真・東方夜伽話

境界と魔法使いの歪なようでそうでもない一夜

2016/05/23 10:42:51
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境界と魔法使いの歪なようでそうでもない一夜

極楽わんこ

約束を盾に霧雨邸へ意気揚々と乗り込む紫様のお話。

・紫と魔理沙のお話で、前作「九尾と人形遣いの歪な一夜」と同一時間軸の設定です。
・前作同様、無理矢理とか寝取られではなく、互いに合意の上での行為です。
・紫にアレが一時的に生えます。
・内容は紫視点の、契約条件をいい事に乗り気で魔理沙と一夜を過ごすというものです。
























式の藍がマヨヒガを出発して一時間、そろそろこちらも腰を持ち上げて悪くない頃であった。
滅多な事では心が躍ったりはしてくれないのだが、どうやら今日はその滅多な事を迎えられるようだ。
こうして長年生きていると興味が勝手に他人の恋沙汰に向くようで、
遂には契約という絶対的権力を振りかざして二人の間に介入してしまった程だから相当なのだろう。
自身が恋愛を実らせられる事が出来ないが故の嫉妬も少なからずは含んでいるが、
別に間柄を引き裂いて離れさせたいなどとは微塵も思っていない。
ただ、ほんの少しつまみ食いを出来さえすればそれで満足なのである。

今回生贄となった少女は、幻想郷の中でその名を知らぬ者はまずいないと断言出来る大物だ。
愛くるしいルックスに加え、高火力でありながら可愛らしさも決して捨ててはいない弾幕。
目標を果たす為に一直線に向かう姿勢は魅力に溢れていて、
彼女に心を惹かれている者は人妖問わず少なくない。
白黒を基調としたまさに魔法使いという衣服を身に纏い、見る者を魅了する人間、霧雨魔理沙。
しかし光輝く部分を見せる一方、どす黒い闇を奥底に潜めているのもまた事実であった。
一度持った欲望に対する抑えが効かないのは少女自身手を打てないにしても気付いてはいただろう、
危ういとも言える状況の中で運命の出会いが訪れたのは、不幸でもあり幸であったかもしれない。
理知的な立ち振る舞いを見せる人形遣いの少女、アリス・マーガトロイドと彼女は言わば
太陽と月のような対極に位置する存在であり、一見すると交わる事はないかにも思えた。
だが互いに持ち得ぬ部分への憧れを募らせた二人は、遂に一線を越えて恋仲となる。
普通の恋愛で済めば幸いであったが、ここに来て魔理沙が制御不能の独占欲を剥き出しにし、
愛している筈の相手に対して手を振り上げる、最悪とも言える事態が起こってしまう。
種族も違う以上、所詮は実らぬ恋愛かと顛末を見守るも、事態は意外な方向に動く。
繊細に見えて鋼鉄よりも固い意志を持つアリスは、渦巻く暗黒を前にして逃げ出す事もなければ、
飲み込まれて恨みを返すような真似をする事も決してなかった。
敢えて逆襲したというのであれば、攻守反転の話を持ち掛けて受け手に回った想い人に、
彼女好みのデコレーションを施して好き放題を働いたという位だろうか。

人形遣いの魅せる純真な気持ちが遂には闇をも抑え込み、二人は大恋愛を成就したのでしたと、
少しばかり雰囲気を盛り上げたい心地になってそう呟いてみる。
今更恋愛にときめく年頃なんかではないのは充分に承知はしているが、
一人の女を愛する、あるいは一人の女に愛される、極普通の恋だって一度位はしてみたいものだ。
儀式という名の交わりを行ってきた代々の博麗の者、そして自分を慕ってくれる式、
彼女達に申し訳ないと心が痛むのが、まだ感覚が正常であると思いたかった。

頃合とばかりに隙間を作り、その中へと身を忍ばせる。
次にそこから出た時には目的地である魔法の森の霧雨邸、境界を操れる能力とは本当に便利だ。
躍り出る前に今一度状況を確認してみると魔法使いの少女は何やら実験を行っているらしい。
スペルカードを使った際、生じる隙を埋める為のマジックアイテム、
あるいは便利な薬品として店に並べて資金とするのかもしれない。
普段は外出しているイメージの強い彼女ではあるが、こうして腰を落としている辺り
交わした約束を守らなければと覚悟を固めているのだろう。
調合に失敗したのであろうか、白煙が立ち上がったところで境界を潜り抜ける。

「くうぅ、また失敗か……そこにいるのは分かってるんだぜ、紫?」
「あら、煙に紛れて参上させてもらったつもりだったのに」

背もたれに身体を浴びせて失敗作の出来上がりを嘆く魔理沙は、
あらぬ所からの登場に対してもさして慌てた様子は見せなかった。
煙の収まりつつあるフラスコを卓に置いて一息吐いたのに合わせ、こちらも対面の椅子へと腰掛ける。
膨れっ面を浮かべるその仕草さえも愛らしく感じるのは天性の素質なのだろう。
実際に顔合わせをして期待は一段と高まるばかりだが、ここは急かずにじっくりと身構えてみせる。
恐らくは藍も同じ様にやっているに違いない。

「私がここに来た理由は、分かってくれているのかしら」
「ああ、理解はしているつもりだぜ」

素っ気無い答えとは裏腹に、複雑な表情を浮かべる辺りに心情が読み取れる。
何故そこまで親密な仲でもなければましてや恋愛関係でもない自分と、
一夜を過ごすなんて約束を交わしてきたのか未だに分からない、大方そんな感じであろう。
そうした困惑が窺えるとこちらとしてはもっと揺さぶりを掛けたくなってしまうのだ。

「あれから人形遣いさんとは、上手くやっているようね」

暇な時はこっそりと一部始終を見させてもらってもいるが、
それはもうこちらの心配なんて不要な位に仲良くしているのだから羨ましい。
少しばかり嫉妬を盛りながら敢えてそう訪ねると、魔理沙は意外な反応を見せた。

「随分と酷い事は、してしまったけどな……」

別段非難を込めた訳ではなくただフラットな視線を送っていただけだが、
琥珀色の瞳は直視に耐えられずこちらの首元から卓上へと角度を落とす。
過去に犯した罪への罪悪感に苛まれている様子を見ても彼女が根っからの悪人でない事は分かっていた。
純粋であるが故に衝動を抑え切れない少女に必要なのは枷でも楔でもなく、愛情だったのだろう。

「そうねぇ、あんまり暴走が続くようだったら隙間送りも考えていたのだけれども」

暴走の手伝いをしておきながら何とも無責任な発言だと、自分でも呆れてしまう。
隙間送りとは言ったものの、実際にはそんなつもりはなくあくまで脅しではあった。
空間を操るこの能力を相手に仕向けるとしたならば、それは幻想郷の異変に関わる時位だろう。
軽く首を傾げながら伝えるも、魔理沙は罪悪を覚えているせいか真剣に受け取ってしまったようだ。

「……感謝してるぜ。そうされても文句は言えなかったからな」

力無く呟きながらも視線を持ち上げる仕草は、勝気で明るい表情を見せている彼女とは異なる、
苦悩の壁にぶつかり策を練り出せずに立ち往生しているかのような弱々しさを感じさせた。
普段の魔理沙を知っていれば、そのギャップの大きさにきっとどきりとさせられるに違いない。

「ふふ、別に今日はお咎めに来たのではなくてよ。気を楽になさいな」

心の中で舌舐め擦りをしながら見るからに美味しそうな魔法使いの少女をどう料理しようかと思案する。
受け手に回った魔理沙が驚く程脆く、何でも受け入れてしまうのは既に調査済みなのだ。
足の指先からしゃぶってみたり、太腿を舐め回して反応を探ってみるのも楽しいかもしれない。

「なあ……どうして私を抱きたいなんて思った?」

こちらの思惑がある程度伝わってしまったのか、核心を突く質問が投げ掛けられた。
約束した以上は相手も守るつもりらしく、嫌悪ではなくあくまで率直に聞きたいからという意思が窺える。

「うーん、たまには真面目な一晩を過ごしたいと思ったからかしら」

何とも曖昧な返事に魔理沙が訝しげにこっちへ視線を送る。
冗談などではなくケースとしては極稀な、攻め手に回るのが楽しみであったというのも立派な理由の一つである。
実際の所、恋愛意識については既に破綻してしまっているのが事実だった。
博麗と対を成す幻想郷の結界の管理をしているという事情もあれば、
奔放であるが故に不特定多数と肉体関係を持つのに、抵抗がない性格だからというのも然りである。
そんな事情もあり、死別の未来が待ち受けていると分かっていながら仲睦まじく寄り添う魔法の使い手達や、
霊夢に対して彼女らしからぬ異様に強い嫉妬を見せる式の藍がこの上無く美しく瞳に映るのだ。

「もう一つ言うなら貴女に興味を持ったから、という所ね」

限られた時間を大切に、美しい人形師とより仲を深めて欲しいと思う一方で、
弱みに付け込んで楽しみを得る下心も潜めているからこそ手を貸したのは間違いない。
自身の欲を満たす為なら命さえも惜しまない姿勢に元々関心を持ち合わせてはいたが、
こうして大切な人と巡り合い、心境に変化を生み出している今の魔理沙こそ食べ頃の時期だろう。

「アリスと付き合う前だったら、もっと気楽に相手も出来たんだけどな」
「残念ねぇ。横からつまみ食いをするからこそ、美味しいものなのよ」

変わりゆく恋心に戸惑う少女が見せる艶、他にも意外な一面を窺えるかもしれない。
暇潰しに隙間越しに眺めるのとは違う、実物を目の当たりに出来るのには期待が膨らむばかりだった。
この八雲紫を前にして、恋符の使い手はどんな立ち振る舞いを披露してくれるのだろうか。

「一晩限りだけの話だし、その後に干渉するつもりは一切ないわ。安心して、相手を務めなさいな」
「ああ、そういう約束だったものな」

欲しいと感じるのに理由など要らない、それは魔法使いの少女も痛い位に理解しているに違いない。
決心を固めたのか、実験道具を置いていた卓に掌を乗せ、ゆっくりと魔理沙が立ち上がった。

「こっちだぜ……」

約束を破棄したら本人ではなく、恋人を隙間送りにするという契約は文句の無い効果をもたらしたようだ。
今や自分の身以上に大切で、愛してやまないアリスを断じて酷い目には遭わせまいとの決意が表情から伝わってくる。
きっと形以上の素晴らしい奉仕を見せてくれるに違いない。
あどけなくも美しい少女の佇まいに頬を緩ませ、笑みを浮かべながら背中を追ったのだった。

