真・東方夜伽話

ケーキな姉妹

2010/06/25 01:40:00
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ケーキな姉妹

arlys
「聞いてよ、こいし~」
「どうしたの、フラン」

地上で無意識にさまよっている間に、一番仲良くなった友人がぴたっと私の肩に頭を預ける。
狂気の妹とか、能力のせいで恐れられるフランだけど、私の能力は無意識のうちに彼女の能力を回避しているらしく、傍にいても大丈夫みたい。

「二週間前ね、お姉様が私を食べてくれたの」

うっとりとした声で、目をとろんとさせながら呟く彼女に

「へ、へぇ、そうなんだ」

私は顔が引きつっていくのを抑えながら答える。
多分、お茶を飲んでいたら噴き出していただろう。
彼女達が姉妹で愛し合っていることは重々承知だけど、いきなり脈絡もなくこのようなことを言われたら私だって動揺ぐらいする。

「うん、誕生日にね……
私をケーキ代わりに食べてっていったら、食べてくれたの」

うわ、すっごいセリフ言ってることわかってるのかな?
どうせ、あのメイドさんの入れ知恵なんだろうけどさ。

「生クリームべとべとだったんだけどね~、気持ちよかったの」
「よ、よかったね」

相手のノロケ話を聞かされる。
それに、これ以上の返事の仕方があるだろうか?
他の人の話を聞く限り、一時は犬猿の仲だったらしいが、私が出会ったときには『すきすきお姉ちゃん』『妹だいっすき』な姉妹であったため、仲の悪い時期のことは想像できない。
フランは外に出れないし、ここにくる人も少ないから、自然と私が話を聞くことになるんだろうけど……

「ねえ、こいしも頼んでみたら?」
「は、はぁっ!?」

いきなりの爆弾発言に叫んで立ち上がった私に、フランは目をパチパチさせて

「誕生日近いんでしょ?」

いや、まあ確かに私の誕生日まで二週間くらい。

「それにね、咲夜言ってたよ。
仲のいい姉妹だったら、みんなすることだって」
「そっか、フランは純粋な子だもんね」
「な、なにそれ~?」

大人のちょっと汚れた教えをそのまんま受け止めてしまうなんて……
495年という月日はこわいね。

「お姉ちゃんはしてくれないよ」

そっち系の話に疎いおねえちゃんだしね。
『お姉ちゃん、私を食べて?』
服を脱ぎながらいったとしても、その服をもう一度着させながら
『私は、妖怪を食べる種族じゃないです』
なんて、至極真面目な顔で返されてしまうだろう。

「でも、好きなんでしょ?」
「ぅ、まあ」

前に、思わず姉妹で仲良くしている姿がうらやましく
『私もお姉ちゃんが好きなんだ』
とフランに言ったことがあったため、否定は出来なかった。

「動かないと、何も変わらないよ」
「フランもそうだったの?」

フランは苦笑いしながら

「ううん、お姉様が動いてくれた」
「そうなんだ」
「だけどね、そのとき思ったんだ。
これからは、いっぱい私がお姉ちゃんにしようって」

太陽が弱点のはずの吸血鬼なのに、太陽のように眩しい笑顔。
その笑顔に思わず目を逸らそうとしたとき、『コンコン』控えめなノックの音が聞こえ

「フラン、いるかしら?」

思えば、今日は無意識に入っちゃったっけ?
だから、フランのお姉さんは私がここにいること知らないんだよな。

「お姉様!」

ばっと立ち上がったけれど、私のほうを振り返り、どうしようと迷っている姿を見て

「私、帰るね」
「うん、わかったぁ」

フランは、その返事に満足したのかぱたぱたと扉に向かい、扉を開けて

「お姉様っ!」

どんっと衝撃音が聞こえるほどに突進していくフランに

「もぅ、あぶないでしょ?」

少し顔を青くしながら、でもきちんと受け止めてあげるフランのお姉さん。

「えへへ~」

幸せそうな姉妹に思わずふっと小さな溜息が漏れる。
友人が幸せなのはいいことだと思うんだけど、ねたましいとも思う。
でも、あんな姿を見ていたら、久しぶりにお姉ちゃんに会いたくなっちゃった。
飛んで帰って、一番最初にお姉ちゃんの声が聞きたかったから、気づかれないように部屋に入っていき

