真・東方夜伽話

愛娘のための実証

2010/12/21 05:11:25
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愛娘のための実証

そよ松
 神綺は、それはそれは心配だった。



 そもそも、アリスの異状は朝から明らかだった。
 家族揃っての朝食の席、一番遅くにふらりと起き出してきた末娘は、見るからに沈鬱な面持ちで深く俯いたまま、ほとんど食事に手を付けようともしなかった。
 一体どうしたのかと神綺や姉たちに問い立てられても、アリスはろくに口もきかない。どこか痛いのか、具合でも悪いのかという問いにはひたすら首を振るばかりで、結局またふらふらと自分の部屋に戻り、閉じ籠ってしまったのである。
 母は青くなり、姉たちは首を傾げ、それから皆で頭を突き合わせて考えた。アリスになにがあったのか?
 昨夜、夕食が済んで皆がそれぞれの部屋に散るまで、アリスの様子になんら変わるところはなかった。何かが起こったのだとすればその後ということになるが、神綺自身に思い当たる節はなく、日頃から妹たちの世話を焼いている夢子も、アリスと歳が近いユキやマイも、なにも心当たりがないという。
 心配だった。事情が判らないだけに、余計に。
 むろん神綺はこの事態を解明すべきだと思ったし、それを抜きにしてもアリスと一緒にいてやりたかった。しかし折悪しく、そして珍しいことに、ここ最近の神綺は多忙を極めていた。
 つい先日、一部の魔界住民が幻想郷との境界を無分別に出入りし、そのせいであちら側の巫女がクレームを抱えて殴り込んできたことがあった。魔界神たる神綺は今、その騒動の後始末と今後の施策のために奔走しているのである。
 断腸の思いでアリスの傍を離れ、神綺は仕事の鬼に徹した。他の娘たちも娘たちで末の妹のことを案じており、たびたびアリスの様子を見に行っては神綺に知らせてくれるのが救いだった。
 折々の報告を聞くたびに心を千々に乱しながら、結局神綺は丸一日、公務に忙殺されることになったのである。


 ◆ ◆ ◆


「はぁぁ――――――――――……」

 月が瘴気にゆらめき輝く、魔界の夜。
 ようやく激務から解放されて自室に帰り着いた神綺は、枯れた足取りでベッドに歩み寄るが早いか、迷わずぼふんっとダイブした。
 死んだ。

「……………………」

 屍になること六十秒。
 もっそりと体を起こし、乱れた髪を撫でつけ、再起動した神綺が真っ先に思い浮かべたのは、もちろんアリスのことだった。
 逐一入ってきた報告によれば、結局アリスは一日中部屋に閉じ籠り、ドア越しにいくら話し掛けてもその思惑は判然とせず、食事も満足には摂らなかったという。夢子いわく、明日もこれが続くようなら無理にでも食わせる必要がある――と。

「うぅ」

 一日中不安で潰れそうだった胸が、更にきゅうっと締め付けられる。もはや物理的に痛い。体に悪い。
 アリスは今どうしているだろうか。いつもの就寝時刻は過ぎた頃合だが、もう寝てしまっただろうか――?
 神の務めを果たして一人の母親に戻った今、神綺の我慢の限界は瞬時にして崩壊した。一も二もなく矢も盾もたまらず居ても立ってもいられなかった。アリスに会いたい。言葉を交わして、抱き締めてあげたい。それが叶わなければ、せめて寝顔だけ、寝息だけでも。髪を撫でて、キスしてあげるだけでも。
 よーし。
 いざ娘の部屋へ、と神綺はベッドから立ち上がって着衣を正し――ふと、ドアの向こうにかすかな気配が、

「アリスちゃんっ?」

 即断した。
 飢えた母の本能は伊達ではなかった。
 神綺は床を蹴破らんばかりの勢いで駆け出し、ドアなんてもの創るんじゃなかったと半ば本気で考えながらノブを引っ掴んだ。魔界神が加減を忘れれば扉一つで竜巻か衝撃波が起こる。神綺はもどかしい思いで、ゆっくりと慎重に、ドアを押し開けた。
 果たしてそこに――嗚呼、アリスはいた。
 さらさらの金髪とつぶらな瞳。
 小柄な体には少し大きい、空色のパジャマ。
 薄暗い廊下にぽつんと一人、母の部屋を訪ねるのを躊躇していたのか、中途半端に離れたところからぼんやりと神綺を見つめていた。

「お母さん……」

 沈んだ顔と声音で、アリスが呟く。
 アリスの姉たちは皆、物心ついた頃から日常的に神綺のことを『神綺様』と呼ぶようになっていたが、アリスだけはまだ母を母と呼んでくれている。
 どうにかしてずっと『お母さん』のままでいてくれないものか、と最近かなり真剣に頭を悩ませている神綺だったが、それはさておき。

「まあ、まあまあまあアリスちゃん――」

 神綺は母の本能に従い、なにはともあれ腕を広げてアリスに歩み寄った。
 事情の追求なんて、たちまちどうでもよくなった。今はただ抱き締めたかった。髪を撫でてキスしてあげたかった。
 というか、そうした。

