真・東方夜伽話

口悪魔 -どうか音読みしてください-

2014/08/04 22:53:22
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口悪魔 -どうか音読みしてください-

喚く狂人

ホフゴブリンの精は尋常でなく良質で、凄まじい魔力が抽出できる。
ゆえに小悪魔は、彼らの要求に応え、精を搾り取る――。

「なぁ、なぁ、ちょいちょい」
 押し殺したような低い声に振り向くと、書架の陰から小さな手がのぞいていた。またか、と、彼女は嘆息する。
 近づけば、そこには予想通りの相手がいた。最近雇い入れられた、ホフゴブリンだ。醜い面をへらへらと歪ませながら、いよぉ、小悪魔ちゃん、などと馴れ馴れしく挨拶してくる。わざとらしい態度だった。黙礼を返し、問う。
「なんのご用です? 仕事中ですから、緊急でないなら後にしていただきたいのですが」
「ああ、もちろん緊急だぜ? 急ぎの用事ってやつだ。だからそうツンケンすんなって、な?」
 その割に、口調にも態度にも、シリアスさは一切なかった。実際、連中のいう「緊急」が急を要したためしなど、彼女の知る限り一度たりとてない。
 ちッ、と、聞こえない程度に舌打ちした。この連中には虫唾が走る。軽佻浮薄――ホフゴブリンという種族を一言で表現するなら、その四文字がぴったりだ。真摯さと対極にあるようなふざけた態度は視覚的にうるさく、目に障る。でっぷりとした腹といい、脂の浮かんだ団子鼻といい、どこをとっても人の神経を逆なでするために作られたかのような造形をしている。
 存在自体、図書館という知的空間に似つかわしくない。長いこと司書を務めてきたためか、小悪魔はそういう輩に対して嫌悪を抱く傾向があった。その性癖は、彼に対しても遺憾なく発揮されていた。
「それで? その急ぎの用事というのは? さっさと話して下さいよ、急を要するんでしょう?」
 要するに嫌いなのだ。それでも彼女は、館の面々で順位づけた場合、ホフゴブリンとの会話頻度において上位に位置づけられる。矛盾した態度だが、それなりに理由がある。彼らとの関わりは、大きな利益をもたらすのだ。感情で放棄するのは合理的でないといえるほどの利益を。
「へへ、実はよぉ」
 わざとらしい前置きも、苛立ちを助長する。もったいぶったところで、どうせお前が私に対してもちうる「用事」などひとつしかないだろうが――湧き上がる言葉を、小悪魔は飲み込んだ。言ったところで聞かないのだから。
「ちょっとばかしな、ムラッ、と来ちまったわけだ。だからよ、悪いけど『相手』してくれや、へへへ」
 下品な笑いを浮かべながら、彼は無遠慮に、みすぼらしい腰布――それが唯一の装身具だ――を解こうとする。彼女は目を見開き、それを押しとどめた。
「何を考えているんですか。こんな公共の場で。それに、仕事中だと言ったはずですが?」
「なんだよぉ、ダメだってのか?」
 彼は唇を突き出した。まるで、不当な物言いを受けたとでも言うかのように。ふざけるな、と、内心に黒いものが吹き上がる。
「当たり前でしょう。時と場をわきまえなさい。気でも狂ったんじゃないですか? ――それは元からですか。この色情魔め」
「ひっでぇ言いようだなァ。小悪魔ちゃんも、チンポ大好きなくせによぅ」
「下衆が……」
 一応、忌々しく呪わしいことに、彼らは小悪魔にとって同僚にあたる。そんな相手にずいぶんな言いようだったが、どうせ一度や二度罵倒されたところで、その分厚すぎる面の皮は貫けないのだ。自分の精神衛生のために、彼女はずけずけとものを言う。
「冷たいこというなよなぁ。ちょっとヌいてくれるだけでいいんだって、な? たのむよォ。このままじゃ俺も仕事に集中できなくてよぉ」
