真・東方夜伽話

ふたなり蓮子

2009/03/05 05:22:35
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ふたなり蓮子

野田文七

 食後に出てきた抹茶ゼリーは、蓮子の好みのど真ん中をついていた。
「ああ、甘い。それにちょっとした苦味もある。おいしい」
 メインのはずだったきつね蕎麦が、まずまずの満足で終わってしまっただけに、この出会いは蓮子を悦ばせた。
「メリー、残念ね。あなたも奇を衒ってコーヒー味にしたりしないで、おとなしく定番の抹茶味を頼んでおけばよかったのに」
 蓮子は満面の笑みを浮かべる。向かいに座ったメリーは、澄ました顔で言い返す。
「定番なんて、蓮子が勝手に決めたんでしょう。和食器でコーヒーゼリーなんて、最高に贅沢じゃない。そういう楽しみを理解できないなら、あなたに言うことは何もないわ」
「じゃあ黙っていてよ。私は抹茶ゼリーを堪能するわ」
「話しかけたのは蓮子でしょう」
 ふたりは、ひとすくい、口に運ぶたびに、目を細め、悦びに顔を輝かせる。相手に見せつけるように。
 この店は、神社の参道脇に建っている。主に参拝者をターゲットにしている。こじんまりしたところだが、一応一般席の他に、五つほど個室が設けられている。少し奮発すればそちらを使える。個室と言っても実際は座敷を薄い壁で隔てただけだが、控え目に施された和のデザインが、うまくそれらしい雰囲気を作り上げていた。
 周囲に話し声はまったくなかった。店の人は厨房に引っ込んでいる。勘定する時は呼べばいいらしい。防犯意識はほぼ皆無のようだ。それだけ、この神社付近は治安がいいということだろう。
「ああ、おいしい。この幸せ、メリーにわけてあげられなかったのが残念だわ」
 最後のひとくちを口に入れ、蓮子は言う。
「そんなに残念なら、わける努力をするべきだわ」
「もうないわよ」
「あるじゃない」
 メリーはそう言って、蓮子の口を指す。蓮子は一瞬きょとんとしてメリーを見返したが、すぐに意味を理解した。テーブルに手をついて、身を乗り出す。口を開け、舌の上に、形の崩れたゼリーを乗せる。メリーも身を乗り出し、蓮子の舌ごとゼリーをすすった。
「ん、ちゅるっ……じゅっ……そうね、あなたが言うだけのことはあるわ」
 メリーはそう言って、席に座る。今度は自分がコーヒーゼリーを口に含んで、身を乗り出し、舌を差し出た。蓮子は少し緊張しながら、先程のメリーと同じことをした。口の中で、抹茶とコーヒーとメリーの味が混ざりあった。
 足音がしたので、すぐに離れた。店の人が厨房から出てきたようだった。ふたりは勘定を済ませ、店を出た。

 蓮子は、参道を歩きながらも、さっきのゼリーのキスに、心を奪われたままだった。
「そういえば、ここ、どんな神様を祀っている神社なんだっけ」
 あまりメリーとの肉体関連のことばかり考えるのも、自分が馬鹿になってしまったようで嫌だったので、蓮子は自分から話題を振ってみた。
「季節の神様よ。単体ではなくて複数」
 元々、参道傍の食事処が出すデザートがうまいという評判だけを聞いて、ふたりはここにやってきたのだ。神社の方は今回おまけのようなものだった。だからメリーがさらりと質問に答えたことに、かえって蓮子は驚いた。
「ちゃんと調べてたのね。意外とマメよね。普段ぬけてるのに」
「神社散策を楽しむなら、背景踏まえておいた方が楽しいわ」
 蓮子の言葉の最後の方は、メリーは聞き流すことにしたようだった。
「今、パンフ持ってる?」
 蓮子が尋ねると、メリーは首を振る。
「持ってないわよ。ネットで見ただけだし」
「どんな神様がいるの」
「春の神様とか、夏の神様とか、秋の神様ね」
「そのまんまじゃない」
「他にも色々いるのよ」
「それで? なにかご利益があるのかしら」
「秋の神様だったら、豊穣を祈願するの。豊作だったり、子だくさんだったり」
「食欲に、性欲か。人間の欲望に根差した、素敵な神様ね」
 蓮子は感心してうなずく。鳥居をくぐった。
 境内には家族連れや、旅行者らしき風体の者、蓮子たちのような恋人同士と思われる組み合わせなどが、ちらほらと見受けられた。二十人近くはいる。午後三時過ぎの、暖まった大気を切り裂く冬の風が、心地よい。中央にたたずむ拝殿も、清潔感を漂わせていた。
「結構広いのね」
 蓮子は清々しい気分になった。中央の拝殿の他にも、境内をとりまく垣根にそって、小さな拝殿がずらりと並んでいる。
「メリー、さっき言ってた、豊かさの神様のところにお参りいきましょうよ」
「いいけど、季節外れもいいとこね。見てよこの空の青さ、この暖かさ、もうすぐ春よ」
「参りたい時に参ればいいでしょ。野暮なこと言ってないで」
 メリーの手を引き、拝殿を覗いてまわる。
「金刀比羅……恵比寿……稲荷……なんだかどこにでも生息してるわよね、この辺の神様は」
 拝殿の上に墨書してある文字を読みながら、蓮子は言った。
「勢力範囲が広いものね」
「あ、これかしら。ホウジョウシンって書いてある。ええと……アキ? いや、シュウかしら。シュウジョウシ? それとも訓読みかな。ホウジョウノカミ、アキ……」
 その時、蓮子の袖が引っ張られた。振り向くと、メリーが黙って拝殿の下辺りを指差している。蓮子の目には何も見えない。だが、メリーの仕種から、彼女が何を見ているのかは理解した。
「メリー……そこに、あるのね。境界線が」
「裂け目自体は、はじめからあちこちにあったわ。神社だものね。そういうのは、窓にできたひっかき傷みたいなもの。結局のところ、何も通さない。けれど、これは違う。ひょっとすると、向こう側に届いているかも」
「じゃあ、行ってみましょうよ」
