真・東方夜伽話

てにいれたものはなに?

2010/06/05 23:57:20
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てにいれたものはなに?

arlys

『ほしかったものはなに?』の空目線になっています。
前作と同じように自傷要素を含んでおります。
鬱要素は少なくなってると思うんで、鬱好きのかたはすみません。
空さと要素も含んでるんで、『さとりんは俺の嫁!』もしくは『さとりんはこいしちゃんのもの!』
上の文を読んでいやな予感を感じ取ったのならば、今すぐプラウザバック!

心の広い方はどうか、下からよろしくお願いいたします。




生まれた場所は地獄。
世の中弱肉強食。
力の弱いものは朽ちていく運命。
その中で私が生き残れたのはきっと

「あぁ、また来たの」

優しく首元を撫でてくれるさとり様の優しさのおかげ。
私達、力の弱い動物などが飢えていると食料を与えてくれた。
どこかが痛いと、優しく治療をしてくれた。
私にとっての世界は地霊殿……
ううん、さとり様がいる場所になった。


さとり様には妹がいる。
お名前はこいし。
名前があることがうらやましかった。

「あなたの名前は……
外の世界の空のように変わりやすくて、きれいですから、空にしましょう」

そんな私の心を読んで、名前を与えてくれた。
これは、自慢だけど、最初に名前を与えられたのは私。
お燐よりも、ほかの子よりも一番。
もちろん、私がもらったと知るとみんな欲しがったから、みんな名前がついたんだけどね。

「あなたたちが好きですよ」

さとり様のあまりトーンが変わらないあったかい声がすき。
かすかに浮かべる微笑が大好き。
だから、ずっとずっと一緒にいたい。


「あ~ぁ、さとり様こえ~よ」

同じ地獄烏がもらした。
話では、心を読まれて嬉しいと思えることだったとしてもされてしまうのがこわいみたい。
私にはよくわからなかった。
うれしいことをされたらうれしかったし、いやなことをされたらかなしいだけだったから。
さとり様はいやなことをしてこなかったし、逆の嬉しいことだけいっぱいくれた。

「俺はもうここにはこない」

そういって、少しずつ動物達は減っていった。

「そういうことね」

感情を感じさせないさとり様の声が聞こえた。
涙が流れていないのに、泣いているように見えた。
飛んで、肩にしがみついて、私の羽でその目を覆いたかった。
だけど、私の足や羽はがらくたで動いてくれなかった。


「へえ、お前も残ったんだね」

いくらかたつと、長年同じようにここにいたお燐が話しかけてきた。

「あたいは、燐。
お燐とでも呼んでおくれ」
「ん、わかった。
私は空」
「ふうん、言いにくいからお空でいいかい?」
「う、うん?」

後になって知ったことだったんだけど、空は違う読み方で『くう』になるらしい。
お燐はもう人型になれていたから、色んな事を知っていた。
料理の仕方だって、さとり様に仕事も与えられていた。
『はい、お疲れ様でした』
お燐が優しくさとり様に撫でられていたのがうらやましかった。
仕事は大変だとぼやいてきたけど、それでも続けるのは彼女もさとり様が好きだからなんだろう。
私も役に立ちたくて、お燐に話を聞きながら

「えへへ、なれた」

人型に変化できるようになった。
きっと、これでさとり様にほめられるんだ。


仕事が終わると、すぐに走り出す。

「さとり様、さとり様~!」

さとり様の部屋を空けると、読書をしていた。
ゆっくりと、本からこちらに視線が向けられる。
『仕事終わったよ、できたよ!』

「はい、お疲れ様でした」

なでて欲しいなって思ったら、近づくように手招きされる。
嬉しくなってすぐさま、さとり様の前に座り込む。
細い指が私の髪を撫でるのが大好き。
私はお燐みたいに賢くないから、ただ大好きっていう感情をぶつける。
それ以上のことをどうしたらいいのかわからなかった。
でも、それでも私は

「ありがとう」

さとり様のこの言葉が大好きだった。
部屋から出て行った後も、さとり様の触れた箇所を撫でる。
ずっと残らないのは名残惜しいことだったけど、また明日も頑張ればいいやと思い、鼻歌を歌いながら、リビングへと向かう。
香ばしいお肉の香りにきゅるっとおなかが鳴った。


お燐がさとり様の洋服を睨んでいた。
何があったんだろう?

「どうしたの?」
「これ、どう思う?」

お燐の声はただと惑いが現れていた。
答えがわかっているからこそ、理解できないといったような感じで……
私もその答えを見て、理解した。

「血?」

信じたくなかった。
でも、確かにかすかに残る匂いとかこびりついている感触は確かに血だった。

「どういうこと?」
「そんなの、わかってたら……
あたいがお空に聞くはずないだろ」

お燐が弱々しげに呟いた。
自慢のピンとたった猫耳はしゅんとなっていた。

「話……しにいこう」
「え、ちょ、お空!?」

大丈夫、さとり様だもん。
話したら、きちんとわかってくれるもん。

「そうだね」

歩いている途中で、引っ張られていたお燐が隣に並んでいた。
ふぅっとお互い顔を見合わせて部屋に入っていく。

「あの、さとり様?」

すこしずつさとり様に近づく。

「これ、なんですか?」

洋服を差し出す。
血がついているのに、特に驚きもしない顔。

「なんで、こんな」

右手首の箇所にだけ異常についている血。
馬鹿な私でもさとり様が何をしているかわかった。
やめてください、やめてください。
傷つけないで、きずつけないで。
ねえ、お願いさとり様。

「大丈夫ですよ」

あのときのような感情もなにもないような声。
あの時とは違って、泣きそうな顔ではなく、うっすらと笑みを浮かべながらだった。

「どこがですか!」

お燐が右手首をめくる。
びっしりと切り刻まれた手首。
傷つけなかった場所はもう見当たらないほど右手首がぼろぼろだった。

「こんな、こんなになってまで」

細い手首に付けられた傷が悲しかった。
私の手で握りつぶせそうなほど小さくて弱い。
思わず、ぎゅっと握り締めてしまうと

「ひゃっ」

さとり様の手首から血がにじみ出た。
ばっと反射で手を離す。

「死にはしませんよ。
変わらないものがあれば、それでいいんです」

ねえ、それは私はいらないってことなの?
一生懸命頑張ったんだよ。
人型になって、褒めてもらいたかったの。
だけど、さとり様にとって変わってしまった私はいらないの?