 お前に集中力などというものが備わっていたのか――言わんとする前に、ホフゴブリンは彼女の手を取り、己の股間に押し付けていた。
 あちこち染みの浮かぶ腰布越しに、それの感触が伝わってくる。弾力を備えつつも硬く膨らんだそれの感触が。すぐさま手を振り払った。
「いい加減にしてください。この猿が」
「おいおーい。そんな目で見るなって。せっかくお望みのもんに触らせてやってんのによう。……ま、そういうリアクションの方が、かえってヤりがいがあるんだけどな、へっへへ」
 思い切り、蔑んだ視線を投げかけ、舌打ちする。効いた様子はなかった。
 手を見つめる。汚らわしいものに触らされたそれを。――暖かかった。硬かった。驚かされるほどに。針の先端で突つかれたときのように、彼女の中の何かが跳ねた。
 そうこうしているうちに、彼は汚らしい布を解いて、放り投げた。戒められていたそれが、ぼろん、と、発条仕掛けの橋のように跳ね上がった。
「そぉら、見てくれよこのコレ。立派だろ、ビンッビンだろ。いやもうこんなんぶら下げて歩いてたら仕事なんねぇわ、つれぇわー。あーだれか鎮めてくれねーかなぁー」
 グロテスクに充血したそれを指さしながら、わざとらしく演技してみせる。
 ホフゴブリンは妖怪の中でも比較的小さな種族だが、一方でそれは体格に不釣り合いなほどのサイズだった。ペニスの隠喩として刀や槍が挙げられるが、それはむしろ柱のようですらあった。
 むわぁ、と、雄の匂いを放っている。嗅覚ばかりか視覚にまで働きかけるようなフェロモンがまき散らされている。びきびきと張った亀頭、深いエラ、ぐねぐねと血管の這う肉幹と、それはまさに男の象徴であるかのようだった。穿った穴を己に奉仕する淫らな洞窟へ作り変えるドリルだ。女という生き物であれば、例外なく惹きつけられてしまうような――そう、小悪魔ですらも。
 あんなものにもし、抉られたりしたら――。
「ほれほれ、ガン見してんじゃねぇか。口ではああだこうだ言っても、やっぱ淫乱だねェ。ケケケ」
「誰が……」
 指摘され、ふいと、そこから目線を外した。いいさいいさわかってるからよ、と、ホフゴブリンはニタニタと笑っている。羞恥とともに怒りが湧き上がる。彼女がもう少し理性的でなかったなら、彼の顔面にはいまごろ踵がめり込んでいたことだろう。渾身の蹴りが。
「な、な? どうせ小悪魔ちゃんもチンポ欲しいんだろ? ザーメンがよぉ。とっととヌいてくれって」
 どこまでも下衆な物言いに、頭が痛くなってくる。はぁ、と、もう一度嘆息し、彼女は呟いた。
「何度も説明しましたが、あなたのその貧相なものなんてどうでもいいんですよ。私は魔力が欲しいだけなんですから」
 魔力――それが彼女にとっての、ホフゴブリンとの関係から得られる「利益」だった。
 小悪魔、という名前が思い切り示しているように、彼女は悪魔だ。そして、人間の生存にある程度の栄養が必要なのと同じ意味で、悪魔には魔力が必要となる。ただ、人間は何でも適当に食べていればとりあえず生きていけるが、彼女らはそうもいかない。適切な手段や方法――たとえば吸血鬼なら血というように――で摂取しなくては、ざるで水を汲むような、無駄な努力になってしまう。
 彼女には複数種族の血が流れているが、こと食事に関しては淫魔のそれが色濃く現れている。これが問題だった。淫魔といえば異性の夢枕に現れ、精を啜るもの。しかし、ついこの間まで、紅魔館に男は居なかった。