「おっねえちゃん!」

耳元でそっとささやいてみると

「ひゃっ!?
なんだ、こいしですか。
おかえりなさい」
「ただいま」

私に驚かされることにもなれてしまったのか、一瞬大きく見開かれた目は、またいつものお姉ちゃんを知らない人にはつかみどころがないように見えるけれど、長い間一緒にいるとわかる穏やかな目になる。

「うふふ、一ヶ月ぶりですかね」
「そうだったかな?」

そんなに離れていたんだ。

「今日、何か食べたいのあるかしら?」
「お姉ちゃんの作るものなら何でもいいよ」
「う~ん、そうですか」

お姉ちゃんは困ったように頬を掻き、頭を揺らし始める。
目を瞑りながら、口はきゅっと結ばれているから

「ほかの子に聞いたら、いいじゃない」
「せっかく、帰ってきた妹に何かしたいって言うのはだめかしら?」
「あ、ありがとう」

恥ずかしくなって、きゅっと帽子で顔を隠す。
お姉ちゃんは他の人には心が読めるから、口数が少ないけれど、私の心は読めないためか、こういう恥ずかしいセリフを照れることなくいってくることがある。

「仕事も一段落しましたし、お茶でもしませんか?
地上のお話も聞きたいですから」
「うん、話すよ」

よいしょと小さく声を出して、お姉ちゃんは自分とサイズが合っていない大きな椅子から飛び降りて

「先に、いつもの部屋で待っててください」
「うん、わかった~」

お姉ちゃんは、誰かと一緒に紅茶を飲むのは嫌いじゃないけど、一緒に準備をするのは苦手みたい。
だから、いつもペットが手伝うっていっても、一人でやってしまう。
一回、手伝ったとき、ありがとうって言ってくれたけど、すごく疲れた顔をしていた。
それからは、手伝うのが申し訳なくなってやめた。

「だけど、一緒に準備もしたいな~」
「何がですか?」
「ひゃっ!?」
「うふふ、そんなに驚かなくても……
今日のお茶菓子はショートケーキですよ」
「うわぁ、おいしそう♪」

基本的に私の家に出てくるお茶菓子は、クッキーなんかが多いんだけど、お姉ちゃんはショートケーキが大好きなため時々こうやって出てくる。
お姉ちゃんが、机の上にティーセットが準備されていって

「はい、どうぞ」
「いっただっきま~す!」

紅魔館とか遊びに行く場所でも、お茶を飲んだりするけれど、やっぱりお姉ちゃんと一緒が一番落ち着く。
今日は意識的に戻ってきたけれど、無意識にさまよっているときも、絶対にここに戻ってくる。
ショートケーキをお姉ちゃんと食べるのは大好き。
隠し切れないほど嬉しそうに口に微笑を携えて食べる姿がすごく可愛いから。
今だって、嬉しすぎてほっぺにクリームがついていることに気づいていないんだもん。

『ケーキ代わりに食べて』

うわ、無意識にフランとの会話を思い出しちゃったよ。
生クリームたっぷりなお姉ちゃん。

「どうしたの、急に顔を赤くして?」
「な、なんでもないよ!
お姉ちゃんったら、顔にクリームついてるよ」

指を伸ばしてとると、お姉ちゃんは恥ずかしそうに顔を真っ赤にしながら

「ごめんなさい」
「べつにいいよ~。
思えば、地上でね」

私は覚えてる範囲で地上のことを話していく。
お姉ちゃんは、それに相槌を打っていて、少し目を輝かせている。
興味があるなら、行ってみればいいのになって思う。
だけど、地上から来た自分の能力を知っても嫌わない人間が怖いみたい。
地霊殿にいるペットたちは、自分を好いてくれている確かな理由がある。
理由もなく好かれるのが一番怖いみたい。

