真・東方夜伽話

自己嫌悪1

2010/09/28 00:09:32
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自己嫌悪1

arlys
おいつだって、私は思うんだ。
どうして、私は釣瓶落とし なんだろうなって……
だって、周りには病気や嫉妬、心を読んじゃう妖怪とか、おそれられて納得の妖怪ばかり。
その中で、ただ落ちるだけの私。
地底に落とされるなら、もっとすごいことが出来たらって思う。
そりゃあ、『鬼火を操る程度の能力』っていうのがあるけど、さきほど述べられた妖怪たちの能力に比べたら、しょうもないなって考えちゃう。
そんなことをぼ~と考えると、じゃりっと土が踏む音。
深いことなど、考えずに本能的にその場所へ落ちていく。

「うわっとと。
ふっ、キスメか」

ぱくぱくと口が勝手に動く。
私がおちていったのは鬼の四天王の一人の星熊勇儀さんだった。
あんな上から落ちてきた私を平然と片手で受け止めている。
今も、ぐびぐびとお酒を飲んでいる。

「お~い」
「ご、ごめん、なさ!」

もともと喋らないから、上手に言葉がいえなくて、恥ずかしくて逃げ出す。
後ろからは、勇儀さんの豪快な笑い声。

「ははは~、気にするな、キスメ!」

それに、何かの言葉を返さないとって思うのに、振り返ることが出来ずにいつもの場所に戻る。
ばっくばくとうるさく心臓がなる。
勇儀さんはいつもこうなのだ。
他の妖怪たちは、うっとうしそうな顔をするのに、勇儀さんは、いつも豪快に笑ってくれる。
まあ、そんな彼女はみんなの人気者だ。
だから、私の片思い。
遠くから勇儀さんを見るのは楽しい。
いつも、豪快でどの鬼よりも力強い。
卑怯を嫌う、まさしく正義の味方。
勇儀さんがいなかったら、この地底の治安は保たれないと思う。
はぁと息を漏らす声が重なる。
えっと思い、隣を見ると

「あぁ、キスメじゃん」

ヤマメが隣にいた。
こんなところにいるなんて、珍しいなって思ったら

「あははっ、そんなに目をまん丸させて驚かないでよ」

じゃあ、何があったんだろと首をかしげると

「んぅ~、ちょっと喧嘩しちゃったの。
いや~、嫉妬深い恋人を持つと大変だ」

困ったように頬をかいてるのに、でれでれと頬を緩ませてる。
相変わらず仲がいいなって笑うと

「もぅ、笑わないでよ」

ヤマメが苦笑をする。

「たく、浮気なんて疑わなくても大丈夫なのにね~」

そうは言われても、私には分からない。
だって、ヤマメをそんなに知っているわけでもないから、無責任に頷けない。

「んぅ、ごめん。
そんな困った顔しないで」

ぽんぽんっと軽く頭を叩かれる。
その後も、ヤマメは色んな事を語っていく。
私はそれに何も返せずにじぃっと見つめるだけ。

「うん、ありがと。
すっきりしたよ。
パルスィと話してくる」

笑って、ヤマメは去っていく。
私は何もやってないのになって首を傾げてしまう。
ぐいっといきなり後ろから引っ張られる。
あまりのことで、悲鳴を上げる間もなく

「ちょっといい?」

嫉妬に狂った緑の瞳に見つめられていた。
桶をがっしりとつかまれているので、逃げ出すことも出来ないから頷く。

「ったく、本当、ヤマメはさ」

ぶつぶつとパルスィが語りだす。
それに何か言葉を返したくても、次々と早口に話題が変わって言ってしまうから、頷くことしか出来ない。
ヤマメがアイドルで人気だからいつも回りに人がいるからいやだとか、笑顔が可愛すぎるとか、なんか愚痴なのか嫉妬なのかのろけなのかよくわからない。
言葉がおさまってきたかな~?て思ったら

「あ、パルスィ!
こんなところにいたんだね」

歩いていったヤマメがこっちに戻ってきていて、どんっと勢いよくパルスィに突進しながら抱きつく。
私は、巻き込まれないようにそっと避ける。

「ちょっ、ヤマメ」
「もぅ、探し回ったんだよ?」

ぎゅう~と、パルスィの頬に自分の頬をひっつきあわせるヤマメ。

「えへへ~、大好きだよ」
「ば、ばか」

周りの空気がピンク色になっていく。
私はぴょこぴょこと跳ねて、二人から距離をとっていく。

「おっり~ん!」
「あぁ、お空」

そして、どうやら、私は間違えて地霊殿の方向に跳ねてきてしまったらしい。
仲良しそうなペット二人組。
はぁ、とんでもないところ来ちゃった。
早く、自分のところに戻らないと……

