真・東方夜伽話

淫行ぱんぱん ~人のペニス弄びし少女

2014/12/31 21:58:18
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淫行ぱんぱん ~人のペニス弄びし少女

喚く狂人

死にかけていたところを、アリスに救われた青年。
助けてもらった恩があるからと、手伝えることはないかと聞く。
するとアリスは、己の乾きを癒してくれないか、と言い出した――。
C87新刊収録作品から、一個まるまる掲載。

「本当、ありがとうございました。飯までごちそうしていただいて、どうお礼したらいいか……」
「別に構わないわ。見返りのためにしたことじゃないし。放っておいても夢見が悪いと思ったってだけ。そうかしこまらないで」
 泥酔して潰れ道端で目覚めた、くらいの経験なら、したことのある者もいるだろう。しかし、危険極まる魔法の森の中で目覚めた者となると、相当稀であるに違いない。彼はその「稀」だった。仕事帰りに痛飲し、店を後にしたあたりで記憶がぷっつりと途切れている。気づけば、瘴気あふれる森の中だった。帰る道もわからず、群生する茸の胞子に蝕まれ、ここで死ぬのかと覚悟すらした。
 そこへ現れたのが、アリス・マーガトロイドだった。たまたま通りがかった彼女は、人外には珍しく、快く彼を助けた。彼のいた場所の近くにちょうど住んでいたらしい。家まで案内してくれた上、こうして食事まで振る舞ってくれた。まさに命の恩人だ。
「それじゃ気が済まないですよ。お返しもできないんじゃ、一生の恥です」
「そう言われてもね。今は特に、必要な物もないし」
「何かしてほしい仕事とかないですか。力仕事とか掃除とか。なんでもやりますよ」
 こんな辺鄙な場所での、女手一つの暮らしだ。困ったこともあるだろうと思ってのことだった。アリスはしばらく考え込んでいたが、首を縦に振った。
「なんでも……そうね、それなら手伝ってほしいことがあるわ。私一人じゃどうにもならないから、里の男の人でも呼ぼうかと思ってたの」
「そうなんですか? 任せて下さい。こう見えて力自慢なんです」
「ありがとう。ついてきて、地下に案内するわ」
 アリスは人形を伴い、ダイニングから廊下へ出る。彼も続いた。
「気をつけてね、暗いから」
 廊下に並ぶ扉の一つが、地下に続いているようだった。中は暗く、階段は急だった。一歩一歩、人形にランプを持たせたアリスが先導して降りる。
「ここよ」
 室内は殺風景なものだった。何故かベッドが置いてある以外は木箱が積まれているだけだ。あまり立ち入らないのか、空気は埃っぽい。地上部分だけでもずいぶん立派な家だから、清掃の手も回りきっていないのだろう。
「なるほど、物置ですか」
「ええ、まあ、そんなところかしら」
 はぐらかされた。真意が気にかかったが、そんなこともあるだろう程度に捉えた。それより、部屋の香りが気になった。生臭い、それでいて不快でなく、むしろもっと嗅いでいたいような香りが、埃の匂いに混じってうっすらと感じられた。
「それで、何をしましょうか? この木箱を上に運ぶとかですか?」
「ああいや、そういうことじゃないの」
 首を振るアリスに、では何を、と尋ねようとする。その矢先、室内を暗闇が覆った。ランプの火が消えてしまったらしい。
「っと。参ったな。アリスさん、マッチか何か、都合よく持ってたりしませんか?」
 地上に戻るにしても、あの階段を明かりなしで昇るのは危なっかしい。マッチでもあればと思ったのだが、返事が返ってこない。そこにいるはずだよなと思っていると、布の擦れる音がした。そのうち段々と闇に目が慣れてくる。彼女の輪郭がぼんやりと見えた。なにやらごそごそとやっているようだが、それ以上は分からない。
「うわぁ!?」
 明るくなる。ランプに灯が入れられたようだ。しかし、彼の驚いたのはそんなことではなかった。アリスは彼の目の前に立っていた――ワンピースに覆われていたはずの肌のほとんどが顕になり、灯に曖昧に照らされていた。
「す、す、すいませんッ」
 目に映ったものが何であるかを理解した瞬間、彼は反対側を向いた。彼女は、こともあろうに服を脱ぎ捨てていた。雪中にあったかのように白く滑らかなシルクレースの下着が、橙色の灯の中で浮かび上がっていた。白く滑らかなのは下着だけではない。その肌もだった。
 見たい。好奇心の強烈な疼きを、理性が抑える。女性の体を凝視するなど――目を硬く瞑り、それが万一にも視界に入ることのないようにする。けれども、シルエットが瞼の裏に焼き付いていた。アリスの裸身は、それほどまでに印象強かった。
「ねぇ、こっちを向いてくれないかしら」
「え、そ、それはちょっと」
 できない。瞼に残る残像ですら、彼にとっては強烈なものだった。直に見たが最後、もう不埒な考えを抑えられないだろう。だからといって、誰も彼を助平と罵ることはできない。アリスの身体は、いわば誘蛾灯だ。この世のどんな男でも、蛾になるしかない類のものだった。
「アリスさん、なんで、脱いでるんですかっ」
 至極まっとうな疑問だった。目にしたもののあまりの衝撃に、尋ねるのが遅れた。声は自身なげなものだった。自分が見たものは何かの間違い、幻覚なのではないか、そういう疑念や混乱の混ざったものだった。
「私、言わなかった? 手伝ってほしいことがあるって」
 対するアリスの口調は、あまりにも平然としていた。そのせいで、やはりこちらが妙な勘違いをしているのではないかと思わされる。そんなことはないはずだ。彼女のような娘が、自分のような初対面の男に肌を晒しているなど、異常事態のはずだ。
「こんなところで一人暮らししてるとね、色々と手が回らないの」
「力仕事、とかですよね」
「そういうのは平気。人形がいるし、魔法もあるから」
「そ、そうなんです?」
 そういう方面でこそ役立てると思っていたのだが――自信満々に力自慢だと言っている自分に、内心苦笑していたことだろう。顔が熱くなるのを感じた。
「でも、人形や魔法ではどうにもならないこともあるの。言ったでしょ? 『里の男の人を呼ぼうと思ってた』って」
「どうにもならないこと、って」
 尋ねるが、彼の頭の中で、答えの推測は立っていた。ただ、その破廉恥さに、確信がもてないでいた。まさかアリスのような女性が、そんな邪なことをするはずが。
「魔法使いは人間ではないわ」
「え? あ、ああ。はい、そうですね……」
 背中越しに投げかけられる話題が、急に切り替わる。真意が掴めず、曖昧に返す。
「違いは色々あるけど、食事や睡眠が必要ないっていうのは大きいわね」
「食事がいらない? でもさっき」
 一緒に食事をとった。それに、睡眠が不要であるというのなら、わざわざベッドを置いてあるのは妙だ。彼の疑問を受け、そうね、と彼女は呟く。
「物理的には不要よ。でもメンタル面はそうでもなくてね。特に三大欲求は、適度に満たしてやらないと色々支障が出るの。食欲、睡眠欲、それから――」
