真・東方夜伽話

流れる桜のその行方

2009/01/31 22:11:03
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流れる桜のその行方

イージーシューター
1、雛

また、季節が流れる。

孤独な春が始まる。

桜の花びらが一片、宙を舞い、厄の池にハラリと落ちる。
落ちた花びらを中心に波紋が広がり、やがて池全体が揺れる
私は、ただ池の畔に座りそれを眺める。

何の事は無い、ただそれだけの事

ただ一片水面に佇む花びらに、確かな親近感を感じる。
私はあの花びらなのだろう。他の者から離れ、ただ池に佇む

池に落ち、川を流れた桜の花びらは何処に行くのだろう?
一度、真剣に考えた事があった。
だが、私は答えになど辿り着ない。

そう、私はこの場所から出た事が無いから。
ただ此処で過ごし、此処で朽ちる運命

でも、それでいい
いや、それがいい
私は厄神、天狗にも河童にも、人間にも忌み嫌われる対象

でも、それがいい
そう在る事で厄は増幅し、私に至高の厄をもたらす。

そうしてまた今日も一日を過ごし、終える
そうである筈だった夕刻頃

静寂が支配するこの地にガサガサと、草を掻き分けるような音が聞こえる。

この場所は森の奥の奥
好き好んでこんな場所に来る妖怪など、まず居ない、例外は…変な巫女と魔女…のみだ

なら、迷ったのだろうか、それはたまにある。
人間が山に入り、下山する際に迷い込むのだ
それなら、速やかに帰してやらなければ


「こんにちは」

しかし、茂みから現れたその者は全く迷い込んだ風では無かった

私は言葉を失う

綺麗な金髪を持ち、異様な服装をした少女とも大人ともつかない人
後ろに二体の人形を従えている。
その人は私に向かって一言だけ挨拶をする。

私が一つ頷くと、その人は私の隣に座る。

まるで、此処に来たくて来たような…やっと来れたと言わんばかりの
そんな笑みを浮かべながら


そこから、ただ沈黙が続く…


ふと、風が吹く
先程より多くの桜が散る。
散った桜が、空の色を反映して橙色に染まる水面を揺らす。

「…綺麗ね」

隣から声が聞こえた
隣を見ると、その人はただ舞い散る桜の様子をじっと見ていた。

その横顔は、あまりに儚く、あまりに綺麗だった。

そしてその表情の中に、私が最初に言葉を失った訳を知る。

…似てるのだ、どうしようもなく、私と

最後にその人は私を一度見つめる。
綺麗な蒼い瞳が私を捉える。
心まで捉えられてしまいそうな、吸い込まれてしまいそうな瞳

暫く私達は見つめ合うと用は済んだと言わんばかりにその人は立ち去った。



静寂が支配する夜。

音も無く舞い散る桜を、久々に綺麗だと思った。



1、アリス

突然だけど、私は孤独だ
知り合いが一切居ない…なんて訳ではない。

現に、今日も用事がありこの地に赴いている。

河城にとりの家を出ながら、私は考える。

今日の用事は、技術の共同研究だ
魔法の力と科学の力
相反するようで、実は近い部分の多いそれの共同研究は双方にとって利点が多い
度々こうして共同研究をするのだ

無論、にとりの他にも知り合いは居る。
魔理沙とだってパチュリーとだって、研究を重ねる。
しかし、それは私が魔法を扱えるから、魔女であるから…である。

元々こんな性格だ
元来明るいにとりや魔理沙とは勿論
暗い、と言うよりは、冷静で聡明、大胆不敵な部分もあるパチュリーとも性格は合致せず

ただ暗く、どうしようもなく自分勝手で、絶対に素直になれない、そんな私

知人程度より上の関係を築ける相手は居なかった。
気を許せる友人なんてものは存在しなかった。


山を彩るピンク色の桜
その内のひとつの桜の花びらが一片、枝から離れ、ヒラリと宙を舞い、私の足元に落ちる。
春、その象徴である筈の花びら
この花びらは、私なのだろう。
独りにならないように必死にしがみ付きながら
結局最後は振り落とされ、独り