「うふふ、楽しそうね」
「楽しいよ~。
お姉ちゃんも行けばいいのに」
「私は、いいわよ」

ぎこちない笑みを浮かべるお姉ちゃん。

「思えば、こいし」
「何、お姉ちゃん?」

お姉ちゃんはそれ以上、私に言われたくなかったのか話を変えるため

「誕生日……どうするの?」

不安そうにぎゅっと膝の上に拳を握る。

「どうするってどういうこと」
「ほら、仲良くなった子も増えてるじゃない?
だから、こっちに帰ってくるのかなって」

何を言っているんだろう、この人は……
はあ~と大きく溜息をつきたいのを我慢して

「誕生日は家族と祝いたいな~」
「本当にっ!」

心を読めなくなった私だけど、今のお姉ちゃんが嬉しそうだってことくらい分かる。

「じゃ、じゃあ、何食べたいですか?」

ずいっと詰め寄ってくるお姉ちゃん。

「お姉ちゃんケーキが食べたい」

ここで、お姉ちゃんが食べたいって言わなかっただけ褒めて欲しいものだ。

「お姉ちゃんケーキ??
お姉ちゃんが作るケーキと違うんですか」
「あはは、考えてみてね」
「何か、ヒントはないのですか?」

頭の中で、お姉ちゃんがあられもない姿になっていて、心が読まれない存在でよかったって思いながら

「生クリームたっぷりで、仲のいい地上の姉妹がすることだよ」
「へ、へぇ」

お姉ちゃんはぶつぶつとそんなものあったかな?とか、地上は変わっていっているんだなって呟いていた。

「うふふ、ゆっくり考えてみてね?
私、部屋に戻って寝るね」
「夕ご飯になったら呼びますね」
「わかった~」

駆け足で自分の部屋へと戻っていく。
どうしよう、言っちゃったよ!
もし、もし、現実になったら……

『こいし、私を食べてください』

やばい、これは犯罪的な可愛さだ。
このままじゃ、お姉ちゃん見るたびに鼻血出しちゃいそうだ。
ぼすっと布団にダイブして、枕に顔をうずめる。
今から、誕生日が楽しみだ。
だけど、この緩みきった顔でずっといるわけにもいかないから、誕生日までまた地上に行こう。

「ふわあぁ、ねむろ」

久しぶりの布団の感覚を味わいながら、瞳を閉じていく。



「こいし、こいし、ご飯ですよ」
「おねぇちゃっ!?」
「ど、どうしたの?」
「ごめん、お姉ちゃん」

一瞬、白いエプロンしか見えなくて一人あせっちゃいました。
うん、睡眠の魔物ってやつなんだよ。

「落ち着いたら、来なさい」
「うん、わかった」

お姉ちゃんが部屋から出て行くのくを確認した後、何回か大きく深呼吸をして、ご飯を食べに行く。
お燐もお空も久しぶりで驚いていたけれど、彼女達と話すのもおもしろい。
時々口に物を含んだまましゃべってしまったりして、怒られてしまったけれど、お姉ちゃんだって楽しそうだったからいいよね。
ご飯を食べ終わると、お風呂に入って、また寝る。


『こいし、泣かないで?』

ぼろぼろと泣いてしまっている私を必死に励まそうと声を掛けてくれているお姉ちゃん。
思えば、あのときのお姉ちゃんはどんな気持ちだったんだろう?
自分のことで精一杯で、何も考えられなかった。

『あなたのことは、私がわかっているから』

だけど、私は泣き止まない。
自分勝手で、お姉ちゃん以外の人からの愛情も欲しいと願っていた。
そんな私をきゅっと抱きしめて、お姉ちゃんは

『こいし、私はあなたを』

あれ、なんて言っていたの?
ねえ、おねぇちゃ


「こいし様、朝ですよ」
「ありがとうね」

私の顔を見て、心配そうに覗き込んでくるお燐。

「悲しいことでもあったのですか?」
「え~、何言っているの?」
「失礼しました」

ぺこっとお辞儀をして、部屋から出て行ってしまう。
のろのろとパジャマから服に着替えていき、洗面台へと向かってみるけれど、いつもと変わらない顔。
お燐、何が言いたかったんだろう?

「こいし、おはようございます」
「おはよう、お姉ちゃん」
「ちょっと仕事があるから、食べ終わったら、おいといてね」
「うん、わかった」

一人もしゃもしゃとご飯を食べていく。
周りで他のペットたちも食べているけれど、私に声を掛けない。
ひょっとしたら、私の存在に気づいていないのかな?
強引に大き目の最後の一口を放り込んで、お皿を流し台に置いて、外へと出て行く。
ふらふらとさまよっていく。
無意識と意識、その境がなくなる。
私がいる場所は一体どこ?




