真・東方夜伽話

君を逃がさない(下)

2010/12/19 23:56:16
最終更新
サイズ
26.3KB
閲覧数
1517

分類タグ

君を逃がさない(下)

arlys
続き物になっています。
前作は『君を逃がさない(上)』です。
前作を読んでいないとわからないところが多数あると思うので、先に読んでいただけたらうれしいです。
オリキャラ(男)出てきます。
『それでもいいんだよ!』
『こいしちゃん、ハァハァ』
というかたは下から、よろしくお願いします。

「んぅ、あれ?」

目を覚ますとベッドの上。
くっそ、結局こうなってしまうのか。
周りを探してみるけど、こいしちゃんはいない。

「もう少し安静にしていてください」
「あ、さとりさん」

こいしちゃんを探しすぎて、さとりさんが傍にいるのが気づけなかった。
さとりさんが近くの椅子に座ったまま、深く頭を下げてくる。

「私の妹がすみません……」
「いえ、僕が勝手にやったことです」

自分の切った箇所は包帯できれいに処置されていた。

「すいません、私が事情を話さなかったせいです。
あの、こいしは」
「言わないでください」
「ぇ?」

さとりさんには申し訳ないと思う。
せっかく話してくれるというのに……
それでも、それじゃだめだ。
二人の問題なのだから、きちんと二人で解決していかないと。
このまま教えてもらったら、一生さとりさんがいないと解決できなくなる。
それに、こいしちゃんはためらっているだけ……

「僕が、こいしちゃんに話してもらえるように頑張ります」

きっと、答えてくれる。
それに、こいしちゃんのことをこいしちゃんに聞かないでどうするっていうんだ。

「すいません、余計なお世話でした」
「いいえ、今までさとりさんがそうしてきてくれたからこそ、思えたんです」

ちらりと時計を見ると、あと少しで仕事の時間。

「あの、今日は休んで」
「いいえ、行きますよ」

ただの記録とりだけれど、事故を起こしてしまったら、今の生活がなくなる。
そうなったら、こいしちゃんと一緒に入れなくなる。
それじゃ、意味がない。
ベッドから起き上がると、すこしクラクラするけれど、コレくらい徹夜あけに比べたらマシだ。

「じゃあ、行ってきます」
「無茶はしないでください」

頷き、仕事場に向かう。
記録をとりながらも、懸命に考えてみる。
まず、こいしちゃんがおかしくなったのはいつからかだ。
霖之助さんのお店であったときはいつもどおりだったと思う。
いつもどおり、軽い調子でエッチしようって言ってきていた。
そして、その後は本当に全然会えなかった。
あの調子だったら、部屋に入ったらこいしちゃんが部屋で待っていてもおかしくなかったのに……
つまり、その間の出来事が関係ある?

「お兄さん、計測の時間じゃないの?」
「ぇ、あ、そうだね」

だめだ、だめだ、今は仕事中じゃないか。
記録をとっていく。
その後も考えそうになるのをなんとかこらえて、仕事がひと段落ついて、部屋に戻って、また考えてみる。
その間は神社だな。
霊夢さんやお燐さんは関係がなさそうだ。
そこまで、へんな会話もしてない。
あるとしたら、魔理沙さんとの会話か?

『二つが一つになって終わるんじゃなくて、その後も繋がっていくんだって……』
『ねぇ、一で終わっちゃ……だめっ、なの?』

「これなのか?」

魔理沙さんとこいしちゃんの言葉が重なる。
二つが一つになるのを否定する言葉……
つまり、こいしちゃんは子どもが欲しくない?
いや、そんな雰囲気ではなかった。
何か、もっと切羽詰っているのが伝わってきていた。

「じゃあ、なんだ?」

くそ、落ち着いて考えよう。
第一、これはピースもそろってないただの仮定、イフだ。
こいしちゃんにきかないとわからない事だらけなんだ。

「いや、わかることなのか?」

さとりさんは大体の目星がついてるんだ。
それなら、過去のこと、もしくは確定的に明らかなこと。

『こいしにきいてください』

耐え切れないように呟くさとりさん。
そして、今回話そうとしたときは苦渋の決断をしていたようだった。
つまり、あまり大声では話したくないことなんだ。

「うぅ~、わかんない」

そもそも、こいしちゃんってなぞが多すぎる。
男の人をいきなり見境もなく襲っていた。
それに、さとりさんと姉妹のはずなのに心を読めない?
まさか、義理の姉妹?
いや、あの目は器官だとかいってたから、あれが心を読むためのものだと考えていいはずだ。
さとりさんの目は開いていて、こいしちゃんの目は開いてない。

「だから、心が読めない?」

これは、結構あってるんじゃないのか?
こいしちゃんは、心が読みたくないからいつも目を閉じているのかな?

