して思い出すだけの猶予をあげるわ。お茶でも飲みながら落ち着いて思い出しなさい」

「……ありがとうございます」

 俺は博麗神社で見た覚えがあるようなその湯飲みを紫さんから受け取り、まだ混乱の収まらない頭を必死に落ち着けながら少しずつ記憶を順に辿りはじめた。


◇◇◇ 以下回想 ◇◇◇


 俺は、とても満ち足りた気分で飛行機の窓から広がる景色をぼんやり眺めていた。目標にしていた、世界的に権威のある若手パティシエのコンテストに入賞できて、これ以上無い喜びと未来への希望で胸がいっぱいだったのである。離陸前に田舎の両親に国際電話で報告したら、泣いて喜んでくれた。早くこの賞状を両親に見せてやりたいものである。

「そろそろ日本も近いかな……」

 離陸してから十二時間近く経過しており、予定通りならあと一時間程度で到着する頃合いである。今頃は日本海の上を飛んでいるだろうか、と俺はぼんやり考えながら座席前のホルダーからコーヒーを手に取り、口元に近づけていく。

 ボォン!

 突如大きな爆発音らしき轟音が後方から響き、機体が上下に激しく揺れて俺はコーヒーを床に落としてしまう。何事かと思って周囲を見回すが、機体の揺れは収まらずに不穏な爆発音も二度、三度と続く。キャビンアテンダントが何かにしがみつきながら、シートベルトを締めるよう乗客に促す。しかし周囲の乗客は皆突然の事態に困惑し、子供の泣き声や女性の叫び声がそこら中から響き渡る。

「落ち着いてください! 酸素マスクを着用して救命胴衣を……っ!」

 機体が一段と激しく揺れ動き、キャビンアテンダントの声が途切れる。座席の上から酸素マスクが降りて来るが、それを掴もうにも上下左右にひどく揺れながら落下しているような状況では、もはやそれどころではない。ああ、これはダメなやつだ。完全に機体がコントロールを失っているのが素人の俺にもよく分かる。他の乗客もそれに感付いているのだろう、助けてくれ、死にたくない、というような叫びがあちこちから聞こえはじめる。

「……よりによってこのタイミングで飛行機事故か」

 まさに未来への希望に溢れ、日本に戻ったらもっと店を大きくしようと意気込んでいた矢先の事故。冗談のような話だが、残念ながら飛行機の落下する勢いは止まる気配も無い。俺はこのまま日本海の藻屑と果てる運命なのか、ちくしょう。俺がそんなことを考えて死を覚悟していると、ふと通路の方から日傘を差した美しい金髪の女性が歩み寄って来るのが見えた。激しく揺れながら落下するこの飛行機の中で、悠然とあんなふうに歩けるわけが無い。

「……ああ、死ぬ前に幻覚でも見てるのかな」

 最期に見る幻覚が、美しい金髪で巨乳の女性というのも、何とも間抜けなものだ。などと自虐的に思っていると、その幻覚であるはずの女性が俺の所で足を止めて口を開いた。

「ご機嫌よう、私の名前は八雲紫。突然だけれど、あなた、神隠しされる気は無いかしら?」

「え?」

 何を言っているのか、と問い返したい所だが、機体の揺れはますます酷くなり座席にしがみつくので俺は精一杯になってしまう。

「三秒以内に答えなければ、拒否したものとみなします。この飛行機に残るか、私に神隠しされるか、どちらか選びなさい」

 何だか分からないが、このまま墜落死するわけにはいかない。

「神隠しして下さい!」

「ふふっ、いいでしょう」

 次の瞬間、突如俺の座席のすぐ下に妙な空間の裂け目が出来て、俺は手荷物もろともその裂け目に滑り込むようにして飲み込まれていった。

 ほんの一瞬、意識が真っ暗になって一時的に気を失い、それから俺は薄暗いがらんとした和室のような所に横たわっていた。そこはつい先ほどまでの爆発音や人々の叫び声も聞こえず、激しく揺れながら落下する感覚も無かった。飛行機の中から、一瞬で地上に移動したとでも言うのか。あるいは、俺はもう死んでいてここは死後の世界だったりするのか。俺はひとまず体をむくりと起こし、周囲を見ると俺以外にも七~八名の若い男女が居るようだった。

「……助かったのか?」

 俺が呟きつつ見回していると、ふとその部屋の前方に先ほど俺に神隠しを持ちかけた人物である、八雲紫と名乗ったその人が立っているのに気付く。長い金髪の先にいくつもリボンをつけて、紫色のドレス風のワンピースに身を包み、こちらへとゆっくり歩みを進めて来る。凄まじい程の美人であることは間違い無いのだが、俺は同時に何となく底知れぬ不気味さも紫さんに対して感じていた。紫さんは俺を含む十名程度の人々の目の前まで来ると、口元に笑みを浮かべつつ声を上げた。

「さて、あなたたちは墜落しつつあった飛行機から神隠しをされてしまいました。先に結論を言ってしまいますが、あなたたちが連れて来られたこの場所は、妖怪達が住まう世界です。そして私が神隠しをした理由は単純明快で、人間の血肉を必要としているからです。つまり、どのみちあなたたちは死ぬことになるのです。もしそれが嫌なら、今からでも墜落中の飛行機にお戻しすることも可能ですわ。それを希望する方は、今のうちに申し出てください」

 その荒唐無稽な発言に、居合わせた誰しもが絶句していた。やがてそのうち、大柄で筋肉質な男性が立ち上がり紫さんを睨みつけながら口を開く。

「何を言ってやがる、イカれてんのか姉ちゃんよ! 俺はここから出て、勝手に帰らせてもらうぞ!」

「……理解の遅い方は困りますわ。それでは、ご希望通りあなたはお帰ししましょう」

 紫さんがその男に手をかざすと、男は足下に突如出現した裂け目に飲み込まれて一瞬で姿を消す。続けて紫さんは前方に広い裂け目を作り出し、残った人々にその男の様子をその向こう側にまるでスクリーンのように映し出す。男は落下中の機内に座った状態になっており、ごめんなさい、助けてください、と泣き叫んでいた。紫さんはその裂け目を閉じると、再び口を開く。

「さて、これで全員自分の置かれた状況が理解できたかしら?」

「た、助けてくれたんじゃないのかよ!?」

 別の男性が紫さんに尋ねる。紫さんは扇を開き、口元を隠しながらそれに答える。

「単に、あなた達が神隠しをするのに都合の良い相手だっただけよ。神隠しといっても、無節操に人間を連れて来るわけにもいかないのです。極力、神隠しをしても人間社会に影響を与えないように、こちらもいろいろと苦労があるのよ。その点、海に墜落した飛行機から数人の人間が消えても不自然ではないでしょう? さて、遺書なり何なりを残したいのであれば、そのくらいの時間は待ってあげるわ。終わったら、それぞれ順に妖怪の元へ送らせてもらうわ」