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偶然最初に足を踏み入れた薬の実験室はそれはもう酷い散らかりようであり、
お世辞にも家事に長けているとは言えない魔理沙の性分を浮き彫りにしていた。
そんな調子だから寝室も同様なのではと危惧したりもしたのだが、
実際に案内されて目の当たりにしてみると意外にも相応の整頓はされていたのに安堵する。
彼女のお相手であるアリスの家の方が広さから設備まで充実しているのもあり、
ここが性行の場となる事は少ないのだろうが、稀のケースに備えての片付けであるのかもしれない。
或いは本日の特別ゲストの為に綺麗にしておいたのではと想像を駆り立てられると、それだけでも心が躍ってしまう。

「どう、緊張してる?」

一人で寝るには大きめのベッドに、二人並んで腰を降ろしているという状況。
もし相手が自分ではなく人形遣いであればこうも微妙な表情は浮かべていたりはしないであろう。
何の前置きも無しに事に走るのもそれはそれで楽しみに直行出来てまどろっこしくはないのだが、
少しずつ意気を盛り上げてからその唇をじっくりと頂くのも悪くない。
雰囲気作りが大事だから少しばかり協力して欲しいとの願いを、渋々ながらも彼女は聞いてくれたのだ。

「……そりゃ、あんたが相手だからな」

足元をじっと見詰め、そこから視線を動かさないまま魔理沙がぼそりと呟く。
窮屈そうな仕草を見せるのも情事を手前にして漂う独特の空気に、今も慣れてはいないが故なのだろう。
ともあれずっと張り詰めているのも酷だと、膝上に置かれている掌に自分のそれをそっと重ねてみる。
よくよく考えてみればこうして他人の肌に触れる事自体が久しぶりで、
ぶると身震いを見せる魔法使いの少女程敏感ではないにしろ、こちらも肘を軽く震わせてしまっていた。
やはり人肌は素晴らしい、それが若さ溢れる人間の少女というならば尚更だ。

「ふふ、いい反応ねぇ。私にもそんな初々しい頃があったわ」
「一体何年前の話なのか、気になるとこではあるぜ」

まだ表情は硬いながらこちらを向いて苦笑を漏らす辺り、軽口を返す程度の余裕は作れたらしい。
何だかんだで要求を呑み、彼女なりに精一杯に役割を果たそうとする姿勢は堪らない可愛らしさがある。
人形遣いの少女が夢中になるのも納得だと、高揚を感じながら指同士を絡めじっくりとその距離を詰めていく。

「あら、ほんの少し前の事よ。彼氏にも、丁度こんな感じで迫られたの」

ほんの少しが人間で言う所の何世代前になるのか、そもそも相手が彼であったのかすら曖昧だ。
もし初恋が印象に残っている程まともなものであったなら、ここまでいい加減な性格にはならなかったかもしれない。
そんな思いを張り巡らせていると先程までとは明らかに異なる、少しばかり低い口調で魔理沙が呟いてきた。

「その彼とやらがどうなったかは知らないが……どうせ私とも軽い気持ちで遊ぶんだろう?」

胸中を探ってくるかのような質問。
挑戦的な言葉でありながら、同時に真剣に相手をされる事を望むように見えたのは気のせいだろうか。
やるからには本気で行きたいのか、こちらを欺く為の牽制なのか、何にせよ面白い誘いであるのには違いない。

「いいのかしら?本腰で相手をして、惚れられてしまっても困るのだけれども」
「私は一日限りと割り切っているからな。それに、やるなら真面目にやった方がお互い楽しめるだろ」

漏らした言葉通り、避けられない道ならば楽しんだ方が得だと打算したのだろう。
そんな意図ですら普段良く目にする、何事に対しても全力という姿勢に映るのだから恋符の魔法は強力だ。
数多の相手を魅了してきたのも納得だと、重ねていた掌を今度は腰へと滑らせる。
彼女は身を引く様な真似はしない、それどころか逆に肩を預けこちらとの距離を一気に縮めてきた。
しぶとさを見せる一方で驚く程潔い、その一面も魔理沙の魅力を底上げしているに違いない。

「残念だわ。もっと早くアプローチをしておけば、貴女をモノに出来たかもしれないのに」
「悪いけど、私は誰のモノにもなるつもりはないぜ」

以前から興味を示していたと漏らせばさらりとかわしてくる。
けれども言動とは反対に少女は更に横顔を近づけ、互いの吐息を感じられるまでに接近を果たした。
触れ合う頬の感触、指よりも一段と敏感に体熱が伝わってくるのには何処か安心感すら覚えてしまう。
得体の知れない相手ではなく、種族としては大人しく無力な人間だからそう感じるのだろうか、
ある意味妖の者よりも恐ろしくもあるのだが今は暴れて派手な弾幕を放つ素振りもない。

「それに……」

何度か呼吸を斜めに重ね合ったところで、一旦腰を持ち上げた魔理沙が対面へと向かい合い、
右、左とこちらの腰を挟み込むようにして膝をベッドに突く。
上から見下ろす表情は体勢で勝っている状況に対する優越というより、何処か憐れみを含んでいるように受け取れる。
果たして何を言い出すのかという疑問は、程なくして解かれる事となった。

「私よりも、モノにしたい相手があんたにはいるんじゃないのか?」

肩口に両掌を置いての一言、おそらくこれが前置きとしては最後になるのだろう。
それはともかく、痛い所を突かれてしまったと思案に耽る。
恋仲という関係にこそ進展しなかったものの、共に数多の異変を解決してきた間柄だから心配するのも無理はない。

「私もそのつもりなのだけれども、思いの外あの娘のガードが堅くてねぇ」

目の前の少女がどれだけ真意を知っているのかは分からないが、
少なくとも一般に考えられる恋愛と異なる事だけは把握してもらいたかった。
大切に想っているのは違いない、けれども深入りし過ぎる事も決して許されない、
彼女の後継ぎを導き出す相手は、紛れも無く自分ではないのだから。

「悠長な事を言ってると、早苗に取られてしまうぜ?」
「巫女同士の方が、案外いいのかもしれないわ」

幸か不幸か、今代の博麗の巫女である霊夢は孤高と呼ぶに相応しい立ち振る舞いを見せており、
自分の他にも猛アタックを掛けている風の巫女早苗に対してもやはり反応は極めて薄い。
こちらにもチャンスが残されているのは有り難いが、真の問題は誰にも傾かなかったらとしたらだ。
最悪血族が途切れても結界の守護を担える人物が存在すれば何とかなるかもしれないが、
そこまでの強大な霊力の持ち手が簡単に見つかるようなら苦労はしない。
そうなってしまった時の懸念も必要ではあるけれども、今はまた別の話かと、意識を元来の方向へと戻す。
じっとこちらを見詰める琥珀色の瞳が細められたのは、諦めの色を浮かべたからなのだろうか。
程なくして唇がゆっくりと動き、聞こえるか聞こえないかの小さな声で魔理沙が呟いた。

「……本当に寂しい奴だな、あんたは」
「その寂しさを、少しでも埋めてもらえるならばこれに勝る喜びはなくてよ」

否定もしないのかと眉を顰めるも、それ以上の言葉はなく覚悟を決めたかのように掌を背へと滑らせる。
あまりの滑らかさに実体ではなく幻像が接近を果たしたのかと錯覚した程であったが、
触れた柔らかな唇の感触が現実であるのに違いないと認識させてくれた。
しっとりと濡れた双葉は薄くも確かな質感を持ち、勝気な性格の裏に見える乙女の一面を窺わせる。
少女特有の甘く儚い香りが鼻腔を撫でるのも心地良く、この娘の存在を尊くすら感じてしまう。
腰から背へと労わるように掌を沿わせ、しばしの間唇のみの感触を楽しむ。
幾ら若く振る舞ってみせても本物には勝てる筈もないという実情を突き付けられ、
苦い思いを味わったのは違いないが、その反面満たされるのもまた事実だった。
時間の経過に身を任せていると、案の定訝しげな表情を浮かべて魔理沙が少しばかり身を起こす。

「ん……何だ、遠慮してるのか?」

触れ合いで一層の潤いを増した唇が紡いだのは単純な疑問か、あるいは余裕であるのかもしれない。
無論遠慮なんてする筈もなく、未だに純粋さを欠かす事の無い少女が淫蕩な空気に
飲み込まれていく様をじっくり満喫する為に、敢えて攻めの手を緩めているに過ぎない。
まだ頬を軽く染めている程度での変化しかないが、やがては澄んだ瞳から涙を流して喘いでくれるのだろう。

「あら、そっちの方をお望みかしら?」
「ただ、拍子抜けしただけだぜ……」

一つ応酬を交わした所で、再度の接吻に入る。
少し間を置いたものの休息とまではならなかったのか、咥内を撫でてくる吐息は相変わらずの熱さだった。
その発生源へとすかさず舌先を差し込み、呼吸口の大半を塞いだのだから堪らなかったに違いない。

「んっっ、ふっ……」

幾分か背を反らせるも怯む様子はなく、こちらの攻めに応じるように魔理沙もまた舌先を差し出してきた。
軽く突く程度の挨拶から表面、側面へと接触させる過程にも戸惑いを見せない辺りは相応に慣れているようだ。
舌を動かしながら時折視線を向けてくるのは心情を読み取りたいが故なのだろうか、
身体は預けながらも心を許せる相手ではない事に対する緊張感も窺える。
気を楽になさいなと微笑んでみせるも、流石にこれは意味を成さないだろう。
逆に瞳を閉じて口付けに専念してしまった辺り、かえって緊迫を強めてしまったようだが、
これはこれで余計な気遣いも不要になったと喜ぶべきか。
歯の裏側から喉の奥まで味わいたいとばかりに自身の感覚を収束させた所有物を蛇の様に這わせ、
先程まで労わる為に背に宛がっていた掌を、一度は手触りを味わってみたかった場所へと滑らせる。

「むふっ!?くっ、ふぅんっ……」

腰を下った先にある柔らかな感触が手に伝わるのと同時に、口の中に一際熱の篭った吐息が吹き付けられた。
そう敏感な体部ではない筈だが反応の良さは一級品で、くいっと指を曲げれば
衣服越しでありながらもすんなりと指を受け入れる柔らかさも持っているようだ。
撫で回した際の丸みも申し分なく、人形遣いがここを重点的に攻めるのも納得の行く話である。
人差し指を谷間に合わせて少しばかり力を入れて押し込めば、いよいよ魔理沙が大きく息を漏らした。
羞恥と困惑に染まった、弾幕勝負では決して拝めない表情を浮かべているのもまた堪らない。