『心酔いしちゃいました』

いや、それならなんでさとりさんは心酔いしちゃうほど、心を読んでしまうんだ?
一時的にも読めないように出来るのなら、そうしたらいいのに……

「あぁ、もうっ!」

自分の部屋から出る。
どうせ、朝まで時間はあるんだ。
賭けだけれど、上着を羽織って外に出かける。
そして、目的地に向かって歩き始める。
まあ、目的地と言っても曖昧なんだけど……

「んぅっ、ふ、ぁ」

予想通り過ぎて、驚いてしまう。
だけど、そこにはこいしちゃんがいた。
いや、うん、それとはまた違う意味で驚いているけど……

「おにいちゃっ、おにいちゃん」

うん、まさかオナニーしてるとは思わなかった。
こいしちゃん、ぎゅっと目を閉じてるから僕も見えてないみたい。
そぅっと音をたてないようにこいしちゃんに近づいていく。

「だいっ、すき、だいすきぃ」
「僕も大好きだよ、こいしちゃん」
「ふあああぁっ!?
え、ぁ、なんで?」

驚きのあまり、大声を出すこいしちゃん。

「ここは、であった場所でしょ?
なんとなくの勘で来たけど、当たってた」
「あ、あの、お兄ちゃん」

さてと、よかった。
まだ、こいしちゃんは僕のことが好きみたいだ。
つまり、エッチな妄想しちゃうほど好きなのに、僕とはエッチしたくない。
確か、あの時魔理沙さんは子供の話しをしていた。
こいしちゃんは、結構知らぬ間にも僕の近くにもいたりするから、きっと話を聞いてたんだな。

「こいしちゃんって、僕との子どもが欲しくない?」

これが、一番すぐに思いついた考えだった。
だけど、冷静に考えたら、それならナカダシなんかさせないよな。
それとも、そういう考えが薄くて、子どもができてもおろす気だったとか?
ぎゅっとこいしちゃんが拳を握って、口も一文字になってしまう。

「なるほど、そういうことね」

子どもが嫌いなのかな?
子どもを育てられる自信がない?
それとも、僕とはそこまで深い関係になりたくない?

「あの、ね、お兄ちゃん」
「それでも、僕はこいしちゃんが好きだよ。
うん、今は子ども欲しくないかもしれないけど、君が欲しくなるまで待つし……
ちゃんと、妊娠しちゃわないようなエッチにするよ」

まあ、早く欲しいのも本音だけどね。
そこは、一緒にいるのならば考えないといけないことだよね。

「ちがっ、ちがうの」
「なにが?」

まだ、子どもを欲しくないこと?
それとも、僕の考え事態なのかわからない。

「ごめんなさい」
「ちょっと待って。
きちんと、理由を言って」
「ゴメンナサイ、ごめんなさい、ごめんなさい」
「だから、何が?
話してくれないと、わからないよ」
「わたっ、し、うめない」
「そっか、しょうがないよ。
そういう身体もあるんだから」

悪いことをしてしまったな。
ここまで、こいしちゃんを追い詰めてしまうなんて……
理由はわからないけど、生まれたときからか、病気でなってしまったのかもしれない。
それを理由にこいしちゃんを責める気もないし、むしろ追い詰めていたのが悲しい。

「ちがっ、ちがうの。
だけど、自分でっ、言うのこわい……
ごめん、ごめんなさ……
おねえちゃっ、んから」

ぎゅっと僕の胸に顔を埋めてしまう。
ひくひくっと言いながら、こいしちゃんは泣き続ける。
もうそれ以上きくことなんて出来なくて、とりあえず頭を撫でてなだめることくらいしか思いつかなかった。
しばらくすると、泣き声が小さくなる。
落ち着いたのかなって確認しようと思っても、ぎゅっと抱きつかれて離れることも出来ない。

「こいしちゃん、大丈夫?」

声を掛けてみるけど、返事してくれる気配もない。
ひょっとして、寝てるのかな?