 夢に現れるという行為は、自分の家から出て、道を歩いて、他人の家に上がり込むのによく似ている。道を歩くのには魔力を使う。そして道の長さは、対象との物理的・精神的隔たりによって決まる。紅魔館の最寄りで男のいる場所といえば人里だが、物理的距離は随分とある。使い魔風情がそうそう出歩くこともできないため男の知り合いなどおらず、対象との精神的距離――親しくなさは最大となる。従って、「道」も相当に長くなる。
 あげく、そうまでして必死になって夢に出たとしても、相手が「行為」の終わりまで寝ているとは限らない。朝が来れば終わりだ。運良く最後まで行けたとして、得られる精はごくごくわずか、直接搾り取る場合に比べれば滓とも呼べないほどだ。
 優秀な魔女の使い魔となり、吸血鬼の館で働き――などというのは、本来は彼女レベルの悪魔からすれば身に余るほどのエリートコースである。にも関わらず、ただ食料不足という一点がボトルネックとなり、悪魔としての彼女の格は全く向上してなかった。むしろ凋落すらしていた。
「魔力、魔力ねぇ。俺には同じに思えるけどなぁ。だってヤることが同じだもんな、へへへへ!」
 そこに来たのが、ホフゴブリンだ。当時の彼女は浮かれたものだ。飢えないで済む! と。彼らを招いた八雲紫に感謝すら捧げたい気分だった。……それは三日と続かなかったが。
 悪いことに、彼らは下衆の極みだった。向こうから誘ってくる女がいるとなれば、調子も乗る。躾のできていない犬よろしく、四六時中求めてくるようになったのだ。最近では、こうして仕事の最中にもやってくる始末だ。目に余る。
 それでも関係を断ち切らない理由として、この狭い人間関係の中で絶交するのは難しいというのもあるが、それよりも、彼らの精が類まれなほどに上質だったことが挙げられる。たった一回の精から、人間の百回分の魔力が抽出できたときには、変な笑いすら浮かんだものだ。
「ほら、なぁ、頼むぜぇ。小悪魔ちゃんの仕事ってのもよぉ。どうせそんな、急がなきゃならないもんじゃねぇんだろぉ?」
 彼は再び小悪魔の手を取り、びくびくとそそり立つそれに、今度は直接触れさせた。皮膚の下でたぎる熱、力強い脈動が伝わってくる。「雄々しさ」という言葉の象徴であるかのようだ。触れただけで、雌性を疼かせるようだ。
 モノも、得られる精も、まさに理想的だ。これを満足させられるのなら、淫魔冥利につきるだろう。――それらが百点でも、人格がマイナス一万点なのだから、これほどに口惜しいこともない。けれども彼女は、今度はその手を振り払うことはしなかった。いや、できなかった。刺激された彼女の中の「おんな」が、それをとどめたのだ。
 頭の中で、理屈が組み上がる。彼の言い草は腹立たしいが、確かに今のタスクは書架整理、緊急性のあるものではない。それに、どうせ頷くまでしつこく付きまとわれるのなら、とっとと満足させたほうが手っ取り早い。価値判断基準として、損得より先に感情がたってしまうのは、愚かだ。狡猾の象徴たる悪魔のはしくれとして、それではあまりにも情けない。
 理論武装は完成した。だから彼女は、短く、ごまかすように言う。
「さっさと済ませてくださいよ」
 通路から書架で死角になる位置に彼を誘導し、念のため、頭の中で勤務表を確認する。今日は図書館清掃の日ではない。見られるリスクは比較的低いはずだ。余程騒がない限りは。
「フゥー! さっすが、話がわかるねぇ。けど、さっさと済むかどうかはわかんねぇな。それは小悪魔ちゃんのサービス次第ってやつだからよぉ」
「ふん。……言っておきますけど、静かにお願いしますよ。パチュリー様に聞こえたら困るので」
「だぁいじょうぶだって、あの魔女サマは閲覧エリアにいるんだろ? こっからじゃ、叫んだって聞こえやしねぇよ」