「しばらく、近づくのはやめようか」

お燐の弱弱しい声に私は頷く。



「ねえ、力が欲しい?」

見たこともない誰かがやってきた。

「強くなれば、ほとんどのことができるよ」
「本当に?」
「あぁ、本当さ」

さとり様は前みたいに笑ってくれる?
傷つけることもなくなる?
私を受け入れてくれる?

「ほしい」

それならば、欲しい。
力を与えられたら、ドクリと心臓が跳ねた。

「あはははっ」

そっか、さとり様……
さとり様は変わらないものが欲しいんだよね?
じゃあね、私全てを滅ぼすほど強くなるね。
だって、そこまでしたらもう私はそれ以上変われないでしょ?
それに、全てがここのようになれば変わらないものがいっぱいになるね。

「うふふ、みんなフュージョンさせましょう」

だったら、変わらないものを変われないほど変わってしまったものをさとり様にあげるよ。
なんて、素敵なんだろう。
そうしたら、きっとさとり様は褒めてくれるでしょ?

「うふふ~、楽しみだな♪」

試しに力を振るってみる。
ぼうっと炉が燃える。
中にあるのが変わらないほど消しくずになった。

「待っていてね、さとり様」


いやだ、いやだ、負けたくない!
負けたら、さとり様はどうなるの?
私はさとり様に変わらないものに溢れた世界をあげたいの。
負けたら、負けたら、私はまた変わらないとダメで……
さとり様のそばにいられないじゃない。

「ッたく、もうこんなことすんなよ~」
「ほんとよ」

人間二人が去っていく。
ねえ、教えてよ。
じゃあ、どうすればいいの?

「さとり、さま~」

変わらないものを手に入れられなかった。
変わってしまった私はもう近づけないの?

「会いたいよ~」

でも、会ったらさとり様は傷つけるの?

「話したいよ」

笑顔を見たいよ。
ごめん、お燐、さとり様に会いに行くよ。
痛いけど、身体を引きずりながら、さとり様の部屋に向かう。
廊下が汚くなってしまうけど、後で掃除したらいいや。
あぁ、さとり様、さとり様……

「さとり様!?」

部屋に入った瞬間、むせ返るような血の匂い。
その中心にいるのはさとり様。
なんで、なんで、どうして?
変わる物が怖いっていわれたから、近づかなかったよ。
それなのに、どうして、さとり様は自分自身の手で変わるものを……

「ひゃは、ふふ」

急に笑うさとり様。
意識がもだったのかと思って、駆け寄ってみたけどもうピクリとも動かない。

「ねえ、さとり様」

好きです、好きなんです、あなたのことが……
きっと、さとり様にとっては私の心は変わって醜いもの。
だけど、それでも抑えきれないの。

「愛してるんですよ」

呟くように言って、お燐を探しにいく。
私だけではどうしたらいいのかわからなかったから。


「これで、大丈夫かな?」
「よかったぁ」

お燐が救急箱をしまう。
だけど、お燐の顔を見たら単純には喜べる状況ではないことがわかる。
なんでなんだろ、どうしてなんですか?

「どうすれば、どうすればいいんですかぁ」

おばかな私だからわからないの?
教えて、さとり様……
ぼろっと涙がこぼれ出た。
もともとなかったものが、あふれ出る涙もさとり様にとってはいらないもの?
のぞきこんでいるとゆっくりと目が開かれる。
どこにも向けられない虚空を眺め続ける目。
それでも、私はその瞳がもう一度見られたのが、嬉しかった。

「さとり様、よかった」

ぎゅうっとそれ以上どこかに行ってしまわないように抱きしめる。
お燐も抱きつく。

「どうしたら、やめてくれるんですか?」

お燐が耐えられないように呟く。

「私は変わっていってしまうだろうから、距離をとっても……
さとり様は自分で自分を傷つけ続けるのをやめない。
じゃあ、どうすれば、私は何をすればいいんですか?」

お燐の言葉はまるで自分の言葉のようだった。

「「ねえ、さとり様」」

笑っていて欲しいの。
大好きな大好きなさとり様だから……
食べ物を与えてくださったり、優しく撫でてくれたり、私に名前を与えてくださったときのように、穏やかな微笑を浮かべて欲しいの。

「「愛しております」」

ねえ、お願い、さとり様。
私たちのことをちゃんと見て?

「いやあああっ!?
やだ、やだ、いやだっ」

さとり様は子供のようにぶんぶんと頭を振る。
ガチガチと歯も震わせて……

「なんで、なんでですかぁ」

それが悲しくて涙がまたぼろぼろと出てくる。

「さとり様は、何が欲しいんですか」

それは、私が与えられる?
与えられるんだったら、なんでも私手に入れるよ。
でも、お願いだから自分を傷つけないで……
それ以外だったらなんでも叶えてみせるから。

「うわ、あ、ぁあ」

だけど、さとり様は私達が一番おそろしいもののように震える。
その際にカチャカチャとなる手錠が痛々しい。

「傷が治るまで、安静にしててくださいね。
これ以上は私が無視するのが、無理ですから」

お燐に引きずられる。
うそつき……
神様の力なんて手に入れたって……
本当に欲しいものは何も手にはいらない。


「ねえ、お空。
どうしたらいいんだろ?」
「わかんないよ」

私よりも頭がいいお燐がわからないのに、私にわかるはずがない。
ただただ涙を流すしかない。
私は心を読めるさとり様ではないけど、それでもお燐と私が今同じ気持ちであることくらいわかる。

「どうしたの」

急に声が聞こえた。
さとり様ととても似ているけど、さとり様より少し高い声。

「ねえ、二人とも?]