 アリスはそこで言葉を露骨に濁した。彼は続きを促さない。続く言葉が訊かずとも分かるというのもある。だがそれ以上に、尋ねるどころではなかったのだ。
 背中に暖かな感触が触れている。胸に腕が回された。背後にあったアリスの気配は、今や彼にぴったりと密着していた。ふわりとした香りが、鼻腔をくすぐった。
「ッ……」
 声が出なかった。こんなことをさせるべきではない、今すぐ振りほどかなくては。いや、もう少しこの感触を味わっていたい。すさまじい葛藤が彼の中に生まれていた。
「食べるのも眠るのも一人でできること。でも、体の奥の疼きだけは、一人じゃ癒せないから。手伝って欲しいのは、その解消と充足よ」
 アリスはあくまで、なんでもないことのように言う。一方の彼は、己の耳、正気を疑い、しどろもどろになっていた。男女が、性欲の充足を行う。それは、つまり。
「ふふ……」
 彼女は微笑んだ。その笑い方を、彼は知っている。色街の娼婦がする、淫蕩なそれ。しかし、彼女のそれには、そういう女に特有の卑屈さ、下品さがない。純粋に淫らだ。
「あなただって、期待してるんでしょう? ココ、こんなにして」
「あ、ちょっ」
 石膏から削りだしてきたような白く細い指が、着衣越しに腹のあたりに触れ、徐々に下半身へと滑っていく。股座のモノをなぞる。そこは既に充血し、硬く膨らみつつあった。仕方がないではないか。アリスのような女性の、艶めかしい肉体が、下着という僅かな守護者に覆われただけの状態で、己の後ろに存在している。見えていなくともその事実だけで、男なら誰だろうとこうなってしまうというものだった。
「苦しそうね、もぉっと、苦しくしてあげましょうか」
「あっ、待っ、あ、ああぁぁあ」
 口調は、大人びたそれから打って変わって、いたずらなものになっていた。なにをする気か尋ねる暇すら与えず、アリスは手を下衣の内側へ忍び込ませた。彼の口から、情けない声が上がる。
「ふふ、熱くて、硬ぁい」
 アリスの指が、たおやかという形容のこの世で一番似合う指が、汚らしい物などに決して触るべきでない指が、こともあろうに一物に絡められ、ゆるゆると扱いていた。血液を溜めに溜め込んだ雄棒は、指紋の一輪一輪までも感じ取り、その情報を頭脳に伝えてきた。それは、彼女のような高嶺の花が己のものを扱いている状況の訴求力と合わさり、たまらないものを彼にもたらす。
「くぅッ、う、ぉおっ、はぁぁ」
 びりびりと走る刺激をこらえつつ、彼は深呼吸を繰り返していた。心頭滅却すれば火もまた涼し、精神統一して耐えしのごうという考えだった。猿知恵だ。火を涼しいものとすることはできても、快楽をないものとすることなど、できるはずがない。
「気持ちよさそうね。抑えなくていいのよ? 我慢は身体に毒って言うでしょう、ほら、あなたの中の毒、びゅーっ、て、射精させてあげましょうか……?」
 耳元から流し込まれる囁きは、童女のように無邪気である一方、娼婦のように淫らでもあった。ある種の毒だ。理性に対する、強烈な毒。彼は、よりにもよってそれをまともに浴びていた。くらくらする。知り合ったばかりの中でこんなこと、あっちゃいけない――理性は必死に理屈を紡ぎ、己を保とうとしていた。焼け石に水だった。
「ほら、肩の力抜いて、楽になって……私に全部、任せてくれればいいのよ……?」
「は、くぅッ、アリスさん、止め、っあぁ、く」
「嘘ばっかり。止めてほしいなんて、これっぽっちも思ってないくせに」
 膝が震え、思うように立っていられない。腰から下が、身体から分離してしまったかのようだ。懇願も聞き流されてしまった。次第に、衣服の内側から、にち、にちと粘っこい音がし始める。彼が覚えているものを、端的に示す証拠だ。
「ほぉら、先走りが出てきた。気持ちいいんでしょう? 身を委ねればいいの、それに。怖くなんてないわ」
「ッは、く、うぅううッ」
 無理にでも止めさせなくてはならない。後ろから腰へ回された腕を掴もうとする。
「こぉら、ダメよ? そんなイタズラなこと、させてあげないわ」
 が、己の腕が動かないことに、彼は気づいた。どれだけ力を込めようと、微動だにしない。できることといえば、指を開閉することくらいだった。
「魔力の糸で縛ったの。といっても、あなたには見えないでしょうけどね。……でも、嫌だっていうんなら、分かったわ。やめてあげる。仕方ないから」
「えッ……」
 灼けた鉄の棒のようになっていた暴発寸前の銃から、ひんやりした手が離れていく。彼が上げたのは困惑の声だった。こんな中途半端なところで、という意味のこもった声だった。
 彼の思いなど知らないと言わんばかりに、アリスは彼から離れていった。背中から伝わる柔らかな感触、ふんわりとした香りが喪われる。在ったときは理性を狂わせる毒だったそれらも、なくなってみるとひどく寂しく感じられる。
「乗り気でないなら、仕方ないわ。あなたを巻き込むことはしない。でも、そこで見てるくらいの手伝いは、してちょうだいね?」
 言うと、彼の目の前にあったベッドの方へ、アリスは歩き出した。必然、下着姿が視界に飛び込むことになる。こちらに背中を向けた彼女の、無防備なうなじ、肩甲骨の膨らみに、背骨の窪み。きゅっと締まった小ぶりな尻は、レースによって覆われている。脚は脂肪と筋肉とを無駄なく適度に纏っている、まさに理想的な形をしていた。彼は顔を背けようとした。できない。腕と同様、空中に磔にされたように動かない。脚もだ。どうやら、知らぬ間に魔力の糸とやらに雁字搦めにされていたらしい。
 アリスはブラジャーのホックに指をかける。ふつん、と金具の外れる微かな硬い音を彼の耳は捉えた。
 白いキャンパスに絵の具を垂らせば、当然、その色になる。アリスの肌もまた同様だった。その下を通る血管の様子が伺えそうなほど透き通った肌は、ランプの明かりの橙色に染められ、灯の揺らぎに合わせて影を蠢かしている。特にその早急は、幾何の極地にある絶妙な稜線が光線を柔らかに受け止め、包み込む陰影をなしていた。
 そんな中、己が色を持ち、染まることなく自己主張するものがあった。ちょうど片手で収まるほどの、柔らかながらも弾力ある丘の先端で、紅梅色をした尖りがぴんと上向いていた。
 見ることに呵責を感じた。自分のような男がこんな素晴らしいものを見て良いのか、という申し訳なさだ。そんな思いを抱いているにも関わらず、目を離せないでいた。縛られているというのもあったが、それ以上に、美しい双丘に視線が吸い寄せられていた。授乳のための、母の象徴たる部位。男として、そこから逃れられるはずがない。まして、こんなにも均整のとれた、美しいものであるなら。
「――ッ」
「好きなだけ、見ていいのよ、ほぉら」
 彼は歯噛みした。破裂しそうな股座に、さらに血が集まっていくのを感じたからだ。こんな可憐なものを見て劣情を催すなど、お前は変態か。自己を叱咤するが、効果はほとんどなかった。一度浮かんだ邪な考えは、解消されるまで消えないものだ。