 「大」という接頭辞を冠するだけあって、この図書館は非常に広い。閲覧エリア――という名の、パチュリーのパーソナルスペース――までは、直線計算で徒歩五分ほどもある。迷路じみた配置の書架をくぐり抜けるとなれば、所要時間はその五倍ほどにもなろう。けれども、静か過ぎるここでは、小さな声が随分と響く。だから騒ぐなと伝えたのだが、彼は気にも留めない。
「そらそら、早く世話してくれよぉ」
 彼は急くように、ぶらぶらとモノを揺らしている。その前に跪く。汚らしいペニスが、眼前に大写しになる。持ち主と同じく、欲望と迷惑を振りまいているようなモノが。勃起したそれは、蛋白の匂いを基調とした雄の匂いを、むわぁ、と周囲にまき散らしている。女を狂わせ、己に従わせる香りを。
 思わず動揺した。きゅうん、と、己の内側が疼くのを感じたからだ。それは間違いなく、己の中の「おんな」の、目覚めの声だった。
「あ、洗えと、以前伝えたはずですが」
 またもごまかすように言う。気付かれなかったか、あるいは気づいたうえで見逃されたのか、彼は平然と返す。
「おっと、悪いね。つい忘れちまった」
 嘘をつけ――と、いう言葉を、彼女は飲み込んだ。どうせ聞きはしない。代わりに小さく溜息をついた。熱くなりつつある身体を鎮めるためのものだったが、効果は限りなく薄かった。
 改めて、それに視線を向ける。ビキビキと膨らんだぷっくりとした亀頭、節くれだった肉幹には、この夏の熱気の中、腰布の内で蒸らされていたためか、うっすらと、煮詰められた汗が浮かんでいる。
 間近で見るに、やはり雄としてはこれ以上ないほどの剛直だった。その圧倒的な存在感は、淫魔の血を継ぐ彼女をして魅入らせるほどのものだった。
「おいおい、そんなに目尻垂れ下げて嬉しそうに眺めちゃってよ。いいんだぜ? 好きなだけ咥えてくれて。そしたら俺は気持ちいいしあんたも興奮できる、ウィンウィンってやつだろ」
 覚えたての言葉を使って、彼は耳から毒を垂れ流してくる。何を頭の悪いことを、と、正常な思考ならシャットアウトできたろう。しかし、雄の代名詞とでも呼ぶべきものを目の前にし、思考に甘い痺れがかかっている状態では、それはてきめんに効く。
「あ……かぷ、ん、ぐ、ぢゅむ」
 口を大きく開き――そうしなければ、到底咥えられない――それを迎え入れる。途端に、特有の生臭さが口内に広がる。衛生観念に欠ける彼らの、腰布の中で蒸らされたモノの匂いだ。
 決して、快いものではないはずだ。にも関わらず、彼女の根幹たる部分は――おんなとしての根幹の部分は、甘い痺れを覚えた。
「おおっ……相変わらずヌルついて、すげぇ口だな、フェラするためにあるみてぇだ……いいぜぇ、溜めたチンカス、しっかり掃除してくれよ」
 ゆっくりと、舌を動かしていく。口内を満たす雄匂が、どんどんと強まり、思考を停滞させていく。代わりに、おんなの本性が現れていく。身体が火照る――ブラウスのボタンを一つ外す。
 ぬる、と、舌先がぬめつくものにふれる。恥垢だ。こそぎ落とすように、肉幹に舌腹をぴったりと這わせ、一周、二周と、ぐるぐると回していく。ときおり、裏筋を舌先で突くように愛撫する。彼はぞくぞくと腰を震わせた。
 すぅぅ、と、鼻から息を吸う。新鮮だったはずの空気は口内を埋め尽くしている侵入者によって汚染され男の匂いをまとい、肺を侵していく。嗅覚が、ペニスに支配されていく。
「へへ、積極的だねぇ、やっぱチンポ大好きなんだろ? え?」
 痴女のような真似をさせられることに抵抗はあったが、その抵抗も、雄臭による麻酔によって薄れつつある。それに、今の彼女には大義名分もある。恥垢も高品質な魔力の源となるから、「摂取」したほうがずっと効率がよいのだと。感情より先に、損得で考えるのだ――感情が先に立ったとして、じわじわと雌が目覚めつつある今、結果は変わっただろうか?