「んふ、これが数多の敵を薙ぎ倒してきたお尻ね」
「なっ……別に、そんなつもりじゃっ……!」

弾幕勝負、と呼ばれるぐらいで互いの力を競い合う際は基本的に遠距離戦がメインとなる。
とは言え、霊力や魔力、妖力の限界の関係もあり、接近しての物理攻撃が繰り広げられるケースも少なくない。
彼女が見せる尻からの突撃は、敢えて背を向ける事によって視界と共に恐怖も遮断し、
一切の躊躇を捨てて弾幕の中をすり抜け距離を詰められる、合理的と言えば合理的な手段だ。
しかし、攻撃を受けた側からすれば勘違いの一つだってしたくなるだろう。
だからこそこうやって大事な物を磨く様に、柔らかな肉付きを撫で回しているのだ。

「あふっ、うぅんっ……!」

次第に呼吸が甘ったるくなるのと一緒に、分泌される唾液の量が多くなり滑らかさを増したのにほくそ笑む。
尻自体の感触もさる事ながら、全身を震わせる過敏な反応を見せてくれるのが素晴らしい。
実は肉感を味わう他にももう一つ目的が存在し、手触りからして彼女が
予想以上に今夜の執り行いに関してやる気を示してくれている事を確信した。
指の腹でスカート越しからどの付近に僅かな坂が出来ているかを確かめてみた限り、
生地の面積が少なめな際どい下着を選んだのではないかと憶測も出来る。
身体を拝む楽しみは勿論だけれども、こうした乙女の秘密を覗くのも大きな楽しみの一つに違いない。

「随分と具合が良さそうねぇ」
「つはっ、はぁ、うぅっ……そんなに、触るなって……」

堪らずに上体を持ち上げた魔理沙は頬を紅潮させながら、こちらの胸元へと視線を恨めしげに送っていた。
キスの最中にも時折この二房が接触していたのだろう、豊かな胸の持ち主が多い幻想郷において
何故自分だけがと言わんばかりの理不尽がひしひしと伝わってくる。
自らで豊胸薬を開発しておきながらも所詮は偽物の枠を越えられず、
本来の成長が芳しくない事実に強いコンプレックスを抱いているのだろう。
衣服を摘み谷間をより強調させてアピールしようかとも思ったが流石に酷かと、
乙女らしい反応を堪能しつつ、小刻みに身体を震わせる少女に次の指示を下す。

「今度はこっちに背を向けて座ってもらえるかしら。ゆっくりくつろいでくれればいいわ」

自身の太腿を軽く叩いてそう告げるも魔理沙が浮かべる表情は複雑だ。
休息こそ与えるものの決して手放しでくつろげる時間を提供する訳ではなく、
相手もそれを承知しているからこその面持ちに他ならない。
とは言え従うしかない立場であるのも同様に理解しているようで、
色欲に染まりつつある吐息を弾ませながら腰を持ち上げると要望通り、背面座位の体勢を取った。

「どう?私の膝上なんてなかなか座れるものではないわよ」
「そうか、でも思った程……心地良くはないぜ……」

対面の時よりも一段と距離は近くなり、背を向けているとは言え密接した状態なのだから、
最初の軽口に比べると明らかに余裕が削れているのも仕方の無い話ではある。
癖の見える髪の毛は煌びやかで美しく、一つと言わずもっとリボンを施したくもなってしまう。
そんな金髪をそっとかき分けて、耳を甘噛みしてやれば細身の肉体がぶるっと震えた。

「いっ……ひぅっ……」

恐怖に怯えているとも取れる、言わば年相応の少女の小さな呻き。
防御に回れば脆いのを自身も知っているから普段から攻勢を緩めないのも、今の彼女を見れば納得だ。
首筋にも舌を這わせて舐め上げれば足首が跳ね上がる程の反応を見せ、
その分の体重が太腿へと掛かり尻の感触がより鮮明に伝わってくる。
本人に自覚もなければそんなつもりも全くないのは分かっているが、
これも誘っている仕草にしか思えないから彼女にとっては災難だろう。
こちらの興奮も盛り上がってきたところで、そろそろ外衣へ浸食を開始しようとスカートに手を伸ばす。
指で摘んで持ち上げれば膝、瑞々しい太腿と素肌が露わになり、
なかなか拝めない脚の付け根付近まで堪能出来たのに口元が綻んでしまう。
下着が普段と異なるのを確証出来たのにも然りだ。

「なっ……や……」

後少し手首を動かせばという所で流石に躊躇が働いたのか、気弱な声が漏れた。

「あら、まだ覚悟が決まってなくて?」

敢えて相手の返答を待つも、聞こえるのは微かな吐息のみだった。
問答無用でスカートを捲り上げられたとしても文句を言えない契約を果たしているのだから、
それ以上の言葉を出せないのも仕方の無い話ではある。
乙女の大切な秘密を好きでもない相手に曝すとなれば抵抗が強いのも、考慮するべきだろう。
ふむ、と一つ思案に暮れる様な素振りを見せつつ、ここは情けとばかりに掴んでいた布地を離してやる。

「なら、こっちを先に見せてもらおうかしら」

下半身がまだ決心出来ていないならとばかりに、エプロンドレスのボタンへと手を伸ばす。
呼吸さえまともに行えない緊張に捉われている様が愛らしく、
もし自分が人形遣いの立場に立てたのならば、そんなに固くならなくても大丈夫と抱き締めてやりたくなる程だ。
金色のボタンが外れ、前が肌蹴たのに併せて真っ白なブラウスがお目見えとなる。
自己主張の強い彼女とは対照的に盛り上がりは控え目なサイズだが、
それでも確かに視認出来る辺りは相応の成長を遂げてはいるのだろう。
あるいは恋人の飽きる事の無い愛撫による賜物なのかもしれない。

「ん、いいぜ……早く……」

スカートの時と同様、手を一旦停止させていると今度は催促とばかりに魔法使いの少女が口を開く。
身をもぞもぞさせている辺り、脱衣の時間を長くされるのも窮屈なようであった。

「なら、遠慮無く」

先導する側の余裕を見せる口調で一言そう告げ、ブラウスの生地と同色の白いボタンを穴から抜いていく。
首元が露わになったのを見届けて尚も二度、三度と同じ行動を繰り返していく内に、
彼女としてはまだサイズが足らないと嘆いている乳房を覆っている下着が曝け出された。
中心部分にリボンがあしらわれた可愛らしいブラジャーは想い人制作の物であろうか、
最初は嫌がるも押しに負けてしまい、このような下着を着用する事にという経緯があったのかもしれない。
逆に女性らしい身なりに憧れて魔理沙の方から頼み込んだのではと想像しても、やはり微笑ましいものだ。

「んん、ぅ……」

緊張もいよいよ高まってきたらしく、詰まった喉を何とか通すような声が鼓膜を撫でる。
一思いにその覆いを取り外してもいいのだが、乱れた衣服というのも裸とはまた違う趣きがあり何とも捨て難い。
鎖骨にそっと指先を宛てて這わせてみればまた微かな喘ぎが漏れ、いよいよ興奮が高まっていく。
もう愉しみでしか頭が満たされていない状況ではあるけれども、決して周囲が見えていない訳でもない。
こちらとは対照的に腕の中の少女は強い緊張と不安に駆られているに違いない、
増してや背面で相手の表情が窺えないとならばそれは尚更だ。
ならば今自分がどういう心地であるのか少しでも鮮明に伝えてやればいい、
身体を重ねる場に於いて互いの感情を共有するのはとても重要な事なのだから。

「あ」
「ひうっっ!?」

わざとらしい声と共にとある仕掛けを発動するなり、まるで背中に冷やした蒟蒻を入れられたかのように、
今度は一際澄んだ悲鳴を上げて尻が浮いてしまう位に魔理沙が身体を跳ねさせる。
昂ぶりを伝達しようと考えた結果、彼女が苦心して作り上げたキノコの薬と
全く同じ作用を持つ妖術を自らに施してみせるも、予想以上に具現は派手な模りとなっていた。
興奮の象徴は下着の中に収まる筈もなくずるりと抜け出し、紫色のスカートを大きく持ち上げたのだが、
その際に逞しく張った先端が丁度尻の谷間から腰の中心をなぞる形で軌道を描いたようだ。
せっかく女性はこういうものを着てこそよと、見せ付けるように大人っぽい下着を着用したというのに、
股から男根が生えて顔を覗かせている状況では台無しも同然だろう。
抑えが効かない位に期待が膨らんでいるのも真実ではあるが。

「いっっ、いきなりそんなの擦り付けるなって……!」
「あら、私も盛り上がってきたと教えたかっただけなのに」

これは流石に堪らないと身体を前傾させてきた所へ、再びスカートへと手を伸ばす。
今度は恥辱ではなく、物理的な快感を与える為に。
隙間という便利な能力を使えばいちいち衣服を経由せずとも目的の場所へ指先を到達させる事は可能だが、
やはりここは横着せずに魔法使いの少女が有する一つ一つの感触を味わいたかった。
太腿の柔らかさや、衣服に触れた際の繊細な生地の手触り、内部へ手首を滑らせ
女の大切な部分へいざ触れんとする際の緊張も、直に辿り着いては堪能も叶わない。

「あふっっ!!あっ、うぅんっっ……!」

指の腹が裂け目を捉え、内側へと半ば意識もしないままに滑り込む。
見せる敏感な反応とは逆に穏やかな湿り気を感じさせる肉壁をなぞり、
浅い位置から少しずつ深部へと侵入するにつれて、圧迫が徐々に強まりを見せてくる。
必死に声を抑えてはいるが足首や腕を時折高く持ち上げて悶えている辺り、官能には抗えないのだろう。

「我慢せずに、もっと喘いでしまいなさいな?」

一旦挿入した指を入り口近くまで抜き、今度は二本重ねにして無慈悲な攻めを展開しながら勧告してみせる。
正面の指と背後の肉棒に挟まれた少女に逃げ場はなく、堪えた所で陥落するのは時間の問題であった。
けれどもそんな抵抗を見せる姿を楽しめている辺り、決して無為な一時ではないのも然りだ。
彼女も彼女で簡単に呑まれる訳ではなく、精一杯に受け手を全うしようとする意図が伝わってくる。
得体の知れない相手であろうと弾幕勝負と同様に、正々堂々と立ち向かう姿はやはりいじらしい。