 ……結局死ぬのか。いや、それでもあのまま墜落死するよりはいくらかマシだ。俺は手荷物からペンと手帳を取り出し、両親へ遺書を残そうと文面を考えはじめる。周囲の人々は、ただ呆然として我を失っている男性、ひたすら泣きじゃくる女性、黙々と携帯に文字を打ち込む人など、様々だった。やがて、端から順に紫さんが空間の裂け目を作り出して、人々をどこかへと送りはじめる。一人、また一人と薄暗い部屋から消えて行き、そして俺の横に座っていた女性も泣きじゃくりながら裂け目へと姿を消した。

「……さて、最後はあなたね。随分と落ち着いているわね、こんな状況なのに」

「まあ抵抗しても無駄そうですから。それで、一つだけお願いがあるのですが、この遺書と賞状を俺の両親に届けてもらうことはできますか?」

 紫さんは俺から手帳と賞状を受け取り、それをしばし眺めてから少しだけ驚いたような表情を浮かべる。

「何かの冗談かしら? この世界的に権威のあるコンテストで、日本人であるあなたが入賞したとでも言うの?」

 紫さんはフランス語で書かれたその賞状を見つめながら、俺に向けて言う。フランス語が読めるうえ、このパティシエコンテストについても知っているのか。しかし、この賞を取ったことは冗談でも何でもない。

「……せっかく入賞したのに、帰りの飛行機が墜落しましたけどね。それでも、こうして遺書を書き残す時間をくれただけでも、感謝しています。ありがとうございました、八雲紫さん」

 俺がそう言うと、紫さんは賞状を見ながら顎に手を当てて何やら考えているような素振りを見せる。やがて俺の方に視線を向けると、賞状を俺に返しながら口を開く。

「一つ、取り引きをしましょう。あなたの命を助けてあげる代わりに、私たちの住むこの世界、幻想郷に洋菓子店を開いてもらえないかしら?」

「え? え、ええと、幻想郷というのは?」

「日本のとある地域に存在する、結界で覆われた妖怪や神様の住まう土地よ。そろそろこの幻想郷にも、何か新しい文化を取り入れたいと思っていた所なのよ。どうかしら、このまま妖怪の餌になるよりは良いと思うけれど」

 ……まさか、助かるのか。

「も、もちろんです。けれど、できれば一度両親や知人に会って無事を報告させてもらえませんか?」

「それはダメよ。神隠しに遭って、こちら側の世界と接触した人間をそのまま返すわけにはいかないわ。それが私たちにとっていかに大きなリスクになるか、説明しなくても何となく想像はつくでしょう? あなたは飛行機事故に遭った後、安否不明のまま死亡認定されるわ。それで、あなたの外の世界での人生は終わり。それが飲めないなら、この話は終わりよ」

「い、いえ、わかりました。実際、あのまま墜落したら間違い無く死んでいました。俺が死んだ扱いになるのは、仕方が無いことだと諦めます。紫さんの言う通り、この幻想郷とやらで洋菓子屋として生きていければそれで十分です」

「理解が早くて助かるわ。ただ、それにはもう一つ条件があるわ」

 紫さんはその美しい顔を俺に近づけつつ、話を続ける。近くで見れば見るほど、その顔立ちの美しさがよくわかる。少し視線を下げると豊かな胸の谷間も見えて、こんな状況なのにあやうく股間が反応しそうになってしまう。

「じょ、条件というと?」

「あなたには、外の世界での一切の記憶を忘れてもらいます。はじめから、この幻想郷に居たということにして、洋菓子屋を営んでもらいます」

「な、なぜそんな事を? それにそもそも、そんな事が可能なんですか?」

「ええ、もちろん可能よ。私の妖術で脳の記憶領域に境界を作り出すことは可能ですし、あなたがこの幻想郷に昔から居たという歴史を作り出すことも、知人に頼めば可能です」

 そんな馬鹿な、と思うものの、これまでの経緯を考えると紫さんには俺の常識が通用しないことがよく分かる。たぶん、本当に可能なのだろう。

「可能だとして、そうする必要性はあるんですか?」

「この幻想郷は大きな結界に覆われて、外側とは隔離されているわ。でも結界というのは、単なる壁ではないの。この幻想郷という世界を外側の世界と切り離して存在させるための、非常に複雑で秩序立った膨大な式によって成り立つ、高度な境界線なのです。その内側に、外の世界から来た人間が存在してしまうと、結界を構成する式の秩序に乱れが生じて、結界が不安定になってしまうのよ。でも、外の世界の記憶を失い、幻想郷で生まれ育った人間だと自身を認識していれば、結界への影響は限りなく小さく抑えられる、というわけよ」

 なるほど、よくわからん。けれど、仮に記憶を失うことになったとしても、このまま墜落死したり妖怪に食われたりするよりも、洋菓子屋として生活していけるのであればその方が余程良い。

「分かりました、その条件で構いません。正直、記憶を失うのは嫌ですが、命には代えられません」

「よろしい。ではさっそくあなたの脳内に妖術による結界を‥‥と、行きたいところですが、外の世界で暮らしていた人間にいきなりそんなことをしたら、瘴気に当てられてあっという間に死んでしまうわ。そこで、あなたにはまず、妖怪の瘴気に対する耐性を得るための術を先にかける必要があるわ」

「そ、そうなんですか? まあ俺にはよく分かりませんが、この際何の術をいくらかけてもらっても構いませんよ」

 紫さんは俺の答えを聞くと、俺の目の前に片手をかざして目を閉じ、何か念じるような仕草を見せてから目を開く。

「たった今、あなたの中の人間と妖怪の境界をほんの少しだけ弄らせてもらったわ。0.1%ほど、あなたは妖怪の側に足を踏み入れました。ただ、この術が体に馴染むかどうかは個人差があって、馴染まなければ体に不調を来して結局死んでしまうわ。あなたの脳に結界を作り出して記憶を消すのは、この術が完全に馴染んでからでないとダメなのよ。そこで、あなたにはこれから数日間、妖怪の発する瘴気というものにしっかり馴染んでもらうために、私のところで一緒に暮らしてもらうわ」

「え!?」

 何だかどういう理屈かいまいち分からないが、とにかく瘴気とやらに慣れるために紫さんと数日間暮らす、という話のようだ。いくら常識外れの力を持った妖怪とはいえ、これほどに妖艶で美しい人と暮らすという状況に、俺はついつい色々と期待してしまう。