 彼の内で起こった良心と好奇心とのせめぎあいは、彼女にも伝わっていたのだろう、彼我のバランスを崩壊させるようなことをし始める。自ら両手を上げ、ポーズを作るようにしながら、己の裸身を見せつけたのだ。つるりとした腋窩が視線に晒される。舌を這わせたくなるような窪みが。肩の動きに合わせ双丘は持ち上がり、やや平たくなっていた。その分、舐め回したくなる桜色が強調されていた。
「まだ、まだよ、もっとスゴいところ、見せてあげる。網膜に焼き付いて、消えないくらいに」
 彼の動けないのをいいことに、アリスはさらに大胆な行動に出る。純白のショーツに指をかけ、ゆっくり、ゆっくりと下ろし始める。
 駄目だ、恋仲でもない初対面の女性のそんなところ、見ていいはずがない――彼のうちにある道徳が、彼自身に警告する。しかし、どうにもならなかった。首どころか目線すら満足に動かせない状態で、一体どのような手段をとれるというのだろう。
 いや、仮に動かせたとしても、何もできなかったろう。目の前の光景をもっと見ていたい、目を離すなんてとんでもないと、下半身は主張していた。昂ぶる逸物の発言は、頭の紡ぐ理路整然とした理屈などより、はるかに説得力があった。
 最初に顕になったのは、髪と同じ黄金色をした茂みだった。秘部を守るために存在しているそこは、几帳面に整えられ、マリーゴールドを敷き詰めた庭園のようだった。
「もしかして、処理してないほうが好みだったかしら」
 言われ、脳裏に否応なくそのさまが映しだされる。神が丹精込めて捏ね上げた肉体のうち、そこだけがだらしなく、下品になっているさまを。致命的ともいえる不整合は、逆説的な淫らさを醸し出していた。しかし、目の前の光景にはかなわない。所詮空想の産物だ。現実に勝ることなどあろうはずもない。ましてこんな素晴らしい現実を相手にしては。
「気に入ってくれたみたいね。でも、もっとスゴいところが、まだでしょう?」
 もっとスゴいところ――その語感に、喉が鳴る。呵責を、好奇心が――欲に基づく好奇心が、上回っていく。
 下着は、さらに下へ下へと向かっていく。黄金色の庭園の、さらに先。女性を女性たらしめる場所へと。
 果たして、それは顕わになった。アリスの聖域は、穢れなど何一つ知らないとでもいうように、無垢な姿を晒していた。男を受け入れ、子を孕むためにあるはずの場所は、そのような生物的で汚い行為のためにあるとは思えないほどに綺麗だった。
 芸術的ですらあったが、これを芸術渡渉するのはひどく問題あるおこないだろう。何かを芸術であると宣言すれば、それは批評の対象となることを免れない。しかし、これほどまでに穢れない順なる存在に対してああだこうだと言葉の枷を嵌めるなどと、人倫よりもさらに手前の道徳にもとる、下衆極まる破壊的行為だ。
「あぁ、ああ……」
 彼は今、ひどい自己嫌悪に包まれていた。こんな清いものを見てナニをおっ勃てているなど、お前には心がないのか、一物だけで生きているのか、恥を知れ。己を罵倒してみたところで、生理反応は収まってくれない。股座のものは相変わらず反り勃ち、心音に一拍遅れて、衣服の内側で脈動していた。
「ねぇ、もっと見て? 私の奥まで……」
 一糸まとわぬ姿となった彼女は、くるりと彼に背を向ける。そのまま上体を倒し、尻を突き出してきた。完璧な曲線を描く丸い臀部、その間にある裂け目、小さな菊座までもが、彼の視界の内に曝される。その光景は、それだけでも彼を十分に悩まし、苛むものだった。けれどもアリスは、それだけで終わろうとはしなかった。
 秘めやかな唇に、指がかけられる。指はそのまま、密やかに隠されておくべき場を割り開く。柔らかな肉はかけられた力のとおりに広がり、己の内側を、神聖なる肉の小径を露わにする。
 鮮やかなピンク色をしたそこでは、無数の襞が蠢いている。それは怪しげで、雄を惹き寄せる魔性を備えていた。男を咥え、精を搾り取るためにあるかのようだった。とてもあの無垢なる裂け目の内部だとは思えない。
 彼はそれを見ることにも辛さを覚えた。先のような、呵責による辛さではなかった。欲望のたぎりを、抑えられなくなりつつあったのだ。彼の目は血走り、吐息は荒い獣のそれに変わっていく。血液の行方が二分されていく。頭と、ペニスに。彼女の女陰が放つ魔力は、彼をも捉えていた。
「はァ、あああっ」
「苦しそうね、ふふ」
 涼しげに笑いながら、アリスはベッドまで移動すると、その上に座りこむ。両脚を大きく広げ、そのあいだの貝と茂みとを見せつけながら。明らかに、彼の興奮を煽ることを目的としていた。目的は、文句のつけようもないほど達成されていた。
 頭のなかで鐘を打ち鳴らしているバカがいる――否。これは、頭に血が登りすぎているのだ。がん、がん、がん、と、心拍に遅れて鈍い痛みが波のように押し寄せる。視界が暗くなっていく。睾丸の内でぐつぐつと煮える欲望をさっさと吐き出さないと、目やら鼻やら耳やらから血が噴き出して倒れることになりそうだ。
 そういう状況であるというのに、アリスはなおも彼を苛もうとしているようだった。
「ん、あ、くぅ」
「なっ……」
 絶句した。目の前で、およそありえない光景が繰り広げられ始めた。
「ぁ、は、ん」
 彼女の指が、彼女自身の胸へ、秘部へと伸ばされている。桜色をした尖りや、肉貝の端に控えめにぬかるむ秘豆を、それぞれゆっくりと、指の先端で捏ねていく。その口から零れるのは、ただの吐息などではない。その身にじんわりと広がったもの――快楽を示す、最も分かりやすい証拠だ。
 もし腕の自由がきいていたら、自分の顔面を思い切りぶん殴っていたことだろう。それが、自分の見ているものを夢と断定するための、最も簡単で手っ取り早い方法だ――こんな光景、夢でなかったら、なんだというのだろう。アリスのような聖女が、自らを慰めているなどと。
 けれども、それは現実だった。まぎれもない現実だ。アリス・マーガトロイドは、名も知らぬ初対面の男の前で、あられもない姿を晒していた。
「ん、ぅ」
 くち、という微かな音を、彼の耳は聞き逃さなかった。どこからあがった何の音か、異様な興奮状態にあった聴覚でも容易に聞き分けられる。
 今のは、水音だった。汁気の少ない、粘つく液のたてる音。その液が湧いた場所は、ちょうど彼女が触れ回っていた、秘めやかなる部分だ。
「あぁ、はぁ、あんっ」
 同時に、吐息は声へと移り変わっていく。微かだった水音は、次第に明確な輪郭をとっていく。白かったアリスの肌に、朱が差していく。指の動きが、次第に激しさを増していく。
 アリス・マーガトロイドがそのような行為に興じる様は、整然と整えられたものがぐちゃぐちゃになるときの、やけくそな背徳感を彼にもたらした。そして、彼は生き地獄を味わっていた。こんな光景を前にして、指の一本もまともに動かせないのだ。生き地獄と称さずして、なんと呼べるだろう――射精したい!
