真・東方夜伽話

幼怪土蜘蛛番外編-ヤマメちゃんの思春期-

2014/08/08 22:59:05
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幼怪土蜘蛛番外編-ヤマメちゃんの思春期-

えいひれ

ʅ(´◔౪◔)ʃ<思春期を迎えたヤマメチャ。今回はヤマメチャがぶち犯されるだけだよ!!!!!!せっ!!!!やまぱるせっ!!!!

仄暗い旧都の大通りを、パルスィはひと回り小ぶりな手を握りながら歩いてゆく。
互いの手を放埒に揺らしながら、ふたりはにぎやかな雑踏のなかに溶け込んでいた。
パルスィの逆の手には、夕飯の豆腐と飛竜頭が入ったビニール袋が提げられている。
豆腐も飛竜頭も、やはり新鮮なものがいい。
だからいつも豆腐などに限っては買い置きせずに、こうしてわざわざその都度買いに行くことにしているのだ。
風が一閃吹き抜けた。
近所の小さな鬼の子供が、ふたりの横を無邪気に駆け抜けていった。
しっかりと握っていたはずの、手がふり解かれた。
パルスィは足を止めた。
驚きを隠せずに、数歩先を歩き続けるヤマメの背を見つめた。
今まではあれだけ自分から手を差し出してきてくれていたのに。

「どうしたの?」

「……手、なんで繋ぐのかなって」

少し不機嫌そうに、ヤマメは口ごもりがちに答えた。
あぁ、そうか。
パルスィは瞬きをして、云わんとしていることをやっと呑み込んだ。
気難しい時期がきてしまったのか。
大きく吸い込んだ息をパルスィは長く吐き出した。
吐き出した息は気怠さを帯びた裸電球の灯りの中にゆっくりと溶け込んでいった。

「そうねえ。じゃあ、繋ぐのはしばらくやめましょうか」

苦笑いを浮かべて、パルスィは解かれた手をやっと下ろす。
依然として難しそうな顔をしたまま、ヤマメはぶっきらぼうな返事をした。

「うん」

「でも、また繋ぎたくなったら云ってね」

そう云うと、パルスィはヤマメの横顔がどこか強張ったように感じた。
それでもいい、それでも私には可愛らしい子であることになんの変わりもないのだと、パルスィは街道を見据えた。
結局、家に着くまでひと言も喋らずにふたりは帰宅した。


***


煮炊きをしている雪平鍋から湯気が立ち上り、換気扇に吸い込まれていく。
鍋の中では飛竜頭が出汁を煮含んでふっくらと大きく膨らんでいた。
火から下ろして、小鉢に茹でた壬生菜と盛って葛のあんを垂らす。
振り向いて、茶の間で文庫本を読んでいるヤマメに声をかけることにする。

「ヤマメ、運んで貰っていいかしら」

本から顔を上げて、ヤマメは小さく頷いた。

「――どんな本を読んでいたの?」

沢庵を挟もうとしていた箸を止めて、ヤマメは眉をしょぼしょぼとさせた。
戸惑ったとき、いつもこの顔をする。

「……芥川龍之介」

「そう。素敵ね」

微笑みかけると、ヤマメは益々眉間に皺を寄せておし黙った。
しばらくして口を動かしかけたように見えたが、続きは何も云いはしなかった。
ヤマメは食べかけの飯の入った茶碗と箸を置いて、ぱちんと手を合わせた。

「ごちそうさま」

「もう良いの?」

問いかけた時には既にヤマメは席を立ち、背を向けて小さく答えるのだった。

「……おなか、あんまり空いてなかったみたい」

「そう」

咎めるどころか、ただただパルスィは驚いていた。
この子を育ててきて、一度たりとも出した食べ物は残されたことなど無かった。

「ごめん、今日は疲れてるから先に寝るね」

「具合が悪いの?」

「ちょっとね」

言葉を返す余地も与えずに、ぴしゃりと引き戸が閉められた。
静かにパルスィは息を吐いて座り直した。
先ほどまでろくに聞こえやしなかった、表の人の声が耳についた。
パルスィはひとりになった食卓で、茶碗に残されたほんのひと口の飯を摘んだ。
何度かヤマメの様子を見に行こうかと思ったけれど、妙になにかが咎めた。
放っておかねばならないような気がした。
そしてひとりで風呂に入り、床に就こうと、寝室に続く前の間の扉を開いたときである。
視界に大きく妙なものを捉えた。
柱と梁に太い糸をつけ、間には受け皿のような網――ハンモックのようなものが、見事に誂えられていた。

