真・東方夜伽話

楽しい図書館せーかつ

2009/04/09 04:52:26
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楽しい図書館せーかつ

あか

-まえがき-
まず最初にスクロールバーをご覧いただければと思います。
話題の中心はネチョなのですが、味としては薄味・・・ではないでしょうか。
-以上まえがき-

「あの棚のこの本持ってきて。」
はい。ただいま。

「肩揉んでくれる?」
肩だけでいいんですか?

「お薬持ってきて。」
こちらにございます。

「紅茶淹れてきて。」
焼いておいたスコーンも持ってきますね。

変化の緩やかなこの図書館の中で、私はパチュリー様の小間使い。
いつも変わらないお世話をするのが楽しい?そう聞かれたら私は間違いなく、楽しいと答える。
変化がないなら自分がその変化の中心に立てばいい。
肩を揉みながら他のところまで揉んで行ったり、
紅茶の味を変えてみたり、付け合わせを変えてみたり。
お世話をする事には変わりないけど、それだけでパチュリー様の表情は私には面白く変化する。
「今夜・・・一緒に。」
パチュリー様だって元気だったら、自分から生活に変化をいれてくれる。
そういう意味で、私はお世話が大好きです。それ以上にパチュリー様が好きなだけなんですけど。
「・・・き、聞こえてる?」
「え、あ、はい。聞こえてますよー。」
「うん。・・・お願いしてもいいかしら?」
「はい!勿論です。」
今日の体調はまぁまぁ、うーん。万全じゃないから今日は私に生やすのだろう。
夜に備えて何かしておこうかな。うーん・・・。
「それで、紅茶おかわり。」
「あ、はい。スッポンドリンクですね。」
「いや、紅茶・・・。」
間違った。
「い、今すぐお持ちします。」
「ついでにお薬も。」


こんな図書館でも、朝は朝。昼は昼で、夜は夜。
夜に何かをする場合はパチュリー様はちょっと遅く起きたりする。
私の体はどうあれど、パチュリー様の体は自身の体力に非常に忠実なのだ。
・・・だからちょっとパチュリー様の目覚めが一刻二刻と遅れると、それはひそかに楽しみであったりもする。
そういう日はあらかじめ咲夜さんに言ってドリンク剤だとかを貰っていたりする。
いつ言ってもすっと懐から取り出してくれる辺り、咲夜さんの仕事の大変さがうかがえる。
そう言う訳で今日ちょっとゆっくり起きたパチュリー様のためにスッポンドリンクを貰っておいたのだ。
小さな台所で、紅茶の準備を進めながら、スッポンドリンクをあおる。
直前に飲まないのは、キスの時に変な味と言われたくないからだ。
もとより、私自身の期待感を煽る為でもある。
・・・ただ、その後すぐは紅茶の味の微調整がしきれないのがちょっと辛いところで、
たまーに不完全な紅茶を出してしまう事がある。
・・・本当に申し訳ない。

「顔、赤いわよ?」
「パチュリー様も人の事言えませんよ?」
「そう・・・。」
パチュリー様と一緒のテーブルに座って紅茶をいただく。
うーん。なんとかうまくはいっているようだ。
「それでは寝室の準備をしてきますね。」
「うん。お願いするわ。」
ゆっくりと本から視線をこちらにうつして、小さな笑顔を言葉にのせて答えてくれるパチュリー様。
その笑顔があればいつもの何倍も頑張れそうな気がする。
・・・といっても寝室の準備ばかりは張り切りすぎると埃が舞っちゃうからよろしくないのだけど。

水差しの水、よし。喘息のお薬、よし。タオル、よし。ローション、よし。
お香の準備、よし。明日の分の着替え、よし。室温の調整・・・よし!
指さしで確かめて、ゆっくりと寝室からパチュリー様のところまで戻る。
はやる気持ちのせいで足がステップを踏んでしまいそう。・・・急かしてしまうからそんな事はしないけど。
読書を続けるパチュリー様の少し後ろで止まって様子を窺うと、
こちらの存在に気づいてくれたのか、パタンと本を置いてパチュリー様が立ち上がった。
ちらり、とこちらを一度見た後にゆっくりと歩き出すパチュリー様。
その後ろをゆっくりと歩いて続く。
パチュリー様の足音と、私の心音が同じリズムを刻む。けれど段々と部屋に近づくにつれてそのリズムが緩やかに崩れていく。
だってこれからすることはとても夢中になれること。
でもそれはつまり、同時に夢中になりすぎて肝心のパチュリー様の体調を読み切れなかった、
なんてことがあってはならないということでもある・・・。
自然と胸が緊張で高鳴ってしまう。
「貴女がそんなに緊張してしまうと、私も緊張してしまうわ。」
部屋の前まで来たときに、背を向けたままパチュリー様がそう告げた。
・・・背中に目がついているんだろうか。
部屋へのドアを開けて中に入っていくパチュリー様を追いながら、自分の顔をぺちぺちと顔を叩く。
リラックス。リラックスだ。そう呟きながら部屋へ入り、ドアを閉めた。

パチュリー様と並んで服を脱ぐ。パチュリー様の着替えの手伝いをするために
頑張って早く脱ぐのだけど、私の服というのはそういうのにはちょっと向いていなくて、
実のところ、パチュリー様の方が先に着替え終わってしまい、手伝ってもらうこともままある。
・・・正直な話、その時も幸せであるのだけど。
・・・結局今日は一緒に脱ぎ終わった。間に合わなかったようだ。
二人並んで一緒にベッドに座る。
本当にここのベッドは柔らかい。疲れたら身を投げ出すだけで次の朝まで時を忘れ眠りに誘ってくれそうなほどだ。
でも本当にそれより柔らかいものは今私のすぐ横にある。・・・モノっていったら失礼だった。
ぎゅっとパチュリー様に抱きつく。やっぱりこの感触が一番だ。
ここにはベッドには無い温もりがある。体に耳を押しあて、パチュリー様の心音を聞きながらそう思った。
「今日は貴女に生やさせてもらうわね。」
頭をぽんぽんと撫でられながら、耳元で囁かれる。
「はい。」
ゆっくりと体を離してパチュリー様の顔を見ながら、答える。・・・ちょっと顔が赤い。
たぶん私も顔が赤いんだろう。
「じゃあ、今日もお願いするわ。」
そう言いながら軽くキスをしてくれるパチュリー様。・・・本当は深く深くキスをしたいのだけど、
以前私からしたら息絶え絶えな状態になってしまった。そんな事があってはならない。・・・でもしたい。
キスを終えてすっと離れていくパチュリー様の顔にこちらから顔を近づけもう一度鼻先へとキスをすると、
私はパチュリー様に仰向けになってもらった。
照明が優しく照らすその体に身をかぶせて、その首筋に唇をつけてゆっくりと舌を這わせる。
湿っぽいパチュリー様の吐息の音が耳元へ届く。この音を聞いているだけで一人じゃない安心感が
私自身を癒してくれるような気がいつもする。
そのまま鎖骨へ。どうやらパチュリー様はここがくすぐったいらしく、
たまにぷるぷると体が震える。以前それが楽しくてずっと鎖骨を舐めていたら、後でくすぐりの刑を食らった。
一旦唇を離して改めてパチュリー様の胸を眺める。
「うん。大きい。」
やっぱりこれを目の前にするとこう言いたくなる。
「大きいのがそんなにいい?」
そりゃそうですよ。
「だって抱きつけますから。」
ぎゅっとその胸に顔をうずめる。
「結構肩凝るのよ?大きいと。」
「言えばいつでも揉みますよ?肩でもどこでも。」
そういうと頭の上の方からふふっと笑う声が聞こえた。
そのまま顔をずらして、まだ主張の無い乳首を口先で捉え、ついばむ。
すっと後ろ髪を撫でられて、
「やっぱりこの姿はまるで赤ちゃんみたいね。」
そう呟くパチュリー様の言葉に習って、上目づかいの弱弱しい視線を送りながら
ちゅっちゅと弱く弱く吸ってみる。じーっと、パチュリー様の顔をうかがいながら、
ただ、弱く。弱く。
「そこまで見つめられると、困っちゃうわ。」
そんな事を言いながら、こちらを見るパチュリー様の視線が揺らぐ。
私の視線から逃げるようにパチュリー様の視線が動く度、
唇の感触から主張のなかった乳首が段々とコリコリとしたものになってくるのがわかった。
ふと、パチュリー様の赤い顔から視線を離してちらり、と弄っていない方の胸を見る。
刺激を与えていないからか、やりきれないといったような言葉が似合うのだろうか、
ほんの少しだけ乳首がたった、そんなままでぷるぷると胸が震えていた。
すっと顔をそちらの胸の上へと移して、口先でツンツンとつつく。
視線をパチュリー様の眼まで戻して、口には含まずに舌を出してゆっくりと下から上へと舐めあげる。
舌先が先端部を押し上げる度にパチュリー様のまぶたがわずかながらに動く・・・弱いのかもしれない。
最後に一度、軽くその胸へキスすると、私は一旦体を起こした。
「それでは失礼しますね。」
パチュリー様の体に跨って、おなかの上にペタンと座る。・・・圧迫はできないので少し腰は浮かせてるのだけど。
パチュリー様の腰に手を置いて、もう片方の手でパチュリー様の太ももを撫であげる。
今私がまたがっているおなか、先程顔をうずめていた胸。それとはまた違った高い体温が、その手から伝わってくる。
第ニの心臓と言われるだけはある。でもそれ以前に・・・
ピチャっと私の指の腹がパチュリー様の割れ目に当たる。
ここが興奮しているから、尚熱いのだろう。
パチュリー様の顔を見降ろしながら、ゆっくりと手のひらで割れ目を揉む。
最初はちょっとした期待の目でこちらを見上げたパチュリー様だったけど、
刺激が少しばかり物足りないのか、・・・恥ずかしいのか、ちらちらと私から視線を外す。
・・・ちょっとした意地悪でそのままの動きでずっと揉み続けていると、
すっとパチュリー様が赤い顔をこちらに向けて、呪文を唱えあげた。
ふわりと下腹部に舞う温かい風と違和感。その違和感と私の神経が繋がっていくような感覚。
一息ついたころには私の股の間に男性のそれがひょっこりとたちあがっていた。
そこにパチュリー様が両手をかぶせる。
「まだ、・・・だめなの?」
小さい声でこちらを見上げながら弱弱しく呟くパチュリー様。
そんな声にピクンと私の体・・・もとい股に生えたソレが手の中で反応する。
「では、ちょっとお待ちください。」
体を少し倒して、ベッドの横にあるローションの瓶を取り上げる。
少し底の方を振り、蓋をあける。
「パチュリー様、手をどけていただけないと・・・。」
「このままかければいいじゃない。」
このままって・・・。すっぽり覆われたら手にしかかけれないんですけど。
しょうがないから瓶をそっと傾けてその手の上からローションをかける。
トロリとした感触がパチュリー様の手の間を抜けてその下まで滴り落ちてくる。
パチュリー様の体温もあるからか、ローションが妙にあったかい。
瓶に蓋をして元あった場所まで戻すと、パチュリー様が口の端を少し持ち上げて乗せていた手でぐっと掴んだ。
「あ、ちょっとパチュリー様?!」
「なに?」
いえ、あの・・・。
「いや、急に掴まれたので・・・。」
「・・・熱いわね。いつも思うけど。」
手の力を緩めたり強めたりしながら、パチュリー様が魔法によって生えたそれを握る。
「魔法とはいえ、モノはモノですから・・・。」
段々とパチュリー様の指先から馴染んでくるローションのおかげで力を入れたパチュリー様の指が肌の上を滑る。
でも・・・パチュリー様は握ってくれるだけ。上下に動かしてはくれなかった。
「もどかしそうね。」
依然として握ったままパチュリー様が私の顔を見上げて呟く。
うん、もどかしい。パチュリー様の手からくる刺激も、その手のぬくもりも、またがった体から伝わる体温も、
全ては気持ちいいのだけど、快感というわけではない。・・・心地よいという言葉が似合うのだろうか。
「私は手をこれ以上動かす気は今はないわよ?」
相変わらず手の中でにぎにぎしながらパチュリー様がこちらを見上げて呟く。
それはつまり、刺激がほしかったら私が動け、ということなのだろうか。
つまり・・・パチュリー様の体を使って、自分を慰めろと。
その刺激、背徳感にちょっと興味があるからか、何だか少しその言葉が屈辱的にも感じた。
・・・でも、味わってみたい。その手の中に向けて腰を動かすだけで得られるであろう刺激。
味わってみたい。味わいたい。気がつくと少しずつ自分は腰を引きはじめていた。
ズルリと音をたてて、雁首がパチュリー様の指の肉を引きずりながら滑る。
ただ腰を引いているだけなのに与えられる感覚にゾクゾクと震える私の腰。

粗方半分ほど抜いただろうか。
・・・まだ半分しか抜けてないとも言うのだけど。
この引いた腰をつき出したときにはどんな快感が得られるだろう。
パチュリー様の手を私がけがしていく。そんな背徳的な行為への期待感が胸を少しずつ高鳴らせる。
あの指の肉をかきわけて進むとき、腰を手に打ち付けたとき・・・。
引いていた腰を止め、さぁ突き出そうと腰に力を入れたとき、パチュリー様が急に手を離した。
突き出した腰が空しく空中を滑る。
「・・・せつなそうね。」
そりゃせつない。凄く期待してたのに。
「ごめんね・・・。」
・・・謝らせるような顔になってしまってたのか。ぶんぶんと顔を横に振り
「いえ、そんな・・・。」
そこまで答えると、急にパチュリー様が上半身を起こした。
反動でおなかの上に陣取っていた私が反対側のベッドまでペタンと体を倒される。
すっと腰をあげパチュリー様が膝立ちになって、今度は私の太ももの上に跨る。
「そんな切なそうな顔を見るのは辛いわ。・・・でも私も切ないのよ。さっきから。」
そう言って私から少しだけ視線を逸らして下腹部をさするパチュリー様。
・・・そういえばパチュリー様の手に夢中でずっと忘れてた。
「だから、せめて私の中で・・・。ね?」
そう言いながら魔法で生やしたそれの上へと跨りパチュリー様の割れ目と、私のお腹で挟んだ。
ぐりぐりとパチュリー様が腰を前後に動かして、ローションでぬるぬるになったそれの上に股の間を滑らせる。
パチュリー様の体重が、その股の異様な熱さが、雁首をかすめていくパチュリー様のおまめが、
私の心臓を握ったかのようにソレをドクドクとたぎらせていく。
「・・・良いでしょ?」
「はい・・・とても気持ちいいです。あったかくて。」
「いや・・・その。もういれても・・・良いでしょ?」
思わず勘違いをしてしまった。
主導権を握っていたのに調子を崩されたといわんばかりに
パチュリー様の顔がみるみる赤くなっていく。
ぷぃっと私の目から視線をそらせ腰を持ち上げて、そっと二人の間でもみくちゃにされているそれを
上へと向かせると、その上にゆっくりと腰をおろした。
チュッという粘膜とローションのぶつかっていく音が私とパチュリー様の吐息に混ざって部屋に響く。
パチュリー様の手に支えられて、どんどんとその体の中へと消えていく。
同時に感じる、熱い肉で包みこまれていくような感触。・・・いや、私がパチュリー様の肉をかきわけて進んでいるのか。
ペタン、と音がして、パチュリー様が完全に私の体の上へと座る。
ゆっくりとため込んだ息を吐き出しながら、パチュリー様は目を閉じてお腹をさすった。
「大きくて。あったかくて。・・・それでいて脈打って。まるで体の中にもう一つ心臓が、生き物がいるみたい。」
そんな事を呟きながらさする手が、おなかの肉を押して中に包んでいる私のソレまでも撫でられているようで、
ほんのりとくすぐったくて、そしてもどかしかった。

パチュリー様が腰を縦ではなく前後へとゆっくりと動かす。
ローションに濡れたパチュリー様の皮膚と私のお腹の皮膚とがぬるぬるとお互いを滑らせる。
パチュリー様のローションにまだ濡れてない太ももは何だかスベスベしていて、
自分の手で触れているかのように伝わってくるその感触に何だか少しゾクゾクとした。
・・・でもそれ以上に、パチュリー様が前後に腰を動かす度に
上から、そして下からと伝わってくる魔法で生えたソレへの肉の感触の方がより私の体をゾクゾクとさせた。
先の部分がパチュリー様の体の中を突き進み、そして中の肉を引きずり出していくかのように体の中を引っ掻く感触と、
震えるパチュリー様の呼吸に合わせて締まったり緩まったりする包み込もうとする感触。
その二つから与えられる刺激と、今こうして見上げるパチュリー様の少し悶える顔が
心地良い快感の波になって背筋へと伝わってくる。

「ねぇ、私の中って・・・気持ちいい?」
たまにパチュリー様はそういう事を不安そうに聞いてくる事がある。
こんなにあたたかく包み込んでくれるのに気持ちの良くないわけがない。
勿論過去にいいえ、なんて答えたことは一度もない。
「とっても気持ちいいですよ?」
そういう風に答えるとパチュリー様はいつも嬉しそうというより、
安心した、という風に顔を緩ませてほほ笑む。何か至らぬ点が私にあったのだろうか。
私の何がパチュリー様を不安にさせたのだろうか。そんなぽつぽつと湧いてきた私の中の思いも、
何だか笑われるとそんな気分ごとどこかへ消えていった。
笑ってくれるのなら、いいや。

ふわりとパチュリー様の上半身が前に倒れはじめ、ペタンと私の顔の横に手をつく。
片目を閉じて、うっすらともう片方の目をなんとか必死に開けているという感じだ。
「ごめん、もう我慢できそうにない・・・みたい。」
倒れこんできた体、それを支える腕をぷるぷるとピクピクと震わせながら、
辛そうな声でパチュリー様が囁く。・・・かくいう私も正直もう辛かったりする。
パチュリー様が息を漏らす度、パチュリー様が体を震わせるたびに
きゅぅきゅぅとまるで強く強く抱擁されているかのように締め付けられる。
そんな状態でずっとずっとぐりぐりと・・・。
だからその言葉はある意味では天の声のように聞こえる。・・・私が言うのもなんだけど。
少なくともパチュリー様を置いて一人でさっさと達してしまうなんて情けない姿を晒さなくて済みそう。
・・・それにパチュリー様が私のものでも喜んでくれているということでもあるから、これ以上嬉しい事もない。
「私も限界です・・・。」
「そう。・・・良かった。じゃあありのままに感じて好きな時にイって・・・?私も、すぐ後を追うから。」
そう言いながら、辛そうな顔でにっこりとほほ笑むパチュリー様。
私は我慢するのが精いっぱいなのに、その人の事を心配できる余裕が少し羨ましかった。
ふと、パチュリー様のフリーになっている方の手へと、私も手を伸ばす。
小さく微笑んで、ぐっと掴んでくれた。
私の手に残っていたローションがまとわりつき、キスをしたかのような音を立てて指が絡む。
開けていた目をきゅっと閉じて、パチュリー様が腰を先ほどより少し早く前後へと動かす。
ジュッジュッという音を部屋に響かせて、パチュリー様が私の体の上で踊る。
その中で自分の息が段々と浅く早いものになっていくのが自分でわかった。
ふわりとした感覚と、目の前がかすんでいく感覚が襲ってくる。
「パ、パチュリーさまぁっ」
もやのかかった意識の中で私はパチュリー様に向かって叫ぶ。
声に呼応してか、私を包むからだと手がきゅっと私を掴み、
とたんにパチュリー様の中で私の包まれていたそれがはじけた。