「あぁ、はっ、ん、く、ンッ、ねぇ」
 くちゃくちゃと、品のない水音をたてながら、彼女は呼びかけた。彼は答えない。答えられなかった。言事は、脳においても高度な機能だ。今、そんな大掛かりな機能を走らせている余裕など、あろうはずもない。脳溢血でも起こしそうなのだから。
「私だけ見せてるなんて、不公平だわ……それに、あなたも、ずぅっとそのままは、嫌でしょう? ……だから、見せあいっこ、しましょ?」
「う、おぁ?」
 獣の鳴き声が返される。それは困惑を意味していた。戸惑うのも当然だった。己の腕が、己の意図せぬ内にうごいたのだから 。
 意思に背いて動いた腕は、自己の身体から衣服を剥ぎとっていく。下衣を下ろす際、抵抗が生じた。膨れ上がった怒張が引っかかったのだ。腕は強引にそこを乗り越える。途端、ぶるん! と男根は発条仕掛けのからくりのように跳ね上がり、己を誇示した。
「わ、すっごい立派ぁ。ふふふ、ちょっと我慢させすぎちゃったかしらね?」
 くっくと、彼女の喉が音をたてる。からかっているようではあったが、その顔には
隠しようもない興奮、そして期待が浮かんでいた。雌の表情だ。
 実際、彼のモノには、女をそのようにするだけの威容が備わっていた。というより、備えさせられていたのだが。赤黒く充血しぱんぱんに張り詰めた亀頭、青黒い血管がぐねぐねと蛇のように這う肉幹、その根本で今まさに子種を大量生産している睾丸、それらを保護するようにくろぐろと繁茂する密林、それら全てが、雄のフェロモンを放っていた。女を魅了するフェロモンを。
 アリスはしばらく何も言わなかった。ただ彼のモノをじっと見つめ、惚けた表情を浮かべていた。やがて我に返ると、今までに輪をかけて淫らな声で言う。
「さぁ、それ、扱きたかったんでしょう? 扱かせてあげる。しこしこしてるところ、見せてよ。ねぇ、私の目の前で、ね?」
「ぉ、あ、アッ」
 またも腕がひとりでに動く。熱い砲身を握り、扱き始める。逆らおうとはするが、無駄だった。魔力の糸とやらは、よほど強く作られているか、さもなくば物理的には切断することができないものなのだろう。今の彼は、いうなればマリオネットだった。アリスの自慰を盛り上げるための、肉製操り人形だ。
「んっ、あ、は、おちんちん、気持ちよさそう」
 アリスの態度は、先程までと明らかに異なっていた。瞳を蕩かし、熱に浮かされたような声を上げている。彼の痴態が彼女を昂ぶらせているに違いなかった。指は肉貝を激しく愛撫し、くちょくちょくちょくちょと、あられもない水音をたてる。嬌声がそれに合わせて喉から零れていった。
「くぅ、うぉ、フゥ、くぅぅぅぅッ」
 一方の彼も、腰が砕けそうになっていた。己の腕で扱いてはいるが、己の意志では扱いていない――その奇妙な感覚は、人に扱かれるのときとも違った、新たな快感をもたらす。まして生命の危機を感じるほどに焦らされたあとだから、数十倍ほどにも増幅されて感じられた。魔力の糸が縛ってくれていなければ、あっというまに倒れていたことだろう。
 互いが互いの痴態で昂ぶる間接的な快楽の授受は、どんどんと激しくなっていく。二人共、頂点に向けてまっしぐらに走る。
「あッ、はぁんッ、ゃあ、ん、くッ、きもちいッ、はぁぁッ」
 アリスの声が、先にもまして高く切ないものに変わっていく。肉豆だけでなく秘穴をも指で抉り、襞を自ら嫐っていた。シーツには染みが広がっている。水音が高まるほど、それはどんどんと広がっていく。
 むせるほど淫らな様は、しかし美しさを失っていない。ベッドの上で行われているのは、いわば芸術的ポルノショーだった。
「うぉお、く、ぅ、ウゥッ、は、あォッ、うぉおお」
 にぢにぢにぢと、彼のモノは汁気の少ない音を立てていた。鈴口から垂れた先走りが練られることによる音だ。下半身が蕩けてしまったかのように、腰から下の感覚がない。ひどく気持ち良いということが漠然と分かるばかりだ。性感という暖かな泥沼に腰までどっぷりと浸かっているかのようだった。
「グゥウッ」
 手負いの獣のような唸り声が、喉からひねり出される。射精の予感は、すぐ目の前に迫っていた。短いが、仕方のないことだった。あれだけ焦らされた後に、遠慮なくガシガシと扱けば、そうもなろうというものだった。
「イキそう、なの? っは、いいわ、私もイくから、ねぇ、一緒、一緒にイこっ? ねぇ、かけて、あなたの、あなたの種、私のここにっ」
 熱に浮かされた媚びるような声を吐き散らしながら、アリスは両脚を大きく広げてみせた。ここ、という言葉がどこを指すのか、分からないほど彼は阿呆ではない。
 脚が一歩一歩、前へ、アリスの方へと進んでいく。自力ではない。腰などとっくに抜けてしまっている。糸によって動かされているだけだ。しかし、彼はその状態を、操られているとは捉えない。むしろ助けである、己を目的地まで導いてくれる介助者であるとまで考えた――アリスの居場所は、今の彼にとっては目的地だった。彼女の願望と、彼がしようとしていることは、ぴったりと一致していた。当然だ。あんな風にねだられて、それでも望みを叶えてやらないなど、もはや人ではない。鬼か蛇だ。
「おッ、射精る、射精る、ウウウッ」
「きてっ、私に精液ふりかけて、汚して、きたないので汚してっ、あっ、はぁあっ」
 彼女の目の前に辿り着くなり、彼は吼えながら、自分自身で一物を扱きたてていく。アリスによる操作と合わさることで、その激しさは倍となった。一方の彼女も、娼婦もかくやという勢いで、己の女豆を、女穴を嫐り立てていた。雄叫びと嬌声、水音の三重奏は、やがて終わりの瞬間が訪れる。
「ォア、射精る射精る射精る射精る、ウォオオオオアアアアアッ!」
「ぁは、きて、射精して、ザーメン、私の身体に、あっ、イく、イクイクイクぅっ、あ、あ、ううううぅんっ!」
 会陰が収縮し、一瞬遅れて尿道に白濁が雪崩れ込んだ。焦らしに焦らされたせいで呆れるほど濃厚になった濁液は、その勢いのまま鈴口からぶびゅ、ぐびゅと放たれていく。それは物理法則に従って砲弾のように放物線を描き、やがて重力に絡め取られ、落下を始める。着弾点は、アリスの肌だ。
 べちゃ、べちゃちゃっと聞き苦しい音をたて、精液は次から次に彼女の肌を汚す。それが呼び水になったのか、アリスもまた絶頂を迎えたようだった。背筋を反らし、がくがくと全身を痙攣させる。声は高く、ハープをかき鳴らしたような音色が部屋の中で反響する。額からは汗が珠となって弾け、秘裂から愛汁が間欠泉のように噴いてシーツを濡らしていった。ベッドのスプリングがきしみ、耳障りな音をたてる。
 アリスのような、自分では指一本触れることすら烏滸がましいような存在に、欲望の滾りをぶちまけている――たまらなかった。一点の傷も染みもない彼女の肌は今や、粘つく汁に汚染されている。その事実だけで、灼けた砲身から放たれる種の量は五割増し、いや、倍にもなった。
「おッ、おッ、おぉお、ぐぅうううウッ」
 当然、快楽もそれに比例して増す。体内のすべてを持っていかれるかのような感覚に彼は襲われていた。声は苦悶の呻きのようですらあったが、実際に彼が感じているのは、その真逆のものだた。ずっとこのままならいいのにとすら感じた。――しかし、残念ながらそうはならない。
「あは、は、ぁん……」
