真・東方夜伽話

The Fucker to the Lie

2014/12/31 21:54:13
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The Fucker to the Lie

喚く狂人

夜な夜な主従を入れ替えて「戯れる」妖夢と幽々子。
妖夢が本日の趣向と称して持ってきたのは、幽々子にとって最も大事なものだった。

(組版から直接貼り付けてるため、本来ルビのところがカッコで表示されています。ご了承ください)

 部屋の中に、ぶぶぶぶ、と、蝿でも飛んでいるようなくぐもった音が響いている。妖夢は特に気にかけない。主人の部屋を羽虫が飛んでいるのなら問題だが、あいにくここは冥界だ。生きた虫は一匹もいない。
「お待たせいたしました」
「遅かったわね、準備って、なにしてたのかしら」
「これを。大きいので、運ぶのに手間取りました」
 主人の寝室は、使用人の立場からしてみれば、侵すべからざる聖域だ。特別な用がない限り、おいそれと入ってよいものではない。
 しかしながら、妖夢はそこにいた。特別な用があるということだ。用というのは、肩に担ぐ大きな麻袋と関係していた。畳の上にそっと下ろす。
「具合のほうは、いかがですか」
「そう、ね。いいわ。とっても」
 主人は布団の上に、仰向けに横たわっていた。席を外す前と同じ姿勢だった。いいと言うわりに、声は上ずっている。しかし、それこそ調子の良さを表している。
 しばらくその場に立ち尽くし、横たわったままの主人を見下ろす。は、ふぅ、と、ぷるりとした唇の隙間から、熱い吐息が零れている。そのうちに痺れを切らしたか、向こうから声をかけてくる。
「その格好、っ、前から思ってたけど、若いころの妖忌に、そっくり」
「……服がですか?」
 言葉は途切れ途切れのものだったが、妖夢はそのことについて特に触れなかった。
 今の妖夢は、終わらない夜の異変や神霊の異変のころに着ていたのとは別の衣装をまとっていた。男物だ。使用人の衣装であるから、装飾はほぼなく実用一辺倒。そう形が変わるようなこともなく、かつて祖父が使っていたのと同じ意匠だった。だからそう尋ねたのだが、主人は首を横にふる。それもあるけど、と断られる。
「それよりも、雰囲気とか……そうね、特に、ンッ、声、かしら」
 祖父は岩を転がすような低くごろごろとした声の持ち主だった。自分も同じ声色をしているとは思えないが、誰しも己の声は違って聞こえるものだという。案外、彼と似ているのかもしれない――すっかり尖ってしまった喉を撫でた。変声を迎えたのも、ここが尖ってきてからだったか。
「体つきも、っく、すっかり似てきたしね、ここ十年ほどで」
「ああ……、それはまあ、そうでしょうね」
 肩幅も広くなり、背も伸びた。半分死んでいるからか肉体の変化もひどく遅いが、ともかく成長期を越えたのだからそんなものだろう。肉もついた。この麻袋にしても、終わらない夜の異変を解決していたような頃の自分では、背丈が足りず担げなかったことだろう。どうにか担いでも、重くて運べなかったはずだ。
 ごつごつした拳をぐっと握る。腕に線が走る。筋肉の線だ。このごろ、愛用の刀がかつてより軽く感じられるようになった。振りの感覚が変わってしまって困っている。
「では、そろそろ始めますか」
「その前に、あの、起こしてくれないかしら。この姿勢、腕が痛くって」
「……うつ伏せになられたらよろしいのでは?」
 腕が下になるように仰向けで寝ているのだから、痛くもなるだろう。寝かせたのは自分だが。にしても、きつめに縛ったとはいえ、うつ伏せになれなくはないだろう。
「そうすると、ん、首が疲れるの。布団に顔を埋めたら埋めたで、息ができないし」
「なるほど」
 身体を抱え起こす。亡霊の体温は低いというが、上気し桜色に染まった彼女の肌は、むしろ常人より暖かく感じられた。しっとりとしていて、手に吸い付いてくるようだ。
「ごめんなさいね。……ねえ、あなたも脱いでくれないかしら」
「かしこまりました」
 妖夢は立ち上がり、衣装を無造作に脱ぎ捨てていく。その体は、かつてのような、平坦で魅力に欠ける子供のそれでは既になかった。かといって、曲線からなる、丸みを帯びた女性のそれでもない。
 ごつごつとした直線と筋肉が、その身体を形作っていた。顎やえらは髭こそ生えていないが、しっかりしており、そこから太い首が下っている。岩を削ったような鎖骨の窪みからさらに降りると、分厚い胸板と割れた腹筋にたどり着く。両脚はかつての倍ほども太くなっており、たくましく、脂肪はほとんどついていない。
 かつての妖夢からは想像もつかない、がっしりとした肉体だ。幻想郷縁起に載ったころの、平坦で中性的な身体つきしか知らないものが見れば、兄かと勘違いすることだろう――その両脚の間にあるものを見れば、そうもなろうというものだ。
 妖夢の両脚の間、秘められるべき部位、密やかな園に、裂け目は開いていなかった。それどころか、当然のように尖っていた。槍のような肉塊が、それも相当に太く長大な業物が、我が物顔で上向いて鎮座していた。勃起している。これ以上ないほどに。根本では、皺のよった小袋がぶらぶらと居着いている。
 それは、まごうことなく、男の体だった。
「いつ見ても、っ、ん、素敵ね」
 幽々子はその様を、驚きもせず、当然だというように眺めていた。むしろうっとりと、その目尻を垂れ下げていた。ぶぶぶぶぶ、と、蝿の飛ぶような音が響いている。
 二人の間では、妖夢の性別は男だというのが常識だった。別に性転換をしたわけではない。対外的に女を名乗っていただけで、体は最初から男だったのだ。今は自称も男に改めている。昔の中性的な肉付きなら女を名乗っても許されたが、こんな体格でそれをしても見苦しいだけだ。
「妖忌に似てきたわ、あなた。美形の従者がいるって、ぁッ! 良いことね」
 その評価は不適切ではないかと思った。祖父は岩を削ったかような険しい顔の――性格もだが――持ち主だった。そういう相貌は、美形というよりも逞しいと評されるものだ。自分も血を引いているのだから、似た顔をしているはずだ。いずれにせよ、褒められてもあまり嬉しくはなかった。顔の良さと剣の腕とには関係がない。
 大体、顔を褒めるのなら、ちゃんと顔を見てほしいものだ。主人は、こちらを見ていなかった――少なくとも、顔は。
「どこを見ているのですか。ふしだらな」
 男根をじぃと見つめながら顔の出来を褒められても、心ここにあらずではないかと思わざるをえない。そのことを指摘すると、彼女は悪戯な表情を浮かべる。
「あなたもでしょう。私の身体の、どこを見ているのかしら?」
 先ほど彼女は、あなたも脱いでくれないかしら、と言った。もという助詞は、既に裸身でない限りは、出てこない言葉だ。
 そう、彼女もまた生まれたままの姿になっていた。白い肌は上気し、桜を思わせる色に染まっている。美しい身体だ。妖夢の股座のものがいきり立つのも当然だった。
 だが、今の彼女を、なにひとつ身につけていないと評することは出来ない。確かに彼女は、衣服を纏ってはいない。だが、その代わりだとでもいうように、細い麻縄が全身に這わされていた。腕は後ろ手に組まされ、両脚は開いたまま固定されている。
 女らしさを煮詰めたような柔肌に縄が食い込む様は、痛々しいものだった。しかし同時に、その艶やかさをさらに増しているようにも思えた。
 妖夢とは対照的なほっそりとした線が、しゅう、と下って首筋を象る。やがてそれは穏やかな鎖骨の稜線に行き当たる。丸一日でもなぞっていたくなる線だ。それに上から吊り上げられる双丘は、天界の桃より丸く柔らかで、縄によりさらに強調されて豊かすぎるほどたわわに実っている。ひとたび触れたなら、その魅力に取り憑かれ、一日中揉みしだくこととなるだろう。桜を彷彿とさせる色合いの先端は、ぴんっ、と尖って小さく自己主張している。見る者を、かぶりついて舐めまわしたくさせる。