「そうだわ、せっかくだから私の所で暮らしている間は、毎日洋菓子を作ってもらおうかしら。それが大したものでは無かったら、幻想郷に洋菓子店を開いてもらう話も無かったことにさせてもらうわ」

「わ、わかりました。でもその点については、大丈夫だと思います」

「あら、大した自信ね。それじゃあ、ついて来なさい。私の家に人間が足を踏み入れるなんて前代未聞よ。光栄に思いなさい」

 紫さんは目の前に再度空間の裂け目を作り出し、その中にすたすた歩いて行ってしまう。俺は手荷物を拾い上げてから、慌ててその後を追って裂け目の中へと早足で入って行った。


「こ、これが紫さんの家ですか」

 裂け目を抜けた先にあったのは、木造でやや古めかしい感じのする、由緒正しい日本家屋といった雰囲気の漂う一軒家の玄関先だった。妖怪の住処というからには、もっと何か恐ろしい場所だろうと思っていただけに少々肩透かしだった。

「ここで過ごしている間は、自由にくつろいで構わないわよ。台所にはあらゆる食材が揃っているから、明日以降毎日三時に三人分の洋菓子を用意する以外、適当にのんびり過ごしてもらえばそれでいいわ。突き当たりに既にあなたの部屋を用意させてあるから、今日はもう寝るといいわ。それじゃあ、ご機嫌よう」

 紫さんはそこまで言うと、欠伸をしながら家の奥の方へと歩いて姿を消していった。‥‥今でもまだ、飛行機が落下をはじめてからここに来るまでの全てが夢で、目が覚めたら空港に到着でもしているんじゃないかと思ってしまう。そのくらい現実感の無い不思議な状況だが、それでも疲労と眠気には勝てず、俺は部屋に入って布団に潜り込むと程なくして眠りの中に意識を落としていった。

◇◇◇

 目が覚めたら布団の中に俺は居て、眠る前に期待したように飛行機の座席で目を覚ますことは無かった。俺は体を起こし、とりあえず洗面所でも借りようかと考えるとほぼ同時に、ふと襖の方から声が聞こえた。

「あら、どうやら目を覚ましたみたいね。もうすぐ朝食の準備が出来るから、顔でも洗ってから居間に来るといいわ。洗面所は廊下に出て右にある。居間はその正面だから、すぐに分かると思うわ」

 声のした方向を見ると、そこに居たのは紫さんではなかった。紫さんより柔らかな雰囲気の黄金色の髪に、左右に尖った箇所のある独特の帽子を被ったその女性は、これまた紫さんに劣らず凄まじいまでの美女で俺は一瞬見とれてしまう。何となく狐っぽい吊り目がちなその顔立ちは美しさと可愛らしさが高いレベルで併存しており、中国風の導師が着るようなその衣服は胸の部分が乳房の膨らみで盛り上がっていて、もはや人間離れしているレベルの美人である。が、それらの要素以上に目を引くのは、腰か尻の辺りから生えているらしき何本ものふかふかと気持ちよさそうで立派なきつね色の尻尾だった。

「え、ええと‥‥あ、あなたは?」

「私は八雲藍。紫様に仕える式で、あなたの滞在中は面倒を見るよう紫様より仰せつかっている。まあほんの数日間ではあるけれど、よろしく頼むわ」

「は、はい、よろしくお願いします、藍さん。ところで、その尻尾は‥‥?」

 俺が尋ねると、部屋から立ち去りかけた藍さんが足を止める。その動きに合わせて、尻尾が柔らかそうにゆっさりと揺れる。やばい、すごく触りたい。撫で回したい。顔をうずめたい。

「ああ、私は九尾の妖狐という種族なのよ。外の世界の人間でも、聞いたことくらいはあるでしょう。とにかく顔を洗ったら、居間で待っているといいわ」

「わ、わかりました。ありがとうございます」

 俺は布団を畳んでから洗面所へ行って顔を洗い、そして丸いちゃぶ台が中央に鎮座する居間へと入って行った。九尾の妖狐というと、かつて中国の王朝で傾国の美女とかそういう伝説になっている妖怪だが、なるほど実物を見るとその伝説がにわかに真実みを帯びてくる。そんな妖怪にお世話などしてもらっていいのだろうか、とぼんやり考えているとふと部屋の中にチリン、と鈴の音を響かせながら一匹の黒猫が入って来る。くりっとした可愛らしい目をしたその猫は、俺が指を差し出すとてくてく歩み寄って来て鼻先をちょんと触れさせて挨拶してくれる。

「おお‥‥可愛い黒猫だ」

 顎の下に指を入れて軽く撫でると、黒猫はごろごろ喉を鳴らして目を細める。俺がさらに頭や背中を撫で回すと、黒猫はニャアと可愛い鳴き声を上げながらごろんと転がってお腹をこちらに見せる。何だか尻尾が二股に分かれているように見えなくも無いが、俺は気にせずに黒猫のお腹をわしゃわしゃと撫で回していく。

「おや、遊んでもらっているのか、橙。さあ、朝食が出来たぞ。いつまでも遊んでいないで、橙もきちんとご挨拶しなさい」

 ふと藍さんの声が聞こえて、見ると藍さんがお盆にご飯や味噌汁をのせて運んでいるようだった。そうかこの黒猫は橙ちゃんというのか、と思っていると、ふと黒猫の体が何か光りのようなものに包まれて、そして次の瞬間には俺の目の前に茶色がかった髪色のショートヘアの少女が座っていた。活発そうで猫っぽい印象の、目がぱっちりした可愛らしいこの少女は、まさかひょっとしてあの黒猫なのか。

「はじめましてお兄さん、私は橙。化け猫の妖怪で、藍様の式です。紫様に頼まれて、ここでお兄さんが妖怪の瘴気に慣れるためのお手伝いをすることになったんだ。よろしくね」

「よ、よろしくお願いします、橙ちゃん。‥‥ええと、今の黒猫も橙ちゃんなんだよね?」

「はい! お兄さんとっても撫でるのが上手で気持ち良かったから、また後で撫でて欲しいな!」

 さっきの黒猫の正体がこの美少女だと分かってしまうと、何だかああやって全身を撫で回してしまったことに罪悪感すら覚える。が、橙ちゃんのこの反応を考えると別に橙ちゃんはそんな事を気にしていないようである。

「ははは、それは良かったなあ、橙。洋菓子屋さん、すまないけどここに居る間暇になったら、橙の遊び相手をしてもらえるかしら。こうして妖怪と適度に触れ合って過ごせば、より瘴気に慣れるのもスムーズになるでしょうから」