不思議そうにしながら、私たちの肩に触れる。

「なんで?
おねえ……ちゃん?」

後ろにいるこいし様が息を呑んだことがわかる。

「ねえ、どういうことなの?」

答えたくなかった。
こいし様のためでもなく、その状況を説明したくなかった。
認めているんだけど、それを口に出して説明するのがいやだった。

「気づいてなかったんですか?」

だけど、お燐がゆっくりと首を動かし、こいし様に語りかける。

「え?」
「こいし様は、瞳を閉じて……
欲しいものを手に入れられましたか?」
「なに、急に?」

こいし様がとまどっている。
私もどうしてお燐がそういうことを言うのかわからない。

「さとり様は変わらないものが欲しいって……
それが血なんですよ。
切り裂いて、手首を切り裂いてまで欲しがるものが」
「なに、それ?
うそ、だ」
「見に行ってみてください」

お燐が鍵をこいし様に手渡す。

「ありがと」

こいし様が走っていった。

「あたいは、最低だ」

お燐がぼそりと呟く。

「なんで?」
「一番、最初に気づいていたのはあたいだ。
きっと、あのときが始まりだったんだ。
それなのに、あたいは……
こいし様が悪いんだって言う風にいわないと……
たえられないんだ、認めたくないんだ。
自分のせいだってことを認めたくないんだ」

お燐の言いたいことはよく分からない。

「お燐のせいじゃないよ」

それでも、これだけはわかったから。
必死に頭を動かして、言葉をひねり出す。

「だって、私も何も出来なかった。
みんな、みんな、好きなのに……
わかってたのに、何もしなかった。
だから、だからね、一緒」

誰か一人が悪いなんてことはきっとない。
さとり様だけが悪いわけでもない。
最初に気づいたお燐だけが悪いわけじゃない。
今、初めて気づいたこいし様だけが悪いわけでもない。

「みんな、きっと同じだよ」

みんな同じように悪い。

「どうしようもないほど、無力なんだよ」

助けたいのに助けられなかった。

「お燐、ちょっと来て」
「なんでしょうか、こいし様?」

お燐だけが呼ばれる。
どうしてなんだろう、きっと、さとり様に関係のあることなのに……
ひそひそと二人が話している。
驚くお燐とそれを落ち着かせるこいし様。

「じゃあ、いってくるね」
「かしこまりました」

お燐は不満そうにだけど、送り出す。

「ねえ、何があったの?」
「信じるしかないんだよ」

ぎゅうっと拳を握るお燐。

「う、うん、そうだね」

よくわからないけど、頷いた。


「お空、さとり様の部屋に行こうか」
「わ、わかった!」
「あやまりにいこ。
もう、大丈夫みたい」

どうしてか、わからなかったけどお燐が大丈夫って言うなら大丈夫。
さとり様の部屋の前に着くと耐えられなくて、強引にあける。

「さとりさまぁ!」
「すいませんでした」
「ごめんなさい」
「さとり様をこんなところに閉じ込めてしまって、だけどもうみたくなくて。
本当はあたいがするっていったんですけど……
こいし様がどうしてもって、私のせいだろうからやるって」

大好き、大好き、さとり様。

「さとり様、あなたはどうやったら信じてくれるんですか?」
「さとり様、好き、好き、大好き。
前みたいに笑って?」

ちゅっと頬にキスをする。
少しでも想いが届いて欲しい。
前の微笑が大好きなの。
さとり様のことが大好きだから……

「変わらないものがあればいいって言ってたけど……
さとり様も、私達と同じように変わるじゃない!」

それなら、変わる私だって受け入れてよ!

「わかってても、こわいのよ!」

いつも、物静かなさとり様の絶叫。
その声はかすれてしまってる。

「嫌われるのなんて、日常茶飯事よ!
だけど、好きになったものに離れられるのは怖いのよ……
恐れられるのが、嫌われるのが、どうしようもなくこわいのよ!
あたたかさを知って、捨てられるなら……
ひとりがいいの」

さとり様の目に涙が溜まる。
今まで一度も見たことがないほど弱弱しい姿。

「みんなからひとりになるのは、こわいの」

そんな風に思っていたの?
それだったら、私は

「じゃあ、私ずっとそばにいます!」

言った後に、あ、仕事どうしようなんて思ったから

「え、あ、ずっとは無理ですけど~。
いられる時間はすべています!」

むしろ、いさせて欲しい。
だって、ずっとそうしていたかった。
私はずっと傍にいたかったから。

「わ、私もですよ
さとり様……
あたい達ひとりをみんなにしてくれたのはさとり様ですよ」

お燐がぎゅっと手を握る。
もう片方の手はポッケの中で何かを取り出している。

「そりゃあ、あたいは変に知識つけたりして、さとり様をおそろしいって思いました……
きっと、この先もそのようなことがあると思います。
だけど、さとり様が私を捨てない限り、一緒にいますよ」

カチャリ手錠が外れる音。

「今夜はずっとそばにいますよ」

右手にお燐が抱きついたので、私は左手にしがみつく。

「「おやすみなさい、さとり様」」

どうか、いい夢を見てください。
さとり様は一人なんかじゃないよ。
私、ずっとそばにいるよ。



「失礼します」
「は、はぃ?」

仕事が終わって、さっそくさとり様の部屋にノックをして入る。
困惑顔で目をまん丸とさせているさとり様。
あれ、だめだって言われなかったから来たんだけどな。
ひょっとして、だめだったのかな?
今すぐにでも出て行って欲しいのかな?