トクトクと音を立てながらパチュリー様の中に吐き出していく・・・その感覚に視界が歪み、思わず目を閉じる。
そんなまっくらな世界の中で私の手を掴んでいたパチュリー様の手に力が籠る。
ぐっ、ぐぐっ、とどんどんパチュリー様が握ってくださる手が強まっていく。
手の甲に刺さった爪がほんのりと痛い。・・・パチュリー様にもこんな力があるんだなぁ。
そんな事を思っているうちに、パチュリー様の体がビクビクと私の上で跳ねる。
途端にパチュリー様の中でゆっくりと吐き出していたそれが強烈な抱擁を食らったように
ぎゅぅぎゅぅと締め付けられ、再び吐き出す感覚をはやめて、再び吐き出し始める。
「あつい・・・わ」
再び勢いをつけて背筋をおそう感覚に耐えながら、なんとかゆっくりと目をあけると、
ふわり、とパチュリー様の体が倒れこんできた。
慌てて、あいていた方の手と自分の身を使ってその体を受け止める。
胸に抱いたパチュリー様の肌は、汗のせいかちょっぴり私の体より冷たくて、
けれどその肌の向こうから伝わってくる鼓動は私なんかと比べ物にならないくらいとても早かった。
「ヒュー・・・ヒュー・・・」
倒れこんできたパチュリー様の呼吸の音がおかしい・・・?
「ちょっとパチュリー様?!喘息の発作でかかってますよ!」
あわてて受け止めた手で背中を揺すると、ひょっこりと私の体に落ちていた顔があがって、
「余韻くらい落ち着いて楽しみたいのだけど。」
・・・怒られてしまった。
まぁ、こういうときの為にちゃんと薬も水も用意はしてあるし、
この調子から見ても大丈夫なんだろう。・・・たぶん。
再びぽてりと落ちてきた頭に手をまわしてそっと包む。なんだか肌を撫でる息がくすぐったい。
パチュリー様の心音が段々と落ち着きを取り戻したころ、ゆっくりともう一度顔をあげた。
「今日もありがとうね。」
・・・と仰るということは今日は第二回戦は無いのだろう。スッポンドリンクは・・・無駄だったかな。
いやでも、後のしなければならない仕事の事も考えると、うーん。
「楽しんで頂ければそれで。」
そう言いながら、パチュリー様の体を支えつつ、ゆっくりと身を起こす。
うぅ、まだ繋がったままのところがもじもじする。
パチンッとパチュリー様が指を小さく鳴らすと、もやに消えていくかのように、
私の股に生えていたものと、その感触が消えた。・・・私としては抜くまでが楽しみだったんだけどな・・・。
「ごめんね。今日はこれ以上付き合えそうにないわ。疲れちゃって。」
呼吸音の事もあるから、なおさらそうなんだろうと思ってしまう。
ずっと握ったままであった手を解くと、薄い糸が後を引いた。
とりあえずパチュリー様には私の上からベッドの上へと座ってもらって、
用意していた薬と水を手渡す。
どこか少しけだるそうな雰囲気で、足を伸ばして座りコクコクと喉をならして飲むパチュリー様に
私は今度はタオルを持って、一旦自分の手を拭いてからその背中の前に腰をおろした。
「風邪引かないうちに拭いておきますね~」
私の言葉にパチュリー様の後ろ髪が上下に1度揺れた。・・・おそらくは縦に首を振ったのだろう。
そのまま、髪を手で支えて背中から腰へと体を拭いて行く。
汗とほんのりとした石鹸の匂いが鼻をくすぐり、タオルがそれを吸い取っていく。
胸や胴周り、足や股の汗もぬぐったあと、パチュリー様に尋ねた。
「今夜はこのままお休みになられます?」
「ん・・・ええ。そうさせてもらうわ。」
まぁお疲れならそうですよね。
「では何か用事があるならやっておきますが、・・・何かあります?」
もぞもぞとベッドに潜り、こちらをうかがうパチュリー様に尋ねると、しばらく考えて
とりあえずは何もない。といった感じに首を横に振った。
一度頷いて、背を向ける。
「あぁ、あったわ。」
「? なんでしょうか。」
「・・・寝るのに人肌くらいにあったかい抱き枕があったらいいなって思うんだけど。どう思う?」
「・・・どう思うと申されましても。」
「そう・・・残念だわ。」
そう言いながらがばっと布団にもぐられてしまった。
・・・しょうがないからベッドの脇に立って、入ろうとめくると、
布団の中からにゅっと手が伸びて引きずり込まれた。
「それでいいのよ。おやすみ。」
そんな声とともに、後ろ頭に柔らかいものが押しあてられる。うん、やっぱりベッドより柔らかい。
・・・頭の上からすやすやともう寝息が聞こえてきた。そこまで疲れていたのだろうか。

その寝息を子守唄にしながら、私も今日は寝ることにした。





胸に抱いたこの子からゆっくりと落ち着いた寝息が聞こえてくる。
ごめんね、今日は一度だけど。・・・ほとんどいつも一度だけど。
やはりどうにかしなくてはいけないわよね。私の体力の無さは問題だわ。
でも体力をつけるために行動するよりかは、本読んだり研究したほうが
数倍良い気がするのよね。私としては。・・・でもそれじゃ結局だめなのよね。
いつでも二度以上できるようにしっかりと準備してくれるこの子に、ちゃんと答えないといけないとは思う。
・・・まぁいつもする事について頼んでるのは私なんだけど。
することした後でも私の心配とか仕事の事を考える位だし・・・いつか体を壊さないか心配でたまらない。
まぁ体力のない私を基準に考えるのはよろしくないのかもしれないけど。
とりあえず寝たふりで安心して身を休めてくれるのであれば、まぁこういう嘘位はついてもいいかなって思う。

にしても問題なのは私ね。
この子に生やしてするのでは、一度達した後の体力が私は持たない。
・・・でもこの子のを受けとめるのは好きなのよね。・・・たまに私で満足してくれるのか不安になるけど
ちゃんと嬉しそうな反応をしてくれる、・・・みたい・・・だし。
しかし、何よりこの子が私の中でイってくれた時がたまらない。
生やしたものも、私の中に出すものも所詮は魔法で作った「疑似」ではあるけど、
それを受けている身としては、「気持ち」を受け取ってるような感じで・・・。
それが満たされていくような感覚。そんなどこか安心させてくれるような感覚が好き。
・・・だから、だから私は彼女にもこれを味わってほしい。私からの感謝とか・・・その、いろいろ。
とすれば必然的に私に生やせってことなんだけど・・・。
体力の問題に加えて、一度達した後の妙なげんなりとした気持ちが湧きあがってくるのがなんとも・・・。
まだ頑張れる!って気持ちが勝てないのよね。情けないわ私。・・・この子が中心に動いてくれるのであれば
体力は持つのだけど、結局その体力に「もう今日はここまででいいや」って気持ちが押しかってしまう。

どうしよう。

・・・既存の魔法を改変してみよう。というかとりあえずはそれしかないのよね。
薬に頼ると自分のコントロールの範囲外になっちゃうし・・・。
もし喘息を引き起こしても薬ともし競合してしまったら、たぶん私もこの子も苦労することになってしまう。
難儀ねぇ・・・この子が。そう言う意味では私のこの体力の無さは本当忌々しい。呪ってやろうか。
・・・いや、誰も呪う相手なんていない。強いて言うなら、その「もう今日はここまででいいや」って気持ちを
持つように作ってしまった神様かしらね。

呪い?
そういえば身代わり人形なんてものがあるわね。身代わり地蔵とか。
かつて読んだ・・・えーっと苦労苦痛のおしつけが効くんだっけ。
・・・応用できないのかしら。こんなのに詳しそうな本はえーっと・・・。
・・・いいや疲れたし明日で。
おやすみなさい。





朝目覚めると、パチュリー様は昨晩あれだけ疲れてたのにもう起きて図書館の机についていた。
・・・今日は読書ではなくお手紙を書いていたようで。机に便箋を片付けているということは、
もう書き終わったんでしょうか。
「おはよう。」
「おはようございます。」
こちらに気づいてくれたのか、机から顔をあげてパチュリー様が挨拶してくれた。
「起きて早速で悪いんだけど、これ咲夜に渡しといて。」
そう言って机の上の手紙をふわふわと浮かせて私の手に置いた。
・・・魔法の森のアリスさんへのようだ。
「・・・読んじゃ駄目よ?」
勿論読みませんとも。ラブレターなら・・・まだしも。
「はい。確かに渡してきます。」
そういって、パチュリー様に一礼してから背を向けて出口へと向かう。
「あぁ、あとついでに帰りに紅茶いれてきてくれるかしら?」
背中からかかる声にとりあえず振り向きながら首を縦に振って、外へと出た。

・・・なんてことはない。朝だと思って外に出たらもうかなり日は高くなっている。
丁度お昼前くらいなのだろうか。近くの妖精メイドさんに咲夜さんの居場所を尋ねると、どうも厨房にいらっしゃるご様子。
なんだか忙しそうなのに気が引けるなぁ。でもまぁ仕事だからお互い仕方がない・・・んだと思うけど。

廊下をゆったりと飛び厨房へと向かうと、やっぱり昼食前なのか美味しそうな匂いが漂ってくる。
思えば昨日の夜が軽かったからちょっとお腹がすいてるんだよなぁ・・・。
そんな事を考えながら厨房の扉をあけると、せわしなくバタバタと動くメイドさん達の中に
一人で指示を飛ばしている咲夜さんを見つけた。・・・まわりから浮いているから後姿ですぐわかる。
「パチュリー様から何かあったの?それともドリンク?」
まだこちらを見ても居ないのに後ろを向いたまま喋る咲夜さんに少し驚く。
やっぱり忙しいようだ。お皿に色々盛り付けとかしてるみたいだし。
「ええ、アリスさん宛に手紙を~ということで預かってきたのですが。」
「そう。ところで・・・」
そう言いながら咲夜さんが振り返る。
手に一口大に切り取られたサンドイッチを握ったまま、
「はい。あーん。」
「え、あ、あーん?」
開けた口にポンと放り込まれるサンドイッチ。
うーん、シャキシャキしたレタスの中に・・・これは焼いた鶏肉だろうか。コショウの味が効いてる。
あぁ、コーンも入ってるんだ・・・。
「手紙ちょうだい。」
もぐもぐと口を動かしながら預かっていた手紙を咲夜さんへ差し出すと、
咲夜さんは手を洗ってからそれを受け取った。・・・ちらちら表裏を確認している。覗いちゃだめなんですよ?
「アリスね。届けておくわ。それで、味は?」
胸元に手紙を折れ無いように仕舞ったあと、顔をあげてこちらに尋ねる。
・・・味見役だったのか。まぁ毒見じゃなければこういうのは歓迎なんですけど。
「シャキシャキしてる中にしっかりとした少しスパイシーな鶏肉の味が効いてて美味しいですよ?」
一旦喉に流し切ってからそう答えると、一度か二度ちょっと視線をそらしてどこか頷きながら
「そう。」
そう、そういってくるりと後ろを向いてしまった。・・・美味しかったんだけどな。
何だか中途半端に食べると余計にお腹がすいてきちゃったし・・・。
「じゃあこれ。渡しておくわ。」
ぱっともう一度こちらに振り向き直る咲夜さん。その手にはトレー。その上にはお皿と盛られたサンドイッチの山。
ちょっと一人じゃ食べきれない・・・気がする量だと思う。
「パチュリー様と二人で食べてね。食器は適当に戻しに来てくれればいいわ。」
ああ、そういうことか。・・・そういえばパチュリー様は未だに何も食べてないんだったなぁ。
できるなら早くもってかえって一緒に食べよう。うん。
「じゃあ私は今から届けてくるわ。あなたたち、準備お願いね。」
ふと顔を横に向けて、咲夜さんが働くメイドさん達にそう声をかけると、そんな声に対して
「「は~い!」」
せわしなく働くメイドさん達から元気の良い返答が返ってきた。・・・少々のんきな返事にも聞こえるのだけど。
ふとメイドさん達から視線を戻すと既にそこに咲夜さんの姿は無かった。

ほわほわと匂い立ち上るトレーを持って廊下を戻る。
メイドさん達はまだお昼ごはんが済んでないのか、どことなく危険な視線を感じる。
できるだけ早く図書館まで戻ったつもりだったのだけど、それまでにいくつかのサンドイッチがお皿の上から消えた。
・・・主に私のお腹の中へ。パチュリー様ごめんなさい。
パチュリー様の机の前まで戻ると、パチュリー様は真剣に読書をしていた。
・・・えーっとタイトルは「良く分かる電気回路」?確か外の世界の魔方陣についての解説書だったような気がする。
机の上にトレーを置くと、やっと私の存在に気づいてくれたようで、本からちょっとだけこちらに視線をあげた。
「お・・・」
パチュリー様が本を畳みながら口を開く。なんだかんだ、結構パチュリー様は私に優しくしてくれる。
そう、例えばこうやって戻ってきたときには、おかえ・・・
「おしぼりちょうだい。」
「はい。ただいまお持ちします。」
先に用意しておかなかった自分の失態を嘆く。トレイをおいたまま急いでおしぼりを作って戻ってくると、
眼はサンドイッチに向けたままパチュリー様がすっとこちらに手を伸ばした。
その手におしぼりをのせると、わしわしと手を拭き始めるパチュリー様。
・・・相当おなか減ってたんだろうか。拭き終わったおしぼりを受け取って、トレ―の隅へと置くと、
早速パチュリー様がサンドイッチを手に取って食べる。シャギシャギとレタスを歯で砕く音がパチュリー様の口から響いてくる。
あぁ、頬をあんなに膨らませて・・・。そんなに急いで食べなくてもサンドイッチに足が生えて逃げることはないのに。
まぁ、別の誰かが食べる事はあるかもしれませんが。
そう頭の中で呟きながら、私もおしぼりで手を拭き一つサンドイッチを手に取る。
咲夜さんに放り込まれた出来たてのサンドイッチ程、鶏肉は温かくはなかったけど
まだあんまり冷めていないようで少しだけあたたかかった。
シャギシャギとレタスをかみ砕く音が図書館に響く。思えば相当似つかわしくない音なんだろう。
もともと、静かであるべき場所でもあるんだし。こくこくと上下に動くパチュリー様の喉をじっと眺めながらそう思った。

お皿にのったサンドイッチを全部二人で食べてしまったあと、
パチュリー様がこちらを見ながらつんつんと自分の胸元を指さした。
「肩揉みですか・・・?」
意図が読み切れず、そんな言葉を私が返すと、ちょっと呆れたような表情をされてしまった。
パチュリー様が体をぐっと乗り出して私の胸元に手を伸ばした。
「まだ昼間ですよ!」
「そうね。」
そう言いながら私の服から何かをつまみあげた後、すっと目の前につき出した。・・・コーンだった。
「つまみ食いするほどお腹がすいていたのかしら?」
そう言いながらひょいとコーンを口に運ぶパチュリー様。何だか変に冷たい汗が背中に流れる。
「貴女、部屋に戻ってきたときからずっとそこにコーンのせてたわよ?」
にっこりと笑いながらそう呟く割には未だに背中に流れる汗が止まらない。
一歩後ろに下がれば崖に落とされてしまいそうな妙な空気を漂わせつつ、
じりじりとパチュリー様が机をまわってゆっくりと近づく。
手を思いっきり伸ばせば届きそうな距離まで近づいてきたとき、ふと言葉が浮かんだ。
「さ、咲夜さんに味見をさせてもらったんですよ!」
・・・こればっかりは嘘じゃないもの!ぴたりとパチュリー様の足が止まる。
勝った!正直私は心の中でそう叫んだ。声高々に。
けれど、そんな私をよそにパチュリー様はクスクスと笑い始めた。
「もしも貴女が咲夜だったら、味見させた相手が胸にコーンこぼしたらどうするんでしょうね。」
あははー・・・ですよね。無駄な抵抗をしたら痛い目に合いかねないので、
とりあえず私は両手を上にあげた。勢いで袖から零れ落ちたパンの屑がどこかむなしい。
ほんの少しだけ長い溜息を吐いた後、パチュリー様はごそごそと服から紙を取り出した。
「それはそうと、これ。アリスが今から来るだろうから、このリストにある本を机まで持ってきて。」
そう言いながらひょいと紙を私に手渡す。どれどれ・・・。

―アリスがくるまでに揃えてちょうだい。―
「呪法と魔方陣」
「今日から貴方も始めよう!簡単な呪いのガイド」
―机の上にお願いね。―

なんだかまるで今から誰かを呪おうかってリストですね。いやまぁ、私は探してくるだけだから関係はないんですけどね。
・・・呪われるの私じゃありませんよね?そうだと願いたいものなんですけど。
あーでもアリスさんが来るという事は・・・妙に本格的になりそうで怖いなぁ。
「では、探してきます。」
そそくさとパチュリー様から逃げるように背を向けて本棚の間を進む。
どちらの本も大体の場所は分かってるしそう時間もかからないだろう。

・・・ふらりふらりと本棚の間をさまよう内に2冊が手元に集まった。まぁジャンルが近いんだもの。
・・・まだアリスさんがくるまで時間もあるだろうし、ご機嫌を直して頂かないと。
ゆっくりと本棚の間を戻ると、パチュリー様は落ち着いた様子でまたさっきの本を読んでいた。
邪魔にならないように机の隅に本を重ねておくと、
「うん。ありがとう。」
本から視線を外すことこそなかったけど、そう言われた。・・・ちょっとだけ安心する。
一度だけ軽く礼をすると、私は客人へのもてなしのための準備へと向かった。





あの子が本を置いてどこかに行った。方向からして・・・紅茶でも淹れてきてくれるのかしら。
まぁ、もう少しすればアリスが来るだろうから丁度良いのかもしれない。
・・・にしても少し怯えているようにも見えたけど。何か不味かったかしら。
料理は美味しそうに食べてたんだけどね。届けてくれた時も嬉しそうに口にパン屑つけてたし。
まぁ別に運んでもらった訳でもあるんだし怒ってたわけではないんだけど、ちょっとからかい過ぎたのかしら。
何か代わりにしてあげられればいいんだけど。・・・まぁ今回のアリスとの事も小悪魔のため・・・
いやそれはちょっと高慢な考えか。実際には私のためだからね。・・・利用用途は別としてね。
簡易なものならすぐに完成はするだろうから、何だかんだで浮ついてるのかしらね。私は。