花びらを手に取り眺める。実に綺麗な花びらだったが
それが私に似てると思った瞬間、嫌気が差し、花びらを放り捨てる
再び宙に放られた花びらは宙を舞い、川に落ち、下流へと流れて行く

あの花びらの行き着く先はどこなのだろうか?考えてみる
だけど、私に答えを知る勇気は無かった
私に似てしまった不幸な花びらだ、不幸な終わり以外、考えられない
だから、せめて途中までは見送ってやろう
のんびり流れる川と、その水面に浮く花びらに寄り添うように私は歩いた。

暫く花びらと共に歩くと、森のような場所にたどり着く、いや、森か
それでも花びらと共に歩く。すると池を見つける
同時に、その池の畔に佇む少女も
私は足を止める。

私と共にゆっくりと流れて来た花びらが、私から離れ流れて行く

そんな事はどうでも良かった。
その少女をもう一度見る。
まさに、人形と形容するに相応しい顔立ち
そして、全く変化を見せず目の前の桜を見つめるその表情
私が作ったどんな人形よりも、綺麗で美しかった。

どこか、私に似てるのだと思った。根拠など無いが
私はその少女の方向に向かって歩く足を止める事が出来なかった。

草を掻き分け、辿り着く。
音に気付いたのか、彼女は振り向く。
硝子玉のような瞳に、どこまでも真っ白な肌
思わず言葉を失いかけた

「こんにちは」

一応、挨拶をする。空は軽く橙色に染まっていたが…
彼女も、頷く

そんなやり取りをした後、私は彼女の隣に腰掛ける。
彼女の見ていた光景は果たしてどのような物なのか、無性にそれが気になった。

そして、それを見て私は再び言葉を失う

それは桜だった。
池の前に堂々と佇む。
ただの、桜
橙の空に映えるピンク色

「…綺麗ね」

本当に、ただ思ったままの感想を言う
これ以外の言葉など見当たりそうになかった

その後も暫く、桜を見ていた所で、視線を感じる。
隣を見ると、硝子玉のような目が私を見ていた。
吸い込まれそうな、深い漆黒の瞳

暫く見つめ合った所で、気恥ずかしくなりそそくさとその場を立ち去る。

明日も…来ようかな

こんな素直な気持ちになれたのはいつ振りか

いつになく、桜が綺麗だった。

そんな帰り道



2、アリス

今日も妖怪の山の麓に赴く
心なしか普段より足取りが軽い

そして、今日もいつもの場所に行き、いつもの人に会う。

「こんにちは」

そしてまた彼女がコクリと頷いたのを見て、いつもの場所に座る。

結局、私はあの日以降、暇があれば毎日のようにここに通った。

彼女と交わす会話は挨拶程度、ただ隣に座り日々薄くなっていく桜の木を眺めて、空に少し紫色が差したら帰る。

そんな日々を繰り返していた。

今日も、ただ散りゆくだけの桜を眺める。

また、花が一片散る。
散り落ちて、川に流される。
もう何度見た光景か

そんな情景の中で、回想をする。
彼女と、一度だけ交わした会話を…


-ねぇ、貴女はどうして此処にただ一人で居るの?

一度だけ、気になり聞いた事があった。
どうして、彼女はこんなにも孤独を貫けるのか
今流れて行った花びらの如く、永い時間の中にあって本当にただ一人生きる彼女
本当に不思議だった。