「い、いえ、そんなことはありませんよ」

じゃあ、よかった。
でも、何をしようかな?
お話っていわれても、何も思いつかないしな~。

「あの、じゃあ、こっちからきいてもいいですか?」
「なんでも言ってください!」

どんっと胸を叩くと、強すぎてごほごほっと咳が出た。
うぅ、頼れるってことをアピールしたかったのに~……

「うふふ、大丈夫ですか?」

あ、さとり様が笑ってくれたからいいや。
大きく首を縦に振る。

「あの、どうして、空は……
なんで、神の力であんなことを?
わた、私が一番だって……
あんなにも、純粋にずっと思ってくれてたのに」

顔をうつむかせて搾り取るかのような声。

「さとり様に笑って欲しかったんです。
全てを消しくずにしちゃえば……
もう、何も変わらないでしょ?」

いっぱい、変わらないものであふれさせたかったんだ。
強くなってしまえば、私も変わらないものになれるんだって思ったから。
そうしたら、また笑顔になってくれるって……

「じゃ、じゃあ、空は」
「さとり様が好きですから、なんでもしたかったんです」

でも、もうそんなの必要ないってわかったから。
今はさとり様の傍にいるよ。
それが今の私に出来ることだから。

「他に何が出来ますか?」

ぎゅっとあまり傷が残っていない左手を握る。

「そばにいてください。
それだけで……
ううん、それが一番の望みなの」
「よろこんで!」

でも、それ以上のことだって望まれたっていい。
幼い記憶にある想いは確かに今に続いてるから。

「空」
「なんですか、さとり様?」
「なんでもないわ」

きゅっと弱弱しく握られる。

「あったかいです」
「さとり様の手はちょっと冷たくてきもちいいです」

二人でなんだか笑ってしまう。
幸せ。
さとり様とまたこうして笑い合えるのが幸せだ。

「ご飯ですよ~」

お燐が入ってくる。
お燐はにっこりと微笑んで

「仲良しですね。
まあ、とりあえず伝えましたから」

部屋から出て行った。
どうしたんだろ?
お燐も抱きつけばいいのに……

「とりあえず、行きましょうか?」
「うん、さとり様!」

手をはなされてしまう。
さびしかったけど、さとり様は本来みんなのものだから、しょうがない。

「空、私は誰のものでもないから……」

その呟きが寂しく感じられて

「ぇ、ちょ、空?」
「じゃあ、私のものです」

戸惑っているさとり様に遠慮なんかしてやらない。

「だから、もう傷つけちゃだめ。
っていうのは、だめですか?」

怖がらせちゃったかもしれない。
本当、何言っちゃったんだろ。
でも、さとり様が私のものなら素敵なのにな。

「は、はずかしいです」
「あはは、すみません」

嫌悪感は表に出てないから大丈夫だろ。
二人で歩き出す。

「さぁ、今日のご飯はなんでしょうね?」
「なんでしょうかね」
「私はですね~、やっぱりお肉です!
こぅ、ジュウって香ばしく焼けたお肉をがつっと食べるのがたまんないですよ」
「私は、お魚がいいですね。
お肉は食べ過ぎたら、胸焼けが」

思い出したのかむねを撫でるさとり様。
胸焼けなんてしたことないから、わからないや。
さとり様と同じ気持ちを共有したかったな~。

「そんなものは共有しなくていいじゃないですか。
結構、しんどいんですよ」
「は~い」

何かなって楽しみに部屋に入ってみると、香ばしいけれど、お肉ではなくて

「お魚ですよ」

一人一切れずつ魚が用意されていた。
私は自分の席に座る。
私のお皿には脂がよく乗っていて、さとり様のものは背の部分。

「それでは、手を合わせましょう」
「「「いただきま~す!」」」

こいし様は、戻ってきてないみたい。
うぅ、でもお肉がないと物足りないな。

「燐、わざわざ魚をありがとう。
空、明日はお肉で私が作りますよ。
燐、手伝ってくれたら嬉しいんですが」
「はい、もちろんです!」

やった、さとり様のお料理なんていつ振りだろ!
楽しみ、楽しみ♪

「あはは、ありがと……
そんなに楽しみにしたって、まずいかもしれないわよ?」
「大丈夫です!
さとり様の料理ですから」

がぶっと噛み付く。
おいしい、幸せ。
さとり様と一緒に食べられるなんて、嬉しい。
ちらっとさとり様を見ていたら、微笑を浮かべていた。
食べ終わると、お皿洗いをした。
料理は上手じゃないから、こんなことしかできないからね。
そのあとは、お風呂に入ってさとり様の部屋の近くに通ったから、『おやすみなさい』を言うために、ノックをせずに部屋に入ってしまう。

「こわい、こわい、こわい、こわい……
信じて、大丈夫?大丈夫じゃない、大丈夫、大丈夫じゃない?
わかんない、わからない、こわい、こわい、こわい」

真っ暗な部屋の中に不気味にランプの灯がゆらゆらと揺れて、さとり様が泣きそうな声で呟いている。
声のほうを向けると、冬用の布団を頭から被って、震えてる。

「やだやだ、やだ、やめて……
血、血が欲しい?
でも、それも変わっちゃって……
やだ、こわい、ほしい、ほしくない。
あ、ぁあ、ひゃぅ、ぅあっ」

布団が動く。
さとり様が苦しそうにしてる。

「さとり……様」

振りほどかれて、吹き飛ばされてしまうのも覚悟で布団ごと抱きしめる。
怖くなんかないよ。
大丈夫だよ、傷つけないで……

「怖いから……
今日は一緒に寝てください」

さとり様がこわいんだったら、私もこわい。
抱き返されたりはしなかったけれど、振り払われなかった。

「こわくないですか?」

私を傷つけないために振り払えないんだったら、どうしよう。
私がいなくなったあと、ずぅっと震えてしまうかもしれない。

「大丈夫ですから。
空の体温はほっとするんです」

きゅっと手を握られる。
自分の体温がどんなものかわからないけど……
さとり様をほっとさせる温度でよかった。
ふわぁって大きなあくびをしてしまう。

「すいません、寝てください」
「はい、さとり様。
おやすみなさい」
「おやすみなさい、空」

目を瞑る。
さとり様が近くにいる安堵感があったからか、すぐに私は眠れた。



「んんぅ、しゃとりさま?」

体内時計で目を覚ましてみると、さとり様が私にしがみついていた。
どうしよ、嬉しいけどお仕事が……

「空、おは、よ」
「おはようございます!」

ひょっとして、起こしてしまったのかな?
まだ、さとり様は寝てても大丈夫なのに

「大丈夫ですよ。
服着替えにいきなさい」
「はい、わかりました!」

そっと私から離れるさとり様。
はやく着替えて、ご飯を一緒に食べてもらおうと走って出て行こうとしたら

「空、ありがとう」
「さとり様、ありがとう!」

さとり様も幸せだったら、嬉しい。
私も幸せだったから、『ありがとう』って返した。
部屋に戻ると、パジャマから私服に着替える。
朝食はご飯に味噌汁、卵に納豆。
うん、おいしそう♪
さとり様がまだ来てなかった。
さびしかったけど、お仕事があるから食べちゃって、自分の分の食器を洗う。
身支度を適度に整えて、いつもどおり、炉を燃やす。
お燐が来るたびにちょこちょこっと話す。
さとり様が戻って嬉しいのか、お燐は終始笑顔だった。
やっぱり、みんなさとり様が大好きなんだな。
仕事が終わると、部屋に戻る。
さとり様の部屋のドアの張り紙に料理中と書いてあったため、一人で時間を潰す。
早く呼びに来ないかな?
ごろごろとベッドの上をまわる。
あ、たのし~。
ぐるぐるー、ぐりゅぐりゅ~……
あれ、まずい、どっちがうえでしたなんだろ?