「あら、まあ」

いつの間にこんな大層なものを作れるようになって、とパルスィは驚かされた。
恐る恐る近付いて、そっと網の中をのぞき込んだ。

「……すぅ、すぅ」

相変わらず、いつも通りの寝息を立てるヤマメが居た。
吃驚したことを思わず忘れ、笑みが零れた。
隣の寝室からよれた毛布を引っ張って、寝返りを打ったばかりの身体に被せる。

「おやすみ」

そっと掌で額を撫でて、パルスィはいつもより広い布団で眠りに就いた。
ぼんやりとした意識の中で、襖の開く音がしたような気がした。
きっとヤマメが手洗いに立ったのだろうと、開きかけた瞼を閉じ直した。
規則正しい寝息を立てながら、再びパルスィは穏やかな眠りのなかを漂った。
無意識のうちに手を伸ばして、いつも通りヤマメの頭を撫でつけようとしたときである。

「……ヤマメ?」

唐突に目は覚めた。
傍らに居るはずのヤマメの身体に触れた感触もなく、返事もない。
そういえば別々に眠ったのだ、とパルスィは目覚めと共に動揺した自身を宥めさせた。
寝床から起き上がって、襖を開ける。
大きな蜘蛛の網を見て、パルスィは声をかけた。

「ヤマメ」

網にはだれも居ない。
パルスィは乾いた唇を舌で湿らせた。

「どこに、いるの」

手狭に感じられていたこの家が、がらんどうに、広く感じられた。


***


飲兵衛も草臥れた頃合か、幾らか人通りが侘びしくなった大通りに、ふたつの人影があった。
先ほど寝床を抜け出したばかりのヤマメと、パルスィに姿かたちそっくりな使い魔の雀である。
ヤマメが憮然と歩くのを、後ろからついて回るのはおろか、横に身を滑らせたり、時折前に躍り出さえしながら声をかける。

「ねえねえ、土蜘蛛ちゃん。どこに行くの?どこどこ?」

金魚の尾鰭かはたまた線香の煙のように、雀の襟巻きは風を受けて棚引いた。
あからさまに苛立った顔をして、ヤマメは口を横一文字に結んだまま、通り沿いに突き進んでいく。

「なんでおうち出てったのー?」

声の高さも質も同じであるが、口調は微塵も主人のそれと似つかない。
堪えきれなくなって、遂にはヤマメが身を翻し、雀を睨み据えた。

「ああ、もう。うるさいなぁ!」

「えー、いいじゃんー。なんでなんで?」

怯むという言葉を知らず、寧ろ反応が返ってきたことに雀は嬉々として緑眼をぎらつかせた。
邪険にしたところでなんの効果もなく、雀は尚もヤマメの視界に張り付くように、顔を背けても纏わりついてくる。
怒鳴っても効かないと改めて実感し、ヤマメは頭を抱えた。

「ねえ、雀。……ひとりになりたいから放っておいてよ」

それは云い聞かせるような物云いで、やっと大人しくなるものだとヤマメは思った。
雀は急におし黙って、襟巻きを羽のようにばたつかせた。
生暖かい風が旧都のむこう――風穴に続く竪穴の方から吹き付けてきた。
すると緑の眼が、煌々と光を宿した。

「嘘吐き」

にいっ、と雀は口元を吊り上げて、鋭く尖った犬歯をぎらつかせた。
凶悪という二文字がお似合いで、ヤマメは思わず尻込みをした。

「なにがさ」

「本当にひとりになりたいなら、押し入れにでも閉じこもったらいいじゃない。『ぱぅしいのばかぁ!あっちいって!』とか云ってぇ」

わざとらしくかんに障るような口真似をして、雀はますます声を張り上げる。
両手を伸ばし、円を描いて回りながら、雀は酔ったように言葉を紡ぐ。

「そしたらぁ、きっとぱぅしぃはすんごーく悲しそうにこう云うのよ?『そう』ってたった一言だけ!それのなにが不満なわけ?」

「やめてよ」

腹の底から出たような、低くどすの混じった声だった。
聞くや否や、雀は大袈裟に噴き出して口元を覆う。
いかがわしい緑の眼が、ますますもって赫耀とし、ヤマメの胸を突き刺した。

