真・東方夜伽話

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2010/06/07 19:06:17
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√2

あか

妹達が可愛くて仕方が無い。
妹達が可愛くて仕方が無い。
妹達が可愛すぎて仕方が無い。

妹達と食事をするのが好きだ。
妹達と買い物に行くのが好きだ。
妹達とお風呂に入るのが好きだ。
妹達と寝床を共にするのが好きだ。

草原で。太陽の畑で。
里の外れで。自宅で。
白玉楼で。宴席で。
妹達と一緒に行う演奏会が大好きだ。

私の背の半分しか無かった頃のメルランも好きだ。
おねしょをしてしまい、助けてと欲しいと頼ってきた時は心から可愛いと思った。

生まれて間もないころのリリカも好きだ。
私達が必死で教え、覚えて貰った[お姉ちゃん]という言葉を
嬉しそうな私達を見て何度も楽しそうに連呼する様子なんか、感動すら覚えた位だ。

夜眠れないからと二人揃って私のベッドに来た時などもう堪らない!
少しだけ目を赤くした妹達が私の差し出した腕を枕に、
すやすやと眠りつくその姿も最高だ。

妹達の喧嘩を見るのが好きだ。
必死に守るはずだったデザートのプリンが知らぬ間に奪われ、お互いの頬をひっつかむ様子はとてもとても愛らしいものだ。

妹達に罵られるのが好きだ。
そのプリンを奪ったのが私だと知った時は余程屈辱だったのだろう。


私は、いつまでも可愛い妹達で居てくれる事を望んでいる。
でも妹達は何を望み成長していくのだろう。
私のような子になるのか。
それとももっと立派になってくれるか。
何時までも仲の良い姉妹でいてくれるだろうか。

結局のところ、妹達がどう成長してもかまわない。
妹達が後悔しなければ、それで良い。
それに妹がどう成長しても、私は変わらずこの子達を愛するのだろう。
駄目な姉でも支えてきてくれた妹達だから。


――ルナサの日記帳より。




昔の日記帳をぱらりぱらりとめくってみれば、日々の生活の記録に混じってそんな日記もあったりする。
信頼できる妹達だから私のこんな日記を開いて読む事は無いのだけど、
それでも読まれるのは何だか怖くて、いつも私は鍵のある引き出しにこれを置いている。
私の日記の中身はいつも妹達の事で一杯だ。

今日何を一緒にしたのか。
今日どういう事が妹達にはあったのか。
何を妹達が欲しがっていたか。
そういう事まで全部書いてあるのが私の日記。

私が欲しいのは、妹達からの愛情だ。
でもそれを妹達に強要する事は駄目だって分かってる。
妹達の気持ちは、私の持ち物ではないから。それは妹達の物だから。
それに世間一般という物を考えれば、そもそもそういう物を望もうとする事自体が
あまり良くない事なのかもしれない。

何年そうやって自分に言い聞かせて来たのだろう。
初めの頃はそれで私は確かに我慢できていた。
けれど色々な人たちを見て、話に聞いている内に
私の中のその気持ち、我慢するという気持ちはもう限界に来ていたんだ。



ある宴席。……といっても、何かしら暇があれば招集がかかる程にこの幻想郷ではやたら宴会が開かれる。
今日は博麗神社での宴会で私たちは途中の余興の要員として呼ばれていた。
私達が皆に披露できる事と言えば、やはり演奏を置いて他に無いのだけれど、
他に競合する相手が居ないというのはかなり好都合で、
こうやってご飯にありつけるというのはちょっと嬉しい事実である。

私達の演奏自体が宴会の中の割と早い段階にある事もあり、その日の演奏のお題目が全て終わった後、
元々食事をしていた位置に腰を下ろしてそれを再開する妹達二人に席を外す事を伝えると、
私は一人永遠亭の薬師が居る所へと向かったのだった。

「薬を求めるには遅過ぎだと思うけど。」
それはごもっともな事かもしれない。私達はそういう存在だし。
私なりに切羽詰まった状態で相談を急に持ちかけようとしたからか、
酒を飲んでも頬を赤くもせずに静かに宴会の様子を見ていた薬師は、私のかけた声にそう返したのだった。
「それでも聞いてもらいたい。」
「……今宵はどのような薬をお求めで?」
溜息ともとれるような短い息を漏らし杯を置いた彼女が、
緩やかに姿勢を変えて座ったままこちらを見上げる。
「睡眠薬をお願いしたいんだ。」
「あら、憂鬱も極まって来たの?」
顔だけは苦そうな表情をして、言葉の調子は全く変えずに彼女はそう返してきた。
確かに陰鬱な気に陥る事は人より多いかもしれない。けど、それに対して薬を用いようと思った事等私には無い。
「そうではなくて。……その、理由は言わないと駄目ですかね。」
「出来たら聞いておきたい所ね。睡眠薬だって人は殺せるのよ。そういう目的じゃないのよね?」
「誓って。」
即答した私に彼女が返したのは、小さな溜息だった。

くるりと姿勢を変えた彼女がすっと取り出したのは小さな薬箱だった。
宴会とはいえ危険な事をしたりする事や、急病の患者が出る事も珍しい事では無い。
だからいつも宴会には持ってきているらしいという事を掴んではいても、
改めて見るとそれはとても小さな、箱だった。
「良いわよ。貴女の妹達が求めてきたのなら正直ちょっと心配だけど、
貴女は落ちついている訳だし、それなりに悩んでから私の所に来た様子だし。
たまには、演奏のお礼くらいはさせて貰わないとね。今日はお疲れ様。」
そう言いながら薬箱を開けて、小さな瓶並ぶその中を色々と漁る彼女。
……けれど元々宴会で睡眠薬を欲する人が居ないのもあってか、
薬箱にそういう薬はいれて無かったようで、少しして諦めたように両手をあげると、
「今手持ち無いから、改めて後で永遠亭に来てもらえるかしら。」
そう、言ったのだった。

「ありがとうございます。……と、何時頃伺えば良いですか。」
「用意だけなら明日の昼までには終えられるわよ。だからそれ以降の……そうね。深夜と早朝以外なら何時でも。」
別段用事が入っている訳でも無い。急に宴会やるから来いと言われるのは
たまにはあるけれど、今日ここで既にやっているわけだから明日そうなる事は無いだろう。
「では、改めて。」
だから明日伺おう。そう思って頭を下げ、去ろうとした私をとめるように薬師が手を引く。
顔が赤くない割に手は熱いんだな、そんな事を思いながら向き直った私に彼女は
「もうひとつ聞かせて。」
短くそう言った。
「はい。」
「何か薬の内容に注文があるなら今聞くわよ。薬の併用とかを私の知らない場所でされてもちょっと困るから。」
併用、か。それは考えていなかったのだけれど、
その言葉を聞いて私は悩んだのだった。ひょっとしたら他に役立つ薬があるんじゃないか。……そんな具合に。
「やっぱり改めて伺っていいですか。あまり公で話を出したくないので。」
「それなら作るのは待って置くわ。」
「では、改めてまた明日。」
「ええ。」
……ひょっとして見抜かれているんだろうか。
そう思う程あの人の言葉というのはたまに恐ろしく感じる事がある。
まぁソレは、力を持った妖怪や長生きした人だったら誰でも持っているソレでもあるんだけど。



「おねーちゃーん。」
自分の席、もとい妹達の所へと戻ってみれば、お酒の瓶を抱えたままのメルランが私を迎えた。
私がずっと薬師の所に居たせいで、一人でメルランの相手をし続けるハメになったからか、
むっとした表情でリリカが私を見上げる。
「どこ行ってたの?」
「ちょっと永遠亭の人の所にね。」
「私達に薬はもう手遅れでしょー。……何か頼んだの?」
「何をーたのんでたーの?」
さっき席をはずす事は一応既に伝えていたからそこは何も突っ込まれなかったけれど、
やっぱりそっちは突いてくるか。まぁ仕方ない事ではあるけれど。
「ずっと悩んでいた事があったから、それについての相談に乗って貰う事にしたんだ。
薬があるなら処方して貰おうかなって。」
嘘は、ついてない。
「悩みだったら私達が聞くよ?」
「よー?」
「それなんだけどね、あまり貴女達に相談できる内容でも無いから、あっちを頼らせてもらう事にしたの。
メルラン、……そろそろお酒の瓶を返してきた方が良いよ。喋れる内にね。
ってもう立てないかな。リリカお願いして良いかい?」
ぐでんぐでんになった姿も可愛いけれど、
明日の朝頭が痛いと言いながら悲痛な声をあげるメルランを見るのは、
……好きだけどあまり好ましい状態じゃない。
「隠し事?」
「私にだって隠し事くらいあるさ。」
「そっか。……姉さん、瓶離してよ。もうこれ空だよ?」
「まだ飲むー。」
……もう空だったのか。うーんどれだけ飲んだのだろう。私は見てないから分からないぞ。
リリカがそんなに慌ててないからいつも飲む程度の量なのだろうとは思うが。
やっぱり明日もいつも通りの二日酔いコースという所か。
朝食や昼食、ちょっと考えないといけないかもしれない。

「メルラン、リリカ。早いけど、そろそろ帰ろう。」
「まだ飲みたいー。」
「私まだほとんど飲んで無いんだけど。」
「明日ちょっと私は永遠亭まで出かけないといけなくてね。どうか許してくれないか。」
本当は私もちょっと食べたい気持ちはあるんだけど、ね。
ちゃんと意識もしっかりしているリリカは渋々と首を縦に振り、
いやいやと横に首を振るメルランは私が手を引っ張り。
宴席の一同達に簡単に頭を下げると、私達は荷物を提げて自宅への道へと飛んだのだった。



途中からふらふらなメルランを背負って帰っていたが、
毎度毎度こうやる度にメルランの胸の成長を背中で感じたりする。
私があんまり無いから姉妹揃って無いのかも、そう思っていたけれど、
メルランはそういう路線からはかなり外れて成長してしまった気がする。
リリカは私と同じ血を受け継いでいるようだけど。……でも私がリリカくらいの頃は
まだもうちょっと胸が小さかった気がするんだけどな。リリカを背負う事が全く無いから、
正確な大きさを把握していないのだけど、たぶん私が負けているという事は無いのだと思う。
というか、そう思いたい。妹達には成長してほしいけれど、
そうなると姉としてのステータスを一つ失ったような気がして辛いのだ。

「メルラン、歩ける?」
家に帰ってリリカにドアを開けて貰いそう声をかけたが、どうやら寝ているのかもう返事は無い。
私の前で組んでいた手もあんまり力が入っていないようで、
仕方が無かったから私は行く先々のドアをリリカに開けて貰いつつ、
家の中を進んでメルランの部屋へと向かったのだった。
「明日もまた朝から唸ってるんだろうね。いざって時はとっても頼れるのに、
こうしてみると手のかかる妹みたい。姉なんだけど。」
やれやれ、という顔でリリカが呟く。
「だろう。……明日もまたちょっと食事は軽くなると思う。私も出かけなきゃいけないからね。」
「良いよ。そこは予想ついてたから。」
「すまない。」
「お姉ちゃんが謝る事でもないし、今日はメルラン姉さんが悪い訳でも無いよ。
第一私は作ってもらって食べる側なんだから、気にする事無いんだよ。」
そうは言えど迷惑をかけてしまった事、さらにかけてしまう事に代わりは無いんだ。

メルランを寝かせ、リリカと廊下で別れた私は自分の部屋へとゆっくり戻った。
メルランの体が重いとは思わないけど、何だかんだで余計にお腹が空いたりして。
まぁ明日の朝軽いものを出しても結局メルラン残しちゃいそうだし、
その時にちょっと分けて貰えればこのお腹も満足するだろう。

……しかし、他の薬か。
何か無いだろうかと思うのだけど、元よりあまり知識や知恵が有る方でも無い。
というかどの範囲までの物が薬で実現できるかを私は理解していないのだ。
いくら高名な薬師といえど、どこかに制限はあるんだろうし。
実際悩めば悩む程、その薬師を前にしないと解決しない事だらけで、
諦めてそれも含めて相談する事にすると、上着を脱いで帽子を置き、
そのままの格好でベッドに潜ったのだった。

家まで背負って帰った疲れもあって、寝入るのにまるで苦労はしなかった。




「なんだか疲れて見えるけれど、大丈夫?」
次の日のお昼過ぎ。妹達と食事をした後、私は一人でここに来た。
ご飯作りから食事、後片付けと急いで全てをやって来たからか、
私を待っていたらしいこの薬師は私の顔を見るなりそう言ったのだった。
「ええ。大丈夫です。」
「じゃあ、始めましょう。」
差し出された椅子。くるくる回れそうなそれに腰を下ろせば、
薬師が一枚、机から無地の紙を取り出しペンを握った。
「まずは、睡眠薬ね。」
「ええそうです。」
「量は?」
「2人分が2回分程欲しいのです。」
私が飲むものだと思っていたのか、首をかしげながら言った通りの事を
すらりすらりと書いていく。恐らくあれは後で私に色々確認するためのメモなのだろう。
「薬剤は、飲み薬と粉末と錠剤のどれが良いの?」
……それは難しい問題だ。どれが適切なのだろう。
返答に困る私を見てなのか首をかしげる薬師に、私は一度大きく息をすると、
あまり響かない小さな声で薬師に一つ尋ねた。
「ばれないのって、どれでしょうか。」
「……妹達に飲ませるの?」
私の質問に対して何か合点が行ったように首を縦に振りながらそう返す薬師に私も首を縦に振って返せば、
少しだけ顎を擦りながら薬師が口を開いた。
「貴女が料理を作るのなら、粉末で良いと思う。」
「で、では、粉末で。」
「悪戯でも仕掛けるの?」
「……そうです。」
「素直に教えてくれるのね。」
正直ここで嘘をついたところで、この人はたぶん内心ではしっかり見抜いてしまうだろう。
面識や話す経験が無く、親密な仲などで無くても、
多少話すだけで恐らく子供相手でも凄いと感じさせるような力がこの人にはあるから。
「悪戯、か。」
不純な動機というのが私にはあるけれど、
それでもどこか薬師は楽しそうな目で部屋の中の何も無い空間を見つめていた。

「ちょっと、優曇華?」
不意に薬師が廊下の方へと大きな声を出したので思わずびっくりした。
その後わずかな間があって、誰かの気配と共に足音が響いた。
「なんでしょうか。」
すぐ部屋の外でもう一人の、呼ばれた彼女の声がする。
「ちょっと外してちょうだい。」
「は、はい。……あ、でもお茶は今運んで置きたいのですが。」
「じゃあ、今貰うわ。」

やや慌てた様子で入ってきた彼女がじっと私の方を見ながら、
私の分のお茶と薬師の分のお茶を置いて静かに出ていく。
恐らく内心で思っているのは、[幽霊が何故こんな所に?]といった所なのだろうと思う。
「悪戯は知る人が少ない方が良いわ。あの子耳良いからああでも言っておかないと、
聞く気が無くても聞いちゃうかもしれないからね。」
「そうなのですか。」
「そうなのよ。……さて、話を戻しましょう。」
落ちついてまたペンを握りなおした薬師に、ふとした気持ちで尋ねてみる。
「どの位まで、薬の使い方について推測してます?」
その言葉に薬師はくるりとこちらに体を向けると、
やはりどこか楽しげな目つきで口を開いた。

「薬は各々の2回分だから、少なくとも2回分は別々の日に使う。一応4人分の薬じゃあるけど、使うのは2人分ずつでタイミングも同じでしょうね。
薬を飲ませるのは悪戯をしかける為の一歩であって、目的では無い。
一度で終わらないという事は返して言えばそれなりに手の込んだ悪戯を各々に対してするつもりで、
時間や都合、あるいは貴女の体力的な問題で2回分けてあるのだろう、って所かしら。
悪戯の内容も、大まかには見当がついているわよ。」
……ああ、やっぱりか。確かにその通り。
私は妹達によからぬ事をするつもりでいる。
2回に分けているのは、よからぬ事だけどよからぬ事なりにちゃんとしたいからだ。
「たぶん想像で合っているかと思います。」
「そう。じゃあ、薬は寝たら効き始める様にして、朝まで何が合ってもぐっすり寝ちゃうようなタイプの方が好まれそうね。」
私の言葉に数秒と時間を要さずにそう返すからには、
大まかにとは言ったものの、かなり具体的に私のしたい事を理解しているのだろう。
私がその言葉に首を縦に振れば、薬師も頷いて先程のメモにそう加えた。

「薬、これだけかしら。」
「の、つもりで来たのですが、その。」
「色々私が変な事聞いちゃったから、迷っちゃったかしら。」
「……お恥ずかしい話ですが。」
私の質問に薬師が笑って立ち上がる。
何をするのかと思えば近くの鍵付きの棚からいくつか瓶を取り出しているようで、
少しして抱えていた瓶を机の上に並べて行った。ラベルには何やら書いてあるが
その文字は紙に書いてあるそれと違い、まるで何が書いているのか分からない。
滅多に見ないとかいうより、まるで見た事ない文字だ。
先程お茶を運んできたあの兎なら分かるのだろうか。きっと師匠と崇める位だから読めるのだろう。
「これくらいかしらね。」
並べられた瓶は合計で4つ。少し向きをずらして中身が確認できるようにしながら、
薬師は椅子に腰かけるとくるりと体をこちらに向けた。