今回アリスを呼んだのは「わら人形」について聞くためだ。
昨日・・・いや実際には今日になっていたのかもしれないが、その時考えていたこと
つまりは「身代わり地蔵」などに繋がるものを作ることができるか、という事についてだ。
まぁ相談の範囲はここまでで、その先の研究は私がするんだけど。
うまくできるかは知らない。まぁ、研究してもできないならできないで適当なラインで止めようとも思っている。
・・・動機が不純・・・だし。
知的欲求に対して忠実に研究する!っていえば少しは形になるのかしら。
・・・こんなことで私はアリスから話を引き出せるんだろうか。
そんな事を考えているうちに、コンコンと控え目なノックの音が部屋に響く。
流石に咲夜に頼めば届くのは早いか。
「どうぞ。」
私が扉まで声をかけると、カチャリと音を立てて扉が開いた。
コツコツと足音が響き、アリスが部屋へと入ってくる。
アリスの人形が両手ですっと扉を閉めた。
「お招きにあずかり。なかなかに面白そうな話ね。あんまり専門的な知識はないけど力にはなるつもりよ。」
「こっちも同じような状況だからこそ貴女を呼んだのよ。さ、かけて。」
人形が椅子を引いて、アリスがその椅子に腰かける。
すっとアリスの視線が机の上の本へと移り、少し溜息を吐いた。
「早速だけど・・・というか率直なんだけどいいかしら。」
やや硬い顔で尋ねてくるアリス。何だか最初から嫌な気がしてならない。
返事をしようと口を開いたところでアリスの後方から声が響いた。
「失礼します。」
あの子だ。ピクっとアリスの耳が動く。
「で、その率直な話って?」
机の上に紅茶のカップを置いて行くこの子を傍目に私から改めて尋ねた。
「きっと貴女が求めている形と、私が求められた情報は関連性が薄く有用性がない、と判断するわ。」
紅茶を注ぎ終わり、机から離れようとするこの子にアリスが声をかける。
「あぁ、そのティーポットも置いて行ってくれるとちょっと助かるわ。」
少しだけ驚いたようにあの子が振り向く。
「分かりました。では何かありましたらお呼びください。」
机の隅のあまり邪魔になりそうにないところにティーポットを置くと、
私達に気遣ってか、静かに本棚の影へと去って行った。
「まさにこれね。」
アリスがティーポットを眺めながら呟く。黙ってその話の続きを促す。
するとアリスがごそごそと自分の荷物の中から一つのわら人形を取り出した。
「たとえば、魔理沙の髪の毛をこのわら人形に適用したとする。すると、これが一つの呪法として働いて、
この人形の存在、もとい在り方なんかが魔理沙に影響を与える。これは、たぶんその本があるんだし知ってるわよね?」
もともと置いてあった本を指さしながら、アリスが呟く。
「ええ。だから、その人形に与えられた苦痛なんかがこの場合は魔理沙へ行くのよね。」
対して私が答えると、まぁ半分くらいは正解といった感じの目で首を縦に振った。
「大体そんなところ。でもこれだと、流れとしては人形に作用して、本人に作用させる。」
そこまで言うと、アリスは自分のティーカップに注がれた紅茶を一気に飲み干した。
「失礼。でね、貴方が欲してるのは本人に作用したものの身代わりとして、別の何かに受け流す。ということでしょ?」
そう言いながら、鞄から一本の羽ペンを取り出すと、机の上にわら人形を置いて、そのまま羽ペンを刺した。
「・・・これだと魔理沙に苦痛を与えることができるけど、人形もまたある意味ではその身に苦痛を受けたまま。
だから、こういうわら人形の原理を元に作ると、受けた本人もその身代わりの人形も同じように傷つくだけよ?」
そこまで言われてあぁ・・・という気分になる。かなり方向性が間違っていたようだ。
・・・表情に出てしまったのか、アリスが少し申し訳なさそうに話を続ける。
「確かに改良をしていけばそういうものはいつかできるとは思うけど、」
そう言いながら机の隅に置かれたティーポットを身を乗り出して手に取る。
「出発点として選ぶなら、私ならわら人形よりこれをオススメするわ。」
「・・・ティーポット?」
「うん。ティーポット。もっといえば・・・」
そういって、机の真ん中にティーポットを置きながら、その蓋をあけた。
ふわりとあけた蓋から濃厚な香りが立ち上る。
「・・・相変わらず良い葉使ってるのよね。」
そう言いながらちょんちょんと中を指さす彼女に従って、私も身を乗り出して中を覗き込む。
「フィルターよ。要するに必要なものは通して、不必要なものは通さない。
これこそ貴女が求めているものに分類としては近いと思うのだけど、どう?」
・・・確かに言われてみればそうだ。私とした事が・・・。いや、私だからか。自分で淹れようとしないから・・・。
「すっかり言い負かされた気分だわ。」
思わずそのまま本音がぽろりと口から漏れる。
その言葉に対して小さく一度肩をすくめると、アリスはすっと席を立ちあがった。
「近い生活をしてても、ほんの些細な事で、ものの見方は違うものよ。
だからこそ、私に相談したんだって事にしておいたら?」
そう言いながらおどけたように手をあげるアリスに
「もう帰るの?」
と尋ねた。
「方向性さえ決まってしまえば、あとは私の知識なんかより貴女が自分で持ってる知識と、
貴女自身の求めている形を照らし合わせた方が純粋な答えを産むと思うから。これで失礼するわ。紅茶、ありがとう。」
「そうね・・・ここまで引っ張ってくれて感謝してるわ。
・・・ここまであっさりとされるとお礼の品が用意できなくて辛いところだけど。」
そう言うと、少し悩んだように顎に手をあてて、アリスが口を開いた。
「じゃあ、いくらか本借りて行っていいかしら。毎度の事のような気もするけど。」
そう言いながら、机の上に置いたままのわら人形と羽ペンを仕舞う。
「それでいいなら大歓迎よ。・・・死ぬまで借りて行くって勢いの誰かと違うんだし。」
仕舞われていく人形を見ながらそう言うと、
「後日ちゃんと返しに来るわよ。それじゃ、失礼するわ。」
笑いながら本棚の中へと入っていった。まぁ、彼女なら無駄な心配はいらないだろう。
もう一人の方もこういう心配をさせないでくれると尚嬉しいのだけどねぇ・・・。

消えて行った彼女と入れ替わる様にして、ふっとあの子が戻ってきた。
「お早いお帰りだったようですが・・・お下げしても大丈夫です?」
そう言いながらそっとティーポットを持ち上げたので、
私は急いで自分の注がれたままのティーカップの紅茶を飲みほした。
「ついでにこのカップとアリスのカップも。」
そう言うと、こくりと頷いて、全部をトレーにのせて、また本棚の影へと戻っていった。
喉の奥を通って行った紅茶はまだ少し、熱かった。

改めて椅子に座りなおして考える。
確かにアリスの言うとおり、私の考えを実現するならその「フィルター」を構成してしまうほうがはるかに楽だろう。
とすれば必要なものは何か。必要な事は何だろうか。まずはそのフィルターが必要だ。
だがこういう紅茶に用いたようなフィルターである必要はない。それっぽいものが体内で構築できればよい。
その環境を得るためには。・・・得るためには・・・?
そこまで考えて、私はふと思いついて、自室へと戻った。




あれ、パチュリー様がいない。やっとクッキーが焼けたんだけどな。アリスさん先に帰っちゃった様子だし・・・。
私がポットを片付けて、手にクッキーを載せたお皿を持って戻ってきたときには既にパチュリー様はいなかった。
椅子が引いてないところから、何か急なことがあったんだろう。・・・喘息の発作だろうか。
机の上にクッキーのお皿を置き、布をかぶせると私は寝室へと急いだ。
・・・そっと耳をドアに押し当て、中の様子を窺う。・・・物音が聞こえない。
2度少し強めにノックをすると、私は寝室のドアを開けた。
・・・けど中には誰もいなかった。朝と様子は依然変わりなく・・・見当はずれ・・・?
ということは自室にでもいるのだろうか。寝室のドアを閉めた後、そっと足音を忍ばせて私はパチュリー様の自室へと向かった。
扉の前に立ち再びそっとドアに耳をあてる。・・・何やらカチャカチャとガラスの擦れる音が聞こえる。どうやら何かなさっているようだ。
じゃあ、邪魔してはいけない。私は再び忍び足で机のところまで戻った。
パチュリー様が日頃使っているわけではない普通の椅子を一つ持ち上げて、再び静かにパチュリー様の自室の前まで戻った。
ドアから少し離れた壁にくっつけるように椅子を置いて腰掛ける。パチュリー様に何か事があってはいけない。
爆発音とか倒れる音がしたらすぐに駆けつけるためだ。まぁパチュリー様に限ってそんな事は無いと思うのだけど。
ほら、急に喘息の発作を起こすとか、・・・喘息を起こすとか。喘息を起こすとか。何かあるかもしれないし。うん。
自分に言い聞かせるように頭の中で呟くと、私は少し眠ることにした。
正直な話クッキー焼いたら少し疲れてしまった・・・。


カタン、という誰かが席をたったような音が壁を通じて聞こえてきた。
・・・あれからどれだけ時間が経ったのだろう。時間を知る術がないからか、少し想像がつかない。
まぁ私の体内時計は重要じゃなくて、パチュリー様の体内時計が一番重要な訳だけど。
トットットと床を歩く音が響き、カチャリと扉が開く。
私も合わせて、立ち上がって椅子を持ち上げると、パチュリー様がつかれた顔で出てきた。
「大丈夫ですか?」
ふと声をかける私に今気づいたのか、少しだけ驚いたような顔でこっちを向いて、安心したように力なく微笑んだ。
「大丈夫よ。それより少しお腹が空いたわ。何か・・・あるかしら。」
凄い疲れたように言うパチュリー様に昼頃焼いたクッキーの事を伝えると、嬉しそうに机の方にゆらゆらと向かって行った。
私も一緒に食べるために、椅子を持って机まで戻る。机まで戻ると、私が用意していたクッキーのお皿とは別に
少しだけ豪華な料理が私のクッキーと一緒に虫よけに守られて置かれていた。・・・手紙が挟んである。
[昼間の食器と併せて、使用後の食器は適当にお近くのメイドに任せてください。]
・・・咲夜さんの字だ。そういえば昼間のサンドイッチの食器もお礼も返して無い。
わざわざ夕食を作って、本人に持ってきてもらったのに失礼なことをしてしまったなぁ・・・。
・・・というかもう夜なのか。その手紙をパチュリー様にも見せると、
「後でちゃんとお礼言っておいてね?」
そう言われてしまった。・・・反省します。
一度強くうなずくと、私はパチュリー様と席についた。
虫よけを外して、料理を食べる。
「あぁ、クッキーは食後にいただいていい?」
そう言うパチュリー様に私は料理を口に入れたままゆっくりと頷いた。
・・・そこまで一度に食べられるんだろうか。
パチュリー様は布の下に今だ守られているクッキーの量を知らないからそう言ってしまったのだろう。
・・・三人分あるからなぁ。無理はさせないようにしないと。
「でも、残ってしまったらまた明日食べさせてね?」
そう後付けで言うように言うパチュリー様に、私はあらためて首を縦に振った。

二人で食事を食べた後、その食器を持って廊下に出ると、ちょうどよく一人のメイドさんに出会ったので、
昼間の食器と夕食の食器を預けて、
「咲夜さんにどうか、ありがとうとお伝えください。」
と言うと、一度だけこくりと頷いて、暗い廊下の中をふよふよと飛んで言った。
・・・少々不安だ。後日改めて自分の口からちゃんとお礼を言っておこう。
再び図書館の中に戻って机まで戻ると、パチュリー様が眠たそうな目でクッキーを食べていた。
「今日は何をなさっていたんです?」
私もクッキーを手にとって食べつつ、パチュリー様に尋ねる。
「ちょっとした研究。もう9割終わってしまったわ。あとは実験だけなんだけど・・・今日はもう疲れちゃった。」
眼を閉じてぽりぽりとかみ砕きながらパチュリー様が答える。
「今日はお休みになります・・・?」
つづけて私がそう尋ねると、しばらくして喉がこくりと上下して、
「・・・うん。」
返事があった。・・・今にでもこのまま寝そうな程に消え入りそうなお返事。
そう思いながらクッキーをくわえつつパチュリー様の顔を眺めていると、そのままこくりこくりと頭が揺れ始めた。

・・・本当に寝てしまった。そこまで根をつめてまで何の研究をなさっていたのだろう。・・・気になる。
私はクッキーの皿を静かに片付けると、パチュリー様の寝室のドアを開けに行った。
寝室の用意は・・・整っている。おそらくは咲夜さんの仕業・・・もといおかげなんだろう。
ドアを開けたまま、飛んでパチュリー様のところまで戻ると私はそのままパチュリー様を抱えて寝室へと入り、
パチュリー様をベッドへと寝かしつけると、私は照明を落として部屋を後にした。
お休みを邪魔しないよう心の中で「おやすみなさいませ」と告げる。勿論聞こえはしないのだけど。
出そうになる欠伸を我慢しながら、私も明日へと備えるために自室に入りベッドへと潜った。
柔らかいベッド。私用のベッド。・・・さみしい。
「おやすみなさい。」
こんな部屋で誰に聞こえる訳でもないけど、自分が寝ている枕に向かって私はそう言った。


私の朝は遅い。紅魔館のメイドさん達はもう起きて仕事を始めているし、
それよりも更に早く咲夜さんが早く起きて仕事をしている。・・・咲夜さんよく体壊さないよね。
でもこんな私はパチュリー様の起床よりは早い。当たり前だ。私こそがパチュリー様のお世話をしているんだから!
・・・昨日みたいなこともありますけど。
何はともあれ、私がする事というのは沢山あるものです。
一番最初にするのは水差しの水を新しくすること。次にお薬の確認。
程々に温めてある新しい着替えの準備。寝汗を拭く為の程良く温めた濡れタオル。
部屋に持っていくものを指さしで確認すると、私はそっとパチュリー様の寝室のドアに手をかけた。
「ぅ・・・ぅう・・・」
私の耳にうめき声が届く。急いでドアを開けてベッドに駆け寄る。
パチュリー様がガタガタと震えながら自分の肩を抱いている。・・・凄い汗だ。
おでこにそっと手をあてる。熱があるわけでもない。・・・室温も正常だ。
ということとなると・・・?何だろう。悪い夢?
額にのせた手を未だ自分の肩を抱いている手に重ねて、耳元で囁く。
「大丈夫ですよ。私がついてますよ。」
同じ言葉を耳元でゆっくりと囁き続ける。
・・・やがてパチュリー様の震えが少しずつおさまり、そしてゆっくりと止まった。
「私がついてますから。・・・もう朝ですよ。どうか起きてください。」
パチュリー様のまぶたがゆっくりと動く。涙が溜まっていたのか、眼尻からぽたりと零れ落ちた。
パチュリー様の眼が開いたのを確認すると、私はパチュリー様の背中に手を入れて上半身を起こした。
「大丈夫ですか?」
背中に入れた手ににじむように伝わる汗を感じながら、私が尋ねた。
ややあって、パチュリー様の口から漏れる短い溜息。
「・・・嫌すぎる夢だわ。本当。」
ぐぐっと私に倒れこむように体重をかけつつそう呟くパチュリー様を受けとめながら、
私は用意していた濡れタオルを手に取った。
「じゃあ汗と一緒に気分も流してしまいましょう。」
パチュリー様に両手を上げさせ、ゆっくりと服を引き抜いて行く。・・・というかゆっくりとしか引き抜くことが出来ない。
凄い汗だ。まだ少し震えているし・・・。パチュリー様から剥ぎとっていく服はとても重く感じた。
露わになった背中から濡れタオルで拭っていく。タオルの持ち位置を変える度に、汗のにおいがふわりと漂う。
腕や肘、脇、胸からお腹までできるだけ満遍なく拭いて行く。・・・流石に全部拭き終わる頃には
パチュリー様も落ち着いていただけたのか、目つきもしっかりしてて震えも完全に止まっていた。
タオルを置いて、今度は着替えを着せる。やっぱり汗が原因だったのか、さっきと比べるとすんなりと服に体が収まっていった。
「汗をたくさんかいてらしたので、まずはこれを。」
とりあえず水差しからコップへと水を移してパチュリー様に手渡す。
私もパチュリー様の横に座って、ちゃんと水を口にしたのを確認してから、尋ねた。
「どうか差し支えなければ、夢の話をお聞きしたいのですが。」
そう言うと、パチュリー様がゆっくりと口を開いた。
「この広い図書館で一人になる、そんな夢よ。」
なんだかいつも通りな気がするんですけど。
「確かに広いですけど、出口を開ければすぐ紅魔館じゃないですか。」
「・・・そうね。夢の中では出口の扉の事なんて頭になかったけど。図書館って本を読むための場所で、
本を保存するための場所で、本を楽しむ為に静かであるべき場所。その中で完全に一人。あなたもいない。」
水差しからパチュリー様の握るコップに水を注ぎつつ、お話を聞く。
「本を読むのには最適の環境なのかもしれない。実際その夢の中で私は本を読みふけっていたわ。」
「日頃と同じじゃないですか。読みふけっているのは。」
「そうね。でも、誰も私を止めようとしない。」
「夢中になってるところを止めたら、今良いところだって聞かないじゃないですか。」
「そうなんだけど、なんていうのかしら。誰も邪魔をしないというのは良い事なのだけど、
何か、大事な何かがスッポリと抜け落ちているというか。その時に感じたのは猛烈な違和感ね。理想との。
・・・なんていうか、本当に自分以外誰も居ない空間で。」
「・・・つまりは寂しかったんですか?」
「・・・平たく言えば。それに誰かに自分の存在をしっかり気にかけてほしかったのかもしれない。
誰も居ない図書館で一人ただ延々と本を読むという行為が、時間の彼方に置き忘れられた存在みたいに自分で思えたのかしらね。」
「この図書館にも、館にもそんな方はいらっしゃいませんよ?」
「そうなのかもね。・・・でも夢の中では一度それを考えだすともう止まらなくて、
自分以外が居ないことが怖くて、寂しくて。・・・そんな中をずっと彷徨ってたのよ。」
かくりと肩を落としてまた落ちこむパチュリー様の肩を抱く。こういう時パッと言葉が出てくればいいのだけど。
「まぁ、少なくとも図書館ではパチュリー様には私がついてますから安心してください。」
どうしようもなかったので、思いつくがままに適当に合わせた。
・・・案外に効果はあったようで、口を閉じたままパチュリー様が少しだけ笑った。
肩を抱いたまま立ち上がって、一緒にパチュリー様を立たせる。
「じゃあ、朝食にでもしましょう。」
「そうね。昨日のクッキーと紅茶、よろしくね。」
横でパチュリー様が大きく伸びをしながら答える。・・・昨日あんな状態だったのに覚えててくれたんだなぁ。
私はパチュリー様より一足先に図書館の机にクッキーを出しに戻って、そのまま紅茶を淹れに行った。


