真・東方夜伽話

自己嫌悪4

2010/12/09 23:48:29
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自己嫌悪4

arlys
自己嫌悪1~3の続き物です。
単発でも読めると思いますが、1~3を先に読むことをおすすめします。
『もう、なんでもOKなんだぜ!』っていうかたは下からよろしくお願いします。


人は一人では生きられないってよく言う。
それは、私達姉妹にもよくあてはまる。
迫害されてきた私たちは正しく言えば二人じゃないと生きられないだったけれど……
私と歳の離れたお姉ちゃんは、いつでも私を守って育ててくれた。
文字通り、お姉ちゃんがいなければ死んでしまうほど弱い存在。
そんなお姉ちゃんには私なんか必要ないんだなって思ってた。
私がいないほうがお姉ちゃんはもっと楽な生活が出来るんだと……
でも、お姉ちゃんは、私が必要だった。
お姉ちゃんは生きる理由全てが私のためだった。
私がねているときに寝苦しくて、少しはなれたところに行っていただけで死のうとしたのだ。

「あなたがいないのなら……
こんな私は生きる資格がないですから」

心の底からそう思っていたお姉ちゃん。
男どもに犯されいるからだが汚くて、忌み嫌われているから、私のために生きることこそが全てと思っている心。
そして、身体を汚されていない私にきれいなころの自分を投影してることも……
だから、お姉ちゃんのためにも、私は一生傍にいないといけないと思った。
ずぅっと、きれいな私でい続けないとダメで……
それがお姉ちゃんの生きる心の支え。
地霊殿の暮らしだって、私のためだった。
結果として、お姉ちゃんの暮らしも楽になったけれど、私が絶対に傷つけられない場所を確保するためだった。
そんなお姉ちゃんに育てられたからだろうね。
私は非常に自衛意識が弱かった。
だって、どんなことがあっても守ってくれる存在がいた。
むしろ、そうあることこそが守ってくれるおねえちゃんへの恩返しでもあった。
お姉ちゃんが嫌っている性知識については知っちゃいけないってふたをしてた。
だから、男達に取り囲まれて、『いいこと』、『きもちのいいこと』をしようと誘ってくる声が本当に気持ちのいいものだって思った。
目隠しをされて、猿轡をくわえさせられて、服を脱がされても、気づかなかった。
複数の男の手が自分の身体に這う感覚。
ごつごつと気持ち悪くて、だけれど心を読むときもちいいとか流れ込んでくるから、私がおかしいのかとぼ~としてた。

「はふっ」

生温かいものが自分のおなか当たりで好き勝手に動いている。
心を読み、ようやくそれが舌だということに気づく。
べとべとと濡れていく。
だけど、『おいしい』とかいう心が流れ込むから、私の身体っておいしいんだってびっくりした。
今度、なめてみようかな~とも思いながら、いつまでこうしてればいいんだろうと思った。

「ふーもぐっ、んぐっ」

聞いてみようと思ってもうまく話せない。
そんな私の様子を見て、笑っている声が聞こえてくる。
かわいいとかも思ってた男ども。
胸とかうなじとか耳とか太ももとか普通の生物の性感帯に手は動かされていく。

「んんんぅっ!?」

今となってはどういう場所かはわかってしまったけれど、当時はおしっこをするための場所としか思ってなかった。
だから、そんなところをさわったら汚いと思って、身をよじろうとしたら、身体をもっとおさえつけられた。
じゃりっと地面のあり小石などが私の手に食い込んでいたくて

「ゃうっ、んぅ」

まあ、それは嬌声と都合よく向こうは捉えたらしいけど。
本当のことを言うと、私は不感症ってやつ。
身体はきもちいいよりも、自分の身を守るために愛液を出すし、触られたりしたって気持ちよくなれない。
だから、ぐりぐりと棒状のあったかいもの(まあ、あれしかないよね)がすりつけられるのだって擦れて痛い。
『ぐちゃっ、ねちょっ』
と水の音が混じってくると、その痛みがましになって、もっと出てきて楽になったらいいのにって思った。
逃げるなんて意識はどこにもなかった。
どうせすぐに終わる、お姉ちゃんが来るだろうと思い込んでいた。

「ぐぁっ、ぁあああああっ!?」

自分の中がぶっといもので貫かれる感覚。
生理とは違って外部からの無理やりな衝撃。
助けて、たすけて、タスケテ!
心の中でお姉ちゃんを呼び続けた。
ぼろぼろと涙が出てくる。
目隠しが濡れていく。

「あははっ、すっげぇこえ」
「血出てきたぜ。
やっぱ、処女だったみたいだな。
それに締め付けてきてマジいい感じ」

男どもの声が遠くから聞こえてきてるようだった。
それなのに、痛みはなくならない。
抜かれると思っても、また深くに差し込まれていく。
諦めに包まれていく。
あぁ、死ぬのだろうなって……
お姉ちゃんは私がいなくて生きられるのかな?