「簡単に言わないでよね、これでも心の準備がいるんだから。もし変なところに通じていたらどうす……あ」
「どうしたの、メリー」
 途中で言葉を止めたメリーの横顔を、蓮子は覗き込む。メリーは、何かを指差した。その指は次第にふたりの足元へ近づいてくる。
「来るわ」
「境界が?」
「こっちに近づいてくる」
「え、それって大丈……」
 言いかけた蓮子の視界を、白い光が支配した。痛みも熱さも感じなかった。光はすぐに収まった。辺りを見回すが、どこも変わったところはなさそうだ。ただひとつ、今までとまったく違う点があった。
「人が、いない……」
 さっきまで境内にいた人々の姿が消えていた。決して少なくはない人々が、一斉にいなくなっていた。
「音も閉じ込められているみたい。通りが悪いわ」
 メリーは地面に敷き詰められた玉砂利をひとつとり、垣根に投げつけた。乾いた音がして、石は下に落ちる。
「ほら、何かこもったような音がするでしょう」
「よくわからない。いや、全然わからないわ」
「蓮子は感覚が摩耗してしまっているのね」
「普段ぽやーっとしているあんたに言われるとなんか癪だわ」
 蓮子はそう言いながらも、垣根に生えた雑草や、境内に生える木の幹に触れてみた。こすって音を立ててもみる。言われてみると、いつもより音の響きが曇っている気がするが、そもそも日常的に草木に触る習慣などない。思い込みかもしれなかった。
「きっと私たちは神様に呼ばれたのよ」
「この、豊穣の神様に?」
「そう。祈りが届いたのね」
「祈りって……んむっ」
 蓮子の口を、メリーの唇がふさぐ。十秒近く、ふたりはそのままでいた。メリーは蓮子の背中に腕を回し、のんびりと体の感触を楽しんでいる。
「ぷはっ……ふぁ、メリー、いったい、急にどうしたの。こんな、ひとがいるかもしれない場所で」
「だから、結界で遮られているって言ったじゃないの。この秋の神様が気を利かせてくれたのよ」
 メリーに手をひかれ、蓮子は地面に腰を下ろした。冷たい土の感触が気持ち良かった。メリーは向かい合って座り、蓮子のネクタイをほどき、シャツのボタンを外していく。控えめにふくらんだ乳房が、ふわりと露になった。
「見えるようにしないと」
 乳首に、メリーの手のひらが当たる。蓮子は小さく声をあげた。
「もっと出しても、いいのよ」
 メリーは言った。ちょうどメリーの手のひらに収まるぐらいの大きさだ。まだ、動きに激しさはない。蛞蝓が這うように、ゆっくりと、丹念になでる。蓮子は目を細め、頬を赤らめ、半開きになった口から時々声をもらした。
 蓮子は、メリーの体で感じてもいたが、それとは別に、どこからか自分を射る視線も意識していた。それが、静かに燃え続ける埋み火のように、自分の興奮を煽り立てているのも、理解していた。
「蓮子」
 メリーに手を引かれるまま、蓮子は立ち上がった。何も考えられなかった。上半身は裸で、ブラウスはスカートの裾から下に垂れている。
 ふたりは中央の拝殿の前に立った。この境内の中で、一番まわりが見渡せる場所だ。
「メリー、寒いわ」
 蓮子は、両腕で裸の上半身を抱きしめる。風の冷たさが、ぼんやりしていた蓮子の意識をわずかに醒ました。メリーは左腕を蓮子の背中にまわし、右手で黒のスカートを脱がす。土の上にブラウスとスカートを敷き、そこに蓮子を横たえる。黒帽子をとって、脇に置く。
「下着ぐらい、自分で脱ぎなさい」
「だから寒いって。風邪をひいてしまうわ」
「私が脱がそうか」
 蓮子は言われるがまま下着を脱いで、一糸も纏わぬ姿になった。対照的に、メリーは服をかっちりと着たままだ。ふたりは互いを見て、このアンバランスな状況に、顔を火照らせた。
「何で場所を変えたの」
「ここが一番、よく見える場所だからよ。私たちが。神様から」
「興味あるかしら」
 蓮子は歯を鳴らしながら、周囲を見回す。さっきから感じている視線の持ち主を探す。
「メリー、誰か見てる」
「だって、そこにいるもの」
 メリーは中央の拝殿を指す。
「そこに?」
「この拝殿は、共同の借家のようなものね。普段は持ち回り制。だけど特別に、順番を飛ばして優先してもらえる場合がある。他の神様みんなに認められるような功績をあげたり、こっそり賄賂を贈って機嫌をとったりすれば、順番を回してもらえるわ。とにかく、みんなに何らかの形で利益を与えればいいの」
「よくそこまで調べたわね」
「今は、秋の神がステージにあがっている」
 そう言って、蓮子の乳首を唇で挟み込む。
「ンッ……見えるの」
 声を押し殺して、蓮子は尋ねる。そうでないと、あられもない声をあげてしまいそうだった。
「ぼんやりとね。向こうも、境界というか、フィルターを完全には外していないみたいだから。女の子みたい。帽子をかぶった。ちょっと照れてる」
 その女の子に見せつけるように、メリーは蓮子の乳房を舌でねぶり唾液をまぶす。指先を蓮子の秘裂に這わせる。蓮子は無言で背中をそらせた。深い息を吐く。神様に見られているのかと思うと、興奮が止まらない。


 参道を降り、食事処を通り過ぎ、駐車場に戻った。いつの間にかまわりの人々は戻っていた。時刻は午後四時前で、西の空が徐々に赤く染まりつつある。
「ふあぁ、体を動かした後は気持ちがいいわね」
 軽自動車の助手席に座ったメリーは、欠伸しながら言った。
「何言っているのよ。今までが気力の充電期間。これからが本番なのよ。部室のエアコンと、オカルト大辞典、その他諸々がかかっているんだから」
 蓮子はまだ頬を上気させていた。ああいう広い場所で本格的に睦んだのは、初めてのことだった。その照れ隠しの意味もあって、ことさらにテンションを高くしていた。
「ああ、そういえばそうだったわ。蓮子、私すっかり忘れていた」