「っふ、ははは!なぁになぁに、土蜘蛛ちゃんったら反抗期ってやつ?!」

街灯の侘びしい道の真中に突っ立ち、微塵も躊躇うことはなく、堂々とヤマメに向かって指をさし、雀は見事なまでに下劣な嗤いを響かせた。
おかげですっかり怯んで萎縮したヤマメを、今にも喰い殺しそうな――猛禽を思わせるほどの視線を差し向けた。

「……馬鹿な子。そんなことに執着をしても、なんにもならないのよ」

「いやだ。そんなの、知らない!」

ヤマメは耳を塞いだ。
耳を掌できつく押し潰すほどに塞いでも、雀のどろどろとした嗤いが、幾らでも隙間をすり抜けて鼓膜を叩こうとしているような気がしてならなかった。

「あなたが――」

視界には、なにかを話し続ける雀の口元が映り、ヤマメは瞼をきつくきつく閉じた。
脚は地面を蹴り、雀の横をすり抜けて、暗澹とした竪穴の方へと駆け出した。
その竪穴は橋と呼ばれていた。
旧都と地上へ至る風穴をほぼ垂直に結ぶ、“きざはし”のことである。
ヤマメは糸の塊を球状に吐き出して、竪穴の天井向かって目一杯に投げつける。
竪穴の途中のところで塊はぶつかり、岩が崩れないことを確認しながら、ヤマメは竪穴をよじ登っていく。
恐々と後ろを振り向いたが、雀が追いかけてくることはなかった。
息を切らせて竪穴を登りきったとき、ヤマメはじっと無機質な闇が続くその先を見据えた。
この先には“外の世界”がある――。
知ってはいたけれど、今日という日まで、考えが及ぶことはなかった。
生暖かい風が、ヤマメの頬に吹き付けられた。

「冷たっ」

音をたてて、勢いよく上から露がヤマメの脳天目掛けて落ちた。
雫に気を取られたのも束の間、眼前にはぜる音がして、赤い火の玉がふたつみっつ現れた。
火の玉は燐を燃した火のように、鮮やかに黒一色だった洞穴を塗り潰す。
呆気に取られて、ヤマメは身構えるのさえ怠っていた。
そこへスーッと、縄のついた古ぼけた桶が降りてきた。
桶の中身が蠢いた。

「なあんじゃ、橋姫んとこの土蜘蛛の餓鬼か」

桶の中には、ヤマメよりも遥かに小柄な体格をした、緑の髪をふたつに結んだ少女が居た。
見た目に反して随分と横柄な言い様で、ヤマメはむっとして、なにか言い返そうかと逡巡したが、押し黙った。

「――で、なんの用さね。ここの入口は出口でもあるんだがの」

かの少女は、毅然と云い放った。
ヤマメはなぜか、後ろめたさを感じた。

「別に。外が見てみたくなっただけだよ」

取り繕うように云った後で、ヤマメは後悔した。
場当たり的なことを云ったところで、この目前に居る妖怪には通用しないのではないかと思った。
目玉が飛び出さんばかりに瞼をかっ開いて、桶の妖怪は声をしゃがれさせた。

「お前、死ぬぞ」

いや、しかし冗談かもしれないと、ヤマメは眉根を寄せた。

「地底と地上には約束事があるじゃろ。地底に居なくてはならない妖怪が定められておる。お前さんはその筆頭であることを忘れたか?」

「え?」

生まれてこのかた聞いたことのない話であった。
養子ながらもそれなりの愛情を貰って過ごしてきたし、それに応えるために自身のことなど極力聞かずに過ごしてきた。
いきなり会ったこの妖怪の云うことを信じるべきなのか当惑するところはあるが、自身について知らないことが多いのも事実であり、頭から否定は出来なかった。
桶の妖怪はヤマメが知らずにいたことを察したのか、眉根をきつく寄せて声をひそめた。

「もしお前が地上で自我を失えば、地上には病が満ちるからの」

「まさか」

「信じるも信じないも勝手じゃ。行くも行かぬもな。さらばじゃ、尻の青い土蜘蛛め」

散々の物言いをして、桶の妖怪は火の玉を噴き出しながら、天井の隙間へ吸い込まれていった。
あとには、ぴちゃんと雫が落ちるばかりであった。
もし、自ら地上に赴いたならば、なにか分かるのだろうか――?
そう思い始めると、煮えたぎる好奇心を止めることは出来なかった。
徐々に洞穴は明るさを帯びてきて、燦々とした陽の光が注ぎ込んでいた。
地底にあるどんな電球よりも明るく、見たことのないほどに、あらゆるものが輝いていた。