「ぁっ」

内蔵全てを貫いていくような深い一突きに全ての意識がぶっ飛ばされた。

「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」

深い眠りにいるはずなのに、姉の声が聞こえてきた。
それは、夢と現実の狭間の世界。

「あなたっを……
守れなくて」

ぼろぼろっとあたたかいしずくがふってくる。
『こいしが汚されてしまった……
大事な妹を私と同じことに』
あぁ、そうか。
あれで、私はきれいじゃなくなってしまったのか……
それなら、お姉ちゃんの隣にいる資格なんてないや。
むしろ、お姉ちゃんを不幸にしちゃう。
お姉ちゃんがきれいな私を守ることを生きる理由としていて、私はきれいでい続けてお姉ちゃんといることが生きる理由だった。
だけど、それを崩したのが私なのだ。
お姉ちゃんに必要とされなくなったら……
だから、私は自分を殺すつもりで、現実に自分を戻して、自分の第三の瞳をつぶしにかかった。



「あれぇ~、まただ」

私は精液だらけだった。
瞳を閉じる代償は『死』じゃなくて、『無意識を操る』ことを手に入れることだった。
犯された回数なんてもう数え切れない。
いや、誘った回数といったほうが正しいのかな?
どうしても、ポカリと空いた心の隙間を見つけられるようになってしまって、ふらふらっとそれに誘い込まれて、私は相手を誘っている。
不倫をされていた女、妻をなくした男、心中で一人残されてしまったもの。
どうしてかって聞かれたら、一時でも必要とされたいもの。
その瞬間だけでも、私をこいしという存在で見ていなくてもいいから、ただがむしゃらに求められたい。
だって、もう汚れた身体ならば、何をしたってきれいにはならないじゃない。
それを見て、お姉ちゃんは悲しそうな顔をしてる。

「こんなことはやめなさい」

お姉ちゃんは必死に言う。
心の読めない私だけれど、なんとなくわかった。
あぁ、この人はきれいな自分の過去だったものが汚されていくのがいやなんだなって……
そして、ペットを与えるなり、私に尽くすことで、きれいな自分を取り戻そうとすることで自分を保っているんだって。
お姉ちゃんに優しくされるたびに、ぎゅうっと何をこらえる表情を見るたびに、必要とされているのは過去の自分なんだなって思う。
現在の自分をお姉ちゃんは何も求めてくれない。
尽くされているのに、満たされない。
だから、今日もふらふらっと出かけるの。
満たされている人としたって、私は快楽の道具としか扱われないもの。
だけど、心が空いた人はその空いた隙間と私に悩んでくれる。
愛があっても、快楽に溺れていく。
その愛と快楽の相違で現在の私を罵倒するなり、私を見てくれる。


「あはっ♪」

きもちよさなんてわからないけど、気持ちよさに相手を満たしていく方法だけが身についていく。
愛撫の仕方も、相手を興奮させるための嬌声だっておてのもの。

「あっれぇ~」

いつの間にか、相手を快楽だけじゃなく手を血みどろにしていた。
だって、殺してってもとめられるんだもの。
最後のしょうがない私にしか頼めない手段として……
そう、現在の私を見て……
それが嬉しくて、私は自殺しようとしているものを殺すようになった。


「こいし、もうこんなことをやめなさい」

目を合わせても、お姉ちゃんはそれしか言わなくなった。
もう、私を全然見てない。

「ねぇ、SEXってなんのためにあるんだろうね。
商売か、騙しあいなんじゃないの?
私は、それなら、相手を快楽に落として溺れさせて騙したいよ。
殺し合いも全部何もかもが『ゲーム』だよ」

ただ、私を見て欲しいの。
それがなんだっていいから……
だけど、あなたは心のスキマを作ってくれないね。
過去の私で埋め尽くして満足してる。

「それにさ~、SEXって愛し合ってるものがやるらしいけど……
今頃私を誰が愛してくれるって言うの~?
あははっ、こんなさ汚れきった身体をさ!
お姉ちゃんが愛してくれるわけ?
近親相姦になっちゃうね~」

誰よりもきれいな身体っていうものを求めているあなたがもう私を愛してくれるわけないね。
あなたが愛しているのは過去の私だけだもの。
現在の私なんて、ただの愛しい妹の抜け殻に過ぎないんでしょ?



お姉ちゃんは私を『かわいい』『かわいそう』というね。
現在の私を見て、軽蔑もしてくれないね。
それどころか、私さえも忘れてしまうの?