「あんた、今夜何するつもりだったのよ」
 今夜、ふたりは街の雀荘に行く。大学のオカルトサークル主催の麻雀大会だ。今回は四日間に渡って行なわれる決勝リーグの二日目に当たる。この大会は、一サークル二名を選出し、六半荘終了時、合計点数の高い方を勝ちとする。大会の参加人数は五十名近くに上り、毎年学内ではちょっとした話題を提供している。蓮子と、蓮子に教え込まれたメリーのコンビは、初参加にしてあれよあれよという間に予選リーグを突破し、決勝リーグ八チームのひとつに名乗りを上げていた。
 神社を離れ、国道に出、一時間ほど車を走らせると、街の中心部に入った。
 一キロ近いアーケード街の両脇に、飲食店やデパート、雑居ビル、本屋などが並んでいる。ふたりは路地に入り、民族系の雑貨屋に寄り、ブティックで服を眺め、夕食を喫茶店でとった。それからネットカフェで時間を潰し、午後十時前に雀荘に入った。

 室内は、白く霧がかかったようになっている。客の多くが喫煙しながら打牌するためだ。蓮子とメリーは煙草は嗜まないが、雀荘内の、この景観は好きだった。長時間密閉された部屋にいるので、皆、普段より体臭が強くなる。蓮子は容易にメリーの体臭を嗅ぎわけることができた。
「あ、ツモったわ。ドラだけ。リーヅモドラ一」
「うわー、またやられた」
「ハーンはツモるのよねえ」
「待ちが広かったら、もういいや、って」
「親の三十符三翻なら立派なものよ」
 千点棒を二本渡しながら、蓮子は上機嫌に言った。蓮子自身の点は減るが、合計すれば結局自分たちチームにとっては四千点のプラスになる。トップが変わったり、親かぶりでもない限り、味方にツモられてもそれほど痛くない。
 普段は役牌を絞り、蓮子が手堅くアガリを狙う。相手に手が入ってそうなら振り込みを避けるため無理はしない。そうして場を流しつつ、メリーにスイッチが入るのを待つ。そのやり方で、秘封倶楽部はここまで勝ってきた。もちろん、手綱を握るのは常に蓮子だ。メリーの好きにさせるのは、半荘に二、三局程度。波に乗りきれてないようだったら、たとえメリーが親でも、節制を強いる。
「メリー、行けそう?」
「ええ」
 蓮子の問いに、メリーは笑って応える。あの口が、つい一時間前には自分の乳房を吸っていたのだと思うと、感慨深かった。
 股間にむず痒さが募る。
「じゃあ、しばらく好きに行っていいわ」
 そう言いながら、自分の配牌を見てみる。ぱっとしない。三索の暗刻や、発だの東だのが一枚ずつあるが、どうしようもない。順子候補もカンチャン待ちばかりだ。
 メリーにサインを送る。発は持っているようだ。しばらくツモっていく。手は進まない。メリーも渋い顔をしている。メリーの発が二枚そろったので、鳴かせて、テンパイにとらせる。そのまま自分で差しこんで千八百点払った。
 恰好がみっともないのでいまだに抵抗があるが、メリーから自分のアレを舐めてもらうのは、気持ち良くて好きだ。神社の地面の、石のごりごりした感触を思い出す。足を広げると、メリーが蓮子の太ももに手を添わせ、そのまま女性器に舌を這わせる。珍しい場所で緊張している蓮子に配慮してか、神社でのメリーは優しかった。
「リーチ」
 メリーが早くも五順目でかける。目が楽しげに爛々と光っている。この半荘はどうやら勝てそうだ、と蓮子は思った。
「ツモ。タンピンドラ一。裏は……あー、のらないわ。四千二百オール」
 そのあとメリーがさらにハネ満、七千七百(つまり八千九百)と連続で上がり、相手を飛ばしてその半荘は終わった。
 洗牌をしていると、対面にいるメリーの指に当たる。メリーは指が器用だ。蓮子の唇も口の中、耳も性器も、腋も乳首も、メリーの手にかかると快楽の永久機関のようになる。特に後ろの穴を責める時のメリーの指使いは、蓮子には信じられないほどに、巧みだった。
 牌を混ぜる傍ら、一瞬だけ指を絡める。
 また、股間が疼く。明らかな違和感がある。異物が、盛り上がってくる。下着を押しのけ、出てくる。スカートの生地にそれが触れる。
 手を伸ばし、スカートを上から押さえつける。疼きは、明らかな快となった。
 状況は、簡単に推測できた。だが、にわかには信じがたい。
 卓の下でのことなので、誰も蓮子のスカートのせり上がりには気づかない。
「どうしたの? 蓮子」
 メリーが尋ねる。蓮子は黙って首を振った。
 サイコロが降られ、ゲームが始まる。蓮子の頭の一部は変わらず冷静さを保っていて、的確な判断で打牌する。メリーがノリそうになったら、援護し、そうでない時は手堅く場を流していく。南一局のメリーの親で、爆発が始まった。東場が終わった段階でメリーとトップは四万点ほど開いていたのだが、見る見るうちに差が縮まり、ようやく南二局になった頃にはメリーの点棒箱には七万点入っていた。残りは蓮子が小場で回して、終わらせた。
「くぅー、やられたわね。さすが秘封のコンビは強いわ。ってあれ? 宇佐見、どこ行くの?」
「ちょっと……トイレ」
 蓮子の差し迫った声を、相手ふたりは好意的に誤解してくれた。
「勝負が終わったんで気が緩んだのね。そんなにしたけりゃ行ってきなさいよ」
 その声を背中に受けながら、蓮子はトイレに駆け込んだ。

「なに、コレ……」
 トイレの狭い個室の中で、ひとり、蓮子の声が響く。自分の股間から屹立するモノから、目が離せなかった。
 メリーの汗ばんだ肌の残り香が、まだ鼻孔をくすぐっている。このトイレから出て雀卓の間を縫って十歩も歩けば、あの匂いの大元に触れることができる。そう考えると、また、股間に熱が集まっていく。一瞬、頭がくらりとした。大量の血液が送り込まれているからだ、とその朦朧とした頭で理解する。
「男のひとの……」