「ふぁっ!あっっ、あぁ……!!」

下着の中に入り込んでもぞつく手首が角度を変え、指先が出入りや屈折を
繰り返していく愛撫に、次第に声色が艶を含んだものへと変貌を遂げていく。
こちらの思い通りに鳴かされる悔しさの中に、この気持ち良さには抗えないとの諦めも感じられ、
喉を反らせて顎を斜めに持ち上げながら喘ぐ姿はとても官能的だ。
指の動作を敢えて緩慢にすればそれだけでは満足出来ないと
腰を揺すって自ら快楽を煽る、翻弄されている様も明確に伝わってくる。
きっと艶やかに歪んだ表情を浮かべているのだろう、能力を使わないと拝めないのが残念な限りで、
こんな事ならば人形遣いが稀ではあるが用意するかのように、鏡でも並べれば良かったと思うばかりだった。

「少し、休憩を挟みましょうか」

膣内に滑らせていた指を引き抜いてみれば分泌された蜜が絡まり滑りを帯びている。
それを口元に運んで確かめる様を見せ付けてやっても良かったのだが、
今は快感の緩やかな下り坂で気にする余裕もないかと、こっそり一人で味わう事にした。
決して手加減している訳ではない、恥辱を味わわせるのはこれからなのだから。

「つはっっ、はぁっ……な、んでっ……?」

絶頂の八割方まで登り詰めていたのに急に愛撫を止められてしまい、動揺と不満を感じているのだろう。
すぐ背後の怒張を気にする余裕も無い程に呼吸は弾み、身体は小刻みな痙攣を続けている。
儚く震える耳を咥える寸前まで唇を近づけ、吐息で撫でてやると一際大きな震えが返ってきた。

「簡単に達してもつまらないでしょう。せっかくの機会だから私も色々と楽しみたいの」

屈みながら呼吸を整えようとしている所に、あくまで貴女は私の玩具という宣言は酷だったろうか。
だが反論が言葉からも態度からも出てこないのは立場を弁えているからこそに違いない。
人形遣いを人質にして迫るという策については的確に功を奏しているようだ。

「さっき拝み損なったのだけれど、どんな下着にしたのか見せてくれないかしら?」
「そんなのっ……あんたが捲って見ればいいだろうっ……」

突き付けられた要求に早くも嫌な予感を察知したのか、明らかに声色を変えながら少女が抗議をする。
先程はそうしようとして嫌がられたからならばそちらから、と提案したのにこれも拒否されたから困ったものである。
しかし今度は逃さないとばかりに、月光の照らす深夜に執り行われている秘密事を的確に指摘してみせる。

「あら、人形遣いさんには何度もやらせている癖に?」

荒い呼吸を整えようと動いていた背中が止まる位に衝撃が強かったのだろう、無論反撃の言葉も出てこない。
自らがスカートをたくし上げる行為は相手に捲られる以上の辱めが存在し、
それを熟知しているから想い人にも要求しているのは容易に想像出来た。
単純に屈辱を加えるだけでなく、愛情や信頼あってこそのリクエストなのは羨ましい限りであったが。

「っ……やれば、いいんだろっ……」

半ば自棄になりながらもよろよろと立ち上がり、観客席となったベッドから数歩離れた所で魔理沙が足を止めた。
一つ大きな深呼吸が漏れた後、意を決したかのようにゆっくりと向き直る。
まだ落ち着かぬ官能と羞恥の影響で頬が紅く染まり、表情が歪んでいる様が何とも印象的で、
半脱ぎにされて手直しする事も出来ない上半身の有様が更なる興奮を誘う。
こちらの熱い視線から逃れるように顔を背け、何とかスカートの裾を掴むも躊躇を捨てられないようで、
膝頭が覗く位の位置で手首が震えてしまいなかなか持ち上げる様子が見受けられない。
踏ん切りを付けるのが難しいのは充分に承知しているし、唇を噛み締めて耐える姿も見るのも美味ではある。
その勇気に免じて上手い具合に助け舟を出すにはどうすればと思案しつつ、自分も膝へと手を伸ばす。

「ちなみに私はこういうのを穿いているのだけれども」
「ああ、いいっ!そんなの見せなくてもっっ!!」

せっかく先に手本を見せようとしたのに即座に拒否されてしまうのだから何とも切ないものだ。
もっとも、女物の下着から男根が顔を出しているであろう光景は異様であり、
純情な乙女が頭を横に大きく振るのも仕方が無いと言えばそうである。
唇を尖らせながらも納得してみせると、程なくして意を決したのか魔理沙が再び手首を持ち上げ始めた。
持ち上がったスカートの裾が膝頭から太腿の中間を経た辺りで、
内股が湿り気を帯びているのがはっきりと分かり、期待はいよいよ高まっていく。
同時に下着に関しても普段彼女が愛用している、悪く言ってしまえば色気の無いドロワーズではなく、
今日の為にしっかりとお洒落をしてくれている事実も確定し、更なる拍車を掛ける。
手触りの時点で大方の予想は付いていても、やはり実際に目の当たりにすると喜びも大きいのだ。

「んっ、はぁっ……」

唇から漏らされる、切なげな吐息が耳を打つ。
誤魔化しの無い若い肌が瑞々しく濡れている様もただ美しく、舌を這わせたいとか甘噛みしたい、
あるいは顔を埋めてしまいたいとかあらゆる劣情を猛烈に煽ってくる。
色欲の毒を注がれて頬をより朱色に染め、琥珀色の瞳を潤ませて要求を受け入れる姿も然りで、
こんな可愛らしい娘に好き放題出来るなんて人形遣いは羨ましい限りだと、嫉妬を感じてしまう程であった。
口元を綻ばせている内に吊り上げられたスカートは更に高度を上げ、
魔理沙の決死の覚悟を示すかのように純白の生地を覗かせる。
まだ幼さの残る少女が召しているものとしては不釣り合いな、花柄の刺繍が施された大人っぽい下着。
指先での洗礼を受けたショーツが吸収出来る限りの蜜を吸って素肌に張り付き、
秘裂や髪の色と同じ恥毛を薄く浮き上がらせる、淫靡極まりない光景に視線が釘付けになってしまう。
真っ赤になりながら手首を震わせ羞恥と戦う姿も然りで、絶望的な状況に陥りながらも
健気に役目を果たそうとしている佇まいには、こちらも奮い立つしかなかった。

「もうっ、いいだろっ……!」

一刻も早く閉幕したいとばかりにスカートが勢い良く降ろされる。
この場を凌いだところで全裸に剥かれ、大きく反り返った肉竿で貫かれる未来に変わりはないが、
彼女にとってはそれはそれでまた別問題であるに違いない。
もう少し堪能する時間は欲しかったが、それでも頑張りを評価するには充分な出来栄えであった。

「ええ。貴女の勇気、良く見せてもらいました」

審判を下す裁判長のような口調で、天晴れとばかりに扇子を開いて彼女が示した勇気を褒め称える。
そうして再びスカートを持ち上げ先程は静止を喰らって披露の出来なかった、
奮い立った一物を今度は止められる事無く見せ付ける事が叶ったのだった。

「なっ……うぁ……」

想定していた内容とは異なる反応を見せてしまった事に、魔理沙は隠し切れない動揺を見せる。
普段の精神状態であればすかさず手で払うなり視線を反らすなり、拒否を示すのも難しくはないだろう。
しかし前戯を受けて尚、絶頂まで押し上げられていない過酷な状況に立たされている今、
重ねた指よりも更に大きな体積を誇る肉塊は拒絶し切れない誘惑を放っているに違いなかった。
膝を曲げて前傾し、ともすればそのまま崩れそうな危うい様。
魔法使いの少女が見せる困惑や葛藤を尻目に、踵をゆったりと持ち上げ、
身に付けている下着をするりと足首から抜いてベッドの下へと落とす。

「良ければ参考に、貰ってくれて構わないわ」
「いっ……いらないぜこんなのっ……」

紫色のドレスとの調和具合も申し分ない、黒のレースのショーツ。
残念ながらまだ少女には早かったようで下着に関しては理解してもらえなかったが、
ふら付きながらも目線がこちらの股を捉えているのに、口元に笑みが漏れる。
散々腫れ上がった興奮の象徴が、奉仕を受ける瞬間がようやく近づいてきたのだから。

「ならこれは持ち帰るとして……次の望みを、聞いてもらえて?」
「ん……やれば、いいんだろ……」

止む無しとばかりによろよろと脚の間に身を収めてくれた辺り、要望はしっかり把握してくれているようだ。
反り勃つ棒を見詰める目線の焦点は少なからずぶれているようで、
時折首を動かしてピントを合わし直しているような仕草も窺える。
あるいは予想以上の逞しさに息を飲んでいるのかもしれないが、物怖じしている様子は感じられない。
程なくして手首が伸ばされ、掌が側面をそっと包み込む。
腰から脳天を突き上げる快感は久しぶりで、思わず踵が持ち上がってしまいそうになる程だった。
自慰に浸るにしてもこうして疑似の男根まで作り出す機会はほぼ皆無であり、
この手の奉仕に対する耐性が低いのは残念ながら認めざるを得ないところである。

「ふぅ……やっぱり人肌は素晴らしいわ……」

あくまで口調は穏やかに、手淫を始めた少女に対してそう告げてみせる。
今回の状況に限って言えば奉仕側に対して気遣いを見せる必要は全く持ってないが、
それでも相手が官能を高めてくれているのが認識出来ればモチベーションは自然と高まるものだ。
現に屈み込んでいる恋符の使い手は掌で撫で回し、次にどう愛撫するべきかと、積極的な姿勢を見せている。

「どうかしら。こうも立派なキノコはなかなか見つけられないでしょう?」
「つっ……うるさいっ……」

尻を軽く持ち上げて張りのある傘を強調してみせると即座に呆れられるも、狙いはそこへと定めたらしい。
決心を固めるかのように髪を人差し指でかき分け、深呼吸も兼ねて口を大きく開く。
その後に身を乗り出した魔理沙は、剥き出しになった亀頭を唇の内側へと誘い込んだのだった。

「ふぅっ、んん……」

天を仰がずにはいられない悦楽が至上の瞬間へと導いてくれる。
咥内が生み出す程良い熱と控え目な粘性を敏感な箇所で受け止めているのだから官能が強烈なのも当然で、
腰を同じ場に留めておくのが分厚い弾幕を抜けていく時の様なもどかしさを感じさせた。
舌の表面が傘から亀頭の窪みを滑ったのには堪らず上半身を軽く曲げてしまったが、
何とか持ち直す事が出来たのは大妖の意地がそうさせたのだろうか。
しかし攻勢に立てば無類の強さを発揮する魔理沙は、口淫に関しても同様に攻めの手を緩めようとしない。