「はァッ、はァッ、はァッ、ぐぅ、ふゥッ、ふぅ」
 絶頂は、当然ながら永遠には続かない。昂ぶりの頂点から戻った二人は、荒い呼吸を繰り返していた。彼は突っ立ったままだったが、それは糸の拘束のおかげだ。膝がいうことを聞かない。自立など、できるはずがなかった。股間のモノは、萎え始めていた。
「あは、熱ぅい……」
 彼が精魂尽き果てたといった状態であったのに対し、アリスは恍惚とした表情で、白にまみれた己の身体を眺めていた。おもむろに、掌でそれをぬぐう。
「ふふ、ねぇ、見ててね、私の身体に、あなたの匂いが染み付いていくところ」
 掌にべっとりとまとわりついたそれを、彼女はあろうことか、自らの肌に塗り広げ始めた。ぬるり、ぬるりと、それは陶器のような肌を容赦なく汚していく。
「あはっ、あ、ん」
 精臭が――決して芳香とは呼べない匂いが――肺を満たしているはずだ。生暖かい感触は、快いものではないはずだ。それは、生理的嫌悪感を催すような行為のはずだ。にも関わらず、アリスはまるで、入浴時に石鹸で身体を洗うような、むしろ快い行為であるかのように、それを行っていた。
 引き伸ばされ、塗り込められる間に、それは乾き、彼女の身体に染み付いていく。消えない印が、彼女の身体に残されていく。
「あっ、あ、はぁっ、あっあっ」
 無数の精子を纏った指が、彼女の下腹を這いまわる。密やかな金色の茂み、そして先ほど快楽の頂点に至ったばかりの貝までも、雄の滾りによって汚れていく。だのに、彼女は嫌がりもしなければ、悲しみもしない。それどころか、女の声をあげながら、さらにその行為に没頭していくばかりだ。
「あ、ア、アリスさん、そんなこと」
 言葉に詰まった。なんと言えばいいか分からなかった。正確には、候補が多すぎた。そんなことやめてくれ、しちゃいけない――とでも言えばいいのだろうか? いや、そうではない。それは一番の候補ではないだろう。今、自分の顔は、にやついている。申し訳なさに勝っている感情が、存在しているからこそだ。
「あら」
 膨らみつつある感情は、一つの形をとる。屹立だ。あれだけの精を放った、萎えて当然のものは、あろうことか再び膨らみはじめていた。男の欲望が刺激されるとき、それは必ず勃ちあがるのだ。アリスはそれを悪戯な瞳で見つめる。そんなことは意図していなかったとでも言わんばかりだが、きちんと予測していたに違いなかった。
「まだまだ元気みたいね、……ねぇ、それなら」
「っ」
 彼は身体を強張らせた。アリスは立ち上がり、息がかかるほどの距離まで近づいていた。頭一つほどの身長差で、こちらを見上げている。
 人の美醜を表す言葉に、人形のような、というものがある。人形遣いである彼女に用いるには、ぴったりの表現だ――と思ったら大間違いだと、彼は学んだ。人形とは人工物である。したがって、どれだけ良いものであろうとも、人が創造しうる限界を越えることは不可能だ。だが目の前のこれは、そんなものは知らないといわんばかりに美しかった。わずかに静脈をうかがわせる額に、すぅと通った鼻筋。細く柔らかな睫毛に模られた上品な二重瞼は、娼婦がするような淫らな形に歪められている。だというのに、こちらに向けられたその瞳は、内に空を宿しているかのように透き通っており、見つめ返していると吸い込まれてしまいそうだ。白い肌の中で、引き締まった曲線を描く頬は、例外的にほんのりと朱が差している。出会ったときよりその赤みが増している理由は、きっと考えるまでもないのだろう。そして、やや薄くも艷やかで、指先で触れたくなるような唇は、次の言葉を紡ぐ。
「今度は、見せあうだけじゃなくて……二人で、互いに、触れあいましょう?」
「あぁッ……」
 溜息が零れた。呆れたのではない。人間、あまりに感情が高まると、それを言語化する術を失うものだ。これは、例えるなら、峻険な山を必死の思いで登り、雲上の頂で曙光を拝んだときに零れるそれと同じ意味を孕んでいた。
 それだけのものを感じておいて、まさか拒否できるはずなどなかった。だが、彼は動かなかった。動けなかったからだ。快楽に抜けた膝や腰は、まだ完全に回復してはいなかった。
「ほら、横になって」
 アリスには、どれだけ感謝すればよいだろう。彼女からすれば、人形を動かすのも、大の男を動かすのも、何も変わらないのだろう。言われるがまま、操られるがまま、彼はベッドの上に仰向けになった。
「いい子、いい子」
 頭を撫でられる。犬に対するような仕草だった。いずれにせよ、大の大人に対していい子いい子はないだろう。だというのに、屈辱は感じなかった。いい子にすれば、ご褒美がもらえる。子供の頃に重々学んだことだった。彼の胸中は、褒美への期待にあふれていた。
「さ、気持ちよくしてあげるから、気持ちよくしてね?」
 言い、彼女はベッドの上で四つん這いになり、覆いかぶさってきた――上下反対に。ちょうど、互いの顔に、互いの股間が来るかたちだ。
「おぉ……」
 またも溜息が零れた。この世に二つとない茶碗を鑑定家が目の当たりにしたときのような、あるいは伝説になるほどの宝石を探検家がようやく手に入れたときにような、そんな溜息だった。大げさなことではない。目の前にあるものは、それくらいの価値をもっていた――いや、それでもお釣りが出るくらいだ。
 彼女の女裂、しとどに濡れそぼつ肉洞の内部は、期待するように襞を蠢かしていた。背を反らすほどの絶頂を体験したばかりだというのに、官能の火は未だ衰えていないばかりか、むしろめらめらと燃え盛っているようだった。それは、彼も同じことだ。当然だ。こんなものを眼前に突きつけられて、燃え盛らないはずがなかった。
 疲弊しているはずの身体は、目の前にぶら下げられた人参によって、動き始める。わずかに首を浮かし、舌を突き出し、その先端で、ぬかるむ肉沼に触れた。
「んっ」
「おぉオッ」
 舌を突き出した間抜けな表情のまま、彼は驚嘆の声を上げた。わずかに舐めただけであるというのに、彼女の愛液の芳醇さといったらなかった。世界に二本とない貴重なヴィンテージ・ワインであっても、これほどの豊かな香りをさせてはいないだろう。彼は一瞬で、その奥深い世界に呑み込まれてしまった。
「ぢゅる、ッ、ぢゅぷ、ング、れる、ぢゅるるる」
「あっ! は、あぁ、ッ、んぅう」
 無我夢中で舐り、啜る。肌理細かな肌が、それに合わせて震える。切なげな声が、部屋にこだまする。感じているのだということが、下手な言葉などよりよほど分かる。アリス・マーガトロイドを、この世にこれ以上はないほどの女性を、己が感じさせている――その実感は、彼を天にも昇る心地にさせる。
「ん、上手よ。私も、してあげる――はぷ」
「ッおぉおおおッ」
 天にも昇る心地など大嘘だった。今感じたこれこそが、真の天にも昇る心地だろう。蕩かすような温かさが下半身を包んでいた。幸福の中に身体が融けていくような感覚だった。アリスが、その口で、潤いある唇で、一物を迎え入れたのだ。腰が跳ねそうになるのを、根性で押しとどめた。彼女の喉奥を突いてしまうことになるからだ。
「んぢゅ、くぷ、んっ、ふむ、んぅ、ちゅ、ふっ、ぐぷっ」
「おッ、う、ォおッ、れる、ぢゅる、ぐちゅっ、ぉお、う」