せわしなく紅茶の準備へと向かっているのだろうあの子の背中を眺めながら、
出して貰ったクッキーのお皿に手をつける。ちゃんとよく保存されていたようで、
ポリポリという音が歯を通じて耳に響く。昨日は食べると言ったのに気がついたら寝てしまっていた。
・・・うーんしかし流石に朝食がクッキーだけじゃ不味いか。・・・いや美味しいんだけど、元気が出る!とは少し言い難いわよね。
後で何かあの子に頼もう。何か適当に元気になりそうなものでも。

ティーセットを携えて笑顔で戻ってくるあの子が紅茶を注ぎ席に着くのを待ってから、
私は自分のために注いでくれた紅茶へと口をつけた。口先から体の中へと、熱い流れが走っていく。
・・・やはり目覚めの1杯というのは重要だなとこの瞬間はつくづく思う。この一瞬だけは、
今日はこれだけで一日過ごせるんじゃないかという程の充足感に似た満足が頭の中によぎるほどだ。
しかし、喉元過ぎれば熱さを忘れるといったところなのか、やはりすぐにそんな感覚は無くなってしまうのだけど。
まぁ、嫌な気持ちを軽く飛ばすための手段としてはこれほど便利なものはそう無いんじゃないだろうか。

「良かった。まだ湿気を吸ったりはしてませんね。」
ポリポリとクッキーを砕きながらあの子が笑う。
「流石にクッキーだけでは体の調子を崩してしまいますし、お昼には何か栄養のとれたものを食べましょう。」
砕いたクッキーを喉を上下させ飲み込んで、あの子が付け足した。・・・やっぱり同じことは考えていたか。
その言葉に紅茶を飲みながら頷いて返すと、あの子もただ一度小さく笑いながら頷いた。
最初はお皿いっぱいにあったクッキーも、食事として食べたからかすぐに全部無くなってしまった。
皿を片付けるために席をたったあの子の後ろ姿を眺めながら、まだ読みかけの本を手にとって開く。

静かな図書館に、パラリパラリと本をめくる音が流れる。
ふと本から眼を外して、この図書館の中を眺め、耳を澄ませた。
ずらりと並ぶ本棚、おびただしい数の本。そして、澄ませてもまるで物音の聞こえない空間。
・・・いや、正確に言うならば自分の心音が体に響いてしまう程度に静か、といったところなのか。
ほんのりと寒気が背中を襲う。・・・ここは夢の世界じゃない。本へと視線を戻して読書を再開する。
「・・・ダメね。まるで内容が頭に入ってこない。」
とりあえず一人呟いてみるも、それに返す言葉はない。本に栞をはさみ、畳んで机の上に置いた。
まだ夢の事を引きずっているのだろうか。・・・いや引きずっているから頭に入ってこないのか。
頭を軽く振って、パチパチと自分の頬を軽く叩く。
「・・・そんなに叩いては綺麗な顔が腫れちゃいますよ?」
ふと、遠くの本棚の影から声が響く。・・・あの子だ。思わず安心して溜息を吐いた。
「咲夜さんに昼食のお願いをしてきました。しばらくしたら届けてくれるそうです。」
あぁ、だからなかなか帰ってこなかったのか。
私の顔を見て少しだけ不思議そうな顔をするあの子を手で促して、机の反対側に座らせる。
・・・とりあえずは気分を紛らわせたかったのだが、いざとなると話題が自分の頭の中に沸いてこない。
知識はこの子よりも沢山持ってるのに・・・。
「そういえば、昨日はどんな研究をなさっていたんです?」
話題を出せずにまごついていると、あの子からそう尋ねられた。
そういえば研究の事をすっかり忘れていた。・・・私肉体面だけじゃなくて
これじゃ精神面も強くしないといけないわね。ちょっと自信あったのに。
・・・さておき昨日の研究はあと一歩のところまで来ている。問題は実験が済んでいないことだけだ。
「今夜、お披露目するわ。・・・ということで、今晩・・・その、いいかしら。」
あの子に向かって声をかける。・・・なかなかに不純な動機でした研究でもあるから、
正面きって正直なことが言えなかった。いつもこんな言い方をするからか、あの子もすぐに理解してくれたようで、
「分かりました。準備しておきます。」
と、小さく微笑みながら答えた。

しばらくあの子の様子を伺いながら椅子に身を持たれかけていると、
コンコンとドアをノックする音が図書館の中に響いた。
「昼食をお持ちしました。」
咲夜の声だ。流石に仕事が早い。・・・私が読書に没頭していた、というのもあるのかもしれないが。
「ありがとう。入ってもらえる?」
私がドアの方へ声を響かせると、程なくして咲夜が料理を台車へと乗せて入ってきた。
二人して机についている私たちを見て、
「お待たせしてしまったようで、申し訳ありません。」
と謝った。・・・そういうわけではなかったのだけど。
「話をしてただけだから、気にしないで。」
私がそう告げると、少しだけ微笑んでお皿を机の上へと並べた。
・・・流石にメイド達を支えるだけあって、恐ろしいほど手際よく料理が二人の間に並んで行く。
最後に確認するように食器を私たちに渡しながら、咲夜が口を開いた。
「それでは、食後の食器の方はお近くのメイドへ。・・・何かありましたら今承りますが。」
「じゃあ、頼んでばかりで申し訳ないけど、湯浴みができるように準備してくれると嬉しいんだけど。」
私がそう頼むと小さく首を縦に振りながら、咲夜があの子の方を向いた。
「貴女も何かある?」
するとあの子もふと何かを思い出したかのように答えた。
「ドリンク剤が余ってたらまた頂けたらと思うのですが。」
ドリンク剤か。・・・私も貰おうかな・・・。咲夜の懐からあの子の手に渡っていく小さな瓶を眺めながら、
「・・・私も貰っていい?」
そう尋ねると、二人とも驚いたようで、特にあの子は受け取ろうとした瓶を落としかけた。
咲夜も、もう一瓶懐から取り出すと、私に手渡した。
「・・・お昼過ぎから何か大変な作業をなさるのでしたら手伝いに来たほうがいいですか?」
少し不思議そうに尋ねる咲夜に今度は二人してたじろいだ。
「いや、大したことじゃないから心配しないで。」
「そ、そうですよ。咲夜さん忙しいんだし。」
・・・二人して返事をしたからか、咲夜が相変わらずやや不思議そうな顔をして首をかしげつつ、
「分かりました。ではお風呂の方はお二方が貸し切れるように手配しておきますので後ほどお越しください。失礼します。」
そう呟くと、静かにドアの方へと消えて行った。
・・・妙な空気と、お皿から漂う小振りなハンバーグとそのソースの匂いが二人の間に漂う。
「とりあえず、食べましょう。」
私が瓶をしまいながらあの子に話しかけると、あの子も懐に瓶をしまいながら、食器を手に取った。
今日の昼食は、ハンバーグとサラダ。パンからも焼いた後の独特の香ばしい匂いが漂ってくる。
私も食器を手に取ると、待っていたのかあの子もそれを見てからハンバーグへとナイフを刺した。

カチカチと、食器と食器が擦れる音、あの子が美味しそうに食べる音が、そして一緒に食べる私の食器の音が図書館の中に響く。
図書館の中で食事ってどうなんだと言われそうだけど、それでもここはあくまでも図書館だ。
・・・匂いがそう簡単にうつったりするほど、本棚と机が近くないしね。
まぁ、レミィ達と一緒に食べるならここじゃなくてもいいんだけど。

ホクホクに口の中で解けて行くハンバーグを食べながら、今日の予定を考える。
とりあえずは食後に少し休憩を入れてあの子と湯浴みに行こう。
今朝あの子に拭いてもらったけど、やっぱり一度早いうちに完全に洗い流してしまいたい。
・・・ある意味の自己暗示なのかもしれないわね。
そのあとは・・・あまり体力を使わないようにしないと。ドリンク剤も早めに飲んでおいたほうがいいわね。
あの子とキスした時に変な味だなんて思われたくないもの。
・・・今夜の食事は少し早めにしてもらおうかしら。その方が誰も図書館に来ない状態を作りやすいのだろうし。

・・・うん。
お皿の料理を平らげて私が食器を置くと、あの子も私と同じペースで食べていたのか
あの子もすぐにそっと食器を置いた。
「ごちそうさまでした。」
「ごちそうさま。」
「じゃあ、早速ですけど食器をお渡ししてきます。」
ヒョイヒョイとお皿を踊るようにかき集め、扉へと向かうあの子に
「休憩したら湯浴みに行くから着替え準備しておいてくれる?もちろん貴女のも。」
そう伝えると、歩きながら顔だけ少し後ろに向けて、
「後ほど持ってまいります~。」
そう言って図書館の外へと消えて行った。

しばらくして返ってきたあの子を連れて浴場へと足を運ぶと、
着替え場に入れば既にどこか温かい空気が包んでいた。・・・まぁお湯のせいなのだが。
「お着替え手伝いますよ~」
あの子が後ろからそっと肩に手を置く。
「着替えに手間取りそうな服というのは貴女みたいな服だと思うんだけど。」
ふと思ったので、前を向いたままそう言うと
「それを言われると身も蓋もないんですけど。」
おそらくは少し苦い顔をしているのだろう。こんな空気の中にほんの少しだけ乾いた笑いが耳元に聞こえた。
そのまま彼女を促して服を脱がせてもらう。
相変わらず自分の服の着脱のし易さは立っていればそれこそ楽というのがいい。
ひっかからないし、素材に無理がかからないし。・・・まぁ神社の巫女程じゃないのかもしれないけど。
テキパキと動く手に任せて、するりするりと衣服を脱ぐ。
下着に手をかけられたところで私はその手を掴んだ。
「それくらいは流石に自分で脱ぐわ。」
「・・・わかりました。」
私の下着からすっとあの子の手が下がる。ふと後ろを向いてみると、
私の着ていた服を畳んで籠に置いて自分の服を脱ぎ始めた。
そーっと足音を忍ばせて後ろから肩に手を置くと、驚いたのかびくっと手のおいた肩が飛びあがった。
「手伝うわよ。」
「そんなお手を煩わせるのは・・・。」
ええい。往生際の悪い。上と下が一応あるとはいえそこまで短い付き合いでもないのに。
「・・・迷惑だった?」
できるだけ弱弱しい困ったような声で後ろから囁きかける。
「あ、いえ・・・そんな訳ではないのですが・・・。」
その声に対して、もぞもぞとゆれる赤い髪の向こうから同じように困った声が聞こえた。
「じゃ、いいわね。」
口調を戻してそう言い放つと私は服に手をかけた。
・・・観念したのか少しだけ小さい溜息をしてしぶしぶとあの子が両手をあげる。
こんな安い芝居でも引っかかってくれるのだから私としては嬉しいのだけど、あまりからかい過ぎるものではないか。
最後あの子が下着一枚までなったところで私は彼女の背中をトンと弱く押した。
「じゃぁ、先行ってるわよ。」
くるりと踵を返して浴室へと向かうと、扉の前まで着いた時に
「ぱ、パチュリー様!」
少し大きい声で呼びとめられた。・・・最後の一枚まで脱がして欲しかったのかしら?
くるりと首だけ後ろを振り返ると、既に裸になったあの子がなんとも言えない顔で私の下腹部を小さく指さしていた。
・・・。
そのまま歩いて籠の前まで戻ると、私は下着を脱いで改めて浴室への扉を開いた。

もわもわと温かい空気・・・もとい湯気が体を包む。
勿論掃除は行き届いているのでこんな湿度の高い場所でもカビや汚れは全く無い。
・・・もっとも、あったら大問題でもあるんだけど。
立ち上る湯気の中を歩いて、奥に置かれている椅子に一旦お湯をかけてから座る。
「お願いしていい?」
たぶん後ろで立っているであろうあの子に声をかけると、
「眼、つぶっててくださいね。」
その一言の後に頭からお湯をかけられた。
うーん・・・少しお湯が熱いような気もする。まぁ最初だからか。
口と目を閉じて待っていると、髪の上にぬるりとした感触が垂れた。
にゅるにゅるとあの子の手が私の髪を滑りわしゃわしゃと泡立てる。
流石に自分でも・・・まぁ彼女のもだが髪の毛が長いとお風呂での手入れが大変だから
頼んでやらせると凄い楽だ。髪を通じて頬、顎・・・首へと細かい泡の塊が落ちてくる。
あったかい細く長い指が私の髪の毛をくぐって頭を撫でる。
髪が皮膚が傷まないように、痛まないように、指が皮膚をなぞる。
あんまり強すぎても確かによくないけど、なんだか少しくすぐったい。
・・・しかしここで口を開いて泡が口に入るなんて構図は嫌なので黙っておこう。
指がどんどん髪の間を流れて行き、しばらくたったころだろうか、不意に後ろから声がかかった。
「洗い流しますから、閉じてるとは思いますが気を付けてくださいね。」
確認するように耳元で囁かれた後、再び頭から湯をかけられた。
泡の塊なんだろうと思われるものが頬を伝ってぽたぽたと膝元へ落ちて行くのがわかる。
何度か湯を浴びさせられた後、ポンポンと肩を叩かれ
「終わりましたので今度は体を洗いますね。」
そう言われたので、私は背を向けたままうなずいた。
・・・きっとスポンジを泡立てているのだろう、もしゃもしゃとした音が後ろの方から聞こえる。
「・・・洗わなくてもすべすべしてそうなんですけど。」
「褒めても今は垢か汗くらいしか出ないわよ。きっと。」
後ろから聞こえる声にそう答えると、小さく笑い声が聞こえ肩にスポンジを押しあてられた。
「じゃあ洗いますね。」
「うん。お願いするわ。」
そう呟くと肩に置かれたスポンジにぐっと力が入りスポンジが肌の上を滑った。
にゅるりとした、泡とスポンジの感覚が胸を襲う。
「・・・そういうのって背中からするもんじゃないの?」
ごしごしと胸を洗われながら、後ろに声をかけると、
「こうすれば汗と垢以外に驚きの声も漏れ出るかと思いまして。」
・・・なかなかに無駄な理由だ。確かにまぁ、少しだけ驚いたのは驚いたけど。
うーん。適当に後で仕返しでもしておこうかしらね。
そんな事を考えているうちに、肌を滑るスポンジが胸のしたまで滑り降りてきた。
・・・もともと無理矢理前を洗い始めたのが原因か姿勢に無理があったのか、
泡で濡れた腕が胸の上を滑り、擦っていく。・・・なんだか遠まわしに胸を揉まれているような気がするのは
私の気のせいだろう。・・・たぶん。

少しして、姿勢に無理があることを感じたのか、すっと手が抜かれると、今度は首すじを洗われ始めた。
スポンジが踊るように私の顎の下を撫でる。皮膚があまり強くない部分でもあるからか、
抜いた力のせいでやはり少しくすぐったい。・・・といってもそんな事を考えているうちに、スポンジは今度は背中へとまわっていった。
たぶん今までで一番強いだろう力が籠って背中がゴシゴシと擦られる。
「ちょ、ちょっと強いわよ?」
後ろのあの子に対してそう口を開くと、
「今朝は汗ひどかったですから・・・。」
そうささやかれた。・・・確かに朝は夢のせいで酷い汗をかいた。
思えば・・・背中にも凄い汗をかいたような気がする。だからか。
背中の中ほどまでスポンジであらわれた後、すっと腕を持ち上げられた。
脇の間にスポンジが潜りこんでくる。
「ひゃっ」
・・・出したくなくてもくすぐったいと声が出てしまいそうになる。・・・いや、でたんだけど。
それでも、もぞもぞと脇の下をスポンジがくすぐる。
「ここも汗かきますからねぇ~」
・・・文句を言おうとしたら、先に歯止めをかけられてしまった。
そのままスポンジが二の腕を通り、腕を擦り、撫でて行く。

・・・なんだかんだいって、他人に洗ってもらうというのは楽ではあるけどやはりくすぐったい。
反対側の脇や腕も洗われながら、そんな当たり前の事を考えていた。
腕を洗い終わったスポンジが、再び背中へと戻り、残っていた背中の下部分やお尻の上の方を擦り終わった後、
そのままずるりと手が腰を通って前まで滑り込んできた。
「そ、そこは最後でいいわよ!」
叫ばないと聞こえないわけでもないけど思わずちょっと大きい声が私の口から漏れた。
「では最後にちゃんと洗わせていただきます。」
後ろから笑うように声がかかり、すっとスポンジが引いた。
・・・なんで私は、自分で洗うからと言わなかったのだろうと少しばかり後悔した。
ピタピタと歩く音が聞こえて、くるりとあの子が横を通って前にしゃがみこんだ。
「では足、失礼しますね。」
ひょいと足首を掴まれて、持ち上げられる。
そのまま足の裏にスポンジが滑りこんでくる。洗い方は確かに適切なんだろうけど、
やはり首と違って脇やここはどうも耐えるようにはできていない。
・・・くすぐったい。声が漏れるのを我慢すると肩が震えた。
その様子に気づいてか、ふと足を見つめていた顔があがり、私の顔をじっと見つめられた。
すぐにニヤリとして、
「寒いんですか?」
と聞かれた。・・・本心を分かっているからこう言っているんだろうが、
少しだけ不満の気持ちを顔に出すとくすりと笑って、
「ではできるだけ早く終わらせるのでもう少し我慢してください。」
そういって今度は反対側の足首を手にとられた。
ほんのつかの間の平和な時間が過ぎ去って、再び足の裏をくすぐったい感触が背筋まで襲ってくる。
腕をきゅっと組んでそれに耐えていると、そのまま足首、ふくらはぎへとスポンジがあがってきた。
「ふぅ」
思わずこらえていた息が私の口から漏れだす。・・・くすぐりはやはり拷問だ。
足首を支えていた手を下ろされた時はそう思った。
「じゃ、立ってください。あしを少し広げて。」
すっと彼女が立ち上がり、ペタペタと床を歩きながら後ろへとまわり、再びしゃがみこんだ。
後ろにまわる必要はあるんだろうか、と思ったけれど、
そのままの状況で自分が立ち上がった時の事を考えるとなんとなく理解できた。
すっと置いてある椅子から少しだけ足を開いて立ちあがると、
ももや膝の裏にごしごしとスポンジが押しあてられた。
・・・やはり自分で洗うと先に言えば良かった。
そう後悔しているうちに、腿も洗い終わり、お尻をスポンジでごしごしと擦られる。
軽くある程度終わったころであろうか、彼女がすっと立ち上がった。
そのまま少し歩いてぴったりと後ろにくっつくと、スポンジを持っていない方の腕でぐっと腰を掴まれた。
ひょいっと私の顔の横にあの子の顔が現れる。
「ちょっと、何をするの?」
私が横を向いてそう尋ねると、
「できる限りスムーズに洗うためです。」
そう言いながら、スポンジが前の方に潜り込んできた。
思わず閉じそうになる足にぐっと太ももを挟まれ拒まれてしまう。
あしの付け根の間をスポンジが優しく滑っていく。
少しずつ擦られていくうちにだんだんと膝の力が抜けてくる。
膝に力が入りきらなくなり始めそうになってきた頃になって、腰にまわされた手にぐっと力が籠った。
「はーいもうちょっと我慢してくださいね。」
・・・楽しそうだが力を入れているからか、ちょっと声にも力が入っている。
・・・変な声が漏れそうになるのを自分の手で口を覆って耐えていると、ぐるんと、私の向きを180度かえられた。
思わず倒れそうになるが、ぐっと彼女に支えられる。
今度はお尻のほうから足の間へとスポンジが滑りこんでくる。
姿勢を保つためでもあったのだけど、彼女にすがりついてなんとか倒れないように耐えていると
しばらくしてスポンジが抜かれた。
「じゃあ流しますから、・・・ゆっくり腰をおろしてください。」
そう言って再び椅子に座らされる。・・・膝が言う事をうまく聞いてくれない。
お腹の前で手を組んで座っていると、肩口からお湯が流れてきた。
あたたかいお湯が肌の上に残った泡をどんどん床の上に流し落としていく。
変にあがってしまった息を整える頃には、足の先まで洗い流されていた。
「・・・立てます?大丈夫ですか?」
・・・自分でやっておきながらそんな声がかかる。
すっと横から差し出される手を掴んで立ち上がると、湯船まで誘導された。
「足元気を付けてくださいね。」
そう言いながら私を湯船の中まで手を引いて案内すると、
彼女も体を洗いに私が座っていた場所まで戻っていった。
湯船の中を移動して、湯船のふちへと腕と上半身をもたれかける。
「貴女の髪洗ってあげられそうにないわね。」
髪に湯を浴びて、洗い始めているあの子にそう声をかけると、目をつぶったままこっちを見て、ゆっくりと首を横に振った。