「簡単に説明するわね。左から、体力の増強剤。貴女自身は勿論、睡眠中の妹さん達への負担軽減に。無味無臭水溶性の粉末。
その次は、媚薬ね。お好きな場所に塗って頂戴。一応飲んでも大丈夫だけど、本来の使い方は水に溶いて塗る形になるわね。
3つ目は見た事あるか分からないけど、優曇華にも普通に街で売らせている胡蝶夢丸。夢見を良くする丸薬ね。
最後は、男性器を生やさせる為の薬。私の推測している中で貴方のしそうな悪戯の幅を広げるための物ね。妊娠はできないタイプ。」
「だ、男性器ですか。」
「女同士でも、もっと深く交わりたいとかそういう欲求がある人が用いる物ね。」
淡々と説明してくれるけれど、こういう薬を幾ら鍵がかかっている棚とはいえ、
すぐ手の届く位置に置いておくのはどうなんだろう。凄いけれど、何だか不思議だ。
ひょっとしてその手の需要が多いのかな。ひょっとして、この手の相談を持ち込むのは私だけじゃないのか?
そうだとしたら、ちょっと安心するのだけど。
「いっそ、全部持ってく?」
「ぜ、全部?!」
「貴女自身、妹さんが大好きなんでしょ。それもかなり。どこか貴女からは良心の呵責の様な物も感じるのよ。」
「え、ええ。大好きです。本当は悪戯じゃなくて普通に気持ちを伝えたうえでしたい所なのですが、
妹に何だか強いるような形になるのも、そもそも妹にそういう事を伝えるのも何だか怖くて。」
「大変ねぇ。」
「でも、妹が可愛いのです。」
「それは妹さんに言っておやりなさいよ。……あぁあと、今回のこれは日頃の宴席での演奏のお礼なんだから、
お金をとったりするつもりは最初にも言った通り、無いのよ。常用するなら貰うようになるけれど。」
妹にはさりげなく、可愛いというくらいの言葉はかけているつもりなんだけどなぁ。
何だかいつも、普通に流されてしまうところがある。
「私自身はこれ一回で終わらせたいと思っています。」
「そうよね。何回もするくらいなら、正直に打ち明けたほうがお互いの為よ。」
私の言葉に頷きながら薬師がお茶を手にとって飲み始めたので、
私も持っていた湯のみへと口をつけると、まだ熱いお茶を喉へと流して行った。

「昔から好きなの?」
「はい。」
何だかんだ、私が[はい]とか[いいえ]とか答える前に薬師はもう先程の瓶から、
今回のそれに合わせて薬を小分けにしては包み始めていた。
「サービスしておくわ。依存しろとは言わないけど、利用者あってこその薬でもあるからね。
あぁでも睡眠薬の方は、ちょっと特殊なのを用いるから別の所から改めて持ってくる。」
小分けにされた袋を更に一回り大きな袋に移して薬師が立ち上がる。
この部屋にある薬の量も相当なものだと思うのだけれど、
このお屋敷にあるらしい別の保管場所、そこには一体どれだけあるのやら。
……というかそんなにあったら訳分からなくなりそうなんだけど。
すたすたと部屋を出て行く薬師に対してそう思いながら頭を下げると
私は残っていたお茶をゆっくりと飲んで待つ事にしたのだった。

待つ事しばらく。貰っていたお茶から立ち上る熱気も収まりを見せた所で
依然として出しっぱなしの状態の4瓶よりも一回り小さな瓶を抱えた薬師が帰って来た。
「整理はあの子……あぁ、優曇華ね。あの子に任せているから場所が分からなくてね。
さっきああ言っちゃったせいか屋敷の外に行っちゃったみたいで、薬を探すのに苦労しちゃったわ。」
「すみません。」
「いいのよ。……あぁ、やっぱりお茶冷めちゃったわね。淹れなおしてきましょうか?まだ話さなきゃいけないこともあるし。」
まだ、話さなきゃならない事……?

新しいお茶を貰い直して、薬師が窓を閉めて持ってきた瓶の中身を小さなお皿の上へと盛りはじめる。
一応は風に飛ぶのを危惧しての事なのだろうと思う。
「睡眠薬。これが大体二人分の量よ。つまるところ、貴女にとっての1回分。」
お皿に盛られたそれはかなり少ないように見えるのだけど、
恐らく効果が強いからその量で充分なのだろうと判断した。
「薬を服用してある程度の時間が経過した後に寝ると、朝まで起きない。そう思ってもらえれば良いわね。
で、貴女に伝えたいのはそんな事じゃなくてね。寝ている子を相手にする訳だから、目で見えるそれ以上に
相手の体力に気を使ってほしいの。簡単な事でも想像以上にどんどん体力持って行っちゃうからね。」
そういえば寝ている妹達の寝言に合わせて夜通しで相槌を打ってたら、
次の日凄いぐったりしていたような気がするなぁ。
「それは、大丈夫です。大事な私の妹ですから。」
「まぁ、貴女なら問題無さそうだけど。それとまぁ火事なんかには気をつけて。
いざって時にも起きられないのよ。この薬は。その辺は注意しなさい。絶対に。」
「ええ。万が一にそんな事があったとしても、妹の無事は私の身に代えても。」
「あらあら、私の前でそんな事を言いますか。」
「ほら、私達そもそも幽霊ですから。」
「それもそうね。じゃあ二人分ずつ分けるけど、それで良いわね。」
「はい。お願いします。」

「じゃあこれ。」
片手で持てる荷物ではあるけれど、ちょっと予想よりも大分と量の増えてしまった薬の袋を貰い、
私は薬師に一礼すると屋敷を後にした。ふと空から下の方を眺めれば、
私の姿を確認してなのか先程言われていた彼女が歩いて屋敷の中へと入っていく様子を見る事が出来た。
……ずっと外で待たせていたのだとしたら、ちょっとかわいそうな事をしてしまっていたのかもしれない。



私が家に帰りついたのは夕方よりも少し前だった。
薬の事について詮索を受けるのは困る為、私は妹達に合わないように自分の部屋へと戻ると
鍵付きの引き出しの中へとそれらを仕舞い、居間へと向かったのだった。
メルランの体調もある程度良くなったのか、リリカと揃って買い置きのお菓子をつついていた。
「お帰り姉さん。」
「お帰りなさい、姉さん。」
先に気づいたメルランの発したその声を追う様にリリカが続けて私にそう言った。
「ただいま。すまないね、遅くなって。」
「薬師に悪い事されなかった?」
リリカが笑いながら言ったが、残念ながら悪い事をしようとしているのは私なんだよ。
あの人はそれで尚貴女達に負担が出ないようにって事を話してくれただけ。
「あの人は、悪い人じゃないさ。」
「ねえ姉さん、二日酔いの薬とかは?」
「それは貰ってない。」
どうやら、まだ完全には治ってないんだな……。

「夕食、何にしようか。」
そう言ってふと気付く。ここで鍋とか言われるととても厄介だ。
自分まで睡眠薬を貰う羽目になってしまう。どうか、そういうのは避けてほしい。
けれど一瞬でもそんな心配をした私に、
「「姉さんの料理なら何でも。」」
二人揃ってそう返してくれる妹達には、何だか嬉しくもあり、
同時に余計に罪悪感が湧いてしまったのだった。



夕食はスパゲティとサラダを作った。
メルラン自体の体調はほとんど心配無さそうだったのだけど、
一応今夜するぞっていう気持ちはあったから、お腹に負担の大きいものは避けたかったのだ。
薬を混ぜたのはスパゲティのソース。まぁ私は寝るつもりがないから、
正直薬の巻き添えを食らっては絶対にいけないという訳では無いのだけど、
予期せぬ事故は避けたいが為に妹達の食事にしかそれらは使っていない。
だから私のそれはなんだかちょっと冷めたソースになっちゃったけど、仕方ない事なのだ。
一応の見分けがつくように僅かに傷の入っている器を用いて、それを私の分としておいた。

朝、昼、そして夕食と、とても軽いメニューだったのは否定できないのだが
それでも美味しそうに食べてくれる妹達には感謝している。いつもの事でもあるのだけど。
ああ今更になって心がじんじんと痛む。
薬を盛られているという事実を知っているのは私だけなのだ。
貴方達の前では模範的でありたかったのだけど……それを破って、ごめんね。
「姉さん眠たいの?」
私の食べ具合や顔色を見てか、食べ終わりに近いメルランがそう私に聞いた。
「いや、何でもないよ?」
「何か、隠してるよね。」
私の返事にリリカが静かにそう呟く。
「まぁね。隠していないと言えば嘘だよ。」
「でもそれは秘密ってわけね。」
そう、だって私には言う勇気が、伝える勇気が無いんだもの。
だから、とてもとても卑怯な手段にしか、訴える事が出来ないんだ。

各々が食べ終わり談笑を続けていたが、私の頭の中では時間が過ぎるごとにパニックに近いものを起こしていた。
本当にやってもいいのか、まだ引き返せるぞという私の声と、
よくやった!準備は整ったぞと叫ぶ私の声。どっちも私の声だけれど、そんな声が頭の中でさっきから響き続けているのだ。
本心は、……後者だ。というより、妹達を抱きたくて、抱きたくて。仕方なかったんだ。
褒められた事ではないだろう。でも私は私のこの想いをもう押し込めていたくない。
妹が好き。それは私の中での確かな事実だから。
……それを二つの声がせめぎ合う頭の中で何度も繰り返し、ぎりぎり平静を保っていたのだった。



「それじゃ私はもう寝るわね。」
「じゃあ私も寝ようかな。」
お風呂を各々が浴びた後。静かな夜を居間で3人過ごしていたけれど、
ふと時計を見上げそう呟いたメルランと、その言葉に続いてそう洩らしたリリカの言葉に私は息を飲んだ。
そう、ついにその時間が来たから。……でもまだやらなければならない事がある。
「あぁ、ちょっと。思いだしたから今の内に良い?」
二人を呼びとめて、居間に待ってもらいながら私は慌てる様に部屋まで駆けって戻った。
……あくまでも演技だ。あんまり準備万端を装って不審がられるのは困るから。
鍵付きの引き出しに手をかけて、中にあった薬の袋から胡蝶夢丸と体力の増強剤を取り出す。
こればかりは寝る前に飲んでおいてもらいたいのだ。

「この薬は?」
「相談の時に薬師さんに貰ったんだ。日頃の演奏のお礼なんだってさ。」
ちなみに私の分もある。この方が不審がられないだろうという薬師の配慮か。
「これってー、あー。例の。」
「そう。だから、はい。お水。」
二人が薬を飲む姿を見届ける為に、いらないと言われるより先に水をつきつける。
勿論この水には先程の増強剤が既に溶かしてある。
無味無臭と言っていたし、いざ何か言われても胡蝶夢丸の味じゃないかと言ってしまえばそれで終わりだ。
けれど元より私が言ったからなのか、妹達は何も不安がる事無くすっと飲んでしまったので、
私も安心して持っていた一粒を口に含むと、まったく同じ水を喉へと通していった。
とりあえず、寝る前の準備はこれで良し、だ。
「じゃあ一杯一杯寝ないとねぇ。」
何だか少しテンションが上がったらしいメルランと、
「そうだねぇ。」
にんまりと嬉しそうな顔を浮かべるリリカ。本当可愛い妹達だ。
「明日は何も無いんだし、私は無理に起こすつもりは無いからゆっくりお休み。」
「「お休み、姉さん。」」
そして、ごめんね。



「リリカ。リリカ。」
夜は更けた。問題は彼女達が起きているかどうか。
先に訪れたリリカの部屋で、すっかり眠ってくれているらしいリリカの耳元で
割と大きな声でそう声を先程からかけているのだが、
「うーい。」
恐ろしい程曖昧な返事がたまに帰ってくるだけだ。
ちゃんと眠ってくれている。柔っこい頬を少しだけ引っ張らせてもらったけれど、
全く起きる様子は無い。どうやらちゃんと薬は効いているようだ。
衣服が肌蹴ていたからそれだけはちゃんと直し布団もかけ直すと、
私は静かにその部屋を後にした。そう。今日私が相手にするつもりなのはメルランなのだ。

メルランの部屋のドアを開けてそっと覗きこめば
リリカと同じようにベッドの上で寝息を既に立てて寝ていた。
目深に被っていた布団から僅かに赤い顔だけをちょこんと覗かせて、
まるで小動物のよう。
「メルラン。メルラン。」
先程リリカに試したそれをメルランにもやってみる。
……胸の大きさに加えて頬の柔らかさもメルランの方が一枚上手かもしれなかった。
片方の頬だけでなく両方の頬も引っ張ってみたが、
柔らかさが指先に返ってくるだけでやはり起きる様子は無い。
つまり、とりあえず最初の関門はこれで突破したと言える。
私は再度寝てない事を確認すると、メルランの部屋のドアを僅かに開けたまま自分の部屋へと戻った。
使っていない薬が2つ、そこにはあったから。

この二つを彼女達に作ってしまったならばもうどう転んでも後戻りはできないだろう。
そんな事を考えながら、台所で水を張ったやや深めのお皿へと薬を溶いていく。
ほんのちょっと粘性があってとろりとした水が出来上がり、
それを指ですくっては何だかドキドキする感覚を胸に覚え、
私は静かに台所を後にすると、お掃除用のタオルや最後のもう一つの薬等と一緒に
メルランの部屋へと運んで行ったのだった。
……最後の薬、これは塗り薬では無い。
説明は受けたのだけど、正直ちょっとだけ恥ずかしい。
摂取させる分には飲ませたって良いらしいのだけど、今回のように寝かせている相手に使うなら
膣に挿入して待っていても良いというお話なのだ。座薬のような、座薬じゃないような、そんな薬。
勿論今日これを使って生やすのは私じゃない。メルランの体だ。
私が生やすという事はメルランの大事なものを奪ってしまうと言う事だ。
本心としては確かにそうしたい気持ちはある。けど、こんな奪い方は駄目だ。



メルランのベッドの脇に持ってきた荷物を置いて、ふと暗い部屋の中時計に目を凝らす。
朝までまだたっぷりと時間はある。不得手な私にだってこれだけ時間があればなんとかなるだろう。
相変わらず布団をしっかりと被って寝ていたメルランの横へと体をおろし、そっと布団を剥いでみる。
目の前に広がったのはほとんど裸に近いメルランの肢体と、酔う程に漂うまるで誘うような匂い。
服はどこに行ったのかと思えば、ベッドの端の方に畳んでおいてあった。
私が剥ぐって冷たい空気が入ってしまったからか、メルランが顔をしかめながら体を少し丸くして。
私も意を決して着ていた服を全部脱ぎ終えると、それをベッドの脇に置いてメルランのベッドの中へと潜っていった。

正面からメルランの体を抱く。
かれこれ何年ぶり、いやもっと長い間だろうか。背負ったりする事はあれど、
正面からこうやって抱きつくのはもう長い事していない。
そんな久しぶりなメルランの体をぎゅっと抱きしめれば、
私がずっとずっと想像していたよりも熱くて柔らかい肌触りが私の体を包んだ。
「メルラン、好きだよ。」
「私も姉さんの事、好きよ。」
ギョッとする程にハッキリとした返事。
……でも呼吸は落ちついていて、目も閉じたままで。寝ているのか、
起きているのかといえば恐らくさっき確認したし寝ているのだろうけれど、
ちょっと心臓に悪い。
「ありがとう。」
けれどそんな言葉を返してくれたのは嬉しくて、そんな言葉を私も返していた。
今からやる行為に罪悪感も抱いていた私にとってその言葉はまるで一種の赦しのようにも聞こえていたから……。



メルランの下着というのは私のそれよりもちょっと大きい。
それもそうだ。守る物の大きさが違うのだもの。仕方が無いのだ。
しかしながら、私もリリカも後ろで留めるタイプの物なのに、メルランだけ前で留めるタイプだというのは
この際の都合には良いのだけど、なんだかちょっと羨ましいものだった。
外す為にちょっとだけ寄せさせて貰った胸は布越しですらちゃんと分かる程弾力を感じさせる。
私のそれなんかとはもう比べようがない位だ。少し悔しいけど比べようとするのが失礼なんじゃないかとすら思いたくなる程だ。
ふと、メルランから剥ぎ取った下着を自分につけてみる。
拳ひとつくらいなら余裕で下着と胸の隙間に入ってしまう。……いや2個入るのかな、これ。
何時頃、私の胸はこの子に抜かれたんだっけなぁ……。
なんだか悲しさがこみあげてきた所で下着を外し畳んでこの子の服のあった位置へと重ねると、
私はもう片方の下着へと手をかけたのだった。

「姉さん……?」
下着と肌の間へと指を滑らせたところで、困惑した様なメルランの声が響く。
「ごめんね、好きだから抑えられないの。」
私の手を止めようというのか、メルランの手が私の腕へと絡みつく。
本心は抵抗したい気持ちでいっぱいなのかもしれない。そう思うと胸が痛い……けれど、
それで止める程に緩い決心をしたつもりは、無いんだ。

彼女の足から抜き去ったそれは、やたら温かかった。
ほかほかしていたって言った方がいいのかもしれない。
流石に被ろうだなんて思ったりはしないけれど、手に持っていると何だか妙に心がドキドキしてしまう。
経験が無いから意識しちゃうのかな。そんな事を考えながら他の服と一緒の場所へとそれを避難させ、
私はメルランの上半身を起こすと、背中側にくっつくようにして座り後ろからその体へと抱きついたのだった。

