真・東方夜伽話

森奥のインキュバス

2016/10/22 22:08:35
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森奥のインキュバス

Romy

(しんおうのインキュバス)
ショタ魔理沙。一般的ではないアリマリが苦手な人は注意してください。

 深くかぶったローブを口元に手繰り寄せた。魔法の森の最奥。姿を隠すためでもあり、色濃い瘴気から身を守るためでもある。
 こんなところに二階建ての立派な建物がある。入り口のランプが紫色の霧のなか、人がいる温かみを知らせている。
 開ける音だけでわかるほど格調高く重厚な扉を開き、アリスは建物の中へ入った。
 入ったそこは玄関ではない。燭台のか細い光。目の前の壁には応対のための穴があり、アリスはそこに両手を甲を上にして見せた。爪を切ってきたことを示す。ついでに、握りしめていた銀貨を三枚カウンターに置く。そうしてようやく、奥の方から「いらっしゃいませ、ミス・マーガトロイド」と無機質な声が聞こえた。
 ここでの用は済んだ。ローブを壁のフックにかけ、左手の階段を上る。急な角度な上に蝋燭もまばらで足元はよく見えない。一段一段と上り、上りきったところにあるのは鏡が備え付けられた洗面台。
 銀のコップを手に取り、蛇口をひねった。口をすすぎ、使い捨ての歯ブラシで歯を磨く。練り歯磨き粉の人工っぽいミントの香りで生唾のにおいを消す。奥歯をこすりながら、髪形を確かめほつれた部分に手を当てる。
 うがいをして口を拭き終わったらすぐ中から声がかけられる。右手のカーテンの奥。フロアの入り口から。
 服装もそうなら顔の前に真っ黒い沙まで垂らした、まさに黒子のようなフロアマンに促され、席の一つに通された。お尻がよく沈む上等なソファ。目の前のテーブルには既にカクテルが置かれている。
 キャストが来るまでのほんのわずかな空白の時間。アリスは空色の液体が注がれたグラスに手を伸ばす。ブルーマティーニ。歯磨き粉の無粋なにおいを消すのと、景気づけ。
 フロアは階段と同じく暗い。天井のスピーカからはヴァイオリンの音色が聞こえる。アリスは音楽に疎い。どんな曲かは知らないものの、素朴に上品だと思った。
 左を見る。先ほどから視界の端で動いていた。お互い銀髪の女と、恐らくは少年が正面から抱擁し合っていた。隣席とアリスの席の間には向こうが透けるカーテンが一枚あるだけ。熱気さえも透ける。
 じろじろと見るものではない。アリスは残り四半になったグラスに向き直りくちびるをひとさし舐めた。
「いらっしゃい」
 向こうから歩いてくるのを目で追うのはかっこ悪いと思っていても、近づいてくる姿を凝視するのをやめられなかった。
 やってきたのは霧雨魔理沙。普段のエプロン、スカートではなく半袖シャツにサスペンダ、股下のごく短い半ズボンと少年の出で立ち。
 隣に深く座る。魔理沙の体重でソファが沈み、アリスはそちらへ引き寄せられた。
「指名してくれてありがとな。今日もよろしく」
 持参してきたグラスで乾杯すると、早速肩が触れる、髪同士、触れる。大きな瞳、アリスを見てる。緊張してるのは筒抜けなのか、表情を崩してる。口付けの期待抱かざる得ないこの距離で。
 魔理沙が目を閉じた。アリスにだってわかる。そもそも何度目の来店か、それなりに慣れてる。重ねた。魔理沙は早い、もう舌を入れる。アリスの舌を見つけて、そこを確かめるみたいに舐め始める。アリスが突き出すと、すぼめたくちびるで包んで、はんで。くちびるをついばんだりも。アリスだってそれにならう。魔理沙の舌を吸い、逆に突き込んだり前歯の裏まで舐めてみたり。
「アリス、今日もきれいだね」
「魔理沙も、かっこいい……」
 今繰り広げたことに較べれば何ともちゃちなやり取りなのに、照れくささが広がる。
 お見合いしたまま時間だけ過ぎてしまうことを魔理沙は知っている。だから、首筋や耳元にもくちびるを落とす。
「いつもみたいに、触って? ほら」
 そうしながら、アリスの手を自らの胸へ引く。薄べったい胸板の感触というよりも、魔理沙の身体そのものへの興味を煽っていく。
 中指の先は鎖骨、手のひらの真ん中、その下に魔理沙のいのちのありかを捉える。しなやか。弾ける若い生。それも、異性の。服越しじゃないと、手をやけどするかもしれない。
「遠慮しないで、前はだけさせちゃっていいぜ」
 第一ボタンははなから開いている。シャツだからブラウスとは逆向き、器用さが売りなのも今は形無し。アリスはぎこちなく魔理沙を包む白い化繊の衣を解いていく。
 その下はランニングだから、まだ素肌じゃない。じゃないけど、そこは体温と同じに温められている。汗を多少なり吸ってる。
「化粧落ちちゃうぞ?」
「いいの……暗いから」
 それよりも楽しむべきものがあるから。頬に感じる控えめなちからの源、石鹸混じりから探す微か幽かな魔理沙のにおい。
「夢中になっちゃって可愛いぜ。……今日はわたしが上になろっか」