少し間を空け
その硝子玉のような瞳をこちらに向けず、桜を見つめたまま彼女は口を開く

声を、初めて聞いた

「私は…厄神、厄を集める事だけが、私の生き甲斐…」

その内容に、私は衝撃を受けた。

一度、彼女を私と似てると形容した事があったが
全くの間違いであった。

この子は強い、間違い無く
語る横顔から感じる。



回想を終え、また隣を見る。
気難しい顔をして俯いていた私には、気付かなかったようで
彼女は真っ直ぐ桜を見つめていた。あの時と同じ横顔だ

先程までは、ただ綺麗で済ませていたその横顔、そしてそこから覗くその瞳を、なんでか私は愛おしいと思った。
恐らく、私の持っていない物に対する羨望も、あるのだろう。

そんな感情に身を任せ、私は彼女の肩に手を乗せ、私がもっと見やすいように振り向かせた。

そして…
そのまま目を閉じ唇を重ねる。

彼女の唇はただ柔らかくて、内に仄な甘さを感じる。
何秒か、何分か、はたまた何時間か、時間の感覚を失う程唇を重ねて居た。

そうしている中か、彼女の肩を抑えて居た私の手に、反対方向の力が加わる。

驚き、手を、唇を離し、目を開けると震えている彼女が居た。

私の手を抑え、決定的な一言を放つ

「や、やめて…」

震える唇から放たれたその言葉に、私は罪の重さを知った。
なんと大変な事をしてしまったのだろう…

「ぁ…ご、ごめんなさい!」

そう告げて、気付いた時には走り去っていた。
こんな事をしてしまった上に、ただ、逃げる。
本当に、最低の最低…
でも、この場から逃げ出さずにはいられなかった

これもまた、私の弱さか…


さようなら、名前すら知らぬ人形のような人



2、雛

あの人に最初に会った日から何日か、山のピンク色は次第に薄れ、深緑の季節が近い事を告げる。

それでも堂々と自己主張を続けるこの池の桜

また昼が過ぎたらあの人は訪れて来るのだろうか

多分、来るだろう。

あの人が何を目的にしているか、全く判らなかったが
私の中であの人の存在が非常に大きな意味を持ち始めているのは、否定し難い事実となっていた。

そして、昼が来る。

やはり、いつものようにあの人が来る。

「こんにちは」

いつも通りの場所、いつも通りの挨拶

そしてその人はいつも通り私の隣に座り、いつも通り桜を眺める。

私は桜を見ながらチラチラと、横目でその人の顔を覗いていた
その人は俯いていた。


その姿に私は、その人との唯一の会話を思い起こす。

その時は、彼女から話し掛けて来たのだ
何故、私が独り此処に居るのか、と

そんな事を考えた事なんて無かった。

最初から、独りであったから。
独りが、普通であったから。

必死に理由を探す内
やはり、私の存在に、運命に原因があるのだと結論付ける

そう、私は厄神、厄を求め生きるため私は独りなのだと

全く理由になっていない、そんな理由
理由を聞き私の方を向いたその人…
あまりに呆れたのか、少し驚きの表情を見せ、こちらを向く。

たが、そんな彼女に、私も疑問を持つ。

-じゃあ、貴女は何故、こんな場所に独りで来るの?

そう、彼女が何故此処に来るのか、それだけはどうしても気になった。
予想外の質問に困惑したか、その人は少し考える。

…そして

「私は…孤独だから」

俯き、苦笑いを浮かべながら一言、呟く

一度、この人を私と似ていると評した事があったか、全くの間違いであった
その表情には、実に生き物らしい温かさがあって
やっぱり、私とは似ても似つかなかった

どちらかと言えば、私は彼女の後ろの居る人形なのだろう
感情も、意思も薄い、運命に抗う事もせず、ただこの場に佇む。
そんな事を考えた事を覚えている



回想を終えた時、その人は私の顔を覗き込んでいた。
やはり、どこか温かさを持つその表情

私がその人の方を向くより早く、肩に温かい感触を感じる。
肩を掴まれ、彼女の方を向かされる。
彼女に触れられたのは、初めてだ。

そんな事を考えている内、私の視界は黒で覆われた
唇に、今まで感じた事の無い感触を感じる。

私は、混乱していた。
唇に感じるこの温かい感触は一体何なのか
時間が経つ度に増していくこの体の熱さは一体何なのか
不思議と心に流れてくるこの温かい気持ちは一体何なのか
それに伴い早くなる心臓の鼓動は一体何なのか