くったりとした力無い体が遠慮なく私の体に体重を預けてくる。
不安定なメルランの頭は肩で受け止めて、私は手を伸ばすとベッド脇に避難させていたお皿を
自分の手元へと引き寄せたのだった。暴れる様子もないし、きっと大丈夫だろうという判断だ。
……でも正直これなら洗面器で作った方が良かったかもしれない。あまり安定が良くないのだ。
依然としてかけたままの布団。これが汚れるのも好ましくないからと、
太股のあたりまでメルランにかかっていた布団をずり下げると、
私は露わになった胸へとお皿の中身を手に掬い垂らしていったのだった。

きゅっとメルランの体が縮こまる。
お湯で溶かずに水で作ってしまった事をちょっと後悔した。
傾斜のきつい私やリリカの胸と違ってもどんどんと流れ零れ落ちそうになる滴を手で受け止め、
胸全体へと行きわたるようにゆっくりと撫でていく。
胸というのは重いらしく、塗り広げた媚薬のせいで滑る程になった肌も相まってか、
指で胸をすくってみてもするんと指を滑り落ちるその感触は
自分のそれじゃどう頑張っても出来ない事もあってかちょっと羨ましい。
私のそれと違ってあまり主張の無いように見えるメルランの胸の先端と私の指先。
それが擦れる度にすぐ目の前にあるメルランの頬に赤みがさして息が少しずつ詰まっていく。
私の指でも気持ちいいのかな。そう思うとどこか気が楽になって、
横目でメルランの顔を眺めながらしばらくその胸を愛でた。

あの薬師はどこにでも効く媚薬だと言っていた。
その言葉の意味を理解してきたのは、撫で始めてから少し経った頃だ。
手のひらで撫でているだけなのに、どこか胸をきゅうきゅうとさせるような感覚がさっきから腕を通して走ってくる。
ただ撫でているだけなのに、ちょっと心地いいのだ。直接胸に塗られているメルランはどんな感覚なんだろう。
「ねぇ、メルラン。気持ち、良いかな?」
「……うん。」
「……そっか。」
じゃあもっともっと、頑張らないとね。
行為として私の独りよがりな事に代わりは無くても、
楽しんでもらえるならそっちの方がずっとずっと良いから。

段々と主張を始める胸の先。それが指で挟めそうな程になった頃から
私はちょっと執拗にそこばかりを指で弄っている。
やっぱり薬のせいで刺激はかなり強くなっているようで、
頑張ってこらえようとしている顔と緩んだ顔が行ったり来たりするのだ。
最近は見せてくれないような顔だけに、妙に可愛く見えて仕方が無くて、
ちょっと私にも迷いがあったけれど私は片方の手でメルランの頭に手を添えると
唇に初めて、キスをした。
かつて悪戯でも軽いスキンシップでもキスをした事は無いわけじゃないけれど、
いつも頬や額ばかりで。初めて重ねた唇は、小さいけれど柔らかくて、
そしてちょっと熱い。唇の隙間から震える様にして洩れる息が私の唇を濡らす程に湿っぽくて、
少し開いた唇からは、長年一緒に暮らしてきたのに聞いた事もないような小さな嬌声が聞こえてくる。
聞いているだけで自分の体を何だか弄りたくなるけれど、
そんな気持ちはメルランの胸にぶつける事にしてしばらく唇を楽しませてもらった後、私はゆっくりと顔を引き離したのだった。

ふと部屋の隅の時計へと視線を送る。もう目は完全に慣れてしまったけれど、真っ暗な部屋の中
やっぱり目を凝らさないとちゃんと見えない。タイムリミットはあの医師が設定した朝だけれど、
片づけやメルランの体を拭いたりする事を考えれば実際にはもっともっと短いのだろう。
逆算してみると、長い長いと思っていた時間はそうでもなかったりして。
……正直こんなにドキドキするなら、例え朝までの時間をフルに使ったってやっぱり足りないって思う位だ。
たぶん一日中させてもらえたとしても、やっぱり足りないと思ってしまうのだろう。

「そろそろあれを、使っておこうかな。」
初めの頃よりはぐったりとした体を支えないといけないからか、
お皿を引き寄せた時よりも体勢はちょっとキツかったけれど
最後の薬の入っている袋を手元へと引き寄せてその中身を取り出した。
思えばどれくらいで効き始めるのかまで聞いてなかったな。
効いた頃には朝になってました、とかだと大惨事になりかねない。
けれどこの子には今日の、この機会の内に私の初めてを貰って欲しい。
「メルラン、こっちも触らせてもらうよ?」
小さな薬。指の先に乗る程に小さいそれを手に載せて、
私は閉じ切ったままのメルランの足へ手を添えると、ゆっくりとかきわけて手を押し進めて行った。
メルランがいやいやとばかりに足をきゅっと締めるけれど、弱い力で私の手を止めるには至らない。
元より胸から垂れてきていた薬がここに溜まっていた事もあってか、
最後には滑る様にしてメルランの大事な所まですんなりと私の手は入ってしまっていた。
「駄目ぇ……。」
少し指を伸ばし直接触れてみれば、薬のぬめりとはまた違う感触が指を包む。
一人でした時に指先に感じるそれではあるけれど、肉のつき方の差があるからなのか、
何だか知っているそれよりもずっと熱かった。

先に薬を挿入してしまおうと、手の中に握っていたそれを取り出して
位置を合わせて小指でゆっくりと奥へと挿しこんでいく。
薬自体がかなり小さかったから、これで破ける事は無いだろうけど
私の指で破ってしまったら元も子もない。
「メルラン、痛くない?」
それがちょっと怖かったけど、
すんなりと受け入れてもらえた私の小指が膜に触れた所で、薬をその奥へと送り出してゆっくりと引き抜いた。
妹が返すのは、ただ時折ぴくぴくと悶えるその様子のみ。くぐもっていた息はさっきから聞こえ続けていたが、
口をきゅっと閉じてしまったからか、声は結局聞く事が出来なかった。



あの薬師が私のやる事を完全に推し量ってこの薬を出したのかは分からないが、
薬の変化が現れたのはそれから僅かに時間が経っての事だ。
メルランが呻くような声を急に洩らし未だ大事な所へと重ねたままの私の手ごと体を丸めた。
一瞬体調か何かが悪くなったのかとヒヤリとしたが、そんな考えも飛ぶ程の
異質な感触が私の手のひらをぐんと押し上げはじめ、私は慌ててメルランの足の間から手を引き抜いたのだった。

やがて丸めていた体も力が抜けて足も伸びて行ったが、
その付け根には見た事のない様な物がそびえ立っていた。
話に聞く事はあれど、……それよりかは随分と大きい気がしてならない。
メルランが体をよじる度に右へ左へとふらふらしているが、
揺れ方とさっきの手のひらの感触からして、かなり硬そうだし。
あれがその[おしべ]だとして私の[めしべ]に入るんだろうか。
というか普通のサイズを知りたくなってきた。
とてもじゃないけど、入る気がしない。胸と一緒でメルランだから大きいの……?

息を飲んで、ちらりちらりとメルランの顔を覗き込みながら
ふらふらしていたそれを両手で包みこんでみようとする。
うん、夕食のサラダで使った胡瓜より大きい。……胡瓜を入れてみようと試した事はないけど。
ぎゅっと握ったりしたら小さくなったりしない?……しないか。うん。困った。
「ぎゅってしないでぇ……。」
「あぁ、ごめんよ。」
むしろ痛がらせてしまったみたいで、慌てて手を離せば先端を包んでいた手とそれの間に僅かに糸を引いたのを感じた。
くるりと手をひっくり返してみればなんだかぬめっとしたものが付いている。私やメルランが出すそれとこれ、一緒なのかな。
「ねぇ、ここ気持ちいいの?」
改めて手を添えて、先端の割れ目あたりをくりくりと擦ってみる。
どこが気持ちいいのか私には流石に分からない。
「擦れて痛いよぉ……。」
だからか、どうにもうまくいかない。うーん、指が乾いているのが原因か。
適当に何か。あぁ、あれまだ残ってるや。そう思いお皿の中に余らせていた薬を
自分の手と妹に生やしたそれとの間へと垂らしていく。
行きわたらせるために指で撫で、隙間まで薬を塗ってみればやっぱり多少はマシなのか、
痛がっていた様子は次第に収まり、身をよじりながら切なげな息を返してくれるようになった。
胸を弄っていた時から赤かった顔は、余計に赤く染まってリリカの帽子並みになってしまっている。
「痛くなくなったかな?」
「……うん。」
そっか。それなら良かった。

しばらく私も心地よさげな息を漏らすメルランの様子を見て楽しんでいたのだけれど、
上下にと撫でている内に、また段々乾いてきたのを肌で感じた。
元々のそのサイズに加えて、重力があるからか、その薬も最初に行きわたらせたとはいえ、
どんどんと下の方に集まっているのだ。
気持ちよさそうにしていたメルランの声も、また痛みを感じるような
そんな声に戻り始める。……けれどこれにまた薬を加えたりでは、
しばらくしたら薬が完全に無くなってしまう。
それだと、その後が続かない。
「うーん、どうしたものか。」
聞きかじりの知識の中で役に立ちそうなものは無かっただろうか。
日頃は妹の事しか考えていない頭を精一杯使って思い出してみれば、
口でするという手法がある事をふと思い出した。
いくら大きいとはいえ、私の顎が外れる程じゃないし、たぶん大丈夫だろう。
ちょっと、抵抗はあるけどリリカやメルランのなら私だって構わない。
私は一度息を整え、メルランの背中から横へと移動してメルランの体を一旦寝かせると、
私の手の中で震えていたそれへと、ゆっくりと顔を近づけて行った。

独特な匂いだ。
いつものメルランの匂いと、そうじゃない匂い。その両方が混じっている。
手で触れていた時でも思っていた事だけれど、目で見てもちょっと脈動しているのが分かる。
これだけを見れば何だか苦しそうだとすら思う。
……何だか私までドキドキしてくる。でも同じ脈動でも手に握っているこっちの方がよっぽど早いみたいだ。
「い、痛かったら教えてね?」
さっきより大分と遠い位置にあるメルランの顔のある方へとそう投げかけ、
私は目を閉じると、手に持っていたそれをゆっくりと咥えこんで行った。
メルランの体がぴくり、と跳ねる。
「あふ……。」
どうやら手でするのよりは気持ちが良いみたい。膝をすりすりと合わせて、
くすぐられたような声を漏らして。少なくとも嫌そうでも痛そうでも無いのが分かったのは儲けものだ。

先の方をゆっくりと舐めてみる。
じっくり見ていた訳じゃないからそこまで思わなかったけれど、
思ったよりはツルツルしていて、芯は硬いんだけど外側は柔らかい。
ひょっとしたら私の舌の方がよっぽど摩擦のあるものなんじゃないだろうか。
「姉さぁん……。」
上半身を右へ左へと捻るメルラン。
うーん、ここは弱いのかな。
そんな寂しそうな声洩らさなくても、私は此処に居るよ。
ちょっと妹には見せづらいはしたない格好だけど。

少しだけ口の奥へと先端を押し込んで、棒の部分へと舌先を押し当てる。
先端の膨らんだ部分程の柔らかさはもうこっちにはない。
いっぱい働いた日のパンパンになった足のような恐ろしい硬さがある。
骨でも入っているのかな。いやでも男の人のは普段はふにゃふにゃしているとも聞くし。
まぁどっちでもいいか。今大事なのはメルランにとってこれが気持ちいいのか、それとも痛かったり嫌な気分になったりするものなのかのその2つだ。
私にとってちょっと苦しいというのはあるけれど、そんなのは問題じゃない。
「舌気持ちいいよぅ。」
どうやらメルランはこれが私の口というのは認識しているみたいだ。
一体この子の夢の中の私はどんな顔をして咥えているのだろう。
そもそも私は今どんな顔をしているのだろう。妹の前に立てなくなりそうな顔はしていないだろうか。ちょっと心配だ。

どうやら先っぽの大きいのと、硬い棒の部分の間の隙間を弄られるのが好きらしい気がする。
そこを舌先が動く時は、自分で自分を抱いているメルランの細い腕に爪が食い込む程に押し付けられているのを見る事が出来るからだ。
最初閉じていた口元も段々と緩んできて、吐きだされる呼吸の音も静かではない何だか荒っぽい物になってきた。
少なくとも、棒の部分だけよりかは気持ちが良いようだ。
余っていた指先で、棒の根元にある、メルラン元々の大事な所へと指を這わせば、
かなり水っぽい音が私の耳に響いた。思えばさっき垂れた薬、全部こっちに流れたんだろうな。
周りのお肉まで熱くさせて、凄く……具合が良い。ぷにぷにしたここ、ずっと弄っていたくなる。

ふと魔がさして、口で咥えたまま指先を元々メルランの体にある敏感な部分へと伸ばしてみれば
僅かな間を置いて不意にメルランが私の頭に手を添えた。
長くのびるような息だったのが詰まるようなそれに変わり、震える手で私の後ろ頭を支える。
たまに震える体と、それに合わせる様に大きい脈動を始めたそれ。
私はそろそろ限界が近いんだろうなぁ程度にしか認識できておらず、
急に口の中に溢れ、喉に打ちつけるような感触に思わず首を引いた。
けれど、私の後ろ頭にあったメルランの手がそれを許してはくれず、先程までの弱い力ではない強い力で私の頭を押さえつけて来る。
「で、でちゃうよぉ……!」
違う、もう出てるよ!
凄く苦しいけれど、鼻がふさがってないのが唯一の救いかもしれない。
でも口の中に溜まり続けて溢れそうなそれは、放置していれば鼻にまで影響しそうで。
でも吐きだせばベッドを汚してしまう。メルランの体ももっと汚れてしまう。
の、飲まなきゃ。
そう思って喉奥に溜まりはじめたそれを飲みこもうとするけれど、
ねばっこくて、2回程飲みこむのが精いっぱいで。
未だ脈動して吐きだし続けるそれを私は口の中になんとか溜めながら
段々と弱まっていくその勢いに僅かな期待だけをかけていた。

束縛が緩む。
痛い程膨らませてしまった頬が、妹のそれを口から引き抜くのと同時にピリピリとした感触を私に与えた。
苦しさに自然と目からこぼれた涙の向こうに、何だか凄く満足げな妹の顔があるのは
嬉しくもあり、怒りたくもあり……。私は一度一呼吸を置いてから口の中の残りをなんとか飲みこむと
メルランの体の上から身を起こした。
「き、気持ち良かったの?」
静かにそう尋ねてみたら、口の端を持ち上げてメルランが緩んだ顔で微笑んだ。
「じゃ、じゃあ仕方ないね。」
久しぶりにみる子供のような笑顔だったからか、
いつの間にか怒る気持ちは失せて、私はそう小さく呟いていた。
そもそも大前提としてこの状況は私が無理矢理作ったものでもあるから
妹に対してそんな事、本当はとても出来た事じゃないんだけど、ね。

出せば縮むと聞いていたそれは依然として大きいまま。
一回出しても私のそれに入るか不安な大きさを変える事は無く、
私は不安のつもりで溜息を吐いたものの、飲みこんだそれの匂いがまるで誘うようで、
その匂いに毒されてきたのか私は気が付くとメルランの上に跨っていた。
……勿論まだ入れる事は無い。濡れて無いわけじゃないけど、
私にはまだ、怖い。

指を載せれば硬い割にはぺたん、とお腹の方へと倒れるようにくっついたメルランのそれ。
改めて大きさを確かめるために、その上にゆっくり腰を下ろしてみれば、
硬く大きいそれが私の肉を持ち上げながらまるでひとつの心臓のように脈動しているのが伝わってくる。
私の唾液や、薬。そんなものでねとねとになってしまったそれが、
時折急に意志を持ったようにぐぃっと肉を持ち上げて押し込んでくる感覚があって、
私は腰を少しだけ振りながら、はしたない自分の体にじわりと広がるちょっとした快感を元に
こんな大きいものを入れるという恐怖心をなんとかかき消そうとしてした。

私の大事な部分を包んでいる所がめくれ、敏感な部分が擦れるようになってから、気持ちよさが押し勝ち始めて、
入れてみよう、入れてみようという気は起きるのだけど、
いざメルランのそれに手を添えてみると、やっぱり怖さが湧いてくる。
でもそうこうしていく内に時計の針が進んでいく。
私が濡れても、メルランのこれが乾いていく。
あぁメルランが起きていたのなら、どれだけ心強かったであろう。
でもそれはお互いにこういう関係がすんなり築けた上でのお話でしかない。
「メルラン……。」
妹としてはただ焦らされているような感覚なんだろう。
荒れた息はずっとずっと平静なそれに戻りきる事がなく、
整いきらない息を響かせて、時折上半身を捻っていた。

いざ決心がついたのは、まだ少し経ってからの事。
メルランが長い焦らしに耐えきれないのか、寝ながらぽろぽろと涙を流す様になった。
いつも笑ってくれるこの子にそんな物を流させてしまった、
というのは私にとってはとてもショックな出来事で、私はメルランの目じりから落ちる涙を拭うと、
ついに心に決めて体の下に敷かれていたメルランのそれを手にもって、私の体へとあてがったのだった。

息をはきながらほんの僅かだけを体の中に取り入れて、
改めてその大きさを自分の体の内側から知る。やっぱり大きい。
でもここで思いとどまってしまう訳にはいかない。だから私は一度だけ大きく深呼吸をすると
手でメルランのそれを支えたまま、支えていた足の力を一気に抜いて腰を下ろした。
どうせ一度痛いのなら、一瞬で全部入れてしまおう。
私の甘い考えがそこには、あった。