 そう言ってひと撫でして一度魔理沙は立ち上がり、足を揃えて座りなおしたアリスのその脚に跨って対面するようにまた座った。
「アリス、ほら……しないのか?」
 背が低くても、こうすれば魔理沙の目線のほうが上になる。アリスの目の前には先ほどはだけたばかりの胸元。アリスがまたふっかりと沈み込むと、今度は魔理沙が受け止めてくれた。
 背中と頭に手が回る。魔理沙のいのちのリズムを感じながら、じわじわと伝わる温もりに余計な力が抜けていく。魔理沙がお尻を載せる脚からも。もちろん、胸と重ねた頬からも、アリス自ら背中に回した手のひらからも。さっき見た銀髪のカップルの再現。生を持つ少年の、その炎にこうして全身で当たる。
「今日は甘えたい?」
 こうして近いから、ひそやかな声の大きさで十分聞こえる。アリスが頭を揺らすと、魔理沙は何も言わずにアリスの顔を上げさせた。淡い笑顔で見下ろして、またもう一度抱き寄せた。今度は寝かしつけるように撫でて、アリスのなにかをやわらかくしていく。
「くすぐった……!」
 ランニングの裾をまくるまでは黙っていたけど、アリスの指が中を這った途端に魔理沙は遂に声を上げてしまう。
「アリス、指冷たい」
 ぽっちを押されて腰を引かせながらも、侵入するアリスの手を魔理沙は引っ張り出す。
「あっためてあげる」
 もう、と口では不満気だけど口元は楽し気なかたち。手を握られるアリスのほうは黙りこくって見つめるばかり。こういうときにどういう会話をすべきなのか、アリスが越した夜はまだあまりに少ない。
「アリス、手すべすべだよなー。真っ白だし、細いし。わたし、手が綺麗な女の子って好きだぜ」
 自分よりもにわかにごつごつした手から流れ込む温もりに、血の巡りが早くなってくる。魔理沙の感心した評に、アリスはなんとかお礼は言えた。それきり魔理沙が黙ってしまって、もっと気の利いたことが言えないのか、少し後悔することになったけど。
 これぐらいでいいかな、と魔理沙が手を離すと、今度は自らランニングをたくし上げてじかに肌を見せてくれた。
「ええっと……なんかこう自分でやるのも恥ずかしいかも」
 鼻っ面に照れを浮かばせて、医者にそうするようにしてアリスに胸を晒している。
 ほんの少し顔を前に出すだけでいい。そうすると、自動的に胸の真ん中にアリスはくちびるを当てることができる。
「ひゃー……変な感じ」
 少し横にずらせば、ぽっちにだって当てられる。差し出す舌で撫でると、魔理沙が奇妙な声を出す。肌の塩味がぴりりとアリスの舌を刺す。きっと少年の味。
 せっかく温めてくれたのだから、触ってもいる。あばらで波打つ腋、贅肉の気配すらないお腹、産毛の感触のする背中、そして口に含んでない側のぽっち。
 男の子だって乳首が勃つ。魔理沙に触れるまでアリスは知らなかった。それが気持ちよくなったからなのか、くすぐったいからなのかはまだ分からないけれど。
 片側は指先で円を描いたり、つぼみのような先をはじくように弄び、もう片側は舌でうんと湿らせて、吸ってみたりもする。相手は年下の男の子なのに、母に甘えるでもなしに。
 魔理沙の押し殺しきれない声が耳に届く。息がつむじのあたりに当たってる。
「女の子もおっぱい吸ってみたいものなのか?」
 きっとアリスが思っている以上に夢中にそうしてるように見えたのだろう。魔理沙の素朴な質問だった。
「わかんないけど……、魔理沙のだからわたしはしたいんだと思う……のかな」
 それに一瞬考えるふりして、でも質問の途中ですでに答えは出ていた。両手でくすぐりながら、アリスは顔を上げて答えていた。魔理沙はまんざらでもなさそうに笑って、アリスにくちを寄せた。いきなり舌の広いところをアリスは感じて、合っていたんだと安心する。
 またもキスは長くなって、アリスが手を下ろすとランニングは支えをなくして垂れ落ちた。アリスの右手はさほど滞留もせずお腹を素通りして魔理沙の下へと伸びていく。
 ズボンと下着を隔ててなお素肌より熱は高い。お湯でも詰まってるかのよう。
「あつい……」
「うん、……熱くなってる」
 いいや、真実熱い血潮が詰まってる。男の子の体の仕組み。
「かちかち」
「うん。かちかち」
 言葉を知らない小さな子のように確かめ合う。ふたりで同じものを見て。
 先のほうを摘まむようにして弄ぶと、中がうねるように反応する。荒れてはいないけど、魔理沙の息は深く長い。
「こーら。チャック降ろしちゃ、めっ」
 かちゃかちゃとボタンをはずそうとしたら咎められてしまった。直に感じて手に焼きつけたいのに。
「これ以上すると、怒られちゃう」
 両手を使って揉み込み始めた手を制し、魔理沙はゆったりと息をつく。それはアリスの眉間に当たって、まぶたのほうへ流れてく。
「VIPルーム……」
「……行く?」
 ここだとここまで。アリスがこくりと揺れると、魔理沙はアリスから離れ立ち上がる。手を差し出して、アリスが立つのを助け、手をつないだままフロアの奥へと歩き出す。