 水音が、連弾を奏でる。アリスは小さく頭を上下させながら、反り立つ彼の一物をその唇でもって扱きたてる。温かでぬるついた感触が、亀頭や肉幹を撫ぜる。口壁だ。時折絡みついてくるざらついたものは、舌なのだろう。肉幹の奥深くまで、アリスは自らの口内に受け入れていく。熱心な奉仕だった。己のような男には余る光栄だった――応えなくてはなるまい。そう思い、また下半身からこみ上げてくるものを堪えるためにも、彼もまた熱心に舌を動かす。肉豆をつつき、襞をめくり返す。蜜が溢れる。天界の酒を味わったことはないが、これより美味だということはないだろうと思えた。
 そうして舐り回していると、彼女は時折、くぐもった声を零す。それは口内で響き、モノに曖昧な、じんわり広がるような快感をもたらした。彼は夢心地だった。何より幸せなのは、これが本当に夢ではないということだ。
「んぅ、ぢゅ、むぅ、ぐぷっ、ぐぽっ」
 空気が抜けるやや間の抜けた音をたてながら、アリスはしきりに頭を上下させる。その唇でもって肉幹を扱いている。内圧がかけられ、尿道に残っていた先ほどの射精の残滓が吸い出されていく。
 彼も、してもらってばかりではない。たっぷりと濡れそぼつ肉洞にベーゼしながら、幾何学者が一生をかけて研究する価値のある曲線を描いた丸い尻を、両手でやわやわと揉みしだく。そこは柔らかである一方で弾力を備え、掌に吸い付いてくるようでもあった。完璧、とはこのことだろう。一日中、いや一生でも触っていたかった。
「ンンンォお……ッ」
 ぞぞぞっ、と、下半身の奥底からこみ上げてくるものがある。それが何であるか、彼は当然知っている。射精への渇望、とでも呼べばいいだろうか。絶頂が近づくほど股座で高まっていく、肉棒が白熱するようなあの感覚が、ゆっくりと近づいていた。先ほど一度射精しておいてよかったと、彼は内心で思う。でなければ、あっという間に精を放つことになっていただろう。
 ――彼女は、そんな安心を、打ち崩しにかかる。
「ムグォおっ!」
「ぢゅ――んふぅ」
 モノを根本まで、喉壁ギリギリまで迎え入れながら、それでも彼女は笑ってみせた。顔は見えないが、今の声はそうに違いなかった。
 睾丸が、やわやわと揉み解されている。尻に触っているお返しだとでもいうように、アリスは彼の二つの肉玉に触れ、その白く滑らかな掌の内で弄んでいた。そんなことをされれば当然、白濁を作り出す工場は、活発に働き始める。ぐんぐんと、体奥から子種がせり上がってくる。射精までの猶予は、驚くほど短くなってしまった。
「んッ、く! んふっ、んぅ、ふううッ!」
 とはいえ、彼が一方的に追い詰められている、というわけではなかった。この行為は循環する性質をもつものだ。彼を追い詰めれば、彼女も追い詰められる。アリスの声は、切なく、詰まったものになりつつあった。性感が、彼女を狂わせつつあるのだ。しかしわざわざ声など聞かずとも、彼にはそのことが分かっていた。眼前で蠢く肉襞の、そのひくつきが激しくなっていくのを見れば、誰だって分かるというものだ。
「じゅるッ、んふ、んッ! ぐぷ、ふぅっ、んぽッ、ぅ、くんっ……!」
「ゥオ、ぢゅるるッ、ずぞ、お、ォウ、るッ、んぶぅっ、ぢぢゅ、ふッ」
 またしても、部屋は嬌声と水音からなる淫らな交響曲によって埋め尽くされていく。声がずいぶんくぐもっているのが先ほどとの違いだ。なんにせよ、そのような状態になった男女が向かう先は――いや、性行為を始めた男女の向かう先は、一つしかない。絶頂という、性行為の地平線だ。
「オッ、ォオオオオオオオッ」
 揉みしだかれることで活発になった肉玉は収縮し、その中身を吐き出さんとする。射精の快楽は、彼が感じうるものの中でも最上のものだ。だというのに、彼はそこに至ることをもったいないと感じていた。絶頂とは快楽の中で最上のものであると同時に、その終着点でもある。つまるところ、終わりなのだ。アリスによる口淫も、当然終わる。終わってしまう。この、素敵な行為が。
 だからこそ彼は耐えていた。呻き、放たれんとする子種をどうにか体内に留めようとする――無駄というものだった。生理反応というものは、気合を込めればどうにかできるたぐいのものではない。
「ぉウアアアアアッ」
 上がる声は、志半ばで斃れる武士のような、悔しさ――あるいは無念に満ちたものだった。しかしそれでも、子種は吐き出されてしまうものだ。尿道を通って、白濁が解き放たれる。ごびゅり、ぼびゅりと、尿道口から放たれていく。
「んくッ、んっ、ふ、くむっ」
 解き放たれた子種を、アリスは小さく声をたてて嚥下する。自らの、種を。それは行為が終わってしまうという悔しさとは別に、たまらない嬉しさをもたらす。
「んふっ……!」
 アリスは再び、小さく声を零した。切なく詰まったような声だ。激しく喘ぎたてるものではなかったが、それが彼女の絶頂だと、彼にははっきり分かった。分からないはずがなかった。淫裂を貫いた舌が、きゅうう、と締めつけられていた。芳醇な蜜が噴き出し顔を汚していくが、彼は気にしなかった。むしろ、歓喜の表情を浮かべ受け止めていた。当然だ。女を、それもアリスのような女を達さしめたという証を得て、嫌がる男がいったいどこにいるというのだろう。
「おぉッ、ぅ、おおおおっ、ォッ……は、うぅ、はぁッ、ぉお……」
「ッんっく、んっ、ふく、む……ぷは」
 腰の浮く快感にさんざん苛まれながらも、彼は絶頂の波からようやく戻ってきた。達する前はまだイきたくないなどと思っていたものだが、いざ終わってみると、甘い余韻が身体を包み、悪くなかった。要するに、満足していたのだ。こんな素晴らしい経験をしておいて満足しないなどと、贅沢どころの騒ぎではないが。
「っあは、はぁ……ん」
 彼の上に乗ったまま、アリスはぐったりとしていた。その身体が、桜色に染まった肌が、小さく震えている。寒いのではない。身を駆け巡った快感の残滓に酔いしれているのだ。彼女をそうまでさせたという事実は、彼にとってひどく嬉しいものだった。
「ふう。お疲れ様」
「あ、アリスさん。ありがとうございました……最高でした」
 しばらくして、彼女は彼に乗ったまま、体勢を入れ替えた。再び至近で見つめ合うこととなった。彼女の表情は先程にもまして上気していた。そうさせたのが自分だということを意識すると、口端がにやついてしまいそうになる。気恥ずかしさから彼は視線をそらし、どぎまぎとした口調で感謝の言葉を述べる。アリスはからかうように笑った。
「私も愉しかったわ。でも、最高だったっていうのは嘘でしょう?」
「嘘じゃないですよ、すごく、その――よかったです」
「そう。それは嬉しいけど……でも、だったらどうして、ここはまだ、かたぁいままなのかしらね?」
「うっ」
 つん、と、陰茎に触れるものがある。アリスの指だ。精を放ったばかりのそこは、それだけの刺激でも敏感に反応した。彼の喉が小さく震える。
 指摘の通り、彼の雄棒は、二度の射精にも関わらず萎えていなかった。マッサージが効いているようだ。弾丸はまだまだ倉庫に溜め込まれている。たった二回の斉射で、撃ち尽くしなどはしない。
「まだ満足しきれてないんでしょう? 実は私も、まだまだ、満足してないの」
「えっ」
「だって、とっておきがまだだもの、ふふ、とっておきが、ね」
 言いながら、彼女は身体を起こす。ちょうど腰の上に乗る形になった。その姿勢に、彼はある行為を、ある体位を想像せざるを得ない――男女の交わり、その形の一つ、騎乗位。とっておきと称するに、まさにぴったりのものだろう。