「ん、ぐ、える、んむ、ぐぽ」
「おっほぉ、いいぜぇ、いいぜぇ。しっかしアレだな。口ではやいのやいの言ってたけど、いざ始めるとすっげぇ積極的だよなぁ」
 唇を窄め、頬を窄め、圧をかけながら頭を前後させる。唇で陰茎体を扱き上げながら、舌で亀頭を絡みつかせる。穿るように、舌先を尿道に押し付け、くりくりと刺激する。端くれとはいえ一応は淫魔、そういった技術には事欠かない。
 それは間違いなく、「積極的」な奉仕だった。魔力のためだから――言い訳が通用するがゆえ、なんでもできた。
 深く、深く、それを根本近くまで咥え込む。体格に対し不釣り合いなほど大きなソレを全て迎え入れるには、喉壁近くまで使わねばならない。生理反応として胃が持ち上がり、えづきそうになるが、気力で抑えこむ。
 ペニスの根本、黒黒と茂る陰毛から、先ほどまでとは比べものにならない濃密な汗の匂いが立ち上る。清潔という言葉から縁遠い彼らが、暑い中で一日活動した結果、熟成された匂いだ。間違っても快いものではないはずのそれは、しかし今の小悪魔には極上のアロマに感じられる。
「いいこと教えてやろうか、お前今完ッ全にメスの顔になってんぜ、ケケッ、本性表しやがってよぉ」
「ンッ、ぐ、ご、ぐ、ぐぐぅんむ」
 彼の指摘の通り、目尻を垂れ下げ頬を紅潮させ、至福だとでも言わんばかりにぐぶぐぶとモノにしゃぶりつくその様は、まさに牝だった。先ほどまでなら舌打ちの一つでもしていただろう言葉に、彼女は昂ぶりを覚える。身体の火照りが止まらない――ブラウスを開ける。たわわな胸から白い臍まで、露わになる。そこから放たれる白濁を乞うように、今まで以上に丹念にモノにむしゃぶりつく。
「オゥッ、おお、ォッおおオッ、イイねぇいいねぇ、そらっ、そんなにチンポ好きならッ、もっとくれてやるよッ」
「ぐ――」
 両こめかみから後頭部にかけてを、がっしりと掴まれた。まずい、と思う間もなしに、それは始まった。
「おぐッ、うげ、っ、ッごぷ、んぼ、ッ、グゥ!」
 ボールでも扱うかのように、彼は彼女の頭を前後させ始める。何の容赦も手加減もなしに。亀頭が咽喉をごすごすと突く様は、破城槌が城門を打ち崩さんとする様を彷彿とさせる。
 粘膜をがりがりと削られている。ひりつくような痛みが走る。目尻から涙がこぼれ落ち、胃はしきりに痙攣する。だが、彼はそんなことを気にするつもりはないようだった。ただ自分の快楽だけを追求しているのだ。
「いやー、やっぱよォ、女をッ、好き放題にッ、するってのはッ、最高だよなァァ!」
「ぼッ、ぐ、ぉ、ォグ、うぅぐッ! ォア」
 ぼぢゅ、おぶぢゅ、と、唇が唾液混ざりの水音を立てているのが分かる。鼻先と額に下腹部が叩きつけられる。味が、匂いが、脳までをも犯していく。
「ぶっ、んおッ、ぐっ、んぶぅぅッ」
 太すぎるペニスは今や食道にまで侵入し、噛み砕かれた食物のみが通るはずの細い路をごりごりと拡張していく。それは持ち主に快感を与え、逆に小悪魔には粘膜の剥がれる痛みと衝撃とを与えてきた。裸一貫で嵐の屋外に放り出された時のように、彼女はただ吹き飛ばされないようにするしかなかった。
「へへへ、分かるか、お前今穴になってんぜ、穴。俺のチンポ収めるための穴だ。正しく使ってやるよオラオラオラっ」
「ごぶッ、おぼ、ぐっ、ォえっ、ぐぶぅっ」
 責めは容赦なかった。言葉だけでなく、彼は本気で、こちらを「穴」としてしか認識していないのだ。粘膜を破壊される痛みに、目尻からぼろぼろと涙が零れていく。脂汗が噴き出し、視界が暗転し、手足の力が萎えていく――気絶しかけているのだ。