恐らく原因は私自身の体の準備不足にあったのだろう。
受け入れたそれは、まるで大きな杭みたいで、
ズキズキと鋭く耐えがたい痛みを体じゅうに走らせた。
息が詰まって悲鳴すら出せず、代わりに涙だけがぼろぼろと出て、
それをメルランのお腹の上に垂れ流しにしながら、
私は必死に引き揚げた腕で自分の体を抱いてその痛みに耐えるしかなかった。

背中に刺した自分の爪の痛み。勿論その程度の物で大きな痛みそのものが消える訳では無かったが、
そうでもしないと自分の意識がどうにかなってしまいそう。
いっそどうにかなった方が自分には得なんじゃないかと思ったけれど、
そこにメルランにとっての得は無いからと、私は堪える事を選んだのだった。

「大丈夫?」
心配そうな声が響く。閉じていた目を開けてみれば不安そうなメルランの顔がそこにあって、
私は一段と強く爪を突きさすと、痛みで保っていられるうちに
「うん。大丈夫。」
そう返していた。
……好きな妹に心配はさせたくなかった。でも妹のその一言のお陰で、
かなり気は楽になったような気がした。姉としての意地なのか、
心配してくれる妹の存在の嬉しさか。あるいはそのどちらもなのか。
「だから、もうちょっと待ってね?」
一呼吸置いて続けるようにしてそう伝えると、
私は部屋へと持ち込んでいたタオルを一つ口に咥えて、
歯を食いしばりながら、痛みで喚く自分自身の体を落ちつかせる為に深呼吸を繰り返した。

この子には一体どんな私が見えているのか。それはやはり私には分からない事だけど、
まだ少し心配そうな妹の手が何かを探す様に空中を彷徨い始め、
私は血に濡れた指先を軽く口元のタオルで拭うと片手を伸ばしその手を手に取った。
途端に少し明るくなったメルランの表情に私はほっとしつつ、
きゅっとその手を握ってみればメルランも返す様にぎゅっと握り返してくれて、
未だに体じゅうに割れそうな痛みが走っていたのに、
気が付けば私も何故かほっとしたように笑っていた。

痛みが落ちついたのはそれからすぐの事だ。
どうやら痛みの原因が大きさとか体が慣れるとかだけでなく、
緊張していた事も大きな一因だったようで、
メルランの手を握っている内に薄れていったそれは
強張った筋肉を解放してくれて、鋭かった痛みも鈍い痛みに代わっていた。
心の中でメルランにお礼を言いつつ、空いていた一方の手で口のタオルを取り去って
手を簡単に拭うともう片方のメルランの手を掴み、
「じゃ、動くよ。」
幸せそうなメルランにそう告げて、馬の手綱の様に手をぎゅっと握りしめると、
私は震える足で体を支えながら、ゆっくりと未だ私の中で硬いままのそれを引き抜き始めて行った。

男の人のそれというのは何故あの形をしているのか。それがなんとなく分かった。
私自身から出ている分泌物やら血やら、メルランのそれから出ていた物なんかで、
体の中を思っていたよりもずっと楽にぬるりと移動させる事ができるのだけど、
引き抜きの時にまるで内側の肉を削る様に先端の膨らんでいた部分が引っ張っていく。
痛みは当然のようにあったけれど、私が腰を揺すり動かす度に
幸せそうな顔を直に見せてくれる妹の表情がとても嬉しくて、
例え痛いと言えど先程のそれほどでも無かったからか、
痛みを考えずに動くなんて事は妹好きの私にはとても容易な事だった。
何より、私だってその刺激はまんざらじゃなかった。
妹を想い独り行為に耽る事はあったけれど、その相手が此処に居るのだ。
痛みによって薄れたりする事はあれ、それでさえいつもより気持ち良いのは確かな事だったのだ。

動かすたびにじゅん、と体の奥から染み出す物のお陰で
どんどんと滑りやすくなるそれを体の中に押し付けてはメルランの表情を眺め、
引き抜いては眺め。口でした時も気持ちよさそうだったけれど、
こっちでも結構楽しんで貰えているのはとても嬉しい。
顔を真っ赤にして何か堪えるような長い息を吐く様が
風邪なんかの時にやるそれとは違って、何だか可愛くて仕方が無くて。
腰を揺すりながら体を前に屈めると、私はメルランの頬に口づけをしていた。
メルランから洩れる息が私の耳をくすぐってくれるのが、私には堪らなかった。



私の手にかかるメルランの手の力。それが段々不安定な物になり、また限界が近いんだろうなという事を察する。
私のそれにはまだ遠かったけれど、そもそもの私の目的はこの子と繋がった時点でもう満たしているのだ。
私が欲しすぎてメルランの今日の活動力まで奪うのは論外なのだ。
あの薬師が言った様に、もっと欲しすぎて堪らなくなったら、ちゃんと勇気をだして打ち明けよう。
打ち明けた時にちゃんと受け入れてもらえるよう、頑張るんだ……。

どうやら奥をぐりぐりと押し込むようにするのがこの子は好きらしい。
私の体に名一杯差し込んだ時ほど手の力が不安定で、蕩けた表情を見せてくれる。
そもそもの性行為が子供を授かるためというならばそれは案外に当然の事なのかもしれない。
どうせだすなら体の奥の方が、という事なんだろう。……私にはあまり分からない事だけど。
でも、メルランが一度に出す量はさっき確認した。
あれだけの量を出されたら、私のお腹どうなっちゃうんだろう。妊娠しないとは言ってたけど。
何だかメルランのこれを受け入れる度に、私の体の奥もきゅんとくるんだ。
何でだろう。怖さもあるけど、妙にわくわくとした気持ちが湧いてきて仕方が無い。

より体重がかかるように、
よりメルランのそれが体の奥へと届く様に。メルランの体に対して垂直になるように身を起こして、
手をぎゅっと握ったままに腰を振るう。
「メルラン。我慢しなくていいから、出したいだけ私の中に、ね?」
その言葉を聞いてか赤くなる頬を一度だけ、握った手の指先で軽くつつくと
私は少しだけ早く腰を動かし始めたのだった。

我慢しなくていいと言っても我慢しようとしているのか、
懸命に赤い顔をあっちに向けたりこっちに向けたりと忙しくして
上半身を捻る様子を見るのがどれだけ私にとって幸せな事だったか。
それならそれで楽しむだけ楽しんでほしくて、必死に腰を動かして。
やがて耐えきれないとばかりに私の体ごともちあがる妹の腰に、
それを押し戻す様にぐっと体重をかけきると、ほんの僅かな間があって私の中のそれが蠢いた。

もうひとつ心臓がそこにあるみたいだった。
妹がガクガクと口を開けたまま震えながら、私の中にさっき口に出したそれを吐きだし始める。
私の中に当たっては跳ね返って。くすぐったい気持ちもちょっとあったけれど、
言葉通りの満たされていく、そんな感覚が私の体を内側からどんどん広がって行った。
この打ちよせる波のひとつひとつがメルランの気持ちだと想うだけで、
心地よくて堪らなくて。未だ出続けるメルランのそれを体の中に咥えたまま体を倒して
メルランに頬を寄せると握っていた手を緩めてメルランに体を預けた。
「……沢山、だしてね。」
頬に伝わる、メルランの頬のあたたかさ。
それをいっぱいに貰いながら目を閉じるとメルランのそれが活動を終えるまで、
私はゆっくりと体を揺らし続けたのだった。

窓の隙間から差し込み始める青の光。
もう朝が近いのか。そろそろ、この幸せなひとときも時間切れだ。
片づけないと。起きる前に。
疲れ切ってか完全に反応の無くなったメルランの体から身を起こして、
ゆっくりと入れっぱなしだったメルランのそれを引き抜く。
栓になっていたのか、ぽたりぽたりと垂れる感覚があって何だかちょっと寂しくも感じたけど、
やりたい事が出来たという意味での満足感もまたあって、そう言う意味では私は喜んでいた。
引き抜かれたそれはメルランの体の中へと溶ける様に消え、
ぽたりぽたりとメルランの肌の上へと私の中から溢れ滴るそれが垂れる。
……血と混じってかかなりピンク色だ。
はっとなって後ろを振り返り、メルランの足の間、その更に下を眺めてみる。
綺麗にしておかなければならなかったはずのシーツが、
真っ赤になってそこにはあった。
不味い。相当不味い。鼻血じゃないの?とかでごまかせそうな量じゃない。
いっそ全部を赤く染めてしまえばばれないのかも……とかいう場合じゃない。
起きる前に替えのシーツを取ってこなければ!
そう思い、急いでベッドから身を起こした所で

私の記憶はぷっつりと切れている。




――

リリカが生まれた頃の私は、正直あの子が嫌いだった。
私と姉さんとの大事な時間を奪われる事が、嫌だったから。
私をさしおいて姉さんと仲良くするその姿に後ろでどれだけ妬んでいたか、
どれだけ迷惑に感じていたか。リリカは勿論知らないだろうし、姉さんだってきっと知らない。
あの頃の私にとって、姉さんの存在こそが自分にとっての全てだったのだ。
私だけが姉さんに甘えても良い存在なんだという、
そういったとても独善的な考え方しかできないのが私だったのだ。

あの頃の姉さんはとても幸せそうだった。
私が物心ついた時から、ずっと幸せそうに見えてはいたけれど、
それ以上に私には幸せそうに見えていた。
姉の笑顔がより輝いて見える程だった。
私はリリカに負けてるのかな。劣ってるのかな。
……段々とそう思ってしまう程に眩しい笑顔だった。
あの頃の姉さんは私の心の中をどれだけ読んでいたのだろうか。

「メルランも、私と同じお姉さんになったんだね。」
毎日のように泣きわめくリリカ。
イライラを毎日募らせる一方、その事を隠していたつもりだったのだけど、
ある日の晩、リリカがやっと寝静まった所で姉さんは私を捕まえてそう言ったのだった。
「私はずっとお姉ちゃんの妹で居たかった。」
あの時の私はそう言ったけれど、更に本音を言えば、妹だけで居たかった。
姉はその言葉にただ私をぎゅっと抱きしめて何か安心したように笑って。
なんで笑われるのだろう。と不快感を露わにしてしまった私に姉がくれたのは
「良かった。最近甘えてくれなくなったから、寂しかった。」
そんな、言葉だったのだ。
「甘えたい時は我慢せずに甘えて欲しいな。私は貴女のお姉ちゃんだもの。
でもね、あの子。リリカにとっても私はお姉ちゃんで、同時にメルラン、貴女もリリカにとってお姉ちゃん。
だから、あの子が甘えたらちゃんと相手をしてあげてね。」
「だから、私は……。」
「お姉ちゃんね、頼られると嬉しいんだ。何でだと思う?……って、口で説明するのは私にも難しいかも。
でもね、頼られるって事はこういう事なんだって、私はメルランにも知ってほしいの。」
姉は私の目を真っ直ぐに見て、まっすぐにそう言って。
その言葉に私は何も言い返せないで……気が付くと姉の腕の中で寝ていたんだっけ。
その日から、その言葉が頭に焼きついて離れなかった。

私が変わり始めたのは、あの子。リリカが大きくなってから。
あの子が私たちの後をよく付いて回るようになってからだ。
ある年の冬に姉さんもリリカも風邪を引いて寝込んだ時があった。
体力のあった姉はまだ無事だったけれど、一方のリリカは日を追うごとにかなり衰弱していた。
あまりの辛そうな表情に、その時だけは妹に対する憎しみみたいなのは消えていたのだった。
でも私は、結局姉の看病も、妹の看病もあんまり上手くできないで、二人の間を彷徨う事が多くて。
その時に気づいた。私は役に立たない存在なんだって。
気づいた瞬間はまだ心に余裕が無かったから、役に立たなくてもなんとかしようと頑張っていたけれど、
二人とも容態が落ちついて寝息を立てるようになって、独り部屋の中で枕を食んで泣いた。
姉としての務めも果たせない。妹という立場、もとい甘える事しか出来ない自分が、悔しかったんだ。

でも、それから何日か経って。まず姉が治り、そして妹が治り。
その事にはほっとしていた私の体に、リリカが前からすがりついた。
「ありがとう。」
最初は何でそんな事を言われたのか分からなくて。
……そういえば私はあの時初めてリリカに抱きつかれたんだっけ。
おたおたする私に姉までもが同じ言葉を投げかけて後ろから抱きついて。
それはそれは、凄く暖かくて。気が付いたら私は二人の間で泣いてたんだ。
何となく、察したんだ。姉が言おうとしていた事。それと、姉がどういう気持ちで私のそれを今まで受けていたのかを。
あの時はリリカに、ずっと長い間親しくなりきれずにいたリリカに心の中でずっと謝り続けていたっけ……。
愛するという言葉の意味の4割くらいはあの時理解したような気がする。
その日から、私は普通にあの子に接する事が出来るようになっていた。
姉だけでなく、リリカも私には優しかったのだ。

私がただ一人だけ、勝手に色々決めつけて駄々をこねていただけだったんだ。


――メルランの日記より。



「んー……。」
朝、かな。良く寝……寝た気はあんまりしないのよね。
何であんな夢見ちゃったんだろう。最近溜まっていたかしら。
でもリリカは居なかったのよね。大体そう言う時って3人で居る夢を見るのに。
3人でお風呂入ったりとか、姉さんの腕を枕に3人で狭いベッドに寝たりした時の事とか、そういう昔の夢を。
私、もうリリカの事を嫌ったりしているつもり無いんだけどな……。
うーん。リリカが居ないとか姉さんが居ない夢って今までも見た事がない訳じゃないし
たまたまなのかもしれないけど。

にしても生々しい夢だったなぁ。
宴会でいつも生々しい話を聞いちゃうからあんな夢見ちゃうんだろうな。
……ああいう話を聞くと、姉さんやリリカの事で頭が一杯になって、
そわそわするからいつもお酒に逃げるのだけれど。
いつも飲み過ぎて姉さんの背中とか借りるハメになるけど、
最近は何だかそれが目的にもなっているのよね。大きくなっても私はまだ甘えていたい。
姉が妹にしていいのか分からないけど、出来るならリリカにだって、もっと甘えたい。
二人とも私の大切な家族だから。私にとってただ一つの繋がりだから。

本当は夢じゃなくこっちの世界で、姉さんやリリカとああいう事をしてみたい。
でもそれはもう、甘えるという言葉で収まる言葉じゃない。
もっともっと踏み込んだ事だ。私にそんな権利はあるの?
きっと、無いと思う。いつも私はただ、甘えるだけなんだもの。

夢の世界だからか途中から私には訳が分からない事ばかりだったけれど、
気持ち良かったなぁ。お姉ちゃんがあれだけ積極的だったら、
勇気を奮い起こして私だって打ち明けられるのだけど……。
あぁでももし打ち明けて今の関係がこじれてしまったら。
私、立ち直れる気がしない。拒絶された瞬間から、自分を保っていられる自信が私には無い。

肌寒いって思ったら私、服脱いでいたのね。
何だか胸やお股も変な感覚がある。ひょっとして私夢の中はあれだったけど、
こっちじゃひたすら独りで耽っていたって事何だろうか。
……姉さんやリリカより先に起きて良かった。
そんな姿、見せられないし。

……も、もう一度していても良いかな。
ひょっとしたらリリカも姉さんもまだ寝ていて、私が起きて色々していても迷惑かもしれないし。
私もあんな夢だったせいか、妙に体が疲れていてまだ寝たいって気持ちはあるんだけど、
もう同じ夢は見られない気がするし。夢の内容をまだ覚えている内に。
した後で下着だけつけて寝て、姉さんたちが起こしに来るその時まで寝ていよう。
ああ、やっぱり私は甘えっ放しなんだな……。

そういえば枕どこに行ったんだろう。
そう思いふと目を開けて辺りを探してみれば、足元に近い所に何故か置いてあった。
相当寝相悪かったんだろうなぁ。
そんな事を思いつつふと上半身を起こして枕を取ろうとすれば、視界の隅に見慣れない物が目に移った。
いや、それ自体はいつも見ていたし、さっきも見ていたけれど……。

なんでお姉ちゃんが裸で部屋に倒れているのだろう。
私には、分からない。



……って呆けている場合じゃない。
「姉さん?」
まだこんな季節、姉さんがなんでこんな格好で。
体を全部起こしてみて、シーツと私のお股に広がっていた色にギョッとして
慌てて姉さんの元へと駆け寄る。
「ね、姉さん!」
揺すってみても反応が酷く乏しい。
詰まったような声を出しながら口を僅かに開けたりするのみだ。
ただごとではない。思えば姉さんの体、足の間や床にも血がべったりしている。
夢で見た姉さんと、何故か一致する。
ひょっとして、そういう事なのか。あれは夢では無く、現実にあった事で……。
つまりはずっと、あの最後の瞬間からずっと此処に倒れていたのか。
「リ……」
リリカ……に知らせるべきじゃない、か。
リリカにこんな血だらけの部屋や姉さんを見せたらきっと失神してしまう。

どうにかしないと。そう思って部屋の中を見れば、何故かお皿やらタオルやらが用意されていたから、
急いでそれを全部かき集めると、姉の体を拭いて行った。
やっぱり血の出所は、私が夢の中で見てしまった位置と同じだった。


走り書きだったけれど、
[姉さんと買い物に行っています。]
そうメモを残して、私は着替えさせた姉の体を背負って玄関を出た。
朝早くから、あの薬師は診てくれるだろうか。
いや、診てもらわないといけない。例え叩き起こす事になっても、見てもらわなくちゃいけないんだ。
後ろ手に家の玄関の戸締りをして改めて姉の力無く重たい体を背負い直すと、
思い切り地面を蹴って、私は飛んだのだった。