 匠が丹精込めて織り上げた絹ほどに滑らかな腹にも、縄は亀甲状に這わされている。自然の生み出した奇跡のような身体に無骨な線が幾何学模様を描いて取り付く様は、精霊信仰における儀式のような神秘めいたものすら感じさせる。だとするなら、中央でぽつりと窪む臍は、儀式の御神体だ。
 さらに下っていく。女の象徴たる部位、男と女とを分ける部位には、丹念に整えられた茂みが奥ゆかしく生えそろっている。白玉楼の庭木は幻想郷でも随一の美しさを誇るが、それでもなお、これの足元に及ぶことすらないだろう。
 そして、密やかな茂みに守られた貝――妖夢がその視線を向けていた部位――は、ぴっちりとその口を閉じて、は、いなかった。
 腹で亀甲を描いた縄は、下腹めがけ一本の線となって伸びていく。それは淫豆に、そして秘裂にぴっちり沿うように這わされ、自らの凹凸でもって嬲っていた。裂け目は餌を与えられる直前の雛の口のようにひくひく収縮しつつ、悦びの蜜を涎のように垂らして咲き誇り、縄を、太腿を、陰の茂みを濡らしていた。
 縄は身体の線に沿って胴体の後ろへ回っていく。しかし、途中で大きく迂回した。先客がいたからだ。ぶううん、ぶぶぶ、と、大きめの羽虫が飛ぶような耳障りな音をたててやまない、ぶしつけな輩が。
「っ、あぅん」
 桜色の張り型が、彼女の後ろの穴、背徳の門を貫き、無機質に振動していた。本来なら出すためにあるはずの場所は、異物を嫌がりも追いだそうともせず、むしろ自らそれを受け入れ、悦んでしゃぶりついているようにすら見えた。その様は、その場所が既に丹念な調教を受け、快楽を感じるための部位として作り替えられていることを、端的に表している。腰がくい、くいと、振動に合わせるように小さく揺らめいている。まるで男を誘う娼婦だ。淫らとは、まさにこのような様に使う言葉だ。
 彼女の裸身に倒錯的な美しさをもたらした麻縄は、張り型を抑え、勝手に抜けないようにしていた。こうなると、両手を縛られている以上彼女にはどうにもできない。妖夢が席を外している間、彼女は甘やかな背徳の快楽に身悶えしていたわけだ。
「ね、そろそろ始めましょう。私、もう我慢がきかないわ。あなたもでしょう?」
 彼は答えなかった。答えずとも、股座でいきりたったものが答えとなった。
「ふふ、……さあ、私のなにもかもを辱めてくださいませ、主様」
 あるじ、と、主人であるはずの幽々子は、確かにそう言った。妖夢は戯言を咎めるでもなく、困惑するでもなく、むしろ当然だという顔を浮かべて受け止めていた。
 この身体が筋肉に覆われ、喉が尖り、女と名乗るのをやめた頃からか。夜の楽しみを求められるようになった。主とて女、手頃なところに鍛えた男がいれば、そういうふうに使うこともあるだろう、などと当初は考えていた。ところが、何度目かのおり、主従を入れ替えるように求められた。
 どうやら、主人――今は下僕――には、虐げられたがり(マゾヒスト)の気質があるようだった。最初は戸惑ったが、もう慣れた。最近などは、どう虐めてやろうか色々考えるほどだ。庭といい刀といい、自分はどうも、凝り始めると止まらないたちらしい。
「立場をわきまえろよ。どうして私がお前の話を聞いてやらなくてはならない」
 刀を振るうように、ばっさりと斬り捨てる。いつまで主人のつもりでいるのだと。こうして冷たいくらいに接した方が、彼女は悦ぶのだ。
「申し訳ございません、主様」
 恭しい幽々子の言葉に、ふん、と鼻を鳴らす。この呼ばれ方だけは気に入らない。別に主扱いされるのは構わないが、どうも言葉が自分に向けられていない気がする。
 とはいえ、彼自身も、幽々子をたっぷりと辱めるつもりでいた。縄で括ったのも、張り型を尻穴にねじ込んで放っておいたのも、そのうちの一つだった。だがその程度では、なにもかもを辱めたことになどならない。もっと大事なものを汚さなくては。
「お前にとって一番大事なものを持ってきてやった。今からこれを汚してやろう」
 麻袋の中身を、畳の上に引きずり出す。中に入っていたのは、二度と話しも笑いもしない、ほんの少し呼吸することすら絶対にない、物言わぬ肉体だ。
「ああ……」
 幽々子は目を細め、溜息をつく。妖夢の持ってきたそれは、彼女にとってこの世で最も縁深く、かつ二度と手に入れること能わぬものだった。
 袋から取り出されたのは、幽々子だった。正しくはかつての幽々子、つまり彼女の屍体だが、外見はそっくりそのまま彼女だった。眠るよりも静かに瞳を閉じた美貌は、血流のないがゆえに驚くほど白く、生けるもの全てを自分の側へと誘うような危険なものを備えている。かすかに開いた唇やほっそりとした喉は硝子細工のようでもあり、見ているとくびってしまいたくなる。無機物に穿たれる悦びに上気する亡霊の肌とは異なり、こちらの肌は透けるようだ。乳房では、その先端の桜色だけが、漠然とした白い果実の中で唯一捉えどころのある部分だった。腹も、臍の窪みがなければ、吹雪のあとの雪原のように白く平坦で、のっぺりとしていたことだろう。密やかな部分はどこまでも静かで穏やかで、二度と肉悦に濡れることもない。淫らというよりむしろ芸術品のような美しさを、見る者に対し覚えさせる。
 その肉体からは、生命が全くもって感じられない。どう見ても死んでおり、しかし腐ることも乾くこともなく、たった今死んだばかりであるかのようだ。それはもはや、一種の芸術品だった。動くことも変わることも二度とない、完璧な停滞、永遠という名の芸術であり、見る者をそちら側へ引きずり込むようだった。西行妖の近くに長くありすぎて、性質が移ったのだろうか。
「手間だったぞ? 棺ごと掘り出すのは」
 西行妖を封じるために埋められてから、彼女の体が掘り起こされることはなかった。あれの植わっているあたりは庭木を植え替えることもなく、土がすっかり硬くなってしまっていた。手間取っている間に、亡霊の方も、大分出来上がったようだが。
「死んでいるだけあって冷たいな。少し温めてやるか」
 柔らかな人形に等しいそれを後ろから抱き起こし、大きな掌にすら余るほど豊かな乳をもにゅり、もにゅりと片手で揉みしだいてやる。温めるなどと言いながら、その動作は明らかに幽々子に対して見せつけるためのものだった。
「あっ」
 亡霊の方が、小さく声を零す。張り型が良い感じに震えたのだろうと結論付ける。
「こっちもだ」
 もう片手の人差し指と中指を唾液で湿らせると、無防備な両脚の間へと潜らせる。乾いた秘裂に指を差し込んで、唾液を入念にまぶしていく。それはあくまで湿らせるためだけのものであり、感じさせるための手つきではなかった。屍体に性感が生じることは絶対にありえないからだ。
「はっ、ひぃ、ンッ」
 否。性感は生じていた。ただし屍体ではなく、亡霊の方に。あがる声は、明らかに彼の指の動きに連動していた。
「えっ……っ、と、ほう。驚いたな。亡霊が肉体あってのものだというところまでは知っていたが、まさか肉体の感覚がまだ残っているとはな」
 思わず素を見せるところだった。慌てて、冷たく傲慢な主の仮面を被り直す。実際、意外だった。あの桜自体は彼女の魂、つまり亡霊のほうの幽々子と相互に縛りあっている。体の方は、保存の術がかけられてこそいるが、ただの物であると思っていた。……が、どうやら亡霊は肉体と思った以上につながっているらしい。あてが外れた。動けない彼女に屍体を弄る様を見せつけ焦らすというのが今夜の筋書きだったのだが、これでは焦らしようがなかった。
 ――だが、これはこれで、色々と面白いことができそうだ。
「は、ンぁ、あぁ」
 ともあれ、指を動かし続ける。ぬちゅ、にちゅと、粘り気の強い水音が響く。柔肉を湿った指が嬲る音だ。肉体を通じて得られる感覚に、幽々子は甘い声をあげよがる。
「ふん、浅ましく感じているな。意地を張って許さないが、本当は自分もこうやって弄ってほしいんだろう? んん? 素直になったらどうだ?」