「わ、分かりました。俺も猫は大好きなので、それは大歓迎です」

 などと話している間に藍さんは配膳を終えて、俺と藍さんと橙ちゃんの三人で食卓を囲んで朝食を取ることになった。ふっくら炊きたてのご飯に油揚げとネギの味噌汁、納豆にメザシという純和風のメニューだが、とにかくご飯の炊き加減が絶妙で素晴らしく美味しい朝食だった。紫さんの姿は見えなかったが、どうやら藍さん曰く紫さんは朝が弱いらしかった。
 俺は食事を終えると、自ら申し出て食器の片付けや皿洗いを手伝うことにした。何しろ事情はさておき居候の身なので、何もせず過ごすのはどうも落ち着かない。

「よければ、皿洗いだけでなく掃除でも食事の準備でも、言ってもらえれば何でもお手伝いします」

「あら、随分殊勝な心がけね。それじゃあ、何か手伝ってもらいたいことがあったら声をかけるわね。でもあなたには洋菓子を作る仕事があるのだから、それを忘れないよう気をつけてね。とりあえず今は特に仕事も無いから、橙と遊んであげてくださいな」

「分かりました、藍さん」

 俺は皿洗いを終えて居間に戻ると、再び黒猫の姿となった橙ちゃんが畳の上に丸くなっていた。少し見回すと棚の上に猫じゃらしやらボールやらマタタビやらが入った小箱を俺は発見し、そこから猫じゃらしを拝借して橙ちゃんの前にそっと差し出す。橙ちゃんはぴくんと耳を揺らして立ち上がり、早くも猫じゃらしをじっと見つめる。猫じゃらしを左右に振ると、橙ちゃんは前脚をそれに合わせて伸ばしじゃれついていく。非常に良い反応である。

「あらあら、早くも橙が懐いたみたいねえ」

 不意に眼前の空間に裂け目が生じて、そこから紫さんがひょっこりと現れる。紫さんは橙ちゃんの頭をわしゃわしゃ撫でながら、台所の藍さんに声を掛ける。

「藍、これからちょっと一仕事頼めるかしら。稗田のお嬢さんに今回の件で話を通しに行ったり、ハクタクの協力を取り付けに行ったり、河童にオーブンや調理器具の準備を手伝わせたり、鬼に急ピッチで店舗の建設を依頼したり、お仕事が盛りだくさんなのよ。私は萃香を手伝わせるための上等なお酒を仕入れに行くから、藍は人里方面の用事を片付けて来てちょうだい」

「わかりました、紫様。それじゃあ洋菓子屋さん、私と紫様は色々と用事を片付けに出かけるので、橙と適当に遊びながら待っていてください。台所の食材は自由に使って構わないから」

 藍さんはそう言うと、廊下に出て家の外へと向かって行く。一方で紫さんは、空間の裂け目の中へともぞもぞ入って姿を消そうとする。俺は紫さんと藍さんに向けて声をかける。

「三時にはケーキが完成するようにしますから、なるべくそれまでに戻って来てください」

 その言葉に藍さんは笑みを浮かべて頷きを返し、紫さんは突如俺の背後ににょっきり現れつつ口を開く。

「苦いコーヒーにぴったりの甘いケーキをよろしく頼むわよ」

「わ、わかりました。お任せください」

 紫さんと藍さんはそのままそれぞれ姿を消してしまい、家の中には俺と橙ちゃんの二人が残される。居間に掛けられた時計は午前の九時頃を指しており、ひとまず昼頃までは退屈な時間が続くことになる。昼過ぎから下ごしらえをはじめるとして、どんなケーキを作ろうかと俺はぼんやり考えながら、猫じゃらしやボールを使い橙ちゃんと遊んで時間を過ごす。

「‥‥そういえば、マタタビもあったよな。ちょっと試してみようかな」

 何を隠そう、俺はマタタビでぐでんぐでんに酔った猫を観察するのが好きなのである。といっても、相手はただの黒猫ではなく妖怪猫又。マタタビなどで酔うことも無いだろう、と思いつつ棚の小箱からマタタビの枝をひょいと摘まみ上げて俺は橙ちゃんの前にぽんと無造作に放る。

「ニャッ!? ふにゃああぁ‥‥」

 そんな俺の予想とは裏腹に、橙ちゃんはマタタビの香りを嗅ぐとすぐにころんと畳に転がり、酔っ払ったように身をよじりながら俺の方にすり寄って来る。

「ま、まさかここまで効くとは‥‥」

 俺は慌ててマタタビの枝を取り上げて小箱に戻すが、既に遅かったようで橙ちゃんはすっかり酔ってしまったようだった。いや、酔っただけならまだ良かった。橙ちゃんの姿が不意に光に包まれると、次の瞬間には橙ちゃんは可憐な人間形態に再び戻り、その状態で俺の膝に頭を乗せて甘え出してしまう。

「にゃあぁ‥‥お兄さん、撫でてよぉ。お兄さんとっても撫でるの上手で、気持ちいいんだもん」

 いやちょっと待て。猫形態なら遠慮無く撫でられるけれど、この少女の姿で撫でろと言われてもいろいろと問題がある気がする。いや待て、それほど問題にならない箇所を撫でれば大丈夫かもしれない。

「ご、ごめんね橙ちゃん、まさかマタタビでこんなに酔うとは思わなくて‥‥」

 俺は言い訳しながら橙ちゃんの頭を撫でる。橙ちゃんは気持ちよさそうに目を細めながら、さらに俺へと体を擦り寄らせて来る。小柄でとても可愛らしい橙ちゃんに甘えられて、俺は不覚にも少しずつ股間を熱くさせはじめてしまう。落ち着け、相手はこんな幼い容姿の女の子だ。このくらいで興奮してどうする。

「お兄さん、もっと首とか背中とか、いっぱい撫でてよぉ」

「わ、わかったよ」

 まあ首や背中ならまだセーフだろう。そう思いつつ俺は橙ちゃんの背中を撫でる。橙ちゃんは気持ちよさそうにゴロゴロと喉を鳴らしながら俺に撫でられていたが、やがて不意に体をごろんと転がして反転させて、その勢いで俺の手がうっかり橙ちゃんの未熟な胸の辺りに触れてしまった。

「にゃっ!?」

「ご、ごめんね橙ちゃん、そんな所を触るつもりは‥‥」

「な、何今の‥‥? 凄く気持ちいい感じがした‥‥」

 あれ、何だこの反応は。

「そりゃまあ、女の子の胸はそういう風にできてるからね。‥‥知らなかったの?」

「う、うん。私、人間の姿に化けるようになってからあんまり長くないし、考えてみたらこの姿で人間に撫でられるのはじめてだったから‥‥」

 橙ちゃんはやや顔を赤らめながら、少し困惑した様子で俺に答える。その表情がまた凄まじい可愛らしさで、俺の股間はさらに熱く滾って行ってしまう。いかん落ち着け、相手は妖怪だぞ‥‥。と、俺が必死に自制心を働かせようとしていると、橙ちゃんが俺の手をそっと握りながら口を開く。