「すごい」

あの釣瓶落としの話をすっかり忘れて、ヤマメは思わず喜びの声を漏らした。
空気は限りなく澄んでいて、胸いっぱいに吸い込めば、これだけで食事の代わりになるかもしれないとすらヤマメは思った。
鳥の声か、或いは虫の声のような音が響いていた。
規則性があるけれど、進むにつれて崩れていく。
すぐ近くの木からも、そこらの林からも響いていて、これはなんなのかと首を傾げさせる。
木の影の方に回り込めば、一匹の蝉が居た。

「……虫?」

身体をわななかせて鳴き続ける蝉を、しばらくヤマメは凝視していたが、額から汗が滲んで滑り落ちてきたところで目を逸らした。
掌で玉のような汗を拭いながら、蝉時雨の降る林を見回した。
林を見回しているうちに、水の流れのような音があることに気がつく。
そういえば喉が渇いたと、ヤマメは無意識のうちにこくんと喉を鳴らした。
そして風穴から一歩、また一歩と離れて林の中へ足を進めるのだった。
蝉時雨のなか、川辺に立つ梶の木は、太陽から放たれる光彩を真っ向から受け止めて、揺らめく水面に陰翳を落としていた。
水は清らかで、遠くからでも目を凝らすことなく川底の小石や魚のすがたをはっきりと捉えることができる。
ヤマメは流れに近づいて、川辺の木陰がある岩へと腰掛けた。
靴を脱ぎ、素足を水の中へ静かに浸す。

「ひゃ……っ」

想像をしていた以上に冷たく、清々しい。
涼やかな水音と、暑さを感じる蝉の音、時折風に煽られて掠れる葉音。
それら以外にはなんの音もせず、ヤマメは自身が空気に溶けた気さえした。
だれも居ないここを、空虚な楽園さえ思えたのだ。
地上にはこんなにも豊かで、光が満ちていた。
この美しい世界を、地上のあらゆる生き物は当然のように享受しているのだろう――。
ヤマメは鳥のさえずりも、瑞々しく茂る下草の緑も、あでやかに咲く野花も、降り注ぐ陽光も、嫉ましく思えてきた。
どうして、私たちは持たざる者なのだろう――。
手のひらを強く握って、息を吸った。

「駄目よ。あなたはおうちに帰らないと」

ほんの真上から声がした。
咄嗟に上を向くと、空には三尺四方の歪な空間が形成されていた。
豪奢なドレス姿の女が、切り取られたような空間から身を乗り出してこちらを見下ろしていた。
ヤマメは、彼女をひと目見てすぐに、死神だと思った。

「……私は、殺されるの?」

「いいえ。わたくし、あなたに死なれては困りますの」

ヤマメが意識の途絶える前に見たのは、女の満面の笑みであった。


***


とうに温くなった、手付かずの湯呑みには相変わらず触れる素振りもなく、パルスィは身を乗り出した。
時間としては、ヤマメが家を出てから半日ほどである。
卓袱台を挟んだパルスィの向かいには、瓜二つの姿をした女が居た。

「ねえ、雀。本当に橋の向こうへ行ったの?」

雀はさもうんざりとした顔で、目の前の卓袱台を叩いた。
べちん!と音がした次には、雀は半ば声を荒げさせた。

「だーかーらー、そうだって云ったでしょー!」

今日の主人は朝っぱらからこの様子で、おかげで雀は手を焼いていた。
あまりにも苛立った使い魔の姿に、パルスィは侘びしげに背中を丸めた。
平生のようにヤマメが居たら、まずは見せない姿だろう。

「そう、よね」

あまりにも気弱な主人の様子を見て、雀は溜め息を漏らした。
更に面倒臭そうに頬杖をついて煎餅に齧りつく。
ばりばり。

「もー、そんなに気になるんなら自分で探せばー?」

ぼりぼり。

「でも、私が見つけてしまったら、ヤマメは嫌がるんじゃないかしら……」

ごきゅんっ。

「うっさいなぁ、さっきからずっと繰り返してるんだから行ってきなさいよ!」

雀は食べかけの煎餅を振りかざし、主人を玄関の方へと追いやった。
主人に対してこのような物言いが出来る使い魔も珍しいが、パルスィは雀の性格を気に入っているようだった。