「やった。またアリスとVIPルームっ」
 ふたり薄暗がりのフロアを進む。声をそばだたせ絡みつくように腕を引いて、魔理沙はアリスを見上げる。それを視界の端でとらえて澄まし顔混じりの照れ隠しで、アリスは前を見続けた。
 四席分ほど進み、暖簾の奥にVIPルームなる個室に続くちょっとした廊下が横に広がっている。ここまで来ると音楽は遠くなっていて、部屋の奥からの押し殺すような喘ぎ声が、しかし殺されることなく響いてきている。
「こっち」
 息を呑んで立ち止まるアリスを魔理沙が引いた。アリスはこのVIPルームでどこまでしていいのかを実は知らない。
 五つある内の左から二つ目に通された。履き物を脱いで上がる。布団と淡い橙で照らされた、逆に言うとそれ以外は何もない茶色い個室。
 金属どうしが当たる音がして振り向く。魔理沙が後ろ手にドアを閉めていた。これで密室。布団しかない部屋で、他に誰もいない。ふたりっきり。
 でも魔理沙の笑みはさっきと同じままで、見つめるアリスに「どうした?」と無邪気に尋ねてる。持っていた小さな籠を置き、アリスの正面に魔理沙が座る。さっきの喘ぎ声、個室に入ったのにまだかすかだけど聞こえてる。魔理沙がほんのり不思議そうな様子の視線を送っている。アリスは目を皿にしてる。
 正座した魔理沙が腕を広げて首をかしげたのが合図。アリスは飛び込んでいた。思いっきり、思いっきり抱きしめてもらう。頭からこぽこぽ泡を飛ばして、腕に目いっぱい力を込めて。切なすぎる期待に胸のなかを任せ、あるいは自分じゃ絶対抱き潰せない強さ信じて。
「本当に今日は甘えただあ」
 繊細な指で、髪を、繊細に梳く。受け止める魔理沙は鏡のように静かな水面のようで、アリスのどうにもできないうずうずを映し出しては消していってしまう。
 寝転がって、服が皺になるのも気にせずくちを重ねて舌を溶かしあう。まとう滴の膜があわいをなくしてく。チャックを下ろしても、もう魔理沙は何も言わなかった。逆に魔理沙もスカートをまくりあげ、アリスの性に手を至らせている。表面を確かめるだけなのは、下着が無事ですまなくなってしまうことを知っているから。
「脱いでもらってもいい?」
 アリスに触ってとは言わせない魔理沙の気遣い。それはキャストとしてのそれなのか魔理沙としてのそれなのか。いまのアリスに気にかける余裕はないけど。
 一度立ち上がり、スカートと下着を下ろす。ついでに上も脱いだ。残るはソックスとキャミソールだけ。ブラをしないのは魔理沙から触ってくれることも考えてのこと。
「ちょっと変かもだけど……ごめんな」
 肩幅に脚を開いて膝を外側に向けるがに股。しかも、下半身だけ裸で。性を突きつける格好。こんなところじゃなきゃ絶対にしたくない。
 魔理沙が手に取った蒸しタオルで丁寧に拭いてくれる。一応来る前にアリスはシャワーで身を清めたけど、こういう決まりだ。興奮に水を一差し、一線を引く決まりごと。
 でも、この体温よりはるかに高いぬくもり、ひだを開いて揉み込むような手つき。芽を、入り口を熱せられて声が漏れる。清めにしては長い。魔理沙はわかってる。アリスがタオルに滲ませるまで、こうしてくれる。
「濡れちゃった?」
 嘲りではなく嬉しそうに。指でじかにひとすくい。アリスからよく見えるように出した舌に、ためらうことなく指をのせ、見上げたまんまで表情をほんのかすか崩す。
「うん。きれい」
 髪と同じ色の恥毛をひと撫ですると、独り言のように呟く。お世辞なのかどうかをアリスが判断しきってしまう前に、アリスを立たせたまま魔理沙は口を寄せた。
「や、だ。だめ……っ」
 立っていられる程度のリズムとやさしさで。芽の輪郭をなぞり、ひだとひだの隙間、タオルが届かなかった場所も余さず清めるように。逃げてしまいたい恥ずかしさと、続けて欲しい切なさの矛盾を突きつけられて、アリスは肌着を摘まんで声を漏らし続けることしかできない。魔理沙の瞑った目元と感じる舌の動きから結んだ像を繋ぎつつ。
 魔理沙がくちを離すと、アリスはへなへなと崩れてしまった。茹ったように顔どころか体も赤らめ、脚を閉じるのも忘れてる。
「アリス、いつもシャワー浴びてきてるだろ」
 その脚の間に陣取るようにして魔理沙が顔を近づけてきた。あれだけくちで愛撫したあとなのに、口元にはその名残がまるでない。
「そういうのって嬉しいんだ。ありがとな」
 快感の余韻の中じゃ、アリスは「うん……」と答えるので精いっぱい。
「立ってたの、疲れたろ? 今度は四つん這いになって、さ」
 声に伴う息がわかってしまう距離で、魔理沙はアリスに次を促した。
 その指示通り、落とし物を探すような恰好、その後ろ姿をアリスは魔理沙に晒した。胸を下げてお尻を突き出す。脚は肩幅、いやらしい場所全てを魔理沙のもとに晒す凄い姿勢。
「汚いわよぉ……」
「洗ってきたんだろ?」
 ふーっと息を吹きかけたと思ったら、魔理沙が自然と舐め始めていた。アリスの抗議に、もしもそうじゃなくてもアリスなら平気かな、と小さく呟く。