「ねぇ、今、なにを想像した?」
 言葉に詰まった。馬鹿正直に答えることはできない。自分とアリスの交わりなどと、夢見るだけでも分不相応なもののように思われた。ゆえに、彼は黙秘するしかない。
 下から見上げるアリスの身体は、やはり美しかった。どの角度から見たとしても、文句のつけようのないものなのだろう。そんな身体を目の当たりにして、彼のモノはなお一層膨れあがる。ぱんぱんになったそれに、彼女は指を添わせる。
「あら、正直に言ってくれないの? ……じゃあ、これ、折っちゃおうかしら」
 ぐ、と力が込められる。彼女は人間ではない。やろうと思えば本当にやれるだろう。ひ、と小さく喉を鳴らす。アリスは笑った。
「あは、嘘よ、冗談。でも、言うまで、ずっとこうしてあげる」
 言うなり、彼女はわずかに腰を浮かし、あろうことか、唾液と精液にまみれたモノを、己が秘唇に擦りつけ始めた。
「あっ、ああっ」
 くちっ、くちっという水音がする。彼の喉から声が零れる。もう少しで、挿入る。もう少しなのだ。けれどもそれは、決してない。あと少しだというのに――悲しみにも似た悔しさが胸中をよぎる。望むことすら身に余るようなことであっても、目の前に差し出されてお預けをされれば、ほしいと思わずにはいられない。それが人の性だ。
「言ってくれれば、してもいいわよ? あなたが、思い描いてること」
 それは彼に対する、必殺の一撃となった。正直に言うことの羞恥を堪えるだけで、まさに喉から手が出るほど欲しいもの――それでいて、自分では絶対に手に入らないようなもの――が手に入る。やらない術はなかった。
「し、したいです」
「なにを?」
「セックスを。アリスさんと、セックス、したいです」
「へぇ……」
 くすりと、彼女は笑った。
 これで、してもらえる、させてもらえる――そう思ったのだが、アリスはそのまま動かない。彼の心を、不安がよぎった。彼女はしてもいいとしか言わなかった。すると断言はしなかった。もしかして、自分はぬか喜びしていただけだったのだろうか。
「いいわ、だって私もしたかったもの。二人でいっぱい、セックス、しましょ?」
「えっ……あ、オァアアアッ!」
 場違いな咆哮があがった。とはいえ、それも仕方のないことだった。彼女の行動は躊躇いも容赦もなかった。一瞬で彼の砲口を自身の肉穴に定め、腰を落としたのだ。肉襞が、ぞるるるるぅ、と、肉幹を盛大に嫐る。下半身を稲妻が貫いたように感じた。否応なしに腰が跳ね、彼女を突き上げる。その生理的反応もまた、彼の肉体に衝撃を走らせた。
 ここまでで二度射精しているはずだ。それも尋常ではない量を。であるというのに、彼はまたも絶頂しかけていた。アリスとの性交は、それほどの快感を彼にもたらしていた。むしろ、先の射精があったからこそ、崖っぷちぎりぎりで踏みとどまることが出来たのだろう。それがなければ、既に果てているはずだ。
「あは……熱っ……」
「あ、アリスさん、避妊、を」
 胎内で感じるペニスの熱さに、彼女は恍惚としていた。淫魔にも等しいその表情に魅入られそうになりつつも、彼は必死で、道徳的な言葉を喉から搾り出した。肉棒はそもそも白濁に汚れていた。そんなものを、被せ物もせず膣内にねじ込めば――そう思ってのことだった。あら、とでも言いたげな、少し意表を突かれたような顔を彼女は浮かべ、口を開く。
「避妊? そんなつまらないこと、この期に及んで言うなんてね」
「つ、つまらないって」
「つまらないわ。だって、ゴムなんて無粋なものを隔てて、セックスの気持ちよさが本当にわかったって言える?」
「そんな」
「セックスっていうのはね、かっちかちのおちんちんを、とろとろに濡れたおまんこに挿れて、いっぱい、気が狂いそうなくらい激しく動かして、膣内にびゅーっ、って射精すものでしょう? ……ほらね、ゴムの出番、ちょっとでもある? それとも、射精したくないの? 膣内に」
「膣内に――」
 想像した途端、喉が鳴った。己の種を、アリスの膣内に――子宮に。叶うのなら、他には何も必要ないほどの幸せだ。いいのだろうか。こんな、一時の快楽に流されるようなことで、いいのだろうか――。
「悩んでる暇なんて、あげないけどね」
「おァッ、あああ、ああッ!?」
 逡巡しているうちに、アリスは自ら腰を上下させ始める。ぱんっ、ぱんっ、という、肉のぶつかる音が響く。ストロークの度、蜜をその間にたっぷりと溜め込んだ肉襞は、一物に絡みつきながら扱き上げる。彼は目を白黒させ、ただその快楽に翻弄される。
「あはッ、すっごぉい、これいい、このおちんちん気持ちいいっ」
 アリスの口から垂れ流されるのは、ただの淫らな言葉ではない。いうなれば劇薬だ。男を射殺す劇薬だった。彼はみごとなまでにそれにあてられていた。口端から呻きを零しつつ、千切れんばかりの勢いでシーツを握りしめ、身を駆け巡る荒波を堪えんとしていた。そんなことができるはずもなく、腰や膝は無様に震えている。そもそも、生身の人間が大時化の海に挑んで勝てる道理はないのだ。彼が呑み込まれているのは、すなわち快楽という海だった。
「ねぇ、気持ちいいっ? わたしのっ、ンッ、あっ、ナカっ」
 腰を兎のように跳ねさせながら、彼女は尋ねる。言葉で返す余裕など彼にはなく、ただがくがくと首を縦に振るばかりだ。
「そう、それなら」
 視界のうち、肌色の占める割合がさらに増した。アリスが上体を倒したのだ。面食らっている内に、唇同士が触れ合った。
「ぢゅるッ、ずぞ、ん! んむ、ふくっ、んふ、ゥん、く、む」
「ォうッ! く、むォ、ォお……ッ、むぐッ、ふ、ンンゥくッ」
 驚きの声をあげんとした唇の隙間に、彼女の舌は割り込んでいた。舌を、口壁を、歯茎を、口内のおよそあらゆるところを舐ってくる。口腔という、そもそも性感帯として存在しているわけでない場所への愛撫で、彼はしっかりと感じていた。
 そのうちに、液体が向こうからこちらへと流し込まれる。何か、と思ったが、すぐ分かった。彼女の唾液だ。彼は喉を鳴らしてそれを嚥下する。やはり、どんな高級なワインよりも味わい豊かだ。脳髄を奥から甘く痺れさす味わいだ。
 だんだんと、色々どうでもよくなってくる。道徳とかそういうものなど、どうでもいいじゃないか。それより、今目の前に女が――それも快楽を求める女がいるというのに、放っておくことのほうが問題だ。してもらうばかりで恥ずかしくないのか。
「ぢゅぷるぅっ」
 こちらも唾液を送り返す。アリスの喉が小さく鳴る。嚥下しているのだ。彼はそのことを、たまらないほどの光栄だと考える。繋がった口内で、二人分の唾液が混ざり合う。先ほど相手の陰部を舐め合い、蜜やら白濁やらを受け止めた口内だが、二人のうちどちらも、今さらそんなことは気にしなかった。
「ンッ! くむっ、ふ、んんぅ、んんんんっ!」
 アリスの喉が、切なく、高い声を上げる。接吻の最中でありながら、腰は止まっていなかった。相変わらず上下動を繰り返し、性の楽しみを貪っている。そこへ、今は彼の動きも加わっていた。口交は、彼の理性の鎖を破壊していた。彼女が腰を揺らすのに合わせ、彼も下から掬うようにして突き上げていた。結合部からは濃い汁が飛沫となって撒き散らされていた。シーツはぐずぐずになっていた。