「空、ご飯……
って、大丈夫ですか?」
「う、うにゅ」

なんか、さとり様が三人くらいいる?
さとり様が三人か~。
すっごく、幸せだな。

「私は一人ですよ。
お肉、楽しみなんでしょ?」
「は、はい!」

景色が一回転したけど、そのまま立ち上がる。
さとり様の後ろを追いかける。
途中でお肉のおいしそうなにおいがして、思わず顔が緩む。
席に着くと、みんなが座るのを足を揺らしながら待つ。

「それじゃあ、いただきます!」
「「「いただきます」」」

まずは骨がついた大きなお肉にかぶりつく。
じゅうっと肉汁がたれていってしまう。
服汚しちゃうって思って、あわててふくものを探してたら

「はい、空」
「ありがと、さとり様!」

受け取って、拭う。
あ、思えばまだ言ってなかった。

「さとり様、ご飯おいしい!」
「本当に?」
「うん、とってもおいしいよ!」

それを表現できるほど頭が良くないのが残念だけど、すっごくおいしい。

「ありがと、空」
「ううん、ありがと、さとり様!」

おいしい、おいしい、幸せ♪
一口一口味わっていたのに、食べ終わってしまう。
また、今度も食べられたらいいのになって思いながら、お皿を運んで洗う。
洗っていると、さとり様がこそこそっと近づいてくる。
どうしたんだろうと思いながら、近づくと

「あの、空。
今夜も、一緒に……寝てはくれないですか?」
「もちろんです!」

うふふ、じゃあ早く洗い物終わらせて、お風呂入ろう。
くすっと楽しそうに微笑むさとり様の声が聞こえた。
そのあとは、鼻歌を歌いながら、終わらせて、お風呂にまさしく烏の行水って言葉通りに終わらせて、さとり様の部屋に行く。

「お、お待たせしました」
「いいえ、待ってないわよ」

そっと私が入れるように布団を持ち上げてくれる。
ダイブしたいのを我慢して、ゆっくりと入っていく。
私が抱きしめてもいいのかなって戸惑っていると、小さくこくっと頷かれる。
だから、昨日みたいに強引じゃなくて優しく抱きしめる。

「ねえ、空?」
「なんですか、さとり様?」

おそるおそるこわそうにさとり様は顔を見えないように隠しながら

「あなたは、私のことを……
嫌いにならないでいてくれる?」
「はい、約束します!」

大好きなのにな。
離れろと命令をされたら離れられるけど……
嫌いになれと命令をされても、それだけは従えない。

「本当?」
「本当ですよ」

きゅっと服の端っこをもたれる。

「ありがと、おやすみ」
「はい、おやすみなさい」

どうか、いい夢を見てください。



「さとり様~」

仕事が終わってすぐにさとり様の部屋に入る。
未だに目をまん丸とさせて驚くさとり様。
ひどいな、約束なのに……
あのときから、私はずっと来てるのにな。
仕事もなくて、さとり様が許すのならば、私は四六時中だってそばにいたいのに……

「あ、ありがとうございます」

湯気が出てしまいそうなほど真っ赤な顔のさとり様。

「好きです、さとり様!」

椅子に座っているさとり様の後ろから抱きしめる。
細いからだは未だに細いまま。
そっと手首のほうに手を伸ばしていくと

「してませんよ」

さとり様が自分で見せてくれる。
びっしりと刻まれた傷は時間が経っても、完全に治る気配はない。

「あとが残りそうですね」
「そのほうがいいかもしれないですね」

なんで、どうして?
せっかく、こんなにもきれいな白い肌なのに……
治って変わってしまうのが、まだ怖いのさとり様?

「違いますよ、お空」

そうっとおそるおそるさとり様が私の腕をつかむ。
触れられる右腕はがたがたと震えていた。

「残ってないと、不安なんです。
こうやって傷跡を見たら、自分が何をしていたか冷静になれるんです。
でも、なかったらきっと……」
「うにゅ、よかった」
「え?」

さとり様が驚く。
なんでだろ、おかしかったかな?
だって、そうやってきちんと考えて、自分のことを大切にしてくれるのがうれしいんだもん。
大切なさとり様がきちんとさとり様を大切にしてくれてるのがうれしいんだよ。

「あなたは、優しい子ですね」
「何言ってるの?
さとり様のほうが優しいじゃない。
他のところもいっぱい含めてさとり様が大好きです」

さとり様がくるんと椅子を回して、私のほうに向く。
背筋を伸ばして、私の耳元で

「私もですよ」

真っ赤なさとり様の顔。
やっぱり、さとり様は可愛いな。
えへへ、嬉しいな♪
でも、ちゃんと私の考えているとおりであってるのかな?
ばかだから、意味を取り違えているかもしれない。

「だいすき……ですから、きちんと」

困ったように微笑むさとり様。
あ、まずい、キスしたい。
あわわ、どうやって思考消そう!
さとり様、こわがっちゃうかもしれない!
さとり様が椅子からたって、背伸びをして、私の首に腕を回して、瞳を閉じたさとり様がちょっとずつ迫ってきて、唇が合わされた。
血じゃなくて、ふわりと甘いローズのにおい。