シャカシャカとあの子の指が髪の間を踊って、髪の毛を白く包んでいく。
・・・まぁもっぱら、髪よりも髪を洗おうと動く度にぷるぷると揺れる胸の方に目がいってたのだけど。
そんな事、目をつぶって洗っているあの子にはわかる事はないんでしょうね。
テキパキと・・・というか私の髪の毛よりあんまり時間かけないのね。どんどんと髪の毛を洗っていく。
髪の先まで洗いあげると、目をつぶったまま手探りで置いていたスポンジと石鹸を手に取った。
眼をつぶったまま、もしゃもしゃとスポンジを揉んで泡立てると、すっと立ち上がって体を洗い始めた。
・・・段々と、肌色の肌が白い泡の服に覆われたように包まれていく。
こうして見てみると、全裸よりも何か趣を感じるものだと思ってしまう自分がいるというのが少し嘆かわしかった。
何を考えているんだろう。私は。・・・けどこうして見ていると、体つきは整っているからか、
日頃思う可愛いという印象よりは綺麗という言葉のほうが似つかわしいな、とかそんな風に考えてしまう。
・・・まぁ、眼をつぶりながら洗っている彼女にはそんな事を考えながらみつめている私に気づいてはいないだろうけど。

他人の体と自分の体は違うのか、そもそも勝手が違うからか、
やっぱり自分で洗っていくあの子はテキパキとしている。・・・まぁ私も自分で洗ったらあんな感じだけど。・・・たぶん。
ぐっと体を前におって、足先から膝、腿まで洗いあげると、体を起こしてすっとスポンジを股の間へと入れた。
ふと、視線を表情に向けると、なんだやっぱり私と同じような表情をしているじゃないか。
・・・いや、自分はもっとみっともない表情をしてたのかもしれないけど・・・。
なんだかんだこの際だからとニヤニヤしながら眺めていると、お尻まで洗い終えたのかスポンジを置いて
洗面器を手にとった。
体を起こしてぐるりと湯船の内側へと静かに向きを変えると、
流れおちたお湯が床を叩く音が聞こえた。
何度だか、数えはしなかったがしばらく流れ落とすためであろう音が聞こえた後、
ペタペタと床の上を歩く音が聞こえた。
すっと、私の横に足がおりて、彼女が湯船に入ってくる。
「お疲れ様。」
私の横に座る彼女にそう声をかけると、にっこりとほほ笑んだ。
「この時間だとゆったり使えますね。」
そう言われて、改めてこのお風呂場の中を眺める。
確かに普通の家とはレベルが違う広さであるから、なるほどそうだと思う。
・・・時間によっては妖精メイド達も居る事を考えると、なるほど貸切というのは凄い嬉しい事だ。


そのまま広いお風呂場でぴったりと寄り添って体を休めた後、
私達は浴槽から体を引き揚げた。
着替え場所まで戻ると、流石に浴室の中とは違い他の場所に比べてあたたかいとは言えど
ほんの少し肌寒かった。あの子が慌てて体にタオルを巻いて、いくらかのタオルを手に持って私のところまで戻ってくる。
「湯ざめしては大変ですから」
1枚はばさりと頭にかぶせられた。・・・まるで捕まった囚人を運ぶ時のような姿なんだろう。
もう一枚のタオルで、体を素早くふいていく。
湯ざめさせないためといえど、急いでいるからかちょっと痛いような気もするけど・・・。
そう思っているうちに、足の先まで拭かれて
「はい、パチュリー様。」
そう言われて新しい下着を渡された。
受け取って下着を身につけると、かぶせていた頭と髪の毛をもふもふと簡単に拭いて、取り去った。
「ばんざいして貰えますか?」
その言葉に従って、両手をあげると、ふわりと服がかぶさってきた。
自分自身の手で誘導しながら、服を着て行く。・・・思えば彼女自身も湯ざめしてしまうではないか。
そんな事を思いながら服を着終えると、髪の毛をすっと持ち上げられて、
服と髪の毛の間にタオルをさしこまれた。タオルの端を肩口にかけられる。
「少し、そちらで待っていただいてもいいですか?」
すっと手を差し出して、部屋の壁際の鏡台、その椅子を指さされる。
指示されたとおりに椅子に座って、くるりと向きを変えると、
彼女も体を拭き出したようだった。
あまり丁寧に拭いている時間がないからか、ぽたりぽたりと彼女の髪から床へと滴が落ちて行く。
体を拭き終えたタオルで、髪の毛の下の方を軽く拭うと、彼女は衣服を手に取った。
私もたちあがって、手伝いに行く。向こうもこちらの動きに気づいたのか口を開いた。
「お休みになられてても大丈夫ですよ?」
そう言いながらゆっくりとほほ笑んだ。・・・でもその服が着易いものなのか、といえば既に私は知っている。
「髪を洗ってもらったお礼くらいしてもいいでしょう?」
そう言うと、小さく笑って
「・・・ありがとうございます。」
そう言いながら、彼女が後ろを向いた。
彼女が着易いように服を支えながら、彼女が衣服を身にまとうのを手伝う。
やっぱりこうしていると私自身の服の着易さというのがわかる。実に便利。理にかなっている。うん。
彼女が服を着終えると、私達は鏡台へと戻った。
「首筋が冷えてはいけませんから。」
そう言いながら、彼女が私を座らせて、背中にまわしてあったタオルを引いて私の髪を拭きはじめる。
「それは貴女とて同じことだと思うんだけど?」
そう呟くと、鏡ごしの彼女が笑って
「パチュリー様に比べたら体力があるという自信はありますから」
そう答えられた。・・・ぐぅの音もでない。
とりあえず両手を少しあげて、肯定すると彼女が再び髪へと視線を戻して拭き始めた。
柔らかいタオルが、首すじを、髪の毛を包むように拭いて行く。
完全に水気がなくなるまで拭くことができないのは勿論知っているけど、こうして拭かれると
そうなるんじゃないかというくらいにゆっくりと丁寧に上から下へと拭いて行く。
下まで拭き終わったところで私は手をあげて彼女を止めた。
「交代よ。」
そう言うと、鏡ごしの彼女が一瞬少しだけ驚いたように見えた。・・・といってもすぐ笑顔になったのだけど。
私が立ち上がって、くるりと向きを変えると、あの子がぺこりと頭を下げた。
そのまま、彼女が椅子へと腰をかける。
私は新しいタオルを手に取ると、彼女の頭にかぶせた。
・・・といってもあまり他人の髪の毛を拭くという事に関しては慣れているものではない。
だから、自分だったらこう拭いてほしいかもしれないなと思う範囲で、ゆっくり丁寧に拭いて行く。
声こそ出さなかったけれど、あの子が嬉しそうに足を少しパタつかせたのか私にも嬉しかった。
なんだかんだで髪の毛は水をすごい吸うからか、度々タオルの位置を持ちかえて、ゆっくりと下まで拭き終えると、
「ありがとうございます。」
そう言って彼女が立ち上がった。すっと差し出された手に気づいて、タオルを手渡すと、
今までつかってきたタオルをまとめて、籠の中へと入れに行った。
・・・こうしてみてみると二人で使ったとは思えないタオルの量な気がするが、置いておこう。
簡単な片付けを済ませて彼女が戻ってきた後、私達は図書館へと戻った。

図書館への扉を私が開けると、
「そうだ!」
と後ろで彼女がポンと手を打った。
何かな?と思って後ろをふと見ると、ニコニコ笑いながら、
「寝室で待っていていただけますか?」
そう言い残して図書館の中の自分の部屋へ向かって駆けて行った。
何だろうか。そう思いつつ、歩いて自分の寝室へと向かうと、あの子が私のベッドの上で正座していた。
「それで、なんだったの?」
後ろ手にドアを閉めて、ベッドに腰掛けると、彼女がごそごそと服から物を取り出した。
「ついでに耳掃除しましょう!」
すっと彼女が取りだしたのは後ろにポンポンがついた耳掃除用の棒。
何だか凄い楽しそうに見える。彼女がニコニコしながら、ポンポンと自分の腿を叩くので
私は言葉・・・いや、仕草にか。従って彼女の膝の上へと頭をおろした。
むにむにとした弾力が頬や耳を押し返してくる。・・・心地よい。
頭上で彼女がぶつぶつと小さい声で何かを唱えると、棒の先が仄かに光を帯び始めた。
「痛かったら、教えてくださいね。」
そう言いながらそっと私の頭を支えた。

こりこりと自分の耳に音が飛びこんでくる。
どうにも彼女が言うにはお風呂上がりだと掃除が楽なのだそうだ。
・・・凄い楽しそうに小さく鼻歌を歌いながら掃除している。
にしても膝枕があったかい。図書館に戻るまでに少し首が冷えたのが原因でもあるのだろうけど、
耳からくる刺激が相まって、なんだか気持ちが良い。
そのまま、うとうととしつつも心地良さに身を任せていると、すっと棒が引き抜かれて、
耳にふさふさした毛の感触がおりてきた。
「これ考えた人は凄いですよね~」
彼女が何かを言っているような気がするがぼーっとした頭ではあんまり考えがまわらず、とりあえずうんと返しておいた。
しばらくして、
「反対側もしますよ~」
その言葉になんだか気だるい体を動かし、ベッドの上を移動して今度は反対側の耳を差し出す。
再び耳にくる感覚に一瞬涎が出そうになった気がするが、なんとか飲みこんだ。
そのまま、あったかいももの感触とコリコリと耳の中を撫であげる感触を受けとめながら、
私は少しずつ眠くなってきた目を閉じた。こればかりは自分でするのと違って、してもらったほうがずっと気持がいい。
本当にそう思った。



ふと、気がつくと、体に布団がかけられていた。
耳から既に棒は抜き去られていたので頭を動かして上をふと見上げると、彼女が気付いたのかこちらに顔を向けた。
「おはようございます。」
そういってにっこりとほほ笑んだ。・・・寝てしまったのか。
だらりとベッドの上に投げ出していた腕を持ち上げて、目をこする。
「今・・・どのくらいの時間かしら。」
顔の上に手をのせたまま、依然として膝枕をしてくれている彼女に尋ねる。すると、やや困ったように
「うーん・・・そうですねぇ。少し前に咲夜さんが扉の外までいらして、
夕食の都合について聞いてきたので、そろそろ夕食時なのではないでしょうか?」
・・・どれだけ私寝ていたんだろう。何だか少し名残惜しいが、彼女の膝の横に手をついてゆっくりと体を持ち上げる。
まだ頭に血がうまくのぼってくれないのか、頭がまだ少し重い。
足をベッドの上に投げ出して座ると、
ずっと正座をしていた彼女もゆっくりと足を伸ばして同じように座った。
「・・・痺れた?」
彼女の方へと顔を向けながらそう尋ねると、
少し恥ずかしそうに、照れくさそうに小さくうなずいた。やっぱりそれだけ長い間私は寝ていたんだろう。
そうかそうか。そう思うと私は彼女の足首を片手でぎゅっとつかんだ。
「ひぇぁっ!だ、今はダメです!」
彼女がぐっと前のめりになって足首を掴んでいる私の腕をきゅっと掴んだ。
だがもう遅い。私はもう掴んでいるからだ。
「チャンスというのは最大限生かさなきゃ駄目よ?また次があるかもという考えでは、損は大きいわ。」
そう言いながら、足首を掴んだ手の指先で、くるぶしを撫でる。
私の手の中とその横に投げ出されている両方の足がピクピクと跳ねる。
どうだ、くすぐったいだろう。昼間のお返しだ。
「ひゃぁ~おたすけぇ~っ」
彼女がぎゅっと目を閉じて顔を横に振りながら私の手を必死にどけようとする。
・・・相当くすぐったいのか掴んだ腕にまるで力が入っていない。
もしも今の彼女の顔だけを絵におさめたら、誰も私が足元でこんなことしてるからだ、なんて思わないわね。きっと。
相変わらずくりくりとくるぶしをくすぐっていると、ふと扉の向こうに人の気配がした。
この子は相変わらずこっちに必死なようで、全く気づいていないようだけど。
ほんの少ししてから、コンコンと部屋にノックの音が響く。
「お楽しみ中の所申し訳ありません。夕食を運びましたので
お時間に都合がついたら召し上がってください。食器はお近くのメイドまでで結構です。では失礼します。」
何だか少しだけ戸惑ったような咲夜の声が扉の向こうから響き、床をけって走っていく音が聞こえた。
・・・私はくすぐっていただけよ?
「じゃ、行きましょうか。」
私がパッと手を放すと、彼女もやっと収まったのか、ヒィヒィ言いながらベッドの上に手をついた。
「少しは痺れがとれたかしら。」
顔を正面へと戻しながら、そう尋ねると彼女が一息ついてから答えた。
「片方だけなら・・・少しはマシになりました。」
そう言って長い溜息を吐いた。その言葉を聞いて、先ほどまで握っていた手をワキワキと動かしながら
「じゃあもう片方もする?」
そう尋ねると、
「か、片方で十分です!」
裏返った声で彼女が答えた。・・・少し残念だ。
ゆっくりとベッドの上を移動して私が立ち上がると、彼女もベッドの上を這いずり立ち上がった。
・・・なんだか歩き方がよたよたしている。
「・・・大丈夫?」
そう言いながら近づくと、思いっきり苦笑いを返されてしまった。
「大丈夫ですよ。」
・・・誰がどう見ても大丈夫そうに見えないのだけど。
彼女の横に立って、ぴったりとくっつく。ふと彼女が不思議そうな目でこっちを見た。
「肩かすわよ。それなら少しは楽でしょう?」
そう言いながら彼女の手を掴んで私の肩へとのせると、恥ずかしそうにぎゅっと肩を掴んだ。
カチャリとドアを開けて寝室から出る。・・・傍から見れば捻挫した彼女に肩を貸しているように見えるのだろう。
半ば彼女を引きずるように机まで戻ると、1つ少し大きな土鍋?のようなものと、取り皿のようなものが布に守られて置かれていた。
近づくにつれて強くなるその香りは焼けた芳しきチーズの香り。
彼女がすっと手を離してぎこちなさそうに走る。・・・案外元気じゃないか。
私よりどんどん先に進み、とてとてと机に駆け寄って行って机の上を眺めた後彼女が叫んだ。
「グラタンですよー!」
よたよたと下半身を動かし移動しながら、テキパキと机の上の布や荷物を片付ける。
私が座る頃にはいまかいまかと楽しそうに片方の手が食器を弄っていた。
私が座って、改めて彼女の方を見ると、こちらの準備を確認したのか彼女が蓋へと手を伸ばした。
慌てて手で制して止める。残念そう・・・もとい不服そうに見る彼女に対して答えた。
「こういうのは蓋も熱いから、火傷しないように、しないようにね。」
そう言うと彼女も納得したようで、コクコクと頷きながら食器を置いて一旦席を離ると、
しばらくして、お盆の上に二人分のお水とキッチンミトンを乗せて戻ってきた。もう足は大丈夫のようだ。
お盆からコップとミトンを下ろし一旦下げると、さっきまでの私のように手をワキワキしながらミトンをはめた。
じっとこちらを見上げる視線に、小さく一度頷くと嬉しそうに蓋へと手を伸ばした。
「・・・熱くは無かったみたいですよ?」
ミトン越しでの感触なのか、彼女がそう答える。・・・まぁ保温の都合上かぶせただけなのかもしれない。
彼女がそっと蓋を横に置くのを待ってから、私は改めて食器を手に持った。
未だにクツクツと焼ける音がしそうな程に湯気をあげながら、蓋から解放されたグラタンが現れる。
今にも食べん!と小さなスプーンを握りしめる彼女に代わって、身を乗り出し彼女の小皿をお鍋に寄せる。
傍に置いてあった、取り皿へ分けるための大きなスプーンを手に取ると、私は彼女のお皿へグラタンを取り分けた。
サクリサクリとスプーンが焼けたチーズをかきわけながら、甘い香りをまき散らす。
あまり入れ過ぎても冷める原因になっちゃうからね・・・。私はある程度お皿に盛ると、
今か今かと待ち遠しくそれを眺める彼女へと取り皿を返した。
「お先にどうぞ。口の中焼かないでね。」
私がそう言うと、嬉しそうにお皿を受け取って、スプーンをグラタンへとつきたてた。
私も自分の取り皿を大きなグラタンへと寄せると、とりあえず冷めそうにない程度の量をお皿に盛った。
「・・・凄く熱そうね。」
もくもくと自分の皿から湯気を立ち上らせるグラタンにスプーンをさし込みながら呟く。
「はふぃれふよ!」
すっと視線をあげると、顔を斜め上に持ち上げ口をあけたまま悶えている姿が目に映った。
相当熱いんだろう。・・・というかそこまで無茶して食べなくても。慌てて椅子を立って駆け寄り
机の上で左右にバタつく腕に、水を注いだコップを手渡すと、ぐっと握りしめて一気に飲み干した。
「はぁ・・・はぁ・・・。ふぅ。」
「・・・大丈夫?口の中焼いたりしてない?」
「なんとか・・・。美味しいですねこれ。」
涙目ながらにそう呟かれるといささか説得力みたいなものが欠ける気がするのだけど。
・・・相当熱くて悶えたからか、口の周りにホワイトソースが少しだけ散っていた。
そっと人差し指で拭うと彼女も初めて気がついたのか、改めて口の周りを拭いた。
踵を返して自分の席へ戻りながらぺろりと指を舐める。・・・少し温いくらいか。やっぱり冷めるものね。
「急がなくてもグラタンは逃げないわよ?」
席につきながらそう話しかけると、
「でも真ん中のグラタンの熱が逃げてしまいます。」
・・・なるほどそれは確かにそうだけど。・・・まぁいいわ。
やれやれと両手をあげて肩をすくめながら、改めて私も食器を持つ。
彼女の一件もあるし、私は少なめの量をスプーンでとると、ゆっくりと口へ運んだ。
・・・熱い。これは熱い。・・・本当に出来たてを持ってきたみたいだ。
火傷しないようになんとか我慢しつつ少しだけ噛み砕いて飲み下す。
・・・でも確かに彼女の言うとおり美味しい。喉元過ぎれば熱さも、と言うしこれは我慢すればどうにかなりそうだ。
目の前に座っている彼女も未だにはふはふと口を動かしながら眼尻に涙を浮かべつつ食べている。
なんとなくその時彼女の食事に対するグラタンに対する意志が分かったような気もした。