「勇儀さん」

やっぱり、お姉ちゃんはきれいなのがいいんだね。
あぁ、そっか、必要とされていたのは私なんかじゃなかったんだね。
ただただ、きれいな『何か』だったんだね。
『きれいじゃないから、私は』
お姉ちゃんは自分のことを軽蔑してるね。
そこから、目を逸らしてる。
私だって、お姉ちゃんと一緒なのよ。
むしろ、それよりもひどいかもね。
そっか、私のことを軽蔑するほど見てくれてないんだね。
そして、お姉ちゃんはきれいなものと結ばれてハッピーエンド☆
あぁ、つまりきたないものは消えろって事だね。

「うわああああああああぁっ!?」

私はまた誘い込まれて、叫び声が聞こえてきたほうへ歩いていく。
近づいていってみると、そこにいるのは桶?
いや、頭が出てるから妖怪のはず……

「ひくっ、ぐす」

泣いている。
あぁ、勇儀のほうがすきだったのかな?
覚りであるお姉ちゃんのこと好きになるのなんてあの物好きな鬼くらいだろうし……
泣いたって、何も変わらないんだよ?
誰も助けてくれない、何も手に入らないんだよ。
それがどうしようもなく、過去の自分と重なる。
『ジャリッ』
おとで、彼女に気づかれる。
無意識になれないほど、もう彼女のことを意識してしまった。

「ははっ、泣いてる」

私の大得意な笑みを浮かべる。
これさえ、浮かべてれば男どもは満足するから。

「何で、泣いてるのか……
教えてくれない?」

首を締め付ける。
こうすれば、悲しいことなんか忘れられるでしょ?
私とは違って、自衛があるならば、恐怖で……
がちがちと歯のなる音と荒い呼吸。

「も~、冗談だよ」

だけど、まだ眉毛は八の字。
恐怖から来るひきつった表情でもない。
桶の中にある手つかんで、外へと引きずり出す。

「でも、悲しいことがあったんでしょ?
じゃあ、きもちよくなろ?」

いつもよりも脱がしやすい白い着流しを脱がしていく。
人が性感を感じやすい場所へと触れていく。
まあ、見た感じきもちいいよりも不快感のほうが強そうだけど……
まあ、それでもいい。
口から出て行く呼吸する音。
初めてされたときの無抵抗な自分みたいだ。

「大丈夫だよ。
愛なんてなくなって、きもちよくなれるよ」

彼女の奥底に眠ってある感覚を引き起こす。
どうやら、私と同じ不感症ではないようだ。
深ければ深いほど、引きずり出されたときの反応が強い。

「だって、快感なんて愛とは違って無意識のそこにあるただの欲求なんだからさ」

まあ、私はその違いなんてわからないけどね。
きもちよくなるための起爆剤のようにみんなが反応をするキスをする。
舌も絡ませれば、もっとみんな反応していく。
胸を優しく揉んでいく。
強くなんかしない。
強引にしたら、きっとイタイのほうが勝ってしまうほど敏感になってしまうから。
それに、イタイなんて感じさせたくない。

「んぁ、ん」

どうやら、少しずつだけれどきもちよくなっていってる。
だけど、それに抗って自分を噛もうとしてる。

「噛んだら、だめ」

いれていた手をきつく噛まれる。
優しく優しく撫でながら、呟く。

「今日は、何一ついやなことなんてなかった。
あなたはいつもどおり幸せだったの」
「んぅ」

あぁ、私はお姉ちゃんと姉妹だ。
過去の自分に似ているこの子を幸せだって思わせて……
自分も幸せなあのころ、それにしがみつきたいんだ。

「ううん、むしろ気持ちいいことばかりだったの」

彼女の秘所を舐める。
指よりも舌のほうが柔らかいから、痛みはかんじないはず。

「ひゃっ!?」
「ほら、気持ちいいっていってる」
「んゃっ」

どんどんと彼女の肌が色づいていく。
快楽が強くなればなるほど、無意識に掌握されている彼女の悲しいは沈んでいく。
うん、自分が悪いと辛いと思わなければ幸せになれるんだ。
きっと、きっと、そうなんだ。

「なかない……で?」
「ぇ?」

心配そうに声をかけられて、頬を撫でられる。
もう快感で私なんか見えないでしょ?
それなのに、それなのに、私のことをきちんと見てくれるの?
嫌悪でも軽蔑でもなく、現在の私を心配してくれるの?