「ふぇっ?」

数えられないほど短い時間。
だけれど、確かにさとり様の感触が残ってる。
でも、信じられなくて、指で唇をなぞる。

「ねえ、空……
もう一回、もう一回……囁いて?」

見上げるさとり様の目は潤んでいた。

「よろしいの……ですか?」

きっと、私の心はもっと変わっていってしまう。
ゆるされなら、もっともっとって求めてしまう。

「それでも……空は、私のことを愛してくれるでしょ?」

ちょこんと首をかしげながらたずねられる。
そんなの当たり前だ。
どんなことがあったって、さとり様は好きだし愛してる。

「だから、大丈夫ですよ」

ぎゅうって抱きしめられる強さが強くなる。

「好きですよ」

きっと、震えてしまった声で囁いて、もう一度唇をあわせる。
たっぷり、心の中で十秒数えて離れる。

「息、大丈夫でしたか?」

もっと、違う言葉のほうが良かったかな。

「はい、大丈夫ですよ」

にっこり笑うさとり様。

「もう一度いいですか?」

ずっと、心の中で占領されている疑問だったから、気づいて無視されていたのかもしれない。
それでも、きちんと聞いて、ゆるされるなら

「はい、もちろんですよ」

ゆっくりまるで、世界の時間が私たちだけのものみたいに感じる。
だけど、唇が触れ合い、『コンコン』とノックの音。
さとり様が驚いて、私から離れて

「ご飯、できましたよ」
「燐、ありがとう!
空、行きましょう」

珍しくぐいっと私の手を握って先に行こうとするさとり様。
短い髪から見えてしまっているうなじは真っ赤。

「ねえ、さとり様」
「なんですか、空?」
「私ね、さとり様が幸せならそれでいいや」

それ以外なら何もいらない。

「それじゃだめじゃないですか」
「え、なんで?」

それ以上に必要なことなんてあるのかな?

「こいしや燐、家族……
あなたが幸せになってくれないと、だめです。
私を助けてくれたのは、みんななんですから」
「私……何もしてないよ?」

一緒にいたいから、ただ一緒にいただけ。
お燐みたいにさとり様に愛情のこもった料理なんか作ってもいない。
こいし様みたいに外からとってきたものをお土産にして、持ってきたわけでもない。

「ううん、一番欲しいものをくれたのよ」

何をあげたの、私は……
それだったら、もっとたくさんあげたいな。

「あなたのそういうところよ」

よく、わからない。
だけど、さとり様が笑顔ならそれでいいや。

「お~い、今日のご飯はお空の好きな卵がたっぷりだよ~!」

お燐が呼んでる。
卵だ、卵!

「「「「いただきます」」」」

みんなで手を合わせていただきます。
お燐は笑顔で楽しい話をいつもしてくれて
こいし様は外の少し変わった話をしてくれて
私がそれに驚いて
その様子を見て、時々相槌を打ったりしながらさとり様が微笑んでる
これが、幸せなんじゃないのかな?
食べ終わって、いつもどおりお皿洗いをしようとすると

「じゃあ、私お皿洗いするね♪」

こいし様が隣にたっていた。
だけど、これは私の仕事だからと言おうとしたら

「お姉ちゃんがさっきお空を呼んでたよ。
だから、行って」
「わ、わかりました?」

さっきまで一緒に食べていたのにと思いながらも、わざわざ嘘をつかないだろうと思って、ぺこっと一回お辞儀をして、さとり様の部屋に向かおうと部屋を出て行こうとすると

「お姉ちゃんのこと、よろしく頼むね。
もちろん、私もできることはするけど」

なんで、そんな悲痛な声でそんなことを今言うのかわからなかった。

「わかりました。
おまかせください」

それだけを返事して、さとり様の部屋に向かう。
『コンコン』と軽くノックをすると

「え、あ、だ、だめぇっ!?」

悲痛な叫び声が聞こえた。
ひょっとして、またあのようなことが?
許可をもらわずに、そのまま部屋に入っていく。

「さとり!……様?」

血は広がっていなかった。
だが、それと同じくらい驚いてしまう光景だった。
さとり様が下はきちんとズボンをはいているのに、上だけが下着までもはずしているのだ。

「え、あ、だ、だめって」

足が勝手にさとり様に近づいちゃう。

「う、空、だめだってば~」

ベッドに手をつく。

「き、きれいです」

いつも、傍で寝てはいたけれど、裸を見るのは初めてだったから頭が沸騰してしまいそうだ。
もっと、もっと見たい。
ううん、むしろさわりたい。

「ねえ、これって……
いいってことなんですか?」

わざわざこんな状態で私を呼んだのだからいいんだよね。
わざわざ、私に言わなかったのは恥ずかしかったから?

「え、あの、どういうことですか?」
「こいし様が呼んでるって、伝えてくださって」

さとり様の頬に手を添える。

「ぁ」
「キス……してもいいですか?」

いやだったら、どうか突き飛ばしてください。
返事をされる前に近づいていってしまう。
こわくなって、ぎゅっと目を瞑る。

「えへへ、好きです」

突き飛ばされることはなくて、さとり様は受け入れてくれた。

「ず、ずるいですよ。
そんなに好きっていわれたら、恥ずかしくても……
どんなことがあっても、無理ですよ」
「しょうがないですよ、だって好きなんですもの。
さとり様、一体何をしていたんですか?」

ぴきっと音が鳴ってしまったかのようにさとり様が固まる。
でも、なんであんなことをしてたんだろ?