私がややゆっくり食べていたこともあってか、
グラタンの半分と少しくらいは彼女が食べてしまった。
・・・まぁ私は今後の事があるのでそこまで食べるつもりは無かったのだけど、
嬉々とした表情で、
「食べないんなら貰っちゃいますよ?」
と、グラタンの最後の残りを爛々とした目で見ながら言った時には少しだけもったいぶった後、彼女に譲った。
それでもまだ少し熱いくらいだったのだが、流石に慣れてきてしまっていたのか
最後はほとんど笑顔でスプーンを口に運んでいた。

カタカタと、取り皿や食器をグラタンを入れていた容器に納めると
彼女はそれを両手で抱えてつま先で踊りながら廊下へと運んで行った。
「できれば人払いができるように、そういう旨のお知らせだしといてくれる?」
「は~ぁぃ~♪わかりました~。」
余程上機嫌なんだろう。・・・というか誰が見てもそうとしか見えない。
そんな事を考えながらふと机の中を見ると、お昼に咲夜に貰ったものが目に入った。
・・・そういえば貰っておきながらまだ飲んでなかった。
「今のうちに・・・」
戻って来ないうちに、蓋をあけて瓶の中身を一気にあおる。・・・ちょっと苦いわね。
いや、あのグラタンの後でこの苦さなのだから、素で飲んだらもっと苦いんじゃないかしら。
あの子も咲夜もいつもこれを飲んでるの?・・・考えられないわ。
水を入れたまま放置していたコップを持ち上げて、苦さもろとも胃へと押し込むと、私は自室へと戻った。
勿論、昨日形だけはできたソレを取りに、だ。・・・あれだけ薬について否定をしてはみたが、
結局のところ私が作ったのは「塗り薬」である。
今のところ1回分・・・いや表現がおかしいな。1日分しか作ってはいない。
まあ、再生産するとかの話は今日の結果を確かめてからよね。一応昨日試験運用してみたのはしてみたけど。
自室の机の上にあった塗り薬を手に取ると、私は寝室へと戻った。

・・・あの子はまだ戻ってきていない。まぁ、さっきまで利用していたとはいえ、
豪快に寝ていた訳でも・・・いや、私は寝てたか。そこまで荒れてはいないから、別段準備もいらないだろう。たぶん。
日頃の準備とかはあの子に任せっきりだから。・・・私何を焦っているのかしら。
寝室のドアを閉めてそっと服を脱ぐと、私はドアを背にしてベッドの上に腰をおろした。
「後でわざわざやらなくてもいいわよね。」
そう呟きながら、持ってきた塗り薬を人差し指と中指にに盛って、自らが生やす部位に指をおろした。
「・・・っ。ちょっと冷たいのね。」
満遍なく薬が行きわたるように撫でまわし指で広げていると、急にガチャリと扉が開いた。
ビックリして振り返ると、笑顔のままドアを開けたままの姿勢で固まっているあの子と目が合った。
「・・・。」
「・・・申し訳ありません。」
「・・・ノックしてくれれば、嬉しかったわ。」
「舞い上がっていたもので。ごめんなさい。遅れたことについてもなんとお詫びしたら良いか・・・。」
しどろもどろに目を泳がせながら、ドアを後ろ手に閉めると彼女がチョコンとベッドの正面に立った。
「い、いや別に遅れてはいないと思うけど・・・。」
こっちも何だか調子がくるってしまう。彼女の言葉にそう答えると、
顔を赤くして口元を手で隠しながら彼女が答えた。
「・・・一人ではじめていらっしゃったので、その・・・てっきり。」
その言葉にぼーっと自分の姿勢や今していること、彼女にどう見えたか考えてやっと言いたい事が理解できた。
「え、ああ、そうね。昨日作った薬をつかっていただけよ?うん。一人でしてた訳じゃないのよ?」
自分で、もっと分かりやすい説明の仕方があったんじゃないかとは思ったけれど、
私も慌てていたのか、そんな説明が精いっぱいだった。
あの子がなんとも言えない少し苦い表情で考えながら、きゅうにパッと何かを閃いたように明るい顔をして
「で、それで結局どんなお薬なんです?」
とりあえず一時的にでも話題を変えたかったのだろう。そう尋ねてきた。
「そうね。・・・そう。まず、服を脱ぎます。」
「ふぇ?」
「・・・服を脱いでちょうだい。」
ハッとしたように顔を赤くしながら服を脱ぐ彼女に向き直りながら、脱ぎ終わるのを待った。
「うん。で、今さっきこの薬を塗ったの。」
ちょんちょんと塗った部分を指でつつきながら彼女に示すと、彼女がコクコクと凝視はしないものの、
その辺りへと視線を動かしながら、頷いた。
「で、塗った部分へ生やすの。」
眼を閉じて日頃こういう夜にいつも彼女か自分にかけてきたお馴染みになってしまった魔法を行使する。
何かが自分の体にせり上がってくるような感覚の後、ふと眼をあけると、昨日ぶりに見る自分のそれが目に入った。
「・・・使い方はこれだけなのよ。効能については・・・しながら教えるわよ?」
そう言い聞かせながら、そっと彼女の肩を押すと、ふわりとベッドの上へと倒れた。
空中に舞う髪がふわりと甘い匂いを残しながら同じようにベッドの上へと落ちて行った。
ベッドの上を膝と手のひらで体を支えて移動しながら、彼女の体の上に覆いかぶさる。
「私って、体力が無いでしょう?」
彼女の顎を指で撫でながら、おでことおでこをくっつける。・・・あたたかい。
「キスをしても、貴女に抱かれても。いつも先にヘバってしまうのは私。
貴女を抱きたくても、今言った二つ以上に疲れてしまって、せいぜい一回持つ程度よ。」
じっと黙って聞いていたが、一瞬思い出すように視線を動かしたあと、彼女が納得したように小さくうなずいた。
「最初は意識にくる、抱いた後の独特のどうでもよくなっちゃうような嫌な気持ち、
それをどうにかしたくてアリスに相談したあと、製作に取り掛かったの。」
そこまで話すと、彼女の手が私の腰にまわって、膝と手で支えていた体をぎゅっと引きつけた。
ペタン、と私の体が彼女の体の上に倒れる。
「・・・苦しくない?」
「大丈夫です。」
そんな言葉を返しながら、そっと私の体に毛布をかけた。・・・話が少し長くなるのを理解してくれたのだろう。
「ありがと。・・・それで、最初のうちは意気込んで色々と構想練ってたんだけど、
そういう気持ちというのは結局は頭で認識して、そういう結果が出るという事に気づいてね。その方向に研究を進めるのは意味がない事に気づいた。」
「・・・という事は今回作ったのはまたそれとは違うんですか?」
私の垂れ下がる髪の毛を指で掬ってまとめながら、彼女が真っ直ぐに目を見て尋ねた。
「そう。・・・結局のところ、そういうのに手をだすなら、それこそ体に効くお薬じゃないとダメ。
・・・強いて言うなら永遠亭の薬師あたりのほうが詳しかったのかもね。相談する気はなかったけど。
だから、私は私らしく既存の魔法を変質させるように今回はこの塗り薬を作ったの。・・・よいしょ。」
ぴったりとくっついていた体を起こして、おでことおでこを離すと、頬から指で細い首を辿った。
「続きはしながら、でいいかしら。毛布かけてても動かないと少しずつ冷えちゃう。」
「ふぁぃ。」
くすぐったそうにぷるぷると肩を揺らせながら返事をする彼女を眺めつつ、指をたどった軌跡をなぞるように
その肌に舌をおろした。湯浴みをしてから時間が少し経っているからなのか、
漂う石鹸の香りの中に彼女の匂いがわずかに漂い、私の鼻をくすぐる。
鎖骨まで舌先で首を撫でおろしていくと、私の腰にまわされていた手がゆっくりと解けた。
後ろ手に、背中にかけられていた毛布を彼女の足先にかけ直した。
「寒くない?大丈夫?」
「・・・今からもっとあったかくしてくださるのでは?」
「・・・それもそうね。」
そう言いながら、彼女の胸先へと手のひらをおろした。
・・・大きさは確かに私の方が大きい。それは正しいだろう。
でも、この子は体に見合った大きさで、・・・形も良いし垂れる心配だって無い。
手に自ら馴染んでこようとする程に弾力があって・・・でも、それでいてとても柔らかくて。

「・・・あの。」
「・・・うん?あぁ、どうしたの?」
「いえ、その。胸押えたままじっと固まってたからちょっと気になって・・・。」
「あ、あぁ。羨ましいなって思ったのよ。」
「・・・私はパチュリー様のその胸はそのままの方が良いと思うんですけど。」
「・・・自分にないものは羨ましく見えてしまうのよ。気にしないで。」
そんな言葉を返しながら、やわらかく胸を包んで弱く弱く揉む。
・・・そういえば大きければ感度があまりよくないって聞くけど、私自身はそう感じたことはないのよね。
あの子がこの前の晩のように赤子みたいに吸ったときだって、背筋に走るものもあったし、
・・・まぁ何より少し安心感があったわね。甘えてくれているようで。私独占欲強いのかしら?
体を後ろへずり下げると、揉んでない方の胸へと口をおろした。
「・・・っ」
唇が胸へと当たった瞬間にピクンと跳ねる体を唇で感じつつ、私は彼女と同じように乳首へと吸いついた。
「ひぁっ!ぃ、いきなりは反則ですよ~」
「言えば、良かったの?」
「いや、そういう訳ではないんですけど・・・。」
「じゃ、良いじゃない。」
じっと口に銜えたまま顔を持ち上げて視線をあげると、あの子と目が合った。
「こうして見ると、若いお母さんみたいね。」
「・・・。大きい赤ちゃんですこと。」
少し笑ったように唇の端を持ち上げると、あいていた両手で頭を包まれた。
ぴったりとくっついた私の口とあの子の胸から、彼女の鼓動が響いてくる。
顔と視線だけは持ち上げたまま、ゆっくりと目を閉じる。
・・・私もこんな時期があったんだろうか。今は思い出せない。昔と違って今はひと・・・いや、二人。
まぁ、少なくとも母乳が出ない事は決定的に違うわね。・・・でも落ち着くわ。
「ふぅ・・・ん。」
彼女も少しだけでも感じてくれているんだし。それだけでも私にとっては嬉しい事だわ。
段々と口の中でコリコリとした感触を増す乳首を、舌先でぐりぐりと押しつぶしながらそう思った。
指で揉んでいる方の乳首もまるで同調するかのように手のひらの肉を押し返してくる。
眼を開けて私がゆっくりと口を離すと、胸先と私の口がすっと糸を引いた。
「やっぱり貴女の胸良いわよ。」
そう言いながら、体を起こして、彼女の腰を両手で支えると、力を入れてうつ伏せにした。
「・・・?パチュリー様?」
頭を横にしてこちらの様子を窺うあの子を尻眼に、私はお尻を掴んでぐっと持ち上げた。
「ふぇ、もう・・・いれちゃうんですか?」
心配そうに呟く彼女に一度首を横に振ると、私はずりずりと膝と膝の間に仰向けになって頭を入れた。
「じゃあ、そのまま腰をおろして、上半身を手で支えて。」
「か、顔の上に腰をおろすんですか・・・?」
「そう。・・・ベッドも貴女も柔らかいんだから心配いらないわよ。
あぁ、でも私の鼻をふさいじゃだめよ?息できなくなっちゃうから。」
「・・・はい。」
ゆっくりとあの子の大事な部分が口へと降りてくる。・・・うん。我ながら位置ばっちりだわ。
ぺとり、と先ほどまで私の唾液で濡れていた唇とそこがくっついて、
それでもまだ足りない、というようにむにゅっと荷重がかかった。
「大丈夫ですか?」
「・・・。(そういえば、返事ができないわ。)」
しょうがないので首を縦に振ると、ビクンと顔の上で腰が跳ねた。
「・・・私は上半身を支えるの精一杯で、もしかしたら急に体重がかかっちゃうかもしれません。」
とりあえずはベッドがとっても柔らかいから大丈夫よ。・・・と言いたいけど、伝えようがないな。
とりあえず小さくにっこりとほほ笑むと、むこうも顔を少し緩ませた。・・・どうやら少し安心してくれたらしい。
じっと、彼女の目を見ながら、唇を開いて舌先を伸ばした。
幼い、という程でもなく、けれどぴっとりと今は閉じている割れ目をなぞるように下から上へと舌を進める。
今まさに上の彼女はというと、瞼を伏せて人差し指の根元を口にくわえていた。
・・・うっすらと瞼の隙間から部屋の灯りが反射するのは僅かながらに目は開けているんだろう。
くっと舌に力をこめて、もう一歩、と舌先をすすめると、ぬめった感触が舌、そして唇へと伝わった。
自分の唾液ではない。舌先から垂れるように口の中へゆっくりと降りて行く。
ぴったりとくっついた唇を押しつけるようにして自分が後で股間に生やしている物を差し込むであろう場所をえぐる。
勿論鋭利な刃物じゃないから、血なまぐさい何かは飛び出してこない。ただあふれて口に広がるのは女の子らしい、それだ。
口の中に溜まる程にどんどんと溢れてくるそれを味わっていると、急に彼女の体がもちあがった。
「あ、あの・・・その。もう腕だけで支えられそうにないんですが。」
「・・・腕疲れちゃった?」
「力が入らなくて。・・・その。」
先を言おうとして口ごもる彼女を見上げ真赤な顔を確認すると、私はベッドを背で這って足の間から抜けた。
「じゃあ、また、で悪いけど仰向けになってもらってもいいかしら?」




「悪いけど仰向けになってもらっていいかしら?」
私はパチュリー様のご要望に従って、既に力があんまり入らない頼りない腕に力をこめて、
なんとか体を反転させた。倒れこんだ背中を、ベッドがやわらかく受け止めてくれる。
改めてパチュリー様を見ると、自分の口の中に人差し指を少し指していた。
こちらの視線に気づいたようで、というか、視線が来るのをあからさまに待っていたように
口から人差し指を引きぬくと、すっとその指を立て、眺めながら口を開いた。
「これ、なんでしょう。」
「・・・人差し指?」
出されるがままに私が答えると、ちょっとだけ目を細めて嬉しそうに
「私の唾液と、貴女の体液。・・・美味しかったわよ?」
そう言い放った。・・・思わずパチュリー様のその視線から目をそらすと、
視界の隅でパチュリー様の喉が上下するのが見えた。うぅ、恥ずかしいよぉ。
「・・・で。そろそろこれの出番にしていきたいところなのよ。」
そう言うと、パチュリー様は私の両膝を立たせた。・・・これだと
「これだと、丸見えね。」
「・・・嬉しそうに言わないでください!」
「だって嬉しいもの。それにさっきまで私の顔の上に乗ってたのよ?」
・・・それを言われてしまうとなぁ。でもやれっていったのはパチュリー様だし。
あぁ、でも気持ち良かったなぁ。・・・本当はもっとしてほしかったんだけど。
でも体重が支えきれなくなって苦しい思いさせたくないし。しょうがなかったんだけど。
眼を閉じて私が少し溜息を吐くと、私の膝に髪の毛が被さる感触がした。・・・やっぱりパチュリー様の髪の毛は柔らかい。
そんな言葉が頭の中で右から左へと流れて行くうちに、
先ほどまでぐりぐり舐められていた場所へと、ぴとりと先ほどまでの舌と同じくらい熱いものがあてがわれた。
「・・・良い?大丈夫?」
「はい。」
そう呟くと、割れ目を押しわけるようにして、パチュリー様のが入ってきた。
・・・心なしかいつもより大きい気がする。というより、あまり機会が連続してあることがないからか、
毎回大きく感じてしまう。
「あぅ・・・ぐ・・・。」
思わず自分の口からそんな声が漏れてしまう。・・・本当は我慢してこんな声出したくない。
「本当に・・・大丈夫?やっぱり足りなかった・・・わよね。ごめんなさいね。」
こう言われてしまうから・・・だ。根元までぐっと入った後、パチュリー様の動きが止まった。
「いえ、ちょっと驚いただけですから、どうか気にせず気持ち良くなってください・・・。」
この時にパチュリー様が申し訳ない表情といった表情をしているんじゃないか、という事が怖くて
私は目を開ける事が出来なかった。・・・見たら私まで辛くなってしまうんじゃないか。そう思って。
少しして、動きの止まったパチュリー様がとん、と膝の上に手のひらを置いた。
「ねぇ、貴女が私を抱いてくれる時、私にどうなってほしいって考えてた?」
静かな口調で、淡々と喋るパチュリー様。
「・・・気持ち良くなってくれたらいいな、そうなると嬉しいなって。考えてます。いつも。」
「そう。嬉しいわ。・・・だからこそ、ちょっとさっきの言葉は嬉しくない。」
どういうことだろう。・・・さっきの言葉?
「私だって、私だってそうなのよ?貴女に少しでも気持ち良くなってもらえたら嬉しいのよ。
私がどんなにその手の事に疎くて拙くても、それでも少しでも気持ち良くなってくれたら、嬉しいのよ?
・・・せめて、せめて言うなら、一緒に気持ち良くとかあるで・・・あるんじゃないかしら。」
ポタリと、膝の上に一滴あたたかいものが落ちる。しばらくして、そのままふくらはぎへと冷たいものが垂れておちた。
「じゃあ、・・・返して聞きますよ。パチュリー様は私に抱かれている時何で不安そうに尋ねるんです?気持ち良いかって。
私だって。・・・私だって、本当は聞きたいんです。こんな私で楽しんでくれているのか。」
何故か眼がしらが熱くなりそうになって私はぐっと心を抑えて我慢した。・・・つもりだったのだけど、少しだけ瞼が潤った。
「私の、私の考えてることは抱いてるときも抱かれてるときも同じです。
パチュリー様が、気持ち良く楽しんでいただければ嬉しいんです。・・・嬉しいんです。」
私が、思っている事を思うがままに言うと、また一滴ぽたり、そしてまたぽたり、と膝の上に落ちた。
少しして、ふふ・・・と笑うような小さな声がした後パチュリー様が大きなため息を吐いた。
「・・・ごめんなさいね。変につっかかっちゃって。
まさか同じ事考えてたとは思わなくてね。・・・何を焦ってるのかしらね私は。ごめんなさいね。」
段々と穏やかな口調に戻っていくパチュリー様。
「今回の薬の事で言っていなかった事があるわね。これも、貴女に感じてほしかったからなのよ。
私がいつも貴女から貰っている気持ち良さを。できるだけたくさん味わってほしくてね。」
そこまで耳で聞いてから、私はゆっくりと瞼を開いた。
・・・いつも通りの静かでおだやかな目でこちらを見ている。
「じゃあ。・・・気持ち良くしてください。」
眼を見ているとちょっとした間に耐えられず、私はそう言っていた。
そう言うと、満足そうにパチュリー様が一度首を縦に振った。
「頑張るから。・・・でも本当に痛かったりしたら教えなさいよ?」
そう言われて、私も同じように首を縦に振ると、パチュリー様がぐっと腿を掴んで動いた。
・・・もとより痛いと思ったことはない。その、ただ、ちょっと大きいと思うだけで。
パチュリー様のだもの。