「美人のアリスでもうんちするんだもんなー。なんかふしぎ」
 魔理沙が、唾液で濡れたアリスの排泄の穴をこねている。
「最後に出したのはいつ?」
 このあまりにも素朴な質問は、しかし恒例のことなのだった。
「き、……きのう」
「太さは?」
 かたちは? 色は? においは? 根掘り葉掘り聞き出される。
「においは、いつもより控えめ……」
 羞恥に震えながら、アリスは逐一答えていく。魔理沙が、こんな汚いことだけど興味を持ってくれるのが嬉しくて。
 これまでも色んなことを聞かれた。好きな食べ物や好きな色だとか些細なことから、その場その場で魔理沙が気になったこと、例えば自慰はどれぐらいしてるのか、だとか。
「最後はいつオナニーしたの?」
 こんな、ふうに。魔理沙の指が芽にも当てられる。静かにこね始められると、アリスの体が舟のように揺れ始める。
「き、きのう……」
 アリスが答えても魔理沙はそんなに関心を示さない。ときどき抱いた感想や評価を伝えるだけ。
「おかずは?」
「魔理沙に決まってるじゃないの……!」
 正直に答えるのが最も正解に近いと思って、アリスは真面目に答えてしまってる。何を聞かれるのか予測して、答えも用意しておいている。まだ聞かれたことはないけど、生理の周期だって答えられる。
「わたしにどんなことしたり、されたりすること考えてた?」
 ここで黙ってしまう。魔理沙はこねながら待っていたが、いつまでも答えない様子を感じ取って手を止めてしまう。
「やめないでっ……、わかりました、言います、言いますからぁ……!」
「アリス、いったいわたしにどんなことされてるのを考えてたの?」
 また指を動かし始め、改めて丁寧に質問する魔理沙。暗に答えないという答えを断つかの如くだ。
「まりさのっ……おちんちんを……っ」
 きゅぅうっと、下腹の奥が泣いた。
「おちんちんを?」
「わたしの、あそこ、に……」
 溢れるようだ。爆発的に分泌してる。
「アリスのどこ?」
「お、お、……おまんこ、に」
 芽に触れるのとは別の指があてがわれた。そこを、入るでもなく魔理沙はまさぐり始める。
「うん。アリスの可愛いここに?」
「入れてもらうのを、想像しながら、オナニー、してまし、た……あっ」
 もう、万端としか言いようがなかった。芽よりさやが渇きを訴え始めた。まだ、……いまだ処女の、くせに。
「よく言えました。ごめんね、恥ずかしかっただろ?」
 アリスの体を引き寄せて、ぎゅうっと抱きしめて。
「いじわる……! 恥ずかしくて、死んじゃうわよぉ」
「死んじゃダメだって。……アリス、わたしでオナニー頑張ったんだもんな。いっぱい褒めたげる」
 四つん這いになっていたのを、肩を引き寄せて魔理沙は抱擁する。頬を当てて、髪を梳く。かっかと火照るアリスの熱を、自らの身体で吸い取っていく。
「いい子だな、アリスは。よしよし」
 渦巻く性と屈辱の興奮は、天へと体を押し上げるような肯定感に彩りを変えいく。
 顔を覗き込む魔理沙が、目があった途端無邪気なふうに表情を崩した。そうして、肩に手を置かれてアリスはくちびるをさらわれる。
 髪をかき上げ晒された耳を舌が這ってる。小さな舌先だから、舌は這ってるというよりくすぐっているようでもある。魔理沙、と言いたいのに喉が張り付いて声は出ず、ただ口元を抑えて魔理沙を感じるだけだった。
 左胸に手のひらがかぶせられた。まだそうしてるだけ。小ぶりな膨らみが手の熱でじわじわ温められていく。それはぽっちごと。ときどき親指がかすめて、アリスは肌どころじゃなく粟立つ。中指は腋に当たってる。そこはくすぐったいと心地いいのちょうどあわい。
 魔理沙のくちは首筋に至る。そこに溜まった汗の味を啜り、太い血管だとか、腱だとかを甘噛みした。これが自分じゃなかったらもっと素直に美しいと思えたのだろうか。と、アリスは思う。
「ばんざーい」
 肩をかじり始めてしばらく、魔理沙は遂にアリスを守るキャミソールを取ってしまう。丁寧に四つに折り畳んで脇に置くと、ひとなめ視線を注いでフッと笑う。アリスの火照りがにわかに増えた。
 正座から顔だけ突き出すように、魔理沙が胸元に頬を寄せた。眼下で揺れるこがねの頭髪に、アリスは深く思いめぐらせる。時々アリスは魔理沙が分からなくなる。引かれた一線を消す権利は魔理沙の側にしかないから。
 肌着にこすれてずっと、なんなら痛かったくらいだ。魔理沙がくちに含んだとき、倒れそうだった。びりびりと末端から走ってきた電気がその場を強く痺れさせては消えていく。
 静かに目を閉じて夢中な魔理沙を見下ろす。与える嬉しさ。女に生まれてきてよかったと思えるとき。赤ちゃんにあげるのとは多分、少し違うかも。
 すぼめたくちびるの、丸いつるんとした輪がわかる。つまむ感触は再現できても、吸われるそれは真似できない。魔理沙の求めがないとだめだから。
