真・東方夜伽話

つめたいゆび

2012/05/22 00:25:25
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つめたいゆび

優斗
*****



「…38.5。完全に高熱ですね。」


体温計を取り出した緑髪の巫女はため息と共に体温計の数字を読み上げる。目の前に敷かれたふかふかの布団の中に眠るのは、守矢神社の二柱のひとり。

早朝より優れぬ体調と、ひどく赤らんだ頬に起床を告げる巫女が眉間を潜めて、もう一度寝かせて薬箱を持ってきた結果がこれだ。

徐々に温かくなり始めた日々の暦に合わせて、そろそろ奥に仕舞った夏物を出さなければと思案するそばより、ぱたぱたと胸元を開けて着物で扇ぐだらしない涼の取り方をする神々。

巫女が昨日、急遽薄着を出したのが問題だった。

今は代えとして、長めの袖がある着物にしてはいるものの…。


「……私も少し反省しますが、神奈子様も悪いですよ。いくら暑くても足を出して寝るなんてはしたないですから」
「だって毛布暑いし…、むしむししてて…仕方なく」
「その結果が、今ですよ」
「…うぐ…、ごめんなさい…」


ずばっと叱咤され、神は毛布の中に顔を半分埋め、目線を反らす。声の調子はいつもと変わらないが、熱のためか弱々しくゆっくりと巫女に背中を向けた。その際にずり落ちた額にあったタオルを乗せ直して、呆れた様子の巫女の声が聞こえる。

自業自得、そういわれても仕方ないのは分かってはいるが…、…もう少し、優しくしてくれてもいいのにと呟く。


「…タオル、代えますね。」
「……うん、」


振り返らない神に、巫女は右手を伸ばしタオルを取る。熱を帯びたタオルを桶の冷たい水で冷やし、軽く絞る。裏の井戸で汲んだ水は夏でも冷たく、冷酒を冷やすのに適している。今は、神の体温を下げるために役立っている。

巫女は神にタオルを渡し、火照る頬を撫でて呟いた。


「……とにかく、今はお休みください。休息もまた薬ですよ」


撫でられた瞬間、ふわりと漂う香りと柔らかい掌と冷たい手。さきほどの井戸水のせいか、元々かは区別が付かないけれど、ひどく気持ちがよく神はじっと目を閉じて涼を取る。

そのまま、意識は眠りの淵へ。襖の滑る音と、薄く開く窓から抜けるそよ風、巫女の声が解ける。


「おやすみなさい、神奈子様。」






******




「……?」


一面真っ暗な空間に、神奈子が横たわる。

傍に近付く、一匹の蛇。…真っ白い蛇だ。

よくは見えないが、蛇は赤い舌を細かく出し入れし、徐々に歩み寄る。

そして蛇は神奈子の首筋を辿り、鎖骨と谷間が開いた隙間よりふくよかな胸元へと、滑り込む。

「!」


神奈子は小さく身体を震わせる。蛇は驚くほど冷たかった。火照っていた身体よりもずっと、ずっと。しゅるり、しゅるりと蛇は内側から身体を這い回る。胸元で丸い頭を擦りつけ、細い舌がかすかに肌を掠めていく。


「っ、ひっ、んんっ!」


それでいて下着を纏わぬ胸を身体でなぞり、舌がちろちろと小刻みに当たる。神奈子は蛇の行為にたまらなくなり、身をよじって回避しようとするものの動くのは、首だけで。依然として這い回る蛇は、とどまらず胸の突起付近を頭が掠める。


「ん、っあ……、やだ、…なにこれっ……、」


熱に火照り続けている身体ゆえか、冷たさが背筋を撫で快楽を生む。漏れた声を防ぐために、唇をきつく噛む。

蛇は、神奈子に構わずおかまいなしに、頭を立ち上がりつつある果実へ擦りつけ、舌をちろりと出し入れする。神奈子はそのたびに、声を唇の隙間から漏らす。


「っ、あ、ああっ…や、…」


しばらくして、蛇は唾液を擦りつけ、頭を下げて下腹部へと進む。腹の辺りで頭を擦りつけ、帯の奥へと膨らんだ頭部をねじこむように。布の擦れる音と、汗ばむ太股の奥へ掻き分け進む。

神奈子は火照った頭でとっさに手を動かすも、両手が動かずされるがままに蛇の動きを感じていた。蛇の頭が下腹部の布を切り裂き、茂みを掻き分けて進む。とろりと、自覚できるほど滴る蜜へと冷たさが集中していく。