「よっと、かるいな~」

荷物を持ち上げる要領で持ち上げてみても、反応なし。
とりあえず、地霊殿まで帰るか。
持ち上げては、僕の腕が悲鳴を上げる。
だって、体力ないし……
そんな言い訳をしながらも、なんとかこいしちゃんを地霊殿にまで運んでいく。

「ぁ、健太さんと……こいし」
「あの、こいしちゃん寝かせたらさとりさんの部屋に行ってもいいですか?」

情けないよな。
かっこつけて、二人で解決するって言って結局は力借りちゃうなんて……

「えぇ、待ってます」

僕は起こさないように慎重にこいしちゃんの部屋まで運んでいく。
ベッドまで連れて行って、寝かせる。
離れてくれないかなって思ったけど、あっさりと離れてしまう。
なんか少しさみしいなと思いながらも、一回こいしちゃんの髪をなでてから、さとりさんの部屋に向かう。

「失礼します」
「どうぞ、座ってください」

椅子をすすめられて座る。
流れ出る緊張。

「じゃあ、私のほうから見たお話をさせてもらいますね」
「ぇ、あ、よろしくお願いします」

僕が切り出す前にさとりさんが切り出してくる。

「あなたは、あの子が妊娠できないのは、不運なしょうがないことだって思ってますよね」
「えぇ、違うんですか?」

もともと子宮に何か障害があったのかな?

「えぇ、だってあの子は一度見知らぬ男の子どもを妊娠したこともありますから」

じゃあ、そのときの流産かな?
子持ちには見えないし、子持ちなら地霊殿で住んでそうだし……

「流産でもありません。
こいしが、こしいであること……
『覚り妖怪』であることをやめたからです」
「ちょ、ちょっと待ってください。
意味が分からないです」

納得しかけているさとりさんを止める。
情けないことに、僕はあまり妖怪のことをわかってないのだ。
本なんかを読んで、知識をつける時間もなかったし

「あぁ、そうでしたね。
簡単に言えば、軸としているものが人間と妖怪では違うんです。
人間は『身体』がもととなり、『精神』がある。
妖怪は『精神』がもととなり、『身体』がある」

哲学的な話?
僕、苦手なんだよな。

「ぅ~ん、あまりよくないたとえを使って説明してもいいですか?」
「あぁ、どうぞ」
「人間はたとえどれだけ心を壊されようと、自分を否定しようがレイプされたら妊娠しますね」
「まあ、そうですね」
「妖怪は、妊娠しなく……できなくなるんです」
「ぇ、できなくなる?」
「えぇ、たとえ身体にどれだけ異常がなくてもです」
「こいしちゃんは、それなんですか?」
「えぇ、そうです。
彼女は『覚り妖怪』のアイデンティティーである心を読む目を閉じてしまいました。
自分の否定が種への否定に繋がっているんです」
「じゃあ、彼女が自分を肯定すれば妊娠できるってことですか?」

なんだ、すごく簡単なことじゃないか。
つまり、自分が『覚り妖怪』ってことをもう一度肯定すれば

「そうですね、他の妖怪ならばもっと楽でしょうね。
どれだけ自己の種を否定しても、やはりその種の力を使ってしまうものですから。
しかし、こいしは心を読むことを放棄した。
『覚り妖怪』の全てを否定したんです。
あの子がもう一度目を開けて心を見れるようにならないとだめなんです。
それに、私は嫌になってしまうほど醜い心を一緒に見続けてきましたから……」

心を読むことをもういちど。
思想の波に襲われて、それは自分の嫌悪ばかり……
想像しか出来ないけど、そんなの苦しい。
逃げたことを責められるわけがない。
僕は絶対にこいしちゃんに嫌悪なんか向けないだろうけど、全ての心を見せられるほどきれいかって聞かれたら無理だ。

「私はこいしと一緒にいたい。
だけど、あの子の心を壊したのは、他の誰でもない私なんです」
「ぇ、さとりさん?」

さとりさんの顔がうつむく。
そして、ポツポツと懺悔のように喋りだす。

「私とこいしは二人っきりの世界で生きてきました。
今とは違う、暗くて嫌悪や侮蔑に満ちた世界では、自分と家族しかたよれなかったんです。
私はその中で、二人で生きていくことを決心しました。
同じ種族以外には、誰にも愛されないだろうけど、同じ種族で愛し合えればいいと。
ただ、妹は外にも繋がりを求めました。
毎日毎日、身体を傷だらけに、精神もボロボロになるまで。
そんなこいしは私にとって眩しくてあこがれの存在でもあったんです。
しかし、こいしが女であって、そして……」

さとりさんがぎゅっと唇をかむ。
そして、おそるおそる口を開く。

「異常なさみしがりやがった。
『殺意』以外の感情ならば、嬉しいと感じてしまえるようになってしまうほど、誰かを求めて、おかしくなってた。
ずっと、一緒にいたのにそんなことにも気づけなくて……
気づいたときには、妹は強姦をされてました。
それなのに、妹は満面の笑みで
『これってね、『殺意』じゃ出ないよね。
えへへ、精液大好き♪』
そこから私の感情は憧れから恐怖に変わりました。
ずっと一緒にいたはずの妹がおぞましい化け物にかわってしまったような気がしたんです。
そんな私に対しても、こいしは
『お姉ちゃんも経験すればわかるよ、ねっ?』
快楽でとろけきった瞳で私を見上げて、残っている精液を私の口に流し込んできたりもしました」