「あなたは心の底から優しい人なのかしらね」

あぁ、私と彼女は全然違う。
私は彼女自身を自らに重ねてみてた。
結局は自分のことしか見えてないのね。
あぁ、だけど今は彼女を見よう。
私の全てを掛けて、快感に導いて気持ちよくしよう。
舌の動きを早くしていく。
おくから、どぴゅって愛液があふれでてくる。
これくらいならまだきもちいいなんだね。

「あぁっ」
「んちゅ、くちゅ」

吸い付く動きも加えていく。

「やぁっ。ああぁっ!」

ぐったりとなる彼女。
目もどこに向けているかわからないほど、きもちよかったみたい。

「あなたみたいな人を私みたいな汚いのがさわっちゃだめだった。
ごめんなさい」

だけど、その記憶は沈めてあげるよ。
これで、あなたは幸せになれるはずよね。

「おやすみなさいね?」

目を塞ぐ。
彼女の小さな寝息が聞こえてくる。
さてと、彼女の記憶は消しましょうか。
『なかない……で?』

「けさなきゃ、けさなきゃ、けさないと……
けしたくない」

最後の自分の願望が漏れる。
後で、彼女が私を軽蔑したとしても、心配されたっていう事実を沈めてなくしたくない。
誰かにきちんと私を見てもらった証を消したくない。

「ごめんなさい」

身勝手だけれど、ゆるさなくてもいい。
むしろ、私を嫌悪し続けてください。
どうか、私を記憶に残して?
私は逃げる。
こうすれば、彼女が快楽で私を本当は見えてなかったとしても、周りは私だって思うから。

「こいし?」

無意識のうちに帰ってきたのは、お姉ちゃんの場所だった。

「あぁ、お姉ちゃん」

私はあなたと一緒だったよ。
自分そっくりだと思う何かを愛するのっていいね。
それがどんな形でも違うと思ったら、悲しいね。

「どうしたのですか?」
「なっんでもないよ~」

けど、もう幸せになったあなたには意味のないことだね。
あぁ、そうか。

「さみしいなぁ」



ぐりゅって男の人の肉棒が私を貫く。
今日は……なんだったけ~?
どんな事情があるんだったっけ?
まあ、そんなことどうでもいいか。
こうやっていれば、名前も知らないあなたは迷ってくれるんでしょ?
だって、あなたも心にスキマがあるから。
淫らな言葉だっていくらだって、はいてみせましょう。
だから、いっしゅんでもいいから、現在の私を……


お姉ちゃんの恋人になった勇儀って鬼が私を探してくれている。
私を意識してくれている。
だけれど、かくれんぼは見付かったら最後。
探してもらえなくなるのは寂しいから、一生懸命かくれないと……


「ふぁっ、あんっ♪
ほぅら~?
もっと、もっと、乱暴にしていいんだよ」

今日はきちんとおぼえてた。
だから、『乱暴』って言葉を故意に使う。
今日は、家族に暴行をしてしまう男。
でも、それほど家族を見てるって事だよね。
それで、悩んじゃうんだよね。

「愛しているものには優しくしたいよね?
それなら、私に全部ぶつけちゃえばいいじゃない♪
私はきっもちよくて、あなたはストレス解消。
えへへ、素敵だね~」

あなたは自分の娘と似ている私と暴行して悩んでる。
えへへ、見てくれてる。
うん、キモチイイナ

「ぇ、ころしてしまうかもしれない?
あははっ、何したっていいじゃない。
だって、私は古明地 こいしだもの」

ほら、もっと私だって意識して?

「なにをしてるんだ?」

がんっと乱暴に引き抜かれて逃げていく。
あ~ぁ、やっぱりもう私のことなんて全然意識してくれてもないね。
まあ、そんなことわかってるよ。
へらへらって笑いが漏れる。

「あ~ぁ、見付かっちゃった。
探されてるから、気をつけてはいたんだけどな~」

それに鬼ごっこも終わっちゃった。

「なんで、こんなことをしてるんだ?」
「キタナイカラ」

もう、こうでもしないと見てもらえないの。
お姉ちゃんはきれいなあなたに夢中なの。
あの子は、もう私のことを忘れてしまったかしら?
だって、私を嫌悪する声が聞こえてこないもの。
あぁ、キスメっていうんだっけ?
気になって気になって、追っている最中に脳にこびりついた名前。
ふらぁって、歩き出す。

「キスメがお前と話したがっている!」

だから、その名前が聞こえたとき、胸がドクッと震えて、肩が上がる。
それは、直接的なまでに私に嫌悪の言葉を言うため?
あぁ、たのしみだな。
彼女だけが私を見てくれるだろうから。
さぁ、嫌悪の視線で私を見つめて?