 魔理沙がまた戻ってきてくれた。いつキスがまたしたくなるのか、すっかり把握されてしまった。口付けに集中したいことも分かられているようだ。核心は避けて内ももの肌の薄い部分を掃くように魔理沙が撫でているから。
「わたしも魔理沙の、舐めたい」
 キスは意外と口の中の水分が飛ぶ。紙コップで水をもらい、アリスは気を取り直す。いつだか口付けだけで入店からお別れまでを過ごしたことがあったけど、今日はそうじゃない。
「ほんと? でも、わたしも舐めたいー……」
 アリスが手を伸ばすと、魔理沙も負けじと手を重ねる。
 互いに舐めたいふたりがすべき体勢はふたりともわかっているけど、あまり上品な言葉じゃないからしようだとか言いたくない。寝てる人の顔をまたぐのが不作法だし、本音ではアリスだって好きじゃない。
「わたしが舐めます」
「えと……じゃあ、お願い」
 顔をぐいっと近づけると、意外とあっさり魔理沙が折れた。実はあまり口でされるのを魔理沙は好まない。されてる間、何をしたらいいか解らないから、といった理由をアリスは以前聞いた。でも本音は恥ずかしいからじゃないか、とアリスは考えている。
「うー……」
 男児用の白い下着から性をこぼれ出させた。飛び出ている様子がお茶目。それに、温めるように息を当てる。「吹き付ける」ほどでもなく、こもった熱を徐々に巻きつけていくように。
 膝立ちとなっている魔理沙が胸元に重ねた手でくちを隠してる。少し無理な姿勢になるけど、アリスは咥えているところが見えるようにしてあげる。すると、七分立ちだった魔理沙がさらに張りつめて、包み込むアリスのくちびるが内側から押されていく。
 それを感じるアリスに桃色の風吹き抜ける。幹が育つのを口の中でも感じる。大きくなって、その分押しのけられた空気の流れで。とても念入りに洗ってあるのだろう、石鹸のにおいすら魔理沙は持ってない。当てた舌から感じるのは純粋な熱だけ。
「アリス、歯ぁあてるの、怖いってぇ……」
 食べ物じゃないってもちろんわかってる。けれど歯でも感じてみたいのだ。軽く立てて、にわかにつぶれる感触を知る。噛む動作でより唾が滲む。それに先っぽを浸してあげてお詫びのつもり。
 舌やくちびるを使った奉仕は、しかしまだアリスの、自身のためのもの。だって魔理沙には足りない。男の子が求めるもの、熱ととろみの包まれ感。口の中の空洞は舌には狭く、おちんちんには広い。だから、アリスは鼻が魔理沙のお腹に当たるくらい顔を寄せた。すでに迎え入れているものがちょっと怖いところに当たるまで。
「それ……ア、こーふん、すっ、る……!」
 えづきそうになるのを耐え、紅潮と涙にも耐え、魔理沙を包んでいる。嬉しさったらない魔理沙の声! いまどんな顔をしているのか、アリスは見てみたいけど、今の顔は見せられない。あるいはもしも、魔理沙を本来包むべきものを使えたら、顔と顔とを寄せられるはずだ。
「……んぐ、けほっ、けほっ……」
 滲む視界に、喉がまとっていた粘りの強いしずくが魔理沙にまとわりついているのが見えた。汚してしまった気分になって、えづきが引いたらもう一度迎えて、くちびるで濾し取って清めた。
「もう、喉まで入れたらダメだって前も言ったろ? 気持ちいいけど、アリスに苦しまれるとわたし辛いんだぜ」
 顔を上げると魔理沙が肌を寄せた。頬をついばむ、こめかみに鼻があたる。耳に息を吹き込まれるとアリスは力が抜けてお尻を落としてしまう。
「……お布団、はいる?」
 そうしている間に魔理沙は手早く服を放った。隠さない肌、脚を大きく開いた膝立ちで掛け布団をめくる。
 何も一緒に眠ろうというわけじゃ当然ない。魔理沙の言うところの「温めあい」をする。布団の下で何をするかは魔理沙とアリスしか知りえない。密室の中に、またひとつの密室が生まれるのだから。
「へへ、わたしこれ好きなんだあ……」
 迎え入れられて、早速魔理沙が抱きしめてきた。布団が肌にこすれる、魔理沙の肌がじかに肌に触れる。お腹にさっきうんと口にしたものが食い込むように当てられている。赤熱する炭のよう。
「アリス」
 不意に、魔理沙の声が一段落ちた。熱心にしていた頬擦りもやめて、おでこどうしをこちりと当てる。
「ヘンな気分になってきちゃった」
 視線はきっと実体を持ち、目から入ってお腹へと重く下ってる。魔理沙の体がどこを見ているのかありあり解る。飲み下したつばが胸の奥を焼く。声帯は固着し意志をもっての声はない。手は震え始め、しかし指は一本も動かない。心臓は跳ねすぎていて、魔理沙が手も触れてないのに伝わってしまっている気さえする。
「えっちなこと、していい……?」
 目を逸らすなんて、思いにもよらない。もうこうして一緒の布団にお互い裸で入ってる。聞くまでもないのに魔理沙はちゃんと問いただす。具体と抽象の使い分け。アリスの意識はこうしてかき混ぜられていく。
「震えてる……かーわいい」
 さっきから一言も喋れてない。ただただ魔理沙の一挙手一投足を目で追うだけだ。でも、アリスはどうしようもなくこれが心地いい。どうして喋れないのかを知られていることも、それを察して言葉をかけてくれることも、……手綱を完全に預けてしまうことも。