私は恐怖した。

厄以外の物を他人から受け取った事の無い私に容赦無く流れてくる異物
抗体を持たぬ目には見えない物体に侵入された私の体は拒否反応を示す。

体は震え、手は震えながらこの行為の中止を訴える。

「や、やめて…」

震える唇から紡がれるのはこんな言葉だけだ

本当は、あの人から伝わってくる優しさが怖かっただけなのに
本当は、凄く嬉しい筈なのに
そんな気持ちを言葉に乗せる事を、私は出来なかった。

「ぁ…ご、ごめんなさい!」

誤って人を殺してしまった殺人犯のような、そんな顔をして彼女は立ち去ろうとする。

待って
本当は嬉しいの
もう少しここに居て…

時間が経ち、落ち着いた頃に、素直な、そんな言葉が浮かび上がってくる。
しかし、そんな気持ちを伝えるために、彼女を呼び止めようとして

私は愕然とした。


私は…あの人の名前も、家も、まして、何者なのかも
何も知らないのだ

私にとって、あの人は、あの人でしか無いのだ

結局、私は何も言えず、走り去るその人をただ見ている事しか出来なかった。



3、雛

また、桜が散る。

春の終わりがまた近付く。
あの人がこの場所に来なくなってから何日か

今まで普通であった筈の孤独に、一抹の寂しさを感じる。
何年こうしているか、解らない程こうして過ごしているのに
なんでか、寂しい

あの人でしか無い筈のあの人が、私の生活の全てになりつつあった。

やっぱり私は、人形だった。
いつの間にか私の心は、あの人に糸できっちり括り付けられていたのだ

でも、私はあの人の傍に居た人形とも違う。

中途半端に残る感情が邪魔をして、私は自らその糸を断ち切った。

糸の無い人形は、動く事など出来ない

時間が経つ
無為に過ぎる

どうせなら、このまま人形になれないものか
そうしたら、孤独の寂しさもこの虚無感も、感じる事は無いのに。
厄を集めるだけの呪われた人形。
私には丁度良い

…また一日が終わる
あの人は…来ない。

明くる日も、私はただ佇む

やはり、なんの変化も無い今日

またあの人が来るのではと期待しながらも、やはり昼は過ぎ
最初に会ったあの日のように、空は橙色に染まる。


そこで
ガサガサと草が鳴った次の瞬間。

「…こんにちは」

いつも通りの言葉

あの人が現れた

でも、その言葉を放つ顔は、いつも通りのそれではなかった。
深く思い詰めたような、そんな顔

彼女がいつものように私の隣に来た後

「ごめんなさい」

小さく、呟く声を聞いた

そして、私の視界はその人で覆われていた。
両手で手を押さえ付けられ、抵抗の余地無く唇を塞がれる。

私が呆気に取られていると今度は舌まで捩込まれる。

前回の物とは全く違う
深い、深いキス

抵抗の意か、何なのか、私は対抗するように舌を伸ばす。
二人の舌が絡みつき、クチャクチャと淫猥な音を立てる。

容赦なく私に送り込まれる厄
私はそれを飲み込み体で受け止める
これ以上に無い程、甘美で、中毒性のある味であった。

唇を合わせた後、その人は服を無理矢理脱がし始める。

もう、私に抵抗の意思など無かったが、それでも、焦るように、不器用に、最後には破くように私の服を剥いだ

その人は…泣いていた。
涙が零れ、私の頬に垂れる。

こんなにも楽しいのに
こんなにも厄いのに
どうして泣いているのだろう

そんな中でも胸を激しく揉まれる。
痛い程に、厄い程に

その人の手が私の乳首を激しく摘む
強く揉まれる程に、強く摘まれる程に私の性感は高まる。
痛いとも気持ち良いともつかない奇妙な感覚に溺れながら。

その人の手が私の秘裂に伸びるのを感じる。
胸への愛撫だけで充分に濡れていた私の秘裂に無理矢理指が挿入される。

成る程、私は人形だった。
あの人が指を動かせば、私はくるくると踊る
焦らされれば切ない声を上げ、激しくされれば激しい喘ぎ声を上げた。

処女膜を破かれ、秘裂から血が滴る。
もはや、それすら気持ち良く、何より厄かった。

血と卑猥な液によって濡れた膣の中を、これでもかと掻き回される。

指が三本に増え、引き裂かれそうな痛みに襲われる。