「ね、お兄さん、もう一回胸のところ、撫でてもらっていい? とっても気持ち良かったから、お願い」

「あ、いやでもそれはその、いろいろとまずいというか何というか、その‥‥」

「‥‥ダメなの?」

 橙ちゃんは無邪気な瞳を俺に真っ直ぐ向けながら、茶髪のショートヘアを揺らして首を傾げつつ俺に尋ねる。その仕草が圧倒的に可愛すぎて、俺の理性はそこで考える事を放棄してしまった。

「じゃ、じゃあ少しだけだよ、橙ちゃん」

 まあ相手は妖怪なのだから、法的な問題とかもきっとクリアしているだろう。などと脳内で自己弁護しながら、俺は橙ちゃんの胸へと衣服の上から手を触れさせて優しく撫ではじめる。膨らみの乏しいその胸にはどうやらブラは装着されていないようで、赤いワンピース型の衣服越しに乳首の位置が手の平へ伝わってくる。俺は服の上から乳首を指先でくにくに弄りつつ、胸の周囲を撫で回す。その動きに合わせて、橙ちゃんがぴくん、ぴくんと軽く体を震わせる。

「にゃっ、にゃぁぁ‥‥。んっ、あっ、お兄さんっ、気持ちいいよぉ‥‥」

 子供っぽい無邪気な印象の橙ちゃんが、悩ましい吐息とともに控えめな喘ぎ声を上げる。その姿に俺もますます興奮してしまい、俺は衣服の留め具に手を伸ばしてぷつりとほどいて赤い衣服の前をはだけさせ、さらにその中に着ていた薄手のブラウスのボタンも次々に外して行く。

「お、お兄さん、何してるの?」

「直接触った方が気持ちいいからね。まあ、俺に任せて」

「そ、そうなの? うん、わかった!」

 橙ちゃんが元気に返事をしている間に俺はブラウスも脱がし終えて、橙ちゃんの肩から衣服をまとめてぐいと降ろし、橙ちゃんの未熟で微かな膨らみのある乳房を眼前に露わにしてしまう。先ほどから弄られていた桃色の乳首はぷっくらと膨らんでいて、俺はたまらずにその乳首へとかぶりついて舌を這わせていく。

「にゃぁっ、あっ、何これっ、お兄さんっ、私の胸、何か変だよぉ‥‥。やっ、あああっ、ダメっ、にゃぁぁぁ‥‥」

 俺は橙ちゃんの乳首を舌先で転がし唇で吸い付いて存分に味わいながら、もう片方の乳首を指先で摘まんでくにくに弄り回していく。橙ちゃんは顔だけでなくその体も薄らと紅潮させて、未知の快楽に夢中になって喘いでいる。やがて橙ちゃんは息を荒げながら、下半身をもぞもぞと動かしはじめていることに俺は気付く。

「どうしたの、橙ちゃん?」

「な、何かお腹の下の方がむずむずするの。この感覚も、感じたこと無い‥‥」

 橙ちゃんの動きに合わせてスカートも適度に捲れて、いい感じに柔らかそうな太ももが見え隠れしている。こんな光景を見せられて、理性を保っていられる男が居るわけがない。俺は橙ちゃんの下半身へとそっと片手を伸ばし、その太ももを軽く撫でながら口を開く。

「そっちの方も撫でたら気持ちいいんだよ、橙ちゃん」

「そ、そうなの? んっ‥‥にゃぁ‥‥」

 手の平に吸い付くようなその素肌の感触を堪能しながら俺は徐々に手を上の方に這わせて行き、その間も執拗に橙ちゃんの乳首を舐め回し、指先で転がして刺激を与えていく。やがて俺の手は橙ちゃんの下着へと到達して、布越しに秘所へ軽く触れる。そこは既に薄らと湿っており、橙ちゃんはぴくんと体を震わせて反応する。

「にゃっ、やあぁ、ねえお兄さん、これってひょっとしてエッチなことなの?」

「う‥‥ま、まあそうだね、エッチなことだよ」

「藍様は私にそういうのは早いっていつも言ってるけど、続けちゃっていいのかな‥‥。でもすごく気持ちいいから、もっとして欲しいけど、どうしよう‥‥」

 俺はそこで、心の奥に残っていた最後の理性を振り絞って一度手を止めて、橙ちゃんに答える。

「た、確かに橙ちゃんにはまだ早いかもしれないね。橙ちゃんが可愛すぎて、俺もつい我慢が出来なくて調子に乗っちゃったんだ。もし橙ちゃんがここで止めたいなら、俺も無理に続ける気はないけど」

 橙ちゃんは少しだけ考える素振りを見せてから、やや顔を赤らめつつ口を開く。

「‥‥藍様はいつも私を子供扱いするけど、私は一人前だもん。お兄さんさえ良ければ、もっと続けて欲しいな。あっ、でも藍様には絶対に内緒にしてね!」

「ほ、本当にいいの、橙ちゃん?」

「うん、だってお兄さんも数日で記憶が消されちゃうんでしょ? だったら後の事はあんまり考えなくても大丈夫だよ。ね、お兄さん、気持ちいいこと、もっとして欲しいな」

 どうやら橙ちゃんはすっかり発情してしまったようで、むしろ自分から積極的に快楽を求めようとしているようだった。まあ確かに俺はあと数日で記憶が消えるか死ぬかという立場である。あまり遠慮しても仕方が無いだろう。

「分かったよ、橙ちゃん。それじゃあ続けるよ」

 俺はそう言うと、既に半脱ぎ状態になっていた橙ちゃんの衣服を一気に降ろして半ば強引に脱がし、橙ちゃんを白い下着一枚だけの状態にしてしまう。改めてその肢体を見ると、小柄で細身の体ながらも胸はほんのり膨らみかけといった具合に育っており、また太ももや二の腕などは適度に肉付きがあって、なかなか扇情的な体つきをしていた。俺は先ほどの続きとばかりに、再び橙ちゃんの下着越しに秘所に触れると、指を前後にくにくに動かして刺激を開始する。指を強めに押し当てて裂け目に沿って動かすと、下着の染みがどんどん広がってくちゅくちゅと淫猥な水音が響いていく。

 くちゅっ、ぬちゅっ、ぐちゅっ、くちゅちゅっ

「にゃっ、んんっ、あっ、凄いっ、何かっ、お股からお汁が出ちゃってる‥‥」

「人間は気持ち良くなると、そのお汁が出ちゃうんだよ。‥‥下着が汚れちゃうから、脱がすよ」

 俺はそう言うと、橙ちゃんの下着に手をかけてそのままするすると太ももから膝をつたって、一気に脱がしてしまう。足下まで脱がし切ると、すっかり愛液で汚れたその下着を俺は畳の脇にぽんと放る。ここからが本番である。俺は橙ちゃんの股間に顔をうずめると、そのまま未熟なピンク色の秘所へと一気に舌を這わせていく。