「ぷはっ」
 先に口を離したのは、彼女の方だった。息がもたなくなったのか、小さく肩を上下させている。アリス・マーガトロイドを追い詰めた――客観的には小さなことだが、彼からすれば大きな意味をもっていた。ここまで弄ばれっぱなしだったのだから。
「あっ、はッ、あッ! はっ、ひぁ、はぁあ」
 先ほどのような言葉を紡ぐ余裕も、どうやらないようだった。突き上げる度、高い蕩けた声をあげている。押すなら今だと、彼は肉杭を秘穴に打ち込む。ずちゅずちゅずちゅと、凹凸の交わる部分からは蜜の音が響きわたっていた。
「あはァああッ!」
 こつっ、と、杭の先端が行き止まりにぶつかる。瞬間、アリスの背が大きく反った。達したわけではないようだが、しかし激しい快楽がその身を駆けたことは間違いない。ぶつかった行き止まりがなんであるか、彼には推測がついていた。子をなす場所への入り口、聖なる小さな口――子宮口だ。
 そこは女性にとって、もっとも大切な場所の一つであろう。なにせ子を孕むという機能を担っているのだから。性の悦びのために責めるなどと、道徳的には言語道断の行いだ――しかし、道徳などというものを、今さら気にする彼ではなかった。そんなものはどうでもいいということを言い続けてきたのは彼女のほうだ。いずれにせよ、もう遅い。自分はもう火がついてしまっている。欲望というその炎の燃え盛るがまま、肉同士を交わらせる以外にないのだ。
「んはァッ! ひっ、あくッ、まってっ、奥っ、おくだめッ、そこ、こつこつって、ひっ、あぁうッ、んんんんんッ!」
 駄目、だなどと、誰が決めたのというだろう。神だろうか。だとすればそんな神はクソ食らえだ。アリスだろうか。だとすれば、そんな理屈は通らないだろう。こうも肉襞を締めつけ、甘ったるい声を吐き散らし、自らも腰をくねらせてさらなる行為を望んでおいて、なにをどう駄目と主張できるというのか。
 腰同士を密着させ、小さく鋭いストロークで突き上げる。こちゅこちゅこちゅと、その部分を重点的に狙うために。効果はてきめんだった。彼女は先にも増して乱れ、アリアドネが一本一本紡いだような髪を振り乱す。
「ぐぅウウッ……!」
 彼女を狂わせると、自分にも跳ね返ってくる。当然だ。人体の一番敏感なところで掻き回しているのだから。限界が近づきつつあるのを、彼は感じていた。だがそれは、アリスも同じことだ。早々に、達させるのだ――彼はそのためにスパートをかける。先端まで引き抜き根本まで突き入れる、重たいピストンに切り替える。
「あぁはッ! ひぃ、んぁッ、くひ、あっ、いっ、ひぃ、い、くぅうっ!」
 彼の上で身悶えしながら、アリスは快楽にひたすらよがる。いく、という言葉すらまともに発音できなくなっているようだった。声はひっくり返り、そういう種の楽器かと思うような高い音を紡ぐ。
「あああああッ、射精るッ、ううぅッ、お、おおおおおッ」
 一方の彼も、もう限界だった。膣内で射精します、などとわざわざ確認はとらない。答えるだけの余裕など今のアリスにはないだろうし、あったとしても答えなど見えている。それになにより、彼自身、アリスに膣内射精したかった。ついさっきまでは、避妊がどうこうなどと考えていたにも関わらず。そんな考えはアリスの痴態を眺めているあいだに消えてしまっていた。今はとにかく、股座の奥でうねる白濁を、一滴も残らず注ぎこむだけだ。
「んァッ、ひぁ、くああああッ――イッ、はっ、ひ、あああああああっ!」
「ォオおおおおッ、ぐ、ぅお、射精るッ――おおおおおおおおお!」
 そうしてまた、二人とも絶頂を迎える。最後の一撃は、彼によるものだった。例の重たいピストンで、アリスのポルチオを思い切り突いたのだ。アリスはそれに痛みを覚えるでもなく、それどころかむしろ背を海老のように反らし、絶叫のような嬌声をあげて悶えてみせた。媚肉が、精虫一匹であっても自分の中に吐き出させようとしているかのように吸い付く。ただでさえ限界だったペニスが、そのような熱烈な愛撫をされて、己の中身を炸裂させないはずがなかった。子種が――既に三発目でありつつ、まったく薄れる気配のない子種が――尿道を通り、びゅるりびゅるりと放たれていく。出て行く先は、彼女の最も大切な場所だ。鈴口は、その入り口にぴったり当てられていたのだった。
「うぉおッ、おァあああッ」
「あはッ、あんっ、あぁ、射精てる、あつぅいザーメン、私のおなかにぃっ」
 注がれた種は、生命の源のもう片方、卵子を探して殺到していく。アリスは両手で腹を押さえ、身体の内側から男のものにされていく感覚を楽しんでいるようだった。小さな室が、欲望でもって埋め尽くされていく。
「ひあっ、はぁッ、あっは、んぁ、はぁあっ……」
「く、ふぅッ、ううッ、ふぅッ……」
 もう死んでもいい、できればこの時間が永遠に続いてくれればいい――本気でそう思ったが、それらの願いのうちどちらも叶うことはなかった。絶頂はやがて終わる。二人はぐったりして、ベッドの上に倒れこんでいた。先ほど、相互口淫を終えた後のようだった。違いといえば、まだ彼のモノが彼女の体内に入ったままだということか。
「は、んッ、あは、おちんちん、気持ちいいっ、あは、ぁあ」
 アリスは瞳を快楽によって虚ろにし、うわ言のように気持ちいいと繰り返していた。雌の器官を散々に小突かれたせいで、快楽の世界から一時的に戻ってこれなくなっているのだ。
 一方の彼は、さすがに三度も射精したため、一物を萎えさせていた。しかし、その瞳には、未だに情欲の炎が滾っていた。頭のなかを、行為を初めてから今までの映像が巡っている。網膜に焼き付いているのだ。自分では到底手の届かない女に、種付けすることができた――その実感に、彼の頬がにやつく。そして、頭を巡る淫らな映像によって、一物は再び持ち上がり始める。アリスの膣内で、膨らみ始めていく。彼女は弾かれたように顔を上げた。彼を見る。浮かんでいるのは、娼婦そのものの表情だ。
「まだかたいの? なら、もっと一杯、できるわよね。もっと、しましょう?」
 言いながらアリスは、ゆっくりと腰を動かし始める。彼はそれを拒否しなかった。手伝うと、最初に言ったのはこっちだ。彼女が満足するまで、何度だろうが付き合うつもりだった。
冬コミお疲れ様でした。この作品も収録されてる新刊「ファック・ファック・ファック」は下記2サイトにて委託してます。

http://www.melonbooks.com/index.php?main_page=product_info&products_id=IT0000176658
http://www.dlsite.com/maniax/work/=/product_id/RJ146465.html

で、本来収録されてる幽々子死姦小説が、死姦描写ダーメよってことでDLSite様の方で扱えないということでして、そちらにはこの作品を差し替えで収録しています。
入手経路で内容変わるんもアレなんで、サンプルかねてここに掲載しときます。
除夜のシコしようぜ!
喚く狂人
http://wamekuaeguononoku.wordpress.com/
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