――


ハッと気が付いて、目を開けて。
目に入る天井はどこか古めかしい和風のそれで。
今いるこのベッドにも感触に馴染みがない。
「ここは、どこだ。」
思わずそう言った私の声に
「ここは永遠亭だけど。」
先日の薬師が何故か視界に現れてそう答えたのだった。

なんでこんな所に居るんだろう。
私は昨日何をしていたんだっけ。
ここでお薬を貰って、家に帰って。
「記憶に混濁あり、といったところかしら。代わりに説明しようか?分かる範囲で。あそこのあの子の代わりに。」
あの子?そう言われて薬師が指さした先の方を見れば、すぐ隣のベッドにメルランが寝ていた。
どうしてあの子が。そう思った所で倒れる直前までの記憶がよみがえってくる。

ばれた、のか。
「あら、思いだした?」
「ああ、はい。」
「随分と昨晩はお盛んだったのかしら。貴女は出血凄かったし、
あの子はあの子で貴女を此処に運び込んだ途端倒れちゃってね。無事だけどまだ寝て貰っているわ。
貴女も治療は済んでいるけど血がまだあんまり足りないみたいだし、そこでじっとしてなさい。」
「……はい。」
私はどうやって、あの子に謝れば良いのだろう。
「迷惑かけて、すみません。」
「……その原因は私の処方した薬にも問題があるんだから、ね。想定できる限りで薬をもう少し用意しておくんだった。
何か他に痛い場所とかあったりしない?必要な薬があるなら全部処方するわよ。」
「ついでに、体よく謝れるようになる薬とか無いですか。」
「あるけど、使いたいの?」
「……いや、頑張って自分でなんとかします。」
「ごめんなさいね。」
「そもそもは私のわがままですから。」
色々と忙しいのか部屋を出ながら
「とりあえずは点滴が終わるまでじっとしていて頂戴。」
そう残した薬師に
「分かりました。」
一言それだけを返すと、私は顔を手で覆った。
絶望というタイトルで一曲書けそうな程に、頭の中はいっぱいいっぱいだった。



私これから先もう姉としての立場示せないのかも。
というかお家追い出されるんじゃないか。
妹達の居ない世界に身を置くくらいならいっそ死ん……成仏した方がマシだ。
どうしよう。どうメルランに説明しよう。
リリカは知ってるんだろうか。今此処には居ないけど。
ああ、いくらなんでも自分が情けない。
「メルラン、ごめんね……。こんな姉で。」
「私はそうは思ってないよ。」
「……起きてたの?」
急に帰って来た返事に思わず隣のベッドを見遣れば
片目だけ開けてメルランがこちらを見ていた。
眠たげで、今にも閉じそうな、そんな目で。
「寝てないよ。疲れてたからずっと聞いてただけ。」
「ごめん、ね。」
「ねえ、姉さん。姉妹が愛し合うって事は悪い事なの?
今朝みたいに姉さんが倒れてる姿を見るのは嫌だけど、私は夢の中の事、嬉しかったって……思ってるよ?」
「だって、私は薬を使って襲ったんだよ?」
「そうだけど。……そう言う意味ではちょっと残念だけど、私は姉さんが好きよ。」
そっか……。
「ちゃんと家に帰ったら、説明するよ。」
「うん。とりあえずもう少し、休ませて。」



「リリカにも、ちゃんと言わないとな。」
「やっぱりリリカも襲うつもりだったのね。」
「二人とも、好きなんだよ。」
だから始めにメルランの所にいって、日を改めてリリカの所に行くつもりだったんだ。
分ければ今回の事がバレる事なく済ませれそうだって思ってたから。
「まぁあの子は姉さんが好きだから分かってくれるわよ。」
「ん……リリカが好きなのは、私よりメルランだよ。」
急に驚いた様に目を開けてこちらを見たメルラン。
「なぜ?」
何故って言われても。
「昔、私とあの子が寝込んだ事があったろう。あの時までリリカ、ずっとメルランに嫌われてるって思ってたんだよ。
でも、そんなメルランが必死に看病して付いててくれたのが嬉しかったって。それから好きなんだって、昔聞いたよ。」
何でメルランは、驚いているんだろう。
ひょっとしてこの子は気づいてなかったのか。

「お腹、減って来たね。」
「リリカはもっと減らせてるよ。」
「そうだね……。」
ふと自分のベッドの横に置いてある物を見遣る。
まだ終わるにはもう少し遠い。
「メルランはお昼に食べたいものはある?」
「リリカに、聞いてあげて。」
「そっか。」

二人して帰宅の許可が出た時、その日初めて時計を見せて貰ったが、
既にお昼の2時を回っていた。……帰れば3時と言う所だろうか。
「リリカ、怒ってるだろうね。」
「そうね……。」
「二人で花でも買って帰ろう。」
「……うん。」
やっぱり今日色々ありすぎてメルランの体力使っちゃったからか、
休んでもあんまり元気が無いな。少し、心配だ。



「ど、どこに行ってたの?!」
私たちが家に帰りついた時、リリカは玄関に座り込んで泣いていた。
まだふらつく足に抱きつかれて、思わず倒れそうになった体は気が付けばメルランに支えられていた。
「街に行ってもお姉ちゃんいないし!部屋覗いてみたら凄い事なってるし!心配したんだから!」
「ごめんよ、後でちゃんと説明するから。」
「お腹すいたよー……。」
抱きついたままへなりと床にしゃがみこんだ妹の頭を撫でる。
この後この子に打ち明けなきゃいけない事を考えると、何ともいえない気持ちだ。
体力のまだ残っている内にと、私は妹の手を抜け、
後ろで花を隠して持っているメルランにその場を預けると、
独り台所へと向かったのだった。


「リリカ。」
「うん?」
「これ、姉さんと……私から。」
「これは?」
「あのね、リリカ。」
「リリカー!お昼ご飯何がいいか希望あるー?」
「……やっぱり後で姉さんと一緒に話すわ。」
「ん、うん。……姉さーん?私麺が食べたいー!」


お花を買った時から、ちゃんと二人で言おうって話をしていたけれど、
いざこうして食卓を囲んでみると、何だか言いづらいなぁって思う。
メルランも同じような気持ちなんだろう、蕎麦を食べながらも
私とリリカの間を気まずそうに視線を行ったり来たりさせて。
リリカはそういう私たちを見てなのか不思議そうに蕎麦へと箸を伸ばしていた。
「今日、その。姉さんの部屋凄い事なってたけど、何してたの?」
この子は今日何が起こったかについてまでは気づいていないらしい。
私は気が付いたからあのベッドの上だったから良く覚えてないけれど、
その言葉にメルランが気まずそうな視線をこちらに送ったからたぶん今もきっと酷い有様なんだと思う。
「後で全部話すから、先に食べちゃおう。ね?」
「う、うん。」
思えばメルランの様子もちょっとおかしいな。
帰る時からずっと、だけど。

「そういえば、今日はお姉ちゃん達どんな夢見られたの?」
嬉しそうにそう切り出した妹に私たち二人は蕎麦を喉に詰まらせながら、お互いに目配せして。
「そ、それも後話すから、ね?」
どの道私今日、夢らしい夢をまだ見て無い。
ひょっとしたら今のこれが夢なのだろうかと思ったけれど、
まだ体に響く痛みからすれば、現実だろう。
「……私は仲間はずれ?」
「ち、違う。そうじゃなくて。」
「まあ、いいや。私もちょっと姉さんたちに相談しないといけない事があるから。」
リリカにも相談しなきゃいけない事があるのか。

「御馳走様。」
「御馳走様でした。」
「御馳走様。じゃあ私は片づけしてくるから、メルランとリリカはえっと……私の部屋で待ってもらってて良い?」
食べ終わって空になったお皿を手に台所へと歩きながら私が言った言葉に
「うん。じゃあ、先に行ってる。」
「私はちょっと花瓶に花挿してくるー。」
二人はそう返して、食卓から消えて行った。



「……。」
「……。」
いざ3人揃って、私の部屋の小さなテーブルを囲んだものの、
やっぱり言い出すにはそれはどこか難しくて、私もメルランも何も言いだせなかったりして。
「話って?」
先程メルランから受け取ったらしい花の一本一本の長さを揃えながら
不思議そうにリリカが尋ねてきたところで、私は一度深呼吸をして話を始めた。

「リリカ。」
「うん。」
「私はね、メルランとリリカに悪戯をしかけようと思ってた。」
「珍しいね。だからああいう薬があったんだ。」
剪定用の鋏を置いて、リリカが揃え終えた花を花瓶に挿しながらそう返す。
「それで、メルランには昨日しかけたんだ。」
「うん。」
「その時にまぁ、ちょっと怪我をしちゃって、それで今朝はメルランに連れられて永遠亭に行ってたんだ。」
「姉さん。それじゃ伝わらない。」
急に静かに口を開いたメルランに驚きながら、どうにか柔らかい説明の仕方は無いかと探ってみるけれど、
うーん。……もうちょっと考えながら帰るべきだったのかな。
「そ、そうだね。えっと、えっとね?その悪戯なんだけど、私ね、メルランもリリカの事も好きだから、その。
夜這いを掛けに行ったの。昨日の夜、薬飲んでもらったでしょ?あれも一応、その目的の薬なんだ……。」
「……やっぱり。」

「や、やっぱり?」
私とメルラン二人してリリカの方を見上げれば、
リリカが凄く言いづらそうに口をつぐんだ。
「あ、あのね。お姉ちゃんを探しに行って、そこから帰って来た後に姉さんの部屋に入ったの。
何か行き先の分かるものはないかって。で、そこにあった薬なんだけど……物は試しだって、飲んじゃって。」
飲んだって、どの薬だ。
いや、飲んで主観的に効果の分かる薬ってひとつしかない。
あーでも、深いお皿にいれたあれも少しは……ってあれは見た目だけじゃすぐには薬って分からないよね。
「なんでこんな薬があるんだろうって不思議に思ってたから……その。」
「リリカが相談したかった事って、それかい?」
「うん。」
そりゃあ、訳も分からず生えちゃったら不安だろう。
しかし、何だか困ったな。薬の内容が内容だけに。
「リリカ。」
ふと座っていたメルランが、急にリリカの方へと向き直って名前を呼んだ。
「リリカ、私やお姉ちゃんの事は好き?」
「う、うん。」
「じゃあ姉妹で愛し合う事は、どう思う?」
「そ、それは。わ、悪い事だとは思ってない。宴会でそういう話だって聞くし、興味無いって言ったら嘘になる。」
それだけリリカが答えると、メルランは首を少しだけ縦に振り、
今度は改めて私の方へと向き直ると、私の顔を見上げて言った。
「ほら、私もリリカも異論ないんだよ。」
「う、うぅん。」
「二人とも、そうなの?」
「そ、そうみたいなんだ。」

「ねえリリカ。興味あるなら、いっそしてみる?私、貴女に初めてを貰ってほしいの。」
リリカにぐいっと迫り、そんな事を言い出すメルラン。
「わ、私が姉さんの初めて?!」
「私がルナサ姉さんの初めて貰っちゃったから……その。私の初めてはリリカに……駄目?」
メルランは、私よりリリカの事が好きなのかな。
だとしたら、ちょっとだけ悲しいけど嬉しい事だ。
昔はリリカを責めたりこそしなかったけど、あんまり良く思っていなかった風に見えたからね。
たぶん私が考えている以上にこの子達も成長してるんだろうな。
「お、お姉ちゃん。私どうすればいい?」
困った様に私に話を振るリリカ。
そりゃあ、リリカ。
「好きにしてみたら良いと思う。リリカがそれを望んだら、私もメルランも拒む事は無いよ。」
「う、じゃあ、その。お、お願いします。」
私がそう言えば、リリカが口ごもりながらメルランへと頭を下げた。
で、出来たら姉さんも混ざらない?とか聞いてほしかったりしたんだけどな。
寂しいから後で私も混ざらせてもらおう……。ふと天井を見上げて考えてみる。
いざ入ろうとした時にもう私の居場所が無かったりしたらどうしよう。
考えられない事じゃいのにまるで考えて無かったな。困ったぞ。
居場所が無くなるまでになるのは流石に辛い。
あーでもこの二人が前よりも仲良くなるのは望ましい事だし……あぁ。

「……さん、姉さん!」
「ん、うん?」
呼ばれていたらしく視線を天井から前へと戻せば、
ベッドの方へと追い詰められ今にも服を剥がされそうなリリカと、
顔だけをこちらに向けて私を呼ぶメルランの姿が目に入った。
「手伝って!」
「手伝うって……、リリカ、ちゃんと嫌なら嫌って言わないとメルラン結構突っ走っちゃうよ?」
「姉さん、やっぱり私そんな事してた?」
そりゃもう、頭をしっかりと押さえこんでこう……。
気持ち良かったのなら仕方ないかなとも思えるけど。
「嫌じゃないけど抵抗があるの!だって普通生えて無いんだよ!」
「じゃあ全部自分で脱いでから私達にお披露目するの?」
お、ちゃんと私入ってる?よし!
「そ、それはそれで何だか嫌だ……。」
「じゃあ良いじゃない。」
「うー……。姉さん助けてよー。」
「じゃあメルランの服を私とリリカで脱がせた後、リリカも脱がされれば良いんじゃない。」
そうすれば私の位置からすれば役得だ。
一応それだとメルランとリリカの位置も平等だし、うん。
「姉さん楽しんでるでしょ。」
「そりゃあ、楽しんでるよ。私はメルランもリリカも好きだからね。」



――



どうやったらメルラン姉さんは笑ってくれるんだろう。
なんで私はメルラン姉さんに嫌われているんだろう。
それが私の悩みだった。

生まれた時から、姉さんたち二人に囲まれて不自由なく暮らしてきた。
けど、いつも笑顔で面倒を見てくれるルナサ姉さんと違って、
メルラン姉さんが私に笑顔を見せてくれた事は無かった。
私が居ない時。姉さんたち二人が話している時のメルラン姉さんは笑っていたから、
きっと原因は私にあるんだろうと、少しして気づいた。
きっと私が姉さんの居場所を奪ったから、機嫌が良くないのだと。
私が生まれてこなければ、きっと姉さんはずっと笑っていられたのだ、と。

そういう考えに頭を支配されるのは辛かった。
だから安心を求めてルナサ姉さんの腕の中に逃げ込んで、そしてまた反感を買ったりして。
いっそ死んだら楽なんだろうか。……子供なのにそういう事を考えたりもして。
あの頃は、辛かった。


姉さんが風邪にかかった事がある。
結局ルナサ姉さんにほとんど依存してしまっていた私もすぐにその影響を受けた。
一人、私が居場所を奪ってしまったメルラン姉さんだけがあの時無事だったんだ。

ルナサ姉さんが風邪を引いてしまったのは残念でならなかったけど、
メルラン姉さんまで風邪を引かなかった事は嬉しかった。
良く思われていなくても、姉さんは姉さんだから。

あの頃体力の無かった私にとって、たかが風邪ではあったけれど、
かかったそれはあまり良い物では無かったらしく、凄く苦しかった。
でも、いっそこのまま死んだら、姉さんに私の場所を返せるんじゃないか。
そう考えると、なんだか気持ちが楽にもなったりして……でも悲しくて。
泣く事は無かったけれど、私はもう、それでいいやって思っていた。

けれど、姉さんは私を看病してくれた。
腫れた目で、死んじゃ駄目だって枕元で泣いてた。
私は、どっちに転んでも姉さんを困らせてばかりいる。
気分は複雑だったけれど、何だか頑張ろうって意欲が湧いて。
姉さん、つきっきりで居てくれたから、姉さんの体調が崩れる前に治そうって必死になった。
思えば、そう決めた日を境にして体調は良くなったんだっけ。

私が頑張れば頑張る程、姉さんの顔が穏やかになる。
今までと違うその顔がどんなに私にとって救いだった事だろう。
やっと普通に歩けるようになった時、姉さんはまた泣いちゃったけど、
初めて、初めて私に笑ってくれたんだ。
……未だに目を閉じれば思い出す事が出来る。
あの時、私は初めてメルラン姉さんに甘えたいと思って、
まだふらつく足だったけれど、姉さんにお礼が言いたかったから
嫌がられてもいいやって気持ちで抱きついたんだっけ。
不思議と拒絶されない気がしたから、というのもあったけど。

驚いてたな。
今まで私がそんな事せずに居たから、尚更だったんだろう。
姉さん、しどろもどろになっちゃって。
実はちょっと、かわいいって思っちゃったんだ。
あれ、一目ぼれって言うんだろうか。
家族の間に抱いていい感情なのか分からなかったけれど、とても心地よかったんだ……。



――リリカの日記より。



「なんでお姉ちゃんだけ脱がないのー?」
「そうよ。私もリリカも脱いだんだから、姉さんも脱がないと。」
二人がベッドで私を誘っている。
幸せな状況だけど私がさっきあんな提案をしたからか、余計に行きづらくなってしまったのだ。
どうせなら先に私が脱いでおけば良かったのだ。
そうしたなら、そうしたならきっと恥ずかしい思いをしなくて済んだんだ。

まさかリリカよりも胸が小さいなんて、思ってもなかったから。



――


少し長い説得の後、ようやく服を脱いでちょこんとベッドに腰を下ろした姉さんは、
何度か私とリリカの間に視線を走らせた後、ベッドの上の毛布を胸元へと手繰り寄せた。
姉さんやっぱり胸の事気にしてるんだろうか。
私が姉さんと同じサイズの下着を使う様になった時でさえ、
焦りのようなものを見せたのが姉さんだ。……たぶんリリカにまで追い抜かれた事がショックなんじゃないだろうか。
私の場合は差がどんどん広がっちゃったから、途中から諦めるかのように見てくれてたけど、
少しだけしか差が無い上で自分の方が小さかったとなれば、ショックなんだろうな。
「で、何をすれば良いんだっけ?」
リリカはその事には気づいてはいないのかな。
ああでも、リリカの場合は今それどころじゃないから仕方ないか。
胸よりも今はもっと大変な事になってる所があるんだから。