「じゃあ、また来るな!」

ぇ、なんで?
聞こえてきたのは、勇儀さんの声。
ゆっくり、ゆっくりと声の聞こえた方向へ振り返ると、そこにいるのは古明地さとり。
勇儀さんの声も叫ぶような声だったからさきほどは聞こえたけど、古明地さとりがぼそぼそと口元を動かしているけど、遠くからでは声は聞こえない。
だけど、古明地さとりが背伸びをしたと思ったら
勇儀さんと唇を重ね合わせていて

「うわああああああああぁっ!?」

勝手に叫んでいて、初めて全力で叫んだから喉がひりひりと痛んで、必死にそこから離れる。
ぼろぼろっと涙がこぼれる。
なんで、私はこんなにも泣いてるの?
叶わないって、片思いだって知ってたくせに何で、泣いてしまうの?

「ひくっ、ぐす」

止まれ、止まって欲しいの。
叫び声が勇儀さんに聞こえたらどうするの?
きっと、こっちに来ちゃう。
その時、こんな涙だらけの顔でなんていうの?
ほら、勇儀さんは強いんだから、みんなに畏れられている古明地さとり位の人物がふさわしいじゃない。
ははっ、何一つおかしくないじゃない。
むしろ、正常、正しい形。

『ジャリッ』

土を踏む音。
恐怖と期待でごちゃ混ぜになった感情で振り返る。
そこには、気味の悪くなるほど、まるでピエロが笑っているかのような不自然な笑みを浮かべた古明地さとりの妹、古明地こいしだった。

「ははっ、泣いてる」

こわい、逃げなくちゃ、逃げなくちゃ……

「何で、泣いてるのか……
教えてくれない?」

そうっと首をいつのまにか、古明地こいしが包んでいた。
相変わらず笑い続けていて……
恐怖でがちがちと歯が鳴る。
はっはっと私の荒い呼吸だけが響く。

「も~、冗談だよ」

古明地こいしがぱっと私の首から手を離す。
だけど、その手は桶の中にある私の手をぎゅっと握る。
そして、そのまま外へと引きずり出される。

「でも、悲しいことがあったんでしょ?
じゃあ、きもちよくなろ?」

私の白い着流しを躊躇いもなく、あっという間に脱がしてしまう。
あまりにも、突然のことで悲鳴なんか出せない。
触れられた瞬間、ぞわわっと嫌悪感がやってくる。
叫んだら、ヤマメやパルスィ……
ひょっとしたら、勇儀さんが助けてくれるかもしれない。
だけど、乾いた声にならない音だけが出て行くだけ。

「大丈夫だよ。
愛なんてなくなって、きもちよくなれるよ」

その言葉の瞬間、睨まれた感覚がして身がすくむ。
いや、もう身体も自分の意思で動かせない?

「だって、快感なんて愛とは違って無意識のそこにあるただの欲求なんだからさ」

翠色の瞳が私を覗き込んで、そのまま近づいてくる。
お互い目を開けたままの奇妙な感覚しかしない初めてのキス。
舌がぬるりと侵入してくる。
あったかいものがぶつかり合う感覚。
キスをしたまま、古明地こいしの手が私の胸を触ってくる。
優しさがあるのではないかと疑うくらい丁寧に……
息が苦しいなって思い始めたころ、解放される。

「んぁ、ん」

かたくなにいやだって思い続けているのに、体が徐々に熱を持って反応しそうになってしまう。
ぐいっと歯を食い縛ろうとする私の口の中に、指を突っ込んでくる。

「噛んだら、だめ」

私ががぶっと思いっきり指をかんだら、口の中に鉄の味が広がる。
紛れもなく、血が流れ出ているのに、痛そうな顔を一つもしない。
優しく、優しく頬を撫でられる。

「今日は、何一ついやなことなんてなかった。
あなたはいつもどおり幸せだったの」

呪詛のように呟きながらも、もう片方の指は止まらない。

「んぅ」

いやだ、声が出てしまう自分がもっといやだ。

「ううん、むしろ気持ちいいことばかりだったの」
「ひゃっ!?」

古明地こいしが、いきなりな、舐めてきた。
わ、私の下半身っていうか

「ほら、気持ちいいっていってる」

女の子の大切な部分を……

「んゃっ」

だけど、初めての感覚に、狂っちゃいそうで抵抗する気がどんどんうせていっちゃって……
古明地こいしの舌は全然おそろしいことをしない。
きもちいいにとどめられているのがこわいくらい。
むしろ、ずっとずっと優しい。