「な、なんでもないですよ?」
え~、なんでですか?
教えてくださいよ、さとり様」
「う、空には内緒です」
「ひ、ひどいです!
ほかの子にだったら教えてるんですね!
私はさとり様が一番好きなのに、ひどいです」
「ぅ、わ、私もですけど」
「じゃあ、教えてください!」

さとり様が顔を逸らして消え入りそうな顔で

「む、胸のマッサージ」
「へ?」
「だ、だからぁ!
空のおっきいから、私もって……
ちょっとがんばってみてたの」

なんで、そんなことするんだろ?
私、さとり様のお胸普通にすきなのにな。

「だ、だって、幼児体型だから相手にされないかと」
「相手にしていいんですか!」

出来るだけ考えないようにしてたんですよ。
うん、さとり様と一緒にいるのが幸せだったから、それで相殺はできていたけれど、やっぱり動物だしね。
うん、好きな人目の前で我慢は難しい。

「わ、私だけ……
主人として慕ってくれているだろうあなたに勝手に……
私は思いを募らせてしまって」
「違うよ、さとり様」

そっか、さとり様。
私があの程度の力を手に入れたってさとり様を救えなかったように
さとり様の心を読む程度の能力も私の気持ちをちゃんと読めない程度なんだね。

「出会ったときから、私はさとり様をただの主人じゃなくて……
『古明地 さとり』として見てるよ。
変わらずに、さとり様のことが大好きだよ」

それっておかしいことじゃないでしょ。

「でも、さとり様。
キスしたのに、そっちじゃないと思ってたんですか?」
「あ、あの……
動物ってお互いがしてるところよく見てたんで……
空もその感覚なのかなって」

む、それはなんかくやしい。
私の想いをのせているのにそんな風に思われてるなんて……

「いっぱいいっぱい伝えてもいいでしょうか?」

頭の中がそのことでいっぱいになってしまう。
だけど、もう……
さとり様が本当に拒まない限りは止められない。
本当に拒まれたって止められる自信はないけど……
真っ赤な顔のさとり様はぱくぱくと口を動かしてる。

「は、はい」

その返事が聞こえた瞬間に私の手は小さな頂の一つに伸びていた。
すっぽりと片手で収まってしまうサイズ。

「ぅ、小さい……ですもん」

なんでへこんでるんだろ?
このサイズのほうが片手でつかめて、さとり様の胸を全て独占できてるみたいで嬉しいのに……
それにしてもやわらかいな~。
なんか、マシュマロみたい。
おなかのほうは~

「ひゃうっ」

おなかのほうはぷにぷにしてさわり心地がすっごくいい。
おなかのほうに手を伸ばしたら漏れ出た声。
試しにくすぐるように動かしていってみると

「ふぁ、ひゃ、う、つほぉ~。
お、おなか……だめなの」

ぎゅうって声が漏れでないように両手で抑えてる。
目に涙を浮かべて……

「本当に?」

ふわりとさとり様が撫でてくださってたときのように優しく優しく撫でる。
ぷるぷるって震えて、声が出てる。
舌を出してみると、さとり様が身をよじろうとしたからぐっと腰をおさえつけて、逃げれないようにする。
そのときに思わずおしりをさわってしまう。
だ、だめぇって声が聞こえたけど、どうせあとでさわっちゃうのに……
そう思いながらも、今はおなかをなめる。
お風呂のあとだから、汗ではなく少し石鹸みたいな味。
でも、アイスを舐めるように何回も何回もなめ続けてみると、さとり様の味がしてくる。
ばたばたとさとり様が動いてるけど、拒絶の言葉が出てないからいいでしょう?

「や、あぁ、空~」
「どうしたんですか?
こっちも欲しくなっちゃいましたか」

つんっとたっている乳首を軽く指ではじいてみると、かん高いさとり様の声が部屋に響く。
さとり様が自分が心を読めてしまうからと言葉にしなさすぎだ。
ねえ、もっと求めて。
求められないなら、もっともぉっと求めてもらえるようにするから。

「ねえ、さとり様かわいい」

真っ赤な顔もさっきでた甲高い声も可愛い。
待っていてくれていた胸にいっぱいしてあげないとね。
さっきまでは片手だったから、

「今度はきちんと二つの手でするね、さとり様」
「だ、だめぇ」

さとり様、それいやがってないんだよね。
しばらく待ってみたけど、ないなら私の思ったとおりだね。
両手を両胸に置く。
ぴとっと張り付いてるんだけど、つんっとなってるのがなんか少しいやらしいな。

「ち、ちが」

本音を言えない口ならふさいじゃったほうがいいだろう。

「ふっ、んんぅ」

指を動かしていく。
左右にはって、上下に持ち上げておろして、くるくるとかきまわす。
口の中を強引に開けて、舌をいれてみると、指がぐいっと押し込むような動きになったからかがぶっと噛まれた。
さとり様は自分のことでせいいっぱいで時々呼吸のために口を外すときに一生懸命息を吸ってる。

「んむっ」

たえきれずに吸っている途中にまた唇を重ねてしまう。
さとり様が酸素を求めるように私の中に入ってくる。
だけど、私の中に在るのは唾液だけだからそれをあげる。
こくっと小さく飲み込む音。

「はっ、ぁ、どうですか?」
「はっはぁ、はあ」

きいてみるけど、答える余裕はなさそう。
でも、大丈夫だよね。

「ほら、ここも欲しいんですよね」

スカートの中に指を入れて、下着の上からいじくってもわかるほどぬれてる。
ぐちゃって淫らな水音が鳴って、下着の上からでも指が入っていっちゃいそう。
えいってぐぐっとすすめていってしまう。

「う、ひゃ、はぅ、」

ぐぐっとシーツを握り締めちゃって、ぎゅうって口は閉じるのではなく、ぐっと歯でかんで、押さえつけてる。
『変わらない血があれば、それでいいから』

「だめですよ」

ひょっとしていやだった?
いやだったから、血を流して逃げようとしてる。
それじゃあ、だめだ。

「いやなら、やめますから」

さとり様がまたあのようなことをしてしまうならやめてしまわないと

「や、やだ」

ぎゅうってさとり様が私の服を握る。
ぶんぶんってなるくらいに頭を振って

「いやじゃない、いやじゃないの。
は、はずかしいだけ」
「じゃあ、やるね?」

恥ずかしそうにためらいがちにたてに一回頭が下ろされる。

今度は指ではなく、スカートを少しめくって

「じゃあ、失礼しますね」

中に入っていく。

「ぇ、あ、ちょ、空!?」

ぎゅっと足が閉ざされてしまう前に細い足を閉じれないようにおさえつつ、ちからをいれすぎやわないようにやさし~くマッサージをする。
先ほどのようなかん高い声ではなく、温泉に入っているときに出るような気持ちのよさそうな声。
だけど、私がそれじゃ物足りない。
さっきから、目の前でぬれていて、こちらを誘惑するようなにおいがただよっているのだ。
舌を伸ばして、つついてみる。

「ひゃぅっ!?」

いきなりだったからか、叫ぶような声。
夢中になっちゃったら、心の声聞こえなくなっちゃうんだな。
はぁはぁと獣のように息が荒くなっていく。
そっとマッサージをしている手を少しずつ少しずつ上へと滑らせていく。
少しずつさとり様の声がためらいがちな甘い声になる。
上までいってしまうと一気におろしてしまう。
さとり様の紫色の髪と同じ陰毛が少しはえていた。
私よりも少ないかな?
なんか、さとり様みたいでかわいい。

「そ、そんなとこかわいくなんか」
「かわいいですよ」

だから、まずはキスをしちゃおう。
ちゅっと軽く触れてみると、おさえているのにぎゅってはさまれてしまった。
あ、さとり様の太ももきもちいい。
だけど、ちょっとなんかお肉が足りない感じ。
やせすぎじゃないのかな?