こいしちゃんが、男を襲うのにそんなことがあったなんて……
殺意以外なら、嬉しいと感じる。
そこまで、心を磨耗しきったことなんて僕にはない。

「えぇ、私はそこまで誰かと向き合おうと思ったことなんてありません。
妹はその交わりで、幸福を感じてた。
けど、毎日毎日一人以上の男に抱かれていたら、妊娠しないわけありませんよね」
「じゃあ、こいしちゃんが妊娠したというのは」
「えぇ、そんな誰かもわからない男のものです。
『えへへ、妊娠って愛の結晶なんだよね?
じゃあ、できちゃった♪
ねぇ、お姉ちゃん、できたよ』
こいしはまた笑ってた。
膨らんできているおなかをさすって、それでもまだ男に抱かれて身体をぐちゃぐちゃにされながら……
私はこいしがこわかった」

もし、自分に妹がいて、そんなことを言っていたら……
確かに、さとりさんの言うことはわかる。
そんなのこわい。

「私は心の奥底でさえも、もう妹が愛しいと言う感情よりもこわいという感情が上回っていた。
最終的にはフラフラになりながらも、私のところに帰ってくるこいしに
『そんなに、男の精液がいいんだったら、地霊殿で休むだけでいいじゃない……
私の前に来ることはないわ。
もう、私に叱られるのもいやでしょ?』
つい、口に出してしまった。
ううん、もうそうとしか思えなかったんです。
そんな私の心も読んでしまったこいしが思ったのが
『お姉ちゃんは、もう私を見てくれないの?
お姉ちゃんとの繋がりがないなら、もう、『覚り妖怪』でなんかいたくない。
お姉ちゃんの言うとおり、『精液』だけあればいいよ』
信じられない言葉が聞こえて、振り返ったときにはすでに妹の二つの目には生気がなくなって、一つの目は固く閉じられていた……
私は、そんなことになるまで……
妹の私を思ってくれていた心にも気づけなかった。
私はその後、一生懸命こいしを探し出しては連れ帰って、話をしようとして、ペットを与えました。
だけど、こいしは男の精液以外、何も興味を持たなくなっていました。
話をすることも、『前のはおいしかった』とか、『もっと、ドピュドピュされたい』ってものばかりでしたから。
だから、初めて健太さんを見たとき倒れてしまったのも……
都合よくこいしを利用するための輩が現れたと思ったんです。
だけど、きちんとあなたはこいしのことを誠実に考えようとしてくれることが伝わってきたから、姉である私も嬉しかったんです。
それが変わらないか、心配で何回もしつこくあなたに聞いてしまったんです。
そんなあなた自身のことをこいしが好きになって、あなたの望みをかなえられないのが自分の意思で目を閉じてしまったことに繋がっているから自分を責めてしまったんだと思います。
でもっ、こいしのせいじゃないんですよ!
私が、あの子をきちんと」

まるで、自分を傷つけるために言葉を吐こうとするさとりさん。
その口を手で塞ぐ。

「さとりさん、やめましょう。
僕は別に瞳を閉じたとか、妊娠できない理由で誰かを責めるつもりなんてありません。
ただ、どうしてこいしちゃんがあそこまで思いつめてしまったかを知りたかったんです」

過ぎてしまったことを責めたって何にもならない。
それに、こいしちゃんがさとりさんを好きなら、そんなことをし続けるさとりさんを見て、余計心を痛めるに違いない。
それに、子どもが特別欲しいってわけじゃない。
うん、こいしちゃんと家庭を作れたら幸せそうだなとは思う。
僕は笑ってるこいしちゃんが見たい。
なのに、肝心なこいしちゃんが傷ついたら何も意味がない。

「こいしちゃんのところ戻りますね。
夢の中でさえ自分を責めているかもしれませんから」
「健太さん」
「はい、なんでしょうか?」
「こいしをよろしくお願いします」
「頼まれなくても」

さとりさんの部屋を出て、こいしちゃんの部屋に向かう。
さて、話は全部聞いた。
けど、こいしちゃん人の話しなかなかきいてくれないし、その上はなしてもくれない。

「ったくも~、あいつは」
「お燐さん、手錠なんか振り回してどうしたんだい?」
「あいつがさ、仕事終わった後、旧都で祭りだ~とか言って核ぶっ放とうとしたのよ。
これは、神様達からいただいた妖怪の力を制御する手錠。
鍵なんかあったら、あたいの心が折れてすぐに解放しちゃいそうだから、二時間はどんなことがあっても、離れない万能な道具なんだよ」
「へぇ、そうなんだ」
「あぁ、全くこんなんでもしない限りおとなしく話も聞きやしない」
「ねぇ、それちょっとかして」
「何に使うんだい?」
「ちょっと……ね」