「ねぇ、こいし」
「んぅ、あぁ」

いつの間にかお姉ちゃんと一緒にいた。
もう、必要なんかされてないくせにね。
ははっ、バカみたいだね。

「あなたね、SEXはゲームだって言ってたじゃない?」
「んぅ、そうだね」
「私もそう思ってた。
だけどね……
好きな人とするのはね、また違うの。
自分を許しさえすれば」

あぁ、幸せそうだね。
そうやって、お姉ちゃんは幸せの花園の中、汚い花はいらないってこと?
きれいになったら、いるってこと?
ゆるすってなんなの?
私は、私はただ見て欲しいだけだよ。

「そうなんだ~」

私はふらっと無意識に身をゆだねる。



ふらふらふら~て、どこなんだろ?
会おうと思ってるわけなんだけど、わかんないね。

「ひっく、ひく、ぐすっ」

誰かが泣いてる。

「なんで、泣いてるの?」
「「ぁ」」

声を掛けて、今更だけどようやく意識する。
それは彼女だった。

「やっと、いた」

きゅっと服の裾を握られる。

「ぇ、あ、あの?」

会った瞬間、殴られて罵声をかけられることをどこかで予想(期待)していた私にとっては、嬉しすぎるハプニングだった。
じぃっと彼女が私の瞳を見つめる。

「待ってたのに」
「ぁ、ごめんなさい」
「私じゃ……見つけられない」
「そうだね」

ど、どうしよう。
頭がうまく働かない。

「あ、の……
私と友達になってくださぃ」

と、友達?
私なんかに友達が出来るの?

「い、ぃや?
よわいし、いいとこないもんね」
「ちがうっ!
そうじゃないの……
なんで、私なの?」

彼女がぼっと顔を赤くする。

「ぁ、ぁの……
きっかけは、あ、ぁのエッチなことなんだけどね」

たどたどしく語る。
それが、嘘じゃなくて本当に一生懸命かたってくれてるってわかる。

「それからね、いろいろ調べたの……」
「最低だったでしょ?
人の心の隙間を狙うんだもんね」

あぁ、どうしてこんな言い方しちゃうんだろう?
『友達が欲しい』
『そんなに深い関係になってしまってはこの子を傷つけてしまう』
交わらない心の意見が喧嘩してる。

「でもね、私みたいにされた人で悪く言ってる人はいなかった。
周りが怒ってるだけ……
わた、私達にとっては……
強引でも気づいて何かをしてくれたこと事態が嬉しかったから」
「ぅ、うそだ」

声が震える。
だって、そんなわけない。
自分が救われるためだけにあんなことをしてたんだ。

「たとえ、他の人は嘘でも……
わたしはあなたの優しさが嬉しかった」
「優しさなんかじゃない!
自分が、自分が必要とされたかった!」

すっと唇に人差し指を置かれる。
ぎゅうっと目を細めている彼女。

「優しさってそうじゃないの?
所詮は受け取る側の解釈で……
何もせずに求めているよりもいいよ」
「だ、だけ、だけっど!」
「私の想いは……迷惑?」

『受け入れなよ』
『こんなきれいな子といるほど、お前はきれいじゃない。
だって、お姉ちゃんよりも汚いじゃない』

「めいわくじゃ……ない」

出たのは否定でも肯定でもない。
だって、自分で振り払うなんてそんなの……

「やったぁ。
よかった、うれしい」

ぱっと微笑む彼女。

「けど、口下手で……
あのっ、それでも、話してくれる?」

不安そうに言う。

「うん、話したい」

口が勝手に動いてた。
大丈夫、話すだけなら不幸になんかしない。
必要とされたい。

「じゃあ、こいしちゃんについて教えてほしい。
わたっしのことも話すから」
「ぅん、わかった」

私の過去なんて聞かせてもいいのだろうか?
だって、私の過去なんてきたなくて、『きれいな』彼女を汚してしまう。
まあ、お姉ちゃんと一緒にいたころの私の話だけすればいいや。
だって、そのときは『きれい』なはずだから。



「あの、お姉さんってどんな人なの?」

おずおずと聞かれる。
あぁ、そっか。
勇儀さんの恋人だから、気になるか……
だって、勇儀さんのこと好きなんだし。

「私のお姉ちゃんは、強い人なの。
いつも、私を守ってくれてた。
だけどね、誰かに尽くさないと自分は生きる価値なんてないって思い込んでしまうんだ。
だから、尽くしちゃうの」
「そうなんだ。
ねぇ、何が趣味?」
「しゅみ……か。
なんだろうね~……
お姉ちゃんと一緒にいること?」

習慣としておこなっていることはそれくらいしか思いつかなかった。
さすがに、相手の心のスキマ見つけて相手を犯すか犯されるかなんていえるわけないし。

「お姉さんのこと好きなんだね」

好き……か。
どうなんだろう?