『誕生日おめでとうね~』

どこかで祝う声。
誕生日……誕生日か。
ふぅっと意識が戻ってくる。
そっと近くにあるとけいとカレンダーを見てみる。
やばい、後少ししかない!?
もう私の誕生日終わっちゃう。
地上から地底じゃあ間に合うか微妙なラインだ!
だけど、走らなきゃ、少しでも早く行かないと……
呆れているかもしれない。
もう寝てしまっているかもしれない。
だけど、心の奥底ではわかっている。
お姉ちゃんの部屋の扉を強引に開け放ち

「お姉ちゃんっ!?」
「おかえりなさい」

普段なら、もう寝ている時間なのに、当たり前のように起きて待っているお姉ちゃん。

「ご飯は、もう食べちゃった?」
「食べてないよ!」

食べてるわけないじゃない。
私がどれだけ、この日を待ち遠しく思っていたか……
うぅ、自分の能力がちょっと恨めしい。

「うふふ、じゃあ温め直して運んでくるから、この部屋で待ってて」

部屋を出て行こうとするお姉ちゃんに後ろから抱きつき

「ありがとう」

遅れてごめんなさい。
こんないつもふらついていて、本当に帰ってくるかわからない私をきちんと待っていてくれてありがとう。

「どうしたのよ?
座ってなさい。
今日はあなたが主役なんだから」

ぽんぽんと私の頭を数回あやすように叩いて、キッチンへと向かっていく。
ぼすっと部屋にある柔らかいソファにもたれかかる。
もう皆寝ているから静かな地霊殿。
基本的にここの住人は早寝だ。
きちんと起きて仕事をしているからなんだろうな。

「お待たせ、こいし」
「待ってないよ」

お姉ちゃんに比べたら全然待ってないよ。

「はい、召し上がれ」
「いっただきっま~す!」

結構な量だな……
全部食べきれるかなって不安になっていると

「もう、私の分もあるのよ」
「えっ、そうなの?」

さすがに、ご飯はもう食べていると思ってた。

「どう、おいしい?」
「うん、おいしいよ!」

お姉ちゃんは、一緒に食べるといっていたけれど、もともとは小食なのと夜遅くだから、うとうとしながら食べていた。
そんなお姉ちゃん可愛いなって思いながら、食べているとあっというまになくなってしまった。

「じゃあ、ケーキ持って来るわね。
ちょっと、時間掛かるかもしれないから、待っててね」
「え、あ、うん」

普通のケーキじゃない?
だって、普通のケーキなら保存しておいてるだけだもん。
時間が掛かるってことは……
今から、デコレーションってことだよね!
にやにやとなっていきそうな顔を抑えながら、待っていると

「おまたせ~」

きった~!
ドキドキしながら、振り返ったら

「え、あ、すごい」

私が思っていたケーキとは違う形だったけど

「どう、頑張ったのよ」

うっすらと微笑んでいるだけだけれど、明らかに身体全身から喜んで喜んでっていうオーラを出すお姉ちゃん。

「ありがとう!」

そこには、お姉ちゃんの顔をもじったケーキがあった。
うん、食べるのがもうしわけないほど精密なケーキ。

「はい、いっぱい食べてね」

そして、ケーキの傍に置かれているのは……

「こいし、生クリーム大好きなんでしょ?」

どんっとたっぷりと生クリームが詰められた絞り袋。

「うん、大好きだよ~」

だけど、こんなにもいらないよ……
お姉ちゃんケーキっていうのをこんな風に解釈しちゃったんだ。
まあ、ある意味正解だけどさ。
キラキラと目を輝かし、こちらを見るお姉ちゃん。

「ところで、なんで時間がかかるって」
「あぁ、それはね」
『ドタバタバタッ、ガチャッ』
「「お誕生日、おめでとうございますっ!!」」

お姉ちゃんのペット二人が勢いよく扉を開けて、入ってきてクラッカーを鳴らす。

「この二人がケーキ食べるときは呼んでって言ってたからよ」
「うわぁ、おいしそう!」
「こらっ、こいし様が先だよっ!」

いつもの軽い掛け合いでお燐が軽くお空の頭を叩く。
いつもならば、それでおしまいのはずなんだけど

「うわっ、ああわ」

ケーキに視線が釘付けになっていたお空は倒れてきて、ケーキに直撃しそうになるのを回避したため、生クリームの絞り袋のほうに直撃し

「「やっ、べたべた~」」

突っ込んでいったお空と近くにいたお姉ちゃんが、生クリームだらけになる。

「あぁ、さとり様申し訳ございません!
ほら、お空も!」
「うにゅ~、ごめんなさい」
「別にいいから……
でも、このままじゃちょっとね。
こいし、ちょとお風呂に入ってくるわね」
「だ~めっ!」