「姉さんはどうしたの?」
「へ?」
リリカの質問を受け流すように、そのまま質問を姉さんに投げてみた。
相変わらず胸の事で頭がいっぱいなのか、一瞬何が何だか分かっていないような顔を姉さんがした後、
ハッとなった様に顔を赤くして姉さんが答えた。
「……あー、えっと。ど、どう説明したら良いものか。正直なところ私だって経験があるわけじゃないんだ。
昨日というか、今朝のその。あれが初めてだったからさ。」
まぁ、そうなるわよね。私だって夢の中のあれが初めてでもあるし……。
リリカはそれ以上に経験が薄そうだ。
「したいようにしてみたら良いのかしら。」
ふと私がリリカの方を見ながらそう言えば、姉さんも首を軽く縦に振ってリリカの方を見た。
「合奏と違って、筋書きなんて無くても良いからね。……恐らく。」
そうだっけ。いつぞや宴会で聞いたお話だと、ろーるぷれいがうんたらかんたら言っていたような気がしないでもない。
女王様がどうとか、お姉様がどうとか。あぁ、もうちょっと耳を傾けていたら、
こういう時に困らずに済んだのかな。
……でもあれは私には刺激が強すぎる話だ。
「こうしてほしいって物がリリカにあったらそれが一番良いんだけどね。」
ふと漏らした姉さんの声に私も頷く。
これは私と姉さんの交わりの時に一人ぼっちにさせてしまったこの子へのお詫びだって兼ねているのだから。
「本当に何でも良いの?」
「あるならね。」
「な、何でも良いなら私は姉さんのその……おっきいそれ揉んでみたい。」
そんな事を言いながらリリカが真っ直ぐに私の顔を見つめ、姉さんが真っ直ぐに私の胸を見つめる。
あぁ、リリカ。それはたぶん姉さんの前ではもう少し穏やかな言い方をするべきだったんだと思う。
少なくとも、おっきいってのは言っちゃいけなかったんだと思うんだ。
リリカが恥ずかしそうに顔を赤らめる一方で、
姉さんはショックを受けた様に、リリカの横でしょんぼりとした顔を浮かべていた。

「うわぁ、おもたい。」
私の胸の下に震える手を差し込んで上へと持ち上げて、
そんな事を恥ずかしそうに呟きながら視線だけを私から外すリリカと違い、
姉さんは自分自身の胸の下……いや、胸とお腹の間……?境目ってどこだ。
良く分からないその境界あたりを弄りながら、悲しそうな顔が余計に悲しそうな顔になってく。
何かフォローを入れないと……いれないとそろそろ姉さんが危ない。だからか、
「どうしたらこんなに大きくなるんだろ。」
そんなリリカの何気ない一言に私は
「姉さんやリリカへの愛情が詰まってるから大きいのよ!」
なんとかしようと取り繕う様に言ったのだけどすぐに失敗したと気付いた。
だって、そんな理由で大きくなるのなら姉さんは今頃もっともっと大きいのだから。

「わ、私だってメルランやリリカへの愛情はいっぱいだよ?」
おろおろしながら姉さんが私を見つめる。
「私のは詰まってるんだよ。姉さんのはほら、詰め込む以上にいつも私達に愛情振りまいてくれるからだって!」
やばいと思って返した考えもない一言だったけど、
何故か姉はそれで納得してしまったから良い事にした。
胸の有無よりも、理想の姉らしい姿で居られる事の方が姉さんにとっては嬉しいのかもしれない。
……それはそれでちょっと悲しいかもしれない。
私がいつも姉さんやリリカに何もしてないみたいじゃないか。
あぁでも現実では、そうなのか。私はいつもただ迷惑ばっかりかけてるから。
「にしても、大きいねこれ。」
だからリリカ、今はちょっとだけその形容詞はやめなさい。

「姉さんのも揉んで良い?」
リリカがふと姉さんの方を見ながらそう言った。
「わ、私のを?」
不意打ちだったんだろう。姉さんがたじろぐ。
「だ、駄目だったらいいんだ。」
「え、あ。いや、駄目じゃないよ!」
すっと引き抜かれたメルランの手が今度は姉さんの方へと伸びる。
姉さんの顔がどんどん赤くなる。リリカの帽子みたいだ。
いいなぁ、あの頬ちょっと引っ張ってみたい。姉さんの頬柔らかいんだよなぁ。
おんぶされた時くらいしか触れる機会がないんだもんなぁ。
「姉さんのは、柔らかいんだね。」
ふとリリカが呟く。……のは、って言うからには私のよりも柔らかいの?
「そうなの?」
「うん。……ふにふにしてる。」
姉さんがちょっとだけその言葉に嬉しそうな顔をした。
なんでかな。ちょっと悔しい気もする。
「あ、ちょっと姉さん?!」
気が付けば私の手はリリカのそれに伸びていた。
……私より柔らかい。そうか。弾力の差か。安心した。
にしても私よりも揉み心地良いじゃないこれ。ぴったり手に収まるし。



「そういえばお姉ちゃん体調は大丈夫なの?」
「うん?……あぁ、しばらく無茶しちゃ駄目って言われているんだ。」
一応それは私も言われている。ただ、私の場合は元々薬を盛られていたらしい事と、
永遠亭でずっと休ませてもらっていた事があってほとんど回復しているのだ。
一方の姉さんと言えば、点滴をずっと受けてたのは見たけれども説明では出てしまった血が多いらしく、
完全に回復するには少し時間がかかるというお話だった。
「大丈夫だよ。今日の主役はリリカとメルランじゃないか。」
「それに姉さんなら、体調悪くてもこの機会捨てるとは思えないしね。」
少しばかり胸を張って言う姉さんに小さい声でそう呟いてみれば、
リリカも納得したのか口の端を持ち上げて笑った。

リリカが姉さんの胸から手を離した時には、
姉さんの胸は少しだけ膨らんでいた。……正確には執拗に揉まれて腫れていたとも言う。
「おー、揉むと大きくなるって噂は本当だったのか。」
「そ、そうなのか?自分じゃちょっと良く分かんない。」
リリカが姉さんにそんな事を言っているが、どうやら姉さんは赤くなっているのに、
それが腫れだと気づいていない。というかむしろ嬉しそうだ。
「あ、あのね姉さん。」
今度はリリカが私に向き直って呟く。
「うん?」
「姉さん達はキスってもうしたの?」
「……どうなの?姉さん。」
「ごめん、させてもらった。」
やっぱり、私の初めて奪われていたか。
あぁでも私も姉さんの初めてを奪ってるのかな?
うーん、こういう時にあんまり記憶があまりないってのはちょっと悲しいな。
ぼんやりとしか思いだせない。

「リリカ、私としてみる?」
ひょっとして流れで姉さんとリリカが先にキスしちゃうんじゃないかと思って、
そんな話題が出る前にとリリカの肩を両手でつかんでそう尋ねてみる。
姉さんが出遅れたと言わんばかりの表情を見せたけど、少ししてその表情を引っ込めた。
……一応譲ってくれるという事だろうか。
「え、あの、その。」
戸惑いの声を漏らすリリカにチャンスとばかりに手の力を入れ、
遠かった体をぐっと引き寄せる。顔が近いと恥ずかしいのか逸らそうとした視線を引きもどす為に
肩に置いていた手を顎へと伸ばしそっとこちらへと合わせ真っ直ぐに見つめれば、
少しして観念したようにリリカも私に視線を合わせた。
「私も目閉じるから、リリカも閉じてくれる?」
返事は無かったけれど、戸惑いながらもゆっくりと下りていく瞼を見て私も目を閉じた。

支えていた顎の位置から唇の位置を思いだしてそっと口づけする。
緊張させすぎてしまったか僅かに唇が震えていた。
寝付けなかった私を寝かせてくれたかつての姉さんのように、
両手で体を抱きしめてゆっくりと背中を撫でる。
「肩の力を抜いて、息も我慢しなくていいから楽にして。」
既に裸であるからか、私の手は少しばかりくすぐったそうだったけれど、
しばらくしてその震えはゆっくりと収まって行き、
ルール違反と分かっていながらも少しだけ目を開けてみれば、
しっかりと目を閉じたままのリリカではあったけれど、眉尻がすっかりと下がって
どうやら落ちついたらしいという事は伝わって来たのだった。
……加えて言えば視界の隅に居た姉さんが、
顔を真っ赤にして手で顔を覆いながら指の隙間から私達を見ていたのも分かった。
姉さんだって私の唇を奪ったんだからそんなに恥ずかしがる事無いのに。

初めて味わう妹の唇を楽しませてもらった後、
私はゆっくりと唇を離すとリリカを自由にしたのだった。
「頭くらくらする。」
どうやらリリカにとってのキスの感想はそれらしい。
姉さんのように顔を両手で覆ってベッドの上を見ながら長い息を吐いている。
「姉さん。」
ふと、姉さんの方に視線を移してそう呼びかけてみれば
私の声に気づいていないのか、ぼーっと私とリリカの間の何も無い所を眺めつつ固まっていた。
「姉さん?」
「ん、あぁ、うん?」
「大丈夫?」
私の声にやっと気づいて顔をおおっていた手を下ろした姉だったが、妙に顔が赤い。
「うん……ただちょっとその。羨ましくて。」
「姉さんもしたい事あるなら、しよう?無茶は駄目だけど。」
「う、うぅん。じゃあ何かあったら言うね。」
「うん。」

ぼーっとしていたリリカが落ちついたのはあれから少しして。
一度大きなため息を吐きだすと、手を下ろしてすっくと背を伸ばした。
「んー。何だかドキドキした。」
「そう。じゃあそろそろ私のお願いも聞いてもらって良いかな。」
「うん。良いよ!できる事なら。」
妹ながら、……いや、大事な姉妹だからか、はにかんでそう答えるリリカが
こうも愛らしく見えるのは、ある意味では姉さんのお陰なんだなぁ。
私はリリカがそういう視線で見てくれていた事すら気づいてなかったんだもの。
「私の願いはね。」
だから、
「貴女に抱きしめられたいの。」
それこそが一番の願いだったりしたのだ。
かつての日のように、あの頃のように。あの時のように。
私が抱きしめるんじゃない。
この子に抱きしめられたいのだ。

「そんな事で良いの?」
そんな事と言われてしまった。
確かにそんな事、という言い方でも良いものだと思うけど、
私にとっては重要なんだ。
「駄目かな。」
「ううん。させて。」
ずいと近づいてきたリリカに少し手を広げてみれば、私の胸に飛び込んだ。
ぎゅっとされる背中。押しつけられる顔。……うん、こんな感じ。
「リリカは私の事好きで居てくれる?」
「姉さんが私を拒絶しても、私は姉さんの事を好きでいたい。ずっと。」
……そっか。……ごめんね。

少しして肩のあたりに温もりを感じて目を開けてみれば、
リリカの上から更に包むように姉さんの腕が伸びていた。
「私だって好きなんだから仲間はずれは嫌だよ。」
大丈夫。姉さんのそれはもう今朝の一件で分かっているもの。
「……あったかいね。」
ふと呟くリリカ。そう。あったかいの。
姉さんやリリカがいつも傍に居てくれるから。



少しして急にリリカが私の体から飛びのいた。
とばっちりを食らったのは姉さんだ。どうやら手が顔に当たったらしく、
頬をさすりながら何事かとリリカを見ていた。
リリカは顔を真っ赤にして、近くに合った布団を引き寄せて体を包む。
「どうかした?」
「え、ああいや。その。」
「……大きくなったのか。」
姉さんが視線を下ろしながら呟く。
その言葉に私もリリカの顔から視線を下ろせば、布団の一部が少しだけ一部ふくらんでいて
慌ててリリカがそこを両手で押さえた。
……結構刺激が強かったのか、自分の手なのにぴくりと体を震わせている。
「その。気持ちいいなーなんて思ってたらなんだかおっきく……。」
そういえば男の人のあれはそういう気分になると大きくなるんだっけ。
リリカが嫌がりそうだから裸でもまじまじ見なかったし、
最初の大きさなんてちょっと覚えてないのだけど。

「うーん。メルランのよりやっぱりちょっと小さいかな。」
「やっぱり?」
分析するように発した姉さんの言葉にそう返してみれば、
姉さんがこちらの胸をちらりと見て、またリリカの方を見た。
……いや、その大きさとそこの大きさは関係ある物とは思えないんだけど。
「メ、メルラン姉さんのは大きかったの?」
「うん。あと2回りくらい……は言い過ぎかもしれないけどその位。」
「え、ちょっと……それ大きすぎない?」
「う、うーん。普通の大きさを知らないから分かんないけど、おっきいよメルランのは。」
リリカの視線がちらりと私の胸を眺める。いや、だからそこは関係無いはず。
「とりあえずな、リリカ。おっきくなっちゃうのは仕方ない事でもあるんだから、今は恥ずかしがらなくて良いよ。」
「そうかなぁ。」
「そうだよ。ねぇ、メルラン?」
「え、あぁ。うん。」
姉さんは一度しっかり私のそれで体験しているから冷静なんだろうな。
……私に生えてたのどれだけ大きかったんだろう。
今となっては全然分からない。あの薬がまだあるなら飲んでみれば分かった事なのかもしれないけど。
おそるおそる布団を引き上げていた手を離したリリカ。
それをするすると回収してしまった姉さんにはどこか脱帽しつつ、
少し悪いとは思いながらも私は視線を下げると、改めてリリカに生えているらしいそれを見据えた。

私だって一応の知識はある。
どうすれば子供が出来るかというのも知ってる。知っているつもりでいる。
その過程でどういう事をするかも、姉さんとの一件でしたことだし知っている。
けど、なんというかその。……あれ、入るの?
結構大きいよ?これ。
「うん。やっぱりメルランの方が一回りくらいは大きいね。」
うそでしょ……。十分大きいよこれ。
ちょっとくらりとくる。最初にこの子に私の初めてを受け取ってとは言ったものの、
何だか圧倒的な物を見せられてしまったような、そんな気分。
姉さん落ちつき過ぎよ。
「メルラン。先だって色々あった身だから言っておくよ。」
「は、はい。」
「慣らさないと、痛いよ。……あと、気楽に構えたほうがいいよ。慣らしてない私にだって入ったんだもん。
ちゃんと慣らしさえすれば、大丈夫だから。リリカを信じてあげて。……で、リリカ。貴女はメルランに合わせて。
たとえ気持ち良くても、先走らないように。それだけ心がけてれば、大丈夫だから。」
「う、うん。」

「そうか、慣らすのならあの薬まだ一回分余ってるから作ってくるよ。」
「作る?」
「うん。慣らすのには丁度良い薬があるから。……作ったら持ってくるからさ、それまで二人でゆっくりしててよ。
あぁいや、私に構わず色々してても良いんだけど、まだ入れちゃだめだよ?」
そんな事を言って急に立ち上がった姉さんが、机の引き出しから恐らく永遠亭の薬師に貰ったらしい薬の袋を取り出して
そのまま部屋を出て台所の方へと走って行った。……服くらい何か羽織っていけばいいのに。
「……薬ってあのお皿に入ってた奴かなー。」
少ししてリリカがそうぼそりと呟く。
私は起きてすぐ姉さんを見たからか、あんまり他に何があったとか気にしてないんだよなぁ。
……あぁでも胸とかに変な感触残ってたのはひょっとしたらその薬なんだろうか。

姉さんがかえってきたのは、それからしばらくしてだった。
一人仲間はずれになるのが嫌なのか、出来てすぐ持って来たらしく、
少し息が乱れていた。
「おかえり。」
「た、ただいま。……あれ、何もしてないのか。」
「ゆっくり待ってた。」
結局お互いに不安だらけで、姉さんを待とうという事になっていたのだ。
「そうか。」
姉さんが持っていたのはお風呂場の洗面器だった。
よいしょ、という声と共に床に置かれたそれには
無色透明の水が入っている。
「これは?」
「媚薬。」
……そんな即答されても。普通の水にしか見えない。

「メルラン。」
「うん。」
「仰向けになっておくれ。」
ぐるぐるとかき混ぜる姉の手。……どうやら結構ぬるりとした感じだ。
言われるがままに足を伸ばして背中をベッドに預ければ、
姉さんがリリカを呼んでリリカの手を洗面器の中に引き込んだ。
「うわ……あったかい。」
「これをね、メルランの体の上に薄くでいいからゆっくりと伸ばして行って。」
なんだか慣れた手つきのように見える姉とは違って、
リリカはどこか珍しいものを触るような感じで洗面器の中の液体で遊んでいる。
「んじゃあ姉さんかけるよー?」
……なんだか怪しい実験の実験台にされているような気分だ。