「にゃっ!? お、お兄さん、そんな所を舐めるの!?」

「大丈夫だから力を抜いて、橙ちゃん」

 そう答えてから、俺は橙ちゃんの綺麗な秘所の裂け目に沿って舌をれろれろと這わせ、溢れ出る愛液を時折ちゅぅっ、と音を立てながら啜り、容赦なく橙ちゃんに刺激を与えていく。橙ちゃんは未体験のその刺激に息を荒げ、身をよじり、俺の頭を両手で掴みながら喘ぎ声を上げる。

「にゃぁぁぁっ、お兄さんっ、凄いっ、気持ちいいよぉっ、あっ、やああっ、気持ちっ、良すぎてっ、変になっちゃうよぉっ、にゃあああっ!」

 橙ちゃんの秘所からはとめどなく愛液が溢れ出し、俺の口の周りはびっしょりと濡れてしまう。俺はいったん橙ちゃんの秘所から唇を離し、指を一本膣内へと徐々に挿入させていく。

「にゃっ!? お、お兄さん、そんな所に指を入れるの?」

「そうだよ。すぐに気持ち良くなるから、力を抜いて」

「んっ、痛っ、にゃっ、あああ‥‥」

 愛液の滑りに助けられて、俺は橙ちゃんの未熟な膣内へと指を根元まで何とか挿入させる。異物をはじめて受け入れたその内部は、俺の指を容赦なくきゅうきゅう締め付けながらも、さらに激しく愛液を分泌させてくる。俺は徐々に慣らすように注意しながら、ゆっくりと指を前後に動かして出し入れを開始する。

 くちゅっ、ずっ、ぬぷっ、ずぷぷっ、ぐちゅっ

「あ、あ、これも凄いっ、最初は痛かったのに、どんどん気持ち良くなっちゃてるよぉ」

 橙ちゃんの膣内はすぐに指の愛撫に慣れたようで、俺が膣内の秘肉を指先で弄り回すと橙ちゃんは一際大きな喘ぎ声を上げて反応する。俺は少しずつ指を動かす速度を早めていき、橙ちゃんの膣内はそれに合わせてひくひくと痙攣しはじめる。

「お兄さんっ、ダメっ、気持ち良すぎてっ、頭が真っ白になっちゃう‥‥にゃあああっ」

 ぷしゅっ、ぷしゅぅ、びゅっ、ぽたた、ぽたっ

 不意に橙ちゃんの背中がやや反り返ったかと思うと、橙ちゃんの秘所から愛液がぷしゅぅ、と迸って俺の指から手首の辺りまでをびしょびしょに濡らしてしまう。橙ちゃんははじめての絶頂に半ば我を忘れた様子で畳にへたりこんでしまう。

「だ、大丈夫、橙ちゃん? ちょっと調子に乗り過ぎたかな‥‥」

 俺が声を掛けると、橙ちゃんはハァハァと息を荒げながらも目を薄らと開けて俺をじっと見つめ、そして体をむくりと起こすと俺の方に体を寄せて来る。そして俺の服を捲り上げて俺の上半身を裸にすると、そのまま俺の膝の上に乗りながら口を開く。

「ねぇお兄さん、ぎゅって抱っこして‥‥」

 当然それを断る理由も無いので、俺は橙ちゃんのその軽く小柄な体をぎゅっと抱き寄せて密着させる。互いの素肌が密着して、俺の胸板には橙ちゃんの可愛らしい乳首が押し当てられる。橙ちゃんの凄まじく可愛らしい顔がすぐ目の前に来て、俺はほとんど無意識のうちにその唇へと自身の唇を重ねていく。

 ちゅぅっ、ちゅぱっ、ちゅっ、れろっ、ちゅぷっ

 橙ちゃんの唇は素晴らしく柔らかでぷるんとした張りがあり、俺は夢中でその感触を貪るように唇を押し当てていく。橙ちゃんも何となく俺の動きに合わせてくれているようで、俺が舌を侵入させるとそれをすんなり受け入れて、むしろ自ら積極的に舌先を絡めてくれる。そうしてしばらく、素肌を重ねてぎゅっと抱き合いながら、互いの唇の感触に夢中になって唾液を混ぜ合うような口付けをひたすら続けていく。当然俺の一物はギンギンに勃起してしまっており、橙ちゃんが少し体を動かした拍子にそのお尻へと硬い肉棒が当たってしまう。

「んん、ちゅっ‥‥ぷはっ、お兄さん、何かお尻に当たってるけど?」

「ああ、ええとそれは、いわゆるおちんちんというやつだね」

「お、おちんちん!? 見たことないけど、確か男の人にだけついてる、エッチなものなんだよね?」

 まあだいたい合ってる。

「橙ちゃん、良かったら少し舐めてもらっていいかな?」

「えっ、舐めるの? そうするとお兄さんは気持ちいいの?」

「うん、そうだね。橙ちゃんみたいな可愛い子に舐めてもらうと、凄く気持ちいいんだ」

「うんわかった、じゃあやってみるね!」

 橙ちゃんは元気にそう答えると、俺の膝から降りて俺の股間にちょこんと入り込み、そして俺のズボンに手を掛けてやや不器用な手つきでベルトを外してから、一気に下着ごと降ろしてしまう。同時に、ギンギンにそそり立った肉棒が橙ちゃんの眼前にビンと現れて、橙ちゃんは顔を真っ赤にしながらそのはじめて対峙した凶器を食い入るように見つめる。

「わ、す、凄い大きくて、ちょっと気持ち悪い‥‥。どうやって舐めればいいの?」

「まずは先っぽの所から、根元までぺろぺろ舐めてごらん」

「う、うまく出来るかな‥‥んっ、ぺろっ、れるっ」

 橙ちゃんは可愛らしいその舌を口から出すと、俺に言われた通りまず亀頭の先端付近をぺろぺろと舐めはじめる。温かく柔らかい、そしてほんの少しだけざらついた感覚のするその舌が鈴口から亀頭の周囲を舐めあげると、俺の一物は快楽への期待にぴくんとだらしなく震えてしまう。橙ちゃんは少しずつ亀頭から裏筋に沿って、これまた俺の指示通り丁寧に舌をぺろぺろと這わせて行き、俺の肉棒は少しずつ橙ちゃんの唾液でぐっしょりと濡れていく。