 掌で、彼の腰をぱた、ぱたとタップする。けれども、欲望に突き動かされた雄に、そんなことを気にかけてやるだけの心の広さなどあろうはずもない。それどころか、止めをさしに来た。
「よっし、いいぜぇ、そらっ、そろそろ射精してやるッ、お前が大好きでたまらない俺の貴重な貴重なザーメンをよぉ、全部飲み干せよッ、いや飲みたくなくても飲ませてやる、食道に直にぶち込んでやるッ、オッ、おお、おぉおおアァッ!」
「ッ、おご――ッ!」
 ばンッ、と、体当たりするかのような勢いで、彼は腰ごと叩きつけるようにして、最後の一撃を喰らわせる。後頭部が書架に叩きつけられ、目の裏に危険な閃光が走る。だが、そんなことをを気にする暇すら与えず、その瞬間は訪れた。
 食道に入り込んだモノが、どッ、どッ、と脈動しているのがわかる。体内へ直接、精液が流し込まれていく。食道壁へぶちまけられ、どろどろと胃へ下っていく。合わせるように魔力が身体を満たしていくが、そんなことを気にする余裕すらない。
「おーッ、おーッ、射精る射精る射精るッ、さっすが淫魔だ、喉使って搾りとってきやがる、おらっ、そのエッロいメス顔にもぶっかけてやるよッ」
 ずるりと、食道から喉奥、口腔、唇と、ペニスが這い出ていく。既にボロボロの粘膜を、ねずみ返しのようになっているエラが強かに引っかきあげながら。嘔吐感を伴った強烈な痛みに、腹筋が痙攣を起こす。
 びゅぐっ、びゅぐり、と、唾液まみれのモノの先端、小さく開いた尿道口から、熱いたぎりが放たれ、彼女の白い肌を汚していく。髪、顔、乳房の谷間と、余すところなく。
「うっお、やっべ、すっげー射精る、へっ、ちょうどいいや、金玉の中身全部ぶちかましてやらァ」
 べちゃ、べちゃちゃ、と、己の身体を欲望が汚していくのを、朦朧とした意識の中で彼女は感じていた。それは体内外から彼女をじわじわと苛み、女としての昂ぶり、悦びを覚まさせない。
 宣言通り、体内の精液を全て吐き出さんとするかのように長く続いた射精は、ようやく終わった。上半身で汚されていないところはいないほどだ。
「さってと、掃除掃除、ッとぉ」
 さらさらとした紅色の髪に、彼は唾液と白濁にまみれたモノを擦りつけて、べっとりと汚していく。服まで汚され、口から白濁をこぼし、放心して虚空を見つめるさまは、事情を知らないものが見れば暴行でも受けたかと思うことだろう。
 胸で呼吸し、たわわな乳房を小さく揺らす小悪魔とは対照的に、彼は余裕綽々といった態度で、かぁぁ、と満足気な溜息をついてみせた。
「はーあ。満足満足っと。じゃーな小悪魔ちゃん。また溜まったら相手してくれよな、ケケケッ」
 自らが引き起こした惨状を省みることなく、彼はその場を後にせんとする。ああそうだ、と振り向く。
「セックスはしねぇって約束だけどよぉ。もしヤりたくなったらいつでも声かけてくれていいんだぜェ?」
 小悪魔は応えなかった。そんな余裕などどこにもなかった。しかしその言葉は、彼女の頭に確かに届いていた。
 ――ホフゴブリンが立ち去って、数分ほど経ったろうか。彼女はようやく動いた。
「けふっ、こ、かは」
 喉が、食道全体がひりひりと痛む。よくもまあ、無茶苦茶をしてくれた。それにあの言い様ときたら。
 嵐のような行為とその余韻が過ぎ去り、頭は少し冷静になっていた。体調はすこぶる悪かったが――悪くされたが、すぐに回復するはずだ。何せ魔力が身体に満ち満ちている。やはり連中の精は、他ではそうそう得られないほどに濃厚だ。