 妖夢は内心ほくそ笑んでいた。夜ごと身体を重ねてはきたが、秘裂(ヴァギナ)への責めだけは許されていなかった。孕みでもしたら問題だから、代わりに尻穴を、ということだ。彼もそれは分かっていたので、そのとおりにしていた。――しかし、この形ならば、秘裂を調教してもなんの問題もない。快楽は伝わっても、種が伝わるはずはない。
 ほう、ほう、と、幽々子は熱い吐息を零す。それは冬の空気の中で、白い靄となる。誘うように大きく広げられて固定された股の中央で、秘貝はとめどなく蜜を滴らせる。屍体のそこが掻き回されるたび、腰が跳ね、きゅうと収縮している。
「はぁ、ァッ、んううぅ」
「卑しいやつめ。……どれ、一仕事させてやろうじゃないか? 唾をまぶしたぐらいでは、ねじ込むにも湿りが足りん。こっちを濡らせ」
「はいぃ」
 弄んでいた肉体を離すと、彼女へ近づき、眼前に一物を突きつける。言葉の意味を、幽々子は十分すぎるほどに理解したようだった。雄の香りをむんと撒き散らすものを、大口を開いて頬張り始める。
「はぷっ、くぷっ、じゅぷる、んふっ、んぅう」
 己にとって最も大事なものが汚される、その手伝いをしているというのに、彼女はむしろ嬉しげですらあった。目尻を垂れ下げ、淫らな笑みを浮かべながら、音をたて立派すぎるほど立派なペニスにむしゃぶりつく。その様は、西行寺幽々子といわれて幻想郷の面々が思い描くような、とらえどころのない姿とは全く異なっていた。
「ふん、そんなにそれが好きか」
「んふぅ、んもっ、ふぁい、ふぁいい」
 首をこくこくと縦に振り、肯定の意を示す。浅ましいことだな、と吐き捨てると、彼女はさらに嬉しげに、熱心に奉仕をしてくる。頬壁で亀頭を撫で、舌を絡めながら、唇で肉幹を扱き上げてくる。ぐぶっ、じゅぼっと、汁気の多い音がする。丹念に唾液をまぶしているのだ。濡らせという指示を、忘れたわけではない。
「根本までしっかりやれよ、お前の愉しみ(オナニー)のために咥えさせてるわけじゃない」
 気分を盛り上げるついでに言うが、わざわざ命令せずとも、彼女はそうしただろう。己の顔ほども長さのあったモノを、幽々子は口いっぱいに頬張る。その美貌に、彼の下の毛がちくちくと刺さっている。亀頭のあたりが、ぬめぬめとした感触に包まれる。彼女の口腔では豪刀の鞘となるには足りておらず、先端の方は食道にまで達していた。異物が侵入しているにもかかわらず、彼女の消化器官はむしろそれを受け入れるかのようにぬるつき、悦ばせている。
「おい、畳を汚すな。躾からない雌犬だな、ええ?」
「んぉうんぅ、ぉうむっんんん」
 ぐぽぐぽと男根を舐めしゃぶる行為自体に悦びを見出している彼女の肉貝からは、ぽた、ぽた、と、氷柱が融けるように淫蜜が滴り落ち、音をたて畳に跡を残していた。異物を咥え込みとろとろに解れた尻穴からも、ぬめった腸液がこぼれ始めている。
 申し訳ございませんとでも言いたかったのだろう。声は口腔を占めるモノによって呻き声に変換された。その振動もまた敏感な雄棒に伝わり、ある種の奉仕となった。
「この駄犬め。罰だ」
「んくぅううん!」
 頭を前後させるたびにふるふると揺れていた双丘の先端を、ぎゅウッ、と抓った。幽々子はそれこそ犬のような鳴き声をあげる。かなり強めに抓ったから、快楽以外のものも覚えたろう。しかしそれでいい。折檻が優しいものであろうはずがない。第一、犬というのは忠誠心こそあるが、頭が悪い。頭の悪いやつ(西行寺幽々子)というのは、多少の痛みがなければいつまでたっても覚えないものだ。
「粗相をするような奴にくれてやる仕事はない」
「んぐっ、ぷっ、あ……」
 さらに、腰を引いて、ぬめつく魔窟からモノを引き抜く。熱心に吸い付いていた唇は、最後までそれと離れたくないとでもいうように、ぢゅぷっ、と音をたてた。
 濡らすという当初の目的は達成されている。いつまでも飼い犬と遊んでやる道理はない。幽々子は物足りなげに眉尻を垂れ下げ、暗にもっと奉仕したいと訴えていたが、妖夢は取り付く島もみせなかった。甘やかすことは躾につながらない。その証拠に、祖父は自分を決して、一瞬たりとも甘やかさなかったではないか。
「ふん、自分の肉体が犯される手伝いをしているというのに、悦んで咥えるとはな。すました顔した白玉楼の主は、実は色狂いの淫乱女(メス犬)でした、と。恥ずかしいよ全く」
「あぁっ、申し訳、ございませんっ」
 唾液に濡れてぬらぬら輝くモノを物欲しげに見つめる幽々子を、罵倒する。いつもなら許されないが、主人の立場となっている今なら吐きたい放題だ。対する彼女も、怒るどころか、むしろもっと言ってほしいとでも言いたげに腰をくねらせる。
「こいつが欲しくて仕方がないようだな。だが駄目だ。そこで張り型と遊びながら、自分の身体が汚される(レイプされる)のを見て、惨めったらしく股でも濡らしていろ、犬め」
「はいっ……」
 彼女の目は、己の身体に向けられていた。恨めしげな目だった。自分を差し置いて気持ちよくなるなんて、という目だ。
 そんな視線を意にも介さず、彼は悠々と挿入の準備を始める。
「どこも力が入っていないと、動かしづらくてかなわんな……」
 なにせ死んでいるために、くにゃくにゃと曲がってしまう。目的の姿勢を取らせるのは中々に手間だった。面倒になり、半霊に己の姿をとらせて手伝わせる。座り込む自分に、後ろ向きに身体を預ける形にさせた。ちょうど乱れ牡丹の姿勢だ。
 屍体は動かない。体位も限られる。たとえば立位などは不可能だ。そんな中でも、この体勢は都合が良かった。結合部を見せつけてやることができるからだ。己の肉体が、雄棒の欲を処理するための道具にされているところを。
「そら、今からこいつで、お前の大事な肉体を陵辱してやる、悦べ、幽々子」
「あ、あっ、ンッ」
 自分の唾液をまぶした陰唇に、にち、にちと音をたてながら、幽々子の唾液まみれのモノを擦り付ける。遠回しな接吻だ。彼の腰の動きに合わせるように、彼女の腰もかくかくと前後している。間接的に素股しているようなものだ。
「そら、入るぞッ」
「はっ、あ、あああっ……」
 ぬ、ぬぬ、と、雄々しき槍の先端が、屍体の膣内へと潜り込んでいく。合わせて、肉を割り広げられる感覚に、幽々子も声をあげる。悦びの声だ。
「ふッ、……ッく、う」
「はぁぁああんっ!」
 突き上げる。肉襞が盛大にめくりあげられる。こちゅんっ、と、肉槍の先端が壁のようなものにぶつかった。彼女の膣では彼の剛棒を受け止め切るには足りなかったということなのだろう。子宮口に亀頭の先端がぶつかったのだ。
 幽々子は高い声をあげて背を反らし、快楽を表した。縄によって強調された乳房が、ぶるりと節操なく跳ねた。縄の這う陰唇から淫らな蜜が噴き出し、布団に染みを作る。
 一方の妖夢も、詰まったような吐息を零した。幽々子以外を抱いた経験はないし、彼女とは菊穴で交わっていた。膣穴にモノをねじ込む(セックスの)感覚を、彼は初めて知ったのだ。みっちりと詰まりながらもふわりと柔らかいそこは、全く新しい感覚を彼に与える。
「ッ……、くく、悪くないな、お前の肉体は。どれ、いつまでもじっとしているのも馬鹿らしい。突いて抉って、掘り返してやろうじゃないか」
「ひっ、あぁっ、主様、アッ、はぁぁ!」
 腰を突き上げ始める。唾液で濡らしてあるとはいえ十分ではなく、襞の摩擦が一物に刺激を与えてくる。間接的に与えられる快楽に、幽々子は主を呼びながら悶え狂う。しかし、主様という言葉はやはり、自分に対して向けられていないように感じられた。
そのことに苛立ちを覚え、無言の罰として荒々しく抽送してやる。
「ッ、くぅッ」
 しかしそれは、諸刃の剣でもある。手や口での愛撫と異なり、セックスとは相互の行為だ。与えるばかりでなく、与えられもする。罰と称して穿ち返せば、穿ち返しただけ自分にも快感が返ってくるのだ。まして彼には膣交の経験がない。不慣れな快楽を受け、絞りだすような詰まった声が漏れる。
 にゅぶにゅぶぬぶと、結合部は汁気の足りていない、ひどく粘っこい音を立てる。あれほど濡らしても、やはり唾液では不足であるようだった。そこで悶え狂っている亡霊と違い、屍体はどれだけ穿とうとも絶対に蜜を滴らせることはない。突けば突くほどに襞による摩擦は増し、彼のモノに過激な愛を与えていく。