 れろっ、ちゅぷっ、れるるっ、ちゅっ、れろれろっ

「う‥‥い、いい感じだよ橙ちゃん、気持ちいいよ」

 俺が橙ちゃんの頭を撫でながら言うと、橙ちゃんは嬉しそうに笑みを浮かべながら答える。

「えへへ、本当? れろっ、れるれるっ、ちゅぷっ」

「それじゃあ今度は、お口の中におちんちんを入れてみようか。唇でしっかり覆って、口を前後に動かしてみて。歯が当たらないように気をつけてね」

「な、何だか難しそう‥‥あむっ、ちゅぷっ」

 橙ちゃんは俺に言われるがまま、肉棒を口の中に入れて唇で覆い、そして口を前後にちゅぷちゅぷと動かしはじめる。当然ながら全く慣れていない感じのぎこちない動きではあるが、逆にこのたどたどしさがかえって興奮を誘う部分もある。俺は橙ちゃんの唇の柔らかさと口内の温かさを存分に肉棒で堪能しながら、橙ちゃんの頭を撫でる。

 ちゅぷっ、じゅぷっ、じゅっ、ちゅぷぷっ、ちゅぽっ

 俺の肉棒はギンギンに勃起しており、橙ちゃんの幼い唇がそれを覆い前後に動く様子は凄まじく興奮を誘うものだった。当然俺はさらなる刺激が欲しくなってしまい、橙ちゃんの肩を軽く掴んでそっと俺の一物から口を離させてから口を開く。

「それじゃあ橙ちゃん、今度は一緒に気持ち良くなろうか」

「一緒に、っていうと‥‥ひょっとして交尾のこと? や、やったことないけどうまくできるかなぁ?」

 交尾、という表現を使うあたりは猫又っぽい‥‥のだろうか。いやまあ確かに交尾には違い無いのだが。

「そうだね、最初はたぶん痛いだろうし、橙ちゃんが辛いようだったら無理はしないよ」

「ううん、大丈夫。私もお兄さんと交尾したいな」

 橙ちゃんはそう言うと、俺に向けて屈託の無い笑顔を向ける。その圧倒的な可愛らしさに俺はすっかり我慢できなくなってしまい、橙ちゃんを畳に押し倒して両膝を掴んでぐっと股を開かせて、その間に腰を滑り込ませる。

「にゃっ、お、お兄さん、落ち着いて‥‥」

「入れるよ、橙ちゃんっ‥‥」

 俺は橙ちゃんの未熟な裂け目へと亀頭の先端を触れさせて、ゆっくりと腰を前に突きだしはじめる。その幼い外見と違わず、橙ちゃんの膣はとても狭いようで俺の一物を簡単に受け入れようとはしない。それでも、ぐっしょりと分泌された愛液の滑りを利用して俺は少しずつ肉棒をその内部へと押し込んでいく。

「にゃっ、痛っ、こ、こんなに太いのが本当に‥‥っ、にゃあぁぁぁっ!?」

 ずちゅっ‥‥ずぷぷ、ずぷっ

 亀頭の先端はとうとう橙ちゃんの処女膜を突き破り、狭く幼い膣内へと秘肉を押し広げながら侵入を果たす。結合部からは血が一筋流れ落ち、橙ちゃんは目に薄らと涙を浮かべて痛みに耐えるように唇を噛んでいた。俺は何とか肉棒を少しずつ膣内へ挿入させて行き、そして根元まで何とか挿入しきると、亀頭の先端が膣奥にこつんとぶつかる感触がした。

「橙ちゃんっ、凄く気持ちいいよ‥‥。橙ちゃんは大丈夫?」

「にゃああ‥‥痛いよぉ。でも何とか我慢はできそうだから、お兄さんはそのまま動いて気持ち良くなっていいから‥‥」

 何という健気で良い子なんだ。しかし今欲望のままに腰を動かしては、さすがに橙ちゃんは辛いだろう。俺は根元まで肉棒を挿入した状態でいったん動きを止めて、橙ちゃんの背中に両手を回してぐいと抱き上げると、そのまま体を密着させて頭や背中を優しく撫でていく。

「ふにゃぁ‥‥お、お兄さん、動かなくていいの?」

「今動いても橙ちゃんが辛いだろうからね。それに、この状態でも橙ちゃんの中はしっかり濡れてるから、少し待てば慣れて痛みも和らぐと思う。それまで、こうやって繋がったままのんびり待とう」

「んん‥‥にゃぁ‥‥お兄さん優しくて大好き」

 橙ちゃんはそう言うと目を細めて俺の体を抱き返し、俺に頬ずりをする。そうしてしばらくの間、橙ちゃんと身を寄せ合って体を撫でたり、キスしたりして時間を過ごしていたが、やがてふと橙ちゃんの膣内がひくひく痙攣して俺の一物をきゅぅっ、と締め付ける感触が股間から伝わってくる。おそらくこれは、痛みよりも快楽をより感じはじめたサインだろう。

「橙ちゃん、少し動いてみるよ。痛かったらすぐに言ってね」

「う、うん、そういえばあんまり痛くなくなってるかも‥‥」

 俺は橙ちゃんの小ぶりな尻を両手で掴み、その小さな体を持ち上げるようにしつつ下から肉棒の出し入れを開始する。

 ずっ、ぐちゅっ、ずぷっ、ぬちゅっ、ずぷぷっ

「あ、あっ、お兄さんっ、凄いっ、気持ちいいっ、いいよぉっ、にゃあぁっ」

 どうやら問題無いようなので、俺はさらに勢いをつけて対面座位の状態で腰を振り、橙ちゃんのきつい膣内で肉棒を繰り返し出し入れする。橙ちゃんは俺の首にぎゅっとしがみついて、息を荒くしながら喘ぎを上げて快楽に没頭しているようだった。次第にちゃんは自らも腰を振り、俺の動きに合わせて貪欲に肉棒を膣奥まで受け入れようはじめていた。

 ずぷっ、ずぽっ、ぬぷっ、ぐちゅっ、ぬちゅっ

「や、あ、やぁっ、何か来ちゃうっ、あああっ、お兄さんっ、飛んじゃいそうっ‥‥」

 橙ちゃんはぴくぴくと背中を震わせながら、膣内ではきゅうきゅう収縮を繰り返して肉棒に秘肉を絡ませる。明らかに絶頂が近いようで、もはや快楽のあまり体に力がうまく入らず、俺にしがみつくのも難しそうだった。俺はそこで一度腰を止めて、橙ちゃんを畳の上に寝かせて太ももをぐっと掴んで足を開かせてから再び橙ちゃんの膣内に一物を挿入していく。