こんな最高のチャンス逃がしたら、それは姉バカ失格だと思うんだ。

「私、十二時まではお姉ちゃんと一緒にいたいよ~」

ちらっと上目遣いでお姉ちゃんを見る。

「え、あ、しょうがないわね」

うふふ、大成功♪
お姉ちゃんもなんだかんだいって、妹バカだから、大丈夫だと思ってたよ。

「お空、お風呂はいってきなさい。
お燐は、一緒に行ってあげて」
「はい、かしこまりました。
ほら、行くよ」

お空は、一人で入らせると、適当に洗うって思ったんだろうね。
しょうがなさそうに、クリームでべとべとになってしまった蒼色の上着を脱いでいる。
二人が出て行くと、お姉ちゃんは

「お誕生日おめでとう。
ケーキ食べるときに言おうと思ってたのに、この姿じゃおかしいわね」

ぺろっと指についている生クリームを舐めている。
ごくっと唾を飲み込んでしまうと

「あはは、お空たちを待っていてあげてね」
「待つ必要ないよ」
「えっ、きゃ、こいし?」

お姉ちゃんを押し倒すと、不思議そうにこちらを見上げるお姉ちゃん。

「だって、目の前に私だけのケーキがあるじゃない?」
「何、ひゃっ!?」

鼻についているクリームを舐めとる。

「かっわいい~」

さあ、次はどこを舐めようかな?
もともとたっぷりと入っていた生クリームは、お姉ちゃんの服、顔などいろいろな部分に飛んでくれていた。

「こ、こいしっ!
お姉ちゃんをからかうのはいい加減にしなさい」

そんな顔を真っ赤にして言われても、はいやめますなんて言う人いないと思うよ~?

「からかってないよ」

ちゅっと次はほっぺたについている生クリームを舐めながらも、柔らかさを味わっていると

「ひゃあ、ぁ、やめ」

ぶんぶんと顔を振って、きゅっと拳を作るお姉ちゃん。

「うふふ、お姉ちゃんってさ」
「な、なんですか?」

顔はいちごよりも真っ赤になってしまって、瞳に涙をためている。
私だけに用意されて、さらにおいしくなっていこうとする魅惑的なケーキ。

「感じやすいの?」

羞恥心を煽るために、にこっと笑いながらいうと

「ち、ちがっ!?」

そんな必死に否定するんだったらさ~、お姉ちゃん?

「じゃあ、全部舐めとってあげるね」
「えっ、あ、だめだってば!」
「どうして?」

笑顔を保ったまま、たずねてみると

「え、あ、あのね。
こういうのはね……
姉妹ですることじゃないの」
「大丈夫♪
私の友達、姉妹でやってるから」

むしろ、もっとすごいことやってると思うから。

「そういう問題じゃありません!
こういうのは、その……
こいしは軽いスキンシップとしか考えてないかもしれませ」
「本気じゃないと思ってるの」

これ以上部無駄な言葉を放とうとする言葉を人差し指で抑える。
お姉ちゃんは、唇をわなわなと震わせ、瞳を見開く。
まるで、信じられないものを見るかのような瞳。

「こい……し」

そんな目で見ないでよ……
まだ、もうちょっと目を逸らしたいのに。
ただ、お姉ちゃんが許してくれるいたずらをしている妹でいたかった。
だけど、それじゃいやなの。
私を妹ではなく、一人の人物としてみて欲しい。

「大好きだよ」

どうして、ずっといいたかった言葉を言っているのに、涙が出てくるんだろう?
『ボーンボーン』
十二時を告げる鐘が鳴る。
お姉ちゃんは、カタカタと身体を震わせている。
あぁ、だめだ。
私がいたら、傷つけてしまうんだ。
もう一緒にいたら、だめなんだ。
無意識を操ろうとした瞬間に

「はっ、にゃぅっ?」

服の裾をぎゅうっと引っ張られた。

「ど、どうしたの?」

もう、顔も見たくないでしょう。
それならば、はやく離してよ……
じゃないと、止められなくなっちゃうよ。

「ねえ、こいし。
クリーム、頬についてるわよ」

そっと、私の顔に手を伸ばす。
その顔は必死に取り繕っている。
あぁ、そっか、この人は私との姉妹関係を維持させたいんだ。

「ん、どこ?」

それならば、私はいつもどおり笑って可愛くいよう。

「かがんで」
「は~い」
「い、いただきますね?」
「はい??」

ゆっくりとお姉ちゃんの顔が近づいてくる。
閉じられたお姉ちゃんの目、緊張してガチガチと私の服を握っている腕が震えている。
あ、キスされる。

「目、閉じて欲しかったですね」

お姉ちゃんが、恥ずかしそうに目を逸らす。

「え、あ、あの」

わかっていたはずなのに、されたら、やっぱり驚いてしまう。

「まあ、心が読めないから仕方ありませんかね」

ふぅっとお姉ちゃんが息を吐く。

「好きですよ、こいし」
「う、うそだ」
「うそじゃないですよ」

すぐさま、否定した私に困ったように笑うお姉ちゃん。

「だって、だって、困ってた」
「想いが違ってたら、怖いでしょ?」
「誕生日プレゼント、楽しみにしてたのに……
お姉ちゃんケーキじゃなかったし!」
「あれじゃないんですか?」