「んっ……ふっ……ぁ」
 止めどない。くちを重ねる魔理沙に次々鼻息をぶつけてしまってる。魔理沙の指たった一本、芽をこねられてちりちり弾ける性の快感。くちびるの感触で掴むキスしているという事実が頭を、まるで伸びをする筋肉のように痺れさせる。
「いたくない?」
「んぅ、んぅう……、んゃん、……!」
 もとから声が出ないけど、優しすぎて、優しくされすぎて意味を持つ言葉すらアリスは浮かべることができなくなる。必死に首を横に振る。目を閉じてるせいで伝わってるかどうかも判らないから、しがみついてまでそうした。
「はー……、あぁっ……あ、う、ぃう」
 指の動きは段々と大振り。体全体がひきつり出す。眉根が寄り、声ならぬ声が漏れていく。指一本で完全に狂わされている事実もいまはアリスの意識外、魔理沙の手を股に挟んでもぞつきそれでも全身の隅々から愛を発散させ駆け上がっていく。
「アリス、好き。だからイってるとこ……アリスのかわいいところ、よーくわたしに見せて……?」
 強烈な後押し。――わたしもすき、とくちの形だけ変えるのが限界。きっと、ひどい顔だし髪の毛もぐちゃぐちゃだ。でも魔理沙はきっと優しくまなざしを注いでくれてる。真っ白になりいくなか残るのは魔理沙だけ。姿や顔を像として結べなくなっても、それでも魔理沙は残って気持ちを捧ぐべき場所を教え続けてくれる。
 跳ねながらアリスは思ってしまう。想像の中は綺麗で尊い恋慕と奉仕の世界。その清廉さを、こうしてびくんびくんと痙攣し、ひとかけらの意味もない呻きを上げ、愛しい人の指汚すこの毛布の中の世界に、少しだけ分けてあげられないだろうか、と。
「気持ちよかった? アリス、イき方すっごくかわいくて何回も見たくなっちゃう」
 でも、魔理沙がこうして気に入ってくれているなら、この生々しさや苦悶しているような絶頂の形相にもあるいは価値があるのかもしれない。
「えっちなにおい」
 情欲をかき回した手がお互いの顔の前に現れる。鼻を近づけ魔理沙が香る。それどころかくちびるで拭い、舌を伸ばして味わってさえいる。かすむ意識が目の前の事実を処理できず、アリスは声も出せずに見守るしかない。次第に、指じゃなくて自らの口に、魔理沙を欲しくなり始めるまで。
「こう?」
 ん! ん! と体をもぞつかせるだけで魔理沙は察してくれる。求めておいて図々しくアリスは舌も出さないけれど、魔理沙は何も言わずにくるくるとくちびるや、口の中とくちびるのあわいをなぞってくれた。キスはキスなのに、ゆったりとしていて急かさない。アリスは少し平静さを取り戻す。
「実は……わたしもおとといひとりでした。アリスのこと考えて、しこしこしちゃった」
 突拍子もなかった。アリスの熱病にかかったような浅い吐息に、しゃっくりのような不整が混じる。
「えっちなこと……してた。頭の中で。アリスと、えっち。ほんばん……。もっとすごいことだって」
 心臓の力が強すぎて、肺まで一緒に動いている気がする。いまこうして髪を梳く手で、魔理沙は自分を慰めていた。どんな風にしていたんだろう。どんな表情をしていたんだろう。どんな想像をしていたんだろう。ぼんやりと夢心地のようでいて、具体的な答えを求めてアリスは想像を止められなくなる。半裸で膝をついて、切なく目を閉じて自慰に耽る魔理沙の姿をアリスはまぶたの裏に幻視した。
 自分もしたい。魔理沙もしたい。どう思考しても結論がひとつに定まる。うずく下腹に頭を乗っ取られたよう。
「しちゃう……?」
 覆いかぶさるように上に来た魔理沙に見下ろされている。その目がこちらを喜ばせる演技なのかそうじゃないのか、アリスには見抜けない。
「あ、う……わた、わたし、わたしっ……ぃ」
 知らないこと、たぶん、怖くないこと。魔理沙のたぎりやほとばしりはこれまでだってこの手で感じてきたじゃないか。女の部分がシルエットがわかるほど燃えている。今までしてきた真似事じゃどうしても埋まらなかった部分が、遂に埋まるのかもしれない。
「って、だめだめ。怒られちゃう。ごめんな、アリス怖かった……?」
 何度もひっかけつっかえて答えを絞り出そうとしていたら、荒涼としていた魔理沙の表情が普段のそれに遷ろった。心配げな声色でがちがちと歯を鳴らすアリスの頬に手が添えられた。
「まっ……まっ、て、……」
 ずっと、ずっと待ち焦がれていたことを、手に取ろうとした瞬間遠ざけられてしまった。あまりに冷え冷えとして痛い。氷の杭を打ち込まれたような気分だった。注がれる眼差しに浸っても塞がらない大きな穴が穿たれている。
「またアリスの手、貸してくれる?」
 心配とは文字通り心配り。魔理沙は視線を外し、頬に伸びてきた手を取り、布団の中に引き戻した。お腹の上で両手でつつを作ってもらい、そこに入れるやり方。
「まりさぁ……」