「ちょ、ちょっと行ってくるわ」

我慢の限界を迎え、遂に立ち上がった。
慌ただしく突っ掛けを穿き、パルスィは玄関を大きく開け放った。
途端、視界になにかがもぞり、と動いたのが見えた。
ぎょっとして飛び退きかけたが、落ち着いてよく見つめると、それは紛れもなくヤマメであった。

「ヤマメ、どうして――」

すぐさまヤマメに駆け寄って、身体を起こした。
靴は脱げていて、スカートのお腹のあたりは泥が掠れたように付いている。
いったい、どうしてなのかという思いで胸がいっぱいになりかけたが、忙しなく後ろを振り向いた。

「雀!手伝って頂戴!」

一瞬の間を置いて、雀が煎餅に齧り付いたまま、廊下から躍り出てきた。

「わ、ヤマメ生きてたんだ」

こうして、ヤマメは意識を失ったまま、寝床へと担がれて行ったのだった。


***


心地のよい微睡みと、木綿の優しい肌触りに、思わず瞼を再び閉じかける。
しかし手のひらに誰かの感触を得て、ヤマメは瞼を半開きにしたまま、目玉を動かした。
ヤマメの手を握ったまま、パルスィは掛け布団に倒れるように眠っていた。

「……ぱる、しい」

繋がれた手を握り返し、ヤマメはもう片方の手でパルスィの肩をそっと抱いた。
ふわふわした髪が頬をくすぐったが、しばらく動かずにそのままで居た。
ヤマメは自身の心の角が、少しだけ剥がれ落ちた気がした。
パルスィが指先で目元を擦り、まだ朧気な意識をヤマメへ向けた。

「やま、め?」

夢心地のような口調でヤマメを呼び、ぎゅっとひと回り小さな手を握った。
ヤマメは起き上がったパルスィの首もとに顔を埋め、声を震わせた。

「ただいま。心配かけて、ごめん」

パルスィはヤマメを強く抱いて、深く息を吸い込んだ。
ヤマメも鼻から息を吸い込むと、パルスィの甘い香りが鼻腔を満たしていった。
くらくらとするぐらい甘く、ヤマメは蕩けそうになった。
寝癖で跳ねた前髪を撫でられ、額にはキスが落とされる。

「……あまり、遠くへ行かないでね」

「ごめん。私、」

震えた声をして、縋るように、ヤマメはパルスィにしがみついた。
それをあやすように抱き留めて、今度は言いかけた唇が塞がれる。

「いいの。無事だったから」

返事に困ったヤマメは頭を垂れていたが、やがてパルスィの背中に腕を回し、頬を寄せた。
心音が微かに聞こえてきて、深く息を吸った。
パルスィはなにも云わなかった。
黙ったまま、指を背中から腰へとずらし、寝間着の胸元の合わせへ手を滑らせてきた。

「っ、ひぅ」

ひんやりとした感触が襲った。
反射でヤマメは身をよじり、幼い獣のような声をした。
胸の先を指で摘みながら、パルスィは声を弾ませた。

「やっぱり。溜まっていたのね」

指の腹でくにくにと、丸く張った乳房の先を弄び、ヤマメの顔色を窺う。
迸った甘さに我慢が出来ず、恍惚と息を吐く。

「んぁ……ッ。なん、で……っ」

パルスィは満足げに目を細め、顔を背けたヤマメの耳を口に咥えた。
唾液を舌で塗り付けて、音を立てて啜る。

「ン……っ、じゅるっ、ちゅ、んんっ」

「あぁッ、だめっ、ァ、あぁ……!」

ヤマメは肢体を放り出し、力を失くして布団の上に転がった。
まるでぞくぞくとした感覚そのものが耳を這い回るようであった。
パルスィは背中に手を添わせたまま、腰の帯を巻き取る。
はらりと着物の前が崩れ、ふくらみに乏しい乳房が露わになる。
躍起になって、パルスィはヤマメの耳の穴を舌で舐め回していく。

「じゅっ、ちゅ、はぁっ、ふ……」

「あぁッ、ぁ、おかしく、なっちゃ……あ、ん!」

口ではそう云いながら、ヤマメはすっかり強請るように淫らな声を漏らしていく。
身体が云うことを聞かず、快楽という二文字に牛耳られていく。
たかだか耳を舐めただけでここまで感じるのかと呆れるほどである。
小柄の身体が布団の上でびくびくと震え、膝を立てて踏ん張っていた。