 呼吸を整え、頬に手を這わせる。ぬちゃ、と、生暖かいものが指先についた。溜息をつく。服まで汚されて、これは手洗いで顔を洗う程度では足りないだろう。シャワーを浴びて、着替えなくては。仕事が遅いと、あとで主人にどやされることになるか。また溜息をついた。
 ――指先を見つめる。白濁がこびりついている。口に含んだ。苦味が口に広がる――雄の味だ。女の本性を刺激し、雌に堕とす味、危険な味だ。けれども、やめられなかった。これも魔力の塊のようなものだから、と言い訳しながら、掬ってはぢゅぷ、ちゅぷと音を立てながら舐めとっていく。
「んッ、ふぅ、は、ふ」
 自身の中の女が、がんがんと刺激されているのを感じる。じぃん、と、腹の奥が熱くなるのを感じる。本能的な欲求に従って、彼女は脚を開く。その隙間に、白にまみれた己の指を差し入れる。スカートの内側へ。湿っていたショーツをずり下ろし、隠されるべき裂け目、秘められるべき裂け目へ指を伸ばす。
 くち、と、水っぽい音がする。そこは既に濡れそぼっていた。白い汚れをまとった指をくぐらせた。
「……ッく!」
 背筋が跳ねる。肉欲を求めていた本能の、悦びの声だ。そのまま、欲の命じるままに、白く細い指をくねらせる。その度、悩ましげな声があがり、華奢な身体がくねくねと蠢いた。
 セックスはしないと、そういう約束のもと、ホフゴブリンたちとは関係を続けていた。当初、こんな醜い連中にそこまで許すことはないだろう、どこから「摂取」しても得られる魔力の総量は変わらないのだし、と考えたゆえの条件だった。いくらなんでも、誰にでも股を開くほど頭のゆるい女になったつもりはない、と。
 けれども今、向こうが強引に求めてきたとして、自分はそれを拒否しきれるだろうか。彼らに声をかけずにいられるだろうか。考えてみるがいい。どこから「摂取」しても魔力の総量としては変わらないということは、逆にいえば、膣から得たとしても何らの問題もないということなのだから。感情で価値判断をするのは愚かだ。なら、「誰にでも股を開くほど」などという嫌悪感でそれを忌避するのも、また愚かだ。
 その瞬間の甘美な空想が脳裏をよぎる。そう、「甘美」な瞬間が。それは彼女をより昂らせ、その擬似行為により没頭させていく。魔力のため、魔力のため、損得に感情が優先されるのは愚かだからと、便利な言い訳を繰り返しながら、彼女はその行為にふけり続けた。静かな図書館の片隅に、押し殺したような喘ぎが、小さく響きわたりつづけていた。
小悪魔さんは気位高いけどチンポ好きだったらいいな。
めっちゃ罵倒されるんだけどあへあへしてくれたりするといいな。
最終的に自分から腰振って種付けおねだりしたりするといいな。

C86の2日め、私は落ちましたが委託させていただけることになりました。タ-13b「夜空の最果て」様にて頒布します。やったぜ。
蓮子ちゃんが肉体と精神の自由を剥ぎ取られてエロいことされまくる新刊「淫行どうでしょう」と、以前出した「淫果応報」の冊子版です。よしなに。
これ新刊の特設な http://wamekukyouzin.wix.com/inkou-doudesyou
喚く狂人
http://wamekuaeguononoku.wordpress.com
コメント




1.性欲を持て余す程度の能力削除
通勤電車でこれを読んで勃起が苦しいです。
えろい!
2.性欲を持て余す程度の能力削除
流石狂人さん
エロい、としか言いようのない作品に満足しております
3.性欲を持て余す程度の能力削除
汚していく過程がたまらなくエロい