 綺麗だね、繊細だねって、いつも褒められるから自慢に思うようになった。でもしょせん、乾いてるし、冷たいのに。いまうずうずしている場所なら、耐えられずに声を上げるあの喉の中より満たしてあげられるはずなのに。いま耳元でする息も、もっと荒く、熱くさせてあげることができるのに。
「せめて、すまたにしてよぅ……っ!」
 泣きそうだった。渇きを海水で潤すような真似になるだろうとは思っても、より感じたくてアリスは魔理沙から手を取り上げていた。
「うん……わかった。でもそのかわり、ずっと想像してて」
 超えてはいけない一線のその向こう側を。アリスはひとつ頷き、目を閉じた。
 首筋や耳を魔理沙が舐めてくれているようだ。そうしながら、アリスと異なる性をあてがう。あてがうだけ。表面からは進まない。あてがったまま動かすだけ。
 核心を避けながら溶け合う。キスと、手をつなぐのと、アリスの心の中と。もう性交と何も変わらない――と、今までは思ってた。
「気持ちいいぜ、アリス」
「わたしもっ……! まりさのこと……好き好きっ、好き……す、ぎ」
 けれど今はわかる。決定的に、違う。燃えるように魔理沙焦がれる体の最奥が、これは性交なんかじゃないと猛々しく吠え、喚き、切なさに震えて泣いている。
「だめだって……! ばれたら怒られるってっ」
 繋がれた魔理沙の手は抑えるためでもあったのかもしれない。すり抜けたアリスの手が魔理沙を摘み、動きに乗じて迎え入れようとする。
「どうしてっ……どうして、だめなの……!?」
 嗚咽とすすり泣きが混じり始めていた。生じた隙間が広がりすぎて、内側から食い破りそうになっている。
「アリス……」
 虚しい痺れ起こさせる動きが止まる。魔理沙はまたアリスの頬に手を添えた。見つめて、アリスの瞳が開いてしっかり見返すまで見つめた。

――三十秒だけ

 それは最初に誘ったときの表情で、恐らくは魔理沙が真実真剣となったときのおもてなのだろう。
「さんじゅう、びょう」
 多分、これまでの人生で体感したことのない三十秒が待ってる。
「初めて?」
 初めて来店した日の記憶がよみがえる。くちびるの端かすか持ち上げる笑み。不敵に誘っているようでもあり、貰える期待を抱いているようでもあり。
 処女なのに。ああでも、この人にあげるつもりだったから。ああでも……、ああでも……。芽と口付けていた魔理沙のものが位置を変えた。あの時と同じく、こうして思考を渦巻かせている間にきっと頂かれてしまう。アリスは生唾を呑んだ。痒くて痒くてしょうがないような感覚を満たせる。これで道行く女性と同じところに立てる。
「いくぜ……、アリス。声、出さないで。……できるな?」
 即物的な思いはしかし魔理沙の顔を見た途端甘ったるいものに様変わり。魔理沙がしーっと指を立てて、アリスの口元にも立てた。念入りにもくちを口に被せ、舌を差し込む。それが離れてアリスは目を閉じた。息を深く吸い、吐いて。もう一度吸っている途中で、性の重なりが始まった。
 見えないから感触だけの世界。かきわけられる、おしひろげられる。やぶれる、うしなう。目を開けると世界は変わる。くるんでる、あげてる。ひとつに、なってる。
「いたく……ない?」
 魔理沙こそ痛そうな顔を浮かべて。でも心臓がもうひと跳ねする前にアリスは気取る。きっと、魔理沙は気持ちよくなってるんだって。鈍く伝わる魔理沙の嬉し気なひくつき。中をひくつかせると、引き込むみたいになった。自分の知らないからだのはたらきをひとつ、知った。
「平気そうで、よかったぁ」
 前髪がそよぐくらい魔理沙はゆったりと、しかし強く息をついた。アリスに痛みはない。これまでの通いで魔理沙の指にうんとほぐされていたから。
「へたっぴだったら、ごめんな……」
 耳元の囁きにこころに花が開く思い。魔理沙も、経験があまりないんだ。手とか口とかは慣れていても、こうして繋がることには。
「生えっちって……こんな、きもちよかったんだ……」
 そういえば、避妊してなかった。でも三十秒だから。そうだ、三十秒だった。あと何秒だろう。初めてのことが多すぎて数えられない。いまここから数えることもできない。そんなことに意識を割くのはもったいなさすぎる。
 べったりと胸と胸とが重なる。魔理沙の華奢な体重をアリスは感じる。でも見た目より重い。それは魔理沙が芯の詰まった少年の体を持つからか、あるいはアリスがか弱い女だからか。
 魔理沙の体は火を封じたランプのように熱い。湯たんぽに抱きしめられているみたい。
「ん……アリス、……っ、アリス……」
 嬌声で耳が溶け落ちてしまいそう。
「魔理沙ぁ……、まりさぁ……」
 書物仕込みの知識のなんと浅はかなこと。性交は男性と女性が違うかたちを繋げる「だけ」だとすっかり信じ込んでいた。本当は違う。重なる胸と腹、背に回した手と腕、声拾う耳、香りを与える髪、香りをもらう鼻、相手を確かめる目、絡める脚。体のどこもかしこも使っている。体を構成するあまねく全てを動員して、魔理沙と繋がる。繋がろうと逸っている。