驚くお姉ちゃん。

「そうだよっ!
もう、お姉ちゃんの……ばぁか」
「ごめんなさい、こいし。
誕生日は終わっちゃいましたが、今からでも作れるなら作りますよ」

私はまだ残っているクリームの絞り袋を持つ。
このまま床はいたそう。
すっとベッドのほうを指差してみると、恥ずかしそうにこくっと一回頷いて、ベッドの上に女の子座りをする。

「お姉ちゃん、ごろんとして」

ペット達のお腹にブラシをするときに言う言葉を言ってみると、ベッドに横になる。
なにをされるか頭でようやく処理が回ってきたのかなって言うほど、どんどん顔が真っ赤になっていってる。

「デコレーションできるように服……
たくしあげようか」
「うん、こいし」

両手でゆっくりとたくしあげていくお姉ちゃん。
羞恥のためなんだろうけど、なんか余計むらむらするっていうか。

「これくらい?」

下着が見えるか見えないかくらいでやめちゃってるお姉ちゃん。
あ、今日の下着いちご柄だ。

「もうちょっと」

そろそろと上にすると、手がちょっと震えちゃってる。
スカートはもうホックをはずして、放り投げちゃう。
普段、こんなことをしたならば静かな声で怒られるのだろうけど、いっぱいいっぱいなのか何もいわれない。
じゃあ、いきますか。
私は思い思いにクリームをつけていく。
ある程度を出して、ちょっとだけ残しておく。
ほら~、だって……ね?

「いただきます」
「ど、どうぞ、召し上がれ」

かぶりつくのもいいけど、やっぱり最初は舐めようかな。
首筋につけたクリームをなめる。
お姉ちゃんとの汗に混じっておいしい~。
ぎゅうって声ださないようにぎゅってシーツ握り締めちゃってるのが可愛いな。

「お姉ちゃん、次はお胸食べちゃうね?」
「ど、どうぞ」
「うふふ、どんな味がするんだろうね。
やっぱり無茶苦茶甘いのかな?
甘すぎて舌がとけちゃったらどうしよっか。
感触はマシュマロみたいな感じなのかな」
「は、早く食べたらどうですか?」

耳元で囁かれているのが耐え切れないのか蚊のなくような声でねだられる。
ふふっ、オーダーされたのならば喜んでってね。
オーダーされなかったならば強引にだけどね。
がぶっとかじりついてみる。

「つっ」
「あ、ごめ」

楽しみにしすぎて勢い余ってかなりの強さで噛んでしまった。
お姉ちゃんは声を押し殺してるけど痛そう。

「ん、いいんですよ。
あなたにならね」
「えへへ、ありがと」

こういうときはごめんよりもありがとうかな?
今度はきちんと気持ちよくしてあげよう。
優しく優しく傷つけないように舐めていく。
子猫がミルクを舐めるように優しく……

「ん、ふ」

気持ちよさそうな声を漏らしてくれてる。
よかった、やっぱりちゃんと優しくしないとね。
生クリームの甘さがなくなっていって、お姉ちゃんだけの甘さになっていく。
うん、いっぱいいっぱい舐めたからか私の唾液でテカテカになっちゃってる。
じゃあ、もう片方の胸もね。
今度はぱくっと歯を立てずに口に含む。
乳首を集中的に飴を転がすように転がす。
舌でなぶって、時々歯を触れ合わせる。