うん、こいしちゃんもコレくらいしないと話きかなさそうだね。
不可抗力ってやつだよ。

「お兄さん、なんか笑い方が黒い」
「それで、かしてくれるの?」
「いや~、まずさとり様にききにいかにゃっ?!」
「どうせ、オッケーもらえるだろうから、早くかして」

僕の隣を走りぬけようとしたお燐さんの尻尾を二つつかむ。
猫の急所だっていうけど、早くこいしちゃんのところ行きたいし、かしてくれないかな。

「ふにゃ、ぁ、やめ、て、お兄さん」
「じゃあ、早く手錠かしてよ。
ね、お燐さんはいい猫さんになってくれるよね?」

そっと、手錠を差し出される。
それを受け取ると尻尾を握るのをやめて、こいしちゃんの部屋に向かう。
そぅっと入ってみると、こいしちゃんはまだ眠っていた。
さてと、少し趣味が悪いけど、こいしちゃんの細い手首に片方手錠をかけて、自分の手首にもかける。
コレなら、もう絶対に逃げ出せないだろ。

「んにゅう、つめた……って、お兄ちゃん?」
「おはよう、こいしちゃん」
「おはよう、それでどうしたの?」
「ゆっくり、お話がしたいなって」
「う、うん、そうなの?」

うわぁ、こいしちゃんがすごい怪訝そうな顔で僕を見てる。
こんな目で見られるのは初めてなんじゃないのかな?
まあ、そんな顔しててもかわいいな。

「僕はね、こいしちゃんが好きだよ」
「ありがとう、あのお兄ちゃん……
お姉ちゃんの話なんだけど」
「全部きいたよ」
「ごめんなさい!
目開けようと思ったの。
お兄ちゃんが望んでくれるなら、私も欲しいなって……
だけど、どうしようもなく身体が震えて……
開けれなくて、私はお兄ちゃんのこと大好きなのに……
所詮は、自分のことしか考えられないんだって」

まるで、自分ひとりが悪いように謝る。

「自分の心を削ってまで、することじゃないよ。
こいしちゃんは僕のことを思ってあけようとしてくれたんでしょ?
その気持ちだけでも僕は嬉しい」
「ちがうっの!
お姉ちゃんは勘違いしてたみたいだけど、私だって気づいてた!
男がただただ私を性欲の処理のはけ口にしかしてないことくらい。
だって、終わったら『妖怪につかれた。こんな悪い妖怪は殺せ』なんて、殺そうとしてきたもの。
快楽の塊である精液も好きだったけど、それよりもお姉ちゃんが私を心配して思ってくれるのが嬉しかった。
私はきちんとおねえちゃんに愛されてるんだって思いたかったの。
だかっ、だから、お姉ちゃんに見捨てられたときに、これ以上どんな心を見るのもいやだった……」

あぁ、そっか。
だから、最初に出会ったとき……
捨てちゃうってあんな寂しそうに言ってたのか。
きっと、一番信頼していただろう姉に見捨てられたと思ったのだから、もう誰も信じられなくなっていて……
繋がっている最中も、性欲をはけだしたら自分は終わりの対象と思っているから、寂しそうな笑みを浮かべていて……

「お兄ちゃんははじめてであったときにも、性欲の対象じゃなくて、私自身に興味を持ってくれた。
私のことをきちんと見てくれてた。
会話してくれようとした……
その全てが嬉しかった」

なんだか、少し恥ずかしいな。

「お兄ちゃんが、私のことを好きって言ってくれても……
自信が持てないの。
いっぱいの女の子の中でも選んでくれるお兄ちゃんなのに……
心の中では、本当は私なんかもう捨てたいんじゃないかって。
ただ、地霊殿に居候してる身だから言えないんじゃないかって」

むう、これはちょっと反論したいな。
だけど、どうすればいいんだろ?
こいしちゃんが好きだよと言葉を繰り返す……
だめだ、こんだけ言ってもまだこわがってるんだから。
愛を行動にって、僕はバカか。
今までの男どもが身体しか見てないって思ってるのに、僕までそう思われそうじゃないか。

「その上、お兄ちゃんが望む子どもを産めないんじゃ……
それを言ってお兄ちゃんの想いが変わったら、私もう生きられない」

うわ、ちょ、まずい。
なんで、こんな雰囲気なのに僕ムラムラしちゃってるんだよ!
涙目で上目遣い可愛いとか落ち着け!
うん、今はこいしちゃんが悩んでるんだからそのことを考えなくちゃ……