 指から力が抜け、たくしあげていたスカートが落ちようとするが、勃起しつつあるペニスに押し上げられ、前の方だけ落ちなかった。メリーのことを考えれば考えるだけ、それは雄々しくそそり立っていく。メリーのうなじや、乳房、足の甲、瞼、その他汲めども尽きぬ魅力的な個所を思い浮かべると、その度にびくんびくんと躍動する。
「どうなってるのよ。これ、やっぱりあの神社が関係してるのかな……」
 おそるおそる、自分のそれに手を伸ばす。指先で触れる。コレが自分から生えているというのは、間違いない。映像やマンガで培った知識を想起しつつ、手のひらで竿をそっと握る。穏やかな、むず痒いような快楽が股間から広がっていく。熱心に牌を並べていたメリーの顔を思い浮かべる。すると、ペニスが鎌首をもたげた。反射的に強くつかむ。
「はァッ……」
 思わず、声が出た。膝が崩れそうになったが、なんとか体勢を立て直す。強烈な快感が腰を突き抜けて、一瞬、立っていられなくなった。
 今まで感じていた性的快楽とは、まったく違ったタイプのものだった。
「男のって、こんな気持ち良かったんだ」
 触れていると、切ない感覚が広がっていく。メリーのことを思い浮かべながら、竿を握り締めて、前後にしごく。
「う……んくっ、は……っ!」
 唇を閉じ、声を抑えようとするが、無意識のうちに漏れてしまう。
 力をこめてしごくほどに、快楽は増していく。蓮子は一心に手首を前後に動かした。手のひらが湿り気を帯びてくる。滲んだ汗と、亀頭からわずかに出た体液のためだった。うわ言のように、名前を呼ぶ。
「メリー、メリー、はぁっ、いいよメリー、メ、メリー、メリぃっ、はぁ、ああ、メ……」
「蓮子?」
 胃の辺りがきゅっと縮こまったような気がした。聞き慣れた声がする。
「蓮子、まだ終わらないの? みんな待っているわよ」
 今の蓮子の状態をまったく理解していないような、のんびりとした声だった。
「ごめん、もうちょっと待って、メリー。すぐにいくから」
 蓮子は何気ない風を装って、返事をした。だが、うまくいったかどうか、蓮子自身にはよくわからない。いつもより声がかすれて、不自然な気もした。
「すぐに?」
 メリーの足音が近づいてくる。蓮子の入っている個室の前で止まる。
「本当にすぐに終わる?」
 メリーの声が艶めいてくる。蓮子のペニスに大量の血液が送り込まれ、彼女の手に血の流れの確かな手応えを与える。
「蓮子、我慢できなくなったんでしょう。いいわ、私がしてあげる」
「メリー、あのね、その、気持ちはありがたいのだけど」
「鍵を開けて」
 蓮子は鍵を開けた。メリーはぬるりとドアの隙間から個室に入り込んでくる。
 そこで、目を見開いた。
 しばらくの間、じっと蓮子の股間から生えたモノを見つめていた。蓮子は、何と言っていいかわからず、ただ黙って、そそりたつペニスを突き出したまま、その場に立っていた。
「まあ」
 メリーはようやく、それだけ言った。何と言っていいかわからないのは、メリーも同じようだった。
 だがメリーは蓮子よりも順応速度が速かった。蓮子の右手の上から左手をかぶせて、ペニスを圧迫した。
「ふあっ……メ、めりぃ」
「なんだかわからないけど」
 メリーの声は、滴る水飴の甘さを思わせる。
「これってすごいことよ」
「す、ごいことかもしれないけど。う……メリー、手を離して」
「蓮子がずっと握ったままだからいけないのよ。私はあなたの手を握っているだけ」
「う……」
 蓮子は自分のモノから手を離す。メリーは蓮子の手を握ったまま、空いた方の右手でペニスを握った。
「ひぁっ」
 悲鳴に近い声をあげて、蓮子はその場に倒れ込んだ。蓮子の手を握っていたメリーもつられて体勢を崩し、トイレのタイルに膝をつく。
「あ、何かでてきたわ」
 蓮子の股間に視線を落としたまま、メリーが言う。亀頭の先から、透明な液体の粒がぽつりと出ている。
「メリー、許して。お願い、いっぺん離れて」
 蓮子の声が哀願の調子を帯びる。
「これ、舐めたら、蓮子悦ぶ?」
 蓮子は目を閉じて首を横に振った。
「怖い?」
 今度は縦に振る。
「きっと気持ちいいわ」
 メリーが少しでも手を動かせば、何かが出てしまいそうだった。ましてや、口に含まれたらどうなるか、考えただけでも恐ろしかった。どれだけ気持ちいいのか、想像がつかない。
「駄目、私、馬鹿になるかも」
「大丈夫。蓮子は頭のいい子よ」
 そう言って、メリーは髪をかき上げ、口を開き、勃起したペニスをくわえこもうと首を突き出した。
「宇佐見、ハーン、いないの?」
 メリーはぴたりと動きを止めた。蓮子も体をこわばらせる。相手サークルの声だ。
「あと四半荘あるんだから。まだ勝負はついてないわよ」
 もうひとりの声も続く。
「いないの? ねえ」
 足音が近づく。蓮子は両手に力を入れて、なんとか体を起こし、メリーから離れた。
「いるわ。今済んだところ」
 言いながら、水を流す。
「あらそう。失礼したわ。あまりに遅かったのだから、イカサマの計画でもふたりして練っているのかと思った」
「メリーは隣よ」
 蓮子はスカートの裾を下ろす。突然の第三者の声に、蓮子のそれはすっかり縮こまってしまった。それでもまだ、快楽の余韻は残っている。目の前でもの欲しげな顔をしているメリーから、視線を外せない。
 足音は遠ざかっていった。蓮子は深呼吸する。メリーは立ち上がった。蓮子の唇に、そっと唇を触れさせる。と同時に、蓮子の股間を、スカートの上からやさしくひと撫でした。
「まずはこの勝負に勝ってから、ね」
 蓮子はうなずいた。
 欲情と知性が、いい感じで噛み合っていた。負ける気がしなかった。


 その日は、秘封倶楽部の大勝に終わった。最後の二半荘は負けたが、前半の大差を覆すには遠く及ばなかった。