「んむっうぅっ、ぷっはぁっ……」

口元をすぼめてのきつい吸引を行いながら頭を持ち上げ、唇と歯で肉竿の側面を扱く。
柔らかさと硬さが同時に襲い掛かってくるのには閉口してしまいたくなる程で、
弾幕試合と同様に手加減の類は一切なく着実にこちらを追い詰めてくる。
卓越した技術ではなく荒削りと称した方が正しいのは確かだが、
それでも思いの外慣れを感じさせるのは、人形遣いを相手に経験を積んだからだろう。

「く、んう……随分と、手慣れたものね……」
「つふっ……嫌いじゃ、ないからな……こういうの……」

意外と言えば意外な一言だが、他人への奉仕を喜びに感じているのに納得がいったのも然りであった。
誰もを打ち負かす程に強くなりたいと目標を立てる一方で、少女は奉仕にも意義を見出していた。
正反対の事象でありながらも、他人に自我を認めてもらいたい願望が確かにその二点には共通している。
詰まるところ寂しがり屋であるのだろう、図らずも自身と同様に。

「幸せ者ねぇ、人形遣いさんは」

何気なく告げたつもりではあったが、内心で強く羨んでいるのは否定が叶わなかった。
一見すれば全くそんな感じはなさそうだが、実は従者の素質を有しているように見受けられ、
普段は窺えない献身的な一面を想い人のアリスは存分に堪能出来るのだから、そう思うのも仕方ないだろう。

「んっ……」

時折もどかしげに腰を左右に振っていた魔理沙が小さく呻く。
本来の相手の姿を思い浮かべ、彼女に対して申し訳なく感じているのかもしれない。
そんな葛藤に揺さぶられながらも瞳を閉じて舌での愛撫を続ける姿は献身的で、
物理的に受けている刺激以上の興奮を覚えさせてくれた。
湧き上がる劣情をぶちまけるのは酷だと思えば思う程に、欲望はどす黒く渦巻いていく。
性欲とはここまで業が深いのかと、呆れる資格もないとは分かっていながらも感じてしまうものだ。

「ああ……そろそろ、だわ……」

自身の唾液と亀頭の窪みから漏れ出ている我慢汁に、頬や顎を濡らしている少女へと告げてみせる。
弾む吐息が竿を撫でる軽い刺激にすら射精感を促される程で、限界が目の前に迫っているのは明らかだった。
踏ん張りを一瞬でも解けば肉棒の内部の体液が駆け上がりそうな状況、
一度抱いてしまった渇望を無に帰す程の精神力は到底保てはしなかった。
堪え性のない性格も祟ったと、自己に屈したのを確かに認識しながら口を開く。

「ね、魔理沙……出るところを、良く見ててくれなくて?」

健気な奉仕を労わるように金髪を撫でるも、打ち明けた要望には全くの遠慮が無い。
一瞬動きを止めた恋符の使い手はどう思ったのだろうか。
唐突に名を紡がれた事の戸惑いもあれば、リクエストに対する抵抗を感じたのかもしれない。
しかし、その後に見せたのはすんなりとこちらを受け入れる肯定であった。

「……分かっ、た」

肉棒の根元に掌を添えて顔の正面へと位置を取り、痙攣する先端を
視線こそやや虚ろではあったが、それでも反らす事無くじっと見据える。
まるで敵に首を差し出すかのような清々しいまでの潔さに劣情を煽られてしまうなど、
自分は果たして大賢者と呼ばれる資格などあるのだろうかと疑わざるを得ない。
だが肉体は実に正直で、発射の衝動を亀頭で辛うじて押し留めている状態だった。
小さく唇を開いて呼吸を整えながらその時を待つ佇まいを見届け、反り返る男根を握り締めて素早く扱く。
手首の前後運動に合わせて待ちきれないとばかりに透明汁が断罪を待つ魔法使いの顔面に飛び、
それが一層色濃い自身の白色で染め上げられるのだと思い描くと、堤防の決壊などあっという間であった。

「んっ、うぅっ……」

贅沢を言うならばもう少し優雅に絶頂を果たしたかったと、
肉竿を扱いて自らの脳髄を真っ白に蕩けさせながら解放の瞬間に身を委ねてみせる。
透明液を持ち上げて白濁が噴出される光景を、覚悟を決めた少女は何処まで見詰めていてくれただろうか。
それも確かに気にはなったが所詮は本来の理由の延長線上にある事象、
幻想郷きっての人気者である霧雨魔理沙の愛らしい顔を、己の精で染めたくて仕方がなかったのだ。
斜め下から抉り上げるような角度で解き放たれた第一射は勢いのあまり、
頭上を飛び越えてしまったが、その後は的確に標的を捉えての射精となった。
癖のあるふわりとした金髪から睫毛、鼻先や紅く染まった頬、
しっとり濡れた唇に顎、そして事の起こりをただじっと見つめていた瞳。
全てが白く、鈍った光を見せる粘液で汚されていくのに凄まじい興奮を盛られ、
衰えるどころか逆に一層の量を伴って絶頂が続くのだから堪らない。
小刻みな痙攣こそ見せるものの顔に施される生臭い白化粧を回避する素振りは一切なく、
本当にこちらが要求した通り、射精の始終を少女はずっと見守っていた。
まるで愛しい人の頼み事を全うするかの様に。
一夜限りの契約を忘れさせてくれる佇まいには精神的官能まで満たされる思いであった。

「んっぷ……はぁ……」

十数回に渡る脈動も一応の落ち着きを見せ、ようやく放射が収まりを見せる。
大きく息を吐いた魔理沙は、唇の内側にいた為に難を逃れた薄赤色の舌先を伸ばし、
周囲に付着している白濁を舐め取る動作を何度も繰り返していた。
その仕草に嫌悪の感情は見受けられず、放った自身も呆れる程の量を
導き出せた事に対して、何処か満足をしているかのようにも感じられる。

「つは……たくさん、出たな……」
「ええ……とても気持ち良かったもの」

肩を上下させながら呟く彼女を労い、髪を撫でながらそう呟く。
乳液のような粘性を持つ白濁を浴びても愛らしさは少しも損なわれておらず、
むしろ神秘的な光景にさえ目に映ったのは錯覚だろうか。
これ以上汚すべきではないという躊躇を感じながらも、実はまだ汚し足りていないのではとの
邪な判断も同時に生まれ、唇を噛まずにはいられない板挟みの状況に肉竿はまた硬さを取り戻していく。

「疲れたでしょう、そこで楽にしてなさいな」

そんな心情を読み取られまいと出来る限り落ち着いた口調でそう告げ、
丁度ベッドに身体を横切らせる形で、魔理沙をもたれかけさせる。
尚も小さく呼吸を弾ませている少女が抵抗の意思を出さないのを見届け、
半脱ぎ状態であったブラウスとスカートを取り去り、下着のみの格好へと持ち込む。

「つぁ……はぁ、はぁ……」

ベッドの直角に身体を添える体勢で、逃れる事も叶わず薄着に剥かれた魔理沙が小さく喘ぐ。
無抵抗ではあっても羞恥は捨てられないようで、床に突いた膝はかくかくと小刻みに震え、
シーツを握り締めている拳も同様に痙攣を見せていた。
しかし何よりも目を引いたのは程良い丸みを帯びた尻で、
その形には実際に触れる前から手触りの良さを想像出来てしまう位であった。
数多の罪を犯してきたのを自覚しているのとは裏腹に、差し出された丸尻は罰を与えるのを躊躇って
しまう程に白く綺麗な肌をしており、彼女が持っている純真な一面を映し出しているかのようだ。
本来ならば平手か扇子を叩き込んでやる予定も立ててはいたのだが、
今まで見せてくれた潔さに免じてここは大人しく舌先で優しく愛撫してやる事にした。

「ひぃっっ、うぅっ……」

滑らかな曲線に沿うよう舌の表面を這わせてみれば、堪らなそうな声が鼓膜を震わせてくる。
シーツに額を擦り付けてもどかしさを誤魔化しているのも愛らしく、
それでいて腰を微かに振って誘うような動作も見せているのだから興奮も盛られるものだ。
果実とは胸だけではないと認識し直すに充分な瑞々しさであり、
歯を立てれば新鮮な果汁で咥内が満たされるのではと思わされてしまう。
もっとも既にお相手のいる乙女なのだから、傷を加える訳にもいかないと手加減しつつ歯を滑らせる。

「ひうっ……!?あぁっ……!」

柔らかい舌よりも硬度のある歯の方がやはり与える官能は強いらしく、悶える声色も一際高くなった。
項垂れていた頭が持ち上がったのを窺っても相当に敏感なようで、
これから行われる激しい腰打ちに耐えられるのか、心配すると同時に加虐心までくすぐられる。
良い具合に下着が食い込んだ可愛い尻を早く愛でたいと馳せる気持ちに身を任せ、
ブラジャーと愛液を存分に吸って濡れたショーツも容赦なく剥ぎ取っていく。
バックから打ち込まれるのは慣れているだろう、幾ら理知的な人形遣いと言えども
この尻を前にすれば欲望を抑え切れず、肉体を打ち付けたくなるに違いない。
微かに揺れるつるんとした丸みを眼下に収めつつ、担ぐには程良い高さになって
幸いだとこちらも衣服を脱ぎ、両腕を伸ばして腰を固定してみせた。

「あぁぁ……」

観念と期待の両方を含んだ甘ったるい声色が、股間の勃起をより一層力強くさせる。
物欲しそうに震えて蜜を垂らす陰唇に怒張を宛がう瞬間は流石に緊張するもので、
それが恋愛感情は持たずとも顔見知りの相手であるとなれば尚更であった。
霊夢に知られたら更に大きく距離が離れてしまう、或いは逆に気を引く事も出来るかもしれない。
でも一番の可能性は親友を手に掛けても尚、無関心を貫かれるのではないだろうか。
彼女の心を手繰り寄せたい願望は今も決して途絶えてはいないが、
こうも強固な相手ではなかなか決め手を見出せないのが現状なのだ。
そう長い時間は残されていないが……と、思った所で本来の相手へと意識を向け直す。

「では、入れさせてもらうわ……」

約束の代償とは言え、こんな得体の知れない隙間妖怪に身を捧げた勇気に敬意を示し、厳かに呟いてみせる。
先端の挿入が果たされて咥内を上回る快感に息を吐きながら、
更にそれを貪ろうと腰を押し込んでいくと繊細な少女の身体が大きく跳ねた。