とろりとお腹の上に垂らされたそれは、確かにリリカの言っていた様にあったかいものだった。
化粧品にあれば嬉しい程よく肌に伸びて、あんまりべたべたする物でもない。
「……ちょっとかけすぎたかな。」
結構重いのか、私の体から垂れてベッドに落ちそうになるのを
なんとかリリカが掬いあげて塗り広げてくれる。その度にぐりぐりとわき腹を触れられるのだけど、
くすぐったくて仕方が無い。あまり得意ではないのだ。
勿論くすぐるつもりでやってるんじゃなくて、それなりに真剣なのは分かっているんだけど。
どうにもそこは何度も何度も触れられる分には弱い。
「もうちょっと塗る所広げない?」
私の提案にリリカが躊躇いがちに頷いて、お腹の上で余らせていた残りの分を両手に抱え込むと
ぐっと私の胸を持ち上げた。さっき触れられた時に思った事でもあるが、
姉さんやリリカに触られるのも案外、悪くない。
甘えてくれているような、そんな気分を得られるからなんだろう。
「リリカ。」
「うん?」
「好きよ。」
「う、うん。」
こういう事が素直に言えるようになったのも大きい。
ひょっとしてこれは夢なんだろうかって思うくらい。
あぁでも、そんな事を疑いたくは無い。リリカの手の優しさやこのあったかさは本物のはずだ。
「わ、わた……」
「姉さんも好きよ。」
赤い顔する姉さんだって本物のはずだ。

「これ、気持ちいいの?」
胸に塗り広げ、少し楽しげに揉みながらリリカが私に尋ねる。
「気持ちが良いって言ったらリリカはどうしてくれる?」
「う、うーん。喜ぶ?」
「そう。」
好きな相手に弄られて、気持ち良くなれない程の不感症では無い。
ただ、気持ちよさ以上に楽しそうな顔のリリカをこんなに間近でずっと見ていられる心地よさの方が
私の中では今はまだ勝ってるかもしれない。
「姉さんは私には塗ってくれないの?」
「う、うーん。何だか入るのが悪い気もしてくるんだ。」
「家族なのに?」
「だって……その。私は昨日あれだけやっちゃったし、リリカのお仕事奪うのも何かなーって。」
夢の中の姉さんはとっても積極的だったのになぁ。
今日はどうしちゃったんだろう。
「姉さんにも私はしてほしいな。」
「そ、そうか?」
「うん。」
「そうだよー。姉さんもしようよー。」
……何でだろう。ああ言う事を返してくる割には、
一番幸せそうに見えるのは案外姉さんかもしれない。



リリカに胸を、姉さんに太股を触れられながら、依然としてベッドに転がったままの私。
甘えっ放しは駄目だと分かっていても、甘え続けて居たい程に気分が良い。
それに増して何だかお腹の辺りが妙にあったかい。
表面はぴりぴりして、内側はじんじんして。
伝わってきた波がより大きくなって体の中に響いているようなそんな感覚。
「そういや媚薬だったのよね、これ。」
「そうだよー。……私もなんだか手がおかしくなってきた。」
「私もだねぇ。どこにでも効くって言ってたけど、本当にどこにでも効くんだろうね。」
今お腹って事はもうすぐ胸にも効いて、更に少ししたら足にも来るんだろうなぁ。
ちょっとだけワクワクする。……これは素直に気持ちいいかもしれない。
「これは後でリリカや姉さんにもしてあげたいかも。」
「……そう言ってくれると嬉しいなって思って、いっぱい作ってきたからまだあるんだ。」
だから洗面器なのか。ふと視線を洗面器へと向ければ
なるほど確かにまだ半分以上残っている。あぁでも、その頃にはもう冷めてそうだなぁ。
頑張ってあっためてあげないと。いやむしろ口実が出来るのか。うん。

ぞくり、とする感覚が体に走るようになったのは、姉さんが私の太股全体にその薬を行きわたらせた頃だ。
お腹とかは別段そこまで気にする程の物では無かったけれど、胸の方はと言えば皮膚のすぐ下の神経を直接撫でられているような感じだ。
「効いてきた?」
嬉しそうな顔でリリカが呟く。その言葉に姉さんまでもが私の顔を覗き込んで、笑う。
何故か見られてるのが急に恥ずかしくなってきた。
正確には視線を合わせる事が、なのかもしれない。
私、どんな顔してるの?どんな顔させられてるの?

恥ずかしさにぎゅっと眼を閉じてみるけれど、
閉じれば閉じる程、姉の手や妹の手を感じてしまう。
視界からの情報が消えて、恥ずかしさは減っても今度は手つきの生々しさがはっきりと分かってしまう。
「今の姉さんを凄くぎゅっとしたい。」
「あぁうん。なんとなくわかる。」
そんな事言ったら私だって、二人に今両側から挟まれたい。ぎゅーっとされたい。



不安な時のそれと同じくらいに息が詰まる。
体の中にどんどんと響く姉さんとリリカの手の感触。
その内のリリカの手の動きがふと止んだのは、私が自分の口を手で抑えるようになってからだ。
「ね、姉さん。」
「うん?」
依然として姉さんの手から受ける刺激に私は口を抑えたまま堪えていたが、
耐えきれないと言ったような妹の声とそれに返す姉の声が伝わってくる。
「あ、あのね。私も私でその、姉さんの姿見てるともう我慢できない……。」
薄ら眼をあけてみれば、リリカが足の間へと手を伸ばしてぎゅーっと押さえている。
「うーん。それもそうか。」
そんなに我慢できないものなんだろうか。
……夢の中の自分も我慢しなかったような気はするけども。
なんだかちょっとだけ不憫に見えてくる。
「よしメルラン、その、なんだ。胸で挟むというのはどうだろうか。……まだこっちは具合整ってないし。」
姉さんが敏感な部分を指の腹で軽く撫でてそう呟く。
結構キてる方だと思うんだけど、これでもまだ足りないというのだろうか。
どの辺りまできたら、具合がいいって言うんだろう。ちょっと疑問だ。
にしても、挟むって。
「あれを?」
「そういう方法もあるって聞いただけさ。……そればかりは私には絶対無理だしね。」
姉さんが物憂げに自分の胸を寄せてみようとしながら呟く。
「わ、私まだ触れてすらいないんだけど、リリカ触っても大丈夫?」
「う、うん。姉さんが良いなら、良いよ。」
そう返してくれはするが、やっぱり恥ずかしいのか手はどけようとしなかった。
片手を伸ばせばそっと掴んで導いてはくれたけれど、
ぬめった手は震えていてどこか、辛そうでもあった。

ぺとり、と手のひらに触れる感触。
うん。結構大きいと思うんだけどな。これ。……思ったよりちょっと柔らかい気がしたけど、
そっと掴んでみたら実はそうでもなかった。柔らかいのは表面の少しだけだ。
そしてぴくぴくしている。これ自身に流れる血のせいもあるだろうし、刺激があって反応しているのもあるんだろう。
「大丈夫?」
とりあえずそう尋ねてみれば、リリカはただ首だけを縦に振った。
その向こうで羨ましそうにこちらを覗きこむ姉さん。……したいならしたいことをすればいいのに。
「リリカ、私のお腹の上に座って。」
「重くない?」
「大丈夫よ。貴方も姉さんも軽いじゃない。」
私の言葉にそっと胸を隠す姉さん。違う。そう言う意味じゃない。

よいしょ、というひと声と共に私のお腹の上に腰を下ろしたリリカ。
私に気づかっているのか、膝で体重を支えているようで重さなんてほとんど感じない。
「ペタンってして大丈夫よ?」
「でも食後だから。」
まぁそれもそうか。私も耐えきれなくなって姉さんのベッドを汚すなんて真似は出来るならしたくない。
私は未だにリリカの足の付け根のそれへと這わせていた手にもう片方の手を重ねて、両手にそっと握った。
「ん……。」
緊張と恥ずかしさでちょっと硬い表情になっていた頬が緩む。
触れられる事が嬉しい事のように手の中で跳ねるそれを撫でながら
可愛い顔をこちらに見せてくれるリリカに私は尋ねた。
「どうして貰えたら嬉しいのかな。」
「わ、私は姉さんの好きなようにされてみたいかな。」
「私の好きなように?」
「積極的な姉さんを感じたいから、その……駄目かな。」
この子なりに勇気を振り絞っているんだという事は、頬を見れば明らかだった。
薬缶を押しつけただけで白湯くらいは作れてしまいそうな、そんな赤さ。
「痛かったら、ちゃんと言ってよ?」
「うん……。」



この子の弱点が果たしてどこにあるのか。それはまだこの子にしか分かり得ない事。
姉さんはどうやってこれを気持良くさせていたんだっけ。
……姉さん、ずっと静かにこちらを覗きこんだまま、さっきからねっとりと私の股の間に手を這わせている。
かなりこちらの様子が気になっているのか、時折手がゆっくりした動きになったり止まったり。
早くなったかと思えばまたゆっくりしたり。姉の手はまるで私が手を這わせたリリカのそれへの動きに釣られるように動いていた。
「姉さん……。」
リリカの切なげな声だけが部屋の中を響く。
足の力が緩むのか、時折ぐっと体重が私にかかるけど、気遣いなのかリリカは頑張って踏ん張っていた。
上へ下へと撫でさすれば、ぬめりとした感触が手のひらへと広がりながら段々と滑りを良くしてくれて、
どんどん肌が密着していつか溶けるんじゃないかと思う程で。
「リリカ、可愛いのね。」
耐えようとしているのか、素直に気持ち良くなりたいのか。
その狭間を行ったり来たりしている表情を見てるとついついそう呟きたくなった。

結局リリカは踏ん張る事をやめて私に体重を預けた。
リリカに見下ろされる格好の私だけど、その申し訳なさそうな表情と甘えるような表情の混じった顔は
私の心を惹きつけるには十分な程で、かえって私の方が正視できなくなった。
「こっちの準備大体整ったけど、そっちはどうかな。」
ふと姉の手が止んで、ひょっこりとリリカの背中から姉さんが覗きこむ。
「あぁ、うん。リリカが可愛いって所……かな。」
「そうか。」
笑う姉さんがリリカの体を後ろから抱きしめ、リリカの肩に顔を載せてじっと私の顔を見つめながら、
「私も混ぜて欲しいな。」
少しだけむくれた作り顔で姉さんはそう言った。
「あ、うん……。その、ごめんね。」
「夢中なのは分かってても、やっぱり後ろから見てるとその……羨ましいんだ。」
私の言葉にそう返した姉さんに、リリカはくるりと顔を横へと向けると、姉さんの頬に口づけしていた。
リリカの頬の熱が伝染したみたいに、姉さんもすぐ真っ赤になっていた。

姉さんは混ぜてとは言いながらも、やっていた事と言えばずっとずっと、リリカの胸を弄る事だけだった。
揉んだり、先っぽを指で撫でてみたり。相当御執心のようで、リリカと違ってこっちは悔しそうな嬉しそうな、そんな顔だ。
対するリリカは二人の姉から弄られてか、姉の体へと背をもたれただ真っ直ぐに私達の手を受け入れていて、
時折膝で私の脇をきゅっと挟んでは詰まったような声を洩らしていた。
「ねえ、メルラン。さっき言ったように胸で挟んで見せてほしいんだけど。」
さっき聞いていたとはいえ不意な要求に握っていたそれから姉さんの方へと視線を持ち上げてみれば、
わくわくしているような姉さんの顔の横で、どこかもじもじとする妹の顔が映る。
「してみよっか。」
どちらに対して言った、なんてつもりはなかったのだけど、
二人とも私の言葉に小さく頷くとゆっくりと私の体の上に座りなおした。

手を離してみれば、ねっとりとした感触が糸を引いて私の肌から離れていく。
私の手にあったそれは私の胸の間へと落ちて、衝撃にぴたんとリリカの体ごと一度跳ねると少し大人しくなった。
二人がどこかわくわくした表情を隠せないまま私を見下ろして、私は二人の顔からリリカのおへそ辺りに視線を落とすと
両手を使ってぎゅっと、それを挟んだ。空気に触れ続けて少し冷えはじめた胸にとってそれは熱くて、
妙にじっとりとして。私は一度深呼吸をすると、それを挟んだままにゆっくりと胸を上下へと動かしていった。
「ふ……うぁ……!」
リリカが頬に手を当てて妙に嬉しそうな声をあげる。
姉さんの方も、僅かに口をあけたまま凄く恥ずかしそうに私のそれを覗きこんでいる。
「ど、どうなの?」
堪らず私が聞いてみれば、うっとりとした表情のリリカがゆっくりと答えた。
「にゅるにゅるで、もっちり。あったかくて、姉さんの表情見てると、凄くどきどきする……。」
余計に恥ずかしくなって、聞いたのを私はちょっとだけ後悔した。

「良いなぁ。」
そう呟いたのは姉さんだ。最初は真剣に覗きこんでいたけれど、今ではリリカの背中に隠れるようにして覗きこんでいた。
どうやら見ていて相当恥ずかしい様だ。でも一番恥ずかしいのは今ここに居る私なんだと思うんだけど。
というかそもそも提案したの姉さんじゃないか。
「これだけ気持ちよさそうなら、私もメルランにしてあげたかったのに。」
ぼそぼそと姉さんが悔しそうに呟く。
寝てたら私気持ち良かったとしても私覚えてないじゃないっていう。
……今気づいたけど、もしまたこういう機会があったとしても、私誰からもこれはしてもらえないのかな。
う、うぅん。興味あるんだけどな。リリカ気持ちよさそうにしてくれるんだもの。

「な、何か出ちゃいそう。」
しばらくは私の胸の中で楽しんでいたリリカが、少しして私の眼を見つめながらそう言った。
未だに姉さんにずっと胸を弄られ続けている事もあってか、私が手を止めてもリリカは体をよじっていて、
姉さんはただ一言、
「心配ないさ。一度出しちゃえばいい。」
そうリリカの耳元で呟くと、私に再開するように催促しながらリリカの耳を唇の先で咥えたのだった。
リリカ自身それにはかなり驚いたようで、びくっと眼を見開いてぎゅっと自分の肩を抱いて。
下から見上げる事の出来るその光景に私は羨ましさを感じながら、ゆっくりと手の動きを元に戻していった。

出ちゃうかもと宣言してしまったがばかりにか、私や姉さんはあれからずっとリリカの顔を見ていた。
正直なのは凄く良い事だとは思う。けれど、そんな事を言ってしまう割にはそれがどれだけ恥ずかしい事だったのかというのは、
顔を見ればたぶん誰にだってわかってしまっただろう。これはもう白湯どころかお湯が湧かせそうな程だ。
そんな表情は見ていて確かに気分はどこかゾクゾクとするけれど、非日常なはずなのにまるでいつもの家族を見ているようでもあって、
何だか気分は穏やかになってくる。やっぱり妹というのはどこまで行っても可愛いものなのかもしれない。
同じように顔を赤くしている姉さんもそうだけれど……。
「も……駄目っ。」
潤んでいてぼーっと空中を眺めていた妹の眼がきゅっと急に閉じて。
姉さんへと預けっぱなしだった体がぐっと前へと丸まって。ああ、限界なんだなと理解して
少しばかり力任せに挟んでやれば、少ししてリリカの体が姉さんの体ごと跳ねた。
胸の間から首の根元まで跳ねるリリカの体に合わせて飛び散ってくるもの。
さっきまで体に垂らされていたあの薬よりよっぽど熱くて、そしてねっとりとして。
姉さんと二人でリリカの体から出たそれを眺めながら、リリカのそれが収まるまで
ゆっくりと胸の間を滑らせ、撫でていった。

「……はぁ。」
詰まっていた息をやっと吐き出して、リリカがぺたりと私の脇に両手を置いた。
胸の中のそれは未だにぴくりと動く事があるが、どうやら収まるには収まったらしく
ぼーっとした表情で私の首辺りをリリカが見つめた。
「気持ちいいものだろう?」
姉さんがリリカに尋ねてみるが、まだ余韻の中に居るのか恐ろしく反応が乏しい。
少ししてやっと首を縦に振った位だ。よく見ればいまだに眼の焦点が合っていない。
「大丈夫?」
私も声をかけてみるけど、ほんのちょっと表情が緩んだくらい。
「意識ちゃんと戻ってくるまで、そっとしとこうか。」
「そ、そうだね。」
……気持ち良かったのかな。



「おねーちゃん……。」
あれからリリカの体をベッドに寝かせ二人してリリカの脇に寝転がってその体をつんつんと突いたり撫でていれば、
少ししてどこか行っていたらしいリリカの意識が段々と戻ってきた。
「大丈夫?」
「うん。」
私の問いにはそう返してくれて、お礼とばかりにぎゅーっと抱きついてきてくれた。
私の胸には未だに飛び散ったままのそれがあるけれど、どうやらその辺は気にしていないらしい。
ふと、なんだか重くなったと思えばさらにその向こうから頑張って姉さんが抱きつこうとしていた。
……ちょっとリリカ苦しそう。
「お、こっちはまだ元気か。」
ふと姉さんが放った一言に私とリリカが顔を赤くして私もそっと覗きこめば、
さきほどまでちょっと元気を失っていたそれがまた少しだけ自己主張していた。
「……まだ頑張れそう?」
小声で尋ねてみる。
リリカは私の視線から逃げてしまったけれど、一言
「まだ姉さんにお礼してないもん。」
そう言うと、抱きつく力を強くして顔を隠してしまった。