 相手サークルのふたりは、徹夜明けの重たい瞼をしぱしぱさせながら、足取りも重く立ち去っていった。雀荘はようやく閉店だが、街はこれから動き出す。長大なアーケード街のそこここで、シャッターの開く音や、仕事の指示を飛ばす声が聞こえてくる。パチンコ屋は店前の道路に水をまき、本屋は週刊誌の陳列台を表に出す。蕎麦屋の厨房の窓からは湯気が立ちのぼる。
「ああ、一日が始まるわね」
 アーケードの天井から差し込む日の光に目を細めながら、蓮子は呟いた。楽な戦いではなかった。相手は強かった。サークル棟部室の冷暖房やネット環境、貴重な蔵書の数々を賭けた大一番だった。論理と閃きで、頭を極限まで酷使した。
「そうね。相も変らぬ、労働の日々が」
 メリーはいつにもまして、ぼんやりした顔をしていた。おそらく自分も似たような顔をしているのだろう、と蓮子は思った。
「とはいっても私たち、働いてないんだけど」
「やあね蓮子、非労働は学生の特権よ」
「そんな十年も持たないような脆い権限、特別でもなんでもないわ」
 蓮子は冷静に切り捨てようとする。
「あーあ、ずっと学生できないかしら」
 メリーは欠伸混じりに答えた。
「ずっと勉強して、ずっと本読んで、ずっと好きなこと考えるの」
 目尻に浮かんだ涙を、メリーは指で拭う。それから、隣の蓮子と目を合わせる。
「ねえ、素敵でしょう」
「素敵だわ。とても。でもね、とりあえず私たちに今もっとも不足しているのは睡眠で、それを叶えるためにはまずアパートの部屋までたどり着く必要があるわ」
「駐車場まであと何時間?」
「五分もかからないわよ」
「運転よろしくね」
「あんたも免許ぐらい取りなさいよ」
 パチンコ屋の手前から路地に入り、アーケード街から離れる。急にひとの気配がなくなった。ふたりの足音しか存在しないかのような錯覚を覚えた。どちらからともなく、相手の手を取り、指を絡めた。
 駐車場は、狭苦しい繁華街の中に無理やりスペースをとったためだろうか、歪な形をしていたが、とにかく十台分のスペースはある。蓮子とメリーが駐車場についてみると、蓮子の軽の他には、一台の普通車があるきりだった。
 蓮子は、自分の足取りが次第におぼつかなくなっていくのがわかった。動くたびにもどかしい快楽に責められ、もう歩くのも辛くなっていた。精算機にお金を入れようと、スカートのポケットから財布を出そうとする。だが、躊躇する。スカートの前は、不自然に盛り上がっている。
「蓮子、そのまま楽にしていいわよ」
 メリーの囁きが蓮子の耳をくすぐる。メリーの髪が蓮子のうなじや頬を撫でる。徹夜明けで、しかもずっと密閉された空間にいたためか、髪からはどこか饐えたような、それでいて甘い匂いがする。
「精算機で、ちょうど道からは陰になるから」
 蓮子は精算機に背中を預けた。メリーは蓮子の前で、膝をついた。蓮子の、足首まであるスカートの裾に手を滑り込ませる。そのまま蓮子の足を伝い、スカートをたくしあげていく。手探りで、下着をおろす。途中、何かに引っかかる。強引に下ろすと、その反動でスカートが盛り上がった。
「わあ、すごい勃起してるわね」
 メリーのあまりに直接的な物言いに反応したのか、蓮子のペニスはさらに大きく反り返った。メリーは興奮に目をぎらつかせながら、スカートをあげる。蓮子の性器が露になり、槍の穂先のようにメリーの顔面に向けられている。メリーは唾を飲み込み、上目遣いで蓮子を見る。
「蓮子、持ってて」
 スカートの裾を蓮子の指に握らせる。
「ちゃんと手は腰に寄せててね。スカートが邪魔であなたの顔が見れないなんて、嫌だから」
 蓮子はもはや言われるがままだった。スカートをたくしあげると、朝の清冽な風が、蓮子の下半身を嬲る。春の兆しが見え始めたとはいえ、暦ではまだ冬だ。
「蓮子の、寒そう。温めてあげる」
 そう言って、亀頭をすっぽりと唇で包み込む。
「ぁひっ」
 蓮子はしゃっくりのような奇声をあげ、精算機に背中をあずけたまま、腰を落とした。その拍子にメリーの唇から蓮子のペニスが抜けた。亀頭から唾液が糸を引いて、メリーの唇に続いている。
「気持ち良かった? といっても、まだ何もしてないけど」
「き……気持ちよすぎなのよ。なんか、こういうことって、変よ。ちょ……んはぁっ」
 蓮子の言葉は途切れた。メリーは深々と蓮子のモノをくわえこんだ。蓮子は精算機に手をかけながら、どうにか膝を伸ばす。だが、膝はがくがくと震えっぱなしだ。
「あ……あ、あ」
「んむ……んう。ちゅるる」
 メリーはゆっくりと首を後ろに下げていく。メリーの唇から、棒状の肉塊が姿を現していく。亀頭の半ばまで外気に触れたところで、またメリーは口腔深く、ペニスを沈みこませる。口内で暴れるペニスを舌でからめ取る。
「あぁ、メリー、メリー……も、もう……ひウッ」
 我慢も何もあったものではなかった。蓮子は押し寄せる快楽に、ただされるがままだった。口の端から涎を垂らしながら、射精した。生まれて初めての感覚だった。ペニスから、何かねっとりしたものが、どく、どく、と脈のように流れ出ていく。その度に、身をよじるほどの快楽に侵される。粘り気のある液体が、メリーの口に注ぎ込まれていく。
「ぐむっ……! んう、むぅっ。んぐっ」
 口の中で何かが弾けたメリーは、一瞬驚いたようだったが、すぐに目をうっとりと細め、蓮子の精を受け入れた。
「はぁ、あぁ……っ。メ……リ」
 突然の射精もようやく終わり、蓮子はなんとか呼吸を落ちつけて、メリーを見た。メリーは、ゆっくりと唇から肉塊を吐き出していた。あれほど雄々しくそそりたっていたペニスが、死んだ蛇のようにうなだれていた。だが、白い体液で塗り固められ、朝日を反射しぬらぬらと白く光るそれは、独特な迫力があった。
「く……苦しくなかった?」
 快楽の余韻がまだ尾を引いている。メリーのことを考えずに自分だけが突っ走ってしまったようで、蓮子は気恥ずかしくなり、思わずそう尋ねた。
「ううん。そんなことない。興奮してる」
 メリーの唇には、白い精液が、クリームのようにいくつか塊になって残っている。蓮子は前に屈む。メリーも膝をついたまま腰を上げる。ふたりの唇は触れ合った。
 メリーの舌はどろどろの精液でコーティングされていた。そこに蓮子の舌が絡みつく。濃厚な体液が蓮子の口を侵す。芳醇でも清涼でもない、獣臭いばかりの体液だったが、それが自分から出たもので、メリーを存分に侵し、それをまたふたりで貪り合っているのだという考えは、蓮子を否が応でもそそらせた。
 快楽が拡散しつつあった下半身から、また重い刺激が生まれる。
 メリーが、蓮子とディープキスをしながら、手を蓮子のペニスに伸ばしていたのだ。ただがむしゃらに握りしめるのではない。さっきよりも柔らかくなったペニスに応じて、やさしく、それでいて煽るような指遣いで、しごいている。蓮子のペニスがもとの固さになるまで、そう時間はかからなかった。
「蓮子。もういっかい」
 メリーは口を開けながら、ブラウスのボタンを外しだす。アスファルトに尻をついたまま、後ろに下がり、蓮子の軽に背中をもたれかけさせる。精算機から離れてしまうため、今までと違い、角度によっては道路から丸見えになる位置だ。
 やや躊躇した蓮子を誘うように、メリーはブラウスを開き、ブラを外した。たわわな乳房に、蓮子は灯りに誘われる蛾のように、引き寄せられる。勃起したペニスの先端を、乳房に押しつける。乳房は熱い亀頭を受け入れ、柔らかく形を変えた。亀頭も竿も、蓮子自身の精液とメリーの唾液でべっとりと濡れている。それで存分に乳房を嬲ったため、乳房もてらてらと光り、こぼれた体液はブラウスに染みをつけた。
「タマもついてるのね。すごいわ」
 メリーは、蓮子の竿の根元にある袋を舌にのせる。ふたつの睾丸がメリーの舌の上で弄ばれる。そのまま、袋を口中に含み、唇をすぼめ、舌で、頬の内側や歯茎に押しつける。その間、痙攣している竿を、手でしごいてやる。
「メリー、んぁっ、メリー」
「れんほ、ひもきいい? いい?」
「ああ、いい、いいよぉ、もっと」
 メリーは口から袋を出す。唾液でぐっしょりになった袋に鼻の頭を押しつける。金髪で蓮子のペニスを包み込む。
「どうしてほしい、しゃぶってほしい?」
「うん、うん」
「はい」
 一気にペニスをくわえこむ。蓮子はもう耐えられなかった。メリーの頭を両手でつかみ、そのまま腰を突き出した。メリーの後頭部が、軽のドアに当たる。
「んむっ!」
「はッ、はぁっ」
 蓮子はそのまま腰を押しつける。メリーの口腔内を蓮子のペニスが潜り進む。そのまま喉の奥に達する。
「ぐむっ、う、おぅ、えぐっ」
 メリーは激しくむせる。そこで蓮子は我にかえる。動きを止め、メリーを見下ろす。すると、メリーは蓮子を見上げた。目尻には涙が浮かんでいるが、目は、激しい欲情で燃え上がっていた。蓮子は腰に新たな快楽が突き上げて来たのを感じた。
 メリーは、蓮子の後ろの穴を指でついた。
「うあ、あぁ、そんな、メリー」
 さらに指の第一関節まで、もぐりこませる。
「はぅ」
 後ろを刺激されると、ますます勃起が激しくなる。意思とは裏腹に、蓮子はメリーの頭をがっちりと固定して、凄まじい勢いで腰を前後に激しく振りたてた。そのたびにメリーの頭はドアにたたきつけられる。メリーはむせ、涙を流す。対抗するように、いっそう激しく蓮子の後ろの穴から指を出し入れする。蓮子は何が何だかわからなくなってきた。
 そのまま追い立てられるように、達した。
「んむっ、じゅぶるっ、えう、ごぷっ、お……ぐぷっ」
「う……あ、あ……あ……メリぃっ……」
 口中ではなく、喉の奥に、そのまま精液を叩きつける。
「んぐ、ごく、ごぐっ。ぐむっ、じゅ、むっ」
 メリーの喉が何度も動く。飲みきれなかった精液がメリーの唇の端からとろりと垂れる。
「あ、ふぁっ……」
 蓮子は手の力を緩め、ゆっくりとメリーの口からペニスを引きずり出す。ペニスの先端から垂れた、泡立った体液が、メリーのスカートの上に垂れ落ちる。
「ハァッ、ハァッ……」
 メリーは苦しげに肩で息をしていた。しばらくして呼吸は落ち着いたが、口は半開きで、放心しているようだった。蓮子の軽に体を持たれかけさせ、唇から顎にかけて精液と唾液でべとべとになり、ブラウスは前が完全に開かれて、体液で汚された乳房が露になっている。蓮子は、この煽情的な光景を見て、息が詰まりそうだった。
 だが、二度の大量射精と、その前の徹夜の遊戯で、体に限界が訪れつつあるのも理解していた。ふらつきながらも、逆側にまわり、車の鍵を開けた。放心状態のメリーを何とか助手席に押し込み、キーを回し、エンジンをかける。出発しようとして、タイヤが何かに引っかかった。
 まだ精算していないことに、ようやく気づいた。

 軽は、蓮子の親戚から一週間の約束で借りたものだったので、精液や汗、唾液がシートにこぼれないよう、気を使わなければならなかった。ペニスにこびりついた体液は、他に拭くものもないので自分のスカートで拭いた。メリーの顔もひどい有様だったが、舐め取ったり服で拭いたりして、ひと通り、垂れない程度には拭き取った。
 車内でふたりは無言だった。蓮子は、さっきまでの濃密な快楽と徹夜の疲労で、ほとんど何も考えられず、ただ機械的に車を運転していた。気づいたらアパートについていた。夢遊病者のように足下のおぼつかないメリーの手を引き、階段を上り、部屋に入る。鍵を閉め、すぐにバスルームの蛇口をひねった。口の中がべとべとしている。メリーと自分のものなので、嫌悪感をもよおしたりはしないが、単純に、風呂に入ってすっきりしたいのも確かだった。服を脱いで洗濯機に放り込む。蛇口をひねって湯船にお湯を入れる。浴槽にお湯が溜まるのを待つ間、ぼうっと突っ立っているメリーの服も脱がす。
 まだあまり溜まっていなかったが、ふたりで湯船に浸かると、水面が腰ぐらいまでにはきた。めいめいに、手のひらでお湯を掬って、顔を洗ったりした。
 冬の朝特有の、冷たさと明るさを持った空気が、浴室にまで及んでいた。蓮子は、目を閉じ、瞼を指で押さえ、深く息をついた。疲労が、お湯に溶け込んでいくような気がした。
 股間に、甘い圧迫感を感じる。目を開くと、メリーがお湯の中で、蓮子のペニスを指で弄んでいた。
「あ、反応した。少し大きくなったわ」
 メリーは嬉しそうに笑い、今までより強い力で弄り始めた。
「……もう、何してるのよ」
 咎める言葉が、快楽で上ずる。メリーはそれを確認すると、左手で袋をもみ、右手で竿を握り、ゆっくりと前後にしごき始めた。水中でのことでもあり、動きはゆったりとしていた。
「それにしても、どうして蓮子にこんなものがついちゃったのかしら。やっぱりあの神社かしらね」
「多分。神社であんなことしたから、神様も腹を立てたんでしょう」
「逆よ。きっと悦んだと思うわ」
「どうして、メリー?」
 蓮子のペニスは、徐々に力強さを取り戻しつつあった。メリーの手の中で熱と固さが増していく。
「蓮子、上がって。これだとしにくい」
 メリーの指示に蓮子は従い、浴槽の縁に腰をかけた。ペニスは痛々しいほどそそりたっていた。メリーはすぐにそれを口に含んだ。蓮子の腰に手を回し、首を大きく前後に振り、口唇を丹念に蓮子のペニスにこすりつける。
 蓮子は深いため息をついた。メリーの髪の毛をいとおしむように、そっとなでる。メリーは怒張から唇を離した。上目遣いで蓮子を見る。
「神様はお祭り好きでしょ? そうでない、引きこもりみたいなひともいるかもしれないけれど。基本、お祭り好きなら、私たちのしてることだって、好きなはずよ」
「そうかな」
「そうよ。だって楽しいもの」
 カリ首に舌を這わせる。
「あんっ」
 蓮子は思わず艶のある声を出してしまう。
「蓮子だって、新しい快感を覚えて、いいことばかりじゃない」
「そう……でもないわよ。ンッ、こんなのついてたら、日常で不便でしょう。だいいち、はぁっ、おちおちスカートもはいていられないわ。特にあんたと一緒にいる時は」
「始終、こうなっちゃうものね」
 メリーは蓮子の手を引き、湯船に戻す。蓮子の背中を壁際に押しつける。ペニスを握り、自分の秘所に添える。目で蓮子を見、手伝うよう促す。蓮子はメリーの腰に手を添え、固定してやる。不慣れな水中での遊戯に加え、これまで経験のない挿入という行為に、ふたりはしどろもどろになり、何度か失敗した。それでも焦りはしなかった。ふたりの浴室に、時間はいくらでもあった。滑ったり、狙いを外したりするのも、むしろ楽しんでいた。
「そういえば気になるんだけど……あ……ふぁっ」
 腰を落とし、メリーは鼻にかかったあえぎ声をもらした。蓮子のペニスが、メリーの中に入った。
「なに……が? あ、ちょ、メリー、すぐ動かないで、ん、んくっ」
 蓮子は眉根を寄せる。
「ザーメン。蓮子の」
 その言葉を耳にして、蓮子はどきりとした。
「私の中にそそいだら、どうなるのかなって」
「ど、どうって……あン」
 メリーは腰を大きく上げ、下ろす。水面が揺れ、溢れたお湯が下のタイルに流れていく。
「妊娠、ンッ、するんじゃないの、普通だと。出された、あなたがっ」
「普通は、ね」
 メリーは蓮子の髪を指ですく。それだけで、蓮子は頭部から、押し寄せる波のような、巨大な、緩やかな快楽を感じる。それを知らせたくて、メリーの指に自分の指を触れさせる。指と指が、曲がり、絡み、なで、つつき、無言のうちに様々な快楽を交わし合う。
「メリーに、産ませたいな」
 ぎゅ、とペニスが圧迫されるのを感じる。メリーの膣が締まったのだ。メリーは潤んだ目で蓮子を見つめる。顔を近づけ、お互いの舌を絡める。さらに唇にかぶりつく。唇を離す。混じり合った粘液がふたりをつないでいる。
「これが神様の悪戯だとしたら、産まれてくるのは?」
 メリーは焦点の合わない目で、尋ねる。蓮子は腰を打ちつけながら、応える。
「さあ、神様が人間の胎を借りて産まれてくるって話はよく聞くわ。メリーは私に、神様を孕まされるのね」
 蓮子は腰の使い方がなんとなくわかってきた。自分からも積極的に腰を動かし、メリーの求めに応じる。メリーの豊かな乳房が上下に揺れる。手でつかむと、柔らかく崩れ、蓮子の手に馴染んだ。
「あぁ、蓮子ぉ、いいよお、気持ちいのお」
 メリーは浴室内に響き渡る声を出した。
 出そうになる。蓮子は動きを止める。もっとメリーを喘がせたかった。いったんペニスを抜いて、立ち上がる。
「メリー、あがって」
「え、え? 終わるの? そんな、嫌よ、やめてよ」
「やめるの?」
「じゃなくて、嫌なの。終わらないで……むぐっ」
 メリーの口にペニスを突っ込んで黙らせる。
「終わったりしないわよ。水中だと動きにくいなって思っただけ」
「……ぷはっ」
「マットに横になって。メリー」
「うん……うんっ!」
 メリーは嬉々として横になり、両手両足を広げた。蓮子がおおかぶさると、蓮子の首に両腕を、足に足を絡める。
「入れて、入れてぇ……ぅあぁっ、はぁん」
 メリーの顔は溶けそうなほど、悦びに満ちていた。蓮子は、がちがちになったペニスを抜き刺しする。メリーの肉をえぐっているようで、嗜虐的な快楽がある。うなじにメリーの爪が食い込む。その淡い痛みさえ甘さに変わる。
「メリー! メリー、もっと動くわ」
「うぅんっ、あっ、はぁっ、ンンンッ!」
 メリーの答えはもはや言葉になっていなかった。ただ首を縦や横に振りまくる。
 ぱん、ぱん、と肌のぶつかる音が浴室内に響き渡る。メリーの声は、次第に小さくなり、かすれていく。
「ひぃ、ん、くっ、ひっ、ハ……ハッ、ハッ……んはっ!」
「メリー……ふぅっ、メリー……ふぅっ、ふっ」
 蓮子も荒い呼吸を繰り返し、上から思う存分メリーを嬲った。すでにペニスには、もう射精しているのではないかと思われるほどの快感に襲われている。だが、まだ固い。果てはすぐそこだが、まだ来ていない。
 肉がぶつかる。蓮子の涎とメリーの涎がタイルで混ざり合う。唇と唇が求め合う。お互いの快楽の悲鳴を喰らう。
 とどめようのない波が、内側から押し寄せる。逆らう気は毛頭なかった。
「メリー……!」
 ただ、相手の名を呼ぶ。
 衝動に身を委ねる。
 精液がほとばしる。メリーの膣をどろどろの粘液で埋め尽くす。ペニスと膣の境目から、漏れ出た白い液体が溢れだす。蓮子の腰の動きはまだ止まらない。
 それも、少しずつ、少しずつ、勢いを弱めていく。射精の衝動が、射精の余韻へ場を明け渡していく。リズミカルに続いていた腰を打ちつける音も、その間隔が空いていく。
「蓮子……蓮子の精子が、流れてくるよ」
「うん、うん……」
 蓮子は満たされた思いで、うわごとのようなメリーの声を聞いた。メリーの膣から、蓮子のペニスが名残惜しそうに抜かれた。白く泡立った精液が溢れでる。蓮子は体をずらし、メリーの下の口から垂れる精液をすすった。
「ふふっ」
 メリーは鼻にかかった笑い声を立てた。
「蓮子、くすぐったい」
「そぉ?」
「あ、でもやめないで。なんか、終わった後のケアって感じで、いい」
「じゃ、続ける」
 静まり返った浴室に、蓮子の、体液を啜る音だけがする。
脱力しきったふたりは、もう一度湯船に浸かってから、浴室を出た。体をふき、もこもこした生地の寝巻に着替え、ベッドに入った。ふたりで同じ毛布にくるまる。メリーはポータブルプレイヤーを枕元に持ってきて、イヤホンをふたりの耳にそれぞれつないだ。
「蓮子、何、聞く?」
「なんでも。ううん、じゃなくて、なんか静かで、低音が頭に響くようなもの」
 蓮子は表紙の黄ばんだ本を開いている。
「静かなのに頭に響くの?」
「そういうのがあれば、っていうだけよ。ないならいいわ。あなたが入れている曲は、わりと悪くないのが多いから。時々聞き苦しくてプレイヤーごと捨てたくなる時もあるけど」
「ひどいわね。あんまりだわ」
「でも、今流れているのは悪くない。むしろいいわ」
「何読んでるの? 文庫にしては大きいけど」
 蓮子は本を天井に掲げるようにして読んでいる。メリーは蓮子の顔に頬をよせて、どんな本か確かめようとする。
「辞書よ」
「辞書? なんでそんなの読むの。おもしろいの?」
「変なこと聞くのね。おもしろくなければ読まないわ。もしくは、おもしろいという期待がなければ、読もうという衝動は起きないわ。まあ、同じことだけど」
「蓮子の言ってることが理解できないけど、要するにあなたは辞書が好きなわけね」
「好きと言えば、好き」
「私にはわからない」
「でも、この音楽も好き」
「それはわかる」
「そして、眠い」
「それも、わかる」
 先に寝息を立て始めたのは、メリーだった。蓮子はそれからも数分、辞書を眺めて目を楽しませていたが、やがてメリーの後を追って眠りについた。
 起きたら多分夕方だろう。逢魔刻に、またあの神社に行ってみるのもいいかもしれない。
お久しぶりの方、お久しぶりです。
緋想天の通信対戦にハマってたらいつの間にか三月でした(汗
メリーにフェラさせてみたかった。

追記 3月6日
コメントありがとうございます。
点数計算間違えた……orz
指摘どうもです。訂正しました。
エロい穣子も書いてみたい。
野田文七
コメント




1.名前が無い程度の能力削除
その時蓮子に電流走る――!
2.名前が無い程度の能力削除
メリーの頭、こぶになってないといいなぁ………。
とにもかくにもえろい。えろかったので◎。
3.名無し魂削除
前作で書くといってたからずっと待ってたぜ。

ナニコノ倒錯マミレノネチョ。下半身ニクルンデスケド。
貴方の人が見てても見てなくても変態をやる蓮子とメリーが大好きです。
生えてても何食わぬ感じで咥えるのがいい。

ごちそうさまでした。
4.名前が無い程度の能力削除
やらしいね。
5.名前が無い程度の能力削除
めりーえろいね!
6.名前が無い程度の能力削除
シュウジョウシさまGJ
7.名前が無い程度の能力削除
よきかな よきかな
8.名前が無い程度の能力削除
野田氏の蓮メリ来た! これで勝つる!
9.名前が無い程度の能力削除
みのりこさん凄いですね
4本番の7700は8900です
10.名前が無い程度の能力削除
エロエロですね。素晴らしい。
11.名前が無い程度の能力削除
蓮子さんとメリーさんがサルのようにヤる様子が微笑ましい
あと穣子さんGJ
12.名前が無い程度の能力削除
長い間待ってましたよ。そして蓮子の精子ごっくんするメリーエロいよ
13.名前が無い程度の能力削除
やっぱり子供を作ることができるっていうのは素敵な事なんですね
お前ら幸せになれよ!
14.名前が無い程度の能力削除
ショウジョウシ超GJ
15.名前が無い程度の能力削除
エロすぎる、蓮子がメリーさんにイマラチオさせてる時、メリーさんはきっと(あぁっ、蓮子にむりやりイマラチオさせられてる!注がれちゃう!)って思ってるに違いない違いない
16.名前が無い程度の能力削除
シュウジョウシさま、流石です。
17.名前が無い程度の能力削除
素晴らしい!
エロイですね
面白かったです