「はっっ……!?うっっ、んうぅぅっっっ……!!!」

声にならない悲鳴を上げ、先程以上に背を反らせて挿入の衝撃を真正面から受け止め、そして力無く崩れ落ちる。
真下に顔を向けては呼吸もままならないと横倒しにし、必死に空気を取り入れようと
背中を上下させている姿を見受ける辺り、望んでいた絶頂は迎えられたのだろう。
きつい圧迫を見せる膣肉に唇を噛みながら、奥深くまで肉棒を届かせると再び細身が痙攣を見せた。
その反応を楽しみつつも、後背位では胸部を味わうのが疎かになるのが残念でならなかった。
サイズが物足らないから堪能しないのは大きな間違いで、彼女らしいと言えばそうである
慎ましいバストも漏らさず可愛がってやらなければ、気が済まないのが正直な所だ。
さてどうしたものかと思いながらも、引いては打ち込むの動作を遠慮無く繰り返していく。

「あふっっ!はっ、はーっ……!」

肉壁を大きく拡げられた挙句に深部を小突かれたのだから堪らないのは容易に想像出来る。
虚ろな視線を壁に向けて大きく口を開き、涎を垂らしながら呼吸を整えようとする、
一見すれば無様な姿が健気に、美しく映るのは決して恋符が見せている幻覚なんかではない。
どうしても成し遂げたい目的を叶える為に、自己を犠牲にする覚悟があるからに違いなかった。
そんな尊い姿を大切に見守りたいと思う一方で、粉々にならない程度には破壊したいと
明らかに矛盾する願いまで同時に持ってしまっている自分がそこにいた。

「あひっっ!?あっ!!あ!!あぁっ!!」
「んっ、う……いい、わっ……もっと、締めてみなさいなっ……」

指の力を強めて腰をしっかりと掴み、背後から身体をぶつけながら煽りを掛けてみせる。
衝突を形を変えながらも柔軟に受け止め、小気味の良い破裂音を鳴らす尻も見所充分だがそれだけではない。
項垂れていた頭を反射的に持ち上げ喘ぎつつも魔理沙は内股に力を入れ、
こちらのリクエスト通りに膣肉の収縮をより強めて一層の快楽を提供しようとの意図を見せてくれていたのだ。
咥内を更に上回る強烈な悦楽は、一度絶頂を果たした上でないと味わう余裕すら持てはしないだろう。
内部へと引き込む動きを見せる肉襞の貪欲な蠢きに従っても逆らっても射精感を盛られるのに変わりはなく、
艶やかな律動と喘ぎを見せる少女の思惑に傾く他、選択は存在しないのを思い知るしか叶わなかった。
明らかに優位な状況に立っているにも関わらず、境界を操れる力を持ってしても、
相手を完全に攻め切れていない事実は決して覆らない。
もっとも、そのもどかしさもまた支配欲を掻き立て、腰を幾度も打ち込む原動力となってはいるのだが。

「どうっ、かしら、私のキノコもっ……逞しいでしょうっ……」

元々差し出されている尻をこちらに引き寄せながら張りのある亀頭を鋭くお見舞いし、
更にぐりぐりと捻じるようにして奥底を執拗に抉ってみせる。
震える太股を留まる事のない愛液が伝い、突いている膝元へ次々と垂れ落ちていく。
淫靡な光景に華を添えてくれるのが、魔理沙の一際高くなった嬌声だ。

「あひぃぃっっ!!あっっ、かっっ!!はぁっっ、あぁうっっ!!」

好きでもない相手にバックから責め立てられながらも嫌がる素振りは一切なく、
ただ与えられる快感に全てを委ねて素直に喘ぐ姿には愛らしさを感じてしまう。
どうせやるなら真面目にやった方が良いとの意思を、今もはっきり持てているのかは疑問だが、
少なくとも見受けられる姿勢は生半可ではない、真剣そのものであった。
人形遣いとの仲を引き裂く気はないとの考えを変えるつもりは勿論ないが、
この一時だけでも支配してやりたいと欲望が渦巻くのだから彼女の魅力は計り知れない。
まさか自分が恋符に堕とされつつあるのではとの心配も、杞憂だと信じたかった。

「ふぅっ……いいわっ、そろそろっ……」

幾度もの衝突を受けて色こそ桃を帯びて変化を見せつつあったが、柔らかな弾力は健在で、
身体を打つ疲労を感じさせないどころか興奮はますます昂ぶる一方だ。
肉壁で扱き上げた陰茎は臨界の硬さとなりつつも、搾り上げる圧迫に反撃を掛けるように膨張を続ける。
少女を一瞬でも快楽の泥沼に引き摺り落とす事が出来ればと、望んでいる己に半ば自嘲してしまいながらも。

「あぁ、あぁ……!!」

錯乱する様に声を漏らし、腕を振り上げるも密接から逃れる一手には遠く及ばない。
逆にベッドと密着している華奢な肉体を引き離す位に力を込め、同時に鋭く肉槍を最奥へと容赦なく捻じ入れる。

「ひううぅぅぅっっっ!!!」
「つっ、ふっっ……!!」

互いが絶頂の唸りを上げた直後はもう、粘液同士の応酬であった。
結合部から魔理沙が愛液を潮の様に噴出したかと思えば、数秒も経たない内に液体が白色に彩りを変貌させる。
一瞬にして胎内を満たす白濁に魔法使いの少女は閉口しているだろうか、
もし冷静な判断が出来ればそんな反応を見せたかもしれないが、幸いにして相手にその余裕は全く無さそうだ。
こちらの見かけによらない腕力に身体を持ち上げられ、尻を突き出す気の毒としか言えない格好。
そんな状況ながらも生殖本能は実に正直で、胎奥に収まり切らない程の
精液を受けながら、尚も貪欲に射精を促そうと膣壁は強烈な収縮を掛けてくる。
弾幕と同様に無尽蔵に放てないのは残念だが、格別としか称せないのに違いはなかった。
恋愛感情を抜きにしてこの心地なのだから、一体人形遣いは何度昇天したのだろうかと勘ぐってしまう。

「つはぁっ、はぁっ、はぁっ……はあぁぁぁ……」

拘束を解かれるなり支えを失った身体は腕を滑り、ベッドの下へ朽ち果てるように崩れ落ちる。
射精の快感はやはり凄まじい、あるべき性別を超越した行為であるだけにそう感じてしまうのも仕方はなく、
秘部から大量の白濁がどろりと垂れ流れる様を見れば如何に高い官能を得られたか、明らかであった。
満身創痍の彼女を眼下に収めつつ、こちらも呼吸を荒げたまま自身の心境を分析してみる。
確かに肉体面で言えば二度の絶頂を迎え、相応の満足を果たしたのは事実だ。
だがまだ足りない、もっともっとこの少女の心を傾けなければ気が済まないと、衝動が直に反映される胸中だけでなく、
本来ならば一時の感情を抑えて冷静に分析を果たす筈の脳神経までもが、同一の欲望を渦巻かせている。
魅了を受けた分はきっちり返さねば、と。
興奮の波が最高潮から下りつつあるからこそもう少し先の未来を見据える事も出来ているのだろうが、
翌日になればまた麗しき人形遣いの元へと帰り、愛を深めてもらえればと思っているのは契約を交わした当初と全く同じだ。
鬱憤を晴らすべく激しく攻め立てるかもしれないし、傷を癒して欲しくて甘えに入るかもしれない。
どちらであろうとそんな魔理沙がアリスに寄り添う姿を想像すれば、微笑ましく思える余裕だって持っている。
けれどもそれは明日以降の話、今夜はそれこそ隙間地獄に落ちてもらう覚悟で臨んでもらわなければならない。

「ふぅ……少し、くたびれたわね……」

意図を欠片も見せない呑気な声色でそう告げ、おもむろに少女が愛用しているベッドへ身体を預けていく。
こちらの行動を気にしている余裕などないのか、はたまた探っているのか、魔理沙からの返答はない。
そんな彼女を尻目に仰向けに寝転がる。
無論、興奮の象徴を隠す事無く高々と天井に掲げて、だ。

「ふあっ、はぁ、はぁ……な……ま、まだ……やるのか……?」

辛うじて顔だけ持ち上げ息も絶え絶えに尋ねてくる辺り、体力の大部分を削がれているのは想像に容易い。
疲れているのは充分承知しているが、残念ながら容赦をしてやるつもりは毛頭なかった。

「疲れたから、リードを取ってもらえると助かるわ」

呆れも含んだ問いに対して涼しげに、次の指令を出してみせる。
真実を打ち明けるならば桃色に染まった尻へあと数百発腰を叩き込む力は残っているのだが、
せっかくの稀少な機会なのだ、同じ体勢しか味わわないのはあまりにも勿体無い。

「うう……」

絶対服従の約束を前に、選択肢など残されていない。
そんな状況でありながら躊躇を見せるのは、こちらが暗に求めている体勢も大きいと推測が叶った。
ただ寝そべる以上に相手へ身体、特に上半身をアピールする事を余儀なくされる騎上位。
プロポーションに自信の無い者にとっては拷問にも近い体位に、
重く感じているに違いない肉体に鞭打って、魔法使いの少女は果敢に挑もうとしている。
その仕草だけで心が満たされるのは、裏を読むと余程飢えているという事なのだろうか。

「んっ、くぅ……」

見上げればゆらりと頼りなく身体が傾き、陽炎の様に輝く軌跡を描く金髪が一層の儚さを演出する。
一部こそ精液の洗礼を浴びているが、不思議な程に煌びやかさは失われていない。
憂いを見せる面持ちも然りで汗や唾液に塗れ、白濁を浴びて酷いと感じる筈の表情さえもが美しく瞳に映る。
乙女が決した覚悟はこうも素敵なものなのかと、感心する他なかった。

「いいわ、お腹に手を置いてくれても」

少しでも高い位置に手を突きたくて、でも場所を見付けられなくて掌を彷徨わせている魔理沙に、
決心を讃えるように自身の腹部を撫でて行き着く場所を導いてみせる。
今まさに跨った状態から腰を落とそうとしている少女は、ほんの少しばかりだが頬を和らげた。

「そう、させてもらうぜ……ふっっ、うぅんんんっっっ!!」

両手をこちらの腹に添えて震える膝をゆっくりと降ろしていくも、膣を拡げる衝撃は想像を絶していたようだ。
上半身を大きく反らせた魔理沙の口から、喘ぎとも呻きともとれない声が上がる。
程なくして脱力したかのように今度は表情も窺えない位に首が項垂れ、激しく肩が上下した。
まだ成熟途中の少女に課した試練としてはあまりにも過酷であり、
ガラス細工の様に繊細な身体が砕け散ってしまうのではと、無責任な心配をしてしまった位だ。
だが限界に追い込めば追い込む程に美しさは一層の磨きが掛けられるもの、
それは自身の大切な従者の心でしっかりと把握しているから間違いはなかった。
今回の催しを彼女は楽しんでくれているだろうか、でも真に望んでいる願いを叶えてやる為に、
向こう側からは何があろうと申し出をしてこない以上、もう一肌は脱がなくてはならないだろう。
少しばかり反れてしまった意識を、後背位の体勢の時とはまた異なる心地良い圧迫具合がすかさず戻してくる。