「好きとは違うかもね。
過去の私にとって、お姉ちゃんは空気みたいなものだったから」
「どういうこと?」
「当たり前に必要な存在だったの。
必要とされないと、生きるのなんてむなしいじゃない?
嫌われ者である私達姉妹はお互いに依存しないと生きる理由がなくなってしまうの」
「でも、お姉さんのほうは」
「うん、付き合いだしてるよ。
私以外に依存する相手を見つけられたんだよ。
ほら、お姫様は最後は王子様と結ばれてハッピーエンドなんだよ」

頭を撫でられる。
あれ、なにかおかしいことでも言ったかな?

「さみしいなら、さみしいって言って?」
「そ、そんなこと」

じぃっと見つめる彼女の目線が怖くて、私は無意識へと逃れた。



「ひ、ひさしぶり」

結局、数日後には戻ってきた。
彼女が見てくれるたことが嬉しくて忘れられない。
だから訪れてしまう。

「う、うん。
よかった、怒ったかと思った」
「こんな能力だから、ゆるして。
ねぇ、前回は私が一方的だったから、今日はあなたの話を聞かせて?」
「つまらないよ。
あ、後ね、あなたじゃなくて、名前で」
「私の名前も呼んでくれる?」
「ぅん、こいしちゃん!」

顔を真っ赤にして叫ぶようだった。
名前なんて、何回も呼ばれたことがあるはずなのに、とくっと胸が高鳴る。

「あの、もう一回呼んでくれる?」

おかしいんだろうけど、どうしても呼んで欲しかった。

「うん、こいしちゃん」
「ありがとう、キスメちゃん」
「あの、もう一回よんで」
「うん、キスメちゃん」

それを何回も繰り返してた。
後から、思い出してみると変なことかなっとも思うけど、しょうがない。
だって、私はキスメちゃんに名前を呼ばれるのが嬉しかったから。



「あの、前回は聞けなかったけど……
キスメちゃんの話聞かせてもらえる?」
「つまらないよ。
ただの釣瓶落としの妖怪で、落ちることしか能がないの。
そのくせ卑屈で、強い人に無条件であこがれちゃう」
「勇儀のこと好きだものね」

ズキリと心が痛む。
わかってることじゃないの。
どうして、今更胸を痛めるの?

「まあ、初恋だし」

かぁっと顔をうつむかせる。
あ~ぁ、お姉ちゃんが相手じゃなければ、どんな手を使ってでも、結ばせるのにな。

「私のお姉ちゃんがごめんね」
「ふぇっ、ぁ、あの……
あやまらないで?
むしろ、私は」
「そうだね、私が謝ったって何もならないものね。
だから、次に気になる人が出来たら、その人と結ばれてね」

何も言葉を返してくれない。
あぁ、私なんかが言うことなんかじゃなかったね。

「ぅ、うん、ありがとう」

ゆっくりと言葉が返ってくる。

「応援してるから。
じゃあ、バイバイ」

ひょっとしたら、キスメちゃんが好きな人の相談をするかもしれないと思ったら、怖くなって足が勝手に動き出していた。
でも、どこに行こうとしているんだろう?
何もかもがわからなくなる。



「んちゅっ、くちゅっ」

あぁ、またしてる。
自分がしてるっていうのにね。
あははっ、まるで他人事。
男の人の肉棒に舌を這わせる。
どぴゃっと熱いものがかかる。
あぁ、やっちゃった。
髪につくと、掃除が大変だから最近は全部飲み込んでたのに……
かつんっと何かが落ちる音。
それに怯え、目の前の男が逃げていく。

「んぅ、おふろ」

地霊殿へと向かう。
温泉ならば、他にもあるが、服にもついてしまったから、どっちにしろ家に帰らなければならなかった。
自分の部屋に行って、服を取って、帽子を帽子掛けにかけておく。
適当に脱いでも、ペットたちがきれいに洗濯してくれるから、脱ぎ散らかして、お湯を浴びる。
湯船に入ってゆっくりとする気分ではなかったので、汚れが取れたらすぐにあがって、服を着る。
帽子を取りに部屋に戻ろうとするときに
『バチンッ』
何かを叩く音が聞こえる。
どうしたんだろうと、部屋を覗き込む。

「はっ、はぁ、はぁっ」

お姉ちゃんが顔を真っ赤にして、右手を自分の左で包み込んでいて、勇儀のほうは困ったように頬をかいていた。

「ゆ、勇儀さんは……
私がこいしを愛していないなどと言うのですか!?」
「そうじゃなくてだな~」

何を言っているんだろう?
お姉ちゃんが愛しているのは昔の私でしょ?