 このままでは、自分が先に果ててしまいかねない。責めるものとして、そんな無様は認められなかった。だが、問題はない。あちらを先に達させればよいのだから。
「あ、は、あッ!?」
 半霊に再び己の姿をとらせる。意識も感覚も共有してこそいないが、他ならぬ己だ。なにを考えているかは、口に出さずとも伝わる。
 半霊は幽々子に近づき、その尻穴に咥え込まれた張り型を握る。そして、ぬぐぬぐと抽送を始めた。それに合わせ、こちらも屍体を突き上げる。
「ひっ、あぁあッ、はっ、あっあっあっ!」
 幽々子は先ほどよりもさらに激しく鳴き、肉の悦びに腰を震わせている。当然だ。今の彼女は、間接的にとはいえ両穴を弄ばれているに等しいのだから。
「だらしなくよがって、そんなにいいのか、犯されるのが」
「はひっ、アッ、いいです、気持ちいいですっ、両方犯されるのいいっ」
 口端から涎すら零しながら喘ぐ様に、本来の気高さなどなかった。ただひたすらに肉欲を貪る愛奴となっていた。それが今の彼女なのだ。いいだろう、と妖夢は呟く。
「雌豚め、セックスのことしか頭にないんだな、そら、鳴いてみろ、ぶひぶひと」
「あッ、はァ、ぶぅっ、ぶひっ、ぶぅううっ、はッ、あっ、ああン!」
「おいおい、犬から豚に格下げされて、何を悦んでいるんだ? 馬鹿になりすぎて、そんなことすら分からなくなったのか?」
 抽送をどんどんと早めていく。物言わぬ冷たい肉体を貫いて、彼女を辱めていく。一方の幽々子も自ら鳴き、恥も外聞もない様を晒すことで、自らを貶めていく。淫裂からは小川のように汁が流れ落ち、肛門はぐぷぐぷと音をたてて無機物による陵辱を受け入れていく。そのたび、放埒な乳がぷるぷると揺れ、妖夢の目を楽しませた。
「くく、堕ちるのにも限度というものがあるだろう? 情けないことだな。そうら、そろそろお前の肉体を汚してやるぞ、私の欲望で、お前の肉体の一番大事なところを白く汚してやる。悦べ、主の胤(ザーメン)を受けられる奴隷なぞ、そうそういないからなッ」
「はひっ、くださいませっ、主様のお種(ザーメン)をっ、浅ましい私の肉体にぃいっ」
 高まってくる射精への欲求に突き動かされるように、腰を動かしていく。屍体の腰を両腕で掴み、激しく上下させる。まるで道具でも扱うかのように。半霊も、尻穴に突き込まれた張り型をずごずごと出し入れしながら、先走りを垂らす己のモノを扱きあげている。幽々子は卑屈なまでにへりくだった言葉を吐きながら、来たるべき征服(膣内射精)の瞬間――孕むことはない、いわば安全な征服の瞬間を待ち構える。その声が高く、裏返っているのをみるに、彼女も限界の直前にあるのだろう。
「そらッ、射精すぞッ、お前の死を辱めてやるッ、お前の屍体に子種を植えてやるッ、おっ、おおッ、おおおおッ――!」
「ひっ、はっ、あぁッ、ああああああああんッ――!」
 腰をいっとう深く突き上げ、逆に屍体の腰をぐいと引き寄せ、膨れ上がる槍の先と聖域の入り口とをぴたりと密着させる。準備が万全に整った瞬間、低い、獣のような唸り声を上げながら、彼は己の欲望をびゅぐびゅぐと解き放ち始めた。
 もはや子を成すこともない古い聖域に、精液が流し込まれていく。理屈で考えれば無駄撃ちにすぎないが、意味はある。注がれていく熱く粘っこいそれがもつ役割は、単なる生命の素に収まらない。聖なる場所を穢し征服する尖兵なのだ。その役目を、無数の精子は忠実に果たしていた。
「ああぁぁあッ、射精てるっ、お腹っ、あ、はひっ、あへっ、ひぃいッ」
 がくがくと全身を震わせ、膣内射精の感覚に幽々子は法悦を極めている。目尻から涙、口端からは涎が零れ、身体は汗できらきらときらめいている。それは見苦しい様であるはずでありながら、ひどく美しく、またこれ以上なく淫らだった。見るものの精子を搾りとるためにあるかのようだった。赤く上気した丸く弾力ある尻肉が、白く染められていく。半霊も本体同様に射精し、子種をぶちまけて肌を汚しているのだ。
「くぅ、うぉおおっ……ッ」
 これはあくまで死んだ肉体であり、もはや物に成り果てたものであるはずだった。にも関わらず、膣肉がモノをきゅうと抱きしめ、どくどくと注がれる子種を少しでも多く搾り取ろうとしているかのように感じられる。屍体を犯す、もっとも大切なものを犯すという背徳感による錯覚だろうか。あるいは、女は子種を欲しがるものであるというのが、物理的な水準で運命づけられているのかもしれない。なんにせよ、射精はひどく長く続いた。睾丸の中身が全て吐き出されてしまいそうなほどだった。
「ッ……お、おおぉ」
「はひっ、ひぃ……あっ、はぁあ……ん」
 それでも、永遠に続きはしない。子種には限りがあるのだ。一物の脈動が終わる。両者ともに、精も根も尽き果てたような惚けた声を零した。身体を駆け抜けていった激しいうねりの余韻に、どっぷりと浸かっている。
「ふぅ……。どれ」
 一物を引き抜く。内圧がかかり、抜ける瞬間ににゅぷんと卑猥な音が鳴る。遅れて、収まらない子種が、膣口からとろりと溢れる。これぞ、雄が雌を征服したという証だ。
「あ、はッ、ん」
 いまだ張り型は突き込まれたまま振動し、幽々子を熱から覚まさせない。幽々子はびくびくと痙攣する身体に鞭打って、こちらへと這い寄ってくる。その視線は、唾液と子種との混合液にまみれて混沌の様相を呈しているペニスに向けられている。
「なんだ、清めたいのか、これを?」
 幽々子は頷いた。清掃は従者の仕事、つまり彼女の仕事だ。
 主人の身体も、もちろん綺麗に保たなくてはならない。夜ごと菊門で交わった後、彼女は毎度、腸液に汚れたモノにその口でもってむしゃぶりつき、自ら清めていた。今も、少し形が変わるにせよ、自分が仕事すべき状況だと判断したのだろう。しかし妖夢は、自惚れるなと斬り捨てる。
「こいつはこれに掃除させる。お前は半霊のものでもしゃぶっていろ」
 言いながら、半開きになっている屍体の唇に、どろどろになった棒の赤黒い先端を押し当てる。死んでいるにも関わらずそこはみずみずしく、圧力に応じてむにり、と形を歪めた。口腔も汚すと、そういう意味だった。
 残念げな表情を、幽々子は露骨に浮かべてみせた。下僕風情がなにをとは思うが、咎めない程度に彼は寛大だった。だからこそ、半霊のものをくれてやると言っている。
 柔らかな頬肉に、半霊は白濁の残るモノをむにむにと押し付ける。現金なもので、幽々子はそれだけで眉尻を垂れ下げ、嬉しげに口を開け、へっ、へっ、と犬のような呼吸をしてみせる。今の彼女は白玉楼当主などではない。ただの雌だった。
「む、これはこれで、中々」
 顎に手を這わせて開口させると、頭を掴んでぐいと引き寄せ、モノを咥えさせる。唾液のぬめりもない乾いた口内は、通常の口奉仕とは全く異なる感覚をもたらした。物言わぬ肉体を犯す愉しみを覚えた妖夢は、腕を上下させることで、幽々子の肉体にがぽがぽと奉仕をさせていく。
「んむっ、ぢゅる、ぢゅぷっ、ふむ、ンンふ」
 幽々子は目を蕩かしながら、たまらない、といった声を鼻から零し、半霊のモノに奉仕している。後ろ手に組まれた白い腕が、尻穴を責め続ける張り型を、ゆるやかに抜き差ししている。本人は気づかれないようにしているつもりなのだろう。後でそれを口実に折檻してやるか、と心中で呟く。
「える、じゅぼっ、んぶ、ッふ、れる、ふっ、んむぷ」
 それにしても、大層熱心な奉仕だった。ひょっとすると先ほどの下準備のときより熱が入っている。一度達して火がついたか、などと考えていたが、やがてその理由に思い当たる。屍体にさせているこの口奉仕の感覚も、彼女に伝わっている。つまり今、彼女は二本のモノを咥えているのも同然なのだ。二倍頑張ろうともいうものだ。
 ならば、これとじゃれるのもあまり意味がない。モノを引き抜いた。立ち上がって幽々子に近づき、まだいくらか汚れの残るそれを突きつける。