「……ふ、ぅ」

 神綺の腕の中で、アリスが震える。表情がさらに崩れる。
 抑え込んでいたなにかが溢れ出すように。

「どうしたの? アリスちゃん」
「お、お母さ……ん、ふぇっ……」

 アリスが何かを言いかけて、すぐに息を詰まらせる。
 その揺れる瞳に、じわじわと涙が溜まり始める。
 焦らなくていいからね――。アリスが自分の腕の中にいることで少し余裕のできた神綺は、優しい声音で囁きかけながら、娘の背中をゆっくりとさすってやる。
 しばらくそうしているうちに落ち着きを取り戻したか、アリスはしゃくり上げながらも腹を決めた様子で再び顔を上げ、
 こう、言った。

「お母さん……もう、死んじゃう、の?」
「はい?」

 そんな予定は、無かったと思う。


 ◆ ◆ ◆


 神綺は最初、アリスのその言葉を、多感な年頃ゆえの心境の変化から出たものと解釈した。
 誰もがいずれは死ぬ。いつかは別れの時が来る。そういう事実にふと思い至って、急に悲しくなってしまいました――といった類の、子供だったら一度は通る道である。
 しかし、アリスの途切れ途切れの訴えを続けて聞いてみると、どうも話はそういう哲学的なレベルのものではないらしいことに気付く。
 何故かアリスは、他でもない母が、もはや余命幾許もないと思い込んでいるようなのだ。

「お、お母さんが、死んじゃう……」
「いやあの、アリスちゃん、」

 もちろん、神綺自身にそんな心当たりはない。
 ここ最近はなにかと忙殺されていたが、特にそれで体調を崩しているわけでもなかった。
 一体アリスは何を根拠に、母が死にかけているなどと思っているのだろうか――?

「うーん……じゃあ、中でゆっくりお話しようかアリスちゃん。はい抱っこー♪」
「ふぁ」

 泣きじゃくるアリスを抱き上げる。
 とにかく、もっと会話が必要だった。
 久しぶりに感じる我が子の重みと、耳元で響く嗚咽。嬉しさと心苦しさをない交ぜにした心地で、神綺はそそくさとベッドに向かうのだった。


 ◆ ◆ ◆


「ね。アリスちゃん」
「…………ん……」

 キングサイズのベッドの上に、親子二人がぺたんと座り込んで向かい合う。
 ようやく落ち着いて話ができる状況になり、逸る気持ちに身を乗り出しながら、神綺はアリスに尋ねた。

「どうしてアリスちゃんは、私がもう死んじゃうって思ったの?」
「だ、だって……」

 お母さん元気よ? と、深紅のローブを腕捲りして神綺は笑ってみせた。
 実際、神綺は健康である。
 健康すぎてちょっと困るくらいである。
 だからアリスの懸念がなんであれ、それは誤解に違いないのであって、とっとと聞いてさっさと解消してしまうのがなによりだった。
 さあこい。誤解こい。
 そう意気込む神綺の前で、アリスがためらいがちに口を開く。

「……だって、だってお母さん、」
「うん」
「昨日、さ、」
「うん」
「すっごく、苦しそうにしてて、」
「えっ?」

 昨日? 苦しそう?
 言っている事がよく解らない。
 そもそも神綺は昨日も忙しく、アリスともろくに顔を合わせていなかったのだ。

「アリスちゃん。昨日って、昨日のいつ?」
「夜」
「どこで?」
「ここ。お母さんの部屋」
「……」

 昨夜――。
 この部屋で――。
 そこまで聞いて、神綺は――――――――思い出した。
 昨夜。この部屋で。
 自分が、何をしていたか。

「ちょ、ちょっと待ってアリスちゃん、ゆうべ私の部屋に来たの?」
「うん」
「私と一緒に寝ようと思って?」
「うん」
「そ、それで?」
「んと……部屋の前まで来たら、ドアがちょっと開いてたから、中を見たの」
「ひっ」

 もとより、アリスが添い寝を求めて母を訪ねてくるのはそう珍しい事ではなく、神綺にとっても嬉しい日常だった。
 だからこの場合、問題は部屋の鍵をかけ忘れた神綺の側にあるのである。
 昨夜の己の迂闊さを心底呪いながら、神綺は処刑を待つ罪人のような心地で娘の言葉に耳を傾ける。

「そしたらお母さん、ベッドの上で、すごく苦しそうに震えたり泣いたりしてて……」
「えー」
「だ、だからわたし、お母さんがもう死んじゃうって……!」
「そのー」

 繰り返すが、神綺は健康である。
 健康で成熟した女性である。
 長命で強大な魔力を司る神ではあるが、その肉体は基本的に人間のそれと同様の性質を持っている。
 だから神綺とて食事や睡眠は必要だし、仕事で疲れることもあれば時には風邪も引く。煙草はやらず、酒は飲むが甘い物の方が好き。趣味は料理と小物集め。特技は万物の創造と大魔法『魔神絶唱』。娘はいるが夫はおらず、広い意味での伴侶もなく、欲求不満が溜まることだってあるし一部の悪魔が好むようなソレ系の魔法生物は怖くて気持ち悪いしたまには我を忘れて一人えっちに没頭したってしょうがないじゃない――!
 いつしか神綺は心の声で絶唱していた。

「……えー、コホン」

 ともあれ、問題はアリスである。
 ようするにアリスは、ベッドの上で快楽に悶える母を、苦痛で七転八倒しているものと勘違いしてしまったのだ。
 いまだに『そっち方面』の知識をまったく持たないアリスがそう考えてしまうのは無理もないことだし、娘の性教育を半ば意図的に留保してきた神綺にとっては自業自得ともいえる状況である。
 さて、なんと説明したものか。
 回避不能で待ったなしの教育現場に放り込まれ、神綺は懸命に説得の言葉を探す。

「あの、アリスちゃん。よく聞いてね」
「……」
「ゆうべの、お母さんのことなんだけど……あれはね、苦しかったり痛かったりしてああなってたわけじゃないのよ」
「えっ――?」

 潤んだ目をまん丸にして、アリスがさも意外そうな声を返す。

「じゃあ、じゃあどうしてお母さん、あんなに泣いたり震えたりしてたの?」
「え、えーっと、それはぁ……」
「どうして?」
「す、凄かったから」

 他に言い様があるだろうに、と自分でも思った。
 率直すぎて唐突すぎた神綺の返答に、アリスの細い眉がいよいよもって『理解不能』のカーブを描く。

「すごいって、なにが?」
「えと、その、凄く……良かったの。気持ち良かったの」
「……気持ち良かった? おふとんが?」
「ま、まあ、それもあるかなー」
「でも変だよ。おふとん気持ちいいけど、わたしはあんな風にならないもん」
「そ、そうよねー」
「……」
「……」
「お母さん、ゆうべ、死んじゃう死んじゃうって自分で言ってたよね」
「きゃん」

 なんという自縄自縛。
 言われてみれば、興奮に駆られてそんな事を口走ったかもしれない。
 いや違うんです、ちょっとした比喩表現だったんです――そう弁明したくともできるものではなく、窮する神綺を見つめるアリスの目にはじわりと疑惑の色が差す。

「……お母さん、うそついてる? ほんとは痛くて苦しいの?」
「う、嘘じゃない嘘じゃない! お母さん痛くもなんともありませんっ!」
「じゃあ、じゃあどうしてっ」
「だから、その……女の人ってそういうものなのよ。アリスちゃんみたいに小さい子はまだかもしれないけど、お母さんなんかはそうなの」
「……そういう、もの……?」

 神綺がようやく漏らした正論に、アリスの目が丸くなり、次いで細められる。
 母の言葉の真偽を推し測っているようだ。

「そういうのって、どんなの?」
「えと……ときどき体がムズムズして、自分で自分をあちこち触ったり、揉んだり、つねったり擦ったり掻きまわ……コホン、そういう事をしたくなっちゃうの」
「したくなって……それで?」
「す、するの」
「したらどうなるの?」
「だから、その、気持ち良くなって――」
「うそ」

 アリスの冷えた一言が、神綺の釈明を斬り捨てた。

「うそだもん。気持ち良かったら、あんな風にならないもん」
「ほ、ほんとだもん……」
「うそだもんっ!」

 叫ぶアリスの瞳に、再び涙が滲む。
 結局のところ、アリスにとって『気持ちいい』というのは、たとえば風呂上がりに母の櫛で髪を梳いてもらった時のような穏やかな心地のことであって、昨夜神綺が呈したような狂おしい反応とはどうしても結び付かないのだろう。

「やっぱり、やっぱりお母さん死んじゃうんだ……!」
「う、あの、アリスちゃん、」

 すべてを拒絶するように激しく首を振り、アリスは母に背を向けてシーツの上に泣き伏す。
 困った。
 実に困った。
 アリスの懸念が杞憂に過ぎないこと、そしてそれが母の身を案じてのことだったという点については、神綺としても多少倒錯した喜びを感じないではないが、今はそんな罰当たりな事を考えていられる状況ではない。
 今日、アリスは朝から晩までろくに食べていないのだ。誤解が解けず、いつまでもこのような状態が続くとしたら、それこそアリスの方が本当に参ってしまう。
 なんとかしなければならない。
 なんとしても、今この場で、アリスの認識を改めさせなければならない。






 神綺は、討って出た。






「アリスちゃん」

 呼び掛けながら、シーツに突っ伏したままのアリスへと慎重に手を伸ばす。

「うまく説明できなくてごめんなさい。アリスちゃんが私の言ってること信じられないのは、しょうがないことだと思う」

 細く柔らかな金髪に、ふわりと指先を沈める。
 アリスがぴくんと反応した。

「だから、ね」

 アリスの髪をそっと梳いてやりながら、神綺は腹を括って、

「アリスちゃんが、ゆうべの私と同じ事をして、それで気持ち良くなれたら、私が元気だって信じてくれる?」
「――――ふぇ――?」

 思いもよらない提案だったのだろう。
 呆けた声と表情で、アリスが体を起こした。
 なるほど、とんでもない提案である。神綺自身、それは重々承知している。だってしょうがないじゃないこれくらいしか思い付かないんだから……。
 この期に及んで下手な性知識を吹き込んだところでアリスは納得しないだろうし、仮に神綺が――これまた暴挙であるが――ここで昨夜の痴態を再現して見せたとしても、アリスの認識は変わるまい。
 かくなる上は実証するしかないのだ。
 他ならぬ、アリスの身体で。
 ろくでもない決意を込めて愛娘を見据える神綺に、アリスは戸惑いの視線を返す。

「同じ事って、どうするの?」
「私がアリスちゃんを、その、き、気持ち良くしてあげる。アリスちゃんはまだ、自分では上手くできないと思うから」
「……」
「ね、アリスちゃん。私は本当に元気で、絶対に死んじゃったりしない。どうか、それを信じて、安心して欲しいの。だから――」
「…………わかった」

 短いが、確かなアリスの一言。
 きりりと母を見上げるその瞳には、未知の事象に対する怖れと、それでもなお希望を掴もうとする意志が光っていた。

「して。わたしに教えて……お母さん」
「あっ――」

 アリスだって、好き好んで絶望しているわけではないのだ。
 本当は信じたいのだ。母の無事を。
 その真っ直ぐな気持ちに、不覚にも少々涙ぐみながら、神綺は応えた。

「は、はいっ! 頑張りますっ!」


 ◆ ◆ ◆


「これで、いいの……?」

 ベッドに両手と膝を突き、神綺に尻を向けた状態で四つん這いになったアリスは、不安げな表情で母を振り返った。

「う、うん」

 神綺も神綺で緊張していた。
 ある意味、娘よりも。
 これから起こる事――否、する事について今少しの躊躇を拭えぬまま、神綺はアリスの尻へと慎重に手を伸ばす。

「それじゃあ、えと、脱がすね?」
「……ん、うん……」

 アリスが小さく頷き、神綺は空色のパジャマのズボンに指をかける。
 意を決して手前に引くと、ゆったりとしたズボンは容易く脱げ落ち、白いショーツに包まれた小ぶりな尻の輪郭があらわになった。
 解放された体臭が、ほのかに鼻をつく。汗と石鹸の香りとが混ざり合った、どこか甘ったるい少女の匂い。日頃のスキンシップで嗅ぎ慣れているはずのその匂いは、まるでそれ自体が熱量を持っているかのように神綺の鼻腔を火照らせた。
 落ち着け、と己に言い聞かせる。
 ズボンを膝まで下ろして息をつき、次いでショーツを手を添えたところで、アリスがぴくんと身じろぎした。

「うぅ」
「ご、ごめんね。大丈夫だからね」

 囁きかけながら、神綺は恐る恐る、ショーツの縁に指先を潜り込ませる。
 素朴な純白の木綿に、飾り気のないデザインの下着。しかしそれは女児用の厚手でだぶついた感じの物ではなく、年頃の少女なら誰もが穿くような立派な女物である。
 それなりの装いと羞恥心を備えながら、母が尻込みしている間に肝心の知識を欠くことになってしまったアリス。神綺は心の中でもう一度『ごめんね』と呟きながら、思い切ってショーツを引っ張った。

「あ、ぅ……」

 下着が剥かれる。純白の木綿が端からくるりと裏返る。ぴったりと布に覆われていた肌が、少しずつ空気と光に晒されてゆく。
 尾骨の盛り上がりが顔を出す。
 尻の割れ目が端から徐々に露出する。
 肉付きは薄いが瑞々しく張りのある臀部と、その狭間にぽつりと息づく桜色の蕾。少しだけ、場違いな嫉妬を覚える。
 やがてショーツ全体が裏返り、股間に張り付いていたクロッチの部分が最後にぺろんと剥がれ落ちた。アリスの腰回りを覆うものは失せ、肛門から会陰部、こじんまりとした秘裂の下半分までが後ろから丸見えになった。

「は、恥ずかしいよぉ」

 剥き出しの尻が小さく震え、耳を真っ赤にしたアリスが耐えかねたようにうなだれる。
 だいじょうぶだいじょうぶはずかしくないはずかしくない。
 根拠のない言葉でアリスをなだめ、冷えそうな臀部に両の掌をあててやりながら、さてと神綺は考える。
 これからアリスに、いよいよ、その、なにがしかの愛撫に類する行為を施すことになるわけだが――。

「………………うん」

 決めた。
 手を添えたままの尻へと、神綺は顔を寄せてゆく。アリスの白い肌に焦点が合わないほどの、触れずとも頬で娘の体温を感じられるほどの、至近。
 左右の尻肉を手で軽く押し広げる。小さく凹凸の少ない肛門と、その周囲の湿った柔肌が神綺の眼前に晒される。
 神綺はごくりと唾を飲み、そろりと舌を伸ばすと、その小さな孔の中心を――ちょん、と舌先でつついた。

「ひっ!?」

 びくんっ、と反射的にアリスの腰が引く。
 にわかに慌てた様子のアリスが必死に首を回して己の下半身を見、いま母に何をされたのかを理解して血相を変えた。

「お、お母さんなにしてっ……!? そこ、汚いとこ、だめぇっ……!」
「ん……大丈夫。きれい、きれいよ」

 臆することなく、神綺は続ける。
 綺麗と言ったのも決して方便ではなかった。寝る前ということで諸々の用を済ませてきたばかりだからだろう、実際、触れるほどの距離でも不浄なにおいはほとんど感じられなかった。
 とはいえ、それでアリスのショックが和らぐわけでもないのだが……。

「やっ……や、だっ……う、ひぁぁ……!」

 未知の行為を受け入れようとしていたアリスにとっても、流石にこれは想定外だったのだろう。なおも舌を伸ばす神綺に、アリスはほとんど泣くような声を上げながらいやいやと首を振ってみせる。
 母の心は痛む。
 むろん神綺とて、これが性行為としてすら真っ当なものでないということは承知しているし、なにも歪んだ趣味で娘の尻穴を開発しようというのでもない。これはただ、どこまでもアリスのことを案ずるが故の選択だった。
 事情が事情とはいえ、初めての相手が実の母親というのはやはり問題があるだろう。ちゃんとした『初めて』は、いつかアリス自身が心に決めた相手として欲しい。ごく当たり前でいたって真摯な、母の偽りなき願いである。
 だからこそ、ここはあえて道を外す。親子でこんな事をしようというのがそもそもの間違いなのだから、行為の内容も間違っていなければならないのだ。
 それが、神綺の結論であった。
 あと、小さい子はお尻が感じやすいっていうし。

「ひっ……やぁ、お母さっ、おしり、くすぐった……ひ、んっ…………!」

 しかし、戸惑いに息を詰まらせるばかりの様子を見る限り、当のアリスはまだ快楽どころの話ではないらしい。
 少し焦る。
 僅かな刺激の度にアリスは腰を浮かせて逃げようとするので、一瞬だけしか舌を触れさせることができない。業を煮やした神綺は、左右からアリスの腰を掴んで軽く固定し、先程までよりも大きく身を乗り出すと、思い切って伸ばした舌を肛門一帯にべちゃりと押し付けた。

「ぅひゃあっ――!?」

 ひときわ大きく腰が跳ね、しかし神綺の両手はアリスの尻を掴んで離さなかった。
 神綺はそのままゆっくりと頭を上下に動かし、舌全体を使って娘の後陰部を広く愛撫し始める。
 逃れられない刺激にアリスは悶え、あがく両手でシーツをぐしゃぐしゃに握り締めながら小動物のように呻いた。

「く……んっ、くぅんっ……や、あぁ……!」

 やがて観念したのか、あるいは単に腰が抜けたのか、アリスの下半身は暴れることをやめ、母の愛撫にびくびくと震えるばかりの無抵抗な状態になってきた。
 神綺はひとまず手を弛め、伸ばしっぱなしだった舌を引っ込めて大きく息をつく。少し顎が痛い。
 会陰部から尻の割れ目の終端に至るまで、アリスの股ぐらは母の唾液でじっとりと湿っている。空気に触れて冷えたのか、目の前で尻穴がきゅっと皺を寄せて縮み上がる。
 神綺は再び舌先を尖らせると、その放射線状の皺の中心にぴたりとあてがった。

「ひぃうっ――」

 濃くなってきた娘の汗の匂い。
 己の唾液の蒸れた匂い。
 暑苦しい湿気が尻肉の狭間に立ち込めている。
 神綺は素早く上下に舌を動かし、何度も往復して愛娘の肛孔をぴちゃぴちゃと舐め上げてゆく。



 やがて――アリスの反応に、変化が表れた。



「んっ……はっ……く、んぁ…………」

 怯えと驚きばかりに染まっていた声から、僅かな――しかし確かな熱っぽさを孕む、鼻にかかった声に。
 ついさっきまで見て取れた拒絶の意思と逃げの素振りは既になく、今やアリスは素直に尻を突き出した姿勢を保ったまま、与えられる刺激に身を委ねていた。
 感じてる。
 感じてくれてる。
 母として、今日まで決して聞くことのなかった声。生まれて初めての快楽に喘ぐ、愛しい愛しい娘の声。目論見が叶ったことへの安堵よりも先に、どこか倒錯した喜びを覚える。

「アリスちゃん、気持ちいい?」
「ひっ――な、なにっ、これ、わかんな――んっ、あ、あぁぁぁっ――――」

 言葉にはできずとも、上気した肌から伝わる体温の高まりはアリスの肉体的興奮を如実に表していた。
 神綺は尻穴の縁を親指で軽く押し広げ、僅かに露出してぬらぬらと光る直腸粘膜を舌先でちろちろとくすぐった。

「あぁぁぁんん――――――っ!!」

 ひときわ響く嬌声。
 アリスが背中を大きく仰け反らせる。腰周りの肌がにわかに粟立って、全身がぶるぶるとわなないた。直後に肘ががくんと折れ、支えを失った上半身がシーツの中に深々と突っ伏した。
 明らかに、快楽ゆえの反応だった。
 もう――いいだろう。
 当初の目的を思い出す。
 アリスはもう十二分に実感したはずだ。性的快楽というもののなんたるかを。
 神綺は一旦手を放し、熱く湿った呼吸を繰り返すアリスの傍らへ静かに回り込むと、乱れたその髪にそっと手櫛をかけてやりながら語りかけた。

「アリスちゃん」
「……はっ……ぁ……」
「これでわかったでしょう? 女の子とか、女の人はね。こういう事をすると、苦しいような切ないような、でもすっごくいい気持ちになって、ああいう声が出てしまうものなの」
「……ふ、ぅ……」
「お母さんも、ゆうべ、こんな風になってたの」
「……」
「だから、お母さんは病気なんかじゃなくて、いつもどおり元気だから。もう心配しないで、ね? アリスちゃん」

 緩慢に首を巡らせたアリスが、熔けた瞳でぼんやりと母を見て、微かに頷く。
 どうやら話は通じたようだ。
 ああ、良かった――神綺は胸を撫で下ろす。
 誤解は消え、アリスを苛んでいた不安は解消された。ついでに性教育の遅れも一気に取り戻すことができた。あえて道を外した荒療治にも踏み切った甲斐があったというものだ。
 すっかり気が軽くなった神綺は、浮かれた調子で娘の尻に頬擦りし、

「それじゃあ、今日はここで一緒に寝ようね。ぐっすり寝て、明日はちゃんとごはんを食べて」

 アリスの膝まで下ろされていたズボンとショーツに手をかけ、

「さあ、いつまでもこんな格好じゃ風邪ひいちゃうから――」
「ま、待ってっ」

 えっ――?
 その切羽詰まった声と真摯な眼差しに、神綺はぴたりと止まった。
 眉をひそめて、娘を見る。

「どうしたの? アリスちゃん」
「お母さん、私、わたしっ……」
「うん?」
「ちゃんとわかったから……もう心配しないし、ごはんもちゃんと食べるから……」
「うん」

 だから、とアリスは続けた。

「お願い……もっと、もっとしてっ……!」
「え」

 その、ごく簡潔で率直な言葉の意味を、神綺はすぐに理解できなかった。
 それほどに、娘の言葉は予想と理解の範疇を超えていた。
 四つん這いの姿勢のまま熱っぽい視線を向けてくるアリスに、神綺は恐る恐る問う。

「えっと……アリスちゃん。その、もっとお尻、舐めて欲しいの?」

 朱に染まる頬を震わせて、アリスの横顔がこくりと頷く。

「……そんなに、お尻、気持ちよかったの?」

 羞恥に耐えるように固く目をつぶって、アリスの横顔がこくりと頷く。
 大変だ、と思った。

「あ、あのね、アリスちゃん。私から言い出しておいてアレなんだけどね、本当はこういう事って、あんまり小さい子はしちゃいけないの。今日は特別に、ちょっとしただけなの。だから、これでもう――」
「や、やだ、やだっ……もっと、もっとぉ……!」

 突き出した尻をふるふると振り、アリスは涙声で母に乞う。
 目眩がした。
 神綺としては、アリスの誤解が解けさえすればそれでよかった。故にそのための行為は、最低限のレベルに留められるべきものだったのだ。しかしその気遣いも手心も、当の娘にとっては今や不満の対象でしかなかった。
 アリスは、理解を超えて、虜になっていた。
 その無垢な心と体に、他ならぬ神綺が、火を点けてしまったのだ。

「はぅ……お母さぁん……」

 懇願する愛娘の声と視線が、ねっとりと神綺に絡みついてくる。
 どくん。
 なにか、先程までとは別の心臓が、神綺の内で異様な熱を帯びて脈を打ち始める。
 誤解を解くためだから。
 元気になってもらうためだから。
 ここまでの神綺の行動を辛くも支えていた諸々の建前が、ただ快楽を求めて尻を振るアリスを前に崩れ去ってゆく。



 ――鎮めて、あげなきゃ。



 取って代わるように、誰かが心の片隅で囁いたのはそんな言葉で。



 神綺の手は、その言葉に従った。



「あっ……は…………」

 震える手で、アリスの尻を掴む。
 加減の利かない指先が、弾力のある媚肉に荒く食い込む。
 それでも、アリスが反応して漏らした声には、明らかな喜びの色があった。
 どくん。どくん。
 抑えに抑えた声で、神綺は娘に告げる。

「アリスちゃん」

 それは、ある種の敗北宣言に他ならなかった。

「絶対、絶対、みんなには内緒だからね……」


 ◆ ◆ ◆


「――んふぁっ!」

 放射状に走る皺の中心に、尖らせた舌先をつぷりと差し入れる。
 アリスの肛孔はぴったりと隙間なく閉じており、侵入はほとんど叶わない状態だったが、そのまま入り口でぐにぐにと舌を蠢かせただけでアリスは存分に反応した。

「う、あっ――はひぃ、い、いぃ、おしり、きも――ちっ、いい、よぉ」

 有り余る快楽が、小さな身体を無様に暴れさせる。
 純白のシーツがばりばりと掻き毟られる。
 膝にかかっていたショーツが、もがく脚に引っ張られて限界まで伸びる。
 乱れる娘の腰をどうにか押さえつけながら、神綺は丹念に舌を這わせてゆく。

「ふぁっ――お母さ、あ、んっ――あぁぁぁんっ」

 こんな声、出せるんだ――。
 ぞくり、と疼く。
 幼くも艶めいた娘の喘ぎ声を聴くうちに、神綺自身の下腹がじわりと火照ってくる。
 だめ。
 無意識的に己の下半身へ行きかけていた右手を、母としての矜持が引き止めた。今はただ、興奮状態の娘をどうにか満足させて落ち着かせてやるのが目的のはずだ。ここで自分が快楽に耽る道理はない。
 触れてもいない自分のその部分が、じわ、と濡れてくるのが判る。神綺はそれを断固として無視し、娘の愛撫に専念する。
 ただ、そうして抑え込んだ欲求は、知らず知らずのうちに神綺の力加減を狂わせていた。

「――ひ、ぐぅっ!?」

 あ。
 神綺自身も予期していなかったことに、ずぷ、という生々しい感触が舌から伝わってきた。
 尖らせた舌の先端が、肛孔を突き抜けてアリスの直腸内部に達したのだった。

「い、あひっ――おか、お母さんの、入って――おぁ、お尻っ、あつ、あづいぃぃ――!」

 生まれて初めての感覚であろう。
 座薬一つ入れたことのない尻穴を母の舌で貫かれ、アリスは悲鳴にも等しい声を上げて限界まで背筋を反らす。
 熱く蠢く粘膜が、神綺の舌をきゅうきゅうと締めつけてくる。同時に味覚を襲うのは、汗よりももっと有機的な酸味と塩味。生乾きの傷口を舐めたときのような、身体の内側の味がした。
 ぬるぅっ、と舌先を引き抜く。

「んぁ、あッ………!」

 アリスが崩れ落ちた。
 ガクガクと太股を震わせ、四つん這いの姿勢すら保っていられなくなったアリスが、腰を落としてベッドにうずくまる。唾液と腸液の混合物が、引き離された舌と尻穴の間で糸を引き、すぐに消えた。
 完全に脱力しきった様子で、身動きもままならないアリス。しかしその小さな口は、なおも弱々しい声で囁いていた。
 もっと、と。

「――あっ――」

 娘の望みに、母は躊躇なく応える。
 その小さな体を背中から抱き起こし、くるりと向きを反転させて、神綺はアリスと真正面から見つめ合った。

「は、ぁ……お母さん……」

 幼艶、とでも云うのか。
 分不相応な恍惚と期待に染まった娘の顔に、思わずたじろぐ。
 神綺は小さく頷いてそそくさと視線を外すと、手を伸ばしてアリスの肩を掴み、華奢なその体をゆっくりとベッドに押し倒した。
 仰向けに横たわったアリスの脚からくしゃくしゃになっていたズボンとショーツを引き抜き、軽く畳んで傍らに置く。
 下半身に一糸まとわぬ姿となったアリスの、左右の膝に手をかける。軽い抵抗を無視して脚を大きく開かせ、神綺はその間に体を割り込ませた。

「……はぅ、ぅ」

 流石にこの格好は恥ずかしさが勝るのか、アリスは両腕で顔を覆いながら、行き場のない呻き声を漏らす。
 神綺も神綺で、思わず唾を飲んだ。
 先程まではあまり見ないようにしていた娘の女陰部が、否応なしに目に入っていた。
 透きとおるように白く瑞々しい柔肌の中に、すっと通った筋が一本。わずかに陰唇がほころんだばかりの、ほとんど赤みのない無毛の割れ目。その奥に子を成す能力を宿しているとは到底思えぬ、痛々しいほどに未成熟な器官だった。
 ここには、指一本触れない。だって親子だから。
 この期に及んで下らない節度だろうか? 神綺はそうは思わなかった。

「する、ね」

 短く言い渡す。
 神綺はごろんと寝そべって、娘の股座と至近で体面する。尻を支えるように左右から手を添え、低い位置にあった肛門が鼻先にくるように軽く持ち上げる。
 舌を伸ばして尖らせ、粘液にまみれてひくつく蕾の中心に狙いを定めて、躊躇なく突き込んだ。

「あっ――、あっだめっ――――、あふぅうぅっ!!」

 三度目の突きで、ずるんっと舌先が侵入した。
 みっちりと舌を押し包んでくる粘膜の熱さが、快感だった。
 神綺は間を置かずに頭を引き、まとわりつく粘膜を引き剥がしながら舌を引きずり出し、それが抜けきる前に再びずぶりと突き入れた。

「んひぃぃぃ――――っ!!」

 跳ねる腰を押さえつけながら、もう一度、出して、入れる。もう一度。舌の動きに合わせて、括約筋と目の前の秘裂がびくびくと収縮する。
 アリスの感度が上がっている。直腸の中でも腹側の壁が特に感じるらしく、舌を曲げて天井の肉壁をくすぐるとアリスは息を詰まらせて仰け反った。

『気持ちいい? アリスちゃん気持ちいい?』

 興奮にかられて、訊くまでもない事を神綺は訊く。
 愛撫で忙しい口の代わりに使ったのは、簡易な魔術による念話だ。

『――いい  きもちい いっ――』

 辛うじて繋がったチャンネルから、ノイズだらけのアリスの言葉が返ってくる。
 精神集中もへったくれもない、乱れきった術式による細切れのイメージ。それは会話というよりは、止めどなく漏れるアリスの思考をそのまま耳にしているかのようだった。
 きもちいい。すごい。へんになる。こわい。あつい。きもちいい――。
 ひたすらに快楽を訴える言霊の奔流の中、ふと、異質だが確かな思念が神綺の感覚を捉えた。

『――お母さんがげんきでよかった。お母さんだいすき――』
「……っ……!」

 ああ。この子は。まったく。
 思わず涙が滲んだ。
 たまらない愛おしさに突き動かされて、神綺の攻めはなおも激しさを増す。
 もっと気持ちよくなって欲しい。もっと。もっともっと。
 神綺は髪を振り乱しながら頭を前後に動かし、力を込めた舌で休みなく尻穴を犯す。泡立つ体液でじゅぷじゅぷと音を立てながら、入口をほじくりかえし、肉壁をこそぎ、中を掻き回す。
 アリスの思考が真っ白に染まり、チャンネルが弾けて消えた。

「あ、あひっ、あひぃぃぃ――! もう、うぁ、ひィ、だめっ、死んじゃっ、死んじゃうぅぅ――ッ!」

 覚えのある台詞が、アリスの口からこぼれた。
 やはり親子か――倒錯した喜びを感じる。
 むせかえるようなにおい。
 己の愛液が内腿を伝い落ちる感触。
 限界を知らせるかのようにぶるぶると痙攣する直腸粘膜の中、神綺は限界まで舌を伸ばし、アリスの最も弱い部分にぐりぐりっと押し付けた。

「んぉっ、んぉおぉぉ――――――っ!!」

 絶叫。
 ひときわ強烈な括約筋の締めつけが、ちゅぽんっ、と神綺の舌を押し出した。
 アリスが快楽の波に押し潰されたように四肢を縮こまらせ、左右から圧迫された秘裂が細い一本の線になる。ぴったりと閉じたその割れ目から、透明な液体がほんの少量、ぴゅる――と漏れて、陰部を僅かに濡らした。
 幼いアリスの肉体が、初めて迎えた、不出来な絶頂だった。

「……あ……ぁ…………」

 アリスは糸の切れた操り人形のように両腕を投げ出し、虚ろな表情でひゅうひゅうと呼吸を繰り返している。
 大丈夫かな。
 今更な心配をしながら、神綺は娘の頭に手を伸ばし、そっと撫でる。

「アリスちゃん……いっちゃったのね。初めてで、お尻で気持ちよくなって……」

 私の、舌で。
 やっちゃった、という後ろめたさと同時に、奇妙な満足感があった。

「……まあ、大事なところには触ってないし、ノーカウントよね」

 誰も聞いていない言い訳を、ぽつりと呟く。


 ◆ ◆ ◆


 最近わりと大人びてきたと思ったのに、まだまだお母さん通いがやめられないんだから――。
 そんな姉たちのからかいの言葉を、ひっそりと遣り過ごして。
 空色のパジャマを着込んだアリスは、今宵も静かに母の部屋を訪れる。

「いらっしゃい。アリスちゃん」
「……ん…………」

 アリスは、すっかり元気を取り戻していた。
 周囲には詳しい事情を伏せたまま『あの一件』は完全に解決し、なんら尾を引いていないように、少なくとも外面上は思われた。
 ただ――。

「お母さん……」
「ん、なぁに?」
「あの、あのね、」

 アリスがもじもじと言葉を濁す。
 見透かしたように、母が微笑む。
 あの一件以来、この親子の間では、いささか物騒な符丁が交わされているのだった。

「……今日も、死んじゃう? アリスちゃん」
「ん、うん。死んじゃう……」


 ~おしまい~
ゆえにアリスは死の少女だったのです。
そよ松
コメント




1.名前が無い程度の能力削除
ΩΩΩ<な、なんだってー!
こんな死の少女なんて……勃起しちゃうよ!
2.名前が無い程度の能力削除
死の少女とはお尻でイっちゃう少女という意味だったのか…
アリスちゃんはいつまでお母さん通いを続けるのかなウフフ
3.kiki削除
アリスちゃあああん! うわあああああっ!
……ふぅ
神綺×アリスはもっと世界に広がるべき
4.名前が無い程度の能力削除
これはエロい…
5.名前が無い程度の能力削除
>死んじゃう死んじゃう
ワロタ
6.名前が無い程度の能力削除
もうだめねこのかみさま

このアリスが大きくなった暁には……たまらんのう
7.名前が無い程度の能力削除
オチwww
神綺様かガン攻めしない神×アリは新鮮でした!
ありがとう、ありがとう……!
8.名前が無い程度の能力削除
アリスに死んじゃうなんて言われたら俺が死んじゃう
9.名前が無い程度の能力削除
なんてけしからん親娘なんだ
アナル開発の方が先だなんて……たまらん!
10.名前が無い程度の能力削除
クソッ! 本編も勿論良かったが、落ちで完全にやられた!
11.名前が無い程度の能力削除
母親にアナル開発される娘…興奮するね!
12.Admiral削除
何これエロイw
アリスの優しさと誤解がいいですね。

>「……今日も、死んじゃう? アリスちゃん」
>「ん、うん。死んじゃう……」

ここに萌えたw亜美とんじゃう!
13.性欲を持て余す程度の能力削除
アナリス、、じゃなかった、ロリスかわいいなぁ