「ひぁっ、あぁっ、やぅ、こいしぃ」

甘い甘いお姉ちゃんの声。
もう片方の胸も指でやさし~くいじくってあげる。

「やぅっ、ぁん、こいし」

高くなっていく声にはぁはぁっと荒々しくはかれる息。
それが嬉しくなってもっと動かす指舌を早めていく。

「いいよ」

少しだけはなして、今度は痛くないように優しく噛む。

「あああああぁっ、ぁ」

お姉ちゃんの口から唾液がたれてくる。
ふふ、そんなに口開いちゃってかわいいな~。
そう思って、ぺろっと舐める。

「うわっ!」
「うふふ、やられたままじゃないですよ。
今日はこいしの誕生日ですね」

とろんとした今にもねちゃいそうな目に淫らな火を灯しながら、私の服に手をかける。
ボタンに指をかけていってるんだけど、がくがく震えちゃってるからなかなか進まない。
まあ、それも可愛いから見ておきたいな。
ボタンが外し終わるとぶちっとホックが外される音。
そして、めんどくさかったのか強引にショーツとスカートを一気に下ろされてしまう。
そして、服をポイットどこかに放り投げて、絞り袋を持って、私の場所にクリームをつけだす。
私がやろうと思ってたんだけど、姉妹だったらやりたいことが重なってもしょうがないか。

「ん、ちゅ、くちゅ、んぅっ」
「ぇ、あの、あっ」

一生懸命にお姉ちゃんは這い蹲って私の秘所を舐めだす。
お姉ちゃんのその姿にごくっと唾を飲み込んでしまう。

「ん、こいしのいっぱい」

こくっと小さく喉を鳴らしながらお姉ちゃんは舐めていく。
ぞくぞくと快感がのぼりつめてくる。

「きもちい?」
「ん、いい感じだよ」

けほけほって咳き込んでしまうお姉ちゃん。
あぁん、もう可愛いな!
わたしはお腹キュンって締め付けてきちゃう。

「ひぅゆっ!」
「あ、ここいいんだ」

いきなり、中央部分を優しく噛まれて、びくんっと身体が跳ねてしまう。

「ん、ちゅ、ずっ、くちゅ」
「あぁっ、ちょっ、吸っちゃ」

熱心に吸いだすお姉ちゃん。
きもちいいんだけど、何がなんだかわからなくなってしまう。

「あぁんっ、んあ」

自分が出してると思いたくない甘ったるい声が漏れる。
涙で視界がにじんでいく。
そんな私の顔見てお姉ちゃんが嬉しそうに笑っているのがどこか遠くで聞こえるような感覚。

「んっ」
「ああああぁっああん!?」

優しく甘い噛みなんだけれど、もういくかいかないかの瀬戸際に立たされていた私にはそれはがけに突き落とされるのと同じだった。

「えへへっ」

ぺろぺろっとお姉ちゃんが口の周りを舐めてる。
う、疲れた。
でも、このままお姉ちゃんに主導権を握られるのはイヤだ。
だから、お姉ちゃんが逃げないように両足でお姉ちゃんを掴む。

「ぇ?」

驚きのお姉ちゃんの声。
ぐいっと一気におねえちゃんのショーツをおろしてしまう。
そして、自分の腰を動かしていく。

「んぁっ、あぁん、ちょ」
「はげ、はげしいよ」
「はっあぁっ、、んぅ」

お互いの荒いと息で他に何も聞こえなくなる。
どちらが何を話しているかわからなくなっていく。
だけど、お互い腰の動きは止まらない。
相手を貪るように自分を捧げるように動いていく。

「はっ、あんっ、、」
「んぁっ、も、もう、だめぇっ!」
「「あああぁっ、ぁあっ!?」」

お互いが同時に果ててしまう。
お姉ちゃんの体温が気持ちよくて、抵抗する気力もないままに目蓋が落ちていく。



「う、うそだっ!?」

後日、体重計を見て私は現実から目を逸らす。
確かにあれだけクリームを食べた。
で、でも一日でこんな……
なきそうになっている私にぽんっとお姉ちゃんが私の肩に手を置いて

「運動したらいいのよ」

む、それは宣戦布告ですよね。
私はおねえちゃんの腰を抱いて引き寄せて唇を奪う。
私が舌を入れる前に、お姉ちゃんの舌が入ってくる。
あまりにも無防備につっこんでくるものだから逃げれないように私の舌でからめる。
んちゅ、くちゅと淫らな水音。
息が限界なのか、逃げようとするけれど、逃がさない。
とうとうたえきれなくなったのか座り込んでしまおうとするお姉ちゃん。
そのまま座り込んだままキスをし続ける。
ぷはっとそろそろしんどくなって唇を外して