ねちゃねちゃした音が、私とパチュリー様との間から洩れる。
パチュリー様のは依然として熱くて、大きくて、引きぬく時に私の中身をそのまま
持って行っちゃうんじゃないか、ってくらい擦っていく。
その度に私の口からもパチュリー様からも息が漏れる。
ただ、ただ私はパチュリー様の目をじっと見て、パチュリー様も私の視線に応えてくれた。
ふと私が片方の手を出すと、それに気づいたのかパチュリー様も片方の手でぎゅっと握ってくれた。
・・・ちょっと汗ばんでて、でもあったかい。
「いつもなら、1回だけどね。・・・そうならない為のお薬なのよ・・・!」
息を整えようとしながらも少しずつ強まる語気を出しながら、パチュリー様が口を開いた。
「ごめん、私が先みたいね。」
そう言ってパチュリー様が腿と手を抱きつつ、ぎゅっと私の奥まで突いた。
一瞬だけ間があいて、ビクン、ビクンと私の中でパチュリー様のが跳ねる。
私の一番一番奥に、熱いパチュリー様の精液がこんこんと入ってくる。
・・・でも普段と何だか違う。量が・・・多い。入ってくるそれが気持ち良いのに、その流れが止むように思えないほどだ。
・・・いや、量が多いんじゃなくて、パチュリー様が萎えないんだ。
とはいえ、流石にしばらくすると、ややその流れも緩慢になり、やがてゆっくりと止まった。
パチュリー様に同調してずっと達していた私の体も、段々と落ち着いてくる。
「この薬はね、画期的なのよ!」
一呼吸おいてから、嬉しそうに呟くパチュリー様。
「体から精液を作るんじゃなくて、魔力の流れを精液にしちゃうの。
・・・寝れば魔力なんて回復しちゃうし、元が元だから、体にある種の栄養として吸収できる。
思ったとおり体への負担が少ないわ!・・・射精に関してだけだけど。」
嬉しそうにどんどんと語り出す。頬に手もあててらっしゃる。
「一度作った直後に試験運用はしたんだけど、これなら実際使っても問題なさそう。良かったわ。」
・・・という事はあの日私が外でパチュリー様が出てくるのを待っている中で
パチュリー様はその・・・一人お慰みなられていたのでしょうか。
ちょっと、見たかったかもしれない。いや、見られたくはないですよね。うん。

パチュリー様の説明を受けたせいか、意識がおなかの、一番奥へと傾く。
・・・確かになんだかじわじわと体にしみわたるものがある。なんて言えばいいんだろう。
これがパチュリー様の私への気持ちみたいに感じられて、それが嬉しい。
気がつくと、私は無意識のうちにお臍の辺りをあいている片方の手で撫でていた。
「気持ち・・・いいです。心地いいです。」
私が口を開くと、パチュリー様が一段と嬉しそうに頬を緩ませつつぎゅっと手を握った。
「こうなったら倒れるまで貴女に注ぐわよ!」
いや、流石にそれは困るなぁ・・・。ご自愛してほしい。
でも、そう言ってくれるのは嬉しい。パチュリー様に繋がったまま、体を起こしてパチュリー様に抱きつくと、
パチュリー様がぎゅっと片腕で抱きしめてくれた。
「くれぐれも、無理だけはしないと約束してくれませんか?」
確認するように耳元で囁くと、それに対しては笑うように
「そこまで無茶はしないわよ。」
と言われた。・・・これなら安心だろう。
私がゆっくりと腰をゆすり始めると、パチュリー様も気づいて、合わせるように腰を動かし始めた。
先ほどとは違って、くっついているからか、どこかくぐもった音が下の方からゆっくりと漏れてくる。
しかし、今はそれ以上に、パチュリー様の呼吸の音が耳へと届いた。
どこか切なげで湿っぽいという表現が一番似合いそうなその吐息、それを吐き出す唇。
凄くやわらかそうで・・・。気のすむまで指でぷにぷにと押してみたい。

大きくグラインドするということはなかったものの、パチュリー様のそれは私の奥を持ち上げるようにずんずんと突き上げる。
そこにはパチュリー様から注がれたものがたくさん詰まっているはずなのだけど、少しずつ吸収されていっているからなのか
繋がっている部分から垂れてくるということはなかった。別のものが垂れちゃうけど・・・。
・・・パチュリー様の精液を無駄にせず味わいたい。
パチュリー様の背中にまわした手にちょっとだけ力をこめながら、そんな事を思った。
「れ、連続でするとここまで敏感なままだってのは、初めて知ったわ。」
そんなことを耳元で呟きつつ、ピクピクと私の中を押し上げるパチュリー様のものが動く。
2回目が近いんだろうか。その言葉が頭の中をかすめると同時に体が期待を示すように
きゅっと自分で締め付けているのを感じた。・・・なんだか自分の体に入れられているものの、
形やその皺の位置も全て把握できてしまいそうなくらいにぴったりと密着しているようで、
その中で動こうとするパチュリー様の動きが、私の呼吸のリズムを狂わせる。
いや、もともと狂っていたのかもしれない。・・・ある意味ではパチュリー様と同じリズムに落ち着いた、というのだろうか。
きゅっと、私の腰を握る手が強まると、パチュリー様の顔が首の付け根へと飛び込んできた。
ほんの、ほんの少しだけの間をおいて、腰を握る力がもっと力の籠ったものになると、パチュリー様が
押し殺すようにうめき声を漏らした。
「気持ちいいん・・・だもの・・・。」
瞬間に私の胸の中のパチュリー様がビクビクと震えた。
1回目ではなく、2回目なのに私の中でそれが大きく躍動する。
本当に文字どおり打ちつける、という言葉が正しいのだと思えるほどに、
しっかりと感触のある私の中に吐き出される精液の感触。
そっとパチュリー様の顔を眺めつつ、私も漏れそうな息を殺して・・・達する。
自分が、パチュリー様のそれを離さないようにぎゅっと締めつけてるのが恥ずかしい程に分かる。
けれど今はそれ以上に、気持ちが良かった。

「だ、だめぇ・・・。」
そう言うと、一応下になっていたパチュリー様はぐっと体重をかけて私を押し倒した。
ずるり、と私の中を削る様にして、いまだに吐き出し続けるそれを引き抜いた。
ぶるり、とパチュリー様が一度身震いをして、私の上にハタハタと体液が飛び散る。
こうしてみると、普通の精液とまるで変わりがなくて・・・いつもと同じように思えてしまう。
「あのまま中で締め付けられてたらどうにかなっちゃいそう・・・。」
やや虚ろげで少しぐったりとしたパチュリー様が囁く。
「・・・ごめんね汚しちゃって。」
そして私の体へと視線を動かしてから、そう付け足した。
その言葉に誘われるかのように気がつけば私はお腹の上あたりまで飛び散った精液を指で掬っていた。
白い。・・・そして凄くあたたかい。トロリとして・・・
ふと、視線を上げると、その精液にまみれながらもまだピンとたっているパチュリー様のものが目に入った。
・・・まるでグラタンの中のマカロニみたい。色は違うけど。
ぺろり、と指についたそれを舌でなめとると思いのほかどこか甘く、
何よりパチュリー様の気持ちごと食べちゃったようなそんな気分になった。
・・・あれはどんな味なんだろう。
気がつくと、私は体を起こしてパチュリー様をベッドへと押し倒していた。
「ちょっとだけ・・・ちょっとだけ・・・」
そう、ちょっとだけの私の好奇心。おそるおそる白色でデコレートされたように未だにパチュリー様の
股の間でピクピクうごいているものへと顔を近づけると、おそるおそる舌を伸ばした。
パチュリー様は視界の隅で少しだけ歯をカタつかせながら、ベッドの上の枕を手にとって胸のあたりで抱いていた。
ぺろり、と舌先で拭うように残っている精液を拭いとると、やっぱり甘くて、
何だか未知の果物を味わっているような気分でもあった。
両手で根元の方に手を添えて、そっと口に先っぽをふくむ。
ゆで上がりのソーセージのようにプリプリとした肉の食感・・・。でもここが敏感なのは
自分の日頃の身を以って知っているから、歯を当てないように当てないように、舌先だけでなめあげた。
「ぅぁ・・・ぁあ・・・・」
頭の上のほうから、声が響く。もうちょっと・・・もうちょっとだけ。
その一言が頭の中にこだまして、残っている精液を銜えたままにひたすらに味わった。
もうほとんど、残っていた精液を舐めあげきって、それでもまだ残っていないかと探して・・・。
ふと、好奇心のついででちょっと吸ってみた。
するとパチュリー様がビクンと跳ね、持っていた枕をベッドの横の方へと落とすのと同時に、
少しだけぴゅっと口の中に凄く小さな噴水があがった。
・・・まだ残ってるじゃないか。ここに。
残りも全部吸いだそうと、私が根元を支えていた手を離して腰に手をまわそうとすると、
それを察知するようにパチュリー様が私の頭へと手を伸ばしながら
「だ、だめ・・・!」
叫んだ。けれど私にはもう我慢ができなかった。
ストローが刺さったジュースを渡された子供のように、残ったものまで全部吸おうと力をこめて吸った。
私の頭にあてがわれたパチュリー様の手がぐっとこわばり、頭を押さえつけられる。
その反動で、私はパチュリー様のそれをより深く口の奥へと押し込まれた。
「ぅぁぁー!!」
パチュリー様が文字どおり体全体で強く震える。
私がいま口にしているものも、それに合わせるように、私の口の中で跳ねまわった。
口の奥の方で、喉の奥に叩きつけるように精液が吐き出される。
壁にぶつかって、跳ねかえってきた流れが舌へと流れ、私にその甘さを実感させる。
けれども今はその甘さよりもその味からくる心地よさを感じていた。
ごくり、ごくりと、口の中に溜まっていたものが道を通じて落ちて行くのがわかる。
・・・パチュリー様もなんだか気持ちよさそう。そんな事も考えながら、吸いながら舌先で次の流れを、
次の流れを、残りを全部、と味わって行った。しばらくして、私の頭を強く押しつけていたパチュリー様の手が緩み、
くたり、と正座したままのような姿勢で後ろ向きに倒れて行った。
ちょっと強めに吸えば、まだからだ全体でピクンと反応する。
・・・しばらくして、その最後の流れも収まり、私は最後の一滴も飲み干すと、口をゆっくりと放した。
「・・・おいひぃ」
銜えっぱなしだったからか、顎に力が入りきらず、変な言葉しかでない。

パチュリー様の股の間からそれが靄のように消え、
指先にも残っていたものまでくわえて味わいきって、私はふと気づいた。
「・・・パチュリー様?・・・パチュリー様??」
全く返事がない。まるでその一瞬は夢から醒めたような瞬間だった。
ぐっと力を入れて体を起こして、パチュリー様に駆け寄る。
眼は閉じているものの、口が半開きのまま、ほとんど動かない。・・・辛うじて息はある。
しかし、恐ろしいほどに弱弱しく、ぜんそくの時みたいな強烈なこすれるような呼吸音と違い
まるで息をしていないんじゃないのかって程に不気味なほどに静か。・・・自分の心臓の音がうるさいくらいだった。

もう、パニックだった。
喘息じゃないからか、それとも自分が完全に原因だったからか、分からない。
ただ怖かった。気がつくと、私はパチュリー様掛け布団を一枚かけて、
寝室の扉を開けて図書館を突っ切り紅魔館への扉を開いていた。




「さて、今日の仕事も・・・無事完了かしらね。少しだけ休憩しようかしら。」
誰の姿もない廊下で自分の肩を揉むように手でさすりながら、自分の部屋へと戻ろうとすると、
廊下のずっとずっと先から、勢いよく扉をあけたような音が響いた。
「さ、さくやさんは?!さくやさんはどこですか!」
続けざまに響く私を呼ぶ声。・・・あの子じゃない。・・・なんなのかしら。
廊下を急いで、その音と声のもとまでたどり着くと、彼女が何故か裸で1人のメイドにすがりついていた。
「ど、どうしたの?」
私が声をかけると、うなだれた頭を持ち上げて彼女が答えた。
「パチュリー様が、パチュリー様が・・・。」
・・・目が虚ろいでいる。喘息の発作?だけじゃないわね。この様子だと。
その程度のものなら、いつも付き従う彼女自身だけでどうにかなるレベルだ。
姿からみてもそんな生易しいものじゃない事はすぐに分かった。
私はすがりついている腕を取り上げて、彼女を支えると、1人おろおろとしているメイドに指示を飛ばした。
コクコクと首を縦に振り、背中を向けてとんでいくのを確認すると、私は彼女を支えて図書館の中へと走った。
・・・彼女自身が引っかけたのか、椅子が倒れたり物が落ちたりしている図書館の中を走り、
ただひとつ開け放たれた部屋、パチュリー様の寝室へ向かった。
ベッドの脇まで、支えていた彼女を連れて行き、支えていた腕を放すと、
そのままペタンと床に座り込んでしまった。・・・何があったんだろう。ここで。
・・・少しばかりの想像はつくんだけど。
どうやら、彼女と同じようにパチュリー様も裸だ。・・・深く聞くものじゃないみたいね。
そういえばまったく呼吸音がしないけど・・・息はしてるのね。虫の息ってこんなのを言うのかしら。
そっと首筋に手をあて、脈を測ってみると、なんと弱弱しいことか・・・。かろうじて動いているとでもいわんばかりだ。
私はとりあえず余っている布団を座りこんでいる彼女にかけて、悩んだ。

・・・どうしたものだろう。
その言葉が頭をよぎった時、後ろから凄い勢いでもう一人部屋に入ってきた。
「お呼びですか?!」
美鈴だ。彼女なら、ある程度の健康状態についてなら診れると思ってさっきメイドに頼んでおいたのだ。
部屋に入るなり、私達の様子を一度見まわして、そして私とパチュリー様の元へと歩いてきた。
「診てもらえる?」
私が頼むと、説明せずとも大体の内容を理解してくれたようで、
すっとパチュリー様の傍によって、掛け布団を少しはぎとった。
大きな胸があらわになって、それの中心へと、美鈴は手のひらを置いた。
・・・もう片方の手は頬にぴったりと当てられている。
床でうずくまっている彼女の嗚咽が響く中で、瞬きもせずにしばらく美鈴は集中していた。
本当は、たったの数秒、10秒程度の事だったのかもしれない。ただなんだかこの私にですら、
それこそ時間の感覚が狂う程にそれは長かった。・・・対応できない事柄で私が動揺しているから、だろう。

しばらくして、美鈴がため息をついた。
「大体、理解はできたんですけど。とりあえず分かった事だけで良いです?」
足元の彼女の嗚咽が少しだけ小さくなり、私が頷くと、美鈴も頷いて話を切り出した。
「一言でいうなら、過労が一番適切だと思います。死ぬほど疲れた、
というよりももう体力が尽きたという表現がしっくり来るくらいじゃないでしょうか。
まるで小さい戦争をしてきたんじゃないかってくらい、お疲れのようで・・・。
なんていうかその、安静にしてれば時間はかかるかもしれませんが目を覚ますと思いますよ。」
「命には問題ない、ということで良いのかしら?」
私が改めて聞き直すと、
「そのかわり安静にしてしっかり休息とっていただかないと。」
「・・・だって。聞こえたでしょ?」
足元でまだ震えている彼女に向かってそうしゃべりかけると、
先ほどまでの目とは違い、少し落ち着いた眼をしつつ首を縦に振った。
「貴女は大丈夫なの?」
とりあえず聞いておいた。
「私は・・・パチュリー様が大丈夫なら、大丈夫です。」
・・・精神的には全然大丈夫そうに見えないんだけど、肉体的に見れば確かに大丈夫そうだった。
「とりあえず、パチュリー様は任せて私達は戻るわ。休ませてあげてね?
ただ、・・・様子が急変したらすぐに呼んで。良いわね?」
私がしゃがみ込んで、肩に手を置きながらそう伝えると、力強く首を縦に振って彼女が立ち上がった。
・・・なんとか大丈夫そうだ。美鈴の肩を引きながら、扉の方まで歩くと、あの子がこちらを向いて深く頭を下げた。
・・・なんだかつられて私まで頭を下げる。
「とりあえず明日こちらからまた様子を見に来るわ。」
私はそう言い残すと、二人で扉から外に出て、静かに扉を閉めた。




時計の針は順調に進み、朝日がのぼってから、私はあらためて図書館へと赴いた。
・・・たぶんあの子の昨日の様子じゃパチュリー様から一歩も離れてないだろう。
そう思い、代わりの水差しなんかを用意してから、小さくドアをノックした。
しばらくして、カチャリと音をたててあの子が出てきた。・・・流石に服は着ていた。
黙ったまま中へ、と手で招かれて部屋の中に入ると彼女はそのまま静かにパチュリー様の横まで歩いて行って
ベッドの端の方に腰掛け手を握った。・・・もしかして昨晩からずっとそうしていたのじゃないだろうか。

私も足音を出さないように足をしのばせて、近づいてみると、少しは回復したのか
小さいながらもしっかりとした呼吸音が耳へと届いた。・・・美鈴の判断は正しかったようだ。
もし酷かったら永遠亭まで飛ばねば、と考えていたがこれなら必要なさそうだ。
「貴女、ちゃんと寝た?」
できる限り小さい声で、彼女に尋ねると、目を伏せて小さく首を振った。
「少しだけでも寝なさい。2時間くらいなら、私がここで看るから。」
そう言うと、彼女は同じようにまた首を横に振った。・・・けれど疲れているのはあからさまに分かる。
「いい?貴女がもしも倒れてしまったら、私はさらに貴女まで見るハメになるの。
それにパチュリー様に関しては私以上に貴方の方が詳しいのよ?
だからこそ、貴女自身の身も大切にして。時間がきたら起こしてあげるから、
少しだけでもちゃんと寝なさい。私だってずっと看てられないんだから。」
肩に手を置いて小さくそう伝えると、しばらくして彼女がもぞもぞとベッドの端の方に入っていった。
・・・もうちょっと内側に寝ればいいのに。・・・相変わらず手握ってるのか少し手の辺りの布団がぽっこりしてるし。