「屍体の口も悪くないが……、当たり前ながら技術もなにもない。正直つまらんし、愉しみがない。そら、感覚越しじゃなく、直接咥えさせてやる。よかったなぁ?」
「んむぷっ、ああっ、ありがとうございます」
 土下座するほどの勢いで、ソレに対し幽々子は恭しく頭を垂れる。そして、でろりと汚れたそれを、犬のように大口を開けて迎え入れる。
「あもっ、んもっ、ぐぷ、ふむっ」
「手も使え」
 腕の拘束を解いた。自由になった手、指を彼女は肉幹に絡みつかせ、扱き上げる。にぢ、にぢ、と唾液が音をたてる。亀頭に吸い付く唇の内で、舌端が尿道口を穿り、れろれろと舐めまわしてくる。
「ぇる、あぅ、れろぉっ、ふむ、んっむぷ」
 彼のモノと半霊のモノ、交互に咥えながら、頭を前後させ、唇で扱きあげてくる。清めるというのが建前にすぎない(彼のペニスを悦ばせるのが目的である)ことを、十分すぎるほどに理解した動きだった。
 指が睾丸へと伸ばされる。細い長い指が、敏感な肉玉をころころと転がし愛撫する。それは口奉仕と相まって、妖夢と半霊に、彼女を汚すための弾薬を急速に製造させる。時折手は股間に伸ばされる。淫らな裂け目や豆を、縄をよけてぐちぐちと嬲っている。
「よし、よし、いいだろう。口を離して開いていろ。手も添えろよ」
「んぢゅぷっ、ふぁい」
 なにがよしで、なにがいいのか、幽々子はきちんと理解したようだった。瞳を閉じ舌を突き出しやや上を向くおまけ付きで、来たるべき瞬間を大口を開けて待ち受ける。
「顔も口も無様に汚してやるっ、私の種でなッ」
 解放されたペニスを、幽々子の唾液にまみれたものを、二人は勢い良く扱き上げる。そして、可愛げに開かれた口内に、灼けた銃の口を差し向けた。
「射精すぞッ、おっ、おおぅっ」
 びゅくっ、びゅくりと、二人は同時に射精する。白濁はあんぐりと開かれた幽々子の口内にびゅるびゅると注がれ、混ざり合ってにごり酒のようになっていく。時折、狙いを外れた子種が、彼女の頬や口端、髪やまぶたにかかり、白く汚していく。
「はっ、せっかくの美人が台無しだぞ、よかったなぁ?」
「あぃ、ひあわへれふ」
 幸せです――と言いたいのだろう声は、口中にたっぷりと溜められた子種によってくぐもって聞こえた。射精を終えた妖夢は、それで口を漱げと命じる。幽々子は口を閉じ、ぐちゅぐちゅと音までたてながら、その異常な指示に忠実に従う。
「よし」
 短くそう言うと、口中を陵辱する無数の精子を、彼女は喉を鳴らして飲み下した。一息にとはいかない。粘つくそれは、少しずつでないと到底飲み干せない代物だった。
 彼女は同時に、自由になった掌を使って、口端や頬、髪に付着した白濁を、丁寧に塗り広げていった。まるで化粧かなにかをするようだ。いうなれば、精子の白粉だ。
「いいぞ。脚も解放してやるから、四つん這いになって尻をこっちに突き出せ」
 化粧については指示していないが、熱心な行為には褒美をくれてやるべきだろう。脚を固定する縄を解くと、さらに命令を下す。餌を目の前に差し出された犬のような表情を浮かべ、幽々子はいそいそとその通りの姿勢を、交尾直前の獣の姿勢をとる。くねくねと淫らに尻を振って誘う様は、まさに発情期の獣のそれだった。であるなら、菊の門から伸びる桃色の棒は、尻尾だ。
「ン、ひっ、あぁぁああ」
 その尻尾を、ゆっくり、ゆっくりと引き抜いていく。ぞ、ぞぞっと、幽々子は背筋を震わせ、肛門の快感を享受している。妖夢のソレほども長大なものが引き抜かれる瞬間、肉穴は離れたくないとでも言いたげににゅぽっ、と音をたてた。散々嬲られたからだろう。菊穴は閉じることなく、ひく、ひくと蠢いて紅玉のような色合いの内部を晒している。腸液やら愛液やらが混ざり合い、下半身はどろどろになっていた。
「んちゅっ、はむ、ぺろ」
 引きぬいたソレは腸液にまみれ、ぬらぬらとした輝きを放っている。くれてやると、骨を与えられた犬のように舐め、清め始める。その間に、二度射精したにも関わらず全く萎える様子を見せない一物を、菊門に押し当てた。
「あぁんッ……」
 早くちょうだい、と、小さく零れた喘ぎはそう語っていた。そこに問いかける。
「いいのか? 後ろで。こっちを犯してほしいんじゃないか?」
「ンひっ、っくぅ!」
 縄の這わされた肉豆、そして陰唇に指を這わせ、くち、くち、と軽く擦ってやる。それだけで、電気でも走ったかのように背を跳ねさせる。しかし彼女は、首を縦には振らず、さらに尻をずらしてそれから逃れる。
「そ、れはッ、はぁ、孕むかもっ、しれないから、それは、さすがに、駄目だから」
 幾度と聞いた言葉だ。今まではその言葉を尊重して、手出しを控えていた。
 だがそれも、今までは、の話だ。
「方便はいらん。正直に答えろ。何故だ?」
 ずぬ、ぬぬ、と、菊穴の方に亀頭を潜り込ませながら問う。あぁ、は、ん、などと小さな喘ぎ声を零しながら、何故っていわれても、と返してくる。まったく白々しい。孕むかも、などという言い訳の裏に、別の理由があることを、彼は知っていた。――正しくは、今日、それもついさっき知った。
「答えないか、まあいい。それなら強引に引き出してやるまでだッ」
「あはぁぁああ!」
 ぱしぃんと、肉同士のぶつかり合う小気味良い音が響いた。精液まみれの口から、裏返った悦びの声があがる。硬い肉槍が、根本まで彼女の菊穴にねじ込まれていた。
 まだ不十分だ。聞きたい答えを引き出すのに容赦するほど、彼は間抜けではない。抜ける寸前まで引き抜いては、腰が密着するほど打ち付ける。ぱむんッ、ぱむんッ、ぱむンと、音はリズムよく、次第に大きくなる。合わせるように、ぬぼっ、ぬぶっ、ぐぽっと、菊穴のたてる悦びの音が響いた。
「どうだ、これでも、言うつもりに、ならないかッ、このッ」
「はひっ、あぅアッ、なにっをぉ、いってるっ、か、わからっ、ひぃい!」
 幽々子はあくまで強情だった。本当になにも隠していない、という可能性を、彼はありえないと断じていた。そう考えるに足る根拠が、彼の手の内にはあるのだ。
 両腕を掴み、胴体をぐいと引き寄せる。突くたびにぶるぶると震えていた乳房を、両腕で鷲掴みにして揉みしだく。びぃいんと尖った桜色を、潰れそうなほど抓った。乱暴な手つきではあったが、一方でひどく正確でもあった。快楽漬けにして隠し事を聞き出すという方策なのだから、技巧を張り巡らしたものなのは当然だった。
「ひぁッ、はぁぅッ、ダメ、あっは、ヒッ、んんあぁあっ」
 駄目、などという言葉と裏腹に、声も身体も、これ以上ないほど悦んでいる。腸壁はこちらをひっしと抱き締めてくるし、淫裂もとめどなく涎を垂らし、腰に至ってはくねくね蠢いている。この腰使いは抽送から逃れるためのものではなく、快楽を得るためのものだろう。
「はっ、あくまでしらを切り通すつもりか? いい度胸だな、ええ? いいだろう、この責め苦でも、まだそんなことが言えるか、見せてもらおうかッ」
「え、あ――あひぃいいいいっ!」
 あがった声は、間違いなく快楽に由来するものだった。しかし、声色はむしろ悲鳴に近かった。何事にも程度というものがある。彼女にぶつけられた快楽は、許容量をはるかに超えていた。それはもはや、気持ち良さという名の暴力だ。
 半霊が、幽々子の屍体を抱きすくめていた。そのたくましすぎる肉棒を秘裂に潜り込ませ、ずぐずぐと突いている。先ほどたっぷりと精を放たれたそこはぬるついて、突き込まれるモノを悦んで受け止めているかのようだった。
「はへっ、あっへ、ひぃ、ンぁあッ、はっひ、ぃいいっ」
 半狂乱と言ってもいいような声が零れている。そうなるのも当然というものだった。間接的とはいえ、彼女は今、二本のペニスを捩じ込まれている。そして二穴責めとは、初見で耐えられるようなものではない。前後の悦びが同時に襲ってくるというだけの行為ではないからだ。実際は、それぞれ相互に作用する。快楽の量は、倍でなく二乗。比較にならないほど増加する。それこそ、半ば白目をむくほどに。
 ――だが、まだだ。もっと快楽を増やせる。増やせるなら増やす。妥協はない。