「運動しようか?」
「しょうがないわね」

そう言いながらも口元に笑みが浮かんでる。

その後、見事に体重は元に戻りました。
お姉ちゃんは事後は寝るに専念しすぎてやせちゃったけどね。

「お姉ちゃんはちょうかわいいんだから!」
「お姉さまはかっこいいのよ!」

その後はフランちゃんと話す幅が増えたり。
でも、年数か経験は向こうが上だな~。
まあ、愛で負けるつもりはないけどね。



「お姉ちゃんっ!」
「どうしたの、こいし?」

私が走って部屋に入っていくと、驚くお姉ちゃん。

「ベッドの上で愛をはぐくもう!」
「ぶっ、いきなりね」

噴き出してしまうお姉ちゃん。
なにをあわててるんだろう?
これからのことを考えると当たり前のことなのに……

「だって、次はバレンタイン。
つまり、チョコレートプレイだよ!」
「ぇ、あ、そうね」
「だから、先に動いておこうって作戦よ!」

同じ失敗はしない。
だから、今度は食べる前に動いておくのよ。

「いこう!」
「しょうがないわね」

手を差し伸べるとぎゅっと握り返される。
部屋に向かってると、くいくいっと引っ張られて

「こいし、こいし」

ねだるように名前を呼ばれて振り返ると唇が重なる。

「甘いわね」
「ん、そうだね」

バレンタインチョコなんていらないかもなんて思ってしまう。
私の頭はかなり甘い思考に犯されてるのだろう。
まあ、それはきっと隣にいるお姉ちゃんもいっしょだ。
お疲れ様です、ここまで読んでくださりありがとうございました。
何かコメント、アドバイス、脱字誤字をしてくださったら嬉しいです。

題名が思いつかなくて、なんか直球に……
タイトルって難しいですよね。

リクエストを意識して……
私の中では心から幸せ=甘甘=ケーキ食べたいっていう勢いで書いちゃいました。
何か違うような、幸せってなんでしょうね~。

とりあえず、古明地姉妹がいちゃついてたら、スカーレット姉妹もいちゃつくべきだと思うんです!
まあ、姉同士、妹同士、もしくは姉妹入れ替えでもおいしいですけどね。

次はさとアリ(アリさと)か、前のやつのifですかね。
なんか、ちょっとアリス中毒+とある投稿サイトでの素晴らしいマンガでテンションがあがってしまいまして。
どちらがいいでしょうか~?

それでは今回もありがとうございました。
またの機会もよろしくお願いします。
arlys
コメント




1.約櫃削除
>古明地姉妹がいちゃついてたら、スカーレット姉妹もいちゃつくべきだと思うんです!
激しく同意です!!w
次は前の分のifが読みたいですね。
ひとつが完結してから別のを読んでみたいです。
2.クルセイダー削除
やっぱりこいしはヤンデレよりベタベタに傾いた方が[恋し]って感じがして最高ヒャッホイ(笑)!
3.名前が無い程度の能力削除
その発想はなかった…
色んな意味で甘々なお話でした
やはり古明地姉妹には幸せが一番
4.ニバンボシ削除
激しく同意です!!
だったら文もみもいちゃつくべきですね
あ…学校が
5.JENO削除
糖分中毒になりました。

どう落とし前付けてくれるんだ?
6.arlys削除
コメントありがとうございます。
源信させてもらいます。

約櫃様
同意してもらえてよかったです。
前の分のif書いちゃいますか……
一応、四つで完結してるつもりです。
ifは、ifとして読んでもらえたら嬉しいです。

クルセイダー様
どんな設定でもこいしちゃんはおねえちゃんにベタベタだといいですよね。
いつでも、お姉ちゃんが『恋し』いこいしちゃんとか。
また、こんな感じで書いてみたいですね。
ヒャッホイ(笑)!

3.様
この発想しかなかっただけですけどね。
鬱要素が入らないように、甘甘だけを必死に詰め込みました。
つらい過去がありそうなんで、この姉妹には幸せでいて欲しいですね。

ニバンボシ様
文もみは最近こっちで作品が増えてますね。
文もみは、仲のいい上司と部下のイメージが崩れてしまって……
また、機会があれば書きますのでよろしくお願いします。

が、学校なんて知らないですよ~……

JENO様
た、大変です。
い、今すぐそれを自分の作品にぶつけてください!
JENOさんの甘甘な作品楽しみに待ってます。

とりあえず、鬱々か甘甘を近々書きます。

それではありがとうございまいした。
次回もよろしくお願いします。
7.名前が無い程度の能力削除
やっぱこの姉妹だな
8.名前が無い程度の能力削除
素晴らしい甘さだ。