しばらくは少しおろおろした目でパチュリー様を見つめていた彼女だったが、
少しして目を閉じると、ゆっくりと寝息をかきはじめた。

懐から懐中時計を取り出して、時間を確認する。・・・メイド達はちゃんとやってるかしら。
そんな事考えたらキリがないのだが、いささか暇なのである。
御嬢様は、「今私がいく必要があるとは思えないから。」の一言で一緒に来ようとはしなかったし、
フラン様は、そもそもこのことを知らない。・・・いろいろ平和のために。
まぁ今は一応「天気の良い朝」だから良いのだけど。・・・洗濯物ちゃんと干してるかしら。
もう指示は飛ばしてあるから、たぶん大丈夫だろう、・・・と信じたい。
私は、今もなお手を握って少し辛そうな顔で寝ている彼女とは反対側の位置に腰をかけると、
呼吸音にだけ気を使い耳を澄ませつつゆっくりと眼を閉じた。

懐中時計を開いて、もう一度時間を確認する。あれから2時間と30分というところかしら。
あの子を起こそうと、ベッドから立ち上がると、ふと扉の外に気配を感じた。
コン・・・と響くただ1回だけのノック音。そっとドアを開けると、ドアの横の壁に背を預けてお嬢様が立っていた。
「パチェは?」
「・・・順調に回復はしてるようです。」
「そう。彼女は?」
「今一緒にお休みになられてます。」
「・・・そう。」
一言、短い返事を返すとお嬢様は背を壁から離してこっちに体を向けた。
「じゃ、咲夜命令よ。[引き続き、パチェと彼女の看護。ゆっくり休ませなさい。]
本来の仕事は、彼女が自然に目覚めてからでいいわ。館でのある程度の事はメイドに私が頼めばいい話だし。」
「彼女の看護、ですか?」
「無くなった体力は精神力でカバーできるわ。でも無くなった精神力を体力でカバーはできない。
それなのに、体力まで消費させたらそれこそ彼女潰れるわよ?パチェとしても目覚めが悪いじゃない。
・・・心配いらないわよ。そのうちあの子もパチェも起きるわ。
貴女は看ながらゆっくり・・・そうね、夕食の献立でも考えてちょうだい。」
そう答えると、そのまま御嬢様が図書館の中へと戻っていった。

何だか最後の少しは自分自身に言い聞かせているような気がしないでもない。
私は、ドアを閉めてまた同じ位置まで戻ると再び目を閉じた。


あれから何時間経っているのだろうか。3人分の落ち着いた呼吸音のみが響く中で、
私はまた懐中時計を取り出すと、開いてその針を見た。・・・そろそろ夕方か。というか私まで寝てたのか。
そんな事を考えていると、つんつん、と誰かが自分の服を後ろから引っ張っていることに気づいた。
どうやらこれのせいで目が覚めたのか。私が振り返ると、ぐっと口元を手で押さえられた。
「静かに。」
声に出さなかったけれど、そう口の動きで伝えたのはパチュリー様だった。
私の口から手を放すと、その手を今度は横で眠る彼女の額へと添えた。
少しして淡い光が一瞬パチュリー様の手を包んだ。少しだけパチュリー様の顔が歪む。
「・・・ふぅ。」
大きく一度溜息をしてから、パチュリー様が再びこちらを向いた。
「もう声出してもいいわよ。少しの間かもしれないけどあの子にはもうちょっと眠ってもらうわ。」
「・・・おはようございます。」
「あら、まだ朝なの?てっきり[かれこれ3日寝てました]とかそういう返事を期待してたんだけど。」
「まだたったの半日と数時間ですよ。具合はどうです?」
「じゃあお昼過ぎ・・・もしくは今は夕方なのね。そうね、具合は最悪だわ。
魔法もまだそこまで楽に使えないし、いまだに私は裸だし。
扉の向こうに壁に耳をつけているレミィが居るし。・・・出てきたら?」
パチュリー様が笑うように言うと、ドアがゆっくりと開いて、苦い顔をしたお嬢様が現れた。
「いつから気付いてた?」
やや悔しそうな表情に変えてそう質問するお嬢様に
「いや、ハッタリでそう言っただけ。」
とパチュリー様はそっけなく答えた。すごい疲れたようにお嬢様もがっくりと頭を下げる。
「迷惑をかけてごめんなさい。」
しばらくしてパチュリー様がベッドに寝たままそう呟いた。
「そう思うなら、無茶しないことね。彼女にも。」
お嬢様が返し、
「じゃあ、咲夜。夕食の献立はパチュリーと相談してちょうだい。」
そう付け加えると踵を返してドアから出て行った。

「・・・だそうですよ。」
「・・・迷惑をかけるわね。ほんと。」
「仕事だからいいんですよ。仕事が無いよりよっぽどマシなんですから。」
「今夜の献立、ねぇ。また難しい事を相談させるわ。私は在庫に何があるかなんて知らないのに。」
「無ければ揃えますよ。今からでも。」
そう呟くと、彼女がすこし笑ったあと、横で落ち着いて眠っている彼女へと視線を向けた。
「この子は何が好きかしら?」
「・・・グラタンは凄い美味しかったらしいですよ。聞いた話だけど。」
「でもそれだと・・・レミィに悪いわね。」
「別々に料理を作るのは難しい事ではないですよ。この紅魔館では。」
「じゃあ、それでお願いするわ。あぁ、そうそう。一応だけど私あんまり状況知らないから、貴女がわかる範囲で教えて。」
とりあえず昨晩あの子が助けを求めてきたところからパチュリー様が起きるまでを伝えると、
ニヤリとパチュリー様が笑った。
「ありがとう。これでからかう事ができるわ。」
そう言いながらパチュリー様が笑った。・・・なんだかんだ言って元気じゃないのかこの方は。
「・・・さて、夕食ができたら起こしに来てもらえるかしら。・・・疲れちゃって。」
目元に腕をかぶせて、そう続けたので私は一度
「では夕食までおくつろぎ下さい。」
そう伝えると、部屋の照明を落として部屋を出た。


・・・ハッ!
完全に寝入ってしまった。・・・あれ、まだ2時間経ってないんだろうか。
もうずっと長い間寝てたような気がするのだけど。
「咲夜さん・・・お仕事は?」
もぞもぞと目を擦りながら起き上ると、そこに咲夜さんの姿は無く。
・・・ちゃんと起こしてくれるって約束してくれたのに。・・・酷いじゃないですか。
溜息をつきながら体を起こす。・・・眠気がバッチリとれる程寝てしまった。
パチュリー様は、・・・まだずっと眠っている。私の勝手な行動でパチュリー様を、
自分の大事な人にこんな苦痛を与えるなんて。起きたところで謝る顔が無いよ・・・。
心臓にゆっくりと太い釘を差し込まれてるような痛みがズキンズキンと胸に走る。
胸が痛む思いって本当に胸が痛くなるものなんですね。
・・・こんな痛みよりもっと辛いものを味あわせてしまった。
「はぁ・・・。」
考えを一度止めて息を吐けば自然とため息がこぼれ出た。
まず先に謝ろう。・・・あぁでもなんて言おう。

まるで答えがでない。何だか胸に刺さっている釘がもう1本増えたような気がした。
じっと握り続けているパチュリー様には早く目覚めて貰いたい。早く元気になってもらいたい。
その気持ちは変わらないのだけど、謝る言葉が見つかっていない。
ずっとぐるぐると回り続ける思考の中をさまよっていると、コンコンと誰かがドアをノックした。
カチャリ、と返事を待たずにドアが開いて、咲夜さんが後ろ向きに何かを持って入ってきた。
「あぁ、起きてたのね。」
まるで約束の事等どうでもよかった、もとい忘れてるんじゃないかという表情で言う咲夜さん。
「2時間経てば起こしてくれるって話だったはずじゃないですか!」
「ああ、そうね。そうだったわね。起こそうとも思ったんだけど、あまりにもぐっすりだったのよ貴女。
で、今食事用にベッドに渡す机を持って来たんだけど。」
そう言いながら部屋へとベッドで食事をする際に使う簡素な机を部屋へ運びこんだ。
上には昨日見たような深皿と、2人分の食器が並んである。・・・というかまたグラタンか。好きだけど。
「そんな事よりって・・・。・・・咲夜さん、ここで食べるんですか?」
「ええ、ここで食べるんですよ。何かあってはいけませんから。」
「・・・いくらなんでもそれは失礼じゃないですか?」
「・・・誰に?」
「パチュリー様にですよ!まだ寝てるんですよ?」
「・・・うん、そうね。寝てるわね。」
ガチャガチャと机の設置を咲夜さんが終えると、コツコツと歩いてパチュリー様の肩を叩いた。
「起きてください。夕食のお時間です。」
何を言ってるんだこの人は。そう思っていると、手に握っていたパチュリー様の手がピクっと動いた。
「・・・パチュリー様?」
「・・・あぁ、おはよう。元気そうね、眼パッチリあけちゃって。」
そう呟くパチュリー様に私は声が出なかった。
パチュリー様が何かを咲夜さんに伝えたかと思うと、少ししてカタン、と後ろの方で扉が閉まる音がした。
「貴女、大丈夫?」
そんな言葉が耳に飛び込んできて、やっと私は現状を理解したような気がした。
「こっちの台詞ですよ!パチュリー様こそ大丈夫なんですか!」
「そんなに手に力入れられると指が痛いわ・・・。」
「・・・ごめんなさい。」
「ずっと握っていてくれたのは嬉しかったわ。ありがとう。」
「・・・そんな、お礼を言われるどころか、叱責の100個や200個くらいは覚悟してたんです。」
「そこまでは流石に考えつかない気がするけど・・・。」
苦笑いするようにパチュリー様が笑うと、パチュリー様がゆっくりと体を起こし始めた。
慌てて、一旦手を離してその体を支える。
「ありがとう。・・・そうね、叱責よりも私はお礼の方を言いたいわね。本当。」
両手で机を体の方へとなんとか引き寄せながらパチュリー様が呟いた。
手伝うために私も手を伸ばしながら、パチュリー様の顔を見る。
「あの日見た夢のように、この図書館に私が一人で居て昨日みたいに倒れていたら今頃死んでるわね。
でも、貴女が助けてくれたから、今私は生きてるようなものなのよ。確かに直接的な原因は貴女かもしれないわよ?
でもね、その事についてなら貴女だけじゃなくて私にも同じだけの責任があるの。
・・・咲夜は貴女が必死になって助けを求めに来たって言ってたわよ?」
「だって・・・死んじゃうかと思って。私のせいで。」
「・・・そうね。死んじゃったかもしれなかったわよ。でも貴女は助けを求めに行った。
助けたかったんでしょ?私を。裸ですがりついてしまうほど、焦って必死だったんでしょう・・・。
貴女は言ったじゃない。[私がついてますから安心してください]って。そう、貴方はそれをただ実践してくれただけよ。
そんな自分を責めないで。どれだけその気持ちが嬉しかったか。どれだけずっと今までその気持ちに守られてきたのか。」
そこまで一気にしゃべりきると、パチュリー様がきゅっと口を閉じた。
・・・私はなんて言葉を返せば良いのかまるで分からなかった。

「さて、湿っぽいこんな話はその程度にして、食事にしましょう?」
しばらくしてその言葉を聞いた時、私の視界の下半分が一気に靄に包まれた。
・・・すぐに上半分も靄に包まれた。ポンポン、と頭をさすられる。
「貴女の事、一片だって悪いとは思っていないわ。むしろ、辛い思いをさせてごめんね。
貴女には私がついているから、って言えるくらい強くなるから。許してちょうだい。
・・・さぁ、食べましょ?せっかく無理をしてグラタンをまた作ってもらったんだもの。冷ませては咲夜に悪いわ。」
胸元まで布団を引き揚げながら、パチュリー様がそう仰ったので私はただそれに従って、ただただ、頷いた。
「・・・でも、なんでグラタンなんです?体に優しい食べ物だとは思えないんですが。」
ひとつ、疑問になったので私がパチュリー様に問うと、
「例えばお粥とか、ってことかしら。食事としての楽しみが少ないじゃない。
どのみちそこまで食べられない事に変わりはないのなら、少しでも楽しい食事の方が良いじゃない。
貴女のおっかなびっくり美味しそうに食べてる顔を見ている方が、よっぽど食事を愉しんでると言えるわよ。
・・・もしかして嫌だった?」
「いや・・・すき、ですけど。」
「じゃあ、良いじゃない。それで。」
「良いのですか。」
「良いのよ。じゃ、頼むわね。」
そう言いながら、くるりとこちらを向くパチュリー様。
「な、何を、でしょうか。」
「私は病人よ?手元が狂って、この体の上に零したら大火傷よ?
だから、少なくとも私はこうしていた方が安全。」
そう言って、胸元まで手で持ち上げている布団をぎゅっと握った。
「要は、あーんですか。」
「うん。あぁ、ちゃんと少しは冷ませてね。・・・嫌なら口うつしでもいいわよ?」
「いえ、やります。」
「じゃ、いただきます。」
「・・・いただきます。」
私は、蓋をとってスプーンを手に取ると、パチュリー様の口へとゆっくりグラタンを運んだ・・・。



いつも変わらないお世話をするのが楽しいか、ですか?
詰まらないでしょうね。もし本当にそうなのなら。でも、貴女の言うその、「いつも変わらないお世話」
それは本当に変わらないお世話なんでしょうか。たぶんそんなのはありえないとおもうんです。
むしろいつも変わらないようにお世話をするのは大変なんですよ?
いつも必ずどこかに変化があって、そこに気づくか、気付かないかなんです。
・・・探して、それでも本当に見つからないのなら、自分から何かを起こせばいいだけの話なんですよ?
それがどうなるのかは起こした人次第でしょうけど。でも、例え悪く転んでもそのお世話をしている相手と一緒に頑張れば
乗り切れる事だってあるんですよ。
「そういうものなのかしらね。」
「そういうものなんですよ。あぁ、お持ちいただいた本については私がちゃんと戻しておきますから。
どうも有難う御座いました。それでは、またお越しください。アリスさん。」
誤字脱字に気をつけてはいますが、あるかもしれません。お許しください。
・・・送信エラーに嘆いております。お許しください。
グラタンを食べたいのですが、ありません。水でお許しください。

-追記 4/10-
誤字・脱字・筆者でも何で書いたか分からない奇怪な文字列について
また、指摘されていた文章について修正が入りました。
三点リーダについては次の製作の時より、という形にさせていただきます。
重複している文章については変更していくと作品がどんどんまた違う方向に
成長してしまうのが怖いので、「この作品」としてはこれで一旦修正は停止になるかと思います。指摘していただいてうれしい限りなのですが、どうかご容赦ください。
以上簡単ですが、報告でした。
-以上、追記。-
あか
コメント




1.名前が無い程度の能力削除
題材も良いし、ネチョい。
二人がドリンク剤に同じ感想を抱いたのに和んだ。
面白かったですよ。


……しかし、読んでいて気になる点が
多々ありましたので報告させていただきます。

『・・・』は『……』(三点リーダー二回)にしましょう、
見易さが違います。
『・・・』を多用しすぎる様にも感じました。
思考の間を表す一人称ならではの手法かもしれませんが
多すぎな気がします。

次に、視点切り替えの区切り。
どのタイミングで変わったのか分かりづらいです。
行間を開けるなど、明確に分かるようにしましょう。


以下誤字等の報告です。

>しぼりちょうだい
おしぼりちょうだい
>何か代わりにしてあげれれば
何か代わりにしてあげられれば
>・・・やがってパチュリー様の震えが
……やがてパチュリー様の震えが
>まぁ、レミリア達と一緒に食べるなら
一人称なので愛称で呼びましょう
>・・・もといあったら大問題
……もっとも、あったら大問題
>思わずちょっと大きい声で私の口から声が漏れた
思わずちょっと大きい声が私の口から漏れた
>私は目を眠きなってきた目を閉じた
私は眠きなってきて目を閉じた
>ずっと正座していたあの子も
距離感から『この子』か『彼女』
>そういう気持ちもなんもかも
そういう気持ちもなにもかも
>頭を横にしてこちらの様子を疑う
頭を横にしてこちらの様子を窺う
>楽しんでいただければが嬉しい
楽しんでいただければ嬉しい
>起こしてくれるって話しじゃなかったですか!
起こしてくれるって話しだったじゃないですか!
>じゃぁ、良いじゃない
じゃあ、良いじゃない


他にも意味が重複する文や、
小悪魔が咲夜を『さん』づけだったりそうでなかったりと細かい不備が目立ちます。
楽しい作品でしたし、次も期待したいので見直しなどして今の作品を大切にしてください。
長文失礼しました。
2.あか削除
三点リーダ、なるほど。確かにこちらの方がすっきりしますね。
というか誤字脱字文法ミスこうして指摘されるとなんで自分で気づかなかったんだろうって思いますね。
やはり主観で見ていると見落とししてしまうものでしょうか。いささかこれは多すぎな気がしますけれど。
ちょっと文章校正についてはしっかりと何かソフトを導入しようかと思います。

登場している方々の呼称の統一等ができなかったのは本当に手痛い事で、
この事については本当に読者に申し訳ない。以後気をつけます。

この度はご指摘いただきどうも有難うございました。
3.にっしー削除
誤字訂正を更に訂正。
起こしてくれるって話しだったじゃないですか!
→起こしてくれるって話だったじゃないですか!

話し→動詞の意識をとどめる。
話→名詞として使う。

この二つ、使い分けは難しいかもしれませんがやはり違和感を感じてしまうので。

なかなかほのぼの感が尋常ではなく、いいSSだったと思います。これから更に精進なさってください。
4.喉飴削除
あか様の新作と聞いて飛んで来ました。
前作のリリーの時もそうでしたが、このほのぼのほんわか感とネチョのバランスが本当に良いです。
良いSSをありがとうございます。
5.名前が無い程度の能力削除
これは良いこあパチェ。
ネチョだけでなく二人のほのぼの空間も良かった。
次回作も期待しています。
6.n削除
なんだか幸せそうでいいな……自分、こういったラブセックスものが好きなのかも知れない。
いや、そのあとの看護も甘い感じが大変よろしかったんですけどね?
あと、最後の一小節は意外と名言だと思うんだ。
7.削除
これは良い話ですね。全体的に、ほのぼのしていましたし、
久しぶりに心から愉しめました。有難う御座います。
文章一つで、その場景を想像し易かったのも、良かった点の一つですね。

貴方様の作品、これからも楽しみにしております。
8.名前が無い程度の能力削除
これはよいものだ
9.名前が無い程度の能力削除
素晴らしいパチュこあでした!!
このカップリングはもっと流行るべきだと思います!!