「橙ちゃん、俺もそろそろ出そうだよ。俺が動くから、そのまま寝てて」

「ふぇ‥‥出る? よくわかんないけど、早く動いてお兄さんっ、もっと気持ち良くなりたいよぉ」

 俺は橙ちゃんの要求に応えて、そのまま正常位の体勢で橙ちゃんの膣内へ肉棒の出し入れを再開する。橙ちゃんは俺の動きに合わせて畳の上で前後に小刻みに体を揺らし、その未熟で控えめな乳房もふるふると揺れ動く。膣内では愛液を溢れさせながら秘肉が淫猥に一物へと絡み付き、射精を促すようにきつく締め付けてくる。あまりの快楽にもはや我慢の限界も近く、一方で橙ちゃんも相当感じているようで頬を紅潮させながらだらしなく喘ぎ声を上げていた。

「にゃぁっ、にゃっ、お兄さんのっ、おちんちんっ、凄く気持ちいいよぉっ、にゃああっ、あんっ、やっ、ダメダメっ、何か来ちゃうっ、にゃあああああっ!」

「橙ちゃんっ、出すよっ‥‥」

 どぴゅっ、びゅるるるっ、どくどくっ、どくん、どぷっ、どぷぷっ、びゅーっ

 俺は肉棒を橙ちゃんの膣奥へと挿入した状態で大量の精液を膣内にどくどくと迸らせてしまう。橙ちゃんもそれとほぼ同時に絶頂して、肉棒を絞り取るようにして一際激しく膣内を収縮させながら、体をびくびく痙攣させていた。

「にゃっ、にゃぁぁ、お腹の中に、なんか熱いのがいっぱい出てるよぉ‥‥これ、凄く気持ちいい‥‥」

「ご、ごめんね橙ちゃん、つい気持ち良すぎて膣内に出しちゃって」

 自分でも驚く程に大量の射精が何とかようやく収まってから、俺は一物を橙ちゃんの膣内から引き抜く。ほぼ同時に、橙ちゃんの幼い膣内では収まり切らない大量の精液が裂け目からどろどろと溢れ出して、お尻や太ももをつたって畳へとぽたぽた滴り落ちる。橙ちゃんは快楽の余韻で半ば我を失って息を荒げており、俺は橙ちゃんが落ち着くまで頭を撫でたりしながら時間を過ごした。


◇◇◇


 その後、まだ発情の収まらなかった橙ちゃんともう一ラウンド情事に及んでから、俺は何とか昼前までに行為の後始末を終えた。昼過ぎには俺は菓子作りの準備を開始して、ちょうど午後三時を迎える頃合いに藍さんと紫さんが二人ほぼ同時に戻って来た。

「ふ、二人ともお帰りなさい。言われた通り、コーヒーに合う洋菓子を作っておきました」

「ふふ、感心ね。それじゃあ藍、コーヒーを淹れて皆でおやつの時間にしましょう」

 俺は自信作の一つである苺のベイクドチーズケーキを切り分けて、紫さんと藍さん、それに橙ちゃんへとそれぞれ差し出す。紫さんは品定めするようにじっくりと俺のケーキをフォークで切り分けると、上品に一口分を口に運んでいく。一口、二口と咀嚼して、それから少し驚いたような表情を浮かべて口を開く。

「これは‥‥しっとりした口当たりのチーズケーキに爽やかな苺の風味が溶け合って、見事な出来映えね。苺のピューレと、ストロベリーリキュールを隠し味にチーズケーキの生地に混ぜたのかしら。確かにコーヒーにも絶妙に合うわねぇ」

 ‥‥何とか合格点はもらえたと考えていいのだろうか。

「わあ、このケーキ凄く美味しいですね、藍様!」

「そうだな、橙。いや実際、正直これほどまでに見事なものが出て来るとは私も思っていなかったわ」

 橙ちゃんと藍さんにも好評なようで何よりである。俺がそうして胸を撫で下ろしているうちに三人はケーキを食べ終えて、俺は食器をまとめて台所に持って行く。すると、紫さんがまた空間の裂け目から俺の目の前ににょっきり現れて、そして俺の耳元に近付いてそっと小声で囁いた。

「洋菓子の出来映えに免じて、今日橙としたことは藍には内緒にしておいてあげるわ」

「え!? あ、いやそのあれはですね、ええとそのつまり‥‥な、内緒にしてもらえると助かります」

「ふふふ、明日は日本茶に合う洋菓子を作ってもらおうかしら。それじゃあ、私はまだ用事があるから失礼するわね」

 そう言うと、紫さんは裂け目の中に潜り込んで姿を消してしまい、空間の裂け目も俺の眼前から消え去った。‥‥まあ、紫さんのこの常識外れの能力を持ってすれば、確かに俺と橙ちゃんの情事を覗き見ることなど造作も無いだろう。数日後には記憶を消されてしまうか死ぬかする身とはいえ、あまり節操の無いことをするのは控えた方が良さそうだな、などと思いつつ俺は食器の片付けを再開するのであった。


続く
というわけで、橙のターンでした。猫キャラの時はついついマタタビに頼ってエロ展開に持ち込んでしまいます。ごめんよ橙許しておくれ。
次回も引き続き回想シーンで、藍様の出番となります。このシリーズはあと三回で完結予定となりますので、最後までお付き合いいただければ幸いです。
できれば年内には次の話を投稿したいと思います。それではここまでお読みいただき、ありがとうございました。

以下追記
>>4コメの方
ご指摘ありがとうございました。猫携帯・・・
オルテガ
コメント




1.茶露温削除
新作待ってました!とても面白かったです
あれ?橙との情事が初めてのはずなのに理性が一番仕事してねぇじゃねーか!洋菓子屋大丈夫か!?
もう完結まで秒読みといったところでしょうか?最後まで応援してます!
俺も完結までには作品投稿できるよう頑張ります…
2.性欲を持て余す程度の能力削除
新作きたあああああああ
命がかかってる状況なのに結局欲望に耐えられない洋菓子屋は相変わらずやな
もうすぐ完結なのが惜しいですが次回も楽しみにしております
3.性欲を持て余す程度の能力削除
次回は藍様ですか・・・どこかの絵師さんのせいで洋菓子屋が抜かずの千発やられそうなんだが
まぁ洋菓子屋なら耐えられそうな気も・・・?
4.性欲を持て余す程度の能力削除
マタタビあげたあとのなでなでのところで
猫形態? が 猫携帯 になってますね。
まぁわたしは猫携帯でも大歓迎(*´・ω・`)b
5.性欲を持て余す程度の能力削除
まさか八雲家も攻略済とは笑
藍さまのパイズリとかテクすごそう
次回楽しみにしてます
6.性欲を持て余す程度の能力削除
面白かったです!続き楽しみです!
7.性欲を持て余す程度の能力削除
安心と信頼のオルテガクオリティ。
もう少しで完結かぁ
寂しいのう