 全身が逸っている。でも、時間の流れはあまりに残酷に、いまアリスが縋り委ねているすべてを取り上げてしまう。
「さんじゅう、びょう……っ」
 もし仮にアリスが魔理沙だったら、離れられるだろうか? 如何な鋼鉄の、もしくは金剛の意志が要るのか。
「まりさ……どうしてもだめ、なの……?」
「そんな顔するなぁ……! わたしだって」
 未練がましく脚を絡めて押し付けると、魔理沙だって揺れた。ぎゅっと目をつむり、張りつめつくした性の渇望を抑えようとしているようだった。
「もう限界……ね、アリス。後ろからしていーい……?」
 普段情欲を抑えつける優しさや気遣いの薄れた眼差し。もしこれで性交禁止のお触れがなかったら、どうなってしまうのかアリスは知りたくなる。
 再び四つん這いになり、だけど脚はぴっちり閉じてアリスは魔理沙にお尻を向けた。
「入れても……いいよ」
 いちおう、期待を口にはしておく。
「だーめ。今度こそ見つかっちゃう……。またスマタしよ」
 そうして、性と脚の付け根が作る三角の隙間を魔理沙に与えた。
 アリスの手を取る魔理沙がえぐらせるように露骨に腰を振るっている。これまではその興奮にあてられて余計に濡れてしまったりしていたわけだけど、いまは猛烈な不完全感を覚えるだけだ。今すぐ押し倒されたい。組み敷かれたい。暴かれて、最後まで乱されてみたい。
 ここがさっきあげた場所だったら。空虚さいや増す。さっきの鮮烈さは麻薬か何かだ。麻薬はたった一度でも乱用だというなら、一回未満の三十秒で参ってしまった魔理沙とのセックスは、それ以上に抗い難いものなのかもしれない。
「イ、く……はう、アリスっう」
 この脈動を、この飛び散る魔理沙の大切な白滴を、この体の芯で感じ、受け止められたなら。アリスは苦い表情しかつくれない。あんなに一生懸命動いて、感じてくれたのに。真の繋がりを中途半端に知ってしまって、身体がその先を知りたくて泣いてる。
「……気持ちよかった?」
 普段とは逆。アリスのほうが訊いていた。
「うん。……いっぱい出しちゃった。恥ずかし……」
 魔理沙の照れ隠しのあれやこれやは俯いたアリスの目には入らない。
「嘘よ! 絶対、本番しながら出した方が気持ちいいはずなのに……!」
 アリスは叫んでいた。隣にも確実に響いたろう。
「あんまり、そういうこと言うなよ」
 その声は意外なほど冷たくて、反応を予想していたわけではないといえ、アリスは心臓を縮み上がらせる。
「本当はしたい。当たり前だろ? ……触って。出した後なのにまだどきどき続いてる」
 でも魔理沙は呆れや憤りを抱いているわけではなかった。魔理沙は魔理沙で、あの疑似性交のとき感じるものがあったのだ。きっと、いま早鐘打つ魔理沙のいのちはその色濃い名残。
「聞いても、いい……?」
 求めると、魔理沙自ら引き寄せてくれた。それは耳を触れる前から聞こえてきていたかもしれない。強くて、耳がくすぐったいぐらいだった。
「魔理沙……。まただめ? 忘れられないの」
 鼓動を聞くことを通して、普段何を考えているかわからない男の子の、その心の一端に触れていることがアリスは出来ているような気がする。
「だーめ。クビになっちゃう」
「ねえ、魔理沙ったらぁ……」
 自分でも考えられない猫なで声で、あられもないことをねだっている。
「アリスのえっち」
 けれどそれはすげなく却下されてしまう。口惜しくてくち重ねていると、また再び時間の流れの短さを思い知らされる。
「……時間来ちゃった。また今度も絶対来てくれな。次は……さ。もっともっと気持ちよくさせてあげる。わたしだって……アリスのこと……」
 その先を期待して待っていたら「言えるかーっ!」と怒られた。やっぱり心臓の音を聞いただけで異性のことがわかるようにはならないようだった。
 そのあとはまた温かいタオルで拭いてもらって、身支度を終えると手を繋いで階段を下りた。上るときは憎たらしいこの急な階段も、降りるときは魔理沙が手を引く舞台装置に様変わりする。
 受付でローブの前を結んでもらい、フードを被ろうとしたら魔理沙に制された。
「忘れ物!」
 ほんの一瞬の重なり。
「へへ、またなっ」
 両手でしっかり手を握られ、並びのいい歯を見せつけられ、また新鮮なときめき舞い起こる。
 それを胸にしっかり収め、何度も振り返っては手を振り、アリスは店を後にした。
あとがき
三人称で書けて満足。抜けるエロ狙ったの久々でやっぱ難しいなあと。
バッドエンドルートも考えたけど、今後この設定で何も書けず勿体無いのでやめ。
Romy
http://kazeken.web.fc2.com/
コメント




1.性欲を持て余す程度の能力削除
手馴れているようで初心な魔理沙が、アンバランスで不思議な魅力を感じました。
そして、魔理沙に魅了されたアリスの心境を妄想したりもします。
あと、冒頭の銀髪の女性と少年が暗示的。

と、そんな事を考えています。
次回作も楽しみにしております。