「ふ、普通ですぅっ!?」

ぢゅうっと音が鳴るくらい吸うと、さとり様にスカートの上から頭をおさえられる。
でも、さっき恥ずかしいだけっていってたから、大丈夫。
ぺろぺろと舐めていくと、ぴんっとなってたのが充血していってる。
興奮してるんだ、嬉しいな。

「はっ、ぁ、く、うつほ~」

どんどん身体が汗ばんでいってる。
石鹸だけじゃなくてしょっぱい汗の味。
もちろん、それだけじゃなくて、中心部からとろりとあふれ出てる蜜。

「ん、んぅ、おいし」

こぼしてしまわないように丁寧に舐めていく。
だけど、それだけじゃ物足りなそうに陰核がぴくぴくとしてる。
舌だけじゃ物足りなさそうだなって思って、痛くないように歯をたてて、甘く噛むと

「ひゃぅううっ!」

あ、気持ちよさそうな声。
もっとやってあげよう!
軽く抑えていたのを少し強引に抑える。
そのまままだ快感を待っている陰核にすいつく。

「やぁっ、あぁっん!
や、だ、だめぇ、きもち、ひゃぅ!」

すいついては噛んで、あふれ出る愛液をすする。
もう十分なほど入れて欲しいとひくついていたけど、さとり様の声がかすれきって、涙声となっているので、ひょっとしたら何回かいってるかもしれないけど、一回いかせてあげて、今日は休ませてあげよう。

「さとり様、いくね?」

声をかけて、今までよりも強く一番敏感だった右上らへんの場所に噛み付く。

「い、ぅあああああぁっ、あぁあ」

がたがたってさとり様の全身が震える。
よいしょっと小さな声を出して、スカートから出てくる。
見てみると、スカートの周りは水溜りが出来てしまうのではないかというほどぬれていた。

「は、はぁ、空……」

隣に寝転ぶとさとり様がこっちに視線を向ける。
そして、しんどそうに膝たちになる。
どうしたんだろうと首をかしげると

「こん、今度はわたしが」

その気持ちは嬉しかったけど、明らかに誰が見てもわかるほど疲労困憊だった。

「じゃあ、明日にしましょう」

膝たちになったさとり様を私は腕を回して抱きしめる。
少し重たいのかもしれないけど、さとり様ぐらいの軽さなら大丈夫だろ。

「ぁ、だめ。
私も……あなたにあたえ、たいの」
「じゃあ、今はこうやってさとり様を感じたい。
それじゃだめですか?」
「ん、ぅん。
ごめん……ね」

何かに引っ張られたかのようにさとり様は眠ってしまった。

「おやすみなさい。
大好きですよ」

さとり様の望みなんでもかなえるよ。
だから、どうか、明日も一緒にいてください。
私の愛しい愛しいさとり様。
ここまで読んでくださりありがとうございました。
何か誤字指摘、アドバイス、コメントを下さると嬉しいです。

今回は、書きたかった空さとを詰め込みました。
単品で書きたいんですが、空さとはネチョにたどり着く前に没になってしまってたものがなんこもあったんで……
その他にもレイアリも咲アリもフラアリも美咲も色々と没がありまして……
さとさなはネチョ前にデータが全て消えました……(その時点で100kbで涙目

次回のほうは燐視線になりますね。
ハッピーエンド希望の方はここでストップ奨励します。
鬱々になっちゃうんで……
あ、決してさとり様がきらいなわけじゃないですよ~。

それではありがとうございました!
またの機会よろしくお願いします。
arlys
コメント




1.名前が無い程度の能力削除
えっ…次は超鬱なのか…
じゃあここで読むのやめておくか…

>フージョン
フュージョンすかね
2.JENO削除
鬱鬱どっからでもかかってこい。と、鬱が原因で作者回避されている気がする人が言ってみるテスト。

なんとんなく展開がわかりましたけどw


それにしてもお空の好物が卵ってwww
鳥のくせに・・・・・・・・・いや、爬虫類か両生類か魚類の卵か!?
3.名前が無い程度の能力削除
あなたの作品はとても好きです。

楽しみにしています。
4.ニバンボシ削除
鬱物は好きです

黙って待ちますぜ

頑張ってください
5.arlys削除
コメントありがとうございます。
返信させてもらいます。

1.様
その予定ですけど、文章力がないから残念な結果になってしまうかもしれないです。
また、違う作品を投稿したとき、呼んでいただけると嬉しいです。

誤字報告ありがとうございます!
なおさてもらいました。

JENO様
回避もあると思いますですけど、その分おいかけている読者さんもたくさんいると思いますよ。
きちんとしたストーリー展開なので、JENO様のお話は好きですし。
投稿してるくせに、コメント残す度胸がなくてすみません……
いつか、度胸が出来てしたときはよろしくお願いします。

て、展開読めちゃいますかね?
少しでもよんで驚いてもらえるように書きたいと思います。

烏って卵だめなんですか?
普通に原作では温泉卵、リアルではマヨネーズ食べてるんで好きだと思ってました……

3.様
そういっていただけるなんてものすごく嬉しいです。

が、がんばってみます!
これからもよろしくお願いします。

ニバンボシ様
同士(勝手にいれてすみません)がいてよかったです!

できるだけ早くかけるように頑張れます。
頑張っていきたいと思います。

ありがとうございました。
次回もお願いします。