でも、それでも私の意識は溶かされ、厄と快楽の波に呑まれる。

三つの指が挿入され引き抜かれ
指が激しいピストン運動を繰り返した後

…私の意識は厄と快楽の池に沈んだ。



何とも幸福な気持ちに包まれ堕ちて行く
私が切った糸が、微かに繋がったような気がした。

堕ち行く中
「ごめんなさい」と
一言聞こえたような気がした。

今日も、名前を聞く事が出来なかった。


明日も来てくれるのだろうか



3、アリス

私があの最低の行為をしてから早何日か
何をしてても、誰と話てても思う事はただ一つだった

-私って、こんなにも孤独だったんだ

誰と話していても、虚無感は抜けず
何をしていても独り

私の心は何処にあるのか…全く判らなくなった

そんな心の中で、只一つ、肥大化していく事象があった
……彼女の事だ

しかし、一度あそこまでの事をしてしまったのだ
彼女を傷つけたのだ

多分、もう会う事すら叶わない
そんな、もう届かない存在への募った気持ちは
間違った方向へと肥大してゆく

私に芽生えた感情は、彼女への、支配欲
あの人形のような瞳を、横顔を、私の物にしたかった。
そんな、ひん曲がった感情


そんなある日か
にとりとの共同研究の日が訪れる。

もう、妖怪の山の付近に近づきたくも無かったが
仕方ないのだろう

実際、研究は何の問題も無く進む。

しかし、その帰り道だ
私の足は自然とそこに向いていた。

あのいつもの川、いつもの森、いつもの池
そして、その中央に佇む彼女


…私は決意を決める。
もう、彼女には会えないのだ
最後なら、私は自分勝手でも構わない
私は最低の最低まで堕ちてしまおう。

「…こんにちは」

極めて、いつも通りに挨拶をする。

彼女の隣に行き、小さく、呟くように別れの挨拶を告げる。

「ごめんなさい」

彼女の唇を塞ぐ
両手を抑え、抵抗出来ないようにしながらだ
前回のものとは違う、深く舌を挿れ彼女を求め貪るようなキス。
閉じていた歯を舌で突いて無理矢理開かせ
舌を捩込み彼女の口内全てを歯茎のの裏までを私の物にしようとする。

舌を挿入し貪っていると、彼女の方からも舌を伸ばして来る。

二人の舌が混ざり合い、クチャクチャと淫猥な音が鳴る。

彼女のものと私のもの、混ざり合った唾液を彼女に送り込む。
多少の躊躇う動作を見せながらも、彼女はクッと音を立てて飲み込む。

なんと忘れ難い、官能的で柔らかい彼女の唇

呼吸が苦しくなり顔を離すと、二人の下唇の間には橋
更に顔を遠ざけると橋は壊れ、唾液は彼女の胸元に落ちる。

それから、強引に彼女の服を脱がしていく。
彼女の抵抗はほぼ無かったが
それでも普段は器用な…今は不器用と成り果てた私の手は焦り、手間取る
最後には服を破き、彼女を産まれたままの姿にし、顔を覗く

…彼女は、その硝子玉をこちらに向け笑っていた。

こんなにも辛いのに
こんなにも悲しい別れなのに
どうして笑っていられるのだろう。

対照的に、私の目には涙が溢れていた。

自棄になり彼女の小振りな胸を揉みしだく
強く、強く

強く強く揉む度に、彼女は喘ぎ声を強くする。
乳首を強く摘むとあぁっっと小さな叫び声を上げる。

もう、病気だった。
彼女の肢体に魅入られ、彼女の声を聞くためだけに胸を揉んだ。

もう…彼女にとってこんなに辛い事は、早く終わらせてしまおう。

私は彼女の幼い秘裂に指を這わせる
彼女の秘裂は既に濡れていたが、こんなの…人体の防衛本能に決まってる

指を挿し、これでもかと膣内を掻き回す。

小さく喘ぐ彼女の唇から
また「やめて」と、そう叫ばれそうな気がして

私の脳は本当におかしくなった。
その言葉から逃げるように、目を瞑り視界を遮断し、指を深く入れる。


指に、愛液とは違うサラサラした液体を感じる

目を開けると、ピンク色でバックリ開いた秘所に滴っていたのは、赤い、赤い血

また、彼女を傷つけた

今度は目に見える形で

そんな罪悪感に苛まれながらも、私は止まらなかった
指を三本にまで増やし、激しく抜き挿しを繰り返す。
その抜き挿しの一回一回に反応する彼女に、私の脳は溶かされていく