「ふぅ、ん……」

脇を締めて両腕を伸ばす体勢を見せているからであろうか、控え目だと想像していた筈の胸は
思っていたよりも豊かな線を描いてお目見えする事となった。
もしかすると人形遣いの度重なる愛撫の成果が表れつつあるのかもしれないが、
当の本人は自身の胸の強調具合などを気にしている余裕はなさそうだ。

「つぁっ、はぁっ、あぁっ……!」

こちらの大きく息を吐くのとは対照的に、跨る少女から吐かれるそれは絶え絶えであった。
大きく痙攣している足首は自身の荷重を支えるのもやっとのようで、
もし役目を失ってしまったとすればより深く膣内に収めている肉棒を捻じ込まれる事となる。
何とか阻止しようと踏ん張ってはいるものの、崩れ落ちるのにそう間を要しないのは見ただけで明らかだった。
しかし、そんな僅かな時間ですら待ち切れないとばかりに指先を桜色の突起へと伸ばしてしまう。

「ひうっっ!!なっ、やっっ……!」

乳房を触られる事を予想していなかったのはおそらくないであろうが、
真っ先に手を伸ばされたのには面喰ったらしく、声色からは羞恥と動揺が窺える。
そんな彼女に対しても遠慮無く親指で乳首を押してやり、小指からのラインでくいくいと押し上げていく。

「綺麗な形をしているから、つい触りたくなってしまったの」
「そっ、そんなのっ……はぅっっ!!」

言葉を遮るように親指の力を少し強くすれば上半身が大きく仰け反る。
確かにサイズとしてはまだ小振りではあるが、伝わる弾力の良さや過敏な反応は存分に楽しめるものだ。
この分ならもう一つの心配事である、果たすべき機能についてもおそらくは問題ないだろう。
だがまだ年端も行かない少女は果たして本気なのか、それは是非とも本人の口から窺いたい限りだった。

「仕方無いわね、胸が嫌というならば……」

苦手部分を責め立てるのは弾幕勝負の上ではセオリーではあるが、
寝床勝負である以上は弱点を突き過ぎて相手を萎縮させてしまうのも良くはない。
代わりに先程存分に肉体をぶつけた尻へと左手を伸ばし、右手は結合部の上部に位置する陰核を担当させる。

「ひぐうぅっっ!!はっ、ああぁぁっっ!!」

甲高い悲鳴に加えて顎が先程以上に大きく持ち上がり、透明な体液が宙を軽やかに舞う。
唾液や汗、あるいは感極まって瞳に滲んだ涙であるのかもしれない。
特に秘芯を親指で乳首の時と同じ様に弄られたのが強烈に効いたらしく、
膝の力が抜けてしまった魔理沙は意図とは無関係に腰を落としていた。
深部まで陰茎を迎え入れ、胎奥から脳天を鋭く貫く官能に見舞われているのは間違いないだろう。
度合いは軽いにしても気を放って朦朧としている所へ、すかさず小刻みに突き上げる律動を見舞う。

「はうっっ!?あっっ、あっ、あんっ、あんっっ!!」

一発目は驚いたような声を上げるも、それ以降は衝撃自体は緩い事もあり、愛らしい嬌声が続く。
左掌に伝わる尻肉の揺れや、控え目ながらも確かな揺れを見せる乳房にも興奮は盛り上げられる一方だ。
本来ならば恋愛感情も持ち合わせていない相手だからそのまま勢いに任せて絶頂を目指しても構いはしない、
けれども今は軽い爪痕を残すだけでもいいから、彼女の心を浸食したいと願って止まなかった。
当初のつまみ食いだけで済ませる予定は完全に変わってしまったが、
ここは恋符の魅力に屈したと素直に認めておくべきだろう。

「んっ……よっ、と……」

おもむろに上体を持ち上げ、瞳を虚ろにしながら喘ぐ恋色魔法の使い手の背へと腕を回す。
可愛い式の藍に比べると少しばかり質量は劣るがそれでも自慢の一品に変わりはなく、
目の前の少女相手ならば余裕で圧倒出来るボリュームだ。
腕の中に身体を寄せるようにすれば乳首同士が擦れ合い、挿入とはまた違う趣きの快感を生み出す。
だがこの戯れについては気に食わなかったのか、そもそも予想通りではあるが、
快楽に塗れて顔を歪ませていた魔理沙が僅かながらも眉を顰めて真意を探ってきた。

「つはっ……わ、私に対する……当て付け、かっ……?」
「ふふっ……怒ると、せっかくの可愛い顔が勿体無くてよ……」

軽く相手をいなしてみせ、こちらもまた探りを入れるべく声色のトーンを落として囁く。
身体を捧げてでも叶えたかった願い、その真相を確かめる為に。

「ただ……大きくするだけだったら、貴女だけでも出来たのでしょうっ……」

結合を成している疑似の肉竿に力を込め、指摘している部分を強調しつつも、
浮かべる表情は出来る限り涼しげであるように努めてみせた。
執心ではなく単なるちょっかいに過ぎない、自身にもそう言い聞かせてみせながら。
膣肉の締まりがより圧力を増したのも、奥底に潜めていた想いを鋭く突かれた緊張によるものだろう。
本来は相手が違うと拒んでもおかしくない筈だが、快楽を求めている肉体に残念ながら区別は付けられない。
その点ばかりは強まる悦楽を楽しみつつも、気の毒にも思えてしまっていた。

「そうだっ……最後の最後にっ、行き着けなかったから……くふっ、あんたの力を借りたっ……」

複雑な表情を見せ、息を荒げながらも魔理沙は指摘を素直に認めてきた。

幾度の研究を重ねても求めていた領域に辿り着けなかった恋符の魔法使いに、
手助けをする代わりとして一夜限りの肉体関係を持ち掛けたのだ。
絶頂の際に発射される白濁に自身の遺伝子情報を加え、男性器本来の機能を巨大化した陰核に持たせる……。
最初に望みを聞いた時は耳を疑いながらも、並の妖怪が持つよりも
遥かにどす黒い意思と欲望に興味を持たずにはいられなかった。
決して軽くはない犠牲を払ってでも、自らのモノにしたい相手がいるのかと。

だが今彼女が秘める本当の望みは全く違い、あろう事か当初とは正反対の方向へと進んでいる。
そうまでも大きく変わるものなのかと思うと、関心は増すばかりだった。

「その意味はちゃんと、理解していて……?」

相手の思考能力を完全に奪わないよう気遣いながら、ゆったりとした動作で腰を上下させる。
お世辞にも安定しているとは言えない精神状態で、尋問するのは言ってしまえば卑怯だが、
こんな状況だからこそ決意の真偽をより明確に窺えるのも確かだ。
こちらを見下ろしている体勢の魔理沙は問い掛けに対し、ぎゅっと瞳を瞑ってみせた。
好きな人同士が結ばれるのは何ら問題はない、ただ彼女の場合は、相手があまりにも特殊であったのだ。

「……とんでもない事をしようとしてるのは、分かってるっ……」

力無く首を左右に振る辺り、本人もその事実は痛い位に自覚しているだろう。
同性であり異種族、親密な関係を持つには禁断の間柄であるから逆に恋愛の炎が激しく燃え上がったと
言えるかもしれないが、そんな呑気な事を言えるのは傍から見ている立場だからに他ならない。
少しの間、沈黙が空間を支配していたが、先に口を開いたのは魔理沙だった。

「それでもっ……!」

琥珀色の瞳が大きく開かれ、澄んだ視線が見詰めてきたのにはっとしてしまう。
快感に陥落寸前であるとは到底思えない瞳孔の輝きは、感極まって滲んだ涙で一層の美しさを見せていた。
そして少女の一大決心が告げられる。

「あいつが、望んでくれるならっ……私はっ、アリスの子を産みたいっ!!」

迷いの欠片すら見つけられない程に澄んだ想いを、もし人形遣いが耳にしていたならばきっと落涙した違いない。
ここまで気迫に満ちた宣言は、弾幕試合でさえもそう繰り広げられるものではなく、
最後に全力を出したのが何時かすら覚えていない自分にとっては、心臓を貫きかねない鋭さが感じられた。

「……本気、かしら?正気の沙汰ではなくてよ……」

本当を言えば圧倒されてしまっていたが、そこは何とか誤魔化してみせる。
実際に前例が無い訳ではないが絶対数の少なさや、その後幾人が幸せな結末を迎えたかを考慮すれば、
正気の沙汰でないと揶揄したのも決して単なる脅しやはったりなんかではない。
だが、自身の身を愛する人に捧げる覚悟を見せた彼女は、決心を揺るがせる事はなかった。

「ああ……!!だって、大好きな人と家族を作りたいと願うのは……当然だろうっっ!!」

羨ましいと思う他なかった。
宿命だと博麗と一定の距離を常に保ち続け諦めている自分に対し、
希望に満ちた表情を見せる儚い存在は、内容は違えど突き付けられた運命に立ち向かおうとしている。
今胸中に渦巻いているのが彼女に対する羨望なのか、無力な自身に対する苛立ちなのか、
それを分析する事すら億劫で、気が付けば緩めていた腰を再び激しく突き上げていた。

「はっっ!?あっ、ひっっ!!あぁっっ!!」

再び小刻みな嬌声が鼓膜を撫でるのに、ささやかな安堵を得られてしまっているのがただ情けない。
けれども少女が育もうとしている純愛の芽を踏み躙ろうとしている訳では断じてなく、
見守りたいと願う気持ちであるのに違いないのが、せめてもの救いだった。

「覚悟は良く、伝わったわっ……」

恋愛感情は既に破綻をきたしているかもしれないが、少なくとも良識の欠片だけはまだ残っている。
一瞬の心の乱れの末に迎えられた安心感と、純真な想いを窺い知れた事による充足感。
これらを味わいたいという深層に潜む心理があったからこそ、今回の一件を引き起こしたのだろう。
求める糧がこうまで面倒なものになってしまったのも、長く生き過ぎたからに違いない。
そんな自分に、突き上げられて喘ぐ少女は瞳を細めながらも明確な意思を送っていた。
理不尽な行為を受けた批難ではなく、恋愛すらまともに行えない事実に対する同情を。