「お前の話を聞いてると、違和感を感じるんだよ。
こいしもきっと、感じてるからあんなことを言ってたんだ」
「私が、こいしの過去しか見ていない?
そんなわけないでしょう……」
「言葉にしなければ、伝わらないこともたくさんあるんだ。
逆に、伝えたくないことが伝わることもある。
お前は処女じゃない自分とか男に犯されている自分を『キタナイ』ってよく言うよな。
それなら、こいしをどう思っているんだ?」

いやだ、聞きたくない。
そんなの、そんなの、だって

「何を言ってるんですか?
そんなの関係ないですよ。
ただ、私がきちんと妹にそのようなことを教えなかった……
だから、こいしがヨゴサレてしまって」
「そうじゃないんだよ、さとり。
お前は、こいしをよごされたとか、きれいじゃなくなってしまったって……
そんなことに囚われずに、お前はこいしに想いを伝えたのか?
それでも、愛してるんだって」

勇儀、そんなわけないよ。
お姉ちゃんが私を愛してるわけ……

「伝えなくても、当たり前のことじゃないですか?
私達はずっと心を読みあって、生きてきたのですよ。
たとえ、世界がひっくり返ったとしても、私がこいしを嫌いになるわけがありません。
いいえ、私はこいしを愛することしかできません」
「ぅそだ」

ぼそりと漏れた私の言葉。
お姉ちゃんと勇儀が振り返る。

「こいし、おかえりなさい」

ほら、だって今のあなたの顔はひきつっているじゃない。
そうやって、わたしのことをかわいそうだって!

「お姉ちゃんが私を愛してるわけないじゃない!
愛しているのは私の過去……
きれいなころだった自分を思い出させてくれていた私だけでしょ!?」
「こいし?」
「そんなっ、そんなのわかってるからぁ……
おねがいだから、今の私を軽蔑してください」

キタナイなら、触れなくてもいいから。
お姉ちゃんの腕が私に近づいてきたと思っては離れる。

「まどろっこしいなっ!」
「ひゃっ」

お姉ちゃんが私のほうに飛び込んでくる。
まるで、お姉ちゃんに押し倒されたみたい。

「こいし、大丈夫ですか?
けがはしていませんか、どこか痛くありませんか?」
「大丈夫だよ。
それよりも、離れないとキタナイよ」
「何を言ってるんですか?」

ぎゅうっときつく痛いほどに抱きしめられる。

「あなたがキタナイなんて……」
「うそ、だってお姉ちゃんは自分のことを汚いって言ってるじゃない。
それなら、それよりも酷い境遇にいる私はキタナイじゃ言い表せない?」
「ぇ、あ、ごめんなさい。
そんなつもりじゃなかったの。
えっと、私は本当にこいしのこと愛してるからどこにだって触れるわよ。
キタナイとか、そんなもの関係ないもの」

ぺたぺたと私の頬に触れる。
髪とか、いろんなところを優しくお姉ちゃんが撫でてくる。

「な~んか、エッチ~」
「ぅ、しょうがないでしょ。
口下手だから、他に方法がわからないのよ」

顔を逸らすお姉ちゃん。

「そうだね、私も……
お姉ちゃん、愛してる」
「私も愛してる、こいし」

ふふっと笑いあう。
こんな当たり前のことをしたのもいつぶりだろう?

「お前らは二人とも、遠慮しすぎなんだよ。
欲しい、好きっていうならさ、伝えればいいじゃないか?
伝えるだけで罪ならば、この世は罪人だらけだ」

勇儀がお姉ちゃんと私の頭をくしゃくしゃと強引に撫でる。

「ぃいのかな?」
「あのね、こいし。
私もね、ずっとだめだって思ってた。
でもね、勇儀さんが教えてくれた。
好きになったら、だめなんてそんなのないんだって」
「おい、さとり少し照れる」
「ぇ、あ、もぅ、勇儀さん」

一回大きく深呼吸して落ち着いてから私は地霊殿から出て行く。
うん、確かな意識を持って、私は

「キスメちゃん」
「ぁ、こいしちゃん」

なんだか、少し目が腫れてる。

「あのっ、あのね、キスメちゃん」

がくがくと手が震える。
ごくっと唾を飲み込む。

「と、特別な友達になってください」
「と、特別な友達?」
「ぅ、うん、あの……
私、もっとキスメちゃんのこと知りたい」
「わ、私……
男の人みたいに、そのついてないけど」
「そんなのいらない!
私はキスメちゃんが、キスメちゃんだからいいの」

あなたのその人を気遣う優しさがすきなの。
あなたはそれは優しさじゃないっていうかもしれないけど、優しさは受け取り方なんでしょ?
もっと知りたいし、もっとそばにいたい。