「んッ、ぱるしぃ……っ!あっ、はぁぁっ」

嬌声をあげながら、なにかを切望するようにパルスィを見上げた。
今すぐにでも花弁を押し広げて欲しい――。
ヤマメの頭はそれでいっぱいなぐらい、余裕がなかった。
パルスィが指摘した通り、ここ数日むしゃくしゃして溜まっていた。

「ふふ。すごい、びんびんに尖っているわ」

わざとらしく、パルスィは乳房の先を軽く突っつき、そちらの話をした。
軽く先に口付けをして、それから赤い唇で包み込み、吸い立てていく。
舌が先端をころころと転がし、歯を立てて楽しんでいた。

「はっ、ぁ、ぱるし……っ」

もどかしい。
もどかしくて、我慢ができなくて、気持ちいい。
ヤマメは火照った身体の熱に浮かされて、無意識にも自ら招き入れるように、はしたなく脚を開いていた。
パルスィはヤマメの太ももを撫でてから、愛おしそうに内股のところへキスをした。

「いやらしい子。そんなに欲しいのなら、おねだりなさい?」

少し冷たい物云いに、ヤマメはぞくぞくしながら唇を震わせる。

「ふぇっ……、で、できないよぉ……っ」

ヤマメが嫌々と首を振っているうちに、パルスィは一気に花弁の中へ指を突き立てた。
ぶちゅ、と濁った音がした。

「……っ、ひんッ!」

想像もしなかった行動に、ヤマメは身体を跳ね上がらせ、パルスィの肩にしがみついた。
緩やかに糸の成り損ないを指へ絡めるように動かしながら、パルスィはヤマメに囁いた。

「糸、たくさん使ったのでしょう?ほら。犯してって云いなさいな?」

荒い息を漏らしながら、ヤマメは身体をくねらせる。
ぐぷ、ぐぷ、と空気を含んだ粘っこい音が局部からして、ヤマメは恥ずかしくなって顔を背けた。

「や……っ!ぁ、やだぁ、……っ!」

太ももを伝って、糸の成り損ないと蜜の混ざったものが垂れかけた。
それをパルスィはヤマメを見つめながら、下から上へ丁寧に舐め取った。
舐め取ったところで、また溢れてくるが布団に垂れるよりはいい。
この糸の素をもっと吸い出そうと、パルスィはヤマメの脚の付け根に顔を埋没させた。

「ふぁっ……ぁあ!」

パルスィが自分のここを舐めるということに、ヤマメはいつも恥ずかしさに苛まれる。
生温かい舌がヤマメの花弁の外側も、蜜を噴き出す内側も、ゆっくりと舐め回していく。
舐めても舐めても、糸の成り損ないと蜜の混ざったものは溢れてくる。

「んあっ……!は、はぁっ、あ……んッ!」

抵抗はおろか、蕩けた顔でヤマメはパルスィの行為を受け入れていた。
しかし、パルスィは花弁の中に深く舌を突き入れることはしないし、花芽を口に含むこともない。
やがてヤマメは花弁の奥から強い疼きが沸き起こり、またもやもどかしく思い始めた。

「ぱ、ぱる、しぃ……っ」

呼びかけると、パルスィはゆっくりと首をもたげて、瞬きをした。

「なぁに、ヤマメ」

「ん……ッ、おねがい……、ヤマメの……っ」

恥ずかしさのあまり続きに困り、云い澱んだ。
しかしもう疼きに堪えきれず、快楽によって頭はぼんやりとして思考を塗りつぶし、慾に忠実になれとそそのかす。

「ヤマメの?」

わざと聞き返し、パルスィはきゅっ、といやらしく尖る花芽を摘んだ。

「ひんッ、ぁ、ああ……っ、おまんこ、犯して……ッ」

「はい、もう一回」

親指の腹でぐりぐりと、花芽のいちばん敏感なところを擦り付けて、パルスィはほくそ笑んだ。
ヤマメは苦しげに腹を痙攣させ、声を絞り出した。

「はっ、ぁあ……!っあ、やまめの、おまんこ……っ、犯してください……ッ」

「ふふ、いい子。よく云えたわね」

パルスィは嬉しげに微笑んで、ヤマメと唇を重ね合わせた。
柔らかい唇を離してはまた重ね、ねっとりと唇で挟む。
ぐぷぷっ。
三本の指が、花弁とその奥に蠢く襞へ分け入ってきた。
花弁は再び指が挿入されると、嬉しそうに三本の指に喰らいつく。