 妖夢と半霊、ともに手を伸ばす。それぞれ貫く相手の、乳房と淫豆へ。一切の容赦なく、激しく嬲りたて始める。
「ッ、ひぃぁッ、あひっ、はぁァァァ! アッ、アッ、待っ、はぁあはッ!」
 被っているところはあるが、これで六箇所、六乗だ。一箇所への責めの効果を十とするなら、百万。どんな不感症であろうと、耐えられるはずがない。まして彼女では、待っての一言を紡ごうという努力ができただけ立派というものだろう。
「お断りだッ、そらッ、狂えッ、狂ってしまえ!」
 その切実な懇願を、ばっさりと斬り捨てる。震える肉体や逃げようとする腰を強引に抑えながら、何度も何度もぬぐぬぐずぶと、弱いところばかりを執拗に突き続ける。半霊も同じだ。幽々子の身体が、激しく痙攣し始める。
「はひっ、イッ、イッ、あへっ、イクっ、あぁああああああああ」
 それは説明されるまでもなく、誰が見ても絶頂の兆候だった。当然だ。ただでさえ巨大な快楽だというのにそんなことまでされて、そうそう長くもつはずがなかった。快楽の津波に幽々子が呑まれようとする、まさにその瞬間――二人は同時に、責めをぴたりと止めた。一歩でも前に踏み出せばたちどころに落下するだろう、崖っぷちで。
「はひっ、イクゥウウッ……え」
 なにを一人で盛り上がっているんだ、という冷めた視線を向ける。予想外だったのだろう。浮かんだのは、まさに呆気にとられたという表情だった。
「……え、あの……、えっ、……え?」
 なにもいわず、モノを引き抜く。なにが起きたのか分からない、と言わんばかりに、彼女はおろおろとしていた。
「一つ聞かせろ」
「は、はい」
「私が生まれたとき、女として育てたのは、何故だ」
「それは……あなたのお祖父様は剣豪として名を馳せていましたから、挑む者が後を絶ちませんでした。中には卑劣な手を使う者も。もしそういった手合が、魂魄の剣を正式に引き継ぐ者、つまり男子が生まれたと知れば、子のうちに潰しておこうと企むかもしれないと。そう案じたお祖父様が、女として育てよとおっしゃったのです」
 今、自分のことを主様と呼ばなかった。あなたとしか呼ばなかった。――今のは、それを確認するための問いでしかない。それ以外の部分は飽きるほど聞かされていた。だからお前は祖父に感謝すべきだ、という締めとともに。今更、驚きもしない。
「そうか、そうか。長広舌ご苦労。お返しに少し、面白い話をしてやろう」
 笑い出しそうになるのをこらえながら、妖夢は語り始める。
 かつて名前もろくに与えられなかった少女がいた。生まれた直後に、両親が死んだからだ。正しくは、殺された。野盗でなく、妖怪でなく、他ならぬ少女に。彼女には力が備わっていた。近づいた者を死に誘う、不吉を極めた疫病のような力が。
 誰も彼女を拾わなかった。しかし、やがて立派な家が彼女に目をつけた。当然だが、単なる慈善ではない。だが、その力を汚れ仕事に使おうと目論んだわけでもなかった。彼女に与えられた役割は、生贄だった。当時猛威を振るっていた、人を死に誘う桜、西行妖を鎮めるための。彼女の死の力を西行妖にぶつけ、相殺するという考えだ。
 かくして少女は育てられ、そして西行妖を封じるために死んだ。封印は成功した。奇跡だった。確実にうまくいくという根拠は何一つない曖昧な手だったのだ。
「そんな手段に頼らなくてはならないほど、西行妖が強力だったということでもある――まあ、そんなことはどうだっていい。面白いことに、その立派な家というのが、姓を西行寺という。屋敷は白玉楼。ここだ」
 幽々子は何も言わない。それこそ、彼の言葉が戯言でないことの証明だった。
「続きを話すか。もう少し細かな話を」
 当時の西行寺家当主の名は西行寺妖忌。少女に与えられた名は、魂魄幽々子。彼は少女を寵愛していた。少女も応えた。外部の者が見れば、年の離れた夫婦かと勘違いするほどに。
 ――そういう男女だったから、することもしたのだろう。二人の間に子ができた。男子だった。少女が正妻とも妾ともいえない立場なのは厄介だったが、それでも男、つまりは跡継ぎの誕生だ。西行寺家としては、それは当然祝うべきことだった。
 にも関わらず、妖忌は恐れた。やがてその子が、己の成した何もかもの上に胡座をかくことを。いっそ殺そうかとも思ったが、しかし跡継ぎがいなければ家は絶える。悩んだ末に、彼は己と子を、あろうことか魂魄家に落とした。そしてその代わりに、少女を西行寺家に据えたのだ。我が子よりも少女が上に立つ方が、まだ許せるからと。
「耄碌していたか、でなければ女に籠絡されていたんだろうな、あの男。哀れだよ。それにしても、私が西行寺姓か。別にいらんな。このまま魂魄を名乗らせてもらうか、慣れている名ではあるからな。白玉楼は魂魄家のものだ」
「よ、うむ、あなた、どこでその話を」
 幽々子の口調は、素のそれに戻っていた。顔は死人らしく青ざめている。一方、彼の言葉は、従者としてのそれには戻らなかった。戻す必要がないからだ。
「妖夢? 妖夢だと? どこの馬の骨とも知れない者が、よくもそんな呼び方を――まあいい。どこで、か。これだよ。そもそもお前を責めるために、興味本位で墓暴きと洒落こんだだけだったんだが、まさかこんな宝が一緒に埋まっているとはな」
 麻袋から、半霊が紙を取り出す。手紙だ。幽々子の棺の中に収められていたものだ。屍体を掘り出したのは、本当に責めの一環のつもりだった。棚から牡丹餅だったが、見つけられたのは僥倖だ。おかげで、自分が騙されていたと気づくことができた。
「真実とお前への思いが、みっちり綴られていたよ。は、あの男、よほどお前を気に入っていたんだろうな。そういえば死ぬときの言葉も、幽々子ォ、だったもんなァ?」
 嘲笑いながら言い放つ。その言葉を、彼女は聞き逃さなかった。
「……死ぬ、ときの?」
「そうとも! 行方をくらました? そうだろうな、お前からすれば、死んだなどと思いたくはないだろうさ。だがな、教えてやるぞ、あいつは死んだ」
「生きてる、生きてるわ、死んだだなんて、どうしてそんなことが言えるのッ」
 幽々子の声が荒らげられる。やはり、死んだと思いたくはないのだろう。当然だ。手紙によれば、自分を拾ってくれた恩人で、しかも夫なのだから。だからこそ、妖夢からすれば、死んでいるという事実が面白くてたまらない。
「言えるとも。魂魄――いや、西行寺妖忌は死んでいる。殺したからな、私が」
「……え」
「くく、だんだんと男らしくなっていく私を見て焦ったんだろうな、ある日いきなり斬りかかってきたのさ。こっちは木刀、向こうは楼観剣。なにが剣士だ、卑怯者め。……お前が考えているのと違って、晩年のあれはひどかった。昔の栄光に縋りついて、剣技を傲慢さに吸われた抜け殻さ。当時の、しかも真剣を使ってすらいない私でも、返り討ちにできたよ。木刀でかえってよかったよ、じわじわ殴り殺すのは愉しかった」
「あ、なた。妖忌様は、あなたの実の」
 語るのが楽しくて仕方なかった。対照的に、幽々子の方は楽しくないようだった。こちらを睨みつけてくる。もっとも、怖くもなんともないのだが。
「父親。そういうことになるな。そしてお前は私の母親で、あの男の言いつけに従い、ずっと私を欺いてきたことになる。労せずして得た、私の財産の上に乗っかってな」
 なんてことを、と、幽々子は呆然と呟いた。それはこっちの台詞だった。
「そういうわけで、私は魂魄家の当主……まあそれは以前からそうだったわけだが、そしてなにより、白玉楼の正当な所有者だ。つまり、お前の所有者でもある」
「誰がッ――私の主様は、魂魄妖忌様だけよ!」
 主様という言葉が自分に向けられていないように感じていた理由も、説明がついた。実際、向けられていなかったのだ。彼女は、自分の面影に残る魂魄妖忌に語りかけていたのだ。もはや会うこと叶わぬ主に。
 そう考えると、自分は幽々子と、一度として交わっていなかったということになる。なにせ、彼女を抱いていたのは、己が宿す魂魄妖忌なのだから。
 これ以上に、人をコケにするような行いが、この世にあるか?