「僕の心も頭もこいしちゃんでいっぱいだよ」
「そう思ってくれてても、怖くて、無意識のうちにふらってどこかに逃げちゃって……
気づいてお兄ちゃんが傍にいないとどうしようもなく、寂しいの。
もう、お兄ちゃんのものだって首輪でもつけて欲しい。
そうすれば、安心できる」
「ペットじゃないんだから」

そう言いながらも、頭の中首輪つけたこいしちゃんでいっぱいになる。
それで、お兄ちゃんお兄ちゃんって僕の名前呼んでるんだろうな。

「ねぇ、おにいちゃん?」

その甘え声、まずいってば……

「ちょ、ちょっと」

とりあえず、まずは落ち着こうと目を逸らす。
こいしちゃんにつかまれる。
しかし、それはかまってかまってとねだる子どものように弱い。

「私のこと見て……」

切羽詰ったかのようなこいしちゃん。
我慢していた糸が切れる。

「もう、かわいいな」

普段ならば、できないだろうけど、片方の手は手錠で繋がれているので、ぎゅっと指をからませて、もう片方は手首を押さえ込む。

「君が想ってるよりも、僕はずっとこいしちゃんのこと好きだよ。
だけどね、こいしちゃんが僕のことを信じられない……
性欲の処理としてしか僕がこいしちゃんを見てないっていうんなら、僕は信じてもらえるまで、君に何もしない。
最初にも言っただろ?
愛がなかったら、意味がないと思ってるって……」
「こんな体勢でも?」
「こいしちゃんがいやっていうんならね。
もう、今すっごく襲いたいんだよ」
「ぅ、その言い方はずるいよ」
「どこが?
僕は僕なりにこいしちゃんに思いを伝えてるつもりだったから。
それでも信じられないんでしょう?」
「ねぇ、お兄ちゃん。
本当に子ども産めないけどいいの?」

おそるおそる聞いてくる。
もちろん、僕はきちんと目を合わせて頷く。

「うん、いいんだよ」
「私がどうにかすれば解決する問題なんだよ」
「うん、いいんだよ」
「私のこと見捨てない?
一緒にいてくれる?」
「見捨てたりなんかしない。
一緒にいれるときは一緒にいるよ」
「好き、お兄ちゃんのこと好き」
「僕も好きだよ」

ふにゃっとこいしちゃんが笑う。
もう、不安そうな目はしてない。
あぁ、やっぱりこいしちゃんは笑ってる顔が一番だな。

「ねぇ、お兄ちゃんって今すごくムラムラっとしちゃってるんだよね」
「ぅ、まあね」
「それは、こいしだからなんだよね」
「うん、こいしちゃんだから」
「えへへ~、お兄ちゃん♪」

ぎゅっと絡ませてる指を握るこいしちゃん。
ゆらゆらとゆれていく瞳。

「「だから、エッチしよう♪(か?)」」

言葉はなんとなく予想できたから、言ってみたらここまで重なった。
こいしちゃんがくすくすと笑っている。

「待ってくれるんじゃなかったのぉ~?」
「そうだったね……
じゃあ、こいしちゃん先にもう一回言って」
「もぅ、お兄ちゃんってば、本当にしょうがないね♪
こいしね、お兄ちゃんとエッチしたいの!」
「うん、僕も」

よいしょって必死に体勢を変えようとするこいしちゃん。

「あ、あれ~?」
「くすっ、こいしちゃん?
今日は僕の下で乱れてね」
「ぇ、あ、おにいちゃ?」

鎖でつながれていない手のほうでこいしちゃんのボタンを一つ一つ外していく。
こいしちゃんの顔がどんどん真っ赤になっていく。

「あ、ぁの、もう破ってよ」
「だぁめ、優しくしたいから」

ちゅっと軽く頬にキスをする。
こいしちゃんも、僕の頬にキスをしてくる。

「で、でも、こいしのほうはもう……
限界なんだからね?」

ぷくっと頬を膨らます。
直視してしまったら、優しくしようと思っていた手が強引に動き出してしまう。

「あ、ぁのね、僕も限界なんだからね」

ボタンを外していくと、現れたのは桜色の肌。
な、なんでブラしてないんだろ?
触れてみたら、熱いとさえ感じてしまう。

「んんぅ~……
はっ、ぁ、お兄ちゃん」

こいしちゃんがスカートのホックを自分で外して身体をくねらせていた。
そそられる光景で思わず唾を飲み込む僕にへにゃっと笑うこいしちゃん。

「あぁ、もうだいすき」

言葉にしておかないと、本当に身体が勝手に動く。

「えへへ、私も」

だから、もう!
これ以上いわれたら、本当に僕の理性が崩壊してしまうのでその口を塞いでしまう。
にゅるりと舌が入り込んでくる。
舌を絡ませながら、胸を愛撫していく。
今日はいつもより感じさせたい……