「…っん…、」


神奈子は来るであろう快楽を予想して両手をきつく握り締め、目を閉じた。



***



「……!」

目を開ける。


映るのは蛇ではなく、見慣れた部屋の天井で。
ぎゅうっときつく握り締めていた毛布から手を離し、少しして長く長くため息をついた。

どくどくと波打つ鼓動を感じながら、神奈子は蛇が通った首筋を撫でて、瞼を伏せた。―蛇の体温は、とてもあの子に似ていた。


「………夢か、…真か。」




***


暫くして、巫女が顔を見せた。代えたばかりの冷たい井戸の水が入った桶を抱えて、「起きられましたか、」と笑った。

巫女が腰を降ろし額からタオルを取って、また冷やす。神奈子は横目で見ながら、傍に置かれたブランケットを肩に掛けて身を起こす。



「夢を見たの」


神奈子は唐突、切り出す。

「夢ですか、」
「…一匹の白い蛇が出てきた。今思えば、早苗だったのかなって思うの」


にっこりと弱々しく笑みをかたどり、神奈子は傍に控える早苗に笑いかける。早苗はよく分からないと疑問の表情で眉を寄せつつ、タオルを桶に掛ける。


「どうして、蛇だけで私だと」
「…見えなかったけど、瞳の色は黄色だと思ったの。蛇が触れた瞬間の冷たさも、…早苗だったから」
「……、そうですか。…そろそろ、横になられてください…治るもの治りませんよ、」


早苗は神奈子の肩に掛けたブランケットを取り、肩に手を掛けてゆっくり身を倒す。暗がりに神奈子の顔はまだ微笑んでいるが、早苗の表情は緩やかに戻り穏やかな表情を浮かべて、困った顔になる。


「…それにね、とても優しかったけど、意地悪だった」
「それ、矛盾ですよ神奈子様」


神奈子は答えを確信し、笑みを作って琥珀色の瞳を見つめる。奥の蜜は常温のまま、揺らぐ。


「…ふれてくるのに、気持ちよくはさせてくれなかったとことか、」
「…!……そうでしたか、」


一瞬だけ不意を突かれて早苗は、苦笑いの笑みを深める。


「……それなら、神奈子様は今、何を望まれるのですか?」


早苗は右手で横たわる頬を撫で、蛇と同じように首筋を人差し指でなぞった。鎖骨まで形をなぞってから、かがんで答えを求めて耳を寄せる。
相手は発熱状態の、恋人。

揺れる葡萄色の瞳から、溢れる雫。欲情しないわけが無いのに、瞼を伏せて、一度瞬き。

奥からとろりと溢れる、欲。蜜色の目が身体を射抜く。神奈子は少しぞくりと冷たくなりつつ、手を伸ばす。


「…ちゃんと、触って欲しいな」
「……分かりました。『今度は』、きちんと…貴方を」
「………うん、」


首に腕を回し、逃げられなくなってしまっては仕方ない。巫女は気付かれないように笑い、着物に手をかけて前を開く。



***

…意地悪するつもりではなかった。実際には、そう取られてもおかしかったかもしれないがそれは大きな誤解だ。…神様は、意地悪すると可愛いから仕方なくなのに。今さっきだってそう、していたのは「私」。

けれど、導き出すのは違うものだから。現実でめいいっぱい、私で満たされてしまえばいい。



「っ、…」


前ばかり開いて肌に手を当てる。肌に触れるといつにも増して、熱い。熱のせいもあるものの、早鐘を打つ鼓動が肌からも耳を当てて伝わって来る。夢の事が尾を引いているのか、神様は私の左手を握り締めるのにそっぽを向いたままで。(きっとあとで、顔が見たいと泣いてしまうはあなたなのに)


「神奈子様、もう熱いですね、」
「っ、…う、だって、…早苗が」
「私が何ですか、」


自由な右手で立ち上がる突起を背中越しに責めていく。些か汗で濡れた突起を指先で摘んで、切ったばかりの爪で甘く痛みを与えながら。何度か繰り返すと、びくっと身体が跳ねる。


「っ、ふぁ…っ!…意地悪するから、私、」
「…だから今、優しくしてるんですよ。…すぐによくなりますから、」
「ん、んんっ…うん……っ、あ、ああっ」


神奈子はその言葉を聞いて、ぽろりと瞳から涙が落ちる。早苗には気付かれない内に右手で拭う。あの蛇でも、怖いなんて感情は無かった。…それは、確実にこの子だったから。嬉しくて泣いてしまうなんて、きっと笑われてしまう……。

(冷たい指が当たるたび、思い出すなんて…)

神奈子は胸の上をなぞる指を感じつつ、無意識に左手を帯の辺りへと伸ばす。蛇が、いけないの。もう、むり。自由になった今ならば、満たせるの。余熱に従い、手を忍ばせて…指先は隠れた着物を裂く。神奈子は指を動かしつつ、早苗の刺激にもまた、声を漏らす。


「っ、んんっ!…さ、早苗…みみは、…」


早苗は神奈子の耳朶に噛み付いて、唾液を塗り歯を立てる。はむはむと味わいつつ、掌に余る乳房を撫でていく。汗で手が濡れて滑ってしまったら、隠れた肋骨をなぞってくびれのラインから、下に下に。


「…!…あれ、…?」


そう思っていたら、当たる熱。離れていない右手とは違う、もう一つのいけない手。くちゅりと、下腹部の奥で煮える蜜の音が聞こえつつ神奈子様の左手を触ると、発熱からも噴出す汗と蜜の香りが混ざりあっていた。