「どうしようか。」
やる事は分かっていると言えば分かってるのだけど、直に言うのは恥ずかしくてそう言えば、
姉さんが体を起こして足を広げて座ると、私の方へと手招きした。
その手に導かれるがままに姉さんの元まで行ってみれば、ぐっと腰を引き寄せられ、姉さんの前に座らされた。
背中に姉さんが抱きついて、今度はリリカに姉さんが手招きする。
「どういうこと?」
イマイチ要領を得ずにそう尋ねてみれば姉はにやりと笑うと、
私の太股に両脇から手を突っ込んでぐっと持ち上げたのだった。
「こうしたかっただけさ。」
姉さんはそう言うが、……駄目だ、なんて格好させてくれるんだ。
「おー……。」
リリカも変な声出してるし。
「は、恥ずかしいんだけど。」
「うん。だろうと思ってこうした。」
確信犯か!
「おねーちゃん真っ赤になっちゃって、可愛い。」
リリカまで!
「ほらほら、今度はメルランの番だからさ。……あと、落ちついて。慣らしたつもりだけど緊張してるとやっぱり痛いと思うから。」
「う、うぅん。」
「これなら何かあっても対応できるし。」
確かにそれはそうかもしれないけど、それって半分くらい姉さんの都合よね?
そう問いたい程、姉の眼は輝いていた。

リリカが私の体に触れる。もしも姉さん程の胸しかなかったならば、
顔が中性的な男の子といっても差支え無さそうなそんな妹の姿が視界一杯に移る。
「姉さん、本当に良い?」
既にそれはぴったりと私の入り口へとあてがわれていたが、
確認するように再度私にそう尋ねたので、私は首を縦に振ると、ぎゅっとベッドのシーツを掴んだ。
「息を止めたりしないでね。」
姉さんが念を押すかのようにぼそりと耳元で呟く。
そう言えば姉さんを運ばなきゃいけない程にしてしまった原因は、これだったんだよね。
……ちょっと怖い。姉さんもリリカもいるから、何かあっても死……成仏する事は無いだろうけど、
それでもやっぱり安心できるものではない。痛いのだって、本当は好きじゃない。

小さな水っぽい音が響く。先っぽが私の中に入りはじめたのだと感触が教えてくれる。
「い、一気にした方がいいの?」
「う、どうなの姉さん。」
「んー。慣らしたつもりだし、下手にゆっくりやるよりは一度でいいと思うんだ。」
あんまり意識して姉さんの手の動きを感じていたつもりはないんだけど、
昨晩ちゃんと体験してる姉さんが言うのならそれを信じるしか、私にはない。恐らくリリカにもない。
姉さんの言葉にふとリリカの顔を見つめれば、じっと私の眼を見据えて首を縦にゆっくりと振った。
ああ、来るんだな。それを理解して私も首を縦に振って。リリカは私の足をしっかりと掴むと
腰をぐっと押し進めたのだった。

「……確かに、痛いわ。」
裂かれたと言えば良いのか、それとも千切られたと言えば良いのか。
一瞬で与えられた痛みはどっちと言えば良いのか困ったけれど、痛い事にかわりは無かった。
恐らく顔に出てしまったんだろう。リリカの顔がかなり不安そうになった。
お腹の下が、熱い。そして痛い。傷口を指で広げているような気分でもある。
「私の時よりは大丈夫そうだけど。」
ね、姉さん?
「ほら、メルラン息とめちゃ駄目だって。ゆっくりでいいからちゃんと吸って、吐いて。
ああリリカも不安そうな顔しないの。貴女がリードするんだから。自信無くてもそういう顔は見せない!」
……姉さんの時はこれより痛かったのかな。
促されるままに震える息を繰り返す。リリカは姉さんからそう言われたからか、唇をきゅっと結んだけれど
やっぱりまだ不安そうなのが眉尻に見える。私が痛そうにしてるのが悪いんだ……きっと。
「リリカ、動いて大丈夫よ。」
だから私は強がって、そう呟いた。

リリカは、何も答えなかった。
ただ私と姉さんとの間に何度か視線を配らせると、
一度ただこくりと頷いて、ゆっくりと奥まで挿しこんだそれを引き抜き始めた。
……擦れずちゃんと滑るという意味では確かに慣らされていたのかもしれない。
「ほら、また息止めない。」
「う、ごめん。」
……止めたい訳じゃない。確かに息を吐いている時が一番楽なのだけど、
不意に痛みが走るとどうしても止めてしまうんだ。
「姉さん……。」
リリカが泣きそうな眼で姉さんへと訴える。
それは駄目だ。それをさせてしまったら、泣かせてしまったら、駄目だ。
馬鹿な私でもそれくらいは理解できて、眉尻から涙が落ちる前にシーツを掴んでいた手を離すと
私はぎゅっとリリカの体を抱きよせた。
さっきより一段と深く刺さって、悲鳴が漏れそうだったけれどそれは我慢して。
一度深呼吸すると、静かに耳元で言った。
「私はリリカの事信じてる。だから、リリカも私の事を信じて欲しいな。」
それだけを、伝えたかった。

「そういえば、夕食だけど何か食べたい物ある?」
ふと、姉がそう言った。
今は食事とかそういう気分じゃない。
そう言い返してやりたい気持ちもあったけれど、あまり意味のない事をする姉で無い事は知っているから、
少しだけ考えるとその声に返すように言った。
「姉さんの料理なら何でも良いよ。」
いつも返している言葉。私が先にこう返せば、姉さんはリリカに話題を振るだろう。
「リリカは?」
「わ、私も姉さんの料理なら何でも。」
「うーん。もっと具体的に無い?」
姉さんの狙いは、リリカの意識を私の痛みから逸らす事だった。
返して言えば、時間を稼いでいる間に体を落ちつけろという事でもあった。
悟られない範囲で、大きく息を繰り返して。
「じゃ、じゃあお魚……味醂干しとか。」
「味醂干しか……。うんそれなら大丈夫だな。」
「私もそれが良い。」
とりあえずだけど、私もそう言って。
ある程度意識もすっきりするまで深呼吸を繰り返すと、
私の足に手を添え続けていたリリカの手をそっと引っ張った。
「さ、続きをしてよ。リリカ。」
「う、うん。」
立場は確かにリリカがリードしなきゃいけない場面なのかもしれない。
でもそれ以上に頑張らないといけないのは今ここに居る私なんだという事を、
改めて私は理解したのだった。



感覚がマヒしたという言葉も適切かもしれないが、段々と時間を追うごとに痛みは和らいでいった。
少なくとも顔をゆがめたりしてしまう事は無くなって、落ちついてリリカを見つめる事が出来る様になった。
……お陰さまでリリカも安心して笑ってくれるようになったんだけど、この子の中での緊張が切れたのか、
ちょっともう限界が近そうな顔をしているような気もしないではない。
「気持ちいい?」
ふと姉さんが私の体越しに尋ねる。急に言われてどちらに言ったのか分からなかったけれど、
リリカが恥ずかしげに頷いたので私も頷いておいた。……実際嘘では無い。
元より薬のせいもあるし、私だってリリカが楽しそうにしていればそれだけで気分は結構満足だ。
「気持ちいいならもっと好きなように動いていいのよ?」
精一杯の心遣いのつもりで、そうリリカに呟く。
「そ、そんな事すると姉さん気持ち良く出来る前に我慢できなくなっちゃうから……。」
可愛い妹だ。そう思ってすぐ、
「本当そう思うよ。」
姉さんが凄く小声でそう呟いた。
……私は口に出して言っていたんだろうか。

「あーん。」
そんな声と一緒に急に耳に触れる異色な感触。
思わず体が飛び上がりそうになったけれど、姉さんにもリリカにも押しこまれていてほとんど動けなかった。
「ちょ、ちょっと姉さん何を……。」
ひょっとして耳咥えられてるのか。
私の問いに対して姉さんはただ笑い声で答えて、その吐息がふわりと耳へ流れ込む。
そんな所に薬を塗られた覚えは無いけれど、体の中を走るようにゾクゾクとしたものが走って行った。
「んー、やっぱりリリカもメルランも此処弱いのか。」
「ちょ、ちょっと咥えたまま喋らないでぇっ。」
姉さんに耳を咥えられリリカが耳を真っ赤にしていた理由がやっと分かった。
思っていた以上に頭の中がどうにかなってしまいそうで、私はぎゅっと眼を閉じてくすぐったさの混じったそれを耐えた。
くすくすとリリカが笑う声も聞こえた。

「……っふ……うぅ。」
情けない声を漏らしたい訳じゃない。
狙い澄ましたかのように姉さんがリリカの動きに合わせて息を吹きかけてくる。
頭がぐしゃぐしゃになりそうで、必要以上に力がどんどんと私の体から抜けていく。
姉さんに完全に背中を預けていないと今の姿勢すら保てない程で、
力が抜け切ってしまっているからか、リリカの打ちつける感触だけがただ真っ直ぐに頭の中になだれ込んでくる。
「うー、姉さんのそんな顔見てると我慢出来なくなりそう。」
リリカが悶えるように呟いた。
「良いんじゃない。メルランも気持ちよさそうなんだしさ。……何だかそろそろこっちも我慢出来なそうだし。」
勝手な事を言わないでとも思ったけれど、確かにそうかもしれない。
痛みという痛みがほとんど無くなったからか、くすぐったさと気持ちよさ以外に感じるものは何も無くて。
私はリリカの手をぎゅーっと握りこむと、姉さんの息で勝手に震える口でそっと呟いた。
「一緒に、いこっか。」
「……うん。」
あの子がぎゅっと握り返してくれる。
それだけあれば、何だか安心できた。

ただでさえ、姉さんの吐息で頭の中が飛んでしまいそうなのに、
少し乱暴になったリリカの動きはどんどんと芯に響き、
リリカとしてもあんまり我慢出来るもので無いのか、顔がどんどんと力の抜けて
さっき胸でしていた時と同じような顔を私に見せてくれた。
「二人揃って可愛い顔してる。」
そんな事を報告されても困る。したいわけじゃないんだ。
勝手に、なってしまうんだ。
「も、もう駄目……駄目ぇ!」
ふと手を離して飛び込んできた妹の体。
それを胸いっぱいに受けてその体を抱きしめると、ゆっくりとリリカの体が震えた。

ぴったりとくっついた体の奥で、なだらかだけどゆっくりと打ちつける感触。
気が付けば私もリリカを抱きしめたまま体が勝手に震えていた。
一杯一杯注ぎこもうと必死になっているリリカの姿。
飛びそうな視界の中でただそれだけをじっと見つめて。
「良いもんだろう。」
一言そう呟いた姉の声に結局私は一言も返せなかったけれど、
確かにこれなら、良いかなって思った。甘えるようなその姿は、それだけに魅力的だったんだ。



やがて全部を出し終えたとばかりに、私を抱いていたリリカの力が緩々と抜けていく。
「あら、寝ちゃったか。」
背中越しに呟く姉さんの言葉にふと顔を覗きこめば、
何かをやりきったような穏やかな顔のまま私の胸に顔を埋めていた。
「……姉さん、しばらくリリカとここで寝ていて良いかな。」
「うん。それは構わないよ。時間も急かしていないしね。……夕食には起きて貰うけど。」
どうやら私も体力のほとんどを使ってしまっていたのか、背中で支えて居てくれた姉がすっと身を離すと
耐える事も出来ずにそのままベッドの上に落ちた。一瞬リリカの顔が苦しそうになったけれど、どうやら起きては無い様子。
「姉さんは?」
「ん、味醂干しだけじゃいけないだろう?そろそろご飯作るから、それまでゆっくりしててよ。」
「……ごめんね。」
「おあいこさ。でも仲良さそうな二人を見られたって意味なら、私だって嬉しかったからね。」
ふわり、と姉さんにかけられた布団をリリカが冷えないようにしっかりと包ませる。
「よし。じゃ、おやすみ。」
「ん、……うん。おやすみ。」
着替え片手にすたすたと部屋を後にしてしまう姉さん。
その姿が消えるまで見送って、閉じられた部屋、顔をリリカの方へと戻すと
私はぐっと抱きしめてリリカの後を追う様に眼を閉じたのだった。



――


そっと部屋を覗きこむ。すっかり日が落ちて明かりの消えた部屋、未だに二人の寝息は不規則ながらも聞こえてくる。
うぅ、さっき見た時よりもぴったりくっついている気がする。羨ましい。
結局私は洗面器の中にあれだけ作ってきても、参加する事すらままならなかったし。
どうせならもうちょっとちょっかいを出すべきだっただろうか。
……ベッドの横に座り眠っている二人に顔を近づけてみるが、どうやら気づいてすらいないようだ。
「ご飯出来たよぅ……?」
部屋の外に居た時から始まり、さっきから何度か声だけはかけているのだけどどうやら二人ともしっかり夢の中みたい。
幸せそうだから起こすのは忍びないけど、流石にずっとこのままにしておくと
作ったご飯もお味噌汁も、しっかり焼いた味醂干しも冷めてしまう。
「出来たから起きて。」
悪いとは思いつつ、メルランの上にのっかったままのリリカを揺すり、メルランの頬を突いてそう声をかけた。
「ん、姉さん……?おはよう。」
先に気づいたのはリリカだった。それから一歩遅れてメルランが顔をこちらに向けた。
先に起きたリリカに気を取られて口の中に思いっきり指を突っ込んでしまい、
一瞬にして眉間に皺を寄せたメルランがゆっくりと眼を開ける。
「お、おはよう。」
私がそう声をかければ、メルランが口から指を引き抜いて小さく
「普通に起こしてよ。」
そう返してきて。最初はちゃんと起こそうとしたと言いたかったけれど、
寝てたから気づいていないだろうし、ただ一言謝ると新しい衣服を二人に預けて部屋を後にした。



ご飯をよそい、みそ汁を温め直し、既に焼き終えたお魚と一緒にテーブルの上へと並べていく。
今日は、どんな薬も入ってない。強いて言うなら感謝の気持ちくらいしか。
「おーいい匂い。」
着替えを終えて元気に入って来たリリカ。その後ろから、
まだ眠そうな表情でメルランが続く。……思えば今日のメルランは私を運んだりリリカの相手をしたり、
本当は凄い疲れていたのかもしれない。もう少し夕食の時間をずらすべきだったか。
「大丈夫か?」
「うん。ただちょっと眠いだけ。」
「そうか。」
この分だと食べたらまた寝ちゃいそうだし、早めにお風呂の準備もしないといけないだろう。
二人は気づいてないのかもしれないけど、匂いが無いわけでもないし。

「じゃあ食べようか。」
たぶんもう空腹で我慢できないのだろう。リリカが先に発したその声に二人して手を合わせる。
「いただきます。」
関係が少しずつ変わってきても、この時だけは何も変わらない。
その事がちょっとだけ、私には嬉しかった。
不意にルナサを書いてみたくなったので。
不意にメルランが書きたくなったので。
不意に蕎麦が食べたくなったので。
不意に投稿したくなったので。

--2010年6月23日18時追記--
3Pって難しい。新しく別タイトルにして投稿するべきか迷ったけれど、
容量の関係上こちらに内容をくっつける形になりました。
--以上追記--
--2010年12月5日05時追記--
部分的に修正しました。
--以上追記--
あか
コメント




1.名前が無い程度の能力削除
あなたの作品の雰囲気大好きです!
ルナサの日記には笑わされました
三姉妹が可愛すぎる
2.名前が無い程度の能力削除
諸君 私は妹を 妹とのネチョを望んでいる
諸君 夜伽話に常駐する読者諸君
君達は一体 何を望んでいる?

更なるネチョを望むか?
情け容赦のない サバトの様なネチョを望むか?
妄想力の限りを尽くし 三千枚のティッシュを濡らす 甘甘なネチョを望むか?

\虹川!/\3P!/\ルナサは俺の嫁!!/

よろしい  ならば弾幕だ


ごめんなさい。
三姉妹の葛藤やら心情描写が丁寧で、爽やかな読後感でした。
薬盛って夜這いかけてたのに、ふしぎ
先生、続編が読みたいです

あとルナ姉、リリカより無くたっていいじゃない、ステータスだもの
3.名前が無い程度の能力削除
先生、最後のシーンの三姉妹のイチャイチャ3Pが読みたいです……
そしてルナサがリリカの処女を奪えばみんな平等だと思います
最終的にルナ姉はおどおどしながら妊娠可能タイプのふたなり薬をもらいに行けばいい

ところで宴会でルナサに影響を与えるほど赤裸々に姉妹関係を語ったのは誰なんだろ
4.名前が無い程度の能力削除
これは良い!
雰囲気も最高ですし、ネチョの方も最高です!
もっとこの三姉妹のはなしを見てみたくなりました。


>>そういえば寝ている妹達の寝言に合わせて夜通しで相槌を打ってたら、次の日凄いぐったりしていたような気がするなぁ。


このシーンで萌え死にましたwww
5.喉飴削除
きた、久し振りのあかさんだ!
リリカとメルランが意外なキャラクター像で、これは新しい! と思わず呟いてしまいました。
3人という、BAD ENDが多くなりそうな人数で、HAPPY ENDに仕上げるあかさんの素晴らしさに恐れ入った。
まあ、何が言いたいかって言うと、みんな可愛いよ!
6.名前が無い程度の能力削除
あかさんだ‼
貴方の作風はとても秀逸で尊敬します
前の大パルといい、何気ない日常が事細かで素敵でした
7.華彩神護削除
あかさんだ!
初めを読むと少し変に感じたのに読み終えると、あれ?何このすっきり感。
貴方の作品は素晴らしいです。
8.ニバンボシ削除
これは良いネチョだ

ルナだからってマスパ撃つの止めるよ

虹川家よお幸せに~
9.JENO削除
バッドエンド直行だなって思って読んでいたのに何故かグッドエンドになっちまった。

ルナ姉落ち込むな。リリカよりも小さな胸でもお前には二人にまさる優しさが・・・・・・・

あれ?続きはどこかな?
10.名前が無い程度の能力削除
素晴らしいエロさですねw
プリバ三姉妹のネチョがこんなに良いとは。
ご馳走様でした。
11.risye削除
大好きです。これからも応援しています