「んぅ……ッ!ふ、ぁ……んんッ!」

じゅっぷ、ぐじゅっ。
唇を解放しないまま、それどころかますます唇を貪りながら、パルスィはヤマメの膣内を犯していく。

「ふぐ……ッ、んんッ………!」

ヤマメは目を白黒させて苦しげにしていたが、パルスィはいつもより膣の締めが強いことに気付いた。
舌をねろりと隙間からねじ込み、小さな舌を絡め取る。

「はっ、んぅ……ッ!は……っ」

必死にパルスィの舌を噛まないように口を開けていたが、それはパルスィの思う壺であった。
口膣を弄りながら、パルスィは存分に、どろどろに蜜を垂らす花を征服する。

「あっ、あっ、はぁ……ッ!」

「ふ……っ、はぁっ。ヤマメ、気持ちいい?」

パルスィは唇を離し、けれどもヤマメの花を掻き乱しながら尋ねた。
脳髄まで甘い感覚に犯され、狂ったような甘い声をして、ヤマメは頷いた。

「きも、ちい……っ!きもちいよぱるしぃ……っ!あんんッ……!」

三本の指をきゅっ、きゅっ、と何度も締め付けながら、ヤマメの膣壁は熱くうねった。
深く指を弄り入れると、子宮の入り口が降りてきていた。
もう片方の手で、今度は花芽を撫で回す。

「ンっ……!いっ、あっ、あぁっ!」

ヤマメは快楽の渦に悶えていた。
堪え難そうに息を吐き、身を捩らせるが逃げ場などなかった。
一層、高い場所へと追い立てられていった。

「あぁッ、ぁ、う、ううッ……!」

こぷっ、ぬぷぷっ。
糸の成り損ないと蜜の混ざった重たい液体が、音を立てて漏れ出した。

「はぁっ、イくっ……!あ、ああぁ……ッ!!」

ヤマメは身体をがくがくと震わせて、パルスィの腕にしがみついた。
それに合わせて指がきつく締め付けられ、パルスィはヤマメに絶頂が訪れたことを知った。
ヤマメが額にかいた玉の汗を、枕元の手ぬぐいで拭き取って、パルスィは静かに口付けをした。


***


「綺麗にするから、少し待っていて」

手拭いを濡らしに行こうと、立ち上がりかけたときだった。

「はぁっ……ぱる、しい」

弱々しく息をしながら、ヤマメはパルスィの裾を引いた。
まだ顔は赤く、気だるそうに肢体を大きく放り出している。

「なぁに」

穏やかな口調で問いかけ、視線をヤマメの顔へ向けた。
ヤマメはパルスィの膝に頭をこつんとつけて、恥じらいがちに云った。

「すき」

それからひとつ間をおいて、

「おうち、出ていってごめん」

パルスィは微かに笑って、ふわふわしたヤマメの頭を繰り返し撫でた。
僅かに髪を撫でる音がするばかりであった。
それからというもの、ヤマメは二度と家出をしなくなったし、飯も残さなくなったという。



おしまい
ʅ(´◔౪◔)ʃ<どうも、ゑゐでしゅぅ。
ʅ(´◔౪◔)ʃ<8月8日はやまぱるの日でし!!!!!
ʅ(´◔౪◔)ʃ<ニコ動に投げてある、【ニコニコ動画】【東方】演目土蜘蛛_第1話前編【手書き】と合わせて楽しんでいってね!!!!!!
ʅ(´◔౪◔)ʃ<あわよくばやまぱるくだセックス!!!!!!!

ʅ(´◔౪◔)ʃ<コメントおへんじ欄

ʅ(´◔౪◔)ʃ<blue氏
ʅ(´◔౪◔)ʃ<読んでくれてありがとう。ぼくのなかではいつまでもヤマメチャぶち犯だよ!!!!!!
ʅ(´◔౪◔)ʃ<どうやったらみんなやまぱる書いてくれるのかな??!!!!
えいひれ
http://www.pixiv.net/member.php?id=615024
コメント




1.blue削除
おぉまた懐かしいものを…
相変わらずヤマメが可愛くて、悶えました。
やまパル……流行れ!!