「ふあっっ!!はっ、あっ、ああんんっっ!!!」

身体の奥底を幾度も突かれ生み出される快感を、腕の中の肉体は一切を拒む事無く受け入れている。
引き込む様に蠢く膣壁と動きを合わせ、せり上がる射精感にこちらも逆らわず腰を浮かせていく。
胎奥に精を放つこの瞬間だけでも、苦い現実から何とか逃れようと。

「つっ、うぅっっ……!!」

包み込まれる心地の良さは先程にも増して強く感じられ、三度目とは思えない勢いで白濁が迸った。
本来ならば無言の拒絶を向けられても何らおかしくはない筈なのに、
跳ね上がるような乱暴な脈動でさえも肉壁は優しく受け入れてくれている。
憧れを抱き続けている存在に少しでも近づきたいと願う気持ちの強さが、
見かけや実年齢からは想像も出来ない強い母性を感じさせているのだろう。
胎内に放出する意義は最早見出せない程に曖昧になってしまっていたが、
そんな虚しい状況でも快感だけは裏切る事はなく、確かに性的欲求が満たされるのを感じる。
天を仰ぎながら切なげに喘ぐ少女もまた、生殖器で脈動を受け止めているのに合わせて打ち震え、
肉体が求める官能には抗えないのを物語っていた。

「ふぁっ、はぁっ、はぁっ……あぁ……」

精根尽き果てて脱力した身体を抱き止めながら、二人一緒にベッドへと崩れ落ちる。
腕に力を込めれば呆気ないほど簡単に壊れてしまいそうな儚い肉体の内で、
決して鈍る事はないであろう希望の光を確かに垣間見る事が出来た。
彼女の魅力に傷一つ付ける事すら叶わなかったけれども美しき決意を窺えて良かったと、
当初と方向性は違えども相応の満足をしながら、最低限の威厳だけは見せねばと静かに呟く。

「んっ、ふぅ……とても素敵な、一夜だったわ……」

名残惜しい気持ちの一切を覆い隠す事だけは、辛うじて成功したようだ。
まだ半開きの唇からは小刻みな呼吸が漏れていたが、
その口元がふっと緩み、柔らかな微笑みを作ったかのように見えた。
それが見間違いではないと確信を持てたのは、彼女が囁いた一言によるものだった。

「満足出来たってのなら……良かった……」

嫌味や皮肉の感情が微塵も無い率直な心境を打ち明けられ、言葉も出せなかった。
恋人に見せる顔と違うのは明らかだが、快感の波がゆったりと引きつつある時期の独特の心地良さと、
無事に使命を達成する事が出来た安堵感も手伝ってか、浮かべる面持ちはとても穏やかだ。
既に意識を手放しつつあるらしく瞼が持ち上がる事はなかったが、もし透き通った琥珀色の宝石を
再度目の当たりにしたならば、一段と深い恋符の魅了を受けていたかもしれない。
細く寝息を立て始めた少女の温もりを腕に感じながら、そっと願いを込める。
優しき人形遣いと末永く幸せな生活を送って欲しい、その道を歩む事が叶わない、自分の分まで。

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睡眠を素晴らしいと感じるのは何年生きようとも変わらないようで、
馴染みの薄い洋式のベッドやシーツがもたらす包容感が一層の心地良さを提供してくれていた。
ただ快眠に誘ってくれた最大の原因は、未だに腕の中に収まっている少女の肌触りであったのだが。

「んん……」
「……やっと起きたか」

目を開けてみると横向きで互いに向き合う姿勢を取っており、
知らない内に魔理沙に丁度抱き枕の要領で手足を絡ませていたのが分かった。
律儀にもこちらが目覚めるのを待っていたようだが、
我慢の限界が間近に迫っているらしく、表情から機嫌の悪さがひしひしと伝わってくる。

「あら、待たなくとも起こしてくれれば良かったのに」
「ああ、あと五分経っても起きなかったら魔法で叩き起こすつもりだったぜ」

指先を唇に当てて朝の口付けを要求してみせるも、相手の反応は極めて冷たい。
一刻も早く昨日の情事で汚れた髪や身体を洗いたいに違いなく、
それも相当長い時間お預けになっていたからだろう。
じっとりとした視線がこちらに絡み付くが、しかし最後の最後まで楽しみを
伸ばしたいと願う気持ちもまた簡単に収まりはしなかった。

「昨日は激しかったわねぇ……お腹が空いたから貴女の手料理を食べたいのだけれども」

面倒臭そうな表情を見せられても、構わず笑顔で尚も食い下がってみせる。
口付けで目を覚ましてみたり、美味しい朝食がテーブルで待っていたり。
裸エプロンで料理中というシチュエーションまでは流石に望んだりはしないし、
約束は一夜だけであるから拒否されるのは仕方がないが、甘い一時はやっぱり描きたくなるものだ。
だが、儚い望みはどうにも叶う気配はなさそうであった。

「そこにある瓶詰めのキノコだったら適当に摘んでいいぜ……」

相変わらず取り付く島もない態度ではあったが、ささやかながらも変化が感じられたとすれば、
大きく吐かれた溜め息には拒絶よりも呆れの色が濃く滲んでいるという点であろうか。
どちらにしろ面倒がられているのに変わりはないが、
それでも愛らしいと感じてしまうのだから彼女の魅力は底知れないと思っていた時だった。

「……なあ、紫」

唐突に名を呼ばれたのに少しばかり驚き、続いて真剣な眼差しを向けられているのに気付く。
高い行動力を持つ一方、決してただの猪突猛進な訳ではなく他人への気遣いも見せる。
それは交換条件とは言え酷い目に遭わせた妖怪相手であろうとも、変わってはいないようだ。

「詳しい事は私も良くは分からないぜ。でも……何か手はあるんじゃないのか?」

ああ、この娘は……と、感嘆する他なかった。
霊夢と親密な仲に発展しない原因が、難儀な性格以外にも何かあるのではと察してくれたのだろう。
残念ながら彼女が考えている以上に理由は重いもので、こればかりは試した事もないので想像の域だが
最悪の場合幻想郷を囲む結界が崩壊するという、自身のみの問題では済まされない可能性すらあるのだ。
既に運命と諦め打つ手も見出せない状況、けれども実は本当に何か存在するのかもしれない。

「ふふ、心配してくれているのね」
「……ただまともな恋愛をして欲しい、そう思っただけだ」

喉奥から出しているかのような低い声に過去を今も尚悔いている心境、
そして同じ犠牲者を出したくないという切実な願いが確かに込められていた。
真面目な顔付きでこちらをじっと窺う様に、思わず吸い込まれそうになってしまう。
順風満帆ではない、暗い時期を経験してきたからこそ、その魅力に一層の磨きが掛けられたに違いない。

「そう、ね」

前傾の姿勢を反射的に正すも、実はそんな必要はないのではと思い直してみる。
少なくとも寝起きに感じた時の魔理沙と比較しても、拒否の意思が薄れているのは明らかだ。
なし崩しにもう少し楽しめれば儲けものだと考えてしまったのも、
普段持った要求が大抵叶ってしまう贅沢な環境に慣れてしまったからだろう。

「もう少しだけ、勇気を貰えれば頑張れるかもしれないわ」

瞳を瞑り、唇を上品に突き出しながらせがんでみせた。
そう時間を置く事もなく、柔らかな感覚が唇に触れたのには思わず閉じた目が開く。
残念ながら求めていたものとは違い、ぶつかったのが人差し指であるのにはがっかりしてしまったが。

「約束の時間は、終わっただろ?」

少し気を許せば調子に乗ってとばかりに、眉を顰めながら魔理沙が要求をあっさりシャットアウトする。
ただ、完全な拒絶というよりは何処か仕方なしにという雰囲気も窺える辺り、
彼女の意図だけでなく、これ以上はアリスに対して申し訳ないとの思いもあるのだろう。

「あらつれない」

入り込む隙間が何処にも無いとなれば諦めるしかない、過度に粘るのは見苦しいだけなのだから。
楽しく素敵な時間を過ごせたのには違いなく、ちょっとした勇気を貰えたのも然りだ。
さてこれからどうするかと、思案に耽りながらも笑顔は絶やさず、そっと唇を引っ込めたのだった。
 今回は紫×魔理沙で、前作の藍とアリスが一夜を過ごしているその頃残る二人は、という事で話を書いてみました。
前回は本当に他人行儀という感じなってしまいましたが、今作は互いにある程度顔なじみであり、
社交性も高いので単純に性行為をする以外にも色々とやり取りを盛り込んでみました。
紫様にはもっとはっちゃけてもらって派手な事をする展開も当初は考えてみましたが、結局今の形に落ち着いた感じです。
この二作はあくまでパラレルという設定で、普段と組み合わせを変えてみましたが、これはこれで楽しかったですね。
ただ、しばらく離れた結果やはり純愛系を書きたいと思ったので、次回は普段通りの方向になる可能性が高いです。
ではでは、ここまで読んで下さって本当に有り難うございました。

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(2016.06.12 追記)
コメントを下さった皆様、どうも有り難うございます。

>1様
この二人の組み合わせは確かにあまり見ないですよね。
今回の作品は自分の持ちネタをシャッフルして作った偶然の産物ではありますが、
これはこれで意外に悪くなく、思ったより絡ませやすかったと感じた次第です。

>2様
有り難うございます。

予定ではもう少し紫様が厳しく攻める展開も考案していましたが、
結局は魔理沙の魅力に飲まれて最低限の威厳しか振るえなかったのがちょっと心残りです。
もし次回同じ組み合わせで書くなら受け手の魔理沙側の視点でチャレンジしてみたいですね。

>やんやん様
都合の良い設定ではありますが、自分の中ではアレを生やしつつも中身はれっきとした女性、
というのが一番感情移入をしやすいので、今まで書いてきた作品の中では例外なくそれを採用しています。
相変わらずの攻め切れない攻め視点な作品にはなりましたが、それでも物理的な面に限って言えば
主導権を握れていたので辛うじて紫様の面目は保てたかなとは思います。
次回作はいつも通りの純愛系を書く予定ですので、じっくり待って頂ければ幸いです。
極楽わんこ
コメント




1.性欲を持て余す程度の能力削除
ゆかマリていいよねあんまりないのが残念
2.性欲を持て余す程度の能力削除
最高っす。

ゆかまりはレアケース?みたいすけど感動したっす。また読みたいっす。
3.やんやん削除
紫と魔理沙のお話ですか。フタナリの描写がありましたが読んでいてあまり気にはなりませんでした。 (ゆ)が魔理沙の苦手なところを責めて(魔)が快感で悶えるところは楽しめましたし。
次回作も楽しみにしています。