「ふん、言っていろ。……さて、当主の座に立つものとしては、当主を騙ったお前を殺してしかるべきだが、私も鬼じゃない。第一、お前はあの桜に魂を縛られていて、なます切りにしようが殺せない。代わりに相応の罰をくれてやる。そのカラダにな」
「ッ、嫌ッ、ああっ」
 彼女を組み敷き、腸液にまみれたモノを、どろどろに濡れそぼった秘裂へ後ろから押し当てる。弾かれたように逃れようとする身体を、半霊が抑えた。
「おいおい、お前は白玉楼の所有物なんだぞ? 拾ってもらって、イイ生活をさせてもらった恩を返せよ、穴で。第一、お前が言ったんだろ、辱めてくださいとな」
「それは、そういう意味じゃッ」
「忌々しい限りだが、私はあの男に似ている。だからお前は私を求めたんだろう? それでも貞淑ぶるために、尻穴なぞ使ってなぁ。ちゃんちゃらおかしいというやつだ」
 腰をゆっくりと前に突き出し始める。亀頭が、陰の口にゆっくり飲み込まれていく。腰をくねらせて逃げようとする動きにぴったりと合わせる。逃すものか。
「さて、答え合わせの時間だ。お前が私にこっちを許さなかった理由のな。それは、あの男に操を立てていたからだ。そして、お前がここから、私を産んだからだ」
「やめてッ、お願い、私とあなたは実の親子なのよッ、親子でこんなことするなんて、あなただって異常だってわかってるでしょう!?」
「異常、異常か。どの口が言う。最初に求めてきたのはお前だろうがッ――そら!」
「はっ、あ、あぁぁああ!」
 じゅぶっと水音がした。その後、肉同士のぶつかる音がした。共有された感覚越しではなく、直に、雄々しいモノが彼女の膣内へ捩じ込まれたのだ。
 幽々子があげたのは、悲鳴――のはずだった。しかし、少なからぬ悦びが、そこに混じっていた。すでに出来上がり、さらには絶頂寸前で焦らされていた身体が、本物のペニスの挿入に耐えられるはずもなかったのだ。
「嫌ッ、嫌、主様ッ、ああ、はァアッ」
「ははは、主様、か、誰のことだ? それは私のことだッ。なにを間違えてるッ!」
 ばしっばしぃッと、腰を何度も叩きつける。ようやく抱けた西行寺幽々子の身体は、最高だった。血の繋がりゆえか、相性もすこぶる良い。嫌嫌と言いながら、その肉襞は一物をきゅうと締め付け、なんとしても悦んでもらおうとしているかのようだ。
「あぁッ! 主さまッ、はッ、あぁ、んんんん! ァ!」
 駄々る子供のように首を振りたくり、かつての主人の名を呼んでいる。無駄だ、とあざ笑う。顕界で死ねば、魂が冥界に行く。では、冥界で死ねば? ――消滅する。彼女のいう主様とやらは、もう存在しない。だが彼女は、所有者なしの身分になったわけではない。今日からは魂魄妖夢が、彼女の所有者なのだから。
「あぅあッ、はひっ、ンッ、く、うぅうううううっ」
「は、どうしたどうした、もう嫌だと言えなくなったのか? 根性のないことだな。さっきまで尻穴に捩じ込まれていたモノで犯されて、そんなにいいか、変態が」
 幽々子の穴との相性は抜群であるように思えた。そして、相性とは相互の関係性だ。こちらが良いと感じるなら、あちらも良いと感じる。幽々子は唇を噛み締め始めた。そうでもなければ、淫らな声を抑えられないのだろう。その様を、根性がないと揶揄しながら、さらに腰を叩きつけていく。
 実の母を犯しながら、妖夢はこれ以上ないほど興奮していた。性的な面以外でもだ。それは奪うことへの興奮だった。威張り散らすしか能のない忌々しい男が、死の淵で名を呼ぶほど大切にしていたもの(母)。今、自分は、それを踏みにじっている。
「それとも、はなから嫌じゃあなかったか? でなきゃ、こうも締め付けないよなぁ、ええ? 身体が悦んでいるぞ、淫乱め。どうせこうしてほしかったんだろうが。そら、お望みのままにしてやろうじゃないかッ」
「いッ……ァ!」
 突くたびに細かく震えていた豊かな尻肉を、思い切り張る。鳴った音は、馬に鞭を振るったときのそれのようだった。唐突に走る痛みに、幽々子は身体を硬直させる。その反応に味をしめ、二発、三発と繰り返す。尻に掌の跡が紅く残されていく。
 あがる声は、必ずしも苦痛を、拒絶の意を示してはいない。ずちゅん、ずちゅんと汁をまき散らし抽送されている膣で、彼女は少なからぬ快感を覚えているようだった。性交の肉悦という飴は、張り手の痛みという鞭と合わさり、彼女を懐柔していく。
「あぁっ、アッ、ひんッ、くぅうッ……!」
「はっ、なんだ、殴られて感じてるのか、この雌豚が」
 その二つを、掏り替える。痛みこそが快感なのだろうと断定する。反論はなかった。できないのだ。言葉を紡ぐべき口は、快楽の喘ぎを垂れ流し続けている。なにより、その脳に走る飽和量の電気信号が、まともな思考を行わせていなかった。
「そら、もっと感じさせてやるッ」
「んひぃいいッ!」
 膣口と子宮口のちょうど中間辺りの、臍側。そこを亀頭で抉るようにしてやると、ひときわ明らかな反応を返す。そこが彼女の弱点なのだろう。放埒な乳房を鷲掴み、硬く尖った肉豆もぐちゅんぐちゅんと嬲り回してやる。狡猾で抜け目のない、彼女を手中に堕とすための手つきだった。
「あひっ、ひぃ、あァ、あーッ、ひぃ、ひぃ、あああッ」
 彼女の声から理性が失われ、淫らに染まっていく。腰はペニスを受け入れるようにくねり始めている。忠誠を誓ったようなふりをしても、一皮剥いてやればただの雌だ。そしてその皮は、既に剥けている。そろそろ頃合いだ。
「どうしたどうした、膣内がうねって締め付けてきているぞ、分かりやすい奴だな、イキそうなんだろう? くく、浅ましい女だな、前の主人に操を立てていたんじゃあなかったのか? そぉら、本当はイイんだろう、気持よくて仕方がないんだろうが。言ってみろ、言わないとやめるぞ、さっきみたいにッ。イかせてやらないぞッ」
「ああ、嫌ッ、いやっ、やめないでぇッ」
 絶頂の寸前で引き戻される感覚を思い出したのだろう。幽々子は再び駄々をこねる。その言葉がもはや答えのようなものだった。だが、彼は妥協しない。
「なら言え。イかせてほしいならな。黙ったままは通らないぞッ」
「そっ、はひ、それはっ、ンンゥッ」
 強情だった。だが、肉欲に勝てるはずもない。ガツンと、子宮口を一度突いてやる。ほぼ陥ちていた城は、それだけであっさりと白旗をあげた。
「はひっ、イイッ、いいです、妖夢の、いい」
「私の何がだ」
「妖夢のッ、おちんぽっ、いいのォッ」
「そんなにいいのか、ええ? この不貞の売女が。前の主人はどうした、あいつにも散々抱かれてたんだろう。毎晩毎晩聞こえてたよ、お前とあいつの睦み合う声がッ。なにしてたんだ、言ってみろッ」
「あぁっ、縛られて、罵られて、叩かれたり踏まれたりしながらご奉仕して、ぜんぶ、おまんこもお尻の穴もあの人に捧げてッ、後ろからぬこぬこしてもらったり、庭先でじゅぷじゅぷしてもらったり、気を失うまでみっちり躾けてもらってぇっ、そんなの、毎日、まいにち、まいにちぃっ」
「それは熱心なことだな、そこまでされて、それでも私の方がいいのか? おい!」
「そうなの、妖夢のおちんぽの方が、イイのっ、最初にシたときはっ、妖忌様とするつもりで声をかけたけどぉッ、妖夢のおちんぽスゴすぎてっ、ハマっちゃってぇっ」
「は! 聞いてないことまで喋るとはな! この薄情者め、拾ってもらった恩を仇で返すのか、もうあいつはどうでもいいのか!」
「どうでもいいっ、あんな人どうでもいいっ、妖夢がいればイイっ!」
「そうかそうか、正直者には褒美をくれてやる――」
 そう、褒美をくれてやる。忠義も恩義も何もかも忘れてヨガり狂う白状極まりない雌には、とびきり残酷な褒美を。妖夢は、その四音節を、彼女の耳元に垂れ込んだ。

「か あ さ ま」

「――あっ」