「んちゅっ、んぅ、んくっ」

唇を離すと、ぎゅっとこいしちゃんが僕の服を握る。

「お兄ちゃん……」
「あ、ぁのね」

うるうると上目遣い。
あぁ、もうたっちゃう自分が悲しいけど……
やっぱり、性的な意味だけで好きじゃないけど、もちろんそういう意味を含めのすきでもあるんだから。

「わかってるから、わかってるの。
だからね、今日はお兄ちゃんのペースで優しく、その……
して、欲しいの……
ぇ、あ、お兄ちゃん?」

ぎゅうっと無理やりこいしちゃんを抱きしめる。
今、この瞬間耐えた僕は褒められてもおかしくないはずだ!
あぁ、もう本当にかなわない。
なんとか少し身体を離す。

「時間が経てば経つほど、好きになっちゃうよ。
どうしたらいいんだろうね」
「その後無関心にならない?
軽蔑しない?」
「そんなわけないだろ。
でも、そうだな~」

とんとんっと鎖骨のあたりを軽く叩き

「こいしちゃんの跡が欲しいかな」
「うんっ!」

叩いたところにこいしちゃんがちゅうっと吸い付いてくる。

「えへへ、これがこいしの跡だ~。
はじめてだ」

嬉しそうに僕の身体についたキスマークを撫でる。

「ぇ、そうなの?」

あんだけ色々襲ったりしてるっていうのに……

「私はつけられたことあるよ。
だけどさ、記憶を消すのに跡なんか残ってたらだめじゃない」
「ふぅん、そっか。
僕になら付け放題だね」
「他のトコもいいの?」
「服の上から見えないところでね」
「わかった!」

嬉しそうに頷き、他のところにもこいしちゃんがちゅっちゅとしてくる。
しばらく頭を撫でながら、ある程度僕の身体が赤くなってもやめる気配がない。

「あの、こいしちゃん」
「なに?」
「僕もこいしちゃんにつけたいんだけど?」
「ぇ、そうなの?」
「うん、つけたいよ。
君が僕のものだってね」
「ううん、つけて、つけて!」

ぎゅっと目を瞑るこいしちゃん。
まずは、鎖骨の近くに吸い付く。
そこから服を着ていたら見えないだろう部分につけていく。
ふふってこいしちゃんが小さく笑ってる。
胸とか柔らかい部分にも吸い付く。
手錠があるから、下半身までは届かない。
だから、届く限りのところにキスをしていく。

「こ、これくらいかな」

声が震える。
しまった、やりすぎた。
うん、こいしちゃんの身体真っ赤にしちゃった。
なんか、悪い病気にかかってるみたいになっちゃったよ。
自制しないと、だめだな。

「お兄ちゃんのあとだ~」

だけど、僕の気にしていることなど全く気にしない。
それどころか嬉しそうに撫でてる。

「あの、こいしちゃん」
「くすっ、お兄ちゃんの好きなようにしてよ。
許可なんてとらなくて……ねっ?」

心は読めないはずなのに、僕のことはお見通しみたいだ。

「うん、わかった」

スカートはこいしちゃんがほとんど脱いでしまったようなものだから、パンツを下ろしていく。
あんなに何回もしているのに、やっぱり緊張するな。
ずらし終わると、思わずごくっと唾を飲み込んでしまう。
十分濡れているけれど、もうちょっと感じさせたい。

「さわるからね」
「んぅ、ぁ、うん」

前の感じではクリトリスは敏感みたいだから、そこを弄くっていく。

「んぁっ、あ、そっこ」
「やっぱ、ここいいんだ」
「あっ、ぁ」

イきそうになったあたりで指を止める。
こいしちゃんが不思議そうに僕のことを見上げる。
こんな可愛い姿見てたら我慢なんかできない。
ズボンから自分のものを取り出す。
もう我慢できないのかがちがちに硬くなってる。