「ぁ、あの、こいしちゃん、ちょっと来て?」
「う、うん、キスメちゃん」

ドキドキしながら、キスメちゃんに近づく。

「んっ……知ってた?
特別な友達ってキスするらしいんだよ」

たった数秒の接触。

「し、しらなかったぁ~」

キスなんて何回もしているはずなのに、ドキドキする。
もう、キスメちゃんのことしか見えない。
ねえキスメちゃんもっとお話したい
        もっと一緒にいたい

「キスメちゃん、大好き」

こらえきれなくなった言葉が私の口から漏れて、ぼすっとキスメちゃんが私の胸に顔を埋める。
ぼそぼそっと呟かれる言葉。
へにゃっと、自分でも嬉しすぎて顔が緩むのが分かる。


はじめて、現在の私が好きになれました。
ここまで、読んでくださりありがとうございました!
何か、感想誤字脱字、アドバイスしていただけるとありがたいです。

このシリーズ中では長い話なのに、一番サクサクと書き終えました。
勇儀とさとりは、何回も書き直してさとりがようやく素直になってくれたんで……

自分をいためつけるはずの言葉が他人をいためつけてしまうってよくあることですよね。
今回の古明地姉妹はそんな感じです。
勇儀とキスメがいなければ、ずぅっと二人でそんなことを繰り返していたと思います。

これが、今年ラストになると思ってたんですけど、もう一個くらいはいけそうです。
さて、こいしちゃんとオリキャラにするか、保健室の先生か、また違うやつになるか……
生あたたかい目で見守っていただけると嬉しいです。
それでは、またの投稿もよろしくお願いします。
arlys
コメント




1.名前が無い程度の能力削除
いやっふーーーーー!
最近足りなかったこいし分を一気に補給したぜ!
いやっふーーーーー!

…すいません取り乱しました
それぞれの心情がよく表れていてとても面白かったです
毎回続きが気になって朝も起きれませんでした
やっぱり古明地姉妹はハッピーエンドが似合いますね!シリアスも大好物ですけど
2.ケロ削除
まってたぜハッピーエンド!
こいしにようやく特別な友達が…二人が初々しくてもう感無量です!
勇儀とキスメがいてくれて本当に良かった
やっぱりハッピーエンドが一番だな!
3.名前が無い程度の能力削除
面白かったー
続き楽しみにしてます
4.名前が無い程度の能力削除
おはようございます。キスメリ(略)<m(__)m>

みんなが幸せになれそうな予感……素晴らしい!
でもやっぱりこいしちゃんに誘われたい(笑)! 

難しいリクエストに素晴らしい作品でこたえてくださるarlysさんの次回作にも期待してしまいます。本当にありがとうございます<m(__)m>
5.名前が無い程度の能力削除
こいしちゃんが不感症とかなんかいいじゃないか…
彼女に友達ができて本当に良かった
6.名前が無い程度の能力削除
自分が駄目と思ってても周りは気にしてなかったり、周りが騒いでても当人には嬉しかったり
意外と世界は優しいのかも

純粋な気持ちしか込められてないはずなのに、ちゃん付けで呼び合って『特別な友達』って所にエロスを感じた
理由は恐らく、自分の心が汚れてるから

さとりとこいしは負のスパイラルみたいなのにすぐ陥りそう
しかもそれが似合っちゃうw
二人には出来る限り笑ってて欲しいなぁ
7.arlys削除
コメントありがとうございます!
返信させてもらいます。

1.様
もっと、こいしちゃん分は増えるべきですよね!
他の方のこいしちゃん分を補給したいです……

心情を表したかったんで、そういってもらえてよかったです。
朝は……起きれない、しょうがないことですよ!
辛いことを乗り越えて、きちんとこの二人にはハッピーになってもらいたいです!

ケロ様
ハッピーエンドに無事になりました。
こいしとキスメはこれからもきっと初々しく友達だと思います。
確かにこの二人いなければ、この物語すくいが……
シリアスもいいですけど、ハッピーエンドもいいですよね。

3.様
これで、完結ですよ。
この二人はずっと健全な関係なんで……
う~ん、きちんと書いておくべきでしたね。

4.様
こんばんは。arlys(略)<m(__)m>

もう、これで幸せにならないわけ……ないですよ!
誘うこいしちゃんはこの先、色んな作品で出てきますよ(笑)

わざわざ、リクエストしてきちんとおっかけてもらいありがとうございました。
また、リクエストがあれば気楽に書いてください。

5.様
物語始めるときから決めてた設定なんで気に入ってもらえてよかったです。
二人がずっと友達で仲良くしているといいです。

6.様
逆のパターンもありますけど、世界は想ったよりも優しいですよね。

それはしょうがない、作者が少しエロスを感じて『特別な友達』って響きを選んでますから。
いうまでもなく、汚れています(キリッ

この二人はなんか似合っちゃいますよね。
だからこそ、きちんと幸せに笑っていて欲しいものです。
苦境を押し付けてばかりの私が言うのもおかしいかもですけど……


ありがとうございました!
次回もヨロシクお願いします。