そのまま、指の上下運動を繰り返す内、その硝子玉のような瞳を大きく見開き
背中を大きく反らし、彼女は絶頂を迎えた



彼女の幸せそうなその顔を見つめ
私ははたと気付く

微かに、繋がっていた糸を、今まさに断ち切ったのだ。私が

最後に本当の別れを告げる

「ごめんなさい」

結局、名を知る事すら無かった彼女の前を立ち去る。

もう、此処に来る事は無いだろう



4、

切れていた糸は繋がった
繋がっていた糸は切れた

なのに、あの人がこの場所に来る事は無かった。
だから、私があの場所に向かう事は無かった。

最後にあの人が流した涙の意味は何だったのだろう?
最後に彼女が見せた笑みの意味は何だったのだろう?


不器用な私が、それを知る事は無い


あの日々を過ごし、私に残ったのはどうしようもない孤独感


あの人に貰った甘美な厄の味を
彼女を一瞬でも私の物にできた喜びを


今でも忘れられず生きている。


待っていればまたあの人が来て、いつも通りの挨拶をしてくれるのではないかと期待しながらも
行けばまた彼女が居て、いつも通り静かな頷きをしてくれるのではないかと期待しながらも


また、一緒に桜を見れるのではないかと期待しながらも


孤独な、夏が来る。





また、季節が流れる。

緑に染まった厄の池
最後に残った桜の花びらが二枚、宙を舞い、折り重なるように厄の池にハラリと落ちる。
落ちた花びらを中心に波紋が広がり、やがて池全体が揺れる。

二枚の桜はそのまま、緩やかな川の流れと共に流れて行く

あの二枚の桜は、何処に流れて行くのだろう?

流れる桜のその行方を
遂に私が知る事は無かった。
次のコンペ春だなぁ、とか、寝る前に考えてたらネタが浮かんでしまった次第です。
4ヶ月ちょい早いコンペ作品です。

ネタが思い浮かんだ時
とある東方ヴォーカルの歌詞を改めて見て、ネタが固まりました。

不器用な二人
似てるようで似てない二人
優しさの伝え方も、受け取り方も、上手ではない二人

そんな二人のすれ違いは、こんな感じなのでしょう

最後までお読み頂きありがとうございました。
イージーシューター
コメント




1.とくめー削除
いいな。
求めてるものは同じなのに、不器用故のすれ違い。
孤独の意味を知ってしまった雛がとても良かった。
2.嶺上開花削除
切ないけれど、実に良い雰囲気でした。
いやぁ、本当に良かったです。
3.名前が無い程度の能力削除
切ない…最近のアリスは不幸属性がデフォルトになって来たけど、今までとは違った不幸の主だな。
4.名前が無い程度の能力削除
これはいい。
すれ違いって切なくていいね。
5.名前が無い程度の能力削除
双方の視点での心情表現が素晴らしかったです。
孤独と切なさがひしひしと伝わってきました。
…切ない
6.SiK削除
SS書きであるからには、いつかはこんな綺麗な話を書いてみたいものです。
多くの言葉を交わさなかった二人。
映画のワンシーンを見ているようで、思わずここが夜伽だということを忘れてしまいました。
4での対比のシーンが特に好きです。
7.イージーシューター削除
シリアスのコメ返しはちょっと苦手かもしれませんイージーシューターです。

>>とくめー様
 孤独とすれ違いは今回非常に大切にしたテーマです。
 雛にとっての独りの意味、伝えきれたか微妙でしたが、伝わって良かったです。
>>嶺上開花様
 ただただ暗い雰囲気にはならないように気を配ってみました。
 雰囲気も楽しんでいただけたなら幸いです。
>>3様
 幸せアリスも書きたいんです。
 でも不器用なアリスも、やはり書きたかった。
 次アリスを書く時は幸せにしてやりたいです。
>>4様
 すれ違い、本当に切ないです。
 お褒め頂き光栄です。
>>5様
 二人とも孤独で、二人とも切ない、その対比が伝えられて良かったです。
>>SiK様
 映画のワンシーンなんて、私みたいな未熟者には勿体無いお言葉です。
 4での対比は最初から考えて居たので。楽しんでいただけて光栄です。