「なかない……で?」

こんなに優しくしてくれる人を好きになれたら、いいって思ったのに……
古明地こいしの目が泣きそうで、がちがちに固まっていた腕が勝手に動いて、彼女の頬を撫でていた。

「ぇ?」

目をまん丸とさせて驚く彼女。
もっと何かを言おうとしても、言葉を発せられない。

「あなたは心の底から優しい人なのかしらね」

だけど、その驚きの顔はすぐ消えて、ふっと諦めたかのように一回笑う。

「あぁっ」

急に舌の動きが激しくなっていく。
ちかちかっと自分の視界が点滅していく。

「んちゅ、くちゅ」

吸い付くような動きもまじっていって

「やぁっ。ああぁっ!」

きもちいいがあふれ出て、それをおさえこむ込むみたいに叫んだみたいな声が出て、
それが終わったら、一気に脱力感に襲われる。

「あなたみたいな人を私みたいな汚いのがさわっちゃだめだった。
ごめんなさい」

もう怖いなんて思えなくて、ただただ泣きそうな彼女の顔が心配だった。

「おやすみなさいね?」

目を彼女の手が塞いでいく。
まだ、昼だったけど、疲れに負けて眠ってしまう。



「キスメ、キスメ!」
「ヤマメ?」

がくがくと身体が揺らされて、しぶしぶ目を開けると、目の前にはヤマメがいた。
横には、声は出していないけど、心配そうに私を見ているパルスィ。

「大丈夫?」
「ぅん」

私、何をしてたんだろ?

「きっと、古明地こいしだ。
弱っている人をたぶらかしていく覚り妖怪め」

古明地こいし?
そうだ、彼女だ。
勇儀さんと古明地さとりの二人を見て……
そこに彼女が現れたんだ。

「ほんと、とんでもないやつだわ」

それで、彼女は私を無理やり押し倒して……

「やっぱり、野放しなんてだめだ」

きもちよくしていって

「何か、対策を講じていかないと」

あぁ、どうして彼女は泣いていたんだろ?

「キ、キスメ!?」

どうして、私に謝ったの?
『勇儀さんが見てくれないから乗り換えるの?』
なんて、自分の中でもう一つの声が沸きあがってくる。
そうなのかもしれない。
だとしたら、なんて身勝手でひどいんだろうね。
あぁ、もう最低最悪じゃん。
地底にいるのに、ふさわしい最悪さ。
もう、なんだっていいよ。
わかんないくらい胸がドキドキしちゃって、頭の中がグルグルしちゃって
よく知らないけど、だからこそ気になってしょうがないの。
次は私が彼女を大丈夫だよって頬を撫でたい。

to be continued...?
ここまで、読んでくださりありがとうございました!
何か、感想誤字脱字、アドバイスしていただけるとありがたいです。

リクエストしていただいていたキスメです。
最初はただ勇キスにしようと思ってたのにな~……
こいしとさとりが乱入してきました(笑い)
というか、まずキスメがきちんとキスメになってるのかがわからないです。
無口な子ってはきき上手で、だけど自分のことをすごく卑下してそうなイメージだったんですけど……

題名や最後を見たら分かるとおり、シリーズ物です。
タグに書いてある残り三人の視点で完結です。
最後までお付き合いしていただけるとありがたいです。

それでは、またの投稿もよろしくお願いします。
arlys
コメント




1.名前が無い程度の能力削除
ふつうのさとこいこいさと
2.名前が無い程度の能力削除
おおっキスメきたあ~っ!! 聴き上手?のキスメかわいいよキスメ
あ、申し遅れましたキスメリクエストの名無しです。ありがとうございますm(__)m
短いのに多くのキャラがいい味出してますね♪(←細かく書き始めると長くなるので省略)

可愛すぎるキスメの為にも、皆が(特にキスメとこいしが)ハッピーになる展開をお願いいたしますm(__)m。(無理にとは言えませんが)
3.名前が無い程度の能力削除
凄く続きが読みたい
4.名前が無い程度の能力削除
乗り換えるんじゃない!
溢れる気持ちが止まらないだけなんだ!
キスメには勇義と笑ってて欲しいけど、普通は友人とキスしないよなぁ……いや、こいし以外の別視点も書くって事は……っ!

こっからならまだ、どんな風にでも持っていけるから、期待と不安を抱きながら続きを待ってます
5.arlys削除
コメントありがとうございます。
返信させてもらいます。

1.様
リクエストとして、とっていいんですかね?
何が、普通なのかがわからなくなってますが、多分この姉妹は書くとおもいます。

2.様
リクエストありがとうございました!
結構、自分でもこのキスメは気に入ってます。
初めて、地霊のキャラたち全員が登場したものなので、そういっていただけるとほっとしました。

た、たぶん、ハッピーエンドになるんじゃないかと……

3.様
続き頑張って書かせてもらいます。

4.様
キスメと勇儀って相性よさそうですしね。
こいし以外の別視点を書くのは(フフフ

どんな風にももっていける……
そんなことを言われると迷っちゃいますね~。