「っ……、あ、」
「…もう、仕方ない方ですね…」


私は爪と指の関節を濡らす蜜を、躊躇いなく舐め取っていく。全て舐めたら、吸ってきれいにして、歯を立てる。とろりとした葡萄色と目があって、笑い返す。


「…神奈子様、だめですよ。勝手によくなるなんて、」
「…っう、ぁ、だっても、…私、やだ……早苗、っ」


ぐずりだすのは、かみさまのわるいくせ。あやしながら、手は下腹部の茂みを突き抜けて、充血して煽る突起をなぞってやる。


「はいはい、泣かないでください。…それとも、私はいりませんか?」


零れ落ちる涙を舐めて、空いた手で髪を撫でて慰める。


「っ、やだ…っ、早苗の指がいいの…っ、」
「……いつもこう、素直だと可愛いんですがね……神奈子様、」
「っん!…ふぁ、」


自らの指を受け入れていた蜜口は、ひどく濡れそぼり早苗の指も軽くくわえ込み離さない。人差し指を濡らしつつ中を確かめ、神奈子の様子を伺いながら指をふたつに増やす。熱のせいかいつも以上に熱く、額から流れ落ちる汗も多い。

「……、」


早苗は一度指を抜き、ぐるりと体制を変え顔が見えるように前に回りこむ。足の間に身体を滑り込ませ、押し倒す体制へと。神奈子は困惑し、焦って顔を隠すものの、早苗は優しく息を吹きかけ、再び耳朶を噛む。びくりと、跳ねる身体。


「神奈子様、…私の責任で構いませんから…キスしてもいいですか?」
「ぁ……、うぅ…だめ…そんなの…」
「お願いします…」
「っ……、でも…」
「……、神奈子様…」


顔を隠す指に前歯を当てて、痛くないように噛んで甘えて、解けるのを待つ。したくて仕方ないのは分かってるのに、まだ、理性が邪魔をしている。早苗は、一度キスを落として指の動きを再開させる。


「あ、っ…!や、…早苗っ…!」


中は煮えたぎり、指の先が溶けてもおかしくない気持ちでいた。神奈子の喘ぎを聞きつつ、早苗は指を中へと奥へと侵入させていく。深く深く繋がれる事なんて無くても、こうやって神様と私はひとつになれる。早苗は開き始めた両手を左手でどかして、表情を暴く。


「……ならせめて、可愛い顔をみせてください。…神奈子様、」
「ぅ、っ…、やだ……変だから、見ないでよ…早苗…っ」

枕に横顔を晒して、唇を噛んで刺激に耐えて吹き出る汗と涙。そういうのが、煽ってると世の中では言うのを知らないのだろうか、この人は。…さっき以上に強情な甘え下手な神様が、愛おしくて私はここに居るのに、


「嫌です。…そんな貴方が好きですから、…私は」「…っ、……早苗、…あ、…私…もぉ……、っ」
「……はい、」


言葉を聞いて、震えだす中と絡み合う目線。きりっとした普段の神様、じゃなくて腕の中にいるのは私の可愛い人。


「っ、んんっ」


かさついた唇を一度奪って、重ねて離れて。早苗は神奈子の上唇を舐めて、今度は下唇を舌先で潤していく。目をぎゅうっとつぶった顔を楽しみながら、顔を離す。今度は自由な両手が背中に回り、衣服にしがみつかれる。


「……、もうすこしです、…」
「…うん、…んんっ、」


くっつけた額の熱は、比べ物にならない温度でくらりと揺れた世界の中に私はいる。神様の意識がもつのも、もう少しだけだから。早苗は指を蜜へと擦り付けて、中の形をなぞりスライドしていく。


「っ、ぁあ…っ、や、…早苗っ…!」


神様の感じるところをめいいっぱい、愛して。果てるまで、指を擦りつけて。中でも外でも、私だけを感じられるように。



****



「……ねちゃった」


汗と体液で濡れた着物を脱がせて、身体を綺麗に拭いて、綺麗な着物を着せて布団の中へ。些かすっきりした顔で眠る神様に、タオルを乗せる。


「………、」


早苗はじっと自らの指を見つめる。随分と昔に、「好きだよ」と言ってくれたつめたいゆびで、まだ熱い頬を撫でる。

柔らかい弾力が指先からそっと伝わる。

巫女は誰に言うまでもなく、呟いた。


「……こんどは、いいゆめでありますように」




翌日は、けろりと快復した神様と発熱をこじらせた巫女の両名が鴉天狗によって確認されたとかされなかったとか……?





end.
****

どうも、優斗です。ある方へのバースデーSS(5/15)として押し付け(というプレゼント)させてもらったものです。

ラジオで看護の日と聞いたから風邪ネタにしたけど、

よくよく調べたら日付間違ってて泣いた。

…看護の日は5/12です。

***
優斗
https://twitter.com/#!/silver_life08
コメント




1.名前が無い程度の能力削除
私は…蛇になりたひ