「かあさま、かあさま、かあさま、どうして母として私を育ててくださらなかったのですか、どうして母として私を愛してくださらなかったのですか」
「嫌――やめて」
 彼の目は、悪意に満ち満ちていた。やめてなど、やるわけがないだろう。
「かあさま、どうして息子と交わって悦んでいるのですか、かあさまにはとうさまがいるではないですか、拾ってくれた、育ててくれた、毎晩愛してくれた主人が、夫が。それを見捨てるんですか、どうしてですか、かあさま」
「あっ、ああっ、あああああああッ」
 追い詰める言葉の内容は、先と大して変わらない。だがそれは、息子の言葉だった。死を理解できない子供が、どうして皆泣いてるの、どうしておじいちゃんを燃やすのと聞くような、残酷極まりない「どうして」だ。
 それでいて妖夢は、ばすん、ばすんと腰を叩きつけるのを止めはしなかった。母の懊悩と女の快楽を、同時にぶつけ続けた。ひとえに、西行寺幽々子という幻想を壊し、白玉楼の所有物にするために。
「かあさま、かあさま、なかがよく締まっています。夫以外の棒で、それも息子ので感じているんですか」
「嫌、あ、ああああああ」
 もし彼女が何一つ呵責を感じていなければ、こうやって責め立てたところで無意味だったろうが――幸か不幸か、厚かましくも存在していたようだった。笑える話だ。元主たる妖忌に対しては、自分と交わることで裏切り。新たな主で息子である自分に対しては、真実を隠すことで裏切り。それならそれで、何一つ悪びれずにのうのうと生きていればまだ潔かろうものを。あるいは、こうして犯されていても、毅然と跳ね除ければよいのだ。肉欲に耐えかねて元主を裏切った時点で無理だろうが。何にせよ、どちらもできずに中途半端に過ごしておきながら、罪悪感だけ勝手に覚えるなどと、見苦しいことこの上ない。今もそうだ。嫌などといいながら、その腰はくねり、声は快楽に蕩けた雌のそれになっている。どっちつかずとはまさにこのことだ。
 しかし、それももう終わる。自分が終わらせるからだ。
「イくんですか、かあさま――なら、イけ、イけっ! イき狂えッ!」
「へっ、アッ、ひ――ああぁぁああああぁぁああああッ!」
 膣内の襞を思い切りめくり、抉り、肉豆を捏ね潰し、乳房の先端を引きちぎれそうなほど抓りあげる。崖っぷちに立った彼女を快楽の海に叩き落とすには十分すぎた。結合部からぶしぃと濃密な雌汁が噴き出す。それが始まりだった。背筋が弓のようにしなる。舌はだらしなく突き出され、瞳は半ば白目をむいている。涙と涎とが零れ、ただでさえ白濁にまみれていた美貌をさらに汚していく。
 べきりという音が聞こえた。彼にとって、これ以上なく聞きたい音だった。彼女をただ雌として喘がせるだけでは気が済まなかったのだ。
「おいおい、主人より先に達する奴がどこにいる。これは折檻が必要だなッ」
「はひっ、ヘァッ、あゥあッ、ンぁああああっ!」
 あっちは絶頂したが、自分は射精していない。彼女は己の所有物だ。どう使おうが己の勝手である。
 ――と言わんばかりに、彼は抽送を止めなかった。これ以上ないほど締め付け絡みついてくる膣肉は大変具合がよく、機嫌良さ気に彼は言う。
「まだ終わりじゃないぞ、こんな玩具があるんだ、使わない手はないよなぁ?」
「ひっ――あへぇああああッ! あぅアッ、あひぃいぇえッ」
 そこらに転がされていた屍体を、半霊が組み敷いていた。雄々しき肉棒はその胎内にねじ込まれ、ぬごぬごと激しく犯している。今の彼女はいわば、性交の快感を二重食らっている状態だ。絶頂している最中にそんなものを叩きつけられて、耐えられる生物がいようはずもない。あがったのは獣の声だった。
「もうあの男はどうでもいいと言ったな、なら私を主人と認めるな、そうだなッ」
 ほんの十分も前なら、間違いなく拒否されていただろう。だが妖夢は知っている。彼女の心は、かつての主人の死、自分が与えた膨大な快楽の前に、既に折れている。あのべきりという音は、西行寺幽々子の崩壊する音だ。
「ぅアッ、ひぃ、ンぁッ、はひ、みとめましゅ、わたひっ、わらひのあるじさまは、魂魄妖夢さまですぅっ、だからァッ、おちんぽっ、おちんぽズボズボやめて、まって、おちんぽズボズボとめてへぇえええああああッ」
 それは渡った瞬間に落ちる、戻ることのできない橋だった。幽々子はそれを渡った。だが、誰も彼女を責めることはできないだろう。許容量を超えているどころか、自我すら破壊して廃人にしてしまいかねない量の快楽を前にして、屈さない者はいるまい。――そんな彼女に、あろうことか、彼は追い打ちをかける。
「そうか、私を主人を認めるか。ならばお前は私のものだ。ものは主人の意のままに使われていろッ、そら、射精すぞッ、射精すぞッ、射精すぞッ……おおおおおッ!」
「え、アッ、ひ――あひぃいぁぇああああああアアアアアアッ!」
 子宮口に槍の穂先を密着させ、それは始まった。それは爆発だった。胎内で起きた爆発だ。既に幾度と射精しているにも関わらず、その勢いは今までとは比べものにもならないほどだった。ぼびゅるるる、と、尿を放っているのかという勢いで、白濁が彼女の聖域へ、今度は間接でなく直接に注がれていく。遺伝情報を刻んでいく。奥へ奥へと殺到し、彼女の卵を、生命の源を汚していく。既に刻まれていた所有者の名をがりがりと削り、その上から新たに刻んでいく。これは魂魄妖夢のものだと。
 ここに、白玉楼当主・西行寺幽々子という幻は、その残滓すらも消え失せた。
「ふ、くくッ、ああ、子種どころか体液全てを搾り取られるところだったぞ。そんな方法で死に誘うつもりだったか、この雌豚が」
 達したペニスが、ずるりと引き抜かれる。ごぽぉ、と、白濁が音をたてて零れた。子をなすための小さな室では、それだけの量を収めるには到底足りなかったのだ。
「ふん。出来の悪い奴隷だ……。まあいい、そら、掃除はお前の仕事だろうが、屍体を見ろ、お前より熱心だぞ」
 座り込むと、ぐったりとうつ伏せに倒れた彼女の頭にペニスを載せる。半霊は既に、ものいわぬ肉体の口を使い、自分のものを清め始めていた。引っ掴んだ頭を前後させ、絡みつく子種をこそぎ落としている。
 もはや指一本動かす体力すら残っていないだろうに、幽々子は身体を起こす。接吻するような形で、愛液や腸液、精液にまみれ汚れきったモノに唇で触れる。
「申し訳、ございません、主様。幽々子が、お口で、奉仕いたします……っあむっ、ぢゅ、ぐぽっ、むちゅ、ふむ」
 愛する者同士の誓いのキスのように、彼女は唇で亀頭を啄むと、大口をあけてソレを口内に迎え入れる。口淫は、今までよりずっと熱心で、愛情に溢れたたものだった。主様という言葉が自分に向けられているのを、彼女の瞳に己しか映っていないことを、妖夢は確かに感じていた。
 あの男から奪い取って、母はやっと、自分を見てくれていた。
冬コミお疲れ様でした。この作品も収録されてる新刊「ファック・ファック・ファック」は下記2サイトにて委託してます。

http://www.melonbooks.com/index.php?main_page=product_info&products_id=IT0000176658
http://www.dlsite.com/maniax/work/=/product_id/RJ146465.html

で、DLSite様の方は死姦描写ダーメよってことでこの話が収録できませんでした。なのでアリスの話を代わりに入れてます。
入手経路によって内容が違っちゃうのもどうなんって思ったのでサンプル兼ねて公開します。
除夜のシコしようぜ!
喚く狂人
http://wamekuaeguononoku.wordpress.com/
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