「きて?」

強引にならないようにゆっくりと挿入していく。
僕のものが全ておさまりきったあたりでぼそりとこいしちゃんが言う。

「ぁ、お兄ちゃんのでいっぱいだね」
「うん、こいしちゃんので包まれてる」
「そうだ、お兄ちゃん……
ナカダシしないと、イヤだからね?」

ぅ、見抜かれた。
こいしちゃんが性欲でしか見てないと言うことを証明するんだったら途中で引き抜いたほうがいいかなって思ったのに……

「ちゃんと、お兄ちゃんの想い伝わってるから。
かんじさせて」
「あぁ、もう遠慮なんかしないよ」

ここまで言われたらもう無理です。
えぇ、少し前の自分ごめん!
やっぱ、僕我慢できない。
腰を動かしていく。
ぎゅってこいしちゃんが僕に縋るように抱きつく。

「こいしちゃん、だすね!」

そういったときにはもうすでに出ていた。

「ぅああ、あつ」

また腰を動かしていく。
ぐんっと奥を突くたびにこいしちゃんの身体がびくっと跳ねる。

「はぁっ、ぁっ、ふっ……
ぅあ、あれ?」

がくんって急にこいしちゃんの目が閉じられる。
あれ、どうしたんだろ?
少し軽くぺちぺちとたたいてみても目が開かない。
脈を取ってみると、きちんと生きてた。
とりあえず、自分のものを引き抜き首をかしげる。
いつもなら、これくらい平気なのに……
『妖怪の力を制御する手錠』
つまり、体力も普通の少女並みになったってこと?
こいしちゃんって容姿幼い少女だからな。

「ま、しょうがないね。
おやすみ、こいしちゃん」

とりあえず、自分のものを無理やりズボンの中に収めて、こいしちゃんを抱きしめて目を瞑る。
多分、この手錠の効果がなくなって、体力が元に戻ったら続きなんだろうな。

「首輪は無理だけど……
それに近いものを近々贈るよ」

しばらくは目覚めないだろうけど、誓いも含めてこいしちゃんに言う。
どんなものにしようかと悩みながらも、こいしちゃんの横に寝転がり、目を瞑る。
ここまで読んでくださりありがとうございました!
感想脱字誤字アドバイスいただければありがたいです。

第三の目とか色々考え出したら、こいしちゃんって色々な解釈ができちゃいますよね。
『だめっ、ナカは妊娠しちゃうから~!』も大好きですが、逆に妊娠できずにボロボロ泣いちゃうのもよくないですか?
百合だとそれは『しょうがないこと』か『はやして即解決☆』が多いですからね。
はい、私の性癖はこれ以上語らなくていいですね(笑)

次はもう来年で保健の先生のパチュリー編になりそうです。
もしくは、クリスマスで書いて欲しいキャラ(カップル)があれば、サンタになったつもりで今年中に書いちゃいます(来ないでしょうけどね
あと、俺来年中にはめーさく、レイアリを絶対一個は書ききるんだ……

そんなわけで今回もありがとうございました。
次回の投稿もよろしくお願いします。
arlys
コメント




1.ケロ削除
こいしの悩みがなくなって良かった、幸せが一番だな。
こ、こういうのもいいのかな…百合だと難しいとこですよね。
保健の先生のパチュリーか…これでもうエロく思ってしまう。
次回も楽しみにしています。
2.名前が無い程度の能力削除
世の中には子供が産めなくて苦しむ人が結構多いんですよね・・・。
このふたりは幸せになってほしいですね。
それはそうと烏はどうなったのー?っと
3.名前が無い程度の能力削除
お燐の尻尾握られた時の反応があああああぁぁぁぁ
あえてのアナザーストーリー希望
4.名前が無い程度の能力削除
こいしちゃん可愛いのぅ
プレゼントはチョーカーとかかな

妊娠出来ずに泣いちゃうってのも良いなと
このSSで思えた
5.名前が無い程度の能力削除
お久しぶりです。保健の先生シリーズでパチュリーをリクエストした者です<m(__)m>
こいしちゃんとハッピーで素晴らしい!
あとさとりさんの官能小説朗読ばりのエロいぶっちゃけトークでおっきしました。変態ですみません。
そして次の作品も期待しちゃいます♪
6.arlys削除
コメントありがとうございます!
返信させてもらいます。

ケロ様
幸せにできて、何よりです。
変わった性癖なんで、無理して理解しなくていいですよ。
えっと、響きはえろいですけど……
私なんで期待したら、幻滅しちゃいますよ。

2.様
二人にとって、大きなことだからこそ、受け入れてもらえるのって嬉しいんだと思います。
ここまできて、幸せにならないなんて……ねぇ?
烏は怒られて、部屋でふてくされてます(笑い)

3.様
今回の見せ場の一つになっちゃってましたか。
あ、アナザーってどういう意味ですか?

4.様
こいしちゃんは、かわいいです。
さあ、なんでしょうね?

よし、俺は勝った……

5.様
お久しぶりです。遅くなっちゃいましたが書かせてもらいました。
私なんで、期待したらだめですよ~。
こいしちゃんにはハッピーになってもらわないと!
さとりさんは、至極真面目に話してますが、書いているこちらはどこまでエロくかけるかに重点を置